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リンゴ搾り粕のメタン発酵

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Academic year: 2021

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(1)

緒    言

 青森県は年間約

48

万トンのリンゴを生産しているが,

そのうち約

10

万トンのリンゴがジュース用として利用 されている。リンゴジュースの製造過程で生成する搾り 粕は約

3

万トンであるが,その一部は肥料や家畜飼料に 利用されているが大部分は廃棄処分されている。現在,

食,医薬,エネルギー等の資源としてリンゴ搾り粕を利 用する研究開発が進められている。リンゴ搾り粕は水分 含量が多いので廃棄物処理法としてはメタンと炭酸ガス に分解し,再生可能なエネルギー資源として利用するメ タン発酵法が適している。青森県のジュース工場ではリ ンゴ搾り粕のメタン発酵はまだ実施されていないが,メ タン発酵は嫌気性微生物によって有機物を分解する技術 で,生成するメタンを燃料にして温水や発電に利用する ことが出来る。微生物による嫌気性処理は好気性処理と 比べて消費エネルギーが少なく,余剰汚泥の生成量が少 ないことから省エネルギー,少コスト型の処理法であ る。近年はスラッジブランケット型バイオリアクター

(Upf

l ow- Anaer obi c Sl udge Bl anket ,

上向流式嫌気汚 泥床)(1)が普及し,ビール工場や製糖工場などの製造 廃水処理に利用されている。このリアクターは自己集塊 作用を持つ嫌気性微生物を沈降性に優れた粒状汚泥とし てリアクター内に形成させ,上向流と発生ガスによる流 動状態の中で基質と汚泥を接触させてメタン発酵を効率 的に行わせることができるリアクターである。粒状汚泥 は増殖速度の遅いメタン生成菌を高い菌体濃度に維持す ると共に嫌気性菌相互の共生関係を効率的に行うことに より搾り粕の成分であるペクチンやヘミセルロースを最 も簡単な有機物,メタンにまで分解することができる。

本研究は,リンゴ搾り粕のメタン発酵を効率的に行う粒 状汚泥の製造と粒状汚泥からペクチン・キシラン分解菌 を分離し,菌学的特徴を明らかにするとともにメタン生 成菌との共生について検討した。

実験材料と方法

1.リンゴ搾り粕試料

 日本果実加工(株)(弘前市)のリンゴ搾り粕を使用し た。乾燥重量は試料

1

 

g

を秤量瓶に入れ,105 ℃ で恒量 になるまで乾燥させ,計量した。

2.メタン発酵汚泥の製造

 メタン発酵リアクターは円筒状容量

3

 

L

(直径

80

 

mm

×高さ

600

 

mm

)のスラッジブランケット型バイオリア クター(Upf

l ow- Anaer obi c Sl udge Bl anket

,上向流式 嫌気汚泥床)を使用した(図

1

)。水田土壌をリンゴ搾り 粕で馴養し,メタン発酵汚泥を製造した。30 ℃ で約

3

月間馴養し,経時的にメタンと二酸化炭素を測定した。

3.ペクチン・キシラン分解菌の培養と培地組成  嫌気性細菌の培地,培養方法は土壌微生物実験法(2 に従って行った。リンゴ搾り粕で馴養したメタン発酵汚

5

 

ml

をペクチン培地

100

 

ml

の入った

125

 

ml

容バイ アル瓶に接種し,30 ℃ で集積培養した。気相は窒素ガ スで置換し,容器口はブチルゴム栓,アルミキャップで 密栓し,静置培養した。集積培養を

3

回行った後,ロー ルチューブ法によりペクチン分解菌を分離した。試験管 はブチルゴム中栓,スクリューキャップ付き加圧培養試 験管を使用した。

 ペ ク チ ン 培 地 組 成 は

NaHCO

3

, 2

 

g

;NH4

Cl , 0. 28

 

g;

KH

2

PO

4

, 0. 24

 

g

;(NH42

CO

3

, 0. 17

 

g; MgSO

4・7H2

O, 0. 1

 

g

;CaCO3

, 1. 0

 

g

;ペクチン,5 

g

;酵母エキス,0.

1

 

g;

ステイン塩酸塩,0.

5

 

g

;をイオン交換水

1L

に溶かした。

pH 7. 0

に調整し,オートクレーブ滅菌した。寒天は必要 に応じて

3

% 加えた。糖類の試験にはペクチンの代わり に糖類を加えた。

 水素利用メタン生成菌は水田土壌から分離した

TM- 8

菌株(3)を使用した。TM-

8

菌株の培地と培養は

Zou

(3)の方法に従って行った。AP81菌株と

TM- 8

菌株の 混合培養はペクチン培地を用いて行った。

リンゴ搾り粕のメタン発酵

メタン発酵汚泥から分離したペクチン・キシラン分解菌の特徴

武田  潔・須田 育江・殿内 暁夫

応用生命工学科応用微生物学研究室

(2006

10

12

日受付)

弘大農生報 No. 9 : 21 - 27, 2006

(2)

4.ペクチンの測定

 ペクチンの測定はカルバゾール硫酸法(4)により行っ た。培養液

1

 

ml

にメタリン酸溶液(25 %メタリン酸-

5N H

2

SO

4)0.

2

 

ml

を加え,4 ℃,10,

000

 

r pm

,10分間遠 心分離し,上清を採取した。上清

0. 5

 

ml

を試験管に取 り,硫酸/ホウ酸ナトリウム

2. 5

 

ml

を加え,10分間煮 沸した。水冷後,カルバゾール液を加え,15分間煮沸し た。水冷後,波長

530

 

nm

の吸光度を測定した。硫酸/

ホウ酸ナトリウムは,Na2

B

4

O

7・10H2

O 0. 95g

を濃硫酸

100

 

ml

に溶かした溶液,カルバゾール液は,C12

H

9

N 125

 

g

を無水エタノール

100

 

ml

に溶かした溶液を用いた。

5.発酵生産物の測定

 発酵生産物の測定は前法(5)と同じ方法で行った。メ タン,水素,炭酸ガスの測定はリアクター,試験管の気 相をガスタイトシリンジで

3

 

ml

採取し,熱伝導検出器

(TCD)のガスクロマトグラフ(カラム,WG-

100

)で測 定した。キャリアガスはアルゴン,カラムオーブン温度

60

 ℃ で分析した。培養液の発酵生産物,エタノールは 水素炎イオン検出器(FI

D

)のガスクロマトグラフ(カ ラム,クロマトパック

54

)で測定した。キャリアガスは 窒素,カラムオーブン温度

180

 ℃ で分析した。蟻酸,酢 酸と乳酸は高速液体クロマトグラフで測定した。

6.微生物の同定

 分離菌株のグラム染色,嫌気度,カタラーゼ活性,イ ンドール生成,硝酸塩還元能,硫酸塩還元能,ミルク凝 固・消化試験,ゼラチン消化試験は土壌微生物実験法

(2)に従って行った。

7.GC含量の測定

 DNAの

GC含量の測定はヤマサ(ヤマサ醤油,東京)

DNA- GC- ki t

を用い,高速液体クロマトグラフで行っ た(5)。

8.電子顕微鏡写真

 透過型電子顕微鏡写真と走査型電子顕微鏡写真は

Mi zukami

ら(5)と同じ方法で撮影した。

9.16S rDNAの塩基配列の分析

 16S r

DNAは 細 菌 16S r DNA増 幅 用 プ ラ イ マ ー S- D- Bac - 0011- a- s - 17

(f

or war d

)と

S- D- Bac - 1492- b- A- 19

(r

ever s e

)を使用し,PCR法によって増幅後,サイクル シ ー ケ ン ス を 行 っ た。塩 基 配 列 は

GenBank, EMBL, DDBJ

に登録した(アクセッション番号:AB273730)。

結 果 と 考 察

1.メタン発酵汚泥の製造

 メタン発酵はスラッジブランケット型バイオリアク ターを用いて行った。水田土壌を種汚泥としてリンゴ搾 り粕で馴養し,メタン発酵汚泥を製造した。リアクター にリンゴ搾り粕を

3

日毎に

1

 

g

を加え,生成されるメタ ンと炭酸ガスを経時的に測定した。リンゴ搾り粕の主成 分は表

1

に示すように多糖類ではペクチン,へミセル ロースとセルロースであり,糖類ではフルクトース,グ ルコース,ショ糖であった。

 馴養約

3

ヶ月後に直径

0. 5

5. 0

 

mm

のメタン発酵粒 状汚泥が形成された。粒状汚泥は弾力性があり,容易に 壊れなかった。図

2

a, b

に示すように表面は密に絡み 合った糸状性菌で覆われ,糸状性菌の周りには桿菌や球 菌が多数存在した。メタン発酵は嫌気環境下で起こる微 生物作用であるが,多様な機能を持つ微生物によって有 機化合物が分解される過程で還元物質が生成される。こ の還元物質は水素を利用してメタンを生成するメタン生 成菌によって酸化される。このような複数の微生物に よって有機物が分解されるので多様な微生物が隣接する 汚泥の粒状化は沈降性が良いだけなく,微生物相互の栄 養共生関係が保持される場を形成している(6)。フロッ ク表面に観察される糸状性菌は

Me t hanos ae t a

の細胞と 類似していた。

 Me

t hanos ae t a

は酢酸のみを基質とするメタン生成菌で あり,Me

t hanos ae t a

が増殖することによって沈降性に優

図 1  上向流式嫌気性汚泥床リアクター(UASB ) 表 1  リンゴ搾り粕の成分(% )

60- 75 3. 5 1. 5 1. 0 2. 0 5- 20 水分

ペクチン リグニン ヘミセルロース セルロース

その他(糖類,有機酸等)

青森県産業技術開発センター「キープロジェ

クト研究報告」(14 )

(3)

れた顆粒状汚泥が形成される。メタン生成量は経時的に 増加し,定常期には図

3

に示すようにリンゴ搾り粕

1

 

g

(乾燥重量)当たり

350

 

ml

のメタンが生成された。この 生産量から乾燥重量

1

 

t

のリンゴ搾り粕から

350

 

m

3のメ タンが生産されることが期待される。以上の結果はリン ゴ搾り粕のメタン発酵は,スラッジブランケット型バイ オリアクターを用いることにより沈降性の良い粒状汚泥 が容易に形成され,メタン収率が良いことを示唆してい る。

2.メタン発酵汚泥から分離したペクチン・キシラン分 解菌の特徴

 メタン発酵粒状汚泥をペクチン培地で集積培養し,

ロールチューブ法によりペクチン・キシラン分解活性を 有する

AP81

菌株を分離した。本菌株は図

4

に示すよう に周鞭毛による運動性があり,グラム陰性,胞子形成の 絶対嫌気性菌であり,またカタラーゼ活性,インドール 生成,硝酸還元能とゼラチン消化は陰性であった。これ らの結果を表

2

に示す。本菌株の細胞形態と生理・生化 学的特徴を持つ類似の嫌気性菌は

Cl . ae r ot ol e r ans

(7)と

Cl . x y l anol y t i c um

(8)であった。

 本菌株はペクチン,キシランの多糖やグルコース,キ シロースなどの単糖など表

3

に示すように広い範囲の糖 類を資化する菌種であった。本菌の広範囲の糖類を資化 する特徴は,Cl

. ae r ot ol e r ans

Cl . x y l anol y t i c umに類似

した。Cl

. ae r ot ol e r ans

は多糖類のペクチンとキシランを 資化する点で同じであり,単糖類と

2

糖類の資化性でも 類似した。しかし本菌株はマンニトールを資化し,ラク ト ー ス と ト レ ハ ロ ー ス は 資 化 し な か っ た 点 が

Cl . ae r ot ol e r ans

と異なった。本菌株は

Cl . x y l anol y t i c umが 5

単糖であるリボースとアラビノースを資化しない点で異 なった。また

Cl . x y l anol y t i c umはペクチンやデンプンな

どの多糖類の資化性について記載がないので比較できな かった。本菌株の発酵生産物は蟻酸,酢酸,乳酸,エタ ノ ー ル,H2

CO

2で あ っ た。発 酵 生 産 物 は

Cl . ae r ot ol e r ans

は 本 菌 株 と 同 じ で あ っ た が,Cl

. x y l anol y t i c umは蟻酸,酢酸と乳酸であるので異なった。

本 菌 株 の

DNA

GC含 量 は 42

 

mol

% で あ っ た。Cl

. ae r ot ol e r ans

Cl . x y l anol y t i c um

40

 

mol

%であり,本菌 株の

GC含量と近い GC含量値であった。

図 3  リンゴ搾り粕のメタン発酵 0

100 200 300 400 500

0 10 20 30 40

CH4, CO2(ml)

0 100 200 300 400 500

0 10 20 30 40

培養時間(日)

CH4 CO2

図 2  リンゴ搾り粕で馴養したメタン発酵汚泥

a:Me t hanos ae t a 様糸状性細菌でおおわれたフロックの表面

b:粒状汚泥内部の糸状性細菌,桿菌,球菌。これらの汚泥は走査型電子顕微鏡で撮影した。

図 4  AP81 菌株の細胞の電子顕微鏡写真 ネガティブ染色し,透過型電子顕微鏡で撮影した。

バーは 1 μ m を示す。        

(4)

 AP81菌 株 の

16S r DNA

の 塩 基 配 列 は

Cl . ae r ot ol e r ans , Cl . x y l anol y t i c umと Cl . s ac c har ol y t i c um

(9

16S r DNAに最も高い 97. 9

 %の相同性を示した。前

2

者はキシランを分解する。Cl

. s ac c har ol y t i c umは広い

範囲の糖類を利用するが,ペクチン,キシランの資化性 の記載がない。またこの菌種の

GC含量は 28

 

mol

 %と かなり異なっている。AP81菌株の細胞形態,生理生化

学 的 特 徴,系 統 学 的 特 徴 か ら,AP81菌 株 は

Cl . ae r ot ol e r ans

に最も近縁の菌種であると考えられる。

3.AP81菌株の生育の特徴

 本菌株はペクチン,キシラン,グルコースやキシロー スなど広範囲の基質を資化し,主要な発酵生産物として エタノール,酢酸,水素と炭酸ガスを生成し,微量の蟻

表 2  AP81 菌株の細胞形態・生理生化学的特長

Cl . s ac c har ol y t i c um Cl . x y l anol y t i c um

Cl . ae r ot ol e r ans AP81

0. 6 × 3. 0

- 白色

- 凝固

酢酸,乳酸,エタノール,

H

2

,CO

2

,ピルビン酸  28mol %

0. 5 - 0. 8 × 1. 8 - 3. 0

- ND

エタ蟻酸,酢酸,乳酸

40mol % 0. 4 - 0. 6 × 1. 5 - 3. 0

a

淡褐色

- ND

エタ蟻酸,乳酸,酢酸,

ノール,H

2

,CO

2

    40 - 41mol % 0. 8 - 1. 2 × 2. 0 - 8. 0

+ 陰性

a

白色

蟻酸,乳酸,酢酸,

ノール,H

2

,CO

2

  42mol % 細胞形態(µm )

胞子形成 グラム染色 運動性 コロニーの色 カタラーゼ活性 インドール生成 ゼラチン消化 硝酸塩還元 ミルク消化 硫化水素生成 発酵生産物

GC含量

a

周鞭毛

表 3  AP81 菌株の基質利用性

Cl . s ac c har ol y t i c um Cl . x y l anol y t i c um

Cl . ae r ot ol e r ans AP81 菌株

基質

- ND

- ND ND ND

+ ND

- ND

+ ND ND ND ND ND ND ND

±

±

- W

- ND

+ グルコース

フルクトース ガラクトース マンノース アラビノース キシロース リボース マンニトール イノシトール マルトース スクロース セロビオース ラクトース ラムノース トレハロース メリビオース ラフィノース エスクリン イヌリン デキストリン デンプン ろ紙 CMC ペクチン キシラン

ND : Not Det er mi ned, W : Weak

(5)

酸と乳酸を生成した。AP81菌株を

0. 5

 %ペクチン培地 で培養した時の増殖と発酵生産物を図

5

a, b

の単独培 養に示す。培養開始後,約

7

日間でペクチンをほぼ分解 し,エタノール,酢酸,水素と炭酸ガスが主要な発酵生 産物であった。エタノールに対する酢酸の比は

1. 8

2. 1

の比率であった。気相中の水素と炭酸ガスは対数増 殖期にそれぞれ

5

 %と

20

 %であった。AP81菌株の増 殖は水素によって阻害されなかった。ペクチンを

5

 

g/L

8

 

g/L

培地で培養した時のペクチンの消費と水素生成 を図

6

に示す。ペクチン

8

 

g/L

で培養した時,生成した 水素は気相の

8

%であったが,ペクチン

5

 

g/L

と比べて 増殖は抑制されず,ペクチンを分解した。プロピオン酸 分解菌(10)や,酪酸分解菌(3,

11

)は極めて低い水素 濃度で阻害されるが,AP81菌株は生成するかなり高い 水素濃度によっても阻害されないことを示唆している。

 AP81菌株はペクチン分解にともない生成する水素濃 度の高い気相下で増殖が抑制されなかったが,水素消費 菌の共存によって発酵生産物がどのように変わるか検討 した。本実験は,TM-

8

菌株の細胞数を

AP81

菌株の細 胞数に対して

100

倍の細胞濃度にして接種し,培養を 行った。2者混合培養のペクチン分解と発酵生産物の経 時的変化を図

5

a, b

の混合培養に示す。AP81菌株の 単独培養と

TM- 8

菌株との

2

者混合培養はいずれもペク チン分解にともない気相中に水素が検出されたが,

AP81

菌株単独培養では最大

6. 5

%であったのに対して

2

者混合培養では

3

日に最大

1. 9

%であり,培養

10

日以降 には水素は検出されなかった。TM-

8

菌株は単独ではペ クチン培地に増殖しなかったので

AP81

菌株との

2

者混 合培養により本菌株は水素を消費し,メタンに転換した

ことを示唆している。2者混合培養による主要な発酵生 産物である酢酸とエタノールは単独培養と比べ,エタ ノールは減少し,酢酸が増加した。エタノールに対する 酢酸の比は

3. 5

4

であった。この比率は

AP81

菌株単 独培養の

2

倍であった。AP81菌株と

TM- 8

菌株の混合 培養はルーメンから分離された

Rumi noc oc c us al b us

と水 素利用メタン生成菌,Me

t hanobr e v i bac t e r r umi nant i umの

混合培養と似ている。Rumi

noc oc c us al b us

は単独培養で は水素生成が低い水素分圧で阻害され,エタノールを生 成する菌種であるが,Me

t hanobr e v i bac t e r r umi nant i umと 図 5 - a AP81 菌株の単独培養と TM- 8 菌株との混合培養に

よるペクチン分解と醱酵生産物 0

1 2 3 4 5

0 2 4 6 8 10 12 14

ペクチン(g/L)

0 2 4 6 8 10 12 14

酢酸,エタノール(mM)

培養時間(日)

ペクチン(AP81) ペクチン(AP81+TM-8)

酢酸 (AP81) 酢酸(AP81+TM-8)

エタノール(AP81) エタノール(AP81+TM-8)

図 5- b AP81 菌株の単独培養と TM- 8 菌株との混合培養に よるペクチン分解と醱酵生産物

0 5 10 15 20 25 30

0 2 4 6 8 10 12 14

培養時間(日)

H2,CO2,CH4(%)

CO(AP81)2 CO(AP81+TM-8)2

H(AP81)2 H(AP81+TM-8)2

CH(AP81+TM-8)4

図 6  ペクチン分解と水素生成 0

1 2 3 4 5 6 7 8

0 2 4 6 8 10 12 14

培養時間(日)

ペクチン(g/L)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

H2(%)

ペクチン(5g/L)

H(5g/L)2

ペクチン(8g/L)

H(8g/L)2

(6)

の 共 生 培 養 で は 生 成 す る 水 素 は

Me t hanobr e v i bac t e r r umi nant i umによって消費されるので水素は低い濃度に

維持される。そのため

Rumi noc oc c us al b us

は共生培養で はエタノールを生成せず,酢酸を生成することを

Wol i n

Mi l l er

は報告(12,

13

)した。AP81菌株は気相に

8

  という高い水素濃度でもペクチン分解が阻害されない菌 種であったが,水素利用メタン生成菌と共生することに よって水素は水素利用メタン生成菌によって消費される ので,エタノール生成を抑制してエネルギー生成に有利 な酢酸生成の代謝系を優先させることを示唆している。

謝    辞

 本研究の研究開発に協力頂いた青森県工業総合研究セ ンター弘前地域技術研究所生命科学部の方々に感謝致し ます。リンゴ搾り粕を提供していただいた日本果実加工

(株)に感謝致します。メタン発酵汚泥と微生物細胞の電 子顕微鏡試料の調製,撮影に関して指導していただいた 生物生産科学科の藤田隆助手に感謝致します。本研究の 一部は青森テクノポリス開発機構(「環境循環型社会に対 応した未利用資源の高度利用技術の開発」)から支援して 頂きました。

摘    要

 メタン発酵は上向流式嫌気汚泥床(UASB)リアクター を用いて行った。汚泥は水田土壌をリンゴ搾り粕で馴養 して製造した。3ヵ月後,球菌,桿菌や糸状性菌からな る粒状汚泥が形成された。粒状汚泥からペクチン,キシ ラン分解菌,AP81菌株を分離した。本菌株は周鞭毛に よる運動性があり,グラム陰性,胞子形成の絶対嫌気性 細菌であった。本菌株は広範囲の糖類を資化し,発酵生 産物として蟻酸,酢酸,乳酸,エタノール,H2

CO

2 生成した。DNAの

GC含量は 42

 

mol

%であった。本菌 株の

16S r DNAの塩基配列は Cl . ae r ot ol e r ans

に最も近 縁で

97. 9

 %の相同性を示した。本菌株は,細胞形態,生 理・生 化 学 的 特 徴 と

16S r DNA

の 解 析 結 果 か ら

Cl . ae r ot ol e r ans

に最も近縁の菌種でると推察される。本菌 株はペクチン,キシランに加えてグルコースやアラビ ノースなど広範囲の糖類を資化し,主要な発酵生産物と してエタノール,酢酸に加えて著量の水素を生成した。

本菌株はペクチン,キシランの分解にともなって生成す る水素によって生育は阻害されなかったが,水素利用メ タン生成菌との混合培養によってエタノールは減少し,

酢酸を多く生成した。AP81菌株は水素利用メタン生成 菌との共生がエネルギー生成に有利に作用することを示 唆している。

引 用 文 献

1 ) 上木勝司,永井史郎編著:嫌気微生物学,265 - 284 頁,

養賢堂,東京,1993 .

2 ) 土壌微生物研究会:新編土壌微生物実験法,23 - 35 頁,

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S

UMMARY

  Met hane f er ment at i on was c ar r i ed out wi t h an upf l ow- anaer obi c s l udge bl anket r eac t or . The s l udge was made by ac c l i mat i zi ng paddy s oi l added as a s eed c ul t ur e wi t h an appl e pomac e. Gr anul at ed s l udge c ompos ed of c oc c oi d, r ods and f i l ament ous bac t er i a was f or med af t er 3 mont hs i nc ubat i on. Pec t i n ・xyl an degr adi ng- anaer obi c bac t er i a, s t r ai n AP81 was i s ol at ed f r om t he met hane f er ment at i on s l udge, whi c h was ac c l i mat i zed wi t h appl e pomac e. The s t r ai n was mot i l e wi t h l at er al f l agel l a, Gr am- negat i ve, s por e- f or mi ng s t r i c t anaer obes . The s t r ai n us ed a wi de r ange of s ugar s c ont ai ni ng gl uc os e and xyl os e i n addi t i on t o pec t i n and xyl an and pr oduc ed f or mat e, ac et at e, l ac t at e, et hanol , c ar bon di oxi de and hydr ogen as f er ment at i on pr oduc t s . The GC c ont ent of DNA was 42 mol   %. The 16S r DNA s i mi l ar i t y of s t r ai n AP81 t o Cl . ae r ot ol e r ans was 97. 9   %. The s t r ai n i s c ons i der ed t o be c l os el y r el at ed t o Cl . ae r ot ol e r ans on t he bas i s of i t s c el l mor phol ogy and t he phenot ypi c and phyl ogenet i c c har ac t er i s t i c s . St r ai n AP81 us ed a wi de r ange of s ugar s c ont ai ni ng gl uc os e or ar abi nos e i n addi t i on t o pec t i n and xyl an, and pr oduc ed a l ar ge amount of hydr ogen i n addi t i on t o et hanol and ac et at e as t he mai n f er ment at i on pr oduc t s . The gr owt h of t he s t r ai n was not s uppr es s ed by hydr ogen pr oduc ed by degr adi ng of pec t i n and xyl an. The pr oduc t i on of et hanol , however , dec r eas ed, whi l e t hat of ac et at e i nc r eas ed by t he dual c ul t ur e wi t h a hydr ogen- ut i l i zi ng met hanogen. I t i s s ugges t ed t hat t he ener gy met abol i s m has an advant ageous ef f ec t on t he s t r ai n AP81 by t he as s oc i at i on wi t h hydr ogen- ut i l i zi ng met hanogens .

榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎榎Bul

l . Fac . Agr i c . & Li f e Sc i . Hi r os aki Uni v. No. 9 : 21 - 27, 2006

Met hane f er ment at i on of an appl e pomac e

Char ac t er i s t i c s of a pec t i n・xyl an degr adi ng- anaer obi c bac t er i um i s ol at ed f r om met hane f er ment at i on s l udges .

Ki yos hi T AKEDA , I kue S UDA and Aki o T ONOUCHI

Labor at or y of Appl i e d Mi c r obi ol ogy

参照

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