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再生産論としてのケィンズ経済学‑序論
工藤良平.
私は前稿の総括のところで、次の稿でケィンズ体系を再生産論の視角から検討することにより'その俗流経済学と
しての性格をヨリいっそ‑明確にさせることを約した。しかし正直言ってかかる検討を全面的に展開し‑るまでに私
の準備は只今のところ進んでいない。ただ経済の再生産構造の重要な一環たる貨幣の流通・循環に関するケィンズの
見解について、私はひとつの理解に到達した。私はこれを以下のような二つの問題点に整理しで論じる。本稿はした
がってあくまでもケィンズ体系の再生産論的視角よりする検討の‑ちの序論部分であるにすぎない。
問題点
二つの題題点とは次の通りである。第lは使用者費用Uの坂扱いに関しており、第二は投機的動機を充すために保
有される現金量sNの評価に関している。ケィンズの議論が使用者費用をふくんでいないタームで進められていること
は、再生産の議論としてみれば、それは1般的でない、部分的な再生産論であることを意味している.第二にケィン
ズの投機的動機に基づく貨幣量への着目は、貨幣数量説に対する正しい批判を示していると同時に、他面、利潤と利
子との関係を倒錯した関係で考え、資本制社会の再生産過程を庵度に流通主義的に見るとい‑誤りに導いている。
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罪
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H使用者費用Uの問題
周知の如く'ケィスズは﹃1般理論﹄において、総供給函数並びに絵需要函数を定義するに当って使用者費用を差
引いて計算している。
その理由として次のことが言われている。
「使用者費用を含まない給売上金額と総供給価格とは、一義的にかつ明確に規定することができる。ところが使用●●者費用は明らかに産業の統合の程度と企業者が相互に買い合‑程度とに依存するものであるから、使用者費用を含む
買手によって支払われる総額はこれらの要因に無関係には規定されえない。個々の生産者にとっての、普通の意味に●●●●●●●おける供給価格を規定する場合にさえ同様の困難はあるが、全体としての産出物の総供給価格の場合には'普通には(註こ当面することのない重複とい‑重大な困難がある。」
つまり全体としての経済の産出高を坂上げる時には統合度や二重計算のおそれとい‑面倒な問題を避けるために'
はじめから使用者費用抜きで供給価格と売上高を考えるとい‑のである。
而してこのよ‑な手続を経て導出された総供給函数と総需要函数の交点が有効需要の点とされているから'有効需
要額の中にはもちろん使用者費用はふくまれていない。この有効需要の点において雇用量が決定されるとなすのが・・・・・・・(註二)雇用の一般理論の要旨であり、これの解明がケィンズの目的とするところであった。
(註こKeynes,・GenelatTheory,P.24.塩野谷訳、二八百.(註二)op.cit..P.251訳、三〇貢。
有効需要の額が使用者費用の額をふくまないと定義されていることは、他の面からこれをみれば、有効需要の一構
ヽ'
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39
成 分
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投 資 需
要‑
他構成分は消費需要が純投資のであるI
用の需
要みか成のらり、
補 填
用の
投資
需
要は除とり
か
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得ではない。
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所説ルの単純再生産表式の数字用いてをスをマク 表 現
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次のになようる。
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︺ケィンズの有効要論では皆産物六,〇〇〇による猫およびⅧの各。の補票表守れない。︹
ケィンズが﹃一般理論﹄の各箇所で、特に第六章の「使用者費用に関する補論」において、使用者費用の考察を展
開していることは非常な前進であった。彼以前の人達に対しても、また彼のそれまでの著作に対してもそ‑であっ
た。前著﹃貨幣論﹄では使用者費用は全く言及されていない。
ケィンズほ従来の価値理論が短期供給価格をもっぱら限界要因費用とのみ均等なものとしてきた慣行を批判し、
「そのよ‑な方法は、もしそれが単l産業または企業の産出物にあてはめられるならば、われわれの分析からすべて.(註)の現実性を奪‑ことになる。」といっている。
このよ‑に一方では使用者費用の意義に注目しつつ、尚全体としての産出高を坂扱‑場合には、それを控除するこ
とが便利であるとする理由は、先に引用したことと同じことであるが、所得の定義に伴‑一群の紛糾を免れよ‑とい
う意図にあるとされている。(註)op.cit..p.67.訳'七八百。
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問題はここにあると思‑。
吾々は﹃資本論﹄における社会的資本の再生産と流通に関する理論により、資本主義社会の巨視的観察において'
資本の再生産過程の順調なる進展にとって、いかに生産手段生産部門の生産物による不変資本の'価値並びに素材の
両面に亘る補填が重要な意味を有するか、特に固定資本の補填が、固定資本の耐用年数の長いことに基づいて、補填
用貨幣資本の保蔵と放出とい‑困難な条件を伴‑ものであること、そしてこれらの事情が経済の均衡の撹乱や恐慌の
発生と緊密に関連しているものであることを知らされている。再生産論において、もし所得とい‑附加価値のみが板
上げられ、その増減やその貯蓄と消費とへの分割の問題のみが論議されるのであれは、それはあくまでも局部的な再
生産論であって'社会的物質代謝の過程をその全規模にわたって考察する一般的、全体的再生産論ではない。
かくしてケィンズが、単l産業乃至企業の産出物に対して使用者費用を控除した坂扱いをなすことは、その分析か
ら現実性を1切奪ってしま‑ことになるとい‑時、それはそのまま、全体としての産出物を坂扱‑場合にも妥当する
ことである。有効需要論乃至所得決定論に現実性があるとしても、それは経済活動の全領域に及ぶ現実性では決して
ないのである。
所得といひ、雇用といっても'それをそれだけのものとして議論するのであれば意味は乏しい。社会的総資本の再(註)生産と流通の総過程の動きに照らし、その中に位置づける議論でなければならない。
(註)固定資本に関しては、補填の問題を別にしても、再生産論上、特別の性質を持つ複雑さが存在する。その耐用性の故に、
それが形成きれた過去の時点から、現実に生きた労働と結合して機能する現在の時点を経て、更にその大部分が将来の時点
に持ち越されてゆくとい‑、過去・現在・将来の三時点の考察をその中にふくむものである。こ‑して再生産論に時間という契機が重要な要因として入りこむ。ケィンズもこの種の問題に触れているのであって'例えば使用者費用は現在と将来とを結
ぶ環の一つである(Op.Cit.)p.69.訳'八L頁)といひ、また耐久財と流動性プレ‑アムの関係を利子論に関連さして展開
している(OP.Cit..Chapter)7.).しかし総じて資本設備所与という短期の前提の下においては、固定資本の本来的な特徴が
十分に論究されるというわけにはいかなくなる。
この間題を貨幣流通の側面から坂上げて検討してみよう。
まず'ケィンズにおける貨幣的諸概念の相互の連関を簡単に定式化すれば'次のよ‑になる。﹃貨幣論﹄によれは
妹讃‑覧rT撞讃‑胡粉.韻紗=盟紗韻紗+市嚇胡紗o盟紗韻紗‑f3‑mS胡紗+畔湘胡紗.時報溝紗=硬調韻紗
A+硬調胡紗Bo巧妙韻紗‑巧妙識紗A+巧妙韻紗Bo
これらの預金形態に対し'﹃一般理論﹄においては預金者の預金保有の動機の側面から接近していっている。すな
わち'坂引動機(所得動機と営業動機)・予備的動機・所得動機。所得動機には所得預金が、営業動機には営業預金
AおよびBが'予備動機には貯蓄預金Aが'投機的動機には貯蓄預金Bがそれぞれ対応していると考えられる。貨幣
当局によって供給される貨幣量は、個人並に団体のこれらの諸動機にもとづく貨幣需要をみたし、これらの諸預金の
形態をとって実在している.
更に﹃l般理論﹄では謬嬢事跡M=謝St雷撃藩TTB不凍轟冨瞥藩付議fcヰ汁昏市来軸仙YLか溢紗8陣Ml+簿豪富聾
藩曹惑汁ヰ汁昏市来軸収YLか盟紗陣M2.Mのこれらの二つの区分に対応して次の二つの流動性函数をケィンズは掲
げる.MIML+M2‑Ll(Y)+L2(r).
再生産過程の進展に伴‑財貨(サーヴィスをふくむ)の流通は'相殺・清算の場合を例外として'すべて貨幣の媒介
により行われる。Mはストック量であるから'財貨の流通坂引総額には流通速度Vの乗ぜられたフローの貨幣数量M
Vが対応しているが'帖は不活動の貯蓄預金でありその流通速度は零であるから、正確にはMIVが応対する。 (註)
(註)貯蓄預金Aは﹃貨幣論﹄によると、個人的理由により、有価証券の価格の如何にかかわらず、有価証券に優先して、永久
ノ\諾,,′、、iJ1.‑T.I.1㌧..∴. ヽ.・Pl了..・'・.ハ、..
責il〟pさ