Arduinoを用いた
衝突回避型センサネットワークの開発
平成26年度修了
三重大学大学院工学研究科 博士前期課程 電気電子工学専攻
通信工学研究室 中西 健人
目 次
第1 章 序 論 1
1.1 背 景 . . . . 1
1.2 本 研 究 の 目 的 . . . . 3
1.3 本 論 文 の 構 成 . . . . 3
第2 章 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク 4 2.1 概 要 . . . . 4
2.2 用 途 と 適 用 . . . . 5
2.3 セ ン サ ネット ワ ー ク の 技 術 と 課 題 . . . . 5
2.3.1 ハ ー ド ウェア 技 術 . . . . 5
2.3.2 通 信 技 術 . . . . 6
2.3.3 ア プ リ ケ ー ション 技 術 . . . . 9
2.4 省 電 力 化 に 関 す る 既 存 研 究 . . . . 11
2.4.1 ア ク セ ス 制 御 プ ロ ト コ ル . . . . 11
2.4.2 経 路 制 御 プ ロ ト コ ル . . . . 16
第3 章 Arduino 用 衝 突 回 避 型 プ ロ ト コ ル 24 3.1 フ レ ー ム フォー マット . . . . 24
3.2 タ イ ミ ン グ 同 期 手 順 . . . . 25
3.3 経 路 構 築 手 順 . . . . 26
3.4 デ ー タ 通 信 手 順 . . . . 27
3.5 同 期 修 正 手 順 . . . . 27
i
3.6 通 信 失 敗 時 の デ ー タ 通 信,再 同 期 及 び 経 路 再 構 築 手 順 . . . . 28
3.7 動 作 例. . . . 28
3.7.1 タ イ ミ ン グ 同 期 手 順 例. . . . 29
3.7.2 経 路 構 築 手 順 例 . . . . 29
3.7.3 デ ー タ 通 信 手 順 例 . . . . 32
3.7.4 形 成 ト ポ ロ ジ 例 . . . . 35
第4 章 実 装 36 4.1 使 用 ハ ー ド ウェア . . . . 36
4.1.1 概 要 . . . . 36
4.1.2 デ バ イ ス 構 成 . . . . 37
4.1.3 無 線 通 信 . . . . 39
4.2 実 装 ソ フ ト ウェア . . . . 39
4.2.1 プ ロ グ ラ ム 実 装 . . . . 39
4.3 消 費 電 力 に 関 す る 評 価. . . . 41
第5 章 パ ケット 到 着 確 率 の 評 価 42 5.1 パ ケット 到 着 確 率 の 評 価. . . . 42
5.2 実 験 諸 元 . . . . 42
5.3 検 証1 . . . . 43
5.4 検 証2 . . . . 45
5.5 検 証3 . . . . 46
5.6 評 価 . . . . 47
第6 章 結 論 48
参 考 文 献 50
謝 辞 58
iii
研 究 業 績 59
1.1 セ ン サ ネット ワ ー ク の モ デ ル . . . . 2
2.1 ク ラ ス タ リ ン グ . . . . 8
2.2 S-MACの 動 作 . . . . 13
2.3 B-MACの 動 作 . . . . 14
2.4 X-MACの 動 作 . . . . 15
2.5 SPINの 動 作 . . . . 17
2.6 Directed Diffusionの 動 作 . . . . 18
2.7 LEACH . . . . 19
2.8 greedyforwarding . . . . 21
2.9 Greedy Forwardingに お け る 問 題 点 . . . . 22
3.1 フ レ ー ム フォー マット . . . . 25
3.2 経 路 構 築 手 順 図 . . . . 28
3.3 経 路 構 築 の 流 れ . . . . 31
3.4 経 路 構 築 図 . . . . 32
3.5 デ ー タ 通 信 の 流 れ . . . . 34
3.6 形 成 ト ポ ロ ジ 例 . . . . 35
4.1 Arduino Mega ADK . . . . 37
4.2 XBee Series1 . . . . 37
4.3 シ ン ク ノ ー ド . . . . 38
4.4 セ ン サ ノ ー ド . . . . 38
iv
v
4.5 シ ス テ ム 構 成 . . . . 39
5.1 ノ ー ド 配 置 と 経 路 図(検 証1) . . . . 44
5.2 ノ ー ド 配 置 と 経 路 図(検 証2) . . . . 45
5.3 ノ ー ド 配 置 と 経 路 図(検 証3) . . . . 46
2.1 セ ン サ ネット ワ ー ク の 通 信 方 式 . . . . 6
4.1 ス リ ー プ モ ー ド . . . . 40
4.2 消 費 電 力 . . . . 41
5.1 フ レ ー ム フォー マット . . . . 43
5.2 検 証1の パ ケット 到 着 確 率 . . . . 44
5.3 検 証2の パ ケット 到 着 確 率 . . . . 45
5.4 検 証3の パ ケット 到 着 確 率 . . . . 46
vi
第
1
章序論
1.1 背 景
近 年,消 費 電 力 の 管 理,環 境 観 測 な ど の モ ニ タ を 行 う た め に,セ ン サ ネット ワ ー ク が 利 用 さ れ て い る[1]. セ ン サ ネット ワ ー ク は,電 力 や 温 度 な ど を 測 定 す る セ ン サ 機 能 を 搭 載 し た 無 線 端 末 の セ ン サ ノ ー ド に よって 構 成 さ れ,分 散 配 置 す る こ と で 広 範 囲 の 情 報 を 取 得 す る こ と が で き る(図1.1). 特 に 環 境 観 測 等 を 行 う セ ン サ ネット ワ ー ク で は,電 源 確 保 や メ ン テ ナ ン ス が 難 し い 場 所 に 配 置 さ れ る こ と が 想 定 さ れ, バッテ リ 駆 動 で あ る こ と が 多 い. そ の た め, 長 期 稼 働 を 行 う た め に は, 省 電 力 化 が 重 要 な 課 題 と なって い る. セ ン サ ネット ワ ー ク の 省 電 力 化 に 関 す る 研 究 は, MAC 制 御 と 経 路 制 御 に 分 け ら れ る. MAC 制 御 で は, セ ン サ ノ ー ド が 通 信 を 行 う ア ク ティ ブ 状 態 と 通 信 を 行 わ な い ス リ ー プ 状 態 に 切 り 替 え る 間 欠 動 作 を 行 う こ と で 不 必 要 な 回 路 を 停 止 さ せ, 消 費 電 力 の 削 減 を 行 う[2, 3]. し か し,ノ ー ド 自 身 が 通 信 を 行 わ な い 期 間 を ど の よ う に 判 断 し て ス リ ー プ 状 態 に 移 行 す る の か が 課 題 と な る. 一 方, 経 路 制 御 は,ノ ー ド が 情 報 を 転 送 す る 為 に 必 要 と な る 電 力 が 最 小 と な る よ う に 経 路 構 築 を 行 う[4–6].既 存 研 究 で 多 く の 有 効 な 提 案 方 式 が 提 案 さ れ て い る が,資 源 が 限 定 さ れ る マ イ コ ン な ど で 動 作 す る 実 装 ま で 想 定 し た 検 討 は 不 十 分 で あ る.
そ の た め 本 研 究 で は, 上 記2 つ の 観 点 か ら 省 電 力 を 実 現 す る た め, MAC制 御 と 経 路 制 御 に 用 い る 制 御 パ ケット 数 の 抑 制,間 欠 動 作,パ ケット 衝 突 回 避,効 率 的 な デ ー タ 収 集 を 行 う[7]. ま た,小 資 源 で あ る 代 わ り に 省 電 力 で 稼 働 可 能 で あ る マ イ コ ン ボ ー ド で あ るArduinoと 一 般 的 に セ ン サ ネット ワ ー ク に 用 い ら れ る 無 線 モ ジュー
1
ル で あ るXBee Series1で 構 成 さ れ る デ バ イ ス に 提 案 プ ロ ト コ ル を 実 装 し,セ ン サ デ バ イ ス を 開 発 す る. ま た 本 実 験 で は,上 記 の 開 発 し た プ ロ ト コ ル の 実 装 を 行った 複 数 の セ ン サ デ バ イ ス で パ ケット 到 着 確 率 を 測 定 す る こ と に よって 有 効 性 を 示 す.
ユーザ
PC
シンクノード
センサノード
図1.1 セ ン サ ネット ワ ー ク の モ デ ル
第1章 序 論 3
1.2 本 研 究 の 目 的
本 研 究 の 目 的 は,簡 易 実 装 が 可 能 な セ ン サ ネット ワ ー ク 用 省 電 力 プ ロ ト コ ル の 提 案 を 目 的 と し て い る. 省 電 力 を 実 現 す る た め, MAC制 御 と 経 路 制 御 に 用 い る 制 御 パ ケット 数 の 抑 制, 間 欠 動 作,パ ケット 衝 突 回 避,効 率 的 な デ ー タ 収 集 を 行 う. 具 体 的 に は, 経 路 構 築 に お い て 既 存 方 法 の 多 く で 用 い ら れ て い る よ う な 制 御 パ ケット の「 フ ラッディン グ 」を 行 わ ず,隣 接 ノ ー ド と の 制 御 パ ケット の 交 換 に よって 経 路 構 築 を 可 能 と す る. こ れ に よ り 経 路 構 築 時 に お け る 通 信 量 を 削 減 す る と と も に, 複 雑 な ル ー ティン グ テ ー ブ ル の 管 理 を 必 要 と し な い こ と に よ る プ ロ ト コ ル の 簡 易 化 を 図 る. ま た,タ イ ム フ レ ー ム フォー マット を 導 入 し て お り,各 時 間 期 間 に 送 信 目 的 及 び 送 信 対 象 と な る セ ン サ ノ ー ド を 制 限 し て い る.そ の た め,セ ン サ ノ ー ド が 自 律 的 に 通 信 期 間 と 非 通 信 期 間 を 認 識 で き, 制 御 パ ケット の 交 換 を 必 要 と し な い 間 欠 制 御 を 行 う 事 が で き る. デ ー タ 通 信 期 間 で は,シ ン ク ノ ー ド ま で ホップ 数 の 大 き い 遠 方 ノ ー ド か ら ホップ 数 の 小 さ い ノ ー ド へ 順 次 デ ー タ を 転 送 す る よ う 各 ノ ー ド に 通 信 期 間 を 割 り 当 て て い る. こ れ に よ り,近 隣 セ ン サ ノ ー ド の 送 信 信 号 と の パ ケッ ト 衝 突 を 回 避 す る. 加 え て, 受 信 し た パ ケット に 自 分 の デ ー タ を 格 納 し, 転 送 す る こ と で デ ー タ 送 信 の 効 率 化 が 可 能 と な る. 使 用 す る セ ン サ デ バ イ ス は, Arduino と XBee Series1で 構 成 さ れ る. 以 上 よ り 本 検 証 は,上 記 の 開 発 し た プ ロ ト コ ル の 実 装 を 行った 複 数 の セ ン サ デ バ イ ス で パ ケット 到 着 確 率 を 測 定 す る こ と に よって 有 効 性 を 示 す.
1.3 本 論 文 の 構 成
第2 章 で は,セ ン サ ネット ワ ー ク の 概 要 と 関 連 技 術 に つ い て 説 明 す る. 第3 章 で は, Arduino 用 省 電 力 プ ロ ト コ ル に つ い て 説 明 す る. 第4章 で は,本 研 究 で 使 用 す る デ バ イ ス「Arduino」と「XBee」に つ い て 概 要 と 実 装 手 法 に つ い て 述 べ る. 第5章 で は,実 験 に よ る パ ケット 到 着 確 率 の 評 価 を 行 う. 最 後 に 第6章 で は,本 論 文 の 結 論 を 述 べ る.
無線センサネットワーク
2.1 概 要
無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク と は, 温 度,湿 度,電 力, 照 度 な ど を 観 測 す る セ ン サ 機 能 と 無 線 通 信 機 能 を 持 つ セ ン サ ノ ー ド を 分 散 配 置 し,相 互 に 通 信 を 行 う こ と で,広 範 囲 の 情 報 を 収 集 可 能 と な る 無 線 ネット ワ ー ク こ と で あ る. セ ン サ ネット ワ ー ク は, 多 数 の セ ン サ ノ ー ド と 情 報 収 集 用 の シ ン ク ノ ー ド に よって 構 成 さ れ る. 各 セ ン サ ノ ー ド は 相 互 に 無 線 で 情 報 の や り 取 り を 行 い シ ン ク ノ ー ド ま で の 経 路 を 構 築 す る. ま た,他 の セ ン サ ノ ー ド か ら 受 信 し た 情 報 を 別 の ノ ー ド へ 中 継 す る 機 能 を 有 す る. 最 終 的 に シ ン ク ノ ー ド ま で 観 測 情 報 を 転 送 す る こ と に よ り, 広 範 囲 の マ ル チ ホップ ネット ワ ー ク を 形 成 で き る. シ ン ク ノ ー ド は,イ ン タ ー ネット な ど の 広 域 ネッ ト ワ ー ク に 接 続 し て い る た め,ユ ー ザ は シ ン ク ノ ー ド に ア ク セ ス す る こ と で,収 集 し た 情 報 を い つ で も 確 認 す る こ と が で き,得 ら れ た 情 報 を 基 に 機 器 の 管 理・制 御 を 行 う こ と が 可 能 と な る.
4
第2 章 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク 5
2.2 用 途 と 適 用
セ ン サ ネット ワ ー ク に は 様々な ア プ リ ケ ー ション に 利 用 さ れ て お り,医 療,環 境 観 測,構 造 モ ニ タ リ ン グ な ど 多 く の 応 用 が 考 え ら れ る [8–10].
2.3 セ ン サ ネット ワ ー ク の 技 術 と 課 題
セ ン サ ネット ワ ー ク は 多 く の セ ン サ ノ ー ド を 広 範 囲 に 分 散 配 置 さ れ る た め,様々 な 場 所 の 情 報 を 収 集 す る こ と が で き る の が 特 徴 で あ る. し か し,各 セ ン サ ノ ー ド は バッテ リ 駆 動 で あ る こ と が 想 定 さ れ る た め 定 期 的 な メ ン テ ナ ン ス を 行 わ な け れ ば な ら な い. そ の た め,メ ン テ ナ ン ス の 負 荷 を 軽 減 す る 技 術 が 必 要 と な る. ま た,設 置 の 難 し い 場 所 で 測 定 す る こ と も 考 え ら れ る た め,小 型 化 が 必 要 と なって く る [11].
2.3.1 ハ ー ド ウェア 技 術
セ ン サ ネット ワ ー ク に お い て セ ン サ ノ ー ド は 多 目 的 に 使 用 さ れ る た め 複 数 の セ ン シ ン グ 機 能 を 有 す る も の が 多 く, 1つ の セ ン サ ノ ー ド が 多 く の 情 報 を 扱 う 必 要 が あ る. さ ら に,セ ン サ ノ ー ド は セ ン シ ン グ・計 算 処 理・無 線 通 信 処 理 と 多 く の 処 理 を 行って い る た め, 高 度 化 や 高 精 度 化 が 必 要 と な る. ま た, セ ン サ モ ジュー ル の 小 型 化 が 進 み, 1 つ の 機 器 に 多 く の セ ン サ が 組 み 込 め る よ う に なって い る. そ の た め, 計 測 用 セ ン サ と 認 識 用 セ ン サ な ど デ ー タ を 融 合 し て 使 用 す る こ と が 必 要 と な る. ま た,セ ン サ ノ ー ド が 多 数 分 散 配 置 さ れ て い る た め,メ ン テ ナ ン ス の 負 荷 を 減 ら し, 長 期 稼 働 さ せ る 必 要 が あ る. そ の た め, 計 測 値 や 計 器 の ず れ を 自 動 で 補 正 す る キャリ ブ レ ー ション 技 術 や 省 電 力 化 が 求 め ら れ る.
• 電 源
セ ン サ ノ ー ド は,電 源 の 確 保 が 難 し い も し く は,メ ン テ ナ ン ス が 困 難 で あ る 場 所 に 配 置 さ れ る こ と が 想 定 さ れ る. そ の 際, メ ン テ ナ ン ス 負 荷 を 軽 減 さ せ る た め, 電 源 の 寿 命 が 長 期 稼 働 に 耐 え る う る も の で な く て は な ら な い. そ の た め,設 置 す る だ け で 使 え る よ う 効 率 の 良 い 二 次 電 池 や 燃 料 電 池 を 利 用 す る こ と が 必 要 と な る. ま た, 太 陽 電 池 な ど を 用 い た 自 立 発 電 を 行 う エ ナ ジ ー ハ ー
ベ ス ティン グ 型 の 充 電 や,電 磁 波 と し て 電 力 を 供 給 す る マ イ ク ロ 波 給 電 な ど が あ る [12–15].
• 小 型 化,低 価 格 化 技 術
様々な 場 所 に セ ン サ ノ ー ド を 設 置 す る た め に は 小 型 化 が 求 め ら れ る. ま た,セ ン サ や 無 線 モ ジュー ル の 小 型 化 に よ り,低 価 格 化 に なって き て い る. そ の た め, 1つ の デ バ イ ス に 複 数 の セ ン サ を 用 い た 多 く の セ ン サ デ バ イ ス を 使 用 す る こ と で 広 範 囲 の 情 報 が 収 集 で き る セ ン サ ネット ワ ー ク が 構 築 で き,同 時 に 複 数 の 情 報 を 収 集 す る こ と が 可 能 と な る[16].
2.3.2 通 信 技 術
無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク に は, 低 消 費 電 力 で 柔 軟 な ネット ワ ー ク を 構 築 で き, ノ イ ズ に 強 く,通 信 内 容 を 暗 号 化 で き る セ キュリ ティが 必 要 で あ る [17–19].
• 無 線 通 信 技 術
セ ン サ ネット ワ ー ク は,通 信 頻 度 や 通 信 量 は 少 な い こ と が 多 い.そ の た め, 表 2.1 に 示 す よ う な 低 速 で 消 費 電 力 が 小 さ い も の が 用 い ら れ る.
表2.1 セ ン サ ネット ワ ー ク の 通 信 方 式 方 式 名 称 ZigBee Bluetooth 高 速 無 線PAN
UWB
低 速 無 線 PAN 規 格 IEEE802.15.4 IEEE802.15.1 IEEE802.15.3a IEEE802.15.4a 伝 送 速 度 250Kbps 1Mbps 480Mbps 数 十 Kbps以 上 利 用 周 波 数
帯 域
2.4GHz (868MHz) (915MHz)
2.4GHz 3.1GHz
∼10.6GHz
2.4GHz 868MHz 915MHz 3.1GHz∼
10.6GHz 伝 送 距 離 10m∼75m 10m∼100m 10m(110Mbps)
4m(200Mbos) 10m以 上 消 費 電 力
( 通 信/待 機 )
<60mW
( 通 信 )
<120mW /4.2mW
<100mW
( 通 信 )
6.2mW
( 測 距,通 信 )
• ノ ー ド 制 御
第2 章 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク 7
セ ン サ ネット ワ ー ク に お い て, セ ン サ ノ ー ド を 設 置 す る だ け で 自 律 的 に ル ー ティン グ を 行 い,ネット ワ ー ク の 構 築 と セ ン シ ン グ を 行 う こ と が 求 め ら れ る. ま た, セ ン サ ノ ー ド の セ ン シ ン グ デ ー タ が 位 置 情 報 と 環 境 情 報 を 明 確 に す る 必 要 が あ る. そ の た め, GPS デ バ イ ス を 用 い た セ ン サ ノ ー ド の 位 置 検 出 や RTC(Real Time Clock)を 用 い た ノ ー ド 同 士 で 時 間 同 期 さ せ る こ と で 情 報 の 精 度 を 高 め る 事 が で き る. し か し, GPSデ バ イ ス やRTCを 搭 載 す る こ と は セ ン サ ノ ー ド の サ イ ズ,消 費 電 力 の 増 大,高 価 格 化 に な る た め,現 実 的 で な い. そ の た め, 電 波 強 度 や 伝 搬 到 達 時 間 よ り, 時 刻 同 期 や 位 置 情 報 検 出 を 行 う 方 式 が 研 究 さ れ て い る [20–27]. ま た, セ ン サ ノ ー ド を 無 駄 な く 配 置 す る 最 適 な ノ ー ド 配 置 や 多 数 の セ ン サ ノ ー ド を 管 理 す る こ と で 置 く 場 所 を 考 え る 必 要 が な く な り,冗 長 な ノ ー ド は ス リ ー プ 制 御 す る こ と が 必 要 と な る [28, 29].
• ネット ワ ー ク 制 御
セ ン サ ネット ワ ー ク は,ノ ー ド の 設 置 方 法 と し て,軍 事 目 的 や 防 災 な ど の た め 空 中 か ら 散 布 す る 場 合 や, 人 手 で 設 置 す る 場 合 ま で 様々な 方 法 が あ る. そ の 設 置 環 境 も, 屋 内, 屋 外, 地 下 な ど 多 様 な 場 所 に 設 置 さ れ る. こ の よ う な 設 置 方 法,環 境 に 対 応 す る た め に セ ン サ ノ ー ド が 設 置 す る だ け で 自 律 的 に セ ン サ ネット ワ ー ク を 構 築 す る こ と が 必 要 と な る. そ の た め,セ ン サ ネット ワ ー ク で は モ バ イ ル ア ド ホック ネット ワ ー ク 技 術 が 用 い ら れ る. モ バ イ ル ア ド ホック ネット ワ ー ク(MANET:Mobile Ad Hoc Network)は,通 信 機 能 を 有 す る ノ ー ド の 集 ま り で あ り,基 地 局 や 無 線LAN の ア ク セ ス ポ イ ン ト な ど に 依 存 せ ず, ノ ー ド の み に よって 相 互 の 通 信 を 行 う 技 術 で あ る. ノ ー ド は バ ケ ツ リ レ ー の よ う に マ ル チ ホップ で デ ー タ を 転 送 を 行 う の で,電 波 が 届 か ず 直 接 デ ー タ を 交 換 で き な い ノ ー ド 間 で も 途 中 の ノ ー ド が 中 継 の 役 割 を 担 う こ と で,広 範 囲 の 通 信 を 行 う こ と が で き る. ま た,大 規 模 セ ン サ ネット ワ ー ク で は,各 ノ ー ド に お け る ソ フ ト ウェア の 書 き 換 え・更 新 を 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク を 介 し て 行 い, 重 要 情 報 の 送 受 信 に 関 し て は ル ー ティン グ 情 報 を 一 緒 に 格 納 し て お く と こ で 送 受 信 の 確 実 化 と セ キュリ ティ強 化 を 行 う 技 術 も あ る. し か し,ノ ー ド 移 動 に 伴 う ネット ワ ー ク ト ポ ロ ジ ー や 伝 送 品 質 の 急 激 な 変 化,利 用 可 能 な 周 波 数 帯 域 の 限 界,バッテ リ に 依 存 す る ノ ー ド の 電 力 消 費 の 制 約 と いった 課 題 が あ る.
• デ ー タ 収 集 技 術
セ ン サ ノ ー ド の 情 報 は, 温 度, 湿 度 な ど の よ う に 一 定 間 隔 ご と に 発 生 さ れ る 場 合 と, 警 報 や 異 常 値 の よ う に 不 定 期 に 発 生 さ れ る 場 合 が あ る. 定 期 的 に 発 信 さ れ る 情 報 に つ い て は,セ ン サ ノ ー ド は デ ー タ を 中 継 す る 際 に 情 報 を 追 加 し つ つ 転 送 す る こ と が 必 要 と な る. 例 え ば,図2.1に 示 す ク ラ ス タ リ ン グ 方 式 で は ネット ワ ー ク 内 を 複 数 の ク ラ ス タ に わ け, 各 ク ラ ス タ で ク ラ ス タ ヘッド と 呼 ば れ る ノ ー ド に ク ラ ス タ 内 の ノ ー ド の デ ー タ を 収 集 し,ク ラ ス タ ヘッド が ま と め て デ ー タ の 転 送 を 行 う 方 法 な ど の 研 究 が な さ れ て い る[32–35]. こ れ に よ り 効 率 の 良 い デ ー タ 収 集 が 可 能 で あ る. 一 方,警 報 の よ う な イ ベ ン ト 的 な 情 報 に つ い て は,決 め ら れ た 時 間 内 に そ の デ ー タ を セ ン タ ま で 通 知 し た り, 大 量 に 警 報 が 発 生 し た 際 の 対 処 方 法 な ど の 研 究 が さ れ て い る [36, 37].
2015/1/27
1 シンクノード
クラスタヘッド
センサノード
図2.1ク ラ ス タ リ ン グ
• デ ー タ 分 析 技 術
セ ン サ で 検 知 し た 人 や モ ノ の 動 き や,温 度 な ど の 変 化 と いった,大 量 に 蓄 積 さ
第2 章 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク 9
れ る デ ー タ か ら そ の 意 味 を 分 析 す る 技 術 も 重 要 で あ る[38]. ま た,分 析 結 果 に 基 づ い て, 利 用 者 の 状 況 に 応 じ た 適 切 な 情 報 を 提 供 し た り, 機 器 の 制 御 を 行 う こ と も 必 要 で あ る.
• 通 信 タ イ ミ ン グ 制 御 技 術
膨 大 な デ ー タ の 通 信 を 行 う セ ン サ ネット ワ ー ク で は,不 定 期 に 発 生 す る 通 信 要 求 を, 互 い に 干 渉 な く 制 御 す る 技 術 が 必 要 で あ る. 各 ノ ー ド の 通 信 す る タ イ ミ ン グ を 事 前 に ス ケ ジュー リ ン グ す る 方 式 と し て, TDMA(Time Division Multiple Access) が 一 般 的 で あ る. TDMAで は,複 数 の 信 号 を 同 一 周 波 数 帯 で 共 有 す る た め 帯 域 を 利 用 す る 時 間 を タ イ ム ス ロット と い う 区 間 に 分 割 し, タ イ ム ス ロット ご と に 各 ノ ー ド の 通 信 機 会 を 割 り 当 て る. こ れ に よ り,混 信 を 回 避 し,帯 域 を 有 効 利 用 す る こ と が で き る. さ ら に,通 信 機 会 が 割 り 当 て ら れ て い な い 期 間 に お い て は セ ン サ ノ ー ド を 通 信 を 行 わ な い ス リ ー プ 状 態 に す る こ と で 省 電 力 化 も 見 込 め る. ま た,無 線 通 信 で は 衝 突 を 検 出 で き な い. そ の た め, CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance) と い う 方 式 が あ る. CSMA/CAは,通 信 開 始 前 に 現 在 通 信 を 行って い る ノ ー ド が い な い か 確 認 す る Carrier Sense(CS)を 行 い,い な い 場 合 は 通 信 を 開 始 す る. 通 信 し て い る ノ ー ド が い る 場 合, ラ ン ダ ム な 時 間 だ け 待 機 し て か ら 通 信 を 開 始 す る. こ れ に よ り,衝 突 を 回 避 す る.
2.3.3 ア プ リ ケ ー ション 技 術
セ ン サ ネット ワ ー ク を 用 い た ア プ リ ケ ー ション に は,定 期 観 測 型 と イ ベ ン ト 駆 動 型 の 2 つ に 分 類 す る こ と が で き る.
• 定 期 観 測 型
定 期 観 測 型 は 分 散 配 置 し た セ ン サ ノ ー ド が 定 期 的 に 観 測 情 報 を セ ン サ か ら 取 得 し,情 報 収 集 用 で あ る シ ン ク ノ ー ド に 向 け て デ ー タ を 送 信・転 送 す る. こ れ に よ り,従 来 の 測 定 器 を 用 い て 人 が 定 期 的 に 測 定 す る 必 要 が な く な る. 定 期 観 測 型 で は, 気 温 な ど の 環 境 モ ニ タ リ ン グ, 電 気 な ど の 家 庭 イ ン フ ラ の 自 動 検 診 な ど の が あ る. [39–41].
• イ ベ ン ト 駆 動 型
イ ベ ン ト 駆 動 型 は,機 器 な ど に 設 置 さ れ た セ ン サ ノ ー ド が 情 報 を 取 得 し,特 定 の 情 報 を 検 知 も し く は,観 測 値 が 一 定 の 値 を 超 え た り 下 回った り し た 場 合 に そ れ を 通 知 す る. ま た, 検 知 し た 情 報 を 基 に 連 携 機 器 を 制 御 さ せ る も の も あ る. 応 用 例 と し て は,火 災,防 犯,放 射 線,地 震 検 知 な ど を 検 知 し て, Eメ ー ル な ど で 利 用 者 に 通 知 す る シ ス テ ム や,照 度 セ ン サ や 温 度 セ ン サ な ど の 情 報 を 基 に 照 明・エ ア コ ン 等 の 機 器 を 制 御・管 理 す る ア プ リ ケ ー ション 等 が あ る[42–44].
第2 章 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク 11
2.4 省 電 力 化 に 関 す る 既 存 研 究
セ ン サ ネット ワ ー ク は,多 く の セ ン サ ノ ー ド か ら 構 成 さ れ,メ ン テ ナ ン ス 面 を 考 え,バッテ リ 駆 動 で あ る こ と が 想 定 さ れ る. し か し,バッテ リ を 交 換 す る に は 膨 大 な コ ス ト が 必 要 と な り,設 置 場 所 に よって は メ ン テ ナ ン ス が 困 難 と な る 場 合 が あ る. ま た, セ ン サ ネット ワ ー ク は 多 く の ア プ リ ケ ー ション に お い て, 環 境 観 測 な ど の 目 的 の た め,長 期 稼 働 が 要 求 さ れ る. そ の た め,セ ン サ ネット ワ ー ク の 寿 命 を 延 長 さ せ る た め,セ ン サ ノ ー ド の 消 費 電 力 を 削 減 す る こ と が 重 要 な 課 題 と な る. セ ン サ ノ ー ド は, デ ー タ の 送 受 信 を 行 わ な い 場 合 で も ノ ー ド 自 身 が 送 受 信 可 能 な ア ク ティブ 状 態 で あ れ ば 余 分 な 電 力 を 消 費 す る こ と と な る. そ こ で,通 信 す る 期 間 が 比 較 的 短 い セ ン サ ネット ワ ー ク に お い て は 通 信 を 行 わ な い 期 間 は, 送 受 信 不 可 で あ る が 消 費 電 力 が 小 さ く な る ス リ ー プ 状 態 に な る こ と で 寿 命 を 延 長 さ せ る こ と が で き る. こ の よ う に,チャネ ル の 状 態 や ノ ー ド に 応 じ て, チャネ ル ア ク セ ス を 制 御 す る ア ク セ ス 制 御 プ ロ ト コ ル を 用 い て 省 電 力 が 可 能 と な る. ま た,通 信 経 路 を 制 御 す る こ と で 省 電 力 化,セ ン サ ネット ワ ー ク の 寿 命 延 長 を 図 る 経 路 制 御 プ ロ ト コ ル が あ る. 例 え ば, パ ケット を シ ン ク ノ ー ド ま で 転 送 す る 消 費 電 力 が 最 小 と な る 経 路 を 選 択 す る 方 式 や,ノ ー ド の バッテ リ 残 量 や 位 置 情 報,通 信 成 功 率 な ど を 基 に 経 路 を 選 択 す る 方 式 な ど が あ る. ま た,ノ ー ド が 移 動 し た り バッテ リ 残 量 が な く な る な ど で ト ポ ロ ジ が 変 化 し た 場 合 の ト ポ ロ ジ 制 御 に お い て も 効 率 よ く 再 構 築 を 行 う こ と で 省 電 力 化 が 可 能 と な る. 最 初 に,ア ク セ ス 制 御 プ ロ ト コ ル,経 路 制 御 プ ロ ト コ ル の 概 要 に つ い て 述 べ る.
2.4.1 ア ク セ ス 制 御 プ ロ ト コ ル
ア ク セ ス 制 御 プ ロ ト コ ル に は,コ ン テ ン ション 方 式 と ス ケ ジュー リ ン グ 方 式 が あ る. ス ケ ジュー リ ン グ 方 式 は, TDMAの よ う に 通 信 期 間 を タ イ ム ス ロット で 予 め 決 定 し,各 ノ ー ド に 割 り 当 て る 方 式 で あ る[45, 46]. こ れ に よ り,パ ケット 衝 突 が 発 生 し に く く な る. し か し,タ イ ム ス ロット を 用 い て 通 信 を 行 う た め 高 精 度 な 時 刻 同 期 が 必 要 と な る. ま た,適 切 な タ イ ム ス ロット 数 に 分 割 す る た め に セ ン サ ネット ワ ー ク 全 体 の ノ ー ド 数 の 把 握 が 必 要 と な り,ノ ー ド の 追 加 や 退 去 に よって も タ イ ム ス ロッ ト の 再 割 当 や フ レ ー ム サ イ ズ の 再 編 成 が 必 要 に な る. コ ン テ ン ション 方 式 は,他 の
ノ ー ド が 通 信 し て い な い こ と を 確 認 し て, 通 信 し て い な い こ と を 確 認 し た ら デ ー タ を 送 信 す る 方 式 で あ る[47]. そ の た め,ス ケ ー ラ ビ リ ティの 点 で は ス ケ ジュー リ ン グ 方 式 よ り 優 れ て い る. し か し,ノ ー ド が 送 受 信 し て い な い 場 合 で も い つ デ ー タ が 受 信 で き る か 監 視 す る 必 要 が あ る た め, デ バ イ ス を 通 信 待 機 状 態 に し な け れ ば な ら な く な り, 消 費 電 力 が 増 大 し て し ま う. そ の た め,ど の よ う に ノ ー ド 自 身 が 通 信 を 行 わ な い 期 間 を 判 断 し,ス リ ー プ 状 態 に 移 行 す る こ と で 省 電 力 化 を 図 る こ と が で き る の か が 課 題 と な る. コ ン テ ン ション 方 式 の 代 表 例 と し てS-MAC, B-MAC [48], X-MAC [49], SA-MAC [50]な ど が あ り,こ れ ら の 概 要 を 以 下 に 示 す.
• S-MAC
S-MAC(Sensor MAC)で は 各 ノ ー ド は 周 期 的 に リッス ン 状 態 と ス リ ー プ 状 態 を 繰 り 返 す こ と に よ り,消 費 電 力 を 削 減 す る. リッス ン 状 態 で は,ノ ー ド の 無 線 が 稼 働 し て い る 状 態 で 通 信 路 が 使 用 中 か ど う か を 判 定 す る た め に,伝 送 波 の 検 知 を 行 う. ス リ ー プ 状 態 で は,ノ ー ド の 無 線 回 路 を 切 る こ と で ス リ ー プ 状 態 と な り 電 波 の 送 受 信 を 停 止 し,次 の リッス ン 状 態 ま で の タ イ マ ー を 設 定 す る. 図2.2にS-MAC の 動 作 を 示 す. ま ず,ノ ー ド は ス ケ ジュー ル を 決 め る た め 隣 接 ノ ー ド の ス ケ ジュー ル の 受 信 を 試 み,受 信 で き な け れ ば 自 身 で ス ケ ジュー ル を 自 律 的 に 作 成 す る. リッス ン 状 態 に は, 同 期 期 間 と デ ー タ 期 間 に 分 か れ て い る. 同 期 期 間 は,同 期 パ ケット を ブ ロ ー ド キャス ト す る こ と で, 近 傍 ノ ー ド に 自 身 の ス ケ ジュー ル を 通 知 し, 受 信 し た ノ ー ド は 自 身 の ス ケ ジュー ル を 送 信 元 に 合 わ せ る こ と で, 同 期 さ せ る こ と が 可 能 と な る. S-MACで は 複 数 の ノ ー ド に よ る 通 信 路 の 競 合 を 解 決 す る た め に, CSMAに 基 づ く メ ディア ア ク セ ス 方 式 を 用 い る. こ の 方 式 で は, RTS(Request To Send)/CTS(Clear To Send) パ ケット を 用 い て 通 信 路 の 予 約 を 行 う. RTSま た はCTSを オ ー バ ヒ ア リ ン グ し た ノ ー ド は NAV(Network Allocation Vector) の 値 に 基 づ き,他 ノ ー ド の 通 信 期 間 に ス リ ー プ 状 態 と な る. こ れ に よ り,リッス ン 状 態 を 継 続 し た 場 合 に 比 べ て,消 費 電 力 を 削 減 で き る. さ ら に,リッス ン 期 間 と ス リ ー プ 期 間 の 長 さ を 決 め る と,期 間 長 の 比 で デュー ティ比 が 一 律 に 決 定 さ れ る た め,通 信 負 荷 が ノ ー ド 毎 に 異 なって も 電 池 寿 命 の 差 が 現 れ に く い.
第2 章 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク 13 ϮϬϭϱͬϭͬϮϬ
ϭ time
Listen Listen
Frame interval
Sleep
Time SYNC Data Communication
Rx
Tx CS
SYNC
SYNC CS RTS
CTS
DATA
ACK
Sleep
図2.2 S-MACの 動 作
• B-MAC
B-MAC は, セ ン サ ノ ー ド は 一 定 の 動 作 周 期 毎 に 数 ミ リ 秒 間 無 線 デ バ イ ス を ア ク ティブ 状 態 に し,そ れ 以 外 で は ス リ ー プ 状 態 を と る 動 作 を 基 本 と し て い る. 図2.3に 動 作 を 示 す. ア ク ティブ 時 に は キャリ ア セ ン ス を 行 い,信 号 の 有 無 を 判 定 す る. チャネ ル が 使 用 中 で あ れ ば,ア ク ティブ 状 態 の ま ま プ リ ア ン ブ ル に 続 く デ ー タ パ ケット の 受 信 を 待 ち, チャネ ル が 使 用 さ れ て い な け れ ば 再 び ス リ ー プ 状 態 に 戻 る. パ ケット の 受 信 を 待 つ 場 合 は,パ ケット を 正 し く 受 信 す る か,タ イ ム ア ウ ト す る ま で 待った 後 に ス リ ー プ 状 態 に 戻 る. こ れ に 対 し て 送 信 側 ノ ー ド は 動 作 周 期 以 上 の 長 さ の プ リ ア ン ブ ル を つ け て パ ケット を 送 信 す る. 受 信 ノ ー ド は 動 作 周 期 ご と に 必 ず チャネ ル を チェック し て い る た め, 送 信 元 が プ リ ア ン ブ ル 送 信 を し て い る 間 に パ ケット 受 信 待 機 状 態 に 移 行 す る こ と が で き,プ リ ア ン プ ル の 後 の デ ー タ を 受 信 す る こ と が 可 能 に な る.
│ │ │ │
4
・
動作周期 受信時間延長 受信可能ノードA
受信可能ノードB
送信ノード
送信要求発生
プリアンブル送信開始 データ送信
ACK送信
図 2.3 B-MACの 動 作
• X-MAC
X-MAC はB-MACの 方 式 を 拡 張 し た も の で あ る. そ の 動 作 を 図2.4に 示 す. プ リ ア ン ブ ル を 短 冊 状 に 短 い ス ト ロ ー ブ の 列 と し,各 ス ト ロ ー ブ の 中 に 宛 先 ア ド レ ス を 含 む 制 御 パ ケット を 送 信 す る. 受 信 ノ ー ド は ア ク ティブ 状 態 に 移 行 後, ス ト ロ ー ブ の 宛 先 ア ド レ ス を 確 認 す る. 宛 先 が 自 身 の ノ ー ド で な け れ ば ス リ ー プ 状 態 へ 移 行 す る. 自 身 の ノ ー ド で あ れ ば 送 信 ノ ー ド へ ACK(確 認 応 答) を 送 信 す る. 送 信 元 ノ ー ド は ACK を 受 信 す る と デ ー タ 送 信 を 開 始 す る. こ れ に よ り, 送 信 先 か ら の 応 答 が あ る ま で ウェイ ク アップ 要 求 を 送 信 す れ ば よ い た め,送 信 時 に 必 ず 動 作 周 期 以 上 の プ リ ア ン ブ ル の 送 信 が 必 要 な 問 題 を 改 善 す る. さ ら に, ア ド レ ス 情 報 か ら 受 信 に 関 係 な い ノ ー ド は ス リ ー プ 状 態 に 移 行 す る こ と で, 1ホップ 内 に 存 在 す る 送 信 先 以 外 の ノ ー ド を ア ク ティブ 状 態 に さ せ て し ま う 問 題 を 解 決 し て い る.
• SA-MAC
SA-MAC は,無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク の た め の 自 己 安 定 適 応MACプ ロ ト コ ル
第2 章 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク 15
アクティブ 受信側
送信側
スリープ
データ
送信パケット発生
ウェイクアップ要求
ウェイクアップ応答 確認応答
図2.4 X-MACの 動 作
で あ る. こ の プ ロ ト コ ル で は,動 的 に 送 信 タ イ ム ス ロット,ウェイ ク アップ タ イ ム ス ロット,パ ケット 長 お よ び 隣 接 ノ ー ド の ウェイ ク アップ パ タ ー ン と し て,現 在 の ネット ワ ー ク の 条 件 に よ る パ ケット 検 出 パ タ ー ン を 調 整 す る.長 期 的 に, ネット ワ ー ク 負 荷 と 資 質 が 静 的 で あ る と き, ネット ワ ー ク が 安 定 し た 段 階 に 入 る よ う に,す べ て の セ ン サ ノ ー ド は,自 身 の 送 信 期 間 を 見 つ け る.こ れ に よ り 適 切 な タ イ ム ス ロット を 使 用 で き,消 費 電 力 が 削 減 で き る.
ス ケ ジュー リ ン グ 方 式 の 代 表 的 な も の と し てLEACH [51], TRAMA [52], LMAC [53] な ど が あ る.
• LEACH
LEACH(Low Energy Adaptive Clustering Hierarchy) は, TDMA を セ ン サ ネット ワ ー ク に 適 応 さ せ た 方 式 で あ る. ネット ワ ー ク 内 で ク ラ ス タ リ ン グ を 行 い, 各 ノ ー ド は 割 り 当 て ら れ た ク ラ ス タ ヘッド に 対 し て TDMAで デ ー タ 通 信 を 行 う. ク ラ ス タ と は, 全 ノ ー ド の 部 分 集 合 で あ る. ク ラ ス タ ヘッド は, ク ラ ス タ ヘッド は 離 れ た シ ン ク ノ ー ド に 対 し て, ク ラ ス タ 内 の ノ ー ド か ら 受 信 し た
デ ー タ を ま と め て 送 信 す る 役 割 を 担 う. 各 ノ ー ド は, TDMAを 用 い て い る た め,割 り 当 て ら れ た タ イ ム ス ロット 以 外 で は ス リ ー プ 状 態 に 移 行 す る こ と が で き る.
• TRAMA
TRAMA(Traffic Adaptive Medium Access) は TDMA方 式 を ベ ー ス と し た も の で あ る. TRAMAで は,各 ノ ー ド が 自 身 か ら 2 ホップ の 範 囲 内 に 存 在 す る 近 隣 ノ ー ド の ト ポ ロ ジ ー 情 報 を 把 握 し,各 ス ロット に お け る 近 隣 ノ ー ド の 優 先 順 位 を つ け る. こ れ に よ り 送 信 ノ ー ド,受 信 ノ ー ド が 決 定 さ れ,そ れ 以 外 の ノ ー ド は ス リ ー プ 状 態 に 移 行 す る こ と が で き る. ま た,定 期 的 に ト ラ ヒック 情 報 を 交 換 す る こ と に よって 動 的 に ス ロット の 変 更 を 行って い る.
• LMAC
LMACはTDMAベ ー ス の 方 式 で あ る. 各 時 間 ス ロット で は 事 前 に 決 め ら れ た 制 御 ノ ー ド の み が デ ー タ を 送 信 可 能 と す る. ま た,ネット ワ ー ク で 必 要 な タ イ ム ス ロット の 数 を 制 限 す る た め, 電 波 の 非 干 渉 距 離 に お い て タ イ ム ス ロット を 再 利 用 す る こ と が で き る. 制 御 ノ ー ド は ス ロット の 開 始 時 に 受 信 ノ ー ド 一 覧 を 送 信 し,こ れ に 該 当 し な い ノ ー ド は ス リ ー プ 状 態 と な る こ と が で き る.
2.4.2 経 路 制 御 プ ロ ト コ ル
経 路 制 御 プ ロ ト コ ル は 大 き く 分 け て フ ラット 型,階 層 型,位 置 情 報 型 の 3 つ が あ る. フ ラット 型 で は 一 般 的 に す べ て の ノ ー ド が,同 じ 規 則 に 従って 動 作 す る. そ れ に 対 し て 階 層 型 で は ネット ワ ー ク 内 に 異 な る 規 則 で 動 作 す る ノ ー ド が 存 在 す る. ま た,位 置 情 報 型 は 位 置 情 報 を 用 い て 経 路 制 御 を 行 う 方 法 で あ る.
フ ラット 型 の 代 表 例 と し て SPIN [54], Directed diffusion [55]な ど が あ る.
• SPIN
SPIN(Sensor Protocols for Information via Negotiation) は,セ ン サ ノ ー ド が 取 得 し た デ ー タ を 近 隣 の ノ ー ド に ブ ロ ー ド キャス ト す る 際 の 消 費 電 力 の 最 小 化 を 目 的 と し て い る. 図2.5に 動 作 を 示 す.マ ル チ ホップ 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク
第2 章 無 線 セ ン サ ネット ワ ー ク 17
に お い て デ ー タ を ブ ロ ー ド キャス ト す る と, 異 な る 経 路 を 通って 同 じ デ ー タ を 受 信 す る ノ ー ド や 複 数 の セ ン サ か ら 同 じ デ ー タ を 受 信 す る 可 能 性 が あ る. デ ー タ の 送 受 信 に は 電 力 が 消 費 さ れ る た め,冗 長 な 通 信 を 避 け る こ と が 重 要 と な る. SPINで は,デ ー タ 送 信 を 行 う ノ ー ドSが,デ ー タ を ブ ロ ー ド キャス ト す る 前 に 何 の デ ー タ か と い う 情 報 で あ るADV(メ タ デ ー タ)を 送 信 す る. 受 信 し た ノ ー ド は,必 要 な デ ー タ で あ る の か 判 断 し,必 要 で あ れ ばREQ(デ ー タ 要 求 の メッセ ー ジ) を 送 信 し て デ ー タ を 送って も ら う. こ れ に よ り, 要 求 さ れ た ノ ー ド に の み 送 信 す る こ と が 可 能 と な る. ま た,メ タ デ ー タ は,実 際 の デ ー タ よ り も デ ー タ 量 が 小 さ い た め デ ー タ 量 が 比 較 的 大 き な 状 況 に お い て は 消 費 電 力 を 減 少 さ せ る こ と が 可 能 と な る.
2015/1/27
1 44 55
33
22 11
44 55 33
22 11
44 55 33
22 11
44 55 33
22 11
44 55 33
22 11
44 55 33
22 11
(a) (b) (c)
(d) (e) (f)
SS SS SS
SS SS SS
図2.5 SPINの 動 作
• Directed Diffusion
Directed Diffusionは,ロ ー カ ル ス ト レ ー ジ 方 式 を 採 用 し て い る. ロ ー カ ル ス ト
レ ー ジ 方 式 と は,セ ン サ か ら 取 得 し た デ ー タ を ノ ー ド が 内 部 に 保 持 し,シ ン ク ノ ー ド か ら の 要 求 に 応 じ て デ ー タ を 送 信 す る 方 式 で あ る. そ の 動 作 を 図2.6 に 示 す. ま ず, シ ン ク ノ ー ド が フ ラッディン グ に よ り, ネット ワ ー ク 内 の ノ ー ド に ク エ リ を 送 信 す る. ク エ リ に 該 当 す る デ ー タ を 保 持 し て い る ノ ー ド が シ ン ク ノ ー ド に 向 け て 送 信 す る. ま た,ク エ リ の 送 信 処 理 を 効 率 化 す る た め,各 ノ ー ド を デ ー タ の 条 件 や 収 集 間 隔, 期 間 な ど で 名 前 付 け し, そ れ を 利 用 し て 通 信 経 路 を 決 定 す る.
Sink Interests Source
(a)Interest propagation Event
Sink Gradients Source
(b)Initial gradients set up Event
Sink Source
(c)Data delivery along reinforced path Event
図2.6 Directed Diffusion の 動 作
階 層 型 の 代 表 的 な も の と し て は, LEACH [51], HEED [56], PRRP [57], BN-LEACH [58]な ど が あ る.
• LEACH
LEACH は ア ク セ ス 制 御 プ ロ ト コ ル の 例 と し て 挙 げ た が, ク ラ ス タ リ ン グ 方 式 を 用 い た 階 層 型 の プ ロ ト コ ル で あ る. 定 期 的 に ノ ー ド 自 身 が ク ラ ス タ ヘッ ド に な る の か 判 断 す る. そ う す る こ と で 特 定 の ノ ー ド が ク ラ ス タ ヘッド に な る の で は な く,各 ノ ー ド が 均 一 に ク ラ ス タ ヘッド の 役 割 を 担 い,特 定 の ノ ー ド だ け が 通 信 負 荷 が 大 き く な り,消 費 電 力 が 多 く な る こ と を 避 け る こ と が で き る. 図 2.7に ど の よ う な ク ラ ス タ に なって い く の か 例 を 示 す. ク ラ ス タ ヘッド