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早川幸子

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Academic year: 2021

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(1)

ー金沢大学留学生についての調査から-

早川幸子

0.はじめに

留学生対象の曰本語教育の最終目標は大学での学業・研究活動に必要な日本語能力をつけること である。1992年に札野らが金沢大学の留学生・指導教官らを対象に実施した「留学生に関する調 査」によると,留学生も指導教官も「講義を開く能力」をもっとも必要な能力としている。これは 留学生の聴解能力を限られた時間で効果的に高めることが留学生対象の曰本語教育の最大の課題で

あることを示している。

昨年,筆者らは金沢大学で実際に収録した講義の語彙および談話要素について調査・分析を行っ た。講義は書きことば的性格の内容を音声によって伝えるという性格から,講義を聞くストラテ ジーとして,フィラーなど,内容とあまり関係のない要素を適当に聞き流しながら,キーワードと なる語彙や論理関係を示す接続詞に注目しながら内容を聞き取っていくことが必要であることがわ かった。しかし講義を聞く第一の目的は講義の内容そのものを正確に聞き取り理解することである。

講義を聞いて内容を理解することはどのようなメカニズムで行なわれるのか。また留学生が講義内 容を正しく聞き取り,理解できる能力を身につけるにはどのように指導すればよいかということが もっとも興味あるところであるが,それを探る手立てとして,本稿では留学生が実際に日本語をど のように聞き取り,どのように理解に結びつけているかを調査し,その結果を分析した。

1.調査の目的

音声言語を聞き取り理解するプロセスは,①単音を知覚する,②単音の連続を意味のある単位に 分ける,③それぞれの単位を既知の語彙リストと照合し意味解釈を与える,の3レベルからなり,

それぞれのレベルで文法知識,言語以外の知識,予測能力などが関与し,最終的に全体の内容理解

にいたると考えられる。

これらの要素のうち,本稿では①の単音の知覚と③の単語の意味理解をとり上げ,次の3項目に

ついて調査した。

(1)単音をどのように知覚しているか。

(2)聞き取った音をどのように意味に結びつけているか。

(3)(1),(2)が最終的に内容の理解にどのように貢献しているか

(4)(1),(2),(3)は漢字圏・非漢字圏の別,レベルによって違いが見られるか。

25-

(2)

2.調査の概要 2-1対象

初級,中級,上級の各レベルの留学生 2-2聞き取り材料

聴解1-初級前期の学生を対象に,初級用読承教材をテープ化した屯の 聴解Ⅱ-初級後期の学生を対象に,聞き取り教材「毎日の聞き取り」より 聴解mV-中級を対象に,NHKニュース

聴解Ⅳ,Ⅵ-中・上級を対象に,NHKニュース 2-3調査の方法

(1)聞き取り材料のテープを適当に止めながら聞かせ,ひらがな,カタカナ,数字で聴写させる。

(2)キーワードを指定し,その意味を英語または漢字で書かせる。

(3)内容の把握を確認するためのクイズを与える。

3.データの集計 (1)音の知覚に関するもの

①各聞き取り材料を文節に分け,表記の誤り,すなわち音を正しく知覚できなかった文節数を 数える。ここでは(2)の項目でとれない誤りの糸を取り上げる。以下「表記の誤り」は清濁,

長音,促音,勤音,助詞の誤り以外の音の誤りを指すものとする。

②清濁,長音,促音,勤音の誤りを教える。

③助詞の脱落,誤りを数える

・聞き違いは次の例のように数える。

「りょうどうした(りょこうした)」は長音の誤り1,清濁の誤り1

「ふくさいようが(ふくざようは)」は表記の誤り1,助詞の誤り1

④音の知覚の誤り,①,②,③を合計する (2)単語の意味の理解に関するもの

①キーワードを漢語,和語,外来語に分類し,それぞれの意味についての正答数から次のよう に「正答率」を出す。

「正%」は正答数÷キーワード数

「漢正%」は漢語キーワードの正答数÷漢語キーワード数

「和正%」は和語キーワードの正答数÷和語キーワード数

「外正%」は外来語キーワードの正答数÷外来語キーワード数

②各キーワードについての音の知覚と意味理解との関係に注目して,キーワードを次の4種類 に分類した。表のA,B,C,Dは次の数字を示す。

A音の知覚も,意味も正しいもの÷キーワード数

26

(3)

音は正しく知覚しているが,意味が取れていいないもの÷キーワード数 音の知覚は誤っているが,意味が取れているもの÷キーワード数 音の知覚も,意味も誤っているもの÷キーワード数

内容の把握に関するあの クイズの得点を数える

Bc,

(3)

4.分析 4-1音の知覚の誤り

4-1-1表記の通り(清濁,長音,促音,勧音の誤りを除く)

母音の聞き違いは,母音の四角形の上で隣り合う母音(a-e),(a-o),(o-u)の間の糸 に見られ,(a-u),(o-i)間の聞き違いはなかった。舌の位置が離れている母音の間の聞き違 いは起こりにくいことを示している。母語の聞き違いには,(o-u)(a-o)のように学習者の 母語の別なく共通に見られるもの,(ai-ei)のように中国語話者に見られるものとあった。

子音の聞き違いのうち,(n-g)(r-n)(g-d)(ch-ky)(h-k)は中国語話者に,

(sh-ch)はタイ語話者に特徴的に見られ,(sh-h)(t-k)は母語に関係なく共通に見

られた。

その他次のような特殊な誤りもあった。

後続句の誤り

重なります→重ねております

ご注意ください→ご注意してください

→注意したほうがいいです。

同じ意味の要素の置き換え

警察当局→けいざつぼんぶ

このような誤りは,単音の聞き違いではなく,いったん単語の意味を理解した上で同じ意味の要 素に置き換え,それを表記したもので,中・上級の承に見られる誤りである。中上級では単音より 上の単位に注目した聞き方をしていることがわかる。

4-1-2情音と濁音の誤り

一般的に中国語話者に非常に多い誤りで,中国語に有声音と無声音の音韻論的対立がないため,

清音と濁音の区別ができないことによるものであるが,今回の調査でもこの傾向は明らかだった。

どのレベルでも一様に見られるが,個人差も大きい。この個人差はどのレベルでもかなり見られる が,耳の善し悪し,学習効果の差,あるいは母語の方言の差などいろいろな要因が考えられる。上 級レベルでは清音・濁音の誤りがかなり多い学生,少ない学生の両極に分かれている。学習の課程 で,清濁の区別を習得したものもある一方,母語の耳と発音をそのまま持ち続けているものもいる

ことを示している。

4-1-3長音,促音,勤音

27-

(4)

〈長音〉長音に関する誤りは,母語別では,中国語話者,英語話者に多く見られた。英語では強 いアクセントをもつ音節は長く発音される傾向があり,この傾向を日本語にも持ち込んだものと思 われる。これとは対照的にロシア語,ハンガリー語,トルコ語,スワヒリ語を母語とするものには 長音の誤りは全くなかった。レベルによる相違はほとんど見られない。

〈促音〉〈勤音〉促音)勤音に関する誤りもレベルによる相違は特にない。母語別でははっきりし た特徴はなかった。

4-1-4助詞

助詞に関する誤りは母語別に見ると,中国人に比較的多く,その他のものに比較的少かつた。誤 りの内容は助詞の脱落が多く,ついで別の助詞に置き換える誤りがあった。音の似ていない助詞

「が-を」「を-に」「で-に」の交替も見られた。これは文法的に交替の起こりやすい助詞で,文 法的知識の誤りに起因した誤りである。また,「~だけで」が「~でだけ」となるように,助詞の位 置を換えているものもあり,同じく文法的な知識が関わっている誤りと言える。レベル別に見る

と,初級ではほとんどなく,中上級で多い。

4-1-5音の知覚と誤りの合計

聞き取り材料によって総文節数が異なるので,他の聞き取り材料のものと数字を比較することは できないが,同じ材料について見ると,個人差はあるものの,一般的に漢字圏(中国人)の学生は 非漢字圏の学生に比べてきわめて高い数字である。非漢字圏の学生は全般的には低い数値であった が,聴解Ⅲでは,非漢字圏の学生のうち2人は音の知覚の合計の数値がきわめて高かった。

ここで音の知覚の誤りとして扱ったものは,正しく知覚していても表記の段階で誤ったという可 能'性もあるが,ほとんどは発音の誤りに起因すると思われる。音の知覚に関する誤りをレベル別 に見ると,中上級では,4-1-1にあげたような後続句の誤りや,同じ意味の要素で置き換える といった誤り,さらには助詞の誤りが目立つことが特徴的だった。このような誤りは言葉の意味や 文法知識が関係する誤りで,初級では見られなかった。このような現象は,初級では一つ一つの音 に重点を置いて聞く,いわゆるポトムアップの聞き取りをしており,単語あるいは文節も同じよう な音の連続として聞き取っているのに対して,中上級では音の連続を意味のある単位に区切りなが ら,さらに実質語と助詞を区別しており,トップダウンの聞き取りをしていることを示している。

4-2単語の意味の理解 4-2-1〔初級理解〕-聴解I

初級の早い時期に導入される単語は漢語,和語に関わらず大体正答となっている(例えは「雨が 降る」「風邪を引く」「元気」「慣れる」「結婚する」など)。しかし少し高度な単語,特に漢語(例え ば「招待する」「出席する」「洋式」「和式」など)は正答率が低い。この傾向は漢字圏の学生,非漢 字圏の学生に共通に見られる。日本語の漢語はほとんどの場合,中国語にも対応する語があるが,

このレベルの漢字圏の学生はこの対応を探り出す方策をまだ見い出していない。これは漢字圏の学 生のほとんどがキーワードの意味を中国語の漢字で書いていることを見ても明らかである。このレ ベルの学生は総じて,聞き取った音の承を頼りに既習の語彙リストから適当なものを探し出してく

-28-

(5)

るという作業をしていると考えられる。したがって,一般的に言われているように漢字圏の学習者 は漢語に強いという傾向は見られない。しかし,クラスの中で正答率の高い2人について見ると,

非漢字圏の学生(a)は漢語より和語の正答率の方が高く,漢字圏の学生(b)は漢語の方が正答率が高い。

また漢字圏の学生(b)はC(聞き違いにもかかわらず意味が正しいもの)の数値が高い。これらは初 級後期で見られる傾向と同じものである。

4-2-2〔初級後期〕聴解Ⅱ

正答率について見ると,非漢字圏の学生のうち中級レベルの能力のある学生(e)以外の2人は,漢 字圏の学生に比べて非常に低い。漢字圏の学生はこのレベルになると日本語の漢語が中国語のどん な語に対応するかが次第にわかるようになり,語彙力の点で非漢字圏の学生に差を付けるようにな る。正答率を漢語・和語別に見ると,漢字圏の学生は一様に漢語の正答率が高く,非漢字圏の学生 は一様に和語の正答率のほうが高くなっている。ABCDの種類別では,Bは非漢字圏で高く,漢 字圏で低い。cはその逆である。非漢字圏の学生は音を正しく知覚していても意味と結びつかない。

すなわち語彙力が不足している一方,漢字圏の学生は音を聞き違えた語彙の意味を正しく理解して いるということを示している。cは「音→意味」という聞き取りのプロセスでは説明できない現象 である。

4-2-3〔中級・上級〕聴解Ⅲ,Ⅳ,V,Ⅵ

正答率を見ると,どの聞き取り材料についても中級と上級では差が見られる。漢字圏,非漢字圏 の別で見ると,上級では漢字圏・非漢字圏の差がなくなり,中級ではほとんどの非漢字圏の学生は 正答率が漢字圏の学生と大体同じレベルになるが,きわめて低い学生のグループも見られ,非漢字 圏の学生は両極に分かれている。解答を見ると非漢字圏の学生でも漢字で意味を書いているものも 多い。また誤答についても同音異字をあてているものが見られ,漢字が音と意味を結ぶ媒介となっ ていることがわかる。

(例)たいりょう→体量(大量)()は正しいもの したじ→Letterswhichlaybelow(下地)

さんぱし→threebridge(桟橋)

し、ぶつ→遺物/以物/医部?(異物)

たんに→単に(漆に)

さいようきゅう(さいじようきゅう)→再要求(最上級)

ふくさいよう(ふくさよう)→repeateduse(副作用)

re-accept

キーワード中の漢字1字から類推しているもの

せいちょうふあん(せいじようふあん)→politicallydisturbed

このように漢字の知識のある学生は漢字を媒介として意味に結びつけたり,類推したりしている が,漢字の知識のない学生は音と意味を結びつけて記憶している語しか知覚できず,類推というこ とはできない。中級の非漢字圏の学生で正答率がきわめて低い学生は他の非漢字圏の学生に比べて 漢字能力の低い学生である。非漢字圏の学生のうち漢字で意味を考えられるものは漢字圏の学生の

29-

(6)

正答率に近付き,漢字で意味を考えられない学生との差が正答率の差となって表れていると言える。

正答率を漢語,和語別に見ると,聴解Ⅲでは,漢字圏の学生3人のうち1人,非漢字圏の学生7 人のうち2人の例外があり一般化は難しいが,漢字力のきわめて低いものでは和語に比べて漢語の 正答率が低くなっている。聴解Ⅳ,V,Ⅵでは,漢字圏の学生は和語に比べて漢語の正答率が高

く,非漢字圏の学生では漢語より和語の正当率が高かった。

ABCDの種類別に見ると,Bの値の特に高いものは非漢字圏の学生に見られる。また,Cの値 が高い者は漢字圏の学生に見られる。Cの例は次のようである。

けくんc→結婚式がんせいぼ→癌細胞 よっしち→洋式しようれいてき→将来的 べんじ→返事ふくさいおう→副作用

きれんひ→記念品あくざ→厚さ 糸せいちまんえんざつ→偽1万円札

このように音の聞き違いが意味理解の支障となっていない例もあることを示しており,ひらが な,カタカナの聴写では語彙の意味の理解度ははかれないことがわかる。しかし発音の誤りを反映 するもので,コミュニケーションの支障となることは疑いなく,発音指導の必要'性を否定するもの ではない。またこの例も音の聞き取りだけが頼りではなく,漢字が媒介となって正しい意味理解に

つながっていることを証明するものである。

5.音の知覚とキーワードの意味の正答率の関係

表の数値を見ればわかるように音の知覚と語彙の理解度の間には相関関係は見られない。これは 発音が悪く,音の知覚も悪い漢字圏の学生についてだけでなく,非漢字圏の学生についても同じこ

とが言える。,

6.内容の把握と音の知覚,語彙の正答率の関係 内容把握をチェックするため次の2種類のクイズを与えた。

(1)聴解I,聴解Ⅳ,聴解Vでは内容についての質問にたいし,答えを書く問題を与えた。その うち,聴解Iでは質問も全員理解でき解答も得られたので信頼できる結果だと思える。ほとんどの 学生でクイズの得点とキーワードの正答率と間には相関関係が見られるが,学生(c),(。)を比較する と,(C)のほうが正答率が高いにもかかわらず,クイズの得点は逆に低くなっている。これは語彙力 以外の文法力,言語外の知識,記憶力などの関与した結果であろう。しかし語彙力が内容理解の大 きな要素であることを示している。音の知覚との相関関係は見られない。聴解Ⅳ,聴解Vについて は,10間全問解答できた学生は少なかった。かなり複雑な内容についての質問に対する解答がない ことは必ずしも理解できなかったことを意味しない。記憶力,疲労度なども関係していると考えら

れる。

30-

(7)

(2)聴解Ⅱ,聴解、,聴解Ⅵでは○×問題,選択問題のクイズにした。聴解I,聴解Ⅲでは正答 率とクイズの得点との間にほとんど相関関係が見られない。

聴解Ⅳでは一応相関関係が見られるが,このような問題では偶然性が結果を左右するため,理解度 を表す正確な数値とはとれない。

7.まとめ

(1)音の知覚一音の知覚に関する誤りは母語に関係なく見られるものと母語により特徴のある誤 りと2種類に分かれる。後者には中国語話者の清濁音,英語話者の長音がある。音の知覚の誤りの 合計は中国人がその他の者に比ぺで多い。聞き取りのタイプとしては初級はポトムアップ,中上級 はトップダウンの聞き方をしている。

(2)単語の意味理解一初級前期のレベルでは漢字圏・非漢字圏の別なく,「音→意味」のプロセ スで単語を理解している。初級後期になると非漢字圏の学生は相変わらず「音→意味」であるが,

漢字圏の学生は「音→(漢字)→意味」というように漢字が理解の媒介となり,正答率は非漢字圏の 学生より高くなっている。中級では非漢字圏の学生のうち,漢字力をつげた学生とそうでないもの の差があらわれ,漢字力のある学生は漢字圏の学生のように「音→(漢字)→意味」のプロセスで語 彙を理解している。上級では非漢字圏の学生も一層漢字力,語彙力が上がり漢字圏の学生と差がな

くなる。

初級後期以上では漢字圏の学生は漢語の正答率が高く,非漢字圏の学生は和語の正答率が高いと いう傾向が見られる。

(3)今回の調査で使用したクイズでは内容の理解度を計ることはできなかった。内容理解のメカ ニズムはまだまだ解明されない複雑なもので,これを計ることは本質的に難しい。また聴解以外の 雑多な要素が関係してくるので,これを計るテストの作成は技術的にも難しく,今後の課題である。

8.おわりに

今回の調査では内容理解にたし、する単音の聞き取り,語彙力の貢献度を明白な数値で示すことは できなかったものの,「音→(漢字)→意味」というプロセスを基に,音を正しく知覚していなくても その語の意味を理解している場合があることはあきらかになった。しかしキーワードの意味を正し く理解しないで,内容を正しく理解できるとは考えられないことから,語彙力は講義を聞くために は必須の要素であることは疑いない。したがって語彙力を付けることが最も大きな課題である。書 きことばの語彙を増やすことは,言い換えれば漢字力をつけることであり,この意味でも漢字教育 の重要性を再認識することになった。

今回の調査結果はもう一つの意味で漢字教育の重要I性を示すものである。読解と漢字力について はよく言われていることであるが,聴解においても,聞き取った音を意味へと結びつけるプロセス に漢字の力が大きく関わっていることがわかった。漢字教育は漢字の形を視覚に訴える指導法が-

31

(8)

般的であるが,音を聞き取って同音異義語の中から文脈に合う語を選んだり,漢字から語の意味を 類推したするような,耳で聞く漢字の指導を講義を聞くための指導に加えることも必要でる。

漢字圏の学習者も日本語の漢語と中国語の語彙の対応を見い出してからは語彙力が増すことがわ かったが,漢字圏の学生を対象に日本語と中国語の語彙の対応を考慮した漢字教育を編糸出すこと によってさらに能率よく日本語能力を延ばすことができると考えられる。

初級の学習者は一様にポトムアップの聞き取りをしていることがわかったが,単音にとらわれ ず,詳細を聞き逃しても途中であきらめず聞き進糸大意を把握できるようなトップダウンの聞き方

も身につけるような練習を加えることも必要である。

参考文献

(1)今田滋子(1974)「上級聴解指導の問題点(1)」『日本語教育」23号 (2)竹蓋幸生(1989)『ヒアリングの行動科学』研究社

(3)文化庁(1981)「音声と日本語教育」『日本語教育指導参考書1」

(4)GiovanniBFloresd,Arcais(1990)LanguagePerceptionLi"g”sticsT/zeCa肋j

UniversityPress.

(5)桜田・早川・札野他(1992)「金沢大学外国人留学生の日本語学習に関する調査報告」

『金沢大学留学生教育センター紀要創刊号』

T/zeCa肋γjdgeSz4γひejノⅢ,Cambridge

(6)早川・鎌田(1992)

「大学の講義の分析」『金沢大学留学生教育センター紀要創刊号』

32

(9)

資料

聴解I

文節数60キーワード24(漢15和9)

|j墨

文節数53キーワード27(漢13和11外3)聴解Ⅱ(初級後期)

33

学生

母語

英語

中国語

中国語

中国語

中国語

中国語

表記誤 清濁 長音 促音 勧音 助詞 音誤計

3 0 0 4

11 9 6 3

29

6 4 0

10

3 5 3

1 1 13

10 6 5 8

29

5 10 3 2 1 21

三m葉

正%

漢正%

和正%

A B C

0.75 0.67 0.89 0.75 0.25

0.71 0.73 0.67 0.46 0.13 0.25 0.17

0.63 0.53 0.78 0.63 0.25 0.13

0.67 0.53 0.89 0.54 017 0.13 0.17

0.42 0.40 0.44 0.25 0.17 0.17 0.42

0.50 0.40 0.67 0.38 0.33 0.17 0.13

クイズ点

4 4 4 3 2 3

学生 母語

中国語

中国語

中国語

中国語

ポルトガル語

スワヒリ語

英語

中国語

表記誤 清濁 長音 促音 勧音 助詞 音誤計

7 17 1 1 1 1 28

16 11 5 2 2 1 37

7 11 4 4 1 0 27

9 5 1 0 2 0 17

0 0 0 0 1 0 1

6 0 0 2 0 1 9

7 0 6 3 1 2 19

11 10 2 3 0 1 27

語彙

正%

漢%

和%

外%

A B C

0.50 0.46 0.50 0.67 0.28 0.34 0.22 0.25

0.38 0.62 0.19 0.33 0.22 0.16 0.13 0.47

0.50 0.38 0.50 1.00 0.16 0.25 0.34 0.25

0.78 0.77 0.75 1.00 0.50 0.09 0.28 0.13

0.59 0.46 1.67 1.00 0.59 0.38 0.03 0.00

0.28 0.08 0.31 1.00 0.22 0.63 0.06 0.09

0.28 0.08 0.31 1.00 0.22 0.34 0.06 0.38

0.47

0.54

0.38

0.67

0.22

0.22

0.25

0.31

クイズ点

10 8 6 12 8 10 9 7

(10)

聴解Ⅲ(中級)

文節数88キーワード29(漢14和14外1)

'五三

文節数86キーワード34(漢26和8)聴解Ⅳ(中級)

85語中国語中国日ロ・・雨.:凸タイ語スペイソ語英同ロハンガリーーロシア語英百口

匡罪裾朝---

-口.■ ̄U■■■ ̄U■■■U■■■Ⅱ■■■-

-~■I■■■---U■■■Ⅱ■■■-

-■ ̄■ロ■■U■■■ロ■■■U■■■U■■■U■■■U■■■

 ̄ ̄■■■--U■■■Ⅱ■■■Ⅱ■■■Ⅱ■■■Ⅱ■■■

-1■■■----U■■■ロ■■■

曰誤十312668462666514 正/056062047021012053056053059 漢正/065065050015008050054046058 和正/025050038038025063063075063 A035047024015012050056050O56 BO35021024059071044038041026 0021015024006003003003

,003018029021018003006006015

クイス5556155435 1

34-

学生 母語

トルコ語 b タイ語

中国語

. スペイン語

中国語 f 中国語

英語 h 英語

●●■■&

英語

。』

ロシア語 k 英語

音 表記誤 清濁 長音 促音 勧音 助詞 音誤計

4 0 1 0 0 0 5

30 2 2 1 0 14 49

26 9 2 1 0 13 51

24 1 4 1 0 12 42

23 7 3 2 1 10 46

41 6 3 1 0 9 60

4 2 5 1 0 1 13

1 0 6 0 0 0 7

0 0 5 0 0 2 7

5 0 0 0 0 1 6

4 2 8 0 1 0 15

語彙

正%

漢正%

和正%

外正%

A B C

0.62 0.36 0.86 1.00 0.62 0.31

0.07 0.24 0.07 0.43 0.00 0.24 0.55

0.21 0.55 0.64 0.50 0.00 0.34 0.17 0.21 0.28

0.10 0.07 0.14 0.00 0.10 0.41

0.52 0.48 0.43 0.57 0.00 0.24 0.17 0.24 0.34

0.59 0.57 0.57 1.00 0.10 0.10 0.48 0.33

0.55 0.64 0.43 1.00 0.48 0.34 0.07 0.10

0.31 0.36 0.21 1.00 0.28 0.62 0.10

0.69 0.57 0.79 LOO 0.62 0.31 0.07

0.66 0.64 0.64 1.00 0.66 0.31 0.03

0.10 0.07 0.07 1.00 0.10 0.69

0.21

クイズ点 8 8 8 2 5 3 3 9 5 8 6

学生 母語

中国語

中国語

中国語

タイ語

スペイソ語

英語

ハンガリー語

ロシア語

●■■二

英語

表記誤 清濁 長音 促音 勤音 助詞 音誤計

8 12 5

6 31

7 4 1 2

12 26

15 29 7

10 7 68

18 4 15 1

8 46

18 0 5

3 26

2 2

2 6

2 1

1 2 6

4 1

5 5 2 1

1 14

語彙

正%

漢正%

和正%

A B C

0.56 0.65 025 0.35 0.35 0.21 003

0.62 0.65 0.50 0.47 0.21 0.15 0.18

0.47 0.50 0.38 0.24 0.24 0.24 0.29

0.21 0.15 0.38 0.15 0.59 0.06 0.21

0.12 0.08 0.25 0.12 0.71 0.18

0.53 0.50 0.63 0.50 0.44 0.03 0.03

0.56 0.54 0.63 0.56 0.38 0.06

0.53 0.46 0.75 0.50 0.41 0.03 006

0.59

0.58

0.63

0.56

0.26

003

0.15

クイズ点

5 5.5 6 1 1 5.5 4 3 5

(11)

聴解1V(上級)

文節数86キーワード34(漢26和8)

学生

母玉中国玉中国玉中国三中国王中国王英三英玉

表一日摸9143151037 情濁1128201

長- 213133

促=

02

勘=

助可24110341

-誤十14331430141111 正/079082100071065079079 漢正/092092100077073077073 和正/075050100050038088100 AO74050094068059076O76 BO15006000026029018O12 COO9032006003009006003

,003012003013009 クイス頁76543554

聴解V(中級)

文節数153キーワード56(漢34和18外4)

35

学生

母語

中国語

中国語

中国語

中国語

中国語

英語

英語

表記誤 清濁 長音 促音 勧音 助詞 音誤計

9 1 2

2 14

14 12 1 0 2 4 33

3 8 2

1 14

15 2 3

10 30

10 0 1

3 14

3 1 3

4 11

7 3

1 11

茎函彙

正%

漢正%

和正%

A B C

0.79 0.92 0.75 0.74 0.15 0.09 0.03

0.82 0.92 0.50 0.50 0.06 0.32 0.12

1.00 1.00 1.00 0.94 0.00 0.06

0.71 0.77 0.50 0.68 0.26 0.03 0.03

0.65 0.73 0.38 0.59 0.29 0.09

0.79 0.77 0.88 0.76 0.18 0.06 0.13

0.79 0.73 1.00 0.76 0.12 0.03 0.09

クイズ点

6.5 5 4 3.5 5 4

学生 母語

中国語

中国語

中国語

中国語

タイ語

スペイン語

表記誤 清濁 長音 促音 勤音 助詞 音誤計

27 3 3 1 0 9 43

25 5 2 3 0 13 48

26 5 2 1 0 11 45

46 11 6 6 0 21 90

40 0 1 1 1 16 71

43 0 0 0 0 9 53

語彙

正%

漢正%

和正%

外正%

A B C

0.54 0.50 0.61 0.50 0.42 0.14 0.12 0.3

0.71 076 0.67 0.50 0.57 0.19 0.14 0.08

0.79 0.85 0.72 0.50 0.55 0.1 0.23 0.1

0.48 0.50 0.33 1.00 0.33 01 0.14 0.41

0.27 0.12 0.39 1.00 0.21 0.3 0.05 0.42

0.25

0.15

0.33

0.75

019

0.3

0.05

0.44

クイズ点

9 8 0 9 0 0

(12)

聴解Ⅵ

文節数80キーワード26(漢13和13)

学生ab

母語中国語中国語中国語英語英語 表記謀171819

情燭7170 長音6147 促音21

36-

(中級) (上級)

学生 母語

中国語

中国語

中国語

英語

英語

表記誤 清濁 長音 促音 勤音 助詞 音誤計

17 7 6

5 35

18 17 14 2

8 59

19 0 7 1 2 4 33

8 0 2

3 13

13 0 2 1

4 20

三m蘂

正%

漢正%

和正%

A B 0

0.54 0.54 0.54 0.27 0.38 0.27 0.08

0.42 0.46 0.38 0.15 0.27 0.27 0.31

0.58 0.69 0.46 0.50 0.31 0.08 0.12

0.81 0.62 1.00 0.69 0.12 0.12 0.08

0.69

0.62

0.77

0.50

0.08

0.19

0.23

クイズ点

8 8 10 10 10

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