数理解析学4・講義ノート
第2回
(2020
年10
月14
日(
水)
配信分)
3 flux
とtorque
の定義
M
内の任意の閉曲線C
に対し、X(C)
に沿う単位余法ベクトル場をn
とする。F (C) =
∫
C
n(s)ds
をC
に関するflux vector
(またはforce
)と言い、T (C) =
∫
C
X(s) × n(s)ds
を
C
に関するtorque vector
と言う。これはn
の取り方によって符号が変わる。
F (C), T (C)
はC
のhomology
類だけで決まる。実際div ∇ X = ∆X = 0
で、さらにdiv(X × ∇ X) = tr ∇ (X × ∇ X) = tr( ∇ X × ∇ X) + X × ∆X = 0.
より、発散公式により従う。
また
F (C)
は曲面の平行移動にはよらない。T (C)
はF (C)
方向の平行移動にはよらな いことも、次式よりわかる。∫
C
F (C) × n(s)ds = F (C) × ∫
C
n(s)ds = F (C) × F (C) = 0.
end q j
の周りを正の向きに一周する閉曲線δ j
に対し、X(δ j )
に沿う外向き(M
内で は内向き)単位余法ベクトル場をn
としたときのF j = F (δ j ) =
∫
δ
jn(s)ds
を
end q j
のflux vector
(またはforce
)と言い、T j = T (δ j ) =
∫
δ
jX(s) × n(s)ds
を
end q j
のtorque vector
と言う。特にF j , T j
はδ j
の取り方によらない。
flux vector
は実はF j = − Im
∫
δ
jΦ = − 2πRe Res z=q
jΦ
で与えられ、従って留数計算で求められることになる。((注)最初の向きの定義により、
紹介する論文とは符号が異なるので要注意。)このことから、留数定理によっても、δ
j
のhomology
類だけで決まることはわかる。
torque vector
もT j = − Im
∫
δ
jX × Φ
で与えられる。さらに発散公式から、
∑ n
j=1
F j = 0,
∑ n
j=1
T j = 0,
が成り立つこともわかる。これらが最初の均衡条件である。最も簡単な例から見てみよう。
例
3.1.
g = 0, η = dz, z 0 = 0
で定義される極小曲面はX(z) = (x, − y, 0)
((計算)
∫ z
0
(1 − 0 2 , √
− 1(1 + 0 2 ), 2 · 0)dz
=
∫ z
0
(1, √
− 1, 0)dz = [z, √
− 1z, 0] z 0
= (z, √
− 1z, 0) = (x + √
− 1y, − y + √
− 1x, 0)
)であり、その像は
x 1 x 2 -
平面である。この場合M = ˆ C
で、q 1 = ∞
である。∞
の周り を正の向きに一周する閉曲線とは、複素平面C
内を負の向きに一周する閉曲線であり、この場合
n
は外向き単位法ベクトルである。X(δ 1 )
の弧長パラメーター表示を、(x(s), y(s), 0) (0 ≤ s ≤ ℓ)
とすれば、n(s) = ( − y ′ (s), x ′ (s), 0)
より、もう明らかであるが
F 1 =
∫ ℓ
0
( − y ′ (s), x ′ (s), 0)ds = [( − y(s), x(s), C )] ℓ 0 = (0, 0, 0)
となる。例
3.2.
g = z − 1 , η = dz, z 0 =???
で定義される極小曲面はX(z) = (x(1 + 1
r 2 ), − y(1 + 1
r 2 ), 2 log r)
((計算)
∫ z
(1 − z −2 , √
− 1(1 + z −2 ), 2z −1 )dz
= (z + z − 1 , √
− 1(z − z − 1 ), 2 log z)
= (x + √
− 1y + 1
r 2 (x − √
− 1y), − y + √
− 1x − 1
r 2 (y + √
− 1x), 2 log r + 2 √
− 1θ)
= (x
(
1 + 1 r 2
)
+ √
− 1y
(
1 − 1 r 2
)
, − y
(
1 + 1 r 2
)
+ √
− 1x
(
1 − 1 r 2
)
, 2 log r + 2 √
− 1θ)
)であり、その像は
catenoid 1 2
√
x 1 2 + x 2 2 = cosh x 3 2
である。この場合
M = ˆ C
で、q 1 = ∞ , q 2 = 0
である。∞
の周りを正の向きに一周する 閉曲線とは、複素平面C
内の原点0
の周りを負の向きに一周する閉曲線であり、この場 合n
は外向き単位法ベクトルであるが、最も計算しやすいのは、単位円周(像では単位 円周の2倍)である。X(δ 1 )
の弧長パラメーター表示を、(2 cos s
2 , 2 sin s
2 , 0) (0 ≤ s ≤ 4π)
とすれば、n(s) = (0, 0, 1)
より、F 1 = 4π(0, 0, 1)
となる。また、X(δ 2 )
の弧長パラメーター表示を、(2 cos s
2 , − 2 sin s
2 , 0) (0 ≤ s ≤ 4π)
とすれば、
n(s) = (0, 0, − 1)
より、F 2 = 4π(0, 0, − 1)
となる。((公式の確認)∫
δ
2Φ = 2π √
− 1(0, 0, 2) = (0, 0, 4π √
− 1) Im
∫
δ
2Φ = (0, 0, 4π)
− Im
∫
δ
2Φ = (0, 0, − 4π)
)
各
end
の近傍でg
とη
をローラン展開して計算してみれば、一般に、平面型のend
のflux vector
は0
であり、また、catenoid
型のend
のflux vector
は、limit normal
に平 行となることが確かめられる。また、大きさも漸近catenoid
のそれに一致する。埋め込 まれていないend
については、このようなことは一概に言えない。極小曲面
X
のend q j
がcatenoid
型であるとする。g(q j ) = 0
とするとき、− a = Res z=q
j2gη
とし、X
のRe
を取る前のq j
の近傍におけるローラン展開の定数項を(c 1 , c 2 , c 3 )
とおいて、頑張って計算すると、F j = 2πa(0, 0, − 1) = 2πaG(q j )
及びT j = 2πa( − Re c 2 , Re c 1 , 0)
を得る。ここで、E j = (Re c 1 , Re c 2 , 0)
とおくと、E j × F j = T j
となる。ここで、直線
E j + RF j
がend q j
の漸近catenoid
の軸となっており、この上に 原点が来るように平行移動すれば、torque
は0
となる。参考文献