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〈研 究 ノ ー ト〉
ドイ ツ に お け る扶 養 法 の 改 正 につ い て
三 宅 利 昌
目 次 1.は じめ に
2.ド イ ッにおけ る扶養 法改 正の 背景 2.1社 会 状況 の変化
2.2政 府案 の 目指 す方 向 3.ド イ ツの扶養 法改正 の 目標
3.1子 の福祉 の強化
3.2離 婚後 の 自己責任 の 強化 3.3扶 養法 の簡 略化
4.結 びにか えて
〔資 料〕 現行法 と政府 案(抜 粋)の 対 照条文
1.は じ め に
夫 婦 は、婚 姻 の本 質 的義 務 と して 、互 い に協 力 ・扶 助 義 務 を負 う(民 法752条)。
ま た 、 親 は未 成 年 の 子 を扶 養 しな けれ ぼ な ら な い 。 こ の扶 養 義 務 は、 親 権(特 に監 護 権)に 基 づ く もの で あ る。 さ ら に、 わ が 国 の現 行 の 扶 養 法 は、 直 系 血 族 間 、 兄 弟 姉 妹 間 に扶 養 義 務 を負 わせ 、 特 別 な 事 情 が あ る場 合 に は 、 家 庭 裁 判 所 は三 親 等 内の 親族 に も扶 養 義 務 を課 す こ とが で き る もの として い る(民 法877条)。
この よ うに 、 わ が 国 の 民 法 は 、 夫 婦 や 親 子 以 外 の 親 族 につ い て も、 比 較 的 広 範 囲 の親 族 相 互 問 に扶 養 義 務 を負 わせ て い る。 しか し、 一 人 の扶 養 義務 者 に 対 し て 複 数 の 扶 養 権 利 者 が い る とき に誰 を優 先 して 扶 養 して い くの か 、 逆 に、 一 人 の 扶 養 権 利 者 に対 して複 数 の扶 養 義 務 者 が い る とき に誰 が 扶 養 す る の か 、 そ の 場 合 に どの程 度 の 扶 養 を しな けれ ば な らな い の か 、 ま た どの よ うな 方 法 で 扶 養 を す るか な どの 点 につ い て は具 体 的 な規 定 を 欠 い て お り、 これ ら は当 事 者 間 の
協 議 ま た は家庭 裁 判 所 の審 判 に よっ て定 め られ る こ とにな って い る(民 法878条 、 879条)。 ま た 、 離 婚 後 の 配 偶 者 の扶 養 に関 す る規 定 も置 か れ て お らず 、 財 産 分
与 を 定 め る際 に そ の 要 素 の ひ とっ と して 考 慮 さ れ る に す ぎ な い。
これ に対 して 現 行 の ドイ ツ 民 法 で は 、 血 族 間 の扶 養 義 務 の ほ か 、 離 婚 配 偶 者 に 対 す る扶 養 義務 、 婚 姻 に よ らな い子 を監 護 ・教 育 す る母 に対 す る子 の父 の扶 養 義 務 な どが 定 め られ 、 加 え て これ らの 場 合 の扶 養 の順 位 や 程 度 に つ い て 比 較 的詳 細 な規 定 が 置 か れ て い る。 しか し、 そ の 反 面 、 と くに離 婚 な どの場 合 に、
扶 養 義 務 の 負 担 が 重 く伸 し掛 か る結 果 を招 き、 これ が 再 婚 を妨 げ、 あ るい は再 婚 に よ り形 成 され た 新 た な家 族 の 扶 養 に も影 響 を及 ぼ して い る。 また 、 この よ
うな結 果 を 回 避 す るた め 、 夫 婦 財 産 契 約 に よ り婚 姻 の 際 に あ らか じめ 離 婚 後 の 扶 養 義 務 を 一 定 の範 囲 に限 定 す る例 な ど も多 く見 られ 、 ど こ まで 夫 婦 財 産 契 約
1)
の 自 由 が 認 め られ るか が 問 題 とな っ て い る。 こ う した 点 を 踏 ま えて 、 現 在 、 ド
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イ ツ で は扶 養 法 の 改 正 作 業 が 進 ん で い る。
本 稿 で は 、 ドイ ツ の現 状 を 踏 ま えっ っ 、 ドイ ツ民 法 の 最 近 の 改 正 の 動 向 を紹 介 し、 改 正 の 背 景 、 改 正 案 の 特 色 お よ び そ の 基 礎 に あ る考 え方 を明 らか に した
い 。
2,ド イ ツ に お け る扶 養 法 改 正 の 背 景
2.1社 会 状 況 の 変 化
ドイ ツ に お け る扶 養 法 改 正 の 背 景 に は、 離 婚 の 増加 、夫 婦 の役 割 分 担 の 変化 、 婚 姻 に よ らな い 家 族 の増 加 、 す べ て の 要 扶 養 者 の 需 要 が 満 た され な い ケ ー ス の
3)
増 加 、 再 婚 の 家 族 の 増 加 な どの社 会 の 状 況 の 変 化 が あ る と され る。
(1)離 婚 の 増 加
ドイ ツで は、 離 婚 件 数 が年 々 増 加 す る傾 向 に あ る。1993年 に は、156,425件 で あ った が 、2004年 に は、約213,700件 に達 して お り、 この10年 間 で 、お よ そ36.8 パ ー セ ン ト増 加 した こ とに な る。 そ の 大 部 分 は婚 姻 の 期 間 が 比 較 的 短 期 間 で あ
り、 な か で も婚 姻 後1年 以 内 に 離 婚 した カ ッ プル の割 合 が 特 に高 い 。 ま た 、 離 婚 した 夫 婦 の50パ ー セ ン トに は 子 供 が い な い 。
ドイ ツにお け る扶養法 の改 正 につ いて
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(2)婚 姻 にお け る役 割 分 担 の 変 化
現 在 の ドイ ツで は、 未 成 年 の子 を もつ 母 親 の 多 くが 、 職 業 に従 事 して い る。
職 業 に従 事 して い る母 親 の割 合 は、2004年 に は 、64パ ー セ ン トに上 り、1996年 の段 階 よ り6パ ー セ ン ト上 昇 して い る。 未 成 年 の 子 を もつ 母 親 の お よそ3分 の
2は 所 得 活 動 を して い る こ とに な る。
(3)新 た な 家 族 形 態
2004年 の段 階 で は、 未 成 年 の子 を もつ家 族 全 体 の74パ ー セ ン トが 婚 姻 関 係 に あ り、 残 りの26パ ー セ ン トは、 非 婚 姻 生 活 共 同 体 ま た は単 独 で 子 の教 育 に あ た る未 婚 の 父 母 で 構 成 され て い る。 約200万 を越 え る非 婚 姻 共 同生 活 の カ ッ プル の 3分 の1に は子 が あ る。
(4)扶 養 の 需 要 が 満 た され な い ケ ー ス の増 加
離 婚 は、 通 常 、 当 事 者 に とっ て 相 当 に重 い経 済 上 の 負 担 を もた らす こ と に な る。 再 婚 で 、 しか も子 が あ る場 合 な どは、 扶 養 義 務 を 負 う者 の収 入 が 、 扶 養 の 権 利 を有 す るす べ て の者 の 生 活 需 要 を満 た す こ とが で き な い ケ ー ス が 増 加 して い る。 その 場 合 、 生 活 需 要 が 満 た され な い扶 養 権 利 者 は、 補 充 的 な社 会 扶 助 に 頼 らざ る を得 な い 事 態 とな る。 これ に よ り、 未 成 年 の社 会 扶 助 受 給 者 が 増 加 し て お り、2004年 の段 階 で は、112万 人 に達 して い る。 これ は、 受 給 者 全 体 の お よ そ38パ ー セ ン トに あ た る。
また 、 最 近 で は、 婚 姻 が 短 期 間 で 解 消 され るケ ー ス が 増 加 して お り、 これ に 伴 って 、 離 婚 後 に再 婚 して 新 た に家 族 を もつ ケ ー ス も増 加 して い る。 この 場 合
に、 現 行 法 で は、 扶 養 義 務 者 の 収 入 に よっ て す べ て の 扶 養 権 利 者 の生 活 需 要 が 満 た され な い と き は、 最 初 の 婚 姻 の子 と再 婚 の子 、 お よ び最 初 の 配 偶 者 と再 婚 の配 偶 者 で、 その収 入 が 分 配 され る こ とに な る(BGB1609条)。 この と き、 多 く の場 合 に最 初 の 婚 姻 の 配 偶 者 が 再 婚 の配 偶 者 に優 先 され る(BGBl582条 参 照)。
そ の 結 果 、 再 婚 の配 偶 者 に は何 も残 っ て い な い こ と も しば しば で あ る。
さ らに 、 現 行 法 の扶 養 の順 位 は、 す べ て の 扶 養 権 利 者 の 生 活 需 要 が 満 た され な い ケ ー ス で は、 幼 児 を 世 話 して い る未 婚 の 母(ま た は 父)に 深 刻 な 結 果 を も た らす 。 現 行 法 の 順 位 に よれ ば、 未 婚 の 母 は子 の 世 話 を原 因 とす る扶 養 も与 え ちれ な い結 果 とな る。 扶 養 の順 位 に お いて 最 初 の 婚 姻 の 配 偶 者 を優 先 す る こ と に は様 々 な 問 題 が あ り、 子 の福 祉 の観 点 の も とで は、 そ れ は もは や 正 当 化 で き
な い 。
2.2政 府 案 の 目指 す 方 向
以 上 に述 べ た社 会 の 状 況 の変 化 に適 合 す る よ うに扶 養 法 を 改 正 す る必 要 が あ り、 そ の 目指 す 方 向 と して は次 の 点 が 挙 げ られ る。 第 一 に 、 すべ て の扶 養 権 利 者 の生 活 需 要 が 満 た され な い場 合 に お け る分 配 の公 平(Verteilungsgerechtigkeit) を実 現 す るた め 、 これ まで の基 準 を変 更 し、 これ に よ り、 特 に未 成 年 の 子 の 社 会 扶 助 へ の 依 存 を減 らす こ とが 求 め られ る。 第 二 に、 離 婚 配 偶 者 の扶 養 請 求 権 の制 限 の 基 準 を 再 検 討 し、 離 婚 後 に扶 養 義 務 を負 う他 方 配 偶 者 の再 出 発 を容 易 に す る こ と、 あ るい は再 婚 の家 族(Zweitfamilien)の 負 担 を軽 減 す る こ とが 求 め られ る。
3.ド イ ツ の 扶 養 法 改 正 の 目標
ドイ ツ連 邦 共和 国政府 は、 上述 の社 会 の状況 の変化 を考 慮 し、扶養 法 の改正 に関 す る政 府 案(以 下 、政府 案 とい う)に おいて、 子 の福 祉 の強化 、離 婚後 の
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自 己責 任 の 原 則 の 強 調 、 扶 養 法 の 簡 略 化 とい う三 つ の 目標 を掲 げ て い る。
3.1子 の福 祉 の 強 化
子 の 福 祉 の実 現 に向 け、 扶 養 の順 位(BGBl582条 、1609条)の 変 更 お よび 共 通 の子 の監 護 ・教 育 を して い る未 婚 の 母 お よび 父 の待 遇(BGB16151条)の 改
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善 が 計 画 され て い る。
3.1.1扶 養 の順 位 の 変 更
現 行 のBGBl609条 に よれ ば、 未 婚 の未 成 年 の 子 お よび 父 母 また は父 母 の 一 方 と同一 世 帯 に あ り、 か つ 学 校 教 育 を受 けて い る21歳 未 満 の子(BGBl603条2項
参 照 。 以 下 、 未 成 年 の子 とい う)は 、 離 婚 配 偶 者 お よび 現 在 の配 偶 者 と と も に w順 位 と され る。 第 一 順 位 者 の 間 で は、 先 の婚 姻 の.ts配 偶 者 の扶 養 請 求 権 は、 一 定 の 場 合 に、 現 在 の 配 偶 者 の そ れ に優 先 す る(BGB1582条)。
政 府 案 は、 現 行 の扶 養 の 順 位 を変 更 す る こ とで 、 す べ て の 扶 養 権 利 者 の 扶 養
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の 需 要 が 満 た され な い場 合 につ い て の 配 分 の公 平 性 を 高 め る こ とを 目指 して い る(政 府 案1609条)。 政 府 案 で は、 扶 養 の順 位 は、 一 貫 して 子 の福 祉 の も とに方 向 づ け られ て い る。
未 成 年 の 子 は、 社 会 の構 成 員 の 中 で は最 も経 済 的 な 弱 者 で あ り、 ま た 、 その 他 の扶 養 権 利 者 とは違 い、 自 己の 経 済 状 況 を独 力 で 変 え て い くこ とが で き な い 。
した が っ て 、 未 成 年 の子 の扶 養 請 求 権 は そ の 他 の す べ て の 扶 養 請 求 権 に 優 先 さ れ な け れ ば な らな い。 未 成 年 の 子 の扶 養 の絶 対 的 な優 先 は 、 子 の 福 祉 の 促 進 に も寄 与 す る。 なぜ な ら、 これ に よ り、 子 の監 護 お よ び教 育 の た め の物 質 的 な基
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礎 が 保 障 され るか らで あ る。
これ に 対 し、 成 年 に達 して い る者 は、 原 則 と して 、 少 な く と も潜 在 的 に は 自 身 で働 い て 自活 す る可 能 性 を 有 して い る と考 え られ る。 した が っ て 、 成 年 者 は、
未 成 年 の 子 よ りも後 順 位 に 置 か れ な けれ ぼ な らな い 。 こ こで 次 に 問題 とな る の が 、 成 年 の 扶 養 権 利 者 の 中 で は 、 どの者 が 優 先 さ れ るべ きか で あ る。 す べ て の 成 年 の扶 養 権 利 者 に対 して 、 未 成 年 の 子 に次 ぐ順 位 に あ る もの と して 、 同 等 に 保 護 を 図 る必 要 が あ るわ け で は な い。 こ こで も、 子 の福 祉 に鑑 み 、 扶 養 権 利 者
の 中 で も、 共 通 の 子 の 世 話 を して い るす べ て の 父 母 の 一 方 が 、 婚 姻 して い るか 、 また は婚 姻 して い た か にか か わ らず 、 ま た、 父 母 が子 を 共 同で 監 護 ・教 育 して い るか 、 ま た は そ の 一 方 が 単独 で 監 護 ・教 育 して い るか に か か わ らず 優 先 され な けれ ば な らな い 。 共 通 の子 を監 護 ・教 育 して い る離 婚 配 偶 者 、 現 在 の 配 偶 者 お よ び未 婚 の母(ま た は未 婚 の 父)は 、 子 を監 護 ・教 育 し な け れ ぼ な らな い 点 で は 同 じ状 況 に あ る。 した が っ て 、 共 通 の子 の監 護 ・教 育 を して い る父 母 は 同 様 に扱 わ れ な けれ ぼ な らず 、 これ らの者 は 、扶 養 の順 位 に お い て 、 未 成 年 の 子
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に次 ぐ第 二 順 位 に置 か れ るべ き で あ る と され る。
婚 姻 期 間 が 比 較 的長 期 間 で あ る場 合 の 配 偶 者 は、 扶 養 義 務 者 に対 して 共 通 の 子 の 監 護 ・教 育 を原 因 とす る扶 養(Betreuungsunterhalt)の 請 求 権 を 有 す る 父 母 と同様 の保 護 に値 す る とさ れ る。 婚 姻 期 間 が 長 くな る の と と も に、 婚 姻 に よ る連 帯 へ の信 頼(VertrauenindieehelicheSoIidaritat)が 大 き くな る こ
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とが そ の理 由 で あ る。 この信 頼 は 、 離婚 後 にお い て も効 果 を及 ぼ し続 け、 特 別 の 保 護 を必 要 とす る。 した が っ て この請 求 権 も また 、 第 二 順 位 に含 め られ るべ きで あ る とされ る。 これ に対 して 、 婚 姻 期 間 が 短 期 間 で あ り、 か つ 子 の 監 護 ・
教 育 を して い ない配 偶者 は、長 期 間 の婚 姻 の場合 の扶養 権 利者 の場合 と同様 の
g}
仕 方 で は、 自己 の 生 活 を婚 姻 へ 適 合 させ て い な い 。 した が って 、 長 期 間 の 婚 姻 の場 合 と同様 に は 、 他 方 配 偶 者 に対 して 婚 姻 に よ る連 帯 を 期 待 す る こ とが で き な い 。 こ う した 配 偶 者 の 扶 養 請 求権 は 第 三 順 位 に位 置 づ け られ る こ とに な る。
な お 、 婚 姻 期 間 の 長 短 を判 断 す る客 観 的 な 期 間 は定 め られ て い な い。 婚 姻 期 間 が 長 期 間 か 、 そ れ と も短 期 間 か とい う問 題 は 、 個 々 の事 案 の諸 事 情 を考 慮 し
て 評 価 され る こ とに な る。 そ の 際 、 信 頼 の保 護 を保 障 す る とい う規 律 の 目 的 が 起 点 とな る。 判 断 に あ た っ て は 、 婚 姻 期 間 の ほ か 、 離 婚 の 時 点 に お け る両 当事 者 の 年 齢 お よび 婚 姻 の 時 点 の 両 当 事 者 の 年 齢 が 考 慮 され う る事 情 とな る。 さ ら
に 重 要 な要 素 と して 、 共 通 の 子 の 監 護 ・教 育 の期 間 、 並 び に夫 婦 の 共 同 の 生 活 目標(gerneinsamesLeben・sziel)へ の適 合 の た め に生 じた と ころ の相 互 の経
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済 上 の結 びつ き及 び依存 の程 度 が考慮 され る。
3.1.2共 通 の 子 の 世 話 を して い る 未 婚 の母 の待 遇 の 改 善
未 婚 の 母 は 、 現 行 法 で は、 子 の 出 生 後 の3年 間 に 限 り、 子 の 監 護 ・教 育 を原 因 とす る扶 養 を与 え られ る(未 婚 の父 も 同様 で あ る)。 そ の後 は、 単 独 で 子 の監 護 ・教 育 を す る母(ま た は父)に 対 して 、 「著 し く不 当(grobunbillig)」 で な
い 限 り、 再 び 所 得 活 動 に従 事 す る こ とが 期 待 され る(BGB16151条2項3段)。
これ に対 して 、 子 の監 護 ・教 育 を して い る離 婚 配偶 者 は、 これ まで の判 決 に よ れ ば 、 最 も早 く と も子 が ほ ぼ8歳 に達 した と き に再 び所 得 活 動 に従 事 しな け れ
ば な らな い とされ て い る。
離 婚 配 偶 者 と未 婚 の母(ま た は父)の この よ うな 異 な るi扱い は、 原 則 と して 正 当 で あ り、 基 本 法3条 お よ び6条 と も合 致 して い る とされ る。 離 婚 した 母 ま た は父 の共 通 の子 の監 護 ・教 育 を原 因 とす る扶 養 請 求 権 は、 離 婚 後 も効 力 を も ち続 け る婚 姻 上 の 連 帯(fortwirkendenachehelicheSolidaritat)お よび子 の 必 要 不 可 欠 な監 護 ・教 育(notwendigeBetreuungdesKindes)に 基 づ く。
これ に対 して 、 未 婚 の母(ま た は父)の 子 の 監 護 ・教 育 を原 因 とす る扶 養 請 求 権 は 、 後 者 の 理 由 に の み 基 づ い て い るか らで あ る。 それ ゆ え に、 未 婚 の 母 の扶 養 請 求 権 の 原 則 的 な期 間 は 、 現 在 の3年 間 に 限 られ るべ きで あ る。 しか し、子 の 福 祉 の観 点 か らす る と、 離 婚 配 偶 者 と未 婚 の 母(ま た は父)と の あ い だ の 開
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きが 大 きす ぎ る。 そ こで 政 府 案 は、 この 両者 の 開 き を狭 め るべ く、 未 婚 の 母 の 子 の監 護 ・教 育 を原 因 とす る扶 養 請 求権(3年)の 延 長 につ い て の ハ ー ドル を 下 げ 、裁 判 所 が 、 個 々 の事 例 にお い て 、 これ ま で よ り も容 易 に扶 養 の 延 長 を認
め る こ とが で き る よ う に して い る(具 体 的 に は 、BGBI6151条2項3段 の 「著 し く不 当 」 を単 な る 「不 当 」 と改 め る)。 この 改 正 と扶 養 の 順 位 の変 更 に よ り、
共 通 の子 の監 護 ・教 育 に あ た る未 婚 の 母(ま た は父)の 待 遇 の 改 善 が もた ら さ
II)
れ 、 また これ に伴 っ て 子 の 監 護 ・教 育 の状 況 も改 善 され る とす る。
3.2離 婚 後 の 自己 責 任 の 強 化 3.2.1自 己 責 任 の 強 化 の 必 要
夫 婦 の 一 方 は 、 離 婚 後 、 自己 の生 活 費 を 自身 で賄 う こ とが で きな い とき は 、 法 定 の 要 件(共 通 の子 の 監 護 ・教 育 、 老 齢 、 疾 病 、 適 切 な所 得 活 動 に従 事 で き な い こ とな ど。BGBl570条 〜1576条 参 照)の も と、 他 の 一 方 に 対 して扶 養 を請
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求 す る こ とが で き る とされ る(BGB1569条)。 す な わ ち、 離 婚 後 の扶 養 に つ い て は、 自 己責 任 を原 則 と して い る一 方 で 、 婚 姻 に 関 連 して 夫 婦 の 一 方 に扶 養 の必 要 が 生 じて い る と き は、 他 の一 方 に扶 養 義 務 を認 め て い る。 そ の 際 、 扶 養 の程 度 を 決 定 す る基 準 とされ る の は、 婚 姻 中 の 生 活 状 況 で あ る。 夫 婦 は そ の 婚 姻 中
に協 同 で 一 定 の 生 活 状 況 を作 り出 す 。 婚 姻 中 の 夫 婦 の 役 割 分 担 は 、 も っ ぱ らそ の 夫 婦 の決 定 に よ るが 、 双 方 の 協 力 に よ っ て築 か れ た 生 活 状 況 は 、 離 婚 後 にお い て も、 原 則 と して 扶 養 の 程 度 を決 定 す る基 準 と して 適 当 で あ る とい え る。 し か し、婚 姻 中 の 生 活 状 況 が 常 に扶 養 の程 度 の 決 定 的 な 基 準 とされ て よい か は疑 問 で あ る。 た とえ ぼ 、 婚 姻 期 間 が 短 期 間 に終 わ っ た 場 合 に、 離 婚 した他 方 配 偶 者 に対 して婚 姻 中 の 生 活 状 況 を 無 制 限 に保 証 す る こ とは 妥 当 で あ ろ うか 。 この 点 、 現 行 法 に お い て も、 一 定 の 範 囲 に お い て 、扶 養 請 求 につ い て そ の期 間 お よ び程 度 を限定 す る規 定 が お かれ て い る(BGB1573条5項 、1578条 参 照)。 しか し な が ら、 裁 判 所 は これ らの 規 定 の適 用 に は慎 重 で あ り、 学 説 に よ り批 判 され て
13)
い る。
ま た 、 離 婚 配 偶 者 は、 所 得 活 動 の再 開 を要 求 さ れ るが 、 自分 に ふ さわ しい所 得 活 動(「 適 切 な 所 得 活 動 」)に 従 事 す る こ と、 す な わ ち、 自己 の教 育 ・能 力 ・ 年 齢 ・健 康 状 態 、 お よ び婚 姻 中 の 生 活 状 況 に応 じた所 得 活 動 を 要 求 さ れ る に す
ぎ な い(BGB1574条)。 そ して 、 「婚 姻 中 の生 活 状 況 」 が 当該 離 婚 配 偶 者 に とっ て そ の 所 得 活 動 が 適 切 か 否 か の 判 断 要 素 の一 つ とされ て い るた め、 多 くの 場 合 に、 離 婚 配 偶 者 は、 婚 姻 中 の 比 較 的 高 い 生 活 水 準 に基 づ き、 自 己 の生 活 費 の支 弁 の た め に か つ て 従 事 して い た 職 業 に就 くこ とは要 求 さ れ な い とい う結 果 を も た ら した 。
以 上 の よ う に、 離 婚 後 の 扶 養 につ い て の 自 己責 任 の原 則 は 、 これ ま で の と こ ろ、 実 際 上 あ ま り機 能 して い な い 。 この こ とは 、 結 果 的 に再 婚 の家 族 に 負 担 を か け 、 ま た 婚 姻 期 間 が 短 期 間 に終 わ った 場 合 に は、 妥 当 な 結 果 を も た ら さ な い
こ と とな る。
そ こで政 府 案 は 、 自 己責 任 の 原 則 、 す な わ ち 、 離 婚 後 、 夫 婦 は、 原 則 と して、
そ れ ぞ れ 自 己 の 生 活 費 を 自 ら支 弁 す る責 任 を負 う こ とを 明確 に定 め た(政 府 案 1569条)。 そ して 、 さ らに これ を強 化 す る具 体 的 な方 策 と して 、 離 婚 配 偶 者 の所 得 活 動 の 再 開 の 促 進 に 向 け て 新 た な 判 断 基 準 を 設 け る と と も に、 扶 養 請 求 の 期 間 お よ び程 度 の 制 限 に 関 して 裁 判 所 に これ ま で よ り も大 き な裁 量 の 余 地 を与 え て い る。
3.2.2所 得 活 動 の 再 開
共 通 の 子 を監 護 ・教 育 す る父 母 の̲̲̲̲.方は、 子 を世 話 して い る期 間 につ い て は、
所 得 活 動 の 再 開 に よ って 自己 の 生 活 費 を支 弁 す る こ とが で き る まで 、 離 婚 した 他 方 配 偶 者 に対 し子 の 監 護 ・教 育 を原 因 とす る扶 養 を 請 求 す る こ とが で き る (BGBl570条)。 共 通 の子 の世 話 を して い る父 母 の一 方 は、 いつ か ら所 得 活 動 を 再 開 しな け れ ば な らな い の か に つ い て は 、 連 邦 通 常 裁 判 所 の 判 決 に よ り基 準 が 示 さ れ て い る。 それ に よれ ば、 共 通 の子 を監 護 ・教 育 して い る父 母 の 一 方 は、
他 の 方 法 に よ る監 護 ・教 育 の 可 能 性 の有 無 に か か わ らず 、 子 が ほ ぼ満8歳 に達
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す る まで は、 所 得 活 動 が 期 待 され な い 。 子 が8歳 か ら11歳 で あ る とき は 、 個 々 の 事 案 の 諸 事 情 に よ り、 パ ー トタイ ム労 働 に従 事 しな けれ ぼ な らな い か ど うか
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が 決 定 さ れ る。 子 がll歳 か ら ほぼ 満15歳 に達 して い る と き は、 通 常 は少 な くと
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もパ ー トタ イ ム労 働 に従 事 す る こ とが 期 待 され る。 子 が ほ ぼ 満16歳 に達 して い る とき に は じめ て 、 子 を 世 話 す る父 母 の 一 方 は、 フル タ イ ム の 取 得 活 動 を は じ
の
め な け れ ば な ら な い と され る。 この 点 に つ き、 政 府 案 は、 取 得 活 動 の 再 開 に 関
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して、 「子 の監 護 ・教 育 の可 能性 が現 に存 す る こ と」 も ま た考 慮 に入 れ られ る も
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の と した(政 府 案1570条 〉。 これ は 、具 体 的 に は 、 た とえ ぼ、 学 校 に お い て子 が 昼 間 の あ い だ監 護 ・教 育 さ れ て い る場 合 に は、 そ の 子 を世 話 す る父 母 の0方 が 部 分 的 で あ っ て も 自 己 の 責 任 に お い て 自身 の 生 活 費 を 支 弁 す る こ とが で き る よ うに 、 そ の 者 に対 して 現 在 の 基 準 よ りも早 い段 階 で所 得 活 動 の再 開 が 期 待 され る こ とに な り うる。 ドイ ツ で は、 現 在 、 子 の 育 成 に あ た りな が らパ ー トタ イ ム の 仕 事 に従 事 す る こ とが 実 際 に も多 く見 られ る。 政 府 案 は こ う した現 実 に も適 合 す る。 この 規 定 の 具 体 的 な 適 用 に あ た っ て は、 子 の 監 護 ・教 育 の現 に 存 す る 可 能 性 だ けが 考 慮 され る こ とに留 意 す る必 要 が あ る。 他 の者 に よ る監 護 ・教 育 の 可 能 性 が 実 際 に存 在 し、 そ れ が 信 頼 の 置 け る も の で な け れ ば な らず 、 ま た 子
19)
の 福 祉 と合 致 して い る もの で な けれ ぼ な らな い。 監 護 ・教 育 の 可 能 性 が 現 に 存 す るか 否 か の 考 慮 は 、 原 則 と して 、 子 が3歳 以 上 の場 合 に は 必 要 で あ る と され
20)
て い る。
さ らに政 府 案 は、適 切 な所 得 活 動 に従 事 で きな い離婚 配 偶 者 の扶 養(BGBl573 条 、1574条)に つ い て も、 自己 責 任 の 強 化 の 方 向 に沿 っ て 、 離 婚 配 偶 者 が 適 切 な所 得 活 動 に従 事 す る義 務 を 負 う こ とを 明 確 に定 め る と と も に、 離 婚 後 の 所 得 活 動 の再 開 に 関 す る これ まで の判 断 基 準 を改 め よ う と して い る。 政 府 案1574条
2項 は、 問題 の 所 得 活 動 が 当 該 離 婚 配 偶 者 に適 切 か 否 か を判 断 す る要 素 と して 、 これ まで と同様 に、 離 婚 配 偶 者 の教 育 ・能 力 ・年 齢 ・健 康i状態 を列 挙 す る ほか 、 新 た に 「か つ て の所 得 活 動(frUhereErwerbstatigkeit)」 を加 えた 。 離 婚 配 偶 者 が か つ て 従 事 した 職 業 にお け る所 得 活 動 は、 原 則 と して 、 常 に適 切 な取 得 活
2])
動 で あ る こ とに な る。 ま た 、 「婚 姻 中 の生 活 状 況 」 は、 所 得 活 動 の適 切 性 の 判 断 要 素 か らは 外 さ れ た 。 そ の 上 で 、 政 府 案 は、 婚 姻 中 の 生 活 状 況 が 離 婚 配 偶 者 に 要 求 さ れ る所 得 活 動 の範 囲 を 限定 す る こ とが で き るか 否 か とい う問題 は、 適 切 性 の 判 断 の 次 の 段 階 に お い て は じ め て 、 も っ ぱ ら 衡 平 の 考 慮 (Billigkeitsabwagung)の 範 囲 に お け る調 整 方 法 と して 検 討 され る もの と位 置 づ けて い る。 政 府 案 は、 そ の 際 、扶 養 権 利 者 に対 して 、 得 られ う る所 得 活 動 が 婚 姻 中 の 生 活 状 況 に基 づ い て 自身 に期 待 され 得 な い こ とを主 張 し、 か つ証 明 す る責 任 を負 わ せ て い る(政 府 案1574条2項1段)。 これ に よ り、 相 互 の 協 力 に よ る持 続 的 な 婚 姻 の形 成 に基 づ い て扶 養 権 利 者 に生 まれ た信 頼 が 考 慮 され る こ と
に な る 。
3.2.3離 婚 後 の 扶 養 の 制 限 に つ い て
政 府 案 は 、 離 婚 後 の 扶 養 請 求 権 の制 限(扶 養 料 の 金 額 の 引 下 げ お よ び期 間 の 限 定)に 関 して 、 す べ て の 扶 養 構 成 事 実 に適 用 され る新 た な 規 定 を設 け て い る (政 府 案1578b条)。 こ の 新 た な 規 定 は 、 客 観 的 な 衡 平 の 基 準 (Billigkeitsmaf3stabe)に 基 づ き、 そ して こ こで は特 に 「婚 姻 に起 因 す る不 利 益(ehebedingteNachteile)」 とい う基 準 に従 って 扶 養 請 求 権 の制 限 を容 易 に
23}
す る こ とを 目 的 とす る。
政 府 案1578b条 は、 扶 養 請 求権 が その 期 間 を制 限 され ず 、 また は婚 姻 中 の生 活 状 況 を基 準 とす るそ の査 定 が 不 当(unbillig)で あ る とき は、衡 平 の考 慮 に よ り、
そ の 期 間 が 制 限 さ れ 、 また は そ の 程 度 が 相 当 な生 活 上 の 需 要 に 引 き下 げ られ る こ とを定 め る(1項 、2項)。 扶 養 の程 度 の 引 き下 げ また は期 間 の制 限 を行 う場 合 に は 、 扶 養 権 利 者 に よ っ て 監 護 ・教 育 され て い る共 通 の 子 の 利 益 の保 護 が 考 a慮 され な けれ ば な らな い(い わ ゆ る 「子 の保 護 条 項 」)
。 これ は 、 共 通 の 子 を 世 話 して い る父 母 の 一 方 の 生 活 水 準 と削減 され な い 扶 養 料 を 与 え られ る子 の 生 活 水 準 との 間 に相 当 な水 準 の 差 が 生 じ る よ う な程 度 に 、 共 通 の 子 の 世 話 を原 因 と
24)
す る扶 養 が 引 き下 げ られ る こ とを防 ぐよ うに機 能 す る こ とに な る。
また 、 政 府 案1578b条1項2段 は、不 当(Unbilligkeit)で あ る こ とを確 定 す るた め の実 務 上 も重 要 とな る基 準 を具 体 的 に述 べ る。 す な わ ち 、 扶 養 請 求 権 が 制 限 され う るか 否 か 、 また それ が どの範 囲 で 制 限 され う るか は、 婚 姻 に よ り、
自己 の 生 活 費 を 自 ら支 弁 す る可 能 性 に関 す る不 利 益 が 生 じて い るか 否 か 、 ま た それ が どの程 度 に生 じて い るか に よ る と され る。 「婚 姻 に よ り」 とい う要 件 につ い て は、 自 己 の生 活 費 を 自 ら支 弁 す る こ とが で きな い とい う不 利 益 の原 因 が 、 も っ ぱ ら また は主 と して 婚 姻 中 に合 意 され た役 割 分 担 に 帰 され る こ とで 足 りる
25)
と され る。 さ らに政 府 案 は 、 婚 姻 に起 因 す る不 利 益 が 生 じ う る事 情 と して 、 共 通 の 子 の監 護 ・教 育 の期 間 、 婚 姻 中 の 役 割 分 担 、 婚 姻 の継 続 期 間 を列 挙 して い る(同 条1項3段)。 婚 姻 の継 続 期 間 は 、 それ だ け を とっ て み る と、 必 然 的 に不 利 益 を もた らす 事 情 で は な い。 しか し、 子 の教 育 や 家 事 に専 念 して い た 配 偶 者 に とっ て 離 婚 後 に生 ず る職 業 上 の不 利 益 は、 婚 姻 期 間 が 長 くな る につ れ て 通 常
ドイ ッにお ける扶養 法 の改正 につ いてX81
zs)
は増 大 す る こ とに な るた め、 重 要 な 事 情 とされ て い る。
な お 、 この 規 定 は 、 婚 姻 に起 因 す る不 利 益 の保 障 で は な くて 、 もっ ぱ らそ の 範 囲 を超 え た離 婚 後 の連 帯 の 範 囲 が 問 題 とな る場 合 を も含 ん で い る。 た とえ ば 、 婚 姻 とは ま っ た く無 関 係 に生 じて い る配 偶 者 の 一 方 の疾 病 の場 合 が 考 え られ る。
この場 合 に は 、 扶 養 請 求権 の期 間 の 限定 また は程 度 の 引 き下 げ の た め の衡 平 の 基 準 は、 自 己責 任 の原 則 に立 った 上 で の継 続 的 な婚 姻 上 の連 帯 で あ り、 その 際 、 政 府 案1578b条1項3段 に列 挙 され た諸 事 情 、 特 に婚 姻 の継 続 期 間 が 継 続 的 な 責
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任 の範 囲 につ い て 重 要 で あ る とされ る。 ま た 、 離 婚 後 に所 得 活 動 に従 事 で き な い こ とが 、 現 在 の 労働 市場 の 状 況 に起 因 し、 婚 姻 に よっ て 生 じた 不 利 益 に帰 す る こ とが で きな い場 合 につ い て も同様 の こ とが 当 て は ま る。この場 合 にBGB1573 条 に よ る扶 養 請 求 権 が 程 度 また は期 間 につ い て 制 限 され るか 、 また どの 範 囲 で 制 限 され るか の 判 断 に っ い て は 、 婚 姻 の 期 間 が 重 要 な 要 素 に な る とされ る。
3.2.4夫 婦 財 産 契 約 に よ る 離 婚 後 の扶 養 の 合 意 に つ い て
自 己責 任 の も う ひ とつ の 問題 と して 、 夫 婦 財 産 契 約 に よ る離 婚 後 の扶 養 の 放 棄 の 問 題 が あ る。 夫 婦 は、 離 婚 後 の 期 間 に つ い て 、 契 約 自由 の原 則 の も と、 法 定 の 扶 養 請 求 権 とは 異 な る 内 容 の扶 養 義 務 に 関 す る合 意 を す る こ とが で き る
(BGB1585c条)。 当事 者 の合 意 に よっ て扶 養 請 求権 を放 棄 す る こ とも可 能 で あ る。
現 行 法 上 は、 離 婚 後 の扶 養 義務 の 内容 に関 す る合 意 に つ い て は 、公 証 人 証 書 に よ る こ とは必 要 で は な い 。 そ の結 果 、 当 事 者 が そ の 契 約 か ら生 ず る効 果 を正 確 に判 断 で き な い 状 況 で 契 約 を締 結 し、0方 的 に不 利 益 を受 け る場 合 が 多 くみ ら れ た。 そ こで政 府 案 で は、BGBI585c条 に 「離 婚 の 法 的確 定 の 前 に行 わ れ る合 意 は、 公 証 人 証 書 に よ らな け れ ぼ な らな い 」 との文 言 が つ け加 え られ た 。 これ に よ り、 当事 者 に 当該 合 意 の効 果 が全 面 的 に教 示 され る機 会 が保 障 さ れ る こ とに な る。 また 、 公 証 人 の 関 与 に よ り、 離 婚 後 の 扶 養 請 求 の 放 棄 の 合 意 に 関 す る こ れ まで の裁 判 所 の判 決 を踏 ま え た 妥 当 な 契 約 内容 とな る こ とが 期 待 され る 。
3.3扶 養 法 の簡 略化
政府 案 は、扶養 法 の簡 略化 の0環 として、複 数 の扶 養権 利者 があ る場 合 の扶 養 の順位 を明確 に規 律 す るほか、未成 年 の子 の最 低 限 の扶 養料 の定 額化 を 図 っ
て い る(政 府 案1612a条)。
ドイ ツで は 、 子 の扶 養 料 の 算 定 は 、 各 州 の 上 級 地 方 裁 判 所 が 扶 養 義 務 者 の 収 入 と子 の 年 齢 を基 準 と して 作 成 した 一 覧 表(デ ュ ッセ ル ドル フ0覧 表 な ど)に 基 づ いて 行 わ れ て きた 。 また、1998年 には、通 常 扶 養 料 額 規 則(Regelbetrag‑‑
29)
Verordnung)が 設 け られ 、 子 の年 齢 の 段 階 ご とに そ の扶 養 料 が 算 定 され る シ ス テ ムが 確 立 され て い る。 しか し、 これ らに つ い て は、 地 域 に よ り差 が 生 ず る こ とや 、 未 成 年 の 子 の 最 小 限度 の扶 養 の定 義 が 不 明確 で あ る な どの 問 題 が み ら れ た 。 そ こで 、 政 府 案 は 、 未 成 年 の 子 の 最 低 限 の扶 養 料 につ い て 、 所 得 税 法 上 の児 童 控 除(Kinderfreibetrag)を 新 た な よ り ど こ ろ と し、 これ に基 づ い た 扶 養 料 の 割 合 比 率 を子 の年 齢 段 階 ご とに定 め て い る。 これ に よ り、 ドイ ツ連 邦 共 和 国 全 体 に お い て 、 画 一 的 な基 準 に よっ て 未 成 年 の 子 の 最 低 限 の 扶 養 料 の 算 出 が行 わ れ る こ とに な る。 具 体 的 に は、 最 低 限 の扶 養 は、 所 得 税 法32条6項1段 に よ る子 の生 存 の最 小 限度 の た め の 控 除額(児 童 控 除)の 倍 額 を基 準 とす る。
30)
現 在 の と こ ろ 、 年 額3,648ユ ー ロ(日 本 円 に 換 算 す る と約547,000円)で あ り、
月 額 に す る と304ユ ー ロ(約45,000円)と な る。 これ を 基 準 と して 、 最 低 限 の 扶 養 料 が 子 の 年 齢 段 階 に応 じて 定 め られ る。 第 一 の 年 齢 段 階 で あ る7歳 未 満 の 子 に つ い て は 、 そ の87パ.̲̲̲セ ン ト と さ れ 、265ユ ー一ロ(約39,600円)、 第 二 の 年 齢 段 階 で あ る満7歳 か ら13歳 未 満 の 子 は 、100パ ー セ ン トで304ユ ー 『ロ、 第 三 の 年 齢 段 階 で あ る満13歳 以 上 は 、そ の117パ ー セ ン ト と さ れ 、356ユ ー ロ(約53,000 円)と な る 。
4.結 び に か え て
政 府 案 は、 婚 姻 後 に 短 期 間 で 離婚 す る ケ ー ス が 増 加 して い る こ とや 、 家 族 の 役 割 分 担 が 変 化 し、 子 を もつ 母 の就 業 率 が 高 い こ とな ど、 社 会 に実 態 の 変 化 を 踏 ま え、 これ に扶 養 法 を適 合 させ る こ とを 目指 して い る。 そ の特 色 は 以 下 の 点
に あ る。
政 府 案 の 第0の 特 色 は、 扶 養 法 に お い て も子 の福 祉 を最 優 先 に考 慮 す る こ と を明 確 に して い る点 に あ る。 具 体 的 に は 、 政 府 案 は、 まず 扶 養 権 利 者 の 順 位 に お い て 未 成 年 の 子 を第 一 順 位 に 置 い て い る。 そ して 、 離 婚 後 の配 偶 者 の 扶 養 に
ドイ ッにお ける扶養 法 の改 正 につ いて
183
関 して も、 子 を監 護 ・教 育 す る父 母 の0方 の 扶 養 請 求 権 を未 成 年 の子 に 次 ぐ順 位 に位 置 づ け る根 拠 と して 、 子 の福 祉 を考 慮 して い る。 さ ら に、 未 婚 の母(ま た は父)の 子 の世 話 を原 因 とす る扶 養 に 関 して も、 子 の福 祉 とい う観 点 の も と、
一 定 の 改 善 を 図 って い る。 子 を監 護 ・教 育 す る父 母 を扶 養 に お い て 等 し く優 先 す るの は、 父 母 の 生 活 の安 定 が 子 の 福 祉 に つ な が る とい う考 え方 に基 づ く もの で あ る。
第 二 の特 色 は、 離 婚 配 偶 者 の 扶 養 請 求 権 を これ まで よ り後 退 させ て い る点 で あ る。 そ の 背 景 に は 、 離 婚 後 に扶 養 義 務 を負 う夫 婦 の 一 方 の 負 担 を軽 減 す る こ とに よ り、 そ の者 の 再 婚 を容 易 に し、 あ るい は再 婚 の家 族 の 負 担 を軽 減 し よ う とい う考 慮 が あ る。 そ して 、 政 府 案 は、 そ の実 現 に 向 け て 、 自 己 責 任 の 強 化 お よ び衡 平 の考 慮 の 観 点 を基 礎 にお い て い る。 自 己 責 任 の強 化 は、 離 婚 配 偶 者 の 所 得 活 動 へ の 復 帰 を促 進 す る機能 を果 た す 。 他 方 、 衡 平 の 考 慮 は 、 離 婚 配 偶 者 の扶 養 の 順 位 の優 先 の 廃 止 を もた らす と と も に、 離 婚 配 偶 者 の 扶 養 請 求 権 の制 限 の 基 準 と して 働 く。 この 場 合 に 、衡 平 の 考 慮 の基 準 と して 特 に 重 視 さ れ る事 情 は、 婚 姻 の 継 続 期 間 で あ る。 婚 姻 が 長 期 間 継 続 す る こ とに よ っ て 生 ま れ る連 帯 へ の信 頼 を保 護 す る こ とが 規 定 の 目的 とす る と こ ろで あ る。 婚 姻 期 間 が 長 期 に及 ぶ 場 合 に は、 当 事 者 に婚 姻 上 の連 帯 へ の信 頼 が 大 き くな り、 この 信 頼 が 離 婚 後 に お い て も効 果 を持 ち 続 け、 保 護 を必 要 とす る根 拠 とな る。 婚 姻 期 間 が 短 期 間 で あ っ た場 合 に は、 そ こ に は保 護 に値 す る離 婚 後 の 連 帯 へ の 信 頼 が な い こ
とに な る。 また 、 離 婚 配 偶 者 の扶 養 請 求 権 の 制 限 につ い て は、 合 意 さ れ た 婚 姻 中 の役 割 分 担 も重 視 され る。 婚 姻 中 の 役 割 分 担 に よ り生 ず る他 方 配 偶 者 へ の経 済 的依 存 も また 、 婚 姻 上 の連 帯 へ の信 頼 に っ な が る もの と言 え るか らで あ る。
わ が 国 で は 、 離 婚 配 偶 者 の 扶 養 は、 財 産 分 与 の 要 素 の 中 で も補 充 的 な も の位
31)
置 づ け られ て お り、 その 金 額 も低 額 に と どまっ て い るの が実 情 で あ る。 した が っ て 、 現 在 の と ころ、 離 婚 後 の 自己 責 任 の 原 則 を あ え て 強 調 す る こ とが 必 要 な状 況 に は な い と思 わ れ る。 一 方 、 複 数 の扶 養 者 権 利 者 が あ る場 合 の 扶 養 の順 位 の 決 定 につ い て 、 ドイ ツ の政 府 案 が 基 礎 と して い る子 の 福 祉 の 重 視 は、 離 婚 後 に 子 を監 護 す る父 母 の 一 方 の 扶 養 の優 先 を含 め 、 わ が 国 で も考 慮 され るべ き点 を 含 ん で い る と思 わ れ る。 扶 養 の 順 位 に 関 す る諸 問 題 は、 今 後 の 検 討 課 題 と した
い 。
注
1)拙 稿 「 離i婚 給 付 を め ぐ る 契 約 の 自 由 と そ の 制 限 に つ い て 」 創 価 法 学36巻1号(2006年) 45頁 以 下 参 照 。
2)2005年4月26日 に 連 邦 法 務 省 か ら 報 告 草 案 が 公 表 さ れ(Vgl.FamRZ2005,S.IOI4ff.)、
2006年4月5日 に は 、 ド イ ツ 連 邦 共 和 国 政 府 よ り 「 扶 養 法 の 改 正 に 関 す る 政 府 案 」 が 公 表 さ れ て い る 。
3)Vgl,http://www.bmj.bund.de/unterhaltsrecht;EntwurfeinesGesetzeszur AnderungdesUnterhaltsrechtsGesetzentwurfdesBundesregierung,S.13.
4)RegE,S.1.
5)RegE,"S.16f.
6>RegE,』340.
7}RegE,:x.41.
8}RegE,5.16.
9)RegE,.S.41f.
10)RegE,'.5.44.
ll)RegE,S.17.
12)ド イ ツ に お け る 離 婚 後 の 扶 養 に 関 す る 詳 細 な 解 説 と し て 、 本 沢 巳 代 子 『 離 婚 給 付 の 研 究 』 (一 粒 社 、1998年)144頁 以 下 参 照 。
13)Vgl.DieterSchwab,FamiliareSoiidaritat,FamRZ1997,S.521[524];Peter Gerhardt,EhelicheLebensverhaitnisbeiKinderbetreuungand
Haushaltsfuhrung,FamRZ2000,S.134[136].
14)Vg1.BGHUrteilvom25.1.1984,FamRZ1984,356.
15)Vgl.BGHUrteilvom21.12.198$,FamRZ1989,487.
lfi)Vgl.BGHUrteilvom20.5.1981,FamRZ1981,752.
17)Vgl.BGHUrteilvom26.10.1984,FamRZ1985,50.
18)こ の 点 は 、 連 邦 法 務 省 案 に は 盛 り込 ま れ て い な か っ た が 、 政 府 案 に お い て 新 た に 加 え ら れ た 。
19}RegE,5.26.
20)RegE,S.26.
21)RegE,S.27.連 邦 通 常 裁 判 所 も 最 近 の 判 決 で こ の よ う な 考 え 方 を 示 し て い た(Vg1.BGH, Urteilvom6.10.2004,FamRZ2005,23[25])。 こ れ に よ り 、 離 婚 配 偶 者 は 、 婚 姻 中 に 長 年 に わ た り 自 分 の 職 業 の 適 正 よ り も 低 い 職 業 に 従 事 し て い た 場 合 に お い て 、 自 己 の 比 較 的 高 い 職 業 の 適 性 に 基 づ い て 扶 養 を 要 求 す る こ と を 拒 ま れ る こ と に な る 。
22}RegE,S.27.
23)政 府 案 の 目 指 す 離 婚 配 偶 者 の 扶 養 請 求 権 の 制 限 の 基 礎 に は ど の よ う な 考 え 方 が あ る か 。 政 府 案 の 説 く と こ ろ は 次 の と お り で あ る 。 婚 姻 に お い て 合 意 さ れ た 分 業(所 得 活 動 、 家 事 労 働 、 子 ど も の 教 育)に 基 づ い て も た ら さ れ る 夫 婦 の そ れ ぞ れ の 給 付 は 同 等 の 価 値 を も っ て い る 。 し た が っ て 、 夫 婦 は 、 原 則 と し て 、 協 同 で 獲 得 さ れ た も の に つ い て 互 い に 同 等 の 持 分 権 を 有 し て い る 。 こ の 持 分 の 請 求 権 が 両 配 偶 者 の 扶 養 法 上 の 関 係 を も 決 定 づ け る が 、
し か し 、 そ れ は 、 期 間 を 限 定 さ れ ず 、 か つ そ の 程 度 を 変 更 す る こ と が で き な い 離 婚 後 の 持
ドイ ツに おけ る扶養法 の改正 につい て
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分 と い う意 味 に お け る 生 活 水 準 の 保 証(Lebensstandardgarantie)を 最 初 か ら 意 味 す る わ け で は な い 。 離 婚 後 の 扶 養 請 求 権 の 根 拠 は 、 基 本 法6条 か ら生 ず る と こ ろ の 継 続 す る連 帯(fortwirkendeSolidaritat)で あ る。 扶 養 を 必 要 とす る 一 方 当 事 者 に 対 す る こ の 継 続 的 な 責 任 は 、 扶 養 権 利 者 が 婚 姻 に お け る役 割 分 担 の た め に 、 特 に 共 通 の 子 の 監 護 ・教 育 の た め に 、 離 婚 後 に 自 身 の 生 活 費 を 支 弁 す る こ とが で き な い こ と に よ り生 ず る 不 利 益 の 調 整 を 要 求 す る 。 こ の よ う な 考 慮 が 、 共 通 の 子 の 世 話 を 原 因 とす る扶 養(BGBl570条)、 適 切 な 所 得 活 動 に 従 事 で き な い こ と を 原 因 と す る扶 養(BGB1573条)、 教 育 ・訓 練 の た め の 扶 養(BGBl575条)の 基 礎 とな っ て い る 。 婚 姻 に お け る 役 割 分 担 に基 づ く と こ ろ の 婚 姻 に 起 因 す る不 利 益 は 、 典 型 的 に は 、 婚 姻 の 継 続 期 間 と と も に 個 人 的 お よ び 社 会 的 な 影 響 が 生 じ
る た め 、 増 大 す る こ と に な る 。 そ の 結 果 、 個 々 の 場 合 に 長 期 に わ た る 扶 養 義 務 が 正 当 化 さ れ う る こ と と な る 。 しか し 、 この よ う な 不 利 益 が わ ず か で あ れ ば あ る ほ ど 、 自 己 責 任 の 原 則 に 照 ら して 、 衡 平 の 観 点 の も と扶 養 請 求 権 を 制 限 す る こ とが 必 要 と な る。 離 婚 後 に お い て も継 続 す る責 任 は 、 む ろ ん 、 婚 姻 に 関 連 す る不 利 益 の 調 整 に 尽 き る も の な い 。 老 齢 、 疾 病 ま た は 適 切 な 所 得 活 動 に 従 事 で き な い こ とを 原 因 とす る扶 養 請 求 権(BGB1571条 、1572 条 、1573条1項)は 、 そ の 疾 病 や 職 に 就 け な い 状 態 が 婚 姻 お よ び そ の 形 態 と は ま っ た く関 係 な く生 じ て い る場 合 も あ る。 これ ら の 場 合 に お い て も、 離 婚 後 の 連 帯 の 無 制 限 の 継 続 は 、 衡 平 の 観 点 の も と、 不 相 当 で あ り う る。 こ こで も ま た 、 婚 姻 に よ る継 続 的 な 責 任 と 自 己 責 任 の 原 則 と の あ い だ の 緊 張 関 係 の 中 で 、 両 者 の 側 に とっ て 妥 当 で あ り適 切 な 解 決 策 が 見 出 さ れ な け れ ば な ら な い 。BGB1570条 以 下 の 定 め る 現 行 の 扶 養 構 成 事 実 は 、 い か な る理 由 に よ り離 婚 後 に 一 方 配 偶 者 に 他 方 の た め に 責 任 を 負 わ せ る こ と が 正 当 化 さ れ る か と い う基 準 に よ っ て は 区 別 して い な い 。 これ ら の 扶 養 構 成 事 実 は 、 確 か に 離 婚 後 の 自 己 責 任 の 原 則 に 従 っ て 解 釈 さ れ な け れ ば な ら な い が 、 現 行 法 は 衡 平 の 考 慮 の た め の 具 体 的 な き っ か け を 提 供 して い る とは い え な い(Vg1.RegE,S.29f.}。
24}RegE,5.31.
25}RegE,5.31.
26)RegE,5.31.
27}Rego,5.32.
28)わ が 国 に お け る 養 育 費 等 の 算 定 の 簡 易 化 ・迅 速 化 の 取 り組 み に つ い て は 、 東 京 ・大 阪 養 育 費 等 研 究 会 「 簡 易 迅 速 な 養 育 費 等 の 算 定 を 目 指 して 一 養 育 費 ・婚 姻 費 用 の 算 定 方 式 と算 定 表 の 提 案 」 判 タ1111号285頁 以 下(2003年)。
29}Regelbetrag‑Verordnungvom6.4.1998(SGBI.IS.666,668}
30)1ユ ー ロ ≒150円 で 換 算 した 。 ドイ ツ と 日 本 で は 物 価 が 異 な る た め 、 金 額 の 単 純 な 比 較 は で き な い が 、0応 の 目安 と して 換 算 した 。
31)大 津 千 明 『離 婚 給 付 に 関 す る 実 証 的 研 究 』(日 本 評 論 社 、1990年)162頁 、 鈴 木 眞 次 『離i
婚 給 付 の 決 定 基 準 』(弘 文 堂 、1992年)42頁 参 照 。
〔資 料〕現 行法 と政府案(抜 粋)の 対照 条文
現行規定 政府案
BGB1569条 政 府 案1569条(自 己 責 任 の 原 則)
夫婦 は、 離婚後 、各 自が 自己の生活 費 を 夫婦 の一方 は、 離婚後 に 自己の生活 費 を 支弁 す る責任 を負 う。夫婦 の一 方が 離婚 自 ら支 弁 す る こ とが で きな い とき は 、 他 後 に自己の生 活費 を 自 ら支弁 す る こ とが の一 方 に対 して 法 の 定 め る と こ ろ に よ り で き な い と き は、 他 の 一 方 に対 して 、 法 扶 養請 求権 を有 す る。 の 定 め る と こ ろ に よ っ て の み 扶 養 の 請 求
を す る こ と が で き る 。
BGB1570条(子 の 世 話 を 原 因 と す る 扶 政府 案i570条(子 の世話 を原 因 とする扶
養) 養)
夫婦 の0方 は、離婚後 、共 通 の子 の監護 夫婦 の一 方 は、 離婚後 、共通 の子 の監護 また は教 育 のた めに所得活 動 を期待 され また は教 育 のた めに所 得活 動 を期待 され え な い場 合 お よ び そ の 限 りに お い て 、 他 え な い場 合 お よ び そ の 限 りに お い て 、 他 の 一 方 に扶 養 を請 求 す る こ とが で き る。
の一 方 に扶 養 を 請 求 す る こ とが で き る。 この と き、 子 の 世 話 の 現 に存 在 して い る 可 能 性 を も考 慮 す る もの とす る。
BGB1514条(適 切 な 所 得 活 動) 政府 案1574条(適 切 な所得 活動)
(1)離 婚 配偶者 は、 適切 な所 得 活動 を行 (D離 婚 配偶 者 は、 自己に適 切 な所得 活 う責 任 を 負 う。
動 を行 う必要 が あ る。 (2)離 婚 配 偶 者 の教 育 、 能 力 、 か つ て の (2)離 婚 配 偶 者 の 教 育 、 能 力 、 年 齢 、健 所 得 活動 、年齢 お よび健康 状態 に相応 な 康状 態 お よび婚 姻 中の生活 状況 に相応 し 所 得 活 動 は適 切 で あ る。 た だ し、 そ の 所
た所 得活 動 は適切 で あ る。 婚姻 中 の生活 得 活 動が婚 姻 中の生 活状況 に よ り妥当で 状況 につ いて は、婚姻 の継続 期 間 お よび な い と き は この 限 りで は な い 。 婚 姻 中 の
共通 の子 の監護 または教育の期間が考慮 生活 状況 につ いて は、特 に婚姻 の継続 期
さ れ る 。
間 お よび共 通 の子 の監護 また は教育 の期(3)省 略 間 を考 慮 す る もの とす る。
(3)省 略
BGBi578条(扶 養 の程 度) 政府 案1578条(扶 養 の程度) (D扶 養 の程 度 は婚姻 中 の生活状 況 に よ
り決定 され る。 婚姻 中の生 活状況 に よ る 扶養 料 の算 定 は、特 に婚 姻 の継続 期 間、
な らび に家 事 労働 お よび所得 活動 の役 割 (1)扶 養 の程度 は、婚 姻 中の生 活状 況 に 分 担 を考 慮 し、第1文 に よ る算 定 を期 間 よ り決定 され る。扶養 はすべ て の生 活需
を限定 しな いで行 うこ とが妥 当で ない限 要 を 含 む。
りにお い て、 そ の程 度 を期 間 的 に制 限 (2)省 略 し、 その後 は適切 な生 活需要 に引 き下 げ (3)省 略 る こ とが で き る;扶 養 権 利 者 が 一 時 的 に
で はな く共通 の子 を単独 で また は主 とし て世 話 して お りまた は世 話 していた とき
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は 、 この 限 りで は な い。 子 の世 話 の期 間 は婚 姻 の継 続 期 間 と同 等 に扱 わ れ る。 扶 養 はす べ て の生 活 需 要 を含 む 。
(2)省 略 (3)省 略
政府 案1578b条(不 当 で あ る こ とを理 由 とす る扶 養 の減額 お よ び期 間制 限) (1)婚 姻 中の生活 状況 に基 づ く扶 養 請 求 権 の算定 が扶養 権 利者 に監 護 また は教 育 の た めに委 ね られた共通 の子 の利益 の保 護 を考慮 して も不 当で あ る ときは、 離 婚 配偶者 の扶養請 求権 は相 応 な生 活需 要 に 減額 され る。 この場合 にお いて、特 に、
婚姻 に よって 自己の生 活費 を支弁 す る可 能性 に関す る不利 益が どの程 度 生 じたか が考 慮 され な けれ ばな らない。 この よ う
な不 利益 は、特 に、共通 の子 の監 護 また は教 育 の期 間、婚 姻 中の家 事 お よび所得 活動 の役 割分 担 な らび に婚姻 の継 続 期 間 か ら生 じ うる。
(2)扶 養 請 求権 の期間制 限 を行 わ な い こ とが 扶養権 利者 に監 護 また は教 育 の た め に委 ね られ て い る共通 の子 の利益 の保 護 を考 慮 して も不 当で あ る ときは、 離 婚 配 偶者 の扶養 請 求権 は期 間 を制 限 され る。
第1項 第2文 お よび第3文 を準用 す る。
(3)扶 養 請求権 の減 額 お よび期 間制 限 は 同時 に行 うこ とが で きる。
BGB1579条(扶 養 義 務 の 制 限 ま た は廃 政府案1579条(著 しく不 当 で ある こ とを
止)理 由 とす る扶養 の制限 または拒絶)
扶養請 求権 は、扶 養権 利者 に監 護 また は 教育 の ため に委 ね られた共 通 に子 の利 益 を考慮 して も、扶 養 義務 者 へ の要求 が下 記 の 事 由 に よ り著 し く不 当で あ る とき は、 拒絶、 減額 また は期 間 を制 限 され う る。
1.婚 姻 の継続 期 間が短 い こ と この場 合 において、権 利者 が共通 の子 の監護 また は教育 の ため1570条 に よ り扶 養 を要 求で きた期 間 は、婚姻 期 間 と同等 に扱 う もの とす る。
(第2号 〜第7号 省略)
扶 養請 求権 は、扶養 権利 者 に監護 また は 教 育 のた めに委 ね られ た共通 の子 の利益
を考慮 して も、扶養 義務者 へ の要 求 が下 記 の 事 由 に よ り著 し く不 当 で あ る とき
は、 拒絶 、減額 また は期 間 を制 限 され う る。
1.婚 姻 の 継 続 期 間 が短 い こ と この と き、扶 養権 利者 が共 通 の子 の監護 また は 教 育 のた め に1570条 に よ り扶 養 を請 求 す る こ とが で き る期 間 が考 慮 され う る。
2.扶 養権 利 者 が固定化 され た生活 共 同体 において生 活 して い るこ と
(第3号 〜 第8号[現 行 法 の第2号 〜 第 7号]省 略)
BGB7582条(複 数 の 扶 養 需 要 者 の順 位 政府 案1582条(複 数 の扶養 権利 者が あ る
関係)場 合 の離 婚配偶 者 の順 位)
(1)離 婚 配 偶 者 の 扶 養 の 算 定 に つ い て は 、1581条 の 場 合 に は、 離 婚 配 偶 者 が 新 配 偶 者 よ り も優 先 す る。 た だ し、 新 配 偶 者 が1569条 な い し1574条 、1576条 お よ び 1577条1項 を 準 用 す る とき に は扶 養 権 利 者 とな る場 合 に は、 この 限 りで は な い。
新 配 偶 者 が これ らの 規 定 に よ り扶 養 請 求 権 を有 す る と して も、 離 婚 配 偶 者 が1570 条 また は1576条 に よ り扶 養 の権 利 を有 し
て お り、 また は離 婚 した他 方 配 偶 者 との 婚 姻 が 長 期 間 で あ った とき は、 離i婚配 偶 者 は新 配 偶 者 よ りも優 先 す る。 離 婚 配 偶 者 が 共 通 の 子 の 監 護 また は教 育 の た め に 1570条 に よ り扶 養 の 権 利 を有 して い た 期 間 は婚 姻 期 間 と同等 に扱 う もの とす る。
(2)そ の他 の 点 は、1906条 に従 う。
BGB1585c条(扶 養 に 関 す る合 意)
夫婦 は、離 婚後 の扶 養義務 に関 して合意 す る こ とがで き る。
複数 の扶養 権利 者 が存在 す る場 合 には、
離婚 配偶 者 の順 位 は1609条 に従 う。
政 府 案1585c条(扶 養 に 関 す る 合 意) 夫婦 は、離婚後 の扶 養義 務 に関 して合 意 す る こ とが で き る。 離婚 の法 的確定 力 の 生 ず る前 に行 われ る合意 は、公 証 人証書 に よ るこ とを必要 とす る。
BGB7609条(複 数 の 扶 養 需 要 者 の 順 位 政府 案1609条(複 数 の扶 養権 利者 が ある
関係)場 合 の順 位)
(1)複 数 の扶養 需要 者 が存在 し、 かつ扶 養 義務 者 が そのす べて の者 を扶 養 す るこ
とが で きない ときは、1603条2項 の定 め る子 はその他 の子 よ りも優先 し、子 はそ の他 の卑属 よ りも優 先 し、卑属 は直系尊 属 た る親族 よ りも優 先 し、 そ して直 系尊 属 た る親族 の間 で は親 等の近 い者 が親等 の遠 い者 よ りも優先 す る。
(2)配 偶 者 は1603条2項 の定 め る子 と同 順位 にあ る;配 偶者 は その他 の子 お よび 他 の血族 よ りも優 先 す る。婚 姻が解 消 さ れ た場合 には、扶養 権 利者 た る配偶 者 は 第1項 の意 味 にお け るその他 の子 な らび に扶 養義務 者 の その他 の血族 よ りも優先 す る。
複数 の扶 養権 利者 が存在 し、かっ扶 養 義 務者 が そのすべて の者 を扶養 す る こ とが で きない ときは、扶 養 は次 の順 位 に よ り 行 われ る。
1.未 婚 の未成 年 の子 お よび1603条2項 の 定 め る子
2.子 の世話 のた め に扶養 の権 利 を有 す る 父 母 の一方 な らび に婚姻 期 間が 比較 的長 期 間 の配偶者
3.第2号 に含 まれ ない配 偶者 4.第1号 に含 まれ ない子 5.孫 お よび その他 の直 系卑属 6.父 母
7.そ の他 の直系血族;直 系血 族 の 中で は 親 等 の近 い者 が 親 等 の遠 い 者 に優 先 す
る。
ドイ ツにお ける扶 養法 の改 正 につ いて
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BGB1612a条(未 成 年 の 子 に つ い て の 扶 政 府 案1612a条(未 成 年 の 子 の 最 小 限 の
養 の供 与 の 方 式)扶 養)
(1)未 成 年 の 子 は、 生 計 を 同 じ く して い な い 父 母 の 一 方 に対 し、 通 常 扶 養 料 額 規 則 に よ る扶 養 料 の0定 割 合 の額 を そ の 年 齢 段 階 に応 じて 請 求 す る こ とが で き る。
(2)〜(5)省 略
(1)未 成 年 の 子 は、 生 計 を 同 じ く して い な い 父 母 の一 方 に対 し、 最 小 限 の 扶 養 と して 、 所 得 税 法32条6項1段 に よ る子 の 生 存 の た め の 最 低 限 度 の 控 除 額(児 童 控 除)の 倍 額 を基 準 に、 年 齢 段 階 に応 じて そ の 一 定 割 合 の額 の 扶 養 料 を毎 月 請 求 す る こ とが で き る。 そ の 月 額 は、 児 童 控 除 の倍 額 の12分 の1に 子 の 年 齢 段 階 に応 じ た 以 下 の パ ー セ ン テ ー ジ を乗 じて 算 出 す る も の とす る。
1.7歳 未 満 の 子(第 一 年 齢 段 階)に つ い て は 、87パ ー セ ン ト
2.満7歳 か ら13歳 未 満 の 子(第 二 年 齢 段 階)に つ い て は 、100パ ー セ ン ト
3.満13歳 以 上 の子(第 三 年 齢 段 階)に つ い て は 、117パ ー セ ン ト
(2)省 略
(3)第 二 段 階 お よび 第 三 段 階 の 年 齢 段 階 の最 低 限 の扶 養 は、 子 が 該 当 す る年 齢 段 階 に達 す る月 の初 め か ら適 用 され る。
*政 府 案 に つ い て は 、 本 稿 で 紹 介 し た 主 要 な 一 部 分 の み 翻 訳 し た 。 政 府 案 で は 、 こ の ほ か に 、BGBI585b条2項 、1604条 、1612条 、1612b条 、16151条 が 改 正 さ れ て お
り 、 ま た 、1361条3項 、1577条2項 が 一 部 修 正 さ れ 、1573条5項 、1586a条1項2
段 が 削 除 さ れ て い る 。 な お 、BGBの 改 正 に 伴 い 、 民 事 訴 訟 法 お よ び 生 活 パ ー ト ナ ー シ ッ プ 法(Lebenspartnerschaftsgesetz)の 改 正 も 予 定 さ れ て い る 。
(本学法学部講 師)