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井上和義

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熱帯医学 第15巻 第2号105−112頁,1972年6月       105

ケニヤ国、リフトバレー州立病院 (ナクル市)における 外来及び入院患者についての細菌学的検査の諸経験

井上和義

長崎大学医学部附属病院中央検査部(主任:糸賀 敬教授J 長崎大学熱帯医学研究所ウイルス学部門(主任:林 薫教授〕

(1973年5月27日受付〕

は  じ  め  に

1971年9月から1972年9月までの1年間,著者ほ我 が国の医療協力専門家(臨床細菌〕とLてケニヤ,ナク ール市にあるリフトバレー州立病院に滞在する機会を 得た・州立病院に於ての主な任務は現地技術者に対す る臨床細菌検査の技術的な協力と指導という事であっ たが,我々が現地に着任した時点での現地検査室の状

況は誠にお粗末で,各種機械の不備及び試験管等消耗 品の不足ほ如何とも出来ず,我々が我が国からの供与 資材とLて準備Lた器材の到着するまでの間は満足の 出来る協力も指導も出来なかった.ここでは現地技術 者が実施していた細菌検査の状況と,資材到着後約2 ケ月の間に検索Lた集計結果について報告する・

検  査  材  料 検体ほ当州立病院の入院及び外来患者より細菌学的

検査の目的をもって提出されたものを用いた・それと 当検査室ほリフトバレー州の検査室でもあるので地方 の各診療所尊から送付されて来たものも検査の対象と した。しかL一般の細菌検査に対する知織が低く,検 体採取容器の滅菌不完全,採取時及びその後の処置

特に遠方より送付されて来た検体の中にほ可成りの日 数を経過Lたものもあり細菌検査の意味をなさないも のもあった,そこで著者ほ比較的無菌的に採取された と思われた膿,分泌液,髄液,胸腹水及び暗出演につ いて検査を実施Lた白

捜  査  方  法 検査材料別の分離培地ほ下記のとおりで,薬剤感受

性ディスクほOxoid製1濃度法を用いた.

噴出疾 i

‑〒三<1

血液寒天培地(5 %保存血加

Tryptycase Soy agar√〕

BTB培地

チョコレート培地 血液寒天培地

BTB培地 GAM寒天培地

チォグリコレート培地(TGC〕

陶・腹水

髄  液

i

i

血液寒天培地 BTB培地 GAM培地

チォタF.]コル‑卜培地

血液寒夫培地 チョコレート培地 チォグリコレート培地

GAM培地

培養時間は好気性でほ24時間,嫌気性はピロガロ

‑ル法(栄研)に俵てたて48時間で判定したが, TGC

(2)

106       井  上  和  義 ほ1週間まで観察し陰性の場合は検査を打切った・髄

液の場合の血液寒天,チョコレート培地はローソク法 で48時間培養した・暗疾については検体採取時の轍い 等の処置及び暗疾の洗浄ほ行わずつとめて膿性部を接

種するように心掛けた・好気性菌の同定ほ成書に従っ たが嫌気性菌はグラム染色性と形態によって分類した・

現地技術員の検査方法についてほ考察の項で述べる・

成         揖 衰1・ 1971年12月より1972年2月までの 3ケ月間

に現地技術員が検査した集計である・検査件数1高097 件,最も多く碇出されているものは尿で次いで便,膿, 分泌液,暗疾の順に少く,胸・腹水,血液はさらに少 く,髄液ほ1例も提出されていない・培養陽性ほ膿及 び分泌液が絢50鬼′ともっとも高く,ついで暗疾,尿, 磨,血液の順に低く胸・腹水からは1例の陽性もなか

った・検出株数ほ陽性例数と全く同数である・

表1各検体別の検体数(現地技術員による〕

1971 ・ 12‑1972 I 2

No  G ro ut h No  P at ho ge ni c

検 体 総 数 出 株 数       ァ58 ⁚検

3 3 8 3 2 S   f t   S 退 1

2     ー      5

鼻 咽 頭

胸・腹 水 歴分泌物

血   液

物触尿分  膿 計尿糞  叫 c‑10"*i‑Hり340実a詣

coco^LOi‑iincMoo,‑i731ワ︼29∧Uハリ3rHCOi‑HCMrH

5 4 1 6 3 3 3 2

2  ー 4

5 4

亡U

L O   C O   C T

>

0 0 U

O>CO CO^*0>

CM  1 0  i f

t f 2 5 5 9 5 3 廿

532

7 凸U34 643

蓑2・分離された菌種の検体別頻度である・ E.

coliが最も多く分離されているがこれほ糞便よりの ものが多く含まれているからであろう, Staphylo.

aureus及び albsは隈及び分泌液尊から多く分離さ れておりE・ coliもほぼ同様であるが,ただ尿道分 泌液からほ少い・ Proteusは膿より最も多く分離され ている・暗疾及び鼻咽喉よりほD・ Pneumoriaの分 離ほ比較的高いが β‑streptococcus の分離ほ少くま た Klebsiella の分離が1株もあってない・ α・Stre‑

ptococcus, Neisseria 等は常在菌としてみれば当然

表2 検体別の細菌分離頻度(現地技術員による〕

1971 ・ 12′一4972  2

尿道分泌物

尿

血   液

腔分泌物

Sta・ aureus Sta・ albs D・ Pneumonia

♂‑Streptococcus α‑    〝 St・ Feacahs N・ Gate E. Coli Klebsiclla Proteus Pseudomonas

Sal. typhi

rH Cvl LO O> CJ ^

3 1 5

F= 17 (U1

2 4 2 1 00<>cM iH

l   1

3 1

L=KJIaワ︼

1 7 5 2 2 2 2  ー ー  4

48 1 2i 1

便

1 30

2 71 8 1 18 9 5 118 9 20 2 1

6・    2312 :65168 2915530346

の分離頻度であろう・

表3・グラム(一分樟菌の薬剤感受性試験の成績で ある・ E・ coliはGM,NAに90%, SXT, NFに 約鮒%と高い感受性を示したが, CMにほ43・9%

TCにはさらに 29・2%の低感受性であった・ Kleb‑

siellaは E・ coliと同様な傾向を示したが, AM, TCには感受性がなく CMにも極度に低感受性であ る ProteusほGMにのみ85%の感受性を示Lた のみでその他の薬剤にはあまり高い感受性はない・

S・ typhi.ほ1株のみであったがSDをのぞいて100

%の感受性であった・

蓑4・グラム(+)球菌の薬剤感受性試験の成鋳で ある・ Staphylo・ aureusはEM. CB・ SXT に高い 感受性があり albs も同傾向であるが, AMに比較的 高い感受性を見せているように aureus に比較して Penicillin 系に幾分高い感受性を示Lている・株数 の少い菌種もあるがα‑strept. D・ pneumoniaはい ずれも P‑Gに低感受性であり, S・ feacalis ほ

(3)

ケニヤ回,リフトバレー州立病院〔ナグル市のにおける外来及び       107 入院患者についての細菌学的検査の諸経験

表3 グラム「‑〕梓菌の薬剤感受性率 (現地技術員によるの

1971 12‑1972‑ 2

a

S X T

C A G

M M M

カ甘三t芸

E. C℃1i Klebsiella

Pseudom℃nas S. Typhi

%

79.6 55 5

43.9 IMI proteus j65. 0│70. 0 075.0

]

21 9」92.5 0 35.0 50.0

78.0≡29.2恒o.2

10087.5≡  α 100 85.055

50.0

lOOi 100 100 100 10I̲二言,.'とL三

0 0 00i

[

9

4

0 1

表4 グラム〔+の球菌の薬剤感受性率 (現地技術員にはるの

1971 12‑1972  2

S X T

CIA

L

M弓M

T

C

S I E

D M

Sta. aureus Sta. albs β―strept℃

α―strepto S. Feacahs

D, Pneumo‑

nia

% 79'. 7 775

41.651.1 34.7i77.1

c 率I

B G

…冒・王≡9.7 17.1て92.6 92.7喜i,≡

℃ 100 100! 100: 0 100 100

65.5 10088.878.5た6・6 10033.3≡ 2.2 100

60.0

75.0⊇ ・3

140.0てo・o

72.26―4.6 [

F

F

12.5 405

S株

M―数

∃84 70 100 1 朗―囲 18 10075.055.5 Oj 9

・oo 100≡50.0≡ 0」 8 .oo ol o !5 10055.5

100 100

N. Cataralis j 100 100

表5 薬剤感受性ディスクの種類と含有濃度

Penicillin―G

Tetracyclin Erythromycm Trimethoprim

Cloxacillin Streptomycin Ampicillin Sulphadiazin Bactrium Kananycin Gentamycin Polymyxin B

Neomycm

Nitr℃furantoin

Nalidixix acid

〔P‑G〕

(TO :EM)

(Triの CCB ) (SMの

〔AMの

〔SDの

〔SXTの

〔KMの

〔GMの (PoBの (Ne Mの (NFの (NDl

1 unit 25 meg 15 〝 25

5 10 10 250 25 30 10

々ケ

//

250 unit 30 meg 200 unit 30 meg

TCにも同様低い感受性であった.使用したディスク の薬剤名と含有隈度は表5に示すとおりである.

蓑6, 7.著者の検査した各種検体別の分離頻度と 菌種別頻度を示す,髄落は31例中陽生18例58.0昏%

の検出率であり菌種は蓑に示すとおりである.ニの中 で1例の Salm℃nella をのぞいて他は全てTGCに

表6 検体別分離頻度と検出株数

〔著者によるの

1972* 6‑々1972* 8

髄  液 胸・腹水

晴  疾

丁;三

― 80

120 58

13  181

12 ―  7

9   71 0   62

250 ―き8――」i w―竺」―が竺

58

36:井―アざ 88.75'122 si.ee]79

226 蓑7 各菌種の検体別分離株数

〔著者によるの

1972‑ 6っ‑4972  8

m&

5 1 13

‑≡‑  享,I̲ ‑‑

23 19 Sta. aureus   ≡

Sta. epidermidis β―Strept℃coccus α‑Streptococcus Enter℃c℃ecus Dip. pneumonia Heam℃philus Salmonella

Citr℃bacter E. C℃1i Klebsiela E. Cloaca Enterobacter

Morganella proteusl

1

20行7

5 6 10 3 1 1

pseu℃monas

腸内細菌類似菌  4

1 12

I 2 4 2

計   … 76  80

l≡巨

F

1

主で‑I.

: :;

1

31 23 13 1 9 5 20 1 6 19 22 7 5 4 4 4 4

6 ― 16 178

(4)

108      井  上  和  義 よって分離したもので,また,これらの症例ほただ1

回のみの検出でありContaminationを考慮して連続 Lて何回かの検体提出を求めたが実現出来なかった・

胸水及び腹水は36%の検出率で菌種は蓑に示してい るがこれも髄液同様にTGCよって分離したものであ る.膿よりほ舶・75%の検出率で分離菌種も全般に亘 っているが特にStaphylo, aureus高 epidermidis及 びE, coliが多く分離された・ Proteus は他の検体 からほ分離されなかった・暗疾ほ51・66%の検出率で あるが,これには口腔内常在菌としての α‑strepto, Neisseriaのみ分離された症例は含んでいない.分離 菌種は Heamophilus が紳25%と最も多く, β‑

strept・ Klebsiellaがこれについで多く分離された・

D・ Pneumoniaはやや低い頻度であったが使用した 血液寒天に依る影響等も充分考慮すべき事と思う.普 た結核菌を目的として損出された検体の中で膿性癖の

場合ほ全て‑般細菌の培養を試みたがこれらの検体は 地方の診療所からのものが多く含まれていたので採取 後の時間の経過等も影響があると思う,しかLこれら

の検体で結核菌(‑〕でHeamophilusが分離された 症例が可成りあった・

蓑8.グラム陽性球菌の薬剤感受性試験の集計であ る sta. aureus 及び epidermidisはともにEM, CBに高い感受性を示したが他の葉芽r布いこついてほあま り高い感受性ほなかった・ βstrept・, α・strept,及 びD, Pneumonicは SM に対Lて耐性である以外 ほ高い感受性を示し Enterococcusほ EMをのぞ いて低感受性であった・

表9・グラム(‑〕梓菌の薬剤感受性試験の集計で ある. KlebsiellaはAM 40・9鬼, TCつ68.1%, SM 64.7%と,比較的に低い感受性をのぞいて高い感受性 を示Lており, E・ coliも大体同傾向であった・

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1973 à"6-1972 à"8

(*tK.J: *)

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Tri CB S

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1.

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| 100 J 88.

8J

100 J 3

1 2 3 13 1

9

5 Sta. aureus

Sta. epidermidis jS-streptococcus

a- //

Enterococcus Dip.pneumonia

^A(+)^O^:

1972à" 6-1972à" 8

C^gKU; *)

*

* A

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loo : o 100 o o lool 100 o

66.6 0 100

100 75.0

% 22

40.

9 68.

1 78.

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76 83.

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1 52.

6 100 68.

7 5 20.

0 40.

0 100 40.

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| 100 75.

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0 100 10 0 100

4 50.

0 25.

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0 75.

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4 78:

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0 100 100 100 80.

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100 100 100

100 100 100 100 78.

6 92.

3 Klebsiella

Citrobacter

E. Coli

Enterobacter Proteus E. cloaca Morganella Pseudomonas

m <H- s Heamophilus

(5)

ケニヤ国,リフトバレー州立病院(ナク分レ市〕における外来及び        109 入院患者についての細菌学的検杏の諸経騒

Citrobacter は全薬剤に対Lて高度感受性であり Heamophilus も全般的に高い感受性を示した・菌種 によって多少の相違・はあるがグラム(‑〕梓菌はAM・

TC・ SMに対してほ低感受性であった・

衰10・嫌気性菌に関する集計である.真に示Lてい るように髄液,胸・腹水からほ1例の嫌気性菌も検出 する事が出来なかったが,これほ嫌気方法の考慮,秩 体採取に対する注意等によって変るものと考える・隈

よりほ培養陽性の中で21.1%の検出率であり分離菌 種はグラム(+〕球菌18株,グラム(+)梓菌4株,

グラム(−〕梓菌1株であった・薬剤感受性は菌種に 関係なく SMに耐性で,グラム(岬〕梓菌はCB,

EMにも耐性であり,その他の薬剤にほ全般的に高い 感受性を示した・参考に当検査部細菌検査室の最近1 ケ年間のデータを示す.

表10  嫌気性菌検出状況と薬剤感受性(著者による)

1972・6−1972・8

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II

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122 35

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0 16.6 i66.6 16.6

考         察

現地技術者の検査法について述べる前に,当時の検 査室の状況について触れると,検査室としては狭小な がらも各sectionに分れており,洗浄室も,洗浄専 属の人員も配置Lてあり,形態としてほ一応の形をと とのえていた・また機械績も細菌検査室を中心にLて みれば乾熱滅菌器(サクラ製)1台,フラン器(サク ラ)1良 単眼顕微鏡(オリソパス〕1台,オートク レーブ(不明)1台,冷蔵庫(共用〕遠沈機(共用)

と揃ってはいたが我が国から供与されたものが大部分 である・しかL,いずれも保守が悪く,例えば顕微鏡 ほ光源が紛失,レンズほ日々の手入れが充分になされ ていないので曇っており,フラン器はコンセントの接 着部が悪く,たびたび温度が 400c−42ロCまで上昇

する事があったが彼等は全く無頓着であった・オート クレーブは非常に旧式で滅菌に時間がかかりすぎ一日 2回の操作ほ勤務時間内にほまず無理であった・乾熱 滅菌器は一応使用する事が出来たが驚いた事に温度計 がなく,彼等の滅菌方法を見てみると,滅菌物を滅菌 器に入れてある時間経過Lた後,それも決った時間を 定めることなく取出して使用していた・滅菌に要する 温度,時間ほ無視されており,著者が試みに温度を測 定Lてみると1000c−1100Cであり,この温度で滅 菌出来たとする彼等の細菌学的感覚にまず恐れいった ものである・Lかし滅菌操作は洗浄員の作業であり技 術員がそれについての点検を行なわない事も我々にと っては考えられない事であった・このようにして滅菌

(6)

tin 井  上  和  義

長崎大学医学部中央検査部における最近1年間の成績     昭・ 47・ 1‑12

趣胸水!‑i髄液車刺液!血液j嚇

頭液鼻粘

検  体  数

Staphylo. aureus

〝 epidermidis α・streptococ亡uS β‑ 〝

拍‑ M Enterococcus D・ pneumoniae

グラム陽性梓菌 Micrococcus Salmonella Edwardsiella Citrobacter E・ coli Yersinica Klebsiella

aerogenes Enterobacter

aerogenes

〝 cloacae

〟 liquefaciens Hafnia

Serratia

Proteus vulgaris

〝 mirabilis Morganella Rettgerella Providencia Aeromonas Plesiomonas Pasteurella Actinobacilus Comasconaw Comphylobacter Flavobacteriun Pseudomonas

腸内細菌類似菌 Haemophilus

LOtOLOcoococDinT‑i^i‑It」>LOrH,‑ILDC^I6

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胆汁 尿

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したシャーレに,滅菌した培地を分注しても雑菌が発 育するのほ解かりきった事であろうが,彼等の培地作 成方法ほ,シャーレに分注した培地が困るとただちに 氷室に保存し,用にのぞんで取出して使用していたの である・氷室から取出した時点でほ雑菌の発育ほわか らないのでそのまま使用していたのであろう・著者が 彼等の作った培地を氷室に入れる前と後とそれぞれフ ラン器に24時間放置して無菌試験的な操作を行なっ

てみると,殆んどのものにシャーレの底と側面に雑菌 の発育があったのである・例えばこのようにして作っ た培地に検体を接種すれば表面には検体からの細菌の 発育があるだろうが,底部と側面に発育した雑菌によ る潜血があれば,表面に発育した細菌の溶血性を読む 事は不可能であり,また表面にも側面よりの雑菌の浸 入がある事も多くそれらほすべてContaminationで 処理されていたのである・

(7)

ケニヤ国,リフトバレー州立病院(ナクル市〕における外来及び        111 入院患者についての細菌学的検査の諸経験

次にシャーレ等の消耗品であるが,ガラスシャーレ が100杖程嵐 小試験管ほ細菌用にほ殆んどなく同定 用の培地等を作る事ほ出来なかった・スライドグラス ほ殆んどが再製であり洗浄の不完全さと,数回の洗浄 によるキズ等で正常な鏡検を期待するのが無理であっ た・

以上のような背景を考慮に入れて彼等の検査方法を みると,使用培地ほ血液寒天(5%保存血液寒天用培 地)てッコソキー培地,糞便にはデソキシコレイト培 地とマッコンキー培地を用い,一枚の平板を4等分L その各々に別々の検体を接種,一夜培養後判定,純培 養することなく直接に白金耳にて釣菌し薬剤感受性試 験等を実施,このような操作での培養で孤立集落が得 られるかどうかほ細菌検査の基本的問題であるが,シ ャーレの数が少いと云う事でこのような操作をLてい た.集計をみればぁかるように糞便からほE・COliの 検出のみで他の細菌,特にSalmone11a,Shige11aの)

検出が1例もないが,このような事ほ考えられないこ とである・しかし純培養に発育Lた以外ほたとえ混合 発育があったとしても再分離する事ほ至難の技である・

さらに喀演算ではグラム陰性梓菌の検出が1例もあっ てないが,これはチョコレート培地を使用していない のでHeamophilusの検出が出来ないことと,グラム

(・〕梓菌の発育があってもNon,Pathogenesisの一 言で片付けられていたのである・既ち検査室で病原菌 かどうかを決定しているわけで,喀痍の場合町 査 strepto・等の口腔内常在菌ほともかくとLてグラム

(−〕樟菌,あるいほ膿,分泌液等から検出された数 種の菌をどう云い理由で非病原菌とするか理解に苦L んだ事である.そしてそのような例が20−30%の頻 度で報告されていたのであり,これが陽性例1件につ いて1種の菌種しか検出されていない理由である・

血液,髄液ほトリプチィケースブイヨンを分往Lた ネジ栓付培養瓶に入れて1退から2週間培養Lていた が,培養期間中に観察する事ほ殆んど行なわず一定の 期間培養すると云う事だけである・著者が幾度となく 発育があるのを指摘したがそれを分離培養した事はな

く,また嫌気培養を試みているのも殆んど見た事はな かった・

同定ほ糖培地等をある程度は準備Lていたがそれほ 使用せず彼等の検索ほ殆んどが肉眼判定で,・マッコソ キー培地上の乳糖分解菌ほE・Coli・ムコイド発育ほ Klebseillaであり,血液寒天上の)staphylo,StrePtO 属の鑑別もすべて肉眼によるものである・またSaト

mone11a・Shig・ellaの因子血清ほ用意してあてたたか,

使用期限はすでに切れており保存状態も悪くて使用に 耐えるものではなかった.

以上のような検査方法での集計成績と我が国のそれ を比較する事ほ相当に無理があると思う・しかし現地 でほ特定の細菌についての報告はあるがこのような検 査室全般の細菌についての報告はない・だが,検索上 に消耗品の不足と云うようないろいろの制約があると しても細菌検査とLてほあまりにもお粗末と云わざる を得ないし,臨床家に不満があったのも無理からぬ事 である・

次に著者の検索Lた集計成置こついてみると,暗痍 ほ51.6唱%の陽性率で最も多く分離されているのほ Heamophilusである・これはチョコル/rト培地を使 用した事によってこれだけの検出があった訳で我が国 の報告と比較Lても遜色ない検出率である・また前に も述べたように喀癖の採取及び提出等ついての注意,

あるいは使用する血液の種を変える事によって検出率 はさらに上昇する筈であろうし Heamophilus が呼 吸器疾患の原因菌とLて種々論じられている現況を考 えると充分な検索を試みたかった.次いでβ−StreptO−

coccusが多く, これほノミシトラシソに感受性であっ たのでA群と考えられるが,喀痕から分離とLては当 然高い頻度であると思うし,鼻咽喉よりの培養を試み れば更に検出率は上昇すると思う− D.Pmneumonie は精々低率であったがこれほ使用Lた血液が保存血で あったのでその点も考慮すべきであろう・

Klebsiella も高い比率で分離されたがこれもTyping 等を充分に実施すれば呼吸器疾患の原困菌としての意 味が明確になる事であろうと思われる・是非検討を望 みたいものである・隈,分泌液からはStap血ylo属が 多く分離されたがその他の菌種も全般に亘って分離さ れた・嫌気性菌も21.1%に検出されているが可成り 高い検出頻度と云える.嫌気性菌はグラム(+〕球菌 が多く分離されたが} ニの膿及び分泌液には女性々器 及び尿道分泌物ほ含んでいないのでこのような検出頻 度になったと考えられる・また嫌気方法がピロガロー ル法のみに‡、つた事・あるいほ使用培地等を考慮すれ ば分離頻度も菌種も大きく変る事は充分考えられる事 である・

髄液及び胸・腹水からほ前述LたようにS・tyPhi をのぞいてTGCに依っての検出であり,Contami−

nationを考えて再度の提出を希望した・しかLTGC に発育を認めたのが殆んどの例で2−3日複であり,

(8)

112 井  上  和  義

す患者の退院とか,その他臨床側への連絡が充分でなか つたりの事情で試みる事が出来なかつたのは残念であ った.特に Meningococcusによる髄膜炎は可成り 報告されており,それを含めて1例の嫌気性菌も検出 する事が出来なかったが,検討した例数が31例に過 ぎなかったので止むを得なかつたとしても充分に検討 したい問題であつた.

薬剤感受性試潔はグラム(+)球菌すについてみると, staphylo. aureus は Ap. P‑Gに極度に低感受性 であり, TC・ SMにも高い感受性があるとは云えな い・使用した感受性ディスクが違っており,また,チ ィスクにっいては種々問題もあるので我々の検査部で の集計と比較してみる事は無理かもしれないが, P‑

G AM Te. SMについてはいずれも我が検査部での 成績が高度感受性であり, EMについては逆に現地で

の感受性が高く epidermidis についても同様の傾 向である. Enterococcusを除く Streptococcus 及 び D. pneumonic についてはSMに耐性で事ある が我が検査部と同様であり自然耐性かどうかの問題も 例数を増す事によつてより正確に解明出来る事と思う.

Enterococcus はEMに高度感受性である事が特徴 であるがP‑G. AMについては我々の検査部とは相 違して耐性であつた.

グラム(‑)桿菌についてみると, Klebscilla. E.

coliについて云えば極度に低感受性を示す薬剤はな く, Citrobacterは全般的に高い感受性を持っており, Heamophilus も同様に高度感受性であった.全般的 にみてグラム(‑)桿菌はグラム(+)球菌に於ける p‑Gのように特定の菌種に対して極度に低感受性と 云う事はないようであるが,現在までどのような薬剤, が主に使用されて釆たかiにも依る事てンあってそのすOシか

らもこのような集計の必要を痛感した・

わずか2ナ月の集計であり現地の気候,風土等を考 えてみればさらに長い期間にわたつての集計を実施し なければ細菌の状態についての正しい考療は加えられ ないと思う.それと現地技術員に対する臨床医の評価 をあげ,不正確な情報によっての抗生物質の濫用を避 けるためにも更に充分な技術的な援助と検索を望みた

いものである.

結         語 ケニヤ,ナクール市にあるリフトノバレ‑州立病院に

於て細菌検索を実施したが,現地技術員の検索した結 果の集計は,検査の過程で種々問題があり集計の意味 をなさなかつた・

著者の検索した集計では培養陽性頻度は我が国のそ れと比較して遜色はなかった.

髄液,胸・腹水からは嫌気性菌を検出する事が出来 なかつたが,培養方法等に留意する必要があると考え

る.

薬剤感受性にっいては,使用したディスクの問週 現在まで使用されて来た抗生物質について考慮する必 要があるが,我が国の成績とは可成り違つた態度を示

した.

結核菌については培養途中のものが大部分であった のでここには触れなかった・

参  考  文  献

1)衛生検査技術講座 微生物学,医歯薬出府1969・

2)坂崎利一:栄研学術叢書第I集, 1969.

3)佐々 草地:熱帯病学,東京大学出版会, 1967.

4) I. PHillips, J. Midglay : East African Med, Journal. 440. vo1 47. No.8 19アO.

5) E. NNOChiri : East African Med. Journal.

641. vol. 47. No 120 1970‑

6) W. D. Foster : East African Med. Journal.

vol. 4アNo. 10. 1970.

7)水谷昭夫:臨床病理. vol. 15, No・10, 1967・

8)永浜 勤:臨床病理, vol. 15, No.10, 1967.

9)小栗豊子:衛生検査第2o回学会記念論文集, 1971, 1o)井上和義.他:三光シリーズ, M‑5.

1I)境涯勝彦:臨床病理19補449. 197I.

12)中村 功他:最新医学, vol.27, No.12, 1972.

1 3)長崎大学医学部附属病院検査部細菌室集計成蘇,

19ア1.

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