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地 方公務 員労働者 にお ける 労働条件決 定 システ ムの法的研究 ・下

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地 方公務 員労働者 にお ける 労働条件決 定 システ ムの法的研究 ・下

一 小 樽 市 職 員 の事 例 の 実証 的法 的考 察 を とお して 一

一・

は じめ に

一 .職 員の労働条件への適用法規及びその決定過程の関係行為者 二.職 員 と して の任用 と個 別 的労働 条 件 の適用(以 上,51巻2,3号) 三.職 員 の職 員組 合へ の加 入 と集 団的 労働基 本権 の意義

四.職 員 の個 別 的労働 条件 の具 体 的決 定過程

五.職 員 の個 別 的労働 条件 の変 更 と紛 争及 び法 的解 決 シス テム お わ りに(以 上,本 号)

三.職 員 の 職 員 組合 へ の加 入 と隻 団的 労 働 基 本 権 の意 義

1.職 員 団 体 の 組 織 と組 合 員 の 権 利 義 務 (1)職 員 団 体 の 意 義

小 樽 市 に採 用 され た 職 員 に適 用 され る労 動 条 件 は,直 接 に は地 公 法24条 第 6項 に よ り制 定 され た小 樽 市 の条 例 に具 体 的 定 め が な され て い る。 この 条 例 の具 体 的 内 容 は,職 員 組 合 と任 命 権 者 で あ る市 長 又 は そ の 補 助 機 関 で あ る助 役 との 交 渉 に よ っ て確 定 され,こ れ が 条 例 案 と し て市 長 か ら市 議 会 に議 案 と

して 送 付 さ れ,議 会 で 審 議 さ れ て 条 例 の 制 定 改 廃 が な され て 公 布 施 行 さ れ る こ とに よ り,職 員 の労 働 条 件 の権 利 義 務 と して 適 用 さ れ て そ の 法 的効 力 が 付 与 され る。 この 出発 点 で,職 員 の 側 の 交 渉 当 事 者 と して の 役 割 を 果 た す 職 員 組 合 の 組 織 及 び そ の組 合 員 の 権 利 義 務 を概 観 す る。

小 樽 市 職 員 の 地 公 法 上 の 職 員 団体 は,二 団体 あ り,市 役 所 職 員 労 働 組 合(市

〔295〕

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職 労)及 び 市 立 病 院 職 員 組 合(病 職)で あ る 。 また,地 公 労 法 上 に よ り労 組 法 一 部 適用 の 労 働 組 合 は,一 団 体 で あ り,水 道 労 組 が あ る 。 これ らの 三 組 合 は,そ れ ぞ れ の行 政 組 織 に対 応 した 団体 で あ り,組 合 員 の重 複 加 入 もな く, 組 織 的 に は,独 自 の 規 約,会 計,役 員,執 行 機 関 及 び意 思 決 定 機 関 を有 す る 独 立 した組 合 で あ る 。 例 え ば,人 事 異 動 に よ っ て,財 政 部 か ら水 道 局 へ 異 動 した 職 員 は,市 職 労 組 合 員 の 資格 を喪 失 し,水 道 労 組 に加 入 す る こ とに な り, 逆 も同 様 で あ る。 各 組 合 は,通 常,個 別 の 職 場 組 合 員 の 所 属 す る各 部(局)

の 部 長(局 長)と 日常 的 に交 渉 を行 う こ と に な る 。 た だ し,市 職 員 全 体 に係 わ る 労 働 条 件 につ い て は,三 組 合 が 合 同 で,市 長 又 は そ の 補 助 機 関 で あ る助 役 と共 同 の交 渉 を行 う。 この 共 同 の 交 渉 を 行 う た め に,三 組 合 は,市 役 所 職 員 労 働 組 合 連 絡 協 議 会(市 連 協)と い う協 議 機 関 を設 け て,交 渉 事 項 につ い て協 議 し,共 同 し て市 連協 交 渉 の た め の連 絡 協 議 を行 う。 後 述 の とお り,職 員 団体 と労 働 組 合 の 権 能 に は様 々 な 面 で法 的 な 相 違 が あ る が,現 実 の 交 渉 で

は,三 組 合 が 合 同 で 市 連 協 交 渉 を展 開 す る た め に,各 組 合 の 権 能 の相 違 は ほ と ん ど問 題 に な っ て い な い 。

こ れ らの 組 合 の 内,地 公 法 適 用 の 職 員 団体 の 二 団 体(市 職 労,病 職)に い て は,い ず れ も地 公 労 法 附 則5項 適 用 の 少 数 の 単 純 労 務 雇 用 職 員(雇 員 〉 も混 合 加 入 して い るが,地 公 法 適 用 職 員 が 多 数 と な っ て組 織 され て い る の で 地 公 法 上 の 職 員 団体 と さ れ る 。 た だ し,市 職 労 に お い て は,単 純 労 務 雇 用 職 員 で あ る組 合 員 の絶 対 的 人 数 も多 数 に な る た め,こ れ らの組 合 員 で 構 成 す る 職 員 団体 内 部 の 補 助 機 関 と して 「現 業 評 議 会 」 を 結 成 し,独 自の 規 約,執 機 関,決 議 機 関,会 計 及 び役 員 を設 け て い るが,こ れ は,名 称 に か か わ らず 地 公 労 法 に よ り一 部 労 組 法 適 用 と な る労 働 組 合 に 該 当 す る と い う実 態 が あ る 。

また,地 公 法52条5項 に よ り団 結 権 が 否 認 さ れ て い る消 防 職 員 につ い て は, 消 防行 政 研 究 会 とい う法外 の任 意 団 体 が 組 織 さ れ,独 自の 規 約,役 員,財 政 及 び 方 針 を持 っ て お り,市 連 協 と連 携 した活 動 を展 開 す る。 同研 究 会 は,市 連 協 の 会 議 や 対 市 交 渉 に は 参 加 しな い が,市 職 員 全 体 に 共 通 す る課 題 毎 に,

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必 要 な都 度,市 連 協 の 職 員 組 合 の 会 議 や 集 会 等 に オ ブザ ーバ ー 参 加 して情 報 交 換 や 学 習 活 動 を行 っ て 実 質 的 な 団結 体 と して の 集 団 的 活 動 を展 開 す る。 た だ し,直 接 に任 命 権 者 で あ る消 防 長 と交 渉 す る た め の 団 結 体 を 結 成 す る法 律 上 の 権 限 は 消 防 職 員 に 与 え られ て い な い の で そ の 活 動 範 囲 は大 き く制 約 さ れ て い る1)。

次 に,職 員 団 体 の構 成 範 囲 で あ るが,地 公 法 第52条 第3項 に よ り 「管 理 職 員 等 」 とそ れ 以 外 の 職 員 が 同 一 の 職 員 団体 を組 織 す る こ と は で き ない とさ れ て お り,同 条 第4項 で 「管 理 職 員 等 」 の 範 囲 を公 平 委 員 会 規 則 で 定 め る こ と と され て い る 。 小 樽 市 管 理 職 員 等 規 則 で,詳 細 に 定 め られ て い る が,現 実 に は 次 の 問題 を抱 え て い る2)。 す な わ ち,管 理 職 員 等 の み に よ る職 員 団 体 は組 織 され て い な い の で,管 理 職 員 等 の 労 働 条 件 につ い て は集 団 的 関 係 で 任 命 権 者 と交 渉 す る こ と は な され て い な い 。 そ の た め,管 理 職 員 自 身 の 労 働 条 件 に つ い て 協 議 す る場 が 保 証 され て い ない とい う問 題 が あ る。 法 制 度 上 は,管 理 職 員 等 の 独 自の 職 員 団体 を組 織 して,任 命 権 者 と交 渉 す る こ と も可 能 で あ る が,現 状 で は,職 員 の 任 免 に 直接 の 権 限 を有 しな い 課 長 職 まで 「管 理 職 員 等 」

1)交 渉 以外 の 団体 活動 を展 開す る他 に,労 働 安全 衛生 委員 会や 高齢 者再任 用検 討委 員会 等 の組合 側 か ら委員 を推 薦す る各種 委 員会 には,組 合推 薦の 委員 と して参加

して,審 議検 討 に携 わ る とい う実 態が あ る。

2)「 管 理 職員 等」 は集 団的 交渉 権 の保 証 が ない ため に,安 易 にそ の上 司か ら業 務命 令 が な され る傾 向が あ る。例 え ば,1997年 に小 樽港 に米 空母 イ ンデ ィペ ンデ ンス が入 港 した 際 に,見 学 者 の整理 た め に市 の 管理 職員 が,港 湾管 理者 で あ る小 樽市 長 の職務 命令 で整 理 員 と して相 当 数動 員 され たが,そ の理 由は,核 兵器 搭載 が疑 わ れ る空母 の入港 反対 を主張す る職員組 合 の組 合員 を動 員す るの が困難 で あ る と い う理 由の外 に,土 曜 日,日 曜 日に勤務 を命 じて も,事 前 に職員 団体 と協議 も必 要 ない し,時 間外 勤務 手 当の 支給 も必要 ない とい う ことが挙 げ られ る。 また,同

じ時 期 に,市 街地 に ヒグマが 出没 した 際 に,管 理職 員が,命 令 によ って,小 中学 校 の通学 路周 辺 で,生 徒 の登 下校 時 間帯 な どに,一 定期 間,交 替 で見 張 り番 に立 っ たが,こ れ も本 来 は危 険 を伴 な う業 務 であ っ たが 同様 の 問題 があ った。 さ らに, 管理 職 手当 その もの も,小 樽市 行 革実施 計 画や 直接 に は市財 政の窮 迫 を理 由 に, 同 じ時期 に,当 分 の 問 と して一 部 削減 され現 在 に到 った ま まにな って いる。 管理 職 員 の労 働 条件 につ い て の集 団 的交 渉 ル ー ルが確 立 して い ない こ とに問 題が あ る。

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に 区 分 して そ の 範 囲 の 広 さ の妥 当 性 に 問 題 が あ る と考 え られ て い る。3) さ らに新 しい 問 題 と して,職 員 が,国 や 道,一 部 事 務 組 合 及 び 第3セ ク ター な どへ 「派 遣 」の名 目で 在 籍 出 向 す る場 合 が あ る 。具 体 的 に,北 海 道 開 発 庁, 北 海 道 教 育 庁,石 狩 湾 新 港 管 理 組 合,市 観 光 協 会 な どの 実 例 が あ り,こ れ ら

の 派 遣 職 員 の組 合 関係 が 問 題 に な っ て い る 。 一 面 で は,市 職 員 の 身 分 は保 持 した ま ま で あ り,他 面 で は勤 務 時 間 な どは,派 遣 先 の命 令 に従 う こ と に な る の で,そ れ ぞ れ の 側 面 で 職 員 へ の 適 用 法 規 と交 渉 相 手 並 び に 団結 権 の 主 体 と して の 組 合 の法 的 位 置 付 け の 特 定 を念 頭 に 置 い た検 討 が 必 要 に な る。4)

(2)職 員 組 合 の 組 織 と運 営

次 に,職 員 組 合 の具 体 的 組 織 及 び 運 営 と組 合 員 の権 利 義 務 を,労 働 条 件 決 定 シ ス テ ム との 関 連 で概 観 す る。 小 樽 市 職 員 の 二 つ あ る 地 公 法 上 の 職 員 団体 の うち,行 政 機構 が 簡 素 で 職 種 の 同 質 性 も高 い,市 立 小 樽 病 院職 員 組 合 の例 で見 て み る5)。

組 合 員 が 労 働 条 件 決 定 にあ た っ て,職 員 組 合 に対 して 有 す る権 利 は,個 人 的労 働 条 件 と集 団 的 労 働 条 件 の二 つ あ る。 第 一 に,個 々 の 組 合 員 の 個 別 的労 働 条 件 決 定 に つ い て は,組 合 規 約4条1項 で 組 合 の事 業 と して労 働 条 件 維 持 改 善 が 規 定 さ れ,同8条 で 組 合 員 に組 合 の事 業 へ の参 加 の 権 利 が 保 障 さ れ て い る こ とか ら,個 別 組 合 員 か ら,組 合 役 員 に 個 別 的労 働 条 件 につ い て そ の権

3)「 管 理 職 員 等 」 の 範 囲 に つ い て は,地 公 法 第52条 第3項 た だ し書 き に よ り,① 重 要 な行 政 上 の 決 定 を行 う職 員,② 前 記 ① の 決 定 に参 画 す る管 理 的 地 位 職 員,

③ 職 員 の 任 免 に 直 接 権 限 を 持 つ 監 督 的 職 員,④ 職 員 団 体 と の 関 係 で 当 局 の 機 密 に 接 し,職 員 団 体 の 構 成 員 の 誠 意 と責 任 と に 直 接 抵 触 す る 監 督 的 地 位 職 員,⑤ 職 員 団体 との 関 係 で 当 局 の 職 務 を 遂 行 す る 職 員,で あ る 。

4)大 阪 高 裁,平11.11.26判 決(兵 庫 地 労 委21世 紀 ひ ょ う ご創 造 協 会 事 件),「 労 働 判 例 」782号67頁,同 事 件 第1審 神 戸 地 判,平10.11.27判 決,「 労 働 判 例 」782 号72頁 で は,県 か ら第3セ ク タ ー へ の 派 遣 職 員 の 派 遣 先 で の 関 係 につ い て,労 組 法 上 の 労 働 者 性 を 第1審 は肯 定 して,控 訴 審 は 否 定 し,そ れ に応 じて,県 職 員 の 職 員 団 体 の 労 組 法 適 用 性 は い ず れ も 否 定 され た 。

5)市 立 小 樽 病 院 職 員 組 合 発 行 の 『 賃 金 ・労 働 条 件 の しお り』(2000年 度 版)に 収 載

さ れ て い る 同 組 合 の 規 約 集 を 参 照 す る 。

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利 行 使 と して の相 談 が あ れ ば,職 員 組 合 は そ れ に応 じて何 らか の 対 応 を行 い, 必 要 が あ れ ば 個 別 組 合 員 の委 任 を受 け て,当 局 と交 渉 す る義 務 が発 生 す る。

第 二 に,職 員 全 体 また は多 数 に 共 通 す る か,場 合 に よ って は一 人 で あ っ て も 集 団 的 意 義 を有 す る 労 働 条 件 事 項 につ い て は,個 々 の 組 合 員 か らの 役 員 へ の 要 求 や,機 関 会 議 で職 場 組 合 員 の 意 見 集 約 の 結 果 を 踏 ま え て,組 合 と して の 要 求 を確 認 し,当 局 に 交 渉 を要 求 し,そ の 交 渉 結 果 を 組 合 機 関 と組 合 員 に報 告 す る義 務 が 発 生 す る 。 こ れ らに お い て発 生 す る組 合 の 義 務 は,委 員 長,副 委 員 長 及 び 書 記 長 の組 合 三 役 とそ の 他 の執 行 委 員 とい う組 合 役 員 の 任 務 の 中 で履 行 さ れ る こ とに な る。

これ らの 職 員 組 合 の 意 思 形 成 過 程 で,決 定 的 役 割 を 果 た す の は前 述 の 組 合 機 関 で あ る 。 規 約10条 で,大 会,職 場 委 員 会,執 行 委 員 会 が あ り,代 議 員 で 構 成 さ れ る大 会 が 組 合 の 最 高 機 関 で あ り,こ れ に次 ぐ議 決 機 関 は 職場 代 表 か らな る職 場 委 員 会 で あ り,執 行 委 員 会 は,大 会 と職 場 委 員 会 で意 思 決 定 さ れ た 事 項 の執 行 機 関 とな る。 組 合 役 員 で 執 行 委 員 会 を構 成 し,組 合 役 員 は全 組 合 員 の 直 接 無 記 名 秘 密 投 票 で 選 出 され て(規 約25条),当 局 との 交 渉 に あ た る。

な お,組 合 役 員 の 氏 名 は,公 平 委 員 会 へ の登 録 申請 書 へ の 記 載 を要 す る(地 公 法53条1項)こ と と され,組 合 役 員 に変 更 の あ っ た場 合 に も届 出 を要 す る

(地 公 法53条9項)の で,役 員 選 挙 を執 行 して 大 会 が 終 了 し,役 員 の任 期 が 始 ま る と,毎 年,直 ち に 公 平 委 員 会 に組 合 役 員 変 更 届 を提 出 す る。 公 平 委 員 会 は,変 更 届 の 審 査 の後 に,届 に よ っ て登 録 した 旨 を,職 員 団 体 に 通 知 す る (地 公 法53条5項)。 な お,法 外 の 事 実 と して,公 平 委 員 会 は,任 命 権 者 に も職 員 団 体 か らの 役 員 変 更 届 に よる登 録 が あ っ た 旨 の通 知 を行 う。 これ に よ っ て,当 局 は,交 渉 に お け る組 合 役 員 の 氏 名 を把 握 して 交 渉 委 員 とな る職 員 を特 定 し,勤 務 時 間 中 の 適 法 な交 渉(地 公 法55条8項),職 員 団体 の た め の 職 員 の 行 為(地 公 法55条2)の 適 用 範 囲 とな る職 員 を特 定 す る。

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2.職 員 団 体 の 権 利 義 務 と 団 体 交 渉

職 員 団 体 の 権 利 義 務 の基 礎 は,第 一 に,憲 法28条 の 団 結 権 及 び そ れ に 関 連 す る地 公 法52条1項3項 本 文 の規 定 で あ る。 そ れ に よ る と,「 職 員 が そ の 勤 務 条 件 の維 持 改 善 を 図 る こ と を 目的 と して組 織 す る 団体 又 は そ の 連合 体 」(地公 法52 条1項)と 定 義 さ れ,結 成 加 入 脱 退 が 自由 な オ ー プ ン ・シ ョ ップ 制 を採 用 して い る(同 条3項 本 文)。 小 樽 市 の 先 の 病 職 の 規 約 第6条 は,組 合 員 の 加 入 脱 退 につ い て,書 面 に よ る執 行 委 員 長 へ の届 出 制 を定 め て い る。 新 規 採 用 職 員 は, 辞 令 交 付 が あ り研 修 後 に職 場 に 配 置 さ れ る と,数 日後 に会 議 室 や 組 合 事 務 室 に 集 め て職 員 組 合 の組 織 と運 営,組 合 員 の権 利 義 務,職 員 の労 働 条 件 と決 定 シス テ ム の概 要 を説 明 し,そ の場 で 加 入 申 込 書 を提 出 して も ら う。 実 態 と して,職 員 組 合 へ の 加 入 率 は,加 入 資 格 の な い 「管 理 職 等 」(地公 法52条3項 た だ し書 き) を除 い て97〜98%に な る。 職 員 組 合 に とっ て,当 局 との 交 渉 力 の 源 泉 は組 合 員 の 組 織 率 に か か る の で,職 員 組 合 の 日常 活 動 の 大 部 分 は,団 結 の 維 持 とそ の 意 識 向 上 を 目指 す た め に 行 わ れ て い る とい うの が 実 態 で あ る。 当 局 側 に とっ て, 組 合 の 組 織 率 は,組 合 費 の チ ェ ッ ク ・オ フ協 定 に よる 組 合 員 名 の把 握 に よ り可 能 に な っ て い る6)。

第 二 に,職 員 団 体 の権 利 と して,中 心 的 な もの は憲 法28条 の 団体 交 渉 権 及 び そ れ に 関連 す る地 公 法55条 の交 渉 で あ る。 職 員 が,職 員 団 体 を結 成 して,団 結 体 と し て の 職 員 組 合 との 関 係 で 一 定 の 権 利 義 務 の 関係 に入 る の は,労 働 条 件 決 定 過 程 に お け る当 局 との 交 渉 に 直 接 間接 に 参 加 し,実 際 にそ の交 渉 の 成 果 を 享 受 す る こ と を 目指 す か らで あ る 。 地 方 公 務 員 労 働 者 の 労 働 条 件 決 定 シス テ ム の 中 で,実 際 に 中 心 的役 割 を果 た す の は交 渉 で あ る。 労 働 法 上 で労 働 条 件 決 定 シ ス テ ム で い う労 使 対 等 決 定 の 原 則(労 基 法2条)も,協 約 締 結 権 を前 提 とす る 団体 交 渉 権 を踏 ま え た 原 則 で あ り,協 約 締 結 権 を 除 く と,交 渉 とい う点 で は, 公 務 も民 間 も同 一 性 を有 す る とい え る。地 方 公 務 員 に お け る 場 合 の 交 渉 過 程 を,

6)職 員 の給 与支払 方 法 に銀行 口座 振 り込み 制度 を導 入す るにあ たっ ての労 使交 渉の 結果,組 合 費 の控 除協 定が 締結 された(小 樽 市職 員 の給与控 除 に 関す る条例2条 11号)。

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図表5.職 員団体 の交 渉経 過概 念 図

A.職 員 団体(地 公法 第52条)

職員 の勤 務条 件 の維持 改 善 を図 る要 求

B.適 法 な交 渉 申入 れ(地 公法 第55条 第1項)

申 入 れ 相 手:地 方公 共 団体 の当局(地 公法 第55条 第1項)

相手 の適格 性:交 渉事 項 を適法 に管 理決 定 で きる当局(地 公 法 第55条 第4項) 申入 れの 効果:当 局 は,「 申入 れ に応 ずべ き地位 に立 つ もの とす る」

職員 団体 に属 しない職 員 との 関係:不 満 の表 明,意 見 申 し出 自由否 定 され な い(地 公 法第55条 第11項)

B〜 地 方公 共団体 か ら職 員 団体へ の提 案(規 定 な し)

C.予 備交 渉

(地公 法 第55条 第5項 第2文 必要 な事 項 をあ らか じめ取 り決 め て行 う」) 議 題1給 与,勤 務 時 間そ の他 の勤務 条件 及 び附帯 す る社交 的厚 生 的事項

(地公 法第55条 第1項)

除外 事項 管理 運営事 項(地 公法 第55条 第3項) 時 間

場 所

交渉 員の 員数 の範 囲:職 員 団体 が役 員 の中 か ら指 名す る者 と当局 の指名 す る

(地公 法 第55条 第5項 第1文)

職 員 団体 が役 員以外 の 者 を指名(文 書で 委任 を証 明) (地公 法 第55条 第6項)

その他 必 要事項:交 渉 員以外 の組合 員 の傍聴 参加,写 真撮 影等(規 定 な し)

D.本 交 渉(地 公 法第55条 第1項 適法 な交 渉」)

適法 な交 渉 は勤 務 時 間中 に も行 うこ とが で きる(地 公 法第55条 第8項) この場 合 に は,任 命権 者 は職務 専念 義務 を免 除す べ きこ ととなる

(地公 法 第35条)

また,条 例 の規 定 が あれ ば給与 を受 け なが ら交渉 を行 う (地公法 第35条 の2第6項)

さらに,適 法 な交 渉 の前20〜30分 程 度 の時 間,予 備交 渉 の必要 最小 限の 時 間

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は給与 減額 の対 象 とな らな い(昭 和41・6・21自 治省 公 務員課 決 定)

E.交 渉結果

O団 体 協約 締 結権 を含 まない(地 公 法第55条 第2項)

書 面協 定 を結ぶ こ とが で きる(地 公法 第55条 第9項)

た だ し,法 令,条 例,規 則,規 程 に てい触 しない限 りで双 方 の誠 意 と責 任 を もっ た履 行(地 公法 第55条 第10項)

書面 協 定 を結 ばない 合意(規 定 な し)

合 意 な し(継 続協 議,決 裂)

交 渉打 ち切 り(地 公 法 第55条 第7項)

予備 交 渉の取 り決め(地 公法 第55条 第5,6項)に 適合 しない場合 他 の職 員の 職務 の遂 行 を妨 げる場合

地 方公 共団体 の事 務 の正 常 な運営 を阻害す る場 合

あ くま で も地 公 法 の規 定 に従 っ て そ の構 造 を 図示 す る と次 の よ うに な る。

こ の よ う な職 員 団体 の 「適 法 な交 渉 」 に は,実 態 と比 較 す る と次 の よ うな 問 題 が あ る 。 第 一 に,地 公 法 第55条 は,職 員 団 体 の 側 か ら の交 渉 申 入 れ につ い て 規 定 して い るが,現 実 の 交 渉 は,地 方 公 共 団 体 の 当 局 か らの 交 渉 申入 れ も多 く, そ れ ぞ れ 半 々程 度 の 割 合 に な る 。 職 員 団体 か らの 交 渉 申入 れ は 「組 合 要 求 」 と 観 念 され,逆 に,当 局 側 か らの 交 渉 申 入 れ は,「 当 局 提 案 」 と観 念 され,そ ぞ れ 対 等 の もの と理 解 され て,相 互 に相 手 側 の交 渉 申入 れ に は応 ず べ き立 場 に 立 つ もの と捉 え られ て い る。 職 員 団 体 で あ る組 合 か ら要 求 の 申入 れ が あ っ た 場 合 に は,当 局 は,結 果 と して 要 求 実 現 に な る か否 か は別 と して も最 低 限,交 渉 に 応 ず るべ き義 務 が あ る と双 方 か ら理 解 され て い る 。 逆 に,組 合 は,当 局 の提 案 が あ る場 合 に は,交 渉 の結 果,そ の提 案 が 合 理 化 提 案 で あ り,労 働 条 件 低 下 を内 容 とす る こ とが 明 らか で あ っ て も,最 低 限,交 渉 の テ ー ブ ル につ い て議 論 す る義 務 が あ る と考 え ら れ て い る。 い わ ば,こ の よ う な 当局 の 「提 案 権 」 と組 合 の 「要 求 権 」 に対 す る交 渉 応 諾 義 務 が 相 互 に存 在 す る と い う意 味 で,交 渉 に

臨 む に あ た っ て,労 使 は対 等 の 立 場 を有 し て い る とい う実 態 に あ る。

第 二 に,交 渉 の意 義 につ い て,実 態 で は 次 の原 則 が 確 認 さ れ て い る。 す な わ ち,労 働 条 件 に か か わ る 当 局提 案 の 事 項 につ い て は,事 前 協 議 制 の 確 認,労 使

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地 方公務 員労 働 者 にお ける労 働条件 決 定 シス テム の法的研 究 ・下303 合 意 の 相 互 尊 重 及 び 一 方 的 強 行 の 回 避 を基 本 に進 め る と い う三 つ の 原 則 で あ る。 こ の こ とは,職 員 団体 と地 方 公 共 団 体 の 当 局 との 問 の 交 渉 で 確 認 され て お り,事 前 協 議 制 と呼 ば れ る 。 事 前 協 議 制 が 確 立 され て い る場 合 は,交 渉 で確 認 され た 原 則 に過 ぎ な い に も拘 わ らず,労 使 交 渉 の 実 質 を大 き く左 右 す る7)。 組 合 要 求 とい うの は,現 状 に対 して どの よ う に労 働 条 件 を変 更 して 欲 しい か を,

組 合 員 と双 方 の交 渉 当 事 者 に 共 通 の理 解 が 可 能 な 数 語 の短 い 文 章 に よ り明確 に 記 述 した もの 文 書 で あ るが,そ の多 くは現 在 と将 来 の比 較 が 可 能 な もの で あ る 。 そ れ に対 して,事 前 協 議 制 が,そ の 意 義 を発 揮 す る の は,当 局提 案 につ い て で あ る。 当 局 が,職 員 の 労 働 条 件 を変 更 す る場 合 に は,必 ず 職 員 団 体 で あ る組 合 に提 案 す る べ き こ とが そ の基 本 で あ る。 労 働 条 件 変 更 に該 当 す る か 否 か は,現 実 に は不 明 瞭 な場 合 が 多 い が,こ の こ と 自体 も交 渉 の 対 象 に な っ て い る。 しか し,当 局 が 労 働 条 件 該 当性 を 否 定 した と し て も,そ の 場 合 に は,組 合 側 が,交 渉 を要 求 す る こ とに な る の で,こ の 問題 の 実 質 的 な 意 味 は,組 合 側 が 当局 に よ る一 方 的 な 労 働 条 件 変 更 を,交 渉 ル ー ル で あ る事 前 協 議 違 反 と して 手 続 面 で も 追 及 す る こ と を可 能 にす る こ と に あ る。

第 三 に,地 公 法55条9項 の書 面 協 定 は,労 組 法 上 の 労 働 協 約 とは み な され ず (地公 法55条2項),単 な る紳 士 協 定 と取 り扱 わ れ て お り,労 組 法16条 の よ う な 規 範 的効 力 を有 す る も の で は な く,そ の 法 的 性 質 につ い て は 議 論 が 分 か れ て い るが,小 樽 市 と職 員 組 合 との 問 で の交 渉 で の現 場 で は書 面 協 定 は締 結 され て い な い。 書 面 協 定 が締 結 さ れ な い 理 由 と して は,書 面 協 定 の効 力 が 不 明 で あ る こ と,交 渉 結 果 を 口頭 の 約 束 で確 認 して も相 互 に尊 重 す る例 に な っ て い る こ と が挙 げ られ て い る が,最 も大 きい 理 由 は,法 令,条 例,規 則 及 び 規 程 に抵 触 し な い 限 りに お い て(地 公 法55条9条)と の 締 結 範 囲 の 法 上 の 限 定 が あ る の で,

7)「 事 前 協 議 制 」 は,特 段 の 法 的 根 拠 を 有 し な い の で,交 渉 対 象 と な ら な い 地 公 法54 条3項 の 管 理 運 営 事 項 に な る か 否 か で,事 前 協 議 の 対 象 と な る か ど うか が 常 に交 渉 で 問 題 と な る。 「北 海 道 新 聞 」(2000年11月8日 付)に よ る と,道 教 委 と北 教 組 が,1971年 に 締 結 し た 「 勤 務 条 件 に か か わ る こ とは す べ て 交 渉 事 項 」 とす る 旨 の

「四 六 協 定 」 は,地 公 法54条3項 の 規 定 に抵 触 して 「違 法 」 とす る 参 院 で の 文 相

の 見 解 を 踏 ま え,道 教 育 長 は そ の 見 直 し を示 唆 した と報 道 さ れ た 。

(10)

職 員 の 労 働 条 件 に 関 して 詳 細 に 規 程 さ れ た 条 例,規 則 及 び規 程 が 書 面 協 定 締 結 を 困 難 に して い る こ とに あ る。 こ う して,地 公 法 の書 面 協 定 締 結 の 規 定 は,有 効 に活 用 され て い な い し,そ の た め に職 員 組 合 と当 局 の 交 渉 結 果 に,疑 義 の な い 確 定 した 内 容 を付 与 す る こ と,及 び一 定 期 聞 に わ た る相 互 の拘 束 に も耐 え 得 る客 観 性 を確 保 す る こ とが 困 難 に な っ て い る。

第 四 に,交 渉 の結 果 に よ っ て,何 らか の 労 働 条 件 変 更(組 合 も 当局 も 「妥 結 」 と称 す る。)が あ っ た 場 合 に は,条 例,規 則 及 び規 程 の 変 更 を と も な う こ と に な り,当 局 は,市 議 会 に 条 例 改 正 議 案 を送 付 し,市 議 会 は そ れ を 審 議 して何 ら か の 議 決 をす る。 そ の 結 果 を受 け て,任 命 権 者 が 規 則 を制 定 し,規 程 を訓 令 と して 発 す る。 従 っ て,交 渉 の 結 果 の 実 現 に は,交 渉 合 意 事 項 が 直 ち に職 員 に 適 用 され る労 働 協 約 の よ うな 規 範 的効 力 を もつ の で は な い 。 職 員 組 合 が 法 的 に 関 与 す る 権 限 を有 し な い市 議 会 の条 例 制 定 権(憲 法94条,地 方 自 治 法14条1項) の行 使 を待 た な けれ ば な ら な い 。 この 点 は,民 間企 業 の 労 働 条 件 決 定 シ ス テ ム

との 最 も大 きな 相 違 点 で あ り,地 方 公 務 員 労 働 者 の勤 務 条 件 条例 主 義 の実 質 的 内容 を な して い る。

第 五 に,団 体 交 渉 権 及 び 団体 協 約 締 結 権 の制 約 に関 す る判 例 法 理 の視 点 か ら, 職 場 の 交 渉 の 実 態 を確 認 して み る と次 の こ とが 指 摘 で き る。 この 点 につ い て の 判 例 と学 説 そ の も の の検 討 は,別 の 機 会 の検 討 課 題 と して,本 論 で は判 例 法 理 を前 提 と しつ つ,そ の 職 場 に お け る法 適 用 にお け る 問 題 点 に触 れ て い く もの と す る 。 国 家 公 務 員 の職 員 団 体 の 団体 交 渉 権 につ い て の 現 在 の判 例 法 理 は,勤 務 条 件 法 定 主 義(憲 法73条4項)を 根 拠 に,勤 務 条 件 は 労 使 の 自 由 な 交 渉 で 定 め られ る の で は な く,法 律,予 算 に よ って 定 め られ8),公 務 員 に私 企 業 の よ うに 勤 務 条 件 の共 同 決 定 を 内 容 とす る団 体 交 渉 権 は認 め られ ず,国 会 の 意 思 と無 関 係 に 労 使 の 団 体 交 渉 で 共 同 決 定 す る こ とは 実 定 法 上 許 され ず9),立 法 上 の配 慮 に よっ て,財 政 民 主 主 義 の 原 則 の 下 に 国会 の 議 決 の範 囲 で 使 用 者 に 交 渉 権 限 が

8)全 農 林 警 職 法 事 件 判 決(最 大 判 昭48・4・25刑 集27巻4号547頁)

9)名 古 屋 中 郵 事 件 判 決(最 大 判 昭52・5・4刑 集31巻3号182頁),さ ら に 国 立 新 潟

療 養 所 事 件 判 決(最 三 小 昭53・3・28民 集32巻2号259頁)

(11)

地 方公務 員労 働 者 にお ける労 働条 件決 定 シス テム の法的研 究 ・下

305

与 え られ る10),と 整 理 で き る11)。 こ の よ う な 判 例 法 理 は,地 方 公 務 員 の 職 員 団体 の 団 体 交 渉 権 につ い て もあ て は ま る。 しか し,労 働 条 件 は,「 自由 な交 渉 」 か,条 例 や 予 算 か の い ず れ か で 決 ま る とい う よ う な 対 立 関 係 に あ る訳 で は な い 。 そ もそ も,実 態 上 で は,交 渉 が 事 前 に な さ れ な け れ ば,労 働 条 件 に 関 す る条 例 規 則 制 定 や 予 算 の 決 定 は あ りえ な い 。 市 議 会 に 職 員 の労 働 条 件 に 関 す る条 例 案 や 予 算 案 が 提 出 され て も,議 会 の 審 議 の 中 で は職 員 団 体 との 十 分 な協 議 を行 い, 労 使 合 意 が 持 た れ た か 否 か が,提 案 者 で あ る 市 当 局 に 問 わ れ る こ とに な る。 従 っ て,労 使 交 渉 の 結 果 と市 議 会 の 決 定 との 間 に は対 立 関 係 が あ る もの で は な い 。 む しろ,議 会 決 定 は労 使 交 渉 を前 提 と して お り,実 際,職 員 団 体 との協 議 や 何

らか の合 意 もな く条 例 が 提 出 され た例 は記 憶 す る限 り小 樽 市 にお い て は な い。

ま た,判 例 は,団 体 交 渉 権 を労 使 の 労 働 条 件 の 共 同決 定 を内 容 とす る権 利 とす るが12),実 際 の交 渉 の 内容 は,妥 結,同 意,了 承,不 調,保 留,継 続,抗 議, 決 裂,無 視,不 明 な ど無 限 の 可 能 性 が あ り,必 ず し も共 同 決 定 とい う内 容 に 限 定 さ れ ない13)。

10)前 注47.名 古 屋 中 郵 事 件 判 決

11)公 務 員 の 労 働 基 本 権 に つ い て の 最 近 の 研 究 と し て,渡 辺 賢 「公 務 員 の 労 働 基 本 権 」 講 座21世 紀 の 労 働 法 第8巻 『 利 益 代 表 シ ス テ ム と 団 結 権 』(2000年)189頁, 菅 野 和 夫 「公 共 部 門 労 働 法 一 基 本 問 題 の 素 論 一 」(1983年)法 曹 時 報35・10・1859

(一),35・11・2159(二),35・12・2411(三 ・完)参 照 。

12)「共 同 決 定 」と は,ド イ ッ 法 で は,経 営 組 織 法87条 の 従 業 員 代 表 委 員 会 の 共 同 決 定, ま た 共 同 決 定 法 に よ る 労 働 者 代 表 の 監 査 役 会 へ の 参 加 を い う(マ ン フ レー ト ・ レー ヴ ィ ッ シ ュ 著,西 谷 ・中 島 ・米 澤 ・村 中 訳 『 現 代 ドイ ツ 労 働 法 』(1995年)196 頁 以 下,279頁 以 下)。 この よ う な 制 度 的 保 障 が な い わ が 国 で は,内 容 を 明 確 に す

る 必 要 が あ る。

13)西 谷 敏 『労 働 組 合 法 』(1998年)31頁 は,「 憲 法28条 に よ っ て 保 障 さ れ る 関 与 権 は,

あ る事 項 に つ い て 他 者 と対 等 の 立 場 で 決 定 す る 権 利 とい う 意 味 で の 共 同 決 定 権 を

中 核 とす る」 と し つ つ,「 団 体 交 渉 を 共 同 決 定 と 同 一 視 す る こ と は で き な い 」 と

す る。

(12)

四.職 員 の個 別 的 労 働 条 件 の 具 体 的 決定 過 程

1.賃 金 決 定 過 程 の 法 律 的 構 成

職 員 の労 働 条 件 で も,そ の 中 心 を な す の が 「給 与 」 で あ り,こ れ が どの よ う に 決 定 され る か を次 に概 観 す る 。 「給 与 」 は,労 働 基 準 法 上 で い う賃 金(労 基 法24条1項)に 相 当す る が,た だ し,地 公 法58条3項 に よ り労 基 法24条1項 規 定 は,職 員 に は適 用 除 外 とな っ て い る 。 職 員 の給 与 決 定 方 式 は前 記 の勤 務 条 件 条 例 主 義 と して の 給 与 条 例 主 義 で あ り,市 議 会 の議 決 に よ っ て な され る。 具 体 的 に は,地 方 自治 法204条1項 に よ り給 料 及 び 旅 費 を,同 条2項 に よ り手 当 を, 普 通 地 方 公 共 団体 は,職 員 に 支 給 しな け れ ば な らず,同 条3項 に よ って,「給 料, 手 当及 び 旅 費 の額 並 び に そ の 支 給 方 法 は,条 例 で こ れ を定 め な け れ ば な らな い 」 と定 め られ る。 さ ら に,同 法204条 の2に よ っ て,「 い か な る給 与 そ の他 の 給 付 も法 律 又 は こ れ に 基 づ く条 例 に基 づ か ず に は 」支 給 す る こ とが で きな い 。ま た, 地 公 法24条6項 で,「職 員 の 給 与,勤 務 時 問 そ の他 の 勤 務 条 件 は,条 例 で 定 め る」

と規 定 され,同 法25条1項 で,給 与 は 「条 例 に基 づ い て支 給 され な け れ ば な ら ず,又,こ れ に基 づ か ず に は,い か な る金 銭 又 は 有 価 物 も職 員 に支 給 して は な ら な い」 と定 め る14)。

職 員 の給 与 決 定 の 法 的 原 則 と して は,地 公 法 の 規 定 で,① 職 員 の職 務 と責 任 に応 ず る もの で(同 法24条1項),そ れ が す み や か に 達 成 さ れ るべ き こ と(同

条 第2項),② 生 計 費 並 び に 国及 び 他 の 地 方 公 共 団 体 の 職 員 並 び に民 間 事 業 の 従 事 者 の 給 与 そ の他 の事 情 を考 慮 して 定 め」られ(同 条3項),③ 給 与 は, 条 例 で 定 め る こ と,又,こ れ に 基 づ かず に は い か な る金 銭 又 は 有 価 物 も支 給 し

て は な らな い こ と(同 条6項,同 法25条1項,3項)さ れ,④ そ の支 払 方 法 に つ い て は,「 通 貨 で,直 接 職 員 に,そ の 全 額 を」 支 払 う こ と(同 条25条2項) と さ れ,⑤ さ ら に,給 与 等 は,「 社 会 一 般 の 情 勢 に 適 応 す る よ う に,随 時,

14)地 方 自治 法,地 公 法 の 当 該 規 定 に よ り,小 樽 市 で は,小 樽 市 職 員 給 与 条 例(昭 和

46年 条 例 第3号)が 定 め られ る 。

(13)

地 方公務 員 労働者 にお ける労働 条 件決 定 シス テムの 法的研 究 ・下

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適 当 な措 置 を講 じな け れ ば な らな い 。」(同 法14条)こ と,⑥ ま た,「 この 法 律 の適 用 につ い て,平 等 に取 り扱 わ れ な け れ ば な らず,人 種,信 条,性 別,社 会 的 身分 若 し くは 門 地 に よっ て,又 は 第16条 第5号 に規 定 す る場 合 を 除 く外, 政 治 的 意 見 若 し くは 政 治 的所 属 関 係 に よ っ て差 別 され て は な ら な い」(地公 法13 条)と い うの 平 等 取 扱 い の 原 則 も職 員 の 給 与 決 定 決 定 に お い て 適 用 さ れ る。

しか し,こ れ らの 原 則 の 内,① は 地 公 法 第23条 の 職 階 制 を前 提 に した 給 与 原 則 で あ る が,職 階 制 はい ま だ 実 現 さ れ て い な い 。 同 条 は人 事 委 員 会 を 置 く地 方 公 共 団体 で 採 用 さ れ る もの と され て お り,従 っ て,公 平 委 員 会 を置 く場 合 に は 職 階 制 の採 用 は義 務 付 け られ な い とい う法 制 度 に な っ て い る が,小 樽 市 は 公 平 委 員 会 を 設 置 す る 地 方 公 共 団体 で あ る の で,同 項 の 適 用 は義 務 付 け られ て もい な い し,職 階 制 も実 現 して い な い 。

次 に,② は,実 際 の,給 与 改 定 の決 定 過 程 で最 も考 慮 され る原 則 で あ る 。 地 公 法24条3項 に は,考 慮 要 素 と し て,(1)生 計 費,(2)国 家 公 務 員 給 与,(3) 他 の 地 方 公 共 団体 職 員 の 給 与,(4)民 間 事 業 の従 事 者 の 給 与,(5)そ の他 の 事 情,の5点 が 明 示 さ れ て お り,実 務 上,均 衡 の 原 則 と称 され て い る15)。しか し, 実 務 上,人 事 院 勧 告 に よ り決 定 され る 国 家 公 務 員 の 給 与 に準 ず る こ とで,こ れ らの 考 慮 要 素 は ほ ぼ 満 た さ れ る と さ れ る 。 人 事 院 の 給 与 勧 告 は,直 接 に は 非 現 業 の 国 家 公 務 員 の一 般 職 の 職 員 を対 象 と した もの で あ るが,特 別 職 の 国家 公 務 員 や 地 方 公 務 員 の 多 く も そ れ に 準 じ て 決 め ら れ て い る こ とが 予 定 さ れ て い る16)。 人 事 院 の 給 与 勧 告(国 公 法28条2項)に つ い て は,同 項 の 「給 与 を 決

15)鹿 児 島 重 治,前 掲 『 逐 条 地 方 公 務 員 法(第6次 改 訂 版)』 学 陽 書 房(1996年)298

頁 以 下 参 照 。 そ れ に よ る と,「 均 衡 の 原 則 は 『国 家 公 務 員 の 給 与 に 準 ず る 』 こ と に よ っ て 実 現 さ れ る もの と 解 さ れ て い る(通 知 昭35・4・1自 丙 公 発 第9号 ほ か)。 そ の 趣 旨 は,国 家 公 務 員 の 給 与 は 人 事 院 勧 告 に よ っ て 決 定 さ れ るが,人 事 院 勧 告 で は 生 計 費 お よ び 民 間 事 業 の 賃 金 が 考 慮 ず み だ か らで あ る。… こ の よ う に, 国 家 公 務 員 の 給 与 に は,生 計 費 と民 間 賃 金 に つ い て の 考 慮 が 織 り込 ま れ て い る の で,地 方 公 共 団 体 が そ の 給 与 を これ に 準 ず る こ と とす れ ば,国 及 び 他 の 地 方 公 共 団 体 と も均 衡 が と れ る わ け で,均 衡 の 原 則 に お け る前 述 の(1)か ら(4)ま で の 要 素 を 満 足 させ る こ と が で き る わ け で あ る。」 と され る 。

16)人 事 院 「職 員 の 給 与 に 関 す る 報 告 」(2000年8月15日),い わ ゆ る2000年 人 事 院

勧 告 の 説 明 資 料 に よ る と,直 接 対 象 の 非 現 業 国 家 公 務 員 の 一 般 職50.5万 人 の 外 に,

(14)

定 す る 諸 条 件 の変 化 に よ り,俸 給 表 に 定 め る給 与 を百 分 の五 以 上 増 減 す る必 要 が 生 じた と認 め られ る と き」 に な さ れ る こ とに な るが,こ の場 合 の 「給 与 を決 定 す る 諸 条 件 」 とは,生 計 費,民 間 に お け る賃 金 の 上 昇 率 等 を い う と解 され る の で17),こ の勧 告 に地 方 公 共 団体 が従 え ば,当 然 に 前 記 の(1)な い し(4)の 要 素 が 考 慮 さ れ た こ とに な る とい う。しか し,国 家 公 務 員 の 給 与 に準 ず る こ と(国 公 準 拠)と,人 事 院 の 給 与 勧 告 に準 ず る こ と(人 勧 準 拠)と は 区 別 さ れ な けれ ば な らな い で あ ろ う。 実 際,「 国 公 準 拠 」 は,人 事 院給 与 勧 告 に準 拠 す る こ と を 意 味 して い な い。 人事 院 の給 与勧 告 が,国 家 公 務 員 に完 全 に 実 施 され る とは 限 ら なか っ た か らで あ る。 人 事 院 の 給 与 勧 告 に もか か わ らず,内 閣 が 国 家 公 務 員 の給 与 改 定 を 「完 全 実 施」 しな い 場 合 に は,「 国 公 準 拠 」 に よっ て も,地 方 公 務 員 給 与 は 前 記 考 慮 要 素 の(1)な い し(4)を 満 た さな い場 合 が あ りう る18)。

ま た,国 公 法28条2項 の 人 事 院 の 給 与 勧 告 は,「 給 与 を百 分 の 五 以 上 増 減 す る 必 要 が 生 じた 」 と き に な さ れ る こ と と され るが,1986年 以 降,給 与 改 定 率 は 5%以 下 とな っ て い る が,人 事 院 は勧 告 を毎 年 行 っ て き た。 こ れ は,同 条 第1 項 が,勧 告 を 「怠 っ て は な らな い 」 と し,第2項 で そ の 最 小 限 度 の 義 務 を 定 め

た と され て い るの で,生 計 費 及 び 民 聞給 与 と5%以 上 の 較 差 が生 じた 場 合 は, 第2項 で 勧 告 が 義 務 付 け ら れ,5%未 満 の 較 差 の 場 合 は,第1項 で勧 告 を 「 らな い こ とゴ と され る こ とが 根 拠 と な っ て い る。 そ の 結 果,民 間 給 与 との比 較 で,2000年8月 の 給 与 勧 告 で は,5%を 大 き く下 回 る,0.12%と い う,1960年 以 降 で 見 て も最 も低 い 較 差 で も勧 告 が な され た19)。1960年 以 降 の41回 の 毎 年

検 察 官0.2万 人,特 別 職 国 家 公 務 員(国 会 職 員,裁 判 所 職 員,自 衛 官 な ど)31.

6万 人,地 方 公 務 員323.8万 人,さ ら に特 殊 法 人 等 職 員,学 校 ・病 院 職 員 な どの 多 く も給 与 勧 告 に準 じて 決 め られ,「 全 体 で 約750万 人 の 雇 用 者 等(雇 用 者 全 体 の 約14%)が 給 与 勧 告 の 影 響 を 受 け て い る 」 と す る(人 事 院 「給 与 勧 告 に つ い て の 説 明 」2000年8月15日)12頁 。

17)佐 藤 功 ・鶴 美 良 一 郎,前 掲 書 『公 務 員 法 』(1954年)日 本 評 論 社157頁 参 照 。 18)人 事 院 給 与 勧 告 の 国 公 の 実 施 に つ い て は,1971年 ま で は 実 施 時 期 が4月 で は な く

値 切 られ て い た 。79,80,81年 は 指 定 職 等 の 実 施 時 期 が 値 切 ら れ た 。82年 は,完

全 凍 結 が な さ れ た 。83,84,85年 は,改 定 率,実 施 時 期 が 値 切 ら れ た 。97年 は,

指 定 職 が 見 送 られ た 。

(15)

地 方公務 員労 働 者 にお ける労働 条 件決 定 シス テム の法的研 究 ・下309 の 人 事 院 の 給 与 改 訂勧 告 の 内,5%以 上 の 勧 告 は22回,5%に 満 た な い勧 告 は 19回 と な っ て お り20),結 局,同 条 第2項 の5%以 上 条 項 は,現 実 の 意 味 が 希 薄 に な っ て い る と 言 え る21)。 な お,地 公 法 に つ い て は,国 公 法 の5%以 上 条 項 に相 当 す る定 め は な い が,地 方 公 共 団 体 に設 置 され た人 事 委 員 会 は,毎 年 少 な く と も1回,給 料 表 に つ い て,議 会 及 び 長 に報 告 す る こ と と され,「 給 与 を 決 定 す る 諸 条 件 の 変 化 に よ り,給 料 表 に 定 め る給 料 額 を増 減 す る こ とが 適 当 で あ る と認 め る と きは,あ わ せ て適 当 な勧 告 を す る こ とが で き る」(地公 法 第26条) と さ れ た 。 しか し,小 樽 市 で は 人 事 委 員 会 を設 け て お らず,公 平 委 員 会 は 給 与 改 定 の勧 告 権 限 は有 し て い な い 。

と こ ろ で,地 方 公 共 団 体 で は,前 述 の い わ ゆ る均 衡 原 則 に もか か わ らず,国 公 準 拠 や 人勧 準 拠 に よ らず,独 自 に,給 与 改 定 の 内 容 や 実 施 時 期 を値 切 り,あ るい は改 定 そ の もの を凍 結 した り見 送 りす る こ とが あ る。 そ の 理 由 は,い ず れ も,地 方 公 共 団体 財 政 の 危 機 に あ り,国 家 公 務 員 の 給 与 の動 き にか か わ らず, 独 自 の 昇 給 停 止 な どが 実 施 さ れ て い る22)。 逆 に,国 公 や 人 勧 に 準 拠 し な い で

地 方 公 共 団 体 が 独 自 に労 使 交 渉 な ど で 国 家 公 務 員 給 与 よ り高 く設 定 す る場 合 も あ る23)。そ も そ も地 公 法24条3項 の い わ ゆ る均 衡 原 則 とは,前 述 の とお り,(1)

19)人 事 院 「職 員 の 給 与 に 関 す る報 告 」(2000年8月15日),い わ ゆ る2000年 人 事 院 勧 告 資 料 参 照 。

20)日 本 公 務 員 労 働 組 合 共 闘 会 議 『2000年 人 事 院 勧 告 の 解 説 』(2000年8月)195頁 21)人 事 院 の 給 与 勧 告 が,国 公 法 第28条 第2項 の5%条 項 を根 拠 に よ る 事 情 が 薄 ら い

だ の は,勧 告 の 必 要 性 が,本 条 に よ っ て で は な く,公 務 員 の 労 働 基 本 権 制 限 の 代 償 機 能 と し て の 位 置 付 け に よ る も の と 考 え られ る 。2000年 人 事 院 勧 告 に あ た っ て の 人 事 院 総 裁 談 話 で は,「人 事 院 の 給 与 勧 告 は,労 働 基 本 権 制 約 の 代 償 措 置 で あ り, 公 務 員 給 与 に つ い て は,民 間 給 与 の 動 向 を 的 確 に 反 映 させ る こ と が 要 請 さ れ て い

ます 。」(2000年8月15日)と 述 べ て い る 。

22)「 北 海 道 新 聞 」(2000年8月29日 付)に よ る と,北 海 道 内 の 市 町 村 職 員 の 昇 給 停 止 に つ い て は,北 見 市 で1年 間 の 昇 給 停 止 が 平 成12年8月 に 組 合 に提 案 さ れ,1999 年 度 で は,根 室 市 と根 室 管 内 羅 臼 町 で1年 間 昇 給 停 止,2000年 度 に は,既 に 十 勝 管 内 池 田 町 が6カ 月 間 の 昇 給 停 止 を 実 施 し て い る 。

23)国 公 よ り低 い 場 合 と違 っ て,地 公 の 方 が 高 い 場 合 に は,自 治 省 は,「 給 与 適 正 化 」

の 必 要 性 を指 導 す る。 詳 細 は,自 治 省 行 政 局 公 務 員 部 給 与 課 内 地 方 公 務 員 給 与

制 度 研 究 会 『地 方 公 務 員 給 与 制 度 詳 解 』(全 訂 新 版)学 陽 書 房(1988年)467頁 以

下 。

(16)

生 計 費,(2)国 家 公 務 員 給 与,(3)他 の 地 方 公 共 団 体 職 員 の 給 与,(4)民 問 事 業 の 従 事 者 の 給 与,(5)そ の 他 の 事 情,の5点 が 規 定 さ れ て い るが,地 方 公 共 団 体 の実 際 の 労 使 交 渉 に お い て は,簡 単 に給 与 が 国 公 準 拠 あ るい は人 勧 準 拠 と な る わ け で は な く様 々 な結 果 が 生 じて お り,公 務 員 給 与 制 度 論 上 か ら議 論 され て い る24)。 実 際,下 記 の よ う に 労 使 の 交 渉 事 項 は多 様 で あ っ て,そ れ ぞ れ の 事 項 につ い て,均 衡 原 則 を どの よ う に現 実 に適 用 す る か につ い て は,労 使 で 大 き く見 解 を 異 にす る の が 現 実 で あ る。 均 衡 原 則 の5点 の 考 慮 事 項 を,組 合 側 か らの 主 張 で見 て も,(1)給 料 は,本 来,生 計 費 と して 決 ま る もの で あ り,職 員 の 生 活 向 上 を 目指 して 賃 上 げ を 要 求,(2)人 事 院勧 告 で 基 本 賃 金 の 引 き上 げ が 例 え僅 か で あ っ て も 出 され た ら,市 独 自 の 賃 金 「合 理 化 」 を しな い で 実 施 して ほ しい,国 家 公 務 員 給 与 と市 職 員 の 給 与 の 比 較 で,ラ ス パ イ レ ス 指 数 が100以 下 な の で,国 公 並 み ま で 引 き上 げ を要 求,(3)基 本 賃 金 の 生 涯 経 過 が,北 海 道 内 の 同 規 模 都 市 職 員 の 賃 金 と比 較 して,低 い の で 道 内他 都 市 並 み まで 基 本 賃 金 を 引 き上 げ要 求,(4)積 雪 寒 冷 地 と して の 地域 特 殊 性 を 踏 ま え て寒 冷 地 手 当 の 改 善 を 要 求,小 樽 経 済 へ の 波 及 効 果 も踏 ま え て 調 整 手 当 の 支 給 地 指 定 存 続 を 要 求,な どで あ る 。 給 与 の 決 定 は,均 衡 原 則 で す ん な り決 ま るの で は な く,そ の 原 則 を どの よ う に現 実 に 当 て は め る か の 解 釈 を労 使 の立 場 の 相 違 を 交 渉 で ど う 解 決 す る か に よっ て な さ れ るの で あ る25)。

24)西 村 美 香 『日本 の公務 員給 与政 策』東 京大 学 出版 会(1999年)は,「 均衡 」 をキー ワー ドに して,日 本 の公 務員 給与 政策 を戦 後か ら90年代 までの変 遷過程 を辿 って 国 際比較 に まで到 る分析 に よって,「 筆 者 自身 は,地 方公 務 員全 体 と して の最低 限 の身分 ・待 遇保 障 を継続 させ つ つ,自 治体 と職員 ・労働 組合,議 会 ・住民 が納 得 で きる よ うな 自治体 独 自の給 与 決定基 準 を作 り上 げ,そ れに基 づ いて労使 交 渉 を行 う ような 自律 的 交渉 型,あ るい は全 国 的身分 保 障の残 存 に よっ て制約 的交 渉 型 と自律 交渉 型 の 中間 に位 置 す る ような タイ プの給与 政 策が望 ま しい ので は ない か と考 えて い る。」(291頁)と す る。

25)実 態 と して,労 使 交 渉の 一方 の 当事 者 であ る地 方公 共 団体 の当局 の給与 政 策の根 拠 は均 衡 原則 が挙 げ られ るが,相 手方 であ る職員 組合 も,同 じ均衡 原則 を用 いて 全 く異 なっ た解釈 を展 開 す るのが常 で あ る。

前掲 注論 文,香 川孝 三 「公 共 部門 にお け る労 働 条件 の決 定 ・変 更」 講座21世 紀 の 労働 法 第3巻 労 働 条件 の決定 と変更』(2000年)231頁 は,公 務員 の給 与等 の勤

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地 方公 務員 労働 者 にお け る労働 条件 決定 システ ムの法 的研究 ・下

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この よ うに,地 方 公 務 員 の賃 金 決 定 過 程 にお い て,地 方 公 共 団体 の 当 局 は, 均 衡 原 則 に基 づ い た 主 張 を行 い(提 案),同 様 に,職 員 組 合 は均 衡 原 則 に依 り

な が ら も逆 の 主 張 をす る(要 求)こ と に よっ て,提 案 と要 求 の不 一 致 が 必 ず 存 在 す る の で 当 局 と職 員 組 合 と の 団体 交 渉 が な され る こ と に な る。 不 可 避 的 に生 ず る 団体 交 渉 は,何 らか の 合 意 を 目指 して話 し合 わ れ る の で あ り,両 交 渉 当事 者 は,一 定 の期 限 内 に妥 結 や 決 裂 な ど に よっ て 交 渉 終 了 に 到 っ た こ と を確 認 し 合 う。

そ れ で は,こ の よ う な賃 金 決 定 過 程 にお い て,均 衡 原則 の 現 実 へ の 「当 て は め 」 を め ぐっ て な され る 当 局 と職 員 団 体 との 間 の 団 体 交 渉 が どの よ うな 経 過 を 辿 るか を見 る と次 の よ うに な る。 小 樽 市 に お け る職 員 組 合 の 賃 金 に か か る交 渉 経 過 の概 要 は,以 下 の 図 の よ う に1年 間 か け て 三段 階 に分 か れ て 展 開 され る。

こ の給 与 改 定 交 渉 を,検 討 す る と,1春 闘期 にお い て は,組 合 は,(1)生 費 に重 点 を 置 い て 賃 上 げ を要 求 し,他 方 で,当 局 は(2)国 家 公 務 員 給 与 準 拠 を踏 ま え て 反 論 す る 。ll勧 告 期 に お い て は,組 合 は,(3)他 の 地 方 公 共 団 体 職 員 の 給 与 水 準 を挙 げ て 基 本 賃 金 引 き上 げ を要 求 し,当 局 は,(4)地 場 賃 金 の 低 さや,(5)市 の 財 政 事 情 な どを挙 げ て反 論 す る。 皿1確定 期 にお い て は,組 合 は,

(2)人 事 院 の 給 与 改 定 勧 告 を根 拠 に,市 職 員 給 与 改 定 を要 求 し,当 局 は,(3) 他 都 市 の 状 況 や(3)地 場 賃 金,(5)市 の 財 政 事 情 を挙 げ て 反 論 す る。 こ の よ

う に,給 与 改 定 交 渉 の 各 時 期 に お い て,当 局 と職 員 組 合 は,均 衡 原 則 を使 っ て 交 渉 す る の が 実 態 で あ る。 同 じ均 衡 原 則 が,異 な っ た 時 期 に は,交 渉 の相 手 方

務 条 件 につ い て は均 衡 の 原則 に照 ら して行 うこ と とされ てい る として,「 公 務員 と民 間 との均 衡(官 民 均衡 の原 則)」及 び 「国家公 務員 と地方公 務員 との均衡(国 公 均 衡 の原 則)」 の2つ の内容 を挙 げ てい る。 しか し,本 文 で指摘 した ように, 地 方 公務 員 の給 与 等 の勤務 条件 決定 につ い ての職 員組 合 の団体 交渉 で の要求 は,

同 じ均 衡 原則 に依拠 しなが ら も,当局 とは全 く異 な った内容 を提 示す るので あ る。

地 方公 共 団体 の 当局 の給与 政策 の考 慮事 項 としての均 衡原 則 を考察 す るの は,給 与 決 定過程 の一側 面 を検 討 す る に過 ぎない こ とに なる。労 働条 件決 定 シス テム の

機 能」 を論 ず るの であれ ば,当 局 と職 員 団体 との交 渉 にお け る双 方 の主張 を検 討 す るべ きで あ り,均 衡 原 則が そ れぞ れで どの よ うに解 され てい るか を検 討 しな

けれ ば な らないで あ ろ う。

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図表6.小 樽 市 に おけ る給与 改定 交渉 の経 過

段 階 時期 職 員団体 の動 き

政 府 ・そ の 他 の 動 き

1

1月

2月

3月

春 闘 ア ンケ ー ト結 果 集約発 表 春 闘要求 案職 場討 議

ス トライキ権 確立 批准 投 票 職場 委員 会(要 求 書 決定) 市連 協統 一要 求書 提 出(春 闘期) 市連 協助 役交 渉

(助役 回答) 職場 委員 会

(ス ト決 行又 は 回避判 断)

政府 ・人事 院宛 ての春 闘期 統 一要 求書提 出

人事 院 給与 局交 渉 人事 院 総裁 交渉 総務 庁 長官 交渉 自治大 臣交 渉

中央 拡 大闘争 委(回 答 の評 価)

H 勧告

6月 7月

8月

市連協 独 自要 求書提 出(人 事 院勧 告 以 外 の 市 独 自の 賃 金 要 求 を追 加)

人事 院統 一要 求書 提 出 人事 院給 与 局交渉 人事 院総 裁交 渉 人事 院勧 告

8月 9月 10月 11月

12月

市連協 助 役交 渉

市連協 統 一要 求書提 出(確 定期) 市連協 助 役交 渉(妥 結)

職場 委員 会(妥 結 方針 批准) 給 与 条例 改正 案議 会送 付 給 与 条例 改正 案成 立施 行

都道 府県 給与 担 当部長 ・人事委 員会 事務 局長 会議(自 治省) 都道 府県 ・政 令市 人事 委勧 告 給与 関係 閣僚 会議

閣議 決 定

給与 法改 正案 国会 送付 給与 法改 正案 成立 施行

の 主 張 す る論 拠 に相 互 に 入 れ 替 わ り,時 期 が 変 わ る と,同 じ主 張 を別 の均 衡 原 則 を援 用 して 主 張 す る 。 も っ と も,そ れ ぞ れ の 均 衡 原 則 の 主 張 は,双 方 で の 具 体 的 な 実 態 調 査 と理 論 的 検 討 を経 て 出 さ れ る の で,枠 組 は 同 一 で も内 容 は大 き

く異 な っ て い る 。

さ ら に,均 衡 原 則 の 適 用 に よ る 当 局 と職 員 組 合 との 間 の 賃 金 交 渉 の 様 相 に つ い て,そ れ 以 外 の 問 題 に つ い て もい くつ か付 言 す る。 第 一 に,職 員 組 合 は,そ の意 思 決 定 過 程 にお い て,賃 金 要 求 の ア ンケ ー トや そ れ に よ る職 場 討 議(役

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地方 公務 員労 働者 にお ける労働 条件 決 定 シス テムの法 的研 究 ・下3ヱ3 が 各 職 場 を回 り,要 求 案 を説 明 し,組 合 員 の 意 見 を集 約 し,機 関 会 議 で報 告 し て,要 求 項 目 を決 定 し,ス トラ イ キ 権 確 立 批 准 投 票 実 施 な ど。)を 実 施 す る。

第 二 に,任 命 権 者 で あ る小 樽 市 長 に要 求 書 を提 出 し,そ の補 助 機 関 で あ る助 役 と団 体 交 渉 を 開催 す る。 第 三 に,職 員組 合 は,助 役 回答 に不 満 で あ る場 合 に は 団 体 行 動(争 議 行 為 を含 む 。)に 訴 え る 。 第 四 に,職 員 の 給 与 に決 定 的 影 響 を 与 え る 人事 院 勧 告 に 向 け て,職 員 組 合 の 上 部 団体 は,政 府 ・人 事 院 と交 渉 して そ の 内容 を加 盟 単 位 組 合 に周 知 す る。 第 五 に,人 事 院 勧 告 の 内 容 を踏 ま えて, 交 渉 し小 樽 市 段 階 で の 賃 金 改 定 の 妥 結 を労 使 確 認 す る。 第 六 に,労 使 で の 妥 結

を踏 ま え て,市 当 局 は市 議 会 に給 与 条 例 改 正 案,補 正 予 算 案 を送 付 し,審 議 し 議 決 さ れ る こ とで 実 施 さ れ る 。これ らの 法 的 意 義 を概 括 す る と,組 合 民 主 主 義, 団 体 交 渉,団 体 行 動,国 の指 導 通 知,労 使 合 意 と し て の 妥 結,市 議 会 の 議 決 で あ る。

均 衡 原 則 を め ぐる 市 職 員 の 賃 金 改 定 交 渉 を構 成 す る法 的 要 素 は以 上 の とお り で あ る 。 これ らの 要 素 を適 切 に位 置 づ け る よ う な法 的構 造 が 必 要 で あ り,職 員 団 体 の 交 渉 が 主 要 な役 割 を 果 た して い る実 態 を踏 ま え て,勤 務 条 件 条 例 主 義 を これ と どの よ う に 関 連 づ け る か,労 働 法 上 の労 働 条 件 決 定 シス テ ム の 法 的 構 造 と どの よ う な 関係 にあ る か の 理 論 的解 明 は,今 後 の研 究 課 題 で あ る 。

2.職 員 の 身 分 の 喪 失 及 び 懲 戒

市 の 職 員 の 身 分 喪 失 は,定 年 退 職(地 公 法28条 の2第1項,市 定 年 条 例), 分 限免 職(同 法28条1項,市 分 限 条 例),欠 格 条 項 に よ る 失 職(同 法28条4項), 懲 戒 免 職(同 法29条1項,市 懲 戒 条 例),退 職26)(市 職 員 任 免 規 程3条29号) が あ る27)。 そ れ ぞ れ 法 的 な 問 題 を 有 して お り,職 員 組 合 も何 ら か の 方 法 で 関 与 す る場 合 が あ る。

26)通 常,「 依 願 退 職 」 ま た は 「死 亡 退 職 」 が こ れ に あ た る 。

27)こ の 外,公 職 選 挙 法90条 の 規 定 に よ り,公 職 の 候 補 者 と な る こ との で き な い 公 務

員 が,公 職 の 候 補 者 と な る と き は,そ の 届 出 の 日 に 当 該 公 務 員 た る こ と を 辞 した

も の とみ な さ れ る。

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