−96−
基礎構造力学教育の方向を探る
米長 泰
ConSiderationofaEducationalDirection concerningStructuralMechanics
YasushiYoNENAGA
(1995年8月4日受理)
FundamentalStructuralMechanicsisoneofthebasicsubjectsconcerningCiviland ArchitectureEngineering. Itseducationalmethodiseasilyinfluencedbyeachteacher. The Authorhavegotseveralhintsinrelationtoaeducationaldirection,aftertrialanderror activitiesextendoversevenyears. SolwishtoexplaintheseeffectsbrieHy.
1 ・はじめに きる時代になった。すると学生にはただ計算技術を
鍛えるだけでなく,用語に対する正しい概念を植え 付け,感覚・直感といったものを養うことも要求さ れる。それにより卒業研究等では相当複雑な構造物 の解析検討が行えるようになる。
基礎構造力学の教育はいろいろ複雑な要因を加味 して実践するものであるが,特に創意工夫して成果 をあげた点を報告する。
本校に赴任し基礎構造力学を担当して,満7年が 過ぎた。この間多くの先達から貴重なアドバイスを 頂戴し, 自分なりに工夫を加えたりして,試行錯誤 の末現在に至っている。それらの中から何点かを拾 い出し, 自らの今後の道しるべとすると共に,各位 の御参考になればと,執筆した次第である。
俗に「構造力学は演習に始まり演習に終わる」と 言われている。 2〜3の他校教官にお伺いしたとこ ろ,大体50%以上の比率で演習に注力されているよ うである。従ってどんな演習問題を準備するかによ って,授業の骨格が決まるといってよい。
次に構造力学は土木建築を構成する各要素工学の 基礎をなすものであり,基礎数学との接点ともなる 学問である。例えば微分積分学や線形代数学の初歩 の応用問題が山積している。 また部材の平面変位を 実数軸と虚数軸にとると, ちょっとした複素関数が 出現し,学生を喜ばすことも出来る。
更に構造力学は記憶の学問でもある。高級な理論 式で構造体のつりあいを学習できても,具体的な数 値計算になると公式を暗記する必要がでてくる。こ
こに暗記とは一夜漬けの場合と,進学就職試験のた めとがあるが,筆者の経験から記│意は必要だと感じ ている。それは代数学で因数分解のときの公式の利 用とよく似ている。
なお最近はどんな構造物でも簡単に解析できるソ フトフロッピーが市販されており,操作方法を覚え ると, どんな構造物でも簡単に結果を得ることがで
2.基礎構造力学の周辺事情
平成5年度に学科が改組され,土木工学科から環 境都市工学科となった。そのため従来の土木工学の 基本機能に建築デザインや環境アセスメント,施設 のアメニテイといった要因が負荷された。従って高 学年の土木製図(設計主体のため設計論と自称)が 半減し,構造力学もコンパクト化が要求されている。
設計論に関しては民間企業のTQC(TotalQuality Control :総合的品質管理)活動の発想を応用して,
「半分の授業時間で2倍の体験をさせるには」とい う趣旨の報文を文献(1)に発表している。
秋田県には建築工学の高等教育機関が無い。その ため建築志望の学生が毎年何人か本校に入学してく るが, どちらかというと構造系よりもデザイン系が 好きなようである。それでなくても全国的に工学部 の学生は製図と計算演習を敬遠する傾向にあるとい われている。だから学生の関心を引きつけるために はさまざまな工夫が必要になってくる。
昨今の学生はテレビを見ながら育つから,文学書
を読まず漫画を読む。その影響か計算演習を夜遅く 迄コツコツと努力するタイプの学生が減少してきて いる。ただ構造力学は進学や就職の際の試験に必ず 出題されるから, この点を声を大にして強調してい る。最近の学内試験では基本事項を十分理解する学 生と全く消化不良の学生にわかれ,採点結果はふた つ山現象となってあらわれた。昨年の学年末成績結 果を図1に示す。
ともかく構造力学が軽減傾向となり,橋梁工学や 設計論が半減するとなると,筆者自身の存亡の問題 となる。そこで近年は自動車や家電製品の開発時期 に利用されるデザイン評価手法に着目し,構造物の 優劣評価に応用して,通常の授業や卒業研究に取入 れはじめた。他校の教官も,例えば秋田大学薄木征 三教授は「景観工学」を, また福島高専土居威男教 授は「システムエ学」を新しいカリキュラムに取入 れられている。どなたも苦労は同じなのであろう。
筆者は国内で人気の高い斜張橋を基礎構造力学を 用いて弾性法で解析することに成功した。斜めケー ブルの張力を水平と垂直のベクトルに分け,主桁は 連続ばり+圧縮長柱, また塔は片持ばり+圧縮長柱 として扱い,線形有限変位理論と全く同一結果を得 ている。文献(2)に発表した。実際の設計や解析は同 理論主導であるが,学生に構造上の感覚と整合させ るため,基礎構造力学の果す役割は無視できない。
人員45人 平均67.3点 二山型分布
40 50 60 70 80 90 100点
図1 構造力学成績分布の例
験に成功を収めること」に切換えた次第である。
授業ではテキストに高専教官が共同執筆されてい る文献(3)を使用しているが,大分高専平野喜三郎教 授の演習問題集(4)もサブテキストとして利用してい る。同教授からお伺いしたことである力寸,夜遅く迄 採点している教官の健康管理が全国的に問題になっ
ているという。これを解決するための妙案として,
学生に複数の解法を教え,演習は学生自身にチェッ クさせるという方式をご伝授いただいた。つまり次 のような利点があるというのである。
(1)学生の視野を広め見識を深める。
(2)学生は自分の答えが正しいかどうか自分でチ ェックできる。
(3)教官の採点作業が大幅に短縮される。
(4)複数の解法の結果が異なりその原因がわから ない学生と,密度の濃い質疑が交せる。
勿論教官は全くランダムな値を与えるから,学生 相互に同じ課題はない。なによりも学生自身でチェ
ック能力を身に付けさせる教育効果が大きい。筆者 は「平野方式」に共鳴し, 自分なりに「3手法方式」
を試行している。事例を2件紹介する。
〈事例1>はりの曲げモーメント計算
まず第一に,曲げモーメントとは部材を湾曲させ ようという力であり,任意の点から左側の時針方向 の回転ベクトルである。回転ベクトルとは力のベク トル×垂直距離。これが曲げモーメントの基本概念 であり,教育の重点でもある。 しかしこの方法だけ で終始するのも淋しい話だ。第二の方法として影響 線解法がある。昨今パソコンソフトの普及によって 従来ほど脚光は浴びなくなったが,絶対最大曲げモ ーメントの計算という重要課題を含んでいる。基礎 3.新しい演習方式の試み
構造力学は学生諸君から「コウリキ」と呼ばれ,
必修科目と認識されている。ただし教官によって,
座学を主体とする者や,逆に演習主体でいつも深夜 迄採点に没頭している者等幅が広い。また教育目的 は一生忘れないようにしごくタイプや, ひととおり 体験させておこうといったタイプがある。
筆者は考えた。 クラス40名の中で将来設計の専門 家になるのはせいぜい2〜3名。殆んど力ご現場関係 者になるのであるから体験を重視し,本校でも珍ら しい資料持込みの試験方式とした。勿論設問はむつ かしくするから,簡単に80点以上取れるものではな い。この点誤解しないで頂きたい。この方式は一応 の効果をもたらした。白紙答案が1枚も無くなった からである。 しかし昨年あたりから進路試験が厳し くなってきた。そこでこの方式を取り止め,資料持 込み無しに切換えた。その代りややこしい公式は提 示したり, ともかく本質を理解してもらえる設問を 工夫している。教育目標を「5年生になって進路試
1l 1l
7
1 、4 、4
8人
1
−98−
米長 泰
△言U
−−麺●●●◆■・▲■凸■●︒・●︽■凸■■壱一●●●卓■▲■▲■一●申○二F■寺▲■③︾︾口900一申傘●B一■守凸守■申−●000凸■●◆009
◆
■ 0 0
●
●
︹叩︺.︾080
●重T︲
●荷丁.
●布γ︲
●分一●860
口等T︲
む
つ
●00凸ワ
つ
凸△一A一●000
y
) dx
X
Q図
図3 任意関数y=f(x)とF(x)
RA
MB
題ないが,一般に単位が取れると忘れられる傾向に ある。最初は筆者の説明不足もあり,学生は「面積」
のことをかすかに記憶してくれる程度だった。翌年 別教官と交代したが,筆者がどんな教育をしている か誤解されがちだし,学生からは「面積の先生」な どと冷かされ,学力不足の責任迄転嫁される始末だ った。 しかし最近は状況が次第にわかってきたので 教育方法もリファインされてきた。
本法は図3に示すような関数y=f(x)があると き
F(x)=/f(x)dx ・……..………(4) とおくとF(x)はf(x)とx軸の囲む面積に等し<, またf(x)=0のときF(x)は最大or最小となる。
これは微分積分学の基本定跡であるが, これによっ て学習内容が一段と理論性を増す。すなわち本法は 高専教育を大学教育により一歩近づけるような効果 があると思われる。少なくとも筆者はそのような信 念で定着に励んでいる。なお本法に誤差はない。
〈事例2> トラスカ学計算
図4は8パネルの曲弦ワーレントラスである。秋 田県はトラス橋が多く架橋されており,雄物川下流 や玉川下流にはこれとそっくりな橋が架けられてい
る。従って図4は実践的な演習課題である。
解法には「節点法」と「切断法」がある。節点法 とは左端から順次各節点に集中する部材力が,水平 力Xも垂直力Yもゼロになる。即ち
妻二:}‑………⑤
静定トラスは常に未知数2個,条件式2個となって いる。
「切断法」は任意の断面で切断して,切断された 部材の軸力を未知数にとるとき,構面全体で水平力
H,垂直力V,回転ベクトルMが
八一八
M図 ME図2 3径間連続ばりのQ図とM図
教育のひとつとして温存しておきたい。
そして筆者は第三の方法として「微積法」を案出 した。要点を説明すると曲げモーメントMとせん断 力Qの問には微分積分の関係がある。即ち
M=ノQd× 。『鶚=Q………(1)
従ってM値は基線とQ図の面積に等しいというの である。またM最大値はQ=0の点で発生し,その 値はやはりQ図と基線の面積に等しい。
図2は3径間連続ばりに等分布荷重が載荷された ときのQ図とM図である。 またQ図と基線のなす 三角形の面積を左から順次F,F2F3…とあらわす。
するとME=F,
−−@
MB=F,+F2 Mc=F,+F2+F3
という関係にあることが証明される。 また設計では 最大値計算が問題となるが,式(1)でQ=0となる点 即ち図2のE, B, F等各点で極大または極小とな る。E点の位置XEはA支点反力をRAとするとき
× =号………(3)
学生がこれら三手法を正しく理解してくれれば問
40P 54P 64P 70P B⑪R
3且P
19P 29P
↑ RA
図4 8パネル曲弦ワーレントラス
}一一一一一……
ZH=0 ZV=0 ZM=0
となることを利用するものである。筆者はこの他に
「クレモナ法」を教えている。 コンピュータ時代に 図解法とは奇異な感じもするが,学生に力学のもつ ベクトル感覚を植付けるのに役立つ。また部材が混 み入っている点で式(5)が成立していることを作図で 確認させることも効果がある。
このように学生に3手法を教え演習している。答 はひとつしかないから, それが正しいかどうか教官 にチェックしてもらわなくても自分でわかる。ただ し演習している間座学はストップするから,理論の 説明はそれだけ遅れることになる。このあたりのバ
ランスは全く教官の個性の問題である。
4.理論追求と公式暗記
ある著名な先生が「数学は暗記」という本を出版 したら爆発的に売れたという。すると構造力学は数 学と工学の接点であるから「構造力学は暗記」とい うことになる。実際公務員試験や入社試験では暗記 の効果が大きく,筆者は学生に卒業する迄次の公式 を暗記するよう推めている。表1に示す。例えば某 社の入社試験に「図5に示す自重qのはりの中央を クレーンでXの力で吊りあげた。中央点と両端の位 置が水平になるときXはいくらか」という設問があ った。これぞまさしく表1の公式のうち
y=f[ y=可亜T.…・…………・(7)Pl3
の組合わせであり,記憶の勝利である。式(7)を導く 基礎学力を養っておけば記│意は必要ないとする教育 論もあるが,短時間にいくつかの問題を解いたり,
多数の5枝択1があるとき, それでは間に合わない
表1 記憶を奨励している基礎公式
L︲−8
Ⅱ
1h. 鶚偵形附TI:
f|蛆
図5 自重qのはりを吊る
−100−
米長 泰
y=(X+a)2(X‑a) a4 録
公
X ⑥ロ[込四○
‑a a
図6 xの4次関数のグラフ
のが実状である。
しかし学生には演鐸的な訓練も必要とされる。例 えば図形の面積Aと断面1次モーメントG及び図 心位置Xoは
A=ノハdAG=ノAxdA×。=号…(8)
となるが,三角形ならA=bh/2 xo=h/3と記憶 されるのである。筆者は数学の訓練にと次のような 設問をしたことがある。
〔問〕図6にxの4次関数y=(X+a)2(X‑a)2を 示す。 O≦x≦a区間でx軸と囲む面積A 及びy軸に関する断面1次モーメントG及 び図心の座標Xoを求めよ。
これは筆者が苦心した設問のひとつである。学生は 意表をつかれた格好だが, それでも正解者が若干名 いた。これから厳しい進路試験の時代となるため,
何か本質論的なシゴキが必要だと感じている。
図7 比職による偶力の設問
を参考に思い出しなさい。
〈事例3>女性Dと男性Eは婚約が成立し,はしゃ ぎながら単純ばりABにさしかかった。距離は4 メートルある。Eは人気力士で体重150キロ,Dは 写真集を出したことのある女性で体重50キロであ る。最大曲げモーメントはE点で発生するが,そ れが最大となる点Cの位置を求めよ。図9参照。
〈事例4>半径rの円46個が図10のように並んでい る。x軸に関する図心の位置yo及びやはりx軸 に関する断面2次モーメントIxを求めよ。
これらの事例にはいずれも簡単なマンガが登場して いるが,すべて本校平成3年度卒業生・小野由美子 君によるものである。このような出題手段に対して は賛否両論があると思うが,大分高専平野教授から は絶賛を頂いている。
事例1を出題した時,ある学生は興奮してAとB のことを答案にビッシリ書いていた。このときは成 績が68点だったが,構造力学の大ファンとなり,次 回からは常に満点を取っている。それにつれて総合 成績も10位ぐらいから首席に躍り出た。何か潜在し ていた神経をくすぐってやった感じで,成功例のひ とつである。
事例2では主応力度の方向性のことをユーモラス に表現したものである。 3Bとは土木工学3年のこ とで, 「君達はオオカミだ」と言ったが,誰も怒る者 はいなかった。中にはマンガにクレヨンで着色する 学生もいて, 60分試験で40分中途退場する数がいつ
もより少なかったように思う。
事例3は人気力士と女優りえさんの婚約騒動の時 に設問したものである。典型的な問題であるが,表 現を少しおもしろくした。翌年は男性Eをクラスで 5.学生に好かれるための工夫
問題を易しくして学生のご機嫌をとるほど馬鹿げ たことはない。昨今は学生に根気がなくなり,理数 系が嫌われ,製図と力学演習が敬遠されつつある。
そのような傾向の中で少しでも授業への関心を高め ようと, さまざまな工夫を凝らしてきた。その一端 を紹介する。
〈事例1>学生AとBの交際は破局を迎えた。A はBを断崖から突落そうとし,Bは必死に耐えよ
うとする。この時AとBからは愛が消え,偶力が 発生した。図7に力のベクトルを記入のうえ,偶 力とは何か説明せよ。
〈事例2>モールの円を参考に主応力度とx軸のな す角度域を求めよ。なお主応力度とは何か,図8
ロ
塗
I 巳 ︑0
I
bO●
(う巳彰勘
図8 比職による主応力度の設問
一番の巨漢マコト君120キロとし,女性Dは紅一点 のマキコ君50キロとして再設問した。筆者は二度と 同じ設問はしない主義である。
事例4は秋田市の夏祭で有名な竿燈の46個の提灯 をイメージしたもの。断面2次モーメントは図心で 最小となり,距離eの位置では面積AとするとAe2 だけ増加する。従って原理原則がわかればあとは単 純な計算問題の筈だ力寸,ついに完全正解者は現われ なかった。
これらの事例の他,筆者は学生時代水理学で朝か ら晩迄1日8時間の試験を受けたことがある。この ことを思い出し, 1回3時間の試験を計画したが,
公的には時間割作成時にどうしても無理がでてしま う。ただし1度だけ昼食を途中で食べにいってもよ いという方式の120分試験を実施したことがある。あ まり定着すると教室外で学生が情報交換することに 気付かれるから,学生に気合いを入れる意味で1回 だけに留めている。 ともかく学生に対し魅力ある教 科とする努力はこれからも続けたいと思う。
6.高学年構造力学の展望
構造力学は企業では設計と工事計画の双方で利用 されるが, とりわけ設計との結びつきが強い。筆者 は高学年設計製図の授業の一部を「設計論」として トラス及び合成桁の設計を軸とする内容にしてい る。構造力学では与えられた断面の諸量を求めたり,
荷重が与えられて断面力を求める設問になっている が,設計だとそれらの前提条件をすべて自分で設定
しなければならない。学習の全過程に基礎構造力学 の各要素が出現するから, その総ざらえともなって いる。
不静定構造力学は教官によって内容が大きくかわ ることがある。一般に年配の教官は弾性論が多く,
若い教官は有限変位理論に注力する傾向にある。筆 者は民間企業での設計経験などの影響もあって,連 続ばりの解析と,更にそれに斜のケーブルが付加さ れた斜張橋への展開といった講義内容にしている。
このあたりは各教官のそれぞれの経験分野にゆだね E
,
ハ費
BC す
m−nU
−4◇2
一一一一一一一︲︲︲︲︲︲︲︲滝︲一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ぐ一
一︿︾ⅡuOIII1001110 10161﹄矛Ⅶ︲︑ア8つ一一一つ一X一一一一一一一一一一率Ⅲ00100
図9 比職による絶対最大Mの設問
-102-
米長 泰
ればよいと思っている。
有限変位理論を学習することは大切であるが,筆 者はそのパソコンソフトを利用して,複雑な構造物 を解析させている。パソコンとの対話型設計である。
この場合極めて短時間に単体としての各種橋梁の解 析結果が得られることになるから,次のステップで は,類似構造物の比較評価という課題に取組むこと になる。これはデザイン評価の基礎手法である。先 年研究成果を学会に報告した(5)。企業関係者は時折 本校に来校しているが,知人に向っては「構造解析 だけではやってゆけない時代になった」と説明して いる。今後は専攻科の授業や研究生の受入れがある から,研究の間口を拡げておく必要がある。
また関連科目として鋼構造工学あるいは環境都市 構造論といった分野とも整合しておかなければなら
ない。世の中には橋梁・高層ビル・水門扉・煙突等 各種の鋼構造物があるが,すべての施設に精通する ことは不可能であり, どれかを重点的に取上げて,
構造論を述べることになる。ただし今のところ各施 設の構造・機構をコンパクトに解説するテキストは なかなか見つかっていない。基礎構造力学は最後に は技術者の直感力といった形になって,細分化され た諸分野と融合している。
y
OIC
○○CCCCCO○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
0
X
図10秋田竿燈イメージ設問
動車もコンピュータも,常に新製品が市場に溢れて おり, これが我が国の高レベルに安定した市民生活 の原動力となっている。従って自分自身も常に担当 教科の改善に留意し, モデルチェンジの労を厭わな い活力を保持してゆきたいと思っている。
7. まとめ
俗に企業は人なりという。教育もまた人なりであ ろう。授業には必須事項がいくつかあるが, それを どのように解説し演習するか。それは教官個々人の 個性的発想によって全てが決っている。要するに教 官自身が持てる能力をフルに発揮することが肝要で あって, 自分の教授方法は押しつけるものでも,押 しつけられるものでもない。従って本文で述べたこ とは一教官の実践録のひとつに過ぎないと考えてい
る。
状勢は刻々と変化している。本校でもここ数年間 に改組や専攻科のことで,各教官の授業内容はそれ ぞれ大きく変化したものと思われる。筆者の場合,
苦労して玉成した授業がわずか2〜3年の命という ケースもある。 しかし産業界をみるとエアコンも自
参考文献
l) 米長泰,単純合成桁設計製図の授業内容見直 し,秋田高専研究紀要第27号,p.24‑31,1992.2.
米長泰,泉谷智之,弾性係数マトリックスを 用いた斜張橋基礎解析,秋田高専研究紀要第30 号, p.128‑135, 1994. 11.
宮原良夫,高端宏直,構造力学(1), コロナ社 平野喜三郎,構造力学演習,理工図書
米長泰他, トラス橋の工学的設計評価の試み,
土木学会第17回土木情報シンポジウムテキスト p.156‑162, 1992. 10.
2)
3)
4)
5)