• 検索結果がありません。

特 集 医療被ばくの Common Sense 6.CT 装置の線量特性 線量指標のピットフォール 村松禎久 1), 野村恵一 1), 藤井啓輔 1, 2), 新井知大 3), 林原良 4) 国立がん研究センター東病院放射線診断科 1), 名古屋大学大学院医学系研究科医療技術学専攻医用量子科学講座

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "特 集 医療被ばくの Common Sense 6.CT 装置の線量特性 線量指標のピットフォール 村松禎久 1), 野村恵一 1), 藤井啓輔 1, 2), 新井知大 3), 林原良 4) 国立がん研究センター東病院放射線診断科 1), 名古屋大学大学院医学系研究科医療技術学専攻医用量子科学講座"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

日獨医報 第61巻 第 1 号 52-59(2016) 52(52)

医療被ばくのCommon Sense

Dose Characteristics of CT Scanners: The pitfall of Dose Indices

Yoshihisa Muramatsu, Ph.D.1), Keiichi Nomura, RT1), Keisuke Fujii, Ph.D.1, 2),

Tomohiro Arai, RT3), Makoto Hayashibara4)

Summary

The computed tomography (CT) safety standard of the International Electrotechnical Com-mission (IEC), a particular requirement for the basic safety and essential performance of X-ray equipment for CT, specifies that CT scanners display values of the dose index on the console monitor. This paper describes the pitfalls of dose indices such as the volume CT Dose Index (CTDIvol), Dose Length Product (DLP) and Dose Efficiency (DE). DLP is the product

of CTDIvol and the table travel during the entire loading. These dose indices can differ even for

CT scans performed using the same scan parameters. For example, when automatic exposure control or wide beam beyond 100mm is used, the dose indices can be different, because the definition and formula described in the CT safety standard change with the versions or edi-tions. The dose indices can also differ among CT scanners because of differences in the mate-rial and shape of the bow-tie filter, focus-isocenter distance and so on. The dose indices such as CTDIvol and DLP should be used as a

“ruler” with reference to the Diagnostic Reference Levels 2015. CT technologists need to check the version of the CT safety standard with the document attached to each CT scanner. In addition, they should obtain the correct dose information and utilize the dose indi-ces as a means for dose optimization.

6.CT装置の線量特性 ─線量指標のピットフォール─

村松 禎久

1)

,野村 恵一

1)

,藤井 啓輔

1, 2)

,新井 知大

3)

,林原  良

4)

国立がん研究センター東病院 放射線診断科1),名古屋大学大学院医学系研究科 医療技術学専攻 医用量子科学講座2)

国立国際医療研究センター病院 放射線診療部門3),東芝メディカルシステムズ株式会社 CT事業部CT開発部4)

1) Department of Diagnostic Radiol-ogy, National Cancer Center Hospital East

2) Department of Radiological Sci-ences, Nagoya University Graduate School of Medicine

3) Department of Radiology, National Center for Global Health and Medi-cine

4) CT Systems Division, CT Systems Development Department, Toshiba Medical Systems

NICHIDOKU-IHO Vol.61 No.1 52-59 (2016)

はじめに

医療被ばく研究情報ネットワーク(Japan Network for Research and Information on Medical Exposures: J-RIME)から、最新の国内実態調査結果に基づき診 断 参 考 レ ベ ル(Diagnostic Reference Levels 2015: DRLs 2015)が発行された。DRLs 2015は、放射線診療 従事者はもとより、医療被ばくに関係する者にとって、 被ばくの最適化を図るための基本となる数値である。 DRLs 2015では、分野別〔X線CT検査:成人および小 児、一般撮影、マンモグラフィ、口内法 X線撮影、IVR (interventional radiology)および核医学〕に規定されて いる。とくにX線CT検査(CT検査)による被ばくは、本 邦における医療被ばくの約60%を占めており1)CT検査 の被ばくの最適化はたいへん重要である。 CT装置は1990年台後半に多列化された検出器を有す るMDCT(multi detector-row CT)が開発され、2005 年前後には64列MDCTが各社からリリースされた。そ して現在は体軸上160mmの検出器幅を有するADCT (area detector CT)やX線 管 と 検 出 器 を2対 搭 載 し た DSCT(dual source CT)へと進化してきた。また、近 年は被ばく低減を可能にするCT-AEC(CT-automatic exposure control)、可動式ビームコリメータ、そして 逐次近似(応用)再構成などの要素技術も併せて開発され た。 一方、CT検査のDRLには、CT装置の線量指標である

CTDIvol(volume CT dose index)お よ びDLP(dose

(2)

日獨医報 第61巻 第1号 2016 53(53) り返す(多重スキャン:ノンヘリカルスキャン)、または 寝台を連続的に移動させながらX線を回転照射する(ヘ リカルスキャン)。 図2は、CTピッチファクタ(ピッチファクタ)が1.0、 すなわち1回転あたりにX線ビーム幅(ビーム幅)と同じ 寝台移動間隔でn回(ここでは11回)スキャンが行われた と き の 体 軸 上 の 線 量 分 布(D11(z))の 模 式 図 で あ る。 CTDIは、原点(スキャン範囲の中心)を中心にビーム幅 分に対する線量分布(D11(z))の平均値、つまり線量場の 高さと数学的に等価である。そして、DLPは線量分布 (D11(z))の面積に相当する。この関係は、ヘリカルスキ ャンにおいても同様に考えることが可能である。 2.CT装置の安全規格 CT装置の安全規格は、IEC規格ではIEC 60601-2-44 (IEC 2-44)と表記される。IEC 2-44は、1999年に最初 に規格化2)され、2001年にIEC 2-44 Ed. 2.03)2002

にIEC 2-44 Ed. 2.14)2009年にIEC 2-44 Ed. 3.05)、そ

して2012年にIEC 2-44 Ed. 3.16)が発行されている。

一方、翻訳版にあたるJIS規格ではJIS Z 4751-2-44(JIS 2-44)と表記される。日本では、IEC 2-44 Ed. 2.0の一 致規格として、2004年に初めてJIS化(JIS 2-44: 20047)

され、2008年にIEC 2-44 Ed. 2.1の一致規格であるJIS 2-44: 20088)が、そして2012年にIEC 2-44 Ed. 3.0の一

致規格であるJIS 2-44: 20129)が発行されている。また

IEC 2-44 Ed. 3.1は現在JIS化作業が進められ、2018年 に発行が予定されている。 装置の基礎安全および基本性能の規格(CT装置の安全規 格)により、スキャン計画前およびスキャン終了後に操 作モニターに表示することが義務付けられている。また CT装置の高度化に合わせて、規格の定義は適宜修正が 行われてきた。しかし、規格が修正されても設置済みの CT装置に適用される版(エディション)が更新されるこ とは稀である。 すなわち、スキャン条件が一見同じでも、異なる機 種やメーカ間だけでなく同じ機種や装置であっても CTDIvolやDLPが異なって表示されるケースが存在する。 一般にCT画像における線量と画質は相反する関係であ ることが知られており、表示される線量指標のブレは現 場を混乱させる要因にもなる。 本稿ではこれらの事象を具体的な例を示しながら解説 する。

CT装置の線量特性に関する基礎知識

以後の内容を容易に理解するために、CT装置の線量 や特性に関する基礎知識を復習する。 1.CT装置による被ばくの形態と線量指標の概念 CT装置では、図1に示すように、X線管装置と対向す る扇状の検出器で被写体を中心に回転照射が行われる。 回転中心に円柱ファントムを配置して、単一スキャンが 行われたとき、体軸上の線量分布(D1(z))は矩形ではな く山形の形状を呈する。一般的には、あるスキャン範囲 を単一スキャン後に寝台を一定間隔移動しスキャンを繰 図1 CTの被ばく形態と単一スキャン時の線量プロファイル

(3)

54(54) 図2 多重スキャン時の線量プロファイル 3.CTDIの表記と意味 CTDIの表記は多種多様である。また測定に用いられ る線量測定用ファントム(CTDIファントム9))はCT装置 の安全規格に規定されている。材質はメタクリル樹脂製 で、頭部および小児用は直径16cm、体幹部用は直径 32cmで奥行は15cmと共通である。 ・ CTDI∞:単一スキャンの線積分線量プロファイルに おいて、積分範囲を-∞~∞と設定した時のCTDI ・ CTDI100:単一スキャンの線積分線量プロファイルに おいて、積分範囲を-50mm~50mmと設定した時 のCTDI。一般に測定に用いられるペンシルチェン バの有効電離長は100mmで、CT装置の安全規格に 規定されている。

・ CTDIc:CTDIファントムの中心におけるCTDI

・ CTDIp:CTDIファントムの周囲におけるCTDI

・ CTDIw:CTDIcとCTDIpにそれぞれ係数(CTDIc:

1/3、CTDIp:2/3)を掛けて重み付けしたCTDI

・ CTDIvol: CTDIwをピッチファクタで除したCTDI。

ピッチファクタが1.0のときは、CTDIwと等価である。

・ CTDIair:CTDIファントムなしの回転中心における

CTDI ・ DLP:CTDIvolとX 線照射中の患者テーブルの移動量 (L)の積 4.スキャンパラメータとCTDIの関係 線量指標に直接影響を与える主要なパラメータは、X 線管電圧(管電圧)、X線管電流(管電流)、回転速度、 ピッチファクタおよびビーム幅である。 管電圧とCTDIの関係は、管電圧の約2.5乗に比例して 増加する。たとえば、120kVを1.0として正規化すると、 80kVとの線量比は CTDI100=min BW,100mm

{

1

}

50D1( z )dz 50 CTDI100= 1BW 50D1( z )dz 50 = 1 nT 50D1( z )dz 50 L [cm]=BW ×PF×t/RS L [cm]=(64 ×0.5)×0.828×6.8/0.5=360.3 [mm]=36.03 CTDI100= 1BW Re f D1( z )dz 50 50 k* *: k = CTDIairBW CTDIair Re f Dose ratio: 80

(

2.5=0.36 120

)

DLP 803.4

Simulated CTDIvol (mean)= L = 36.03 =22.3 [mGy]

となる。また同様に、100kVでは0.63、135kVでは 1.34となる。 管電流は回転速度との積として、mAs値と表記し便宜 的によく用いられる。mAs値とCTDIの関係は、単純な 1次式で、管電流または回転速度の増減によりCTDIと 正比例する。 ピッチファクタは、体軸上の移動速度である。速度が 倍になれば照射時間は半分になることから、ピッチファ クタとCTDIvolの関係は反比例となる。 ビーム幅は、同じスキャン範囲を異なるビーム幅でス キャンした場合、ビーム幅が小さいほどCTDIは大きく なる。この原因は、X線管焦点サイズに由来する半影効 果により、ビーム幅が小さいほど線量効率(dose effi-ciency: DE)が低下するためである。これを一般にオー バービーミングと呼ぶ。CT装置の安全規格においてDE

は、Z軸上の幾何学的効率(geometric efficiency in the Z-axis direction)と表記し、設定ビーム幅に対する回転 中心における固定照射時の線量プロファイルの半値幅 (full width at half maximum: FWHM)と定義される。

(4)

日獨医報 第61巻 第1号 2016 55(55) また、70%以下となる場合は、操作モニターに表示する ことが規定されている9)

スキャンパラメータと線量指標のピットフォール

冒頭で述べたように、スキャン条件上は一見すると線 量指標に関係しないように見えるが、実際は明らかに異 なって表示されるケースがある。 1.CT-AEC使用時のCTDIvol 1)背景 CT-AECは、位置決め撮影画像または180度前の投影 データを基に、被写体のX 線透過度を推定し、主に管電 流を自動的に変調する。これにより、スライス位置間の 大小に依存する画質の差(スライス位置依存性)、被写体 間の大小に依存する画質の差(被写体依存性)およびスラ イス断面形状間に依存する画質の差(断面形状依存性)を 低減または解消することが可能10)とされている。

CT-AEC使 用 時 のCTDIvolの 表 記 は、IEC 2-44 Ed.

3.0の項番「201.3.214, 2)」のヘリカルスキャン注記2で、 “CTDIvolが変化する場合は、時間によって重み付けした CTDIvolの平均を用いる”ことが規定されている。しかし、 IEC 2-44 Ed. 2.1まではとくに規定されていなかったた めに、製造メーカによっては安全側に立ってスキャン範 囲内のCTDIvolの最大値を操作モニターに表示する機種 もあり、現在でも実稼働している。 つまり、全く同じスキャンが行われても、CTDIvolの 値は異なることになる。なお、DLPは照射した範囲の全 体線量として表示され、エディションによる表示の差異 はない。 2)評価例 人体胸部ファントム(LSCT-001、京都科学11))を用い て、CTDIvolの最大値と平均値を比較する。CT装置は、 Aquilion 64(東芝メディカル、V4.40JR007)である。

Aquilion 64は約10年前にリリースされた64DAS(data acquisition system)を有する一般的なMDCT装置で、 逐次近似(応用)再構成法は装備されていない。スキャン 条件は本CT装置における胸部単純CTの標準的なプロト コールで、管電圧:120kV、回転速度:0.5s/rot.、ディテ ク タ の 組 み 合 わ せ:64×0.5mm、 ピ ッ チ フ ァ ク タ:

0.828、収集画像再構成範囲(scanning field of view: SFOV):320mm、ボウタイフィルタ:M、スキャン範囲:

300mm(肺尖から肺底部)、表示スキャン時間:6.8sで あ る。CT-AEC(volume-EC)の 設 定 は、 設 定SD=

13.0、5mm-slice、 再 構 成 関 数FC13、 最 大 管 電 流

600mA、最小管電流 50mAで、volume-ECは、XY断 面とZ軸方向のサイズと形状に合わせて管電流を変調す る、いわゆるXYZ-AECである。 本CT装置は附属文書にて、IEC 2-44 Ed. 2.0が適用 されていることが記され、CTDIvolは最大値が表示される。 ここでは、CTDIvolの平均値を推定するために、同時に 表示されるDLPの値からX 線照射中の患者テーブルの移 動量:Lを推定して逆算して算出した。 表1は胸部単純CTのCTDIvolの最大値と平均値の結果 である。照射中の範囲Lは以下のように推定した。表示 スキャン時間は照射中の時間tと等価と仮定すると、 CTDI100=min BW,100mm

{

1

}

50D1( z )dz 50 CTDI100= 1BW 50D1( z )dz 50 = 1 nT 50D1( z )dz 50 L [cm]=BW ×PF×t/RS L [cm]=(64 ×0.5)×0.828×6.8/0.5=360.3 [mm]=36.03 CTDI100= 1BW Re f D1( z )dz 50 50 k* *: k = CTDIairBW CTDIair Re f Dose ratio: 80

(

2.5=0.36 120

)

DLP 803.4

Simulated CTDIvol (mean)= L = 36.03 =22.3 [mGy]

 BW: ビーム幅、PF: ピッチファクタ、RS: 回転速度 CTDI100=min BW,100mm

{

1

}

50D1( z )dz 50 CTDI100= 1BW 50D1( z )dz 50 = 1 nT 50D1( z )dz 50 L [cm]=BW ×PF×t/RS L [cm]=(64 ×0.5)×0.828×6.8/0.5=360.3 [mm]=36.03 CTDI100= 1BW Re f D1( z )dz 50 50 k* *: k = CTDIairBW CTDIair Re f Dose ratio: 80

(

2.5=0.36 120

)

DLP 803.4

Simulated CTDIvol (mean)= L = 36.03 =22.3 [mGy]

表1 胸部単純CTのCTDIvolの最大値と平均値

Dose index

DLP [mGy x cm] 803.4

Displayed CTDIvol (Max) [mGy] 35.4

Simulated CTDIvol (Average) [mGy] 22.3

Scanner Model: Aquilion 64 (Toshiba) Scanning parameter;

  120kV, 0.5s/rot., 64×0.5mm, PF: 0.828, Scanning Range: 300mm, SFOV: Large (400mm). AEC Setting;

  Volume-EC: Set-SD=13.0, 5-mm-slice, Kernel: FC13.0, Max Current: 600mA, Min.: 50mA, Phantom: Chest Standards phantom (LSCT-001, Kyoto-kagaku).

(5)

日獨医報 第61巻 第1号 2016 56(56) CTDI100=min BW,100mm

{

1

}

50D1( z )dz 50 CTDI100= 1BW 50D1( z )dz 50 = 1 nT 50D1( z )dz 50 L [cm]=BW ×PF×t/RS L [cm]=(64 ×0.5)×0.828×6.8/0.5=360.3 [mm]=36.03 CTDI100= 1BW Re f D1( z )dz 50 50 k* *: k = CTDIairBW CTDIair Re f 120 DLP 803.4

Simulated CTDIvol (mean)= L = 36.03 =22.3 [mGy]

表示されたCTDIvol(最大値表示)は35.4mGyに対し、

推定されたCTDIvolの平均値は22.3mGyで、約1.6倍の

差が見られた。とくに、胸部では、X線解剖学的な特徴 により肺尖部から肺底部まで、体軸上のスライス断面の 位置におけるサイズと形状が大きく異なり、結果的に管 電流も大きく変調する。このため、CTDIvolの最大値と 平均値に大きな差となって現れることになる。また、骨 盤部を含むスキャンにおいても同様の傾向にある。 したがって、DRLs 2015との比較でデータを収集する 際などは、使用するCT装置の安全規格の適用バージョン を附属文書にて必ず確認する必要がある。なお、推定さ れたCTDIvolの平均値はLSCT-001ファントムの値であ る。LSCTファントムは壮年の成人男性を模擬している。 DRLs 2015との比較は、実際の患者データから成人胸 部では50~60kgのデータを統計処理し、その平均値と 比較しなければならない。 2.100mmを超えるwide beamを有するCT装置 1)背景

面検出器を有するADCTの先駆けとしてAquilion ONE

(東芝メディカルシステムズ)が2007年にリリースされた。 続いて、Brilliance iCT(フィリップスエレクトロニクス ジャパン)が2008年8月に、またRevolution CT(GEヘル スケア・ジャパン)が2014年4月に国内リリースされた。体 軸方向の検出器サイズはAquilion ONE とRevolution CT が160mm、Brilliance iCTは128mmであり、いず れも100mmを超えるwide beamのCT装置である。

一 方 で、CTDIvolの 基 本 と な るCTDIwの 測 定 は「3.

CTDIの表記と意味」(p.54)でも述べたように、100mm の電離長さを有するペンシルチェンバを用いて、単一ス キャンを行い測定する。一般的なMDCT装置のビーム 幅である40mm程度までは、品質管理の精度上、ビーム 幅に対するCTDIvolへの影響は及ばなかった。 以下に、IEC 2-44 Ed. 2.0の定義式を示す。 CTDI100=min BW,100mm

{

1

}

50D1( z )dz 50 CTDI100= 1BW 50D1( z )dz 50 = 1 nT 50D1( z )dz 50 L [cm]=BW ×PF×t/RS L [cm]=(64 ×0.5)×0.828×6.8/0.5=360.3 [mm]=36.03 CTDI100= 1BW Re f D1( z )dz 50 50 k* *: k = CTDIairBW CTDIair Re f Dose ratio: 80

(

2.5=0.36 120

)

DLP 803.4

Simulated CTDIvol (mean)= L = 36.03 =22.3 [mGy]

n: 1回転あたりに生成されるスライス数 T: 画像スライス厚 しかしながら100mmを超えるwide beamのCT装置の 開発は、CTDIに明らかな動揺を与え、暫定的にIEC 2-44 Ed. 3.0が 制 定 さ れ た。 こ れ に よ り ビ ー ム 幅 が 100mm以上の場合のCTDIは、ビーム幅に関係なく線積 分線量を100mm(10cm)で除した値となった。 以下に、IEC 2-44 Ed. 3.0の定義式を示す。 CTDI100=min BW,100mm

{

1

}

50D1( z )dz 50 CTDI100= 1BW 50D1( z )dz 50 = 1 nT 50D1( z )dz 50 L [cm]=BW ×PF×t/RS L [cm]=(64 ×0.5)×0.828×6.8/0.5=360.3 [mm]=36.03 CTDI100= 1BW Re f D1( z )dz 50 50 k* *: k = CTDIairBW CTDIair Re f Dose ratio: 80

(

2.5=0.36 120

)

DLP 803.4

Simulated CTDIvol (mean)= L = 36.03 =22.3 [mGy]

ところが、このIEC 2-44 Ed. 3.0では明らかな矛盾、 たとえば、ビーム幅20mm、ピッチファクタ1.0で、ス キャン範囲160mmのヘリカルスキャンを行うと、テー ブル移動なしでビーム幅160mmの単一スキャンを行っ たほうがCTDIvolの値が高くなるなどの現象が生じるこ とになった。この現象は、「4.スキャンパラメータと CTDIの関係」(p.54)で述べた半影効果がもたらすオー バービーミングによる線量効率の変化と相反することを 意味する。 そこで、IEC 2-44 Ed. 3.1の修正により、以下に示す ようにビーム幅40mmを境に場合分けがされた。 a)ビーム幅が40mm以下の場合  IEC 2-44 Ed. 2.0の定義式に従う。 b)ビーム幅がCTDI100= 40mmを超える場合 1 min BW,100mm

{

}

50D1( z )dz 50 CTDI100= 1BW 50D1( z )dz 50 = 1 nT 50D1( z )dz 50 L [cm]=BW ×PF×t/RS L [cm]=(64 ×0.5)×0.828×6.8/0.5=360.3 [mm]=36.03 CTDI100= 1BW Re f D1( z )dz 50 50 k* *: k = CTDIairBW CTDIair Re f Dose ratio: 80

(

2.5=0.36 120

)

DLP 803.4

Simulated CTDIvol (mean)= L = 36.03 =22.3 [mGy]

2)評価例

実際に各定義式に従って、ビーム幅に対するCTDIwの

変化を検証する。CT装置は、Aquilion ONE Vision(東 芝メディカルシステムズ、V6.0SP0010J)である。 Aq-uilion ONE Visionは320DAS、最大ビーム幅160mmを 有するADCT装置である。本ソフトウェアのバージョン では、附属文書によりIEC 2-44 Ed. 3.0が適用されてい ることが記されている。 ここでは、定義式の違いによる差を表現するために、 単一スキャンによるCTDIwの測定を行った。スキャン条 件は、管電圧:120kV、管電流:200mA、回転速度:1.0s/ rot.(200mAs)、SFOV:400mm、ボウタイフィルタ:L

と し た。 各 ビ ー ム 幅 に 対 す るCTDIairの 測 定 は、IEC

2-44 Ed. 3.1で積分範囲はビーム幅+40mm以上と規定 されている。有効電離長100mmのペンシルチェンバで

(6)

日獨医報 第61巻 第1号 2016

57(57)

図3 CT装置の安全規格の各エディションにおけるビーム幅に対するCTDIw

Tube voltage: 120kV, Bow-tie filter: Large.

も測定は可能ではあるが、ロングチェンバを用いること で 効 率 的 な 測 定 が 可 能 で あ る。 今 回 は 有 効 電 離 長

300mmのType 30017(PTW)を使用し、CTDIairを測

定した。

測 定 結 果 を 図3に 示 す。 横 軸 は ビ ー ム 幅、 縦 軸 は

100mAsあたりのCTDIwの値である。ビーム幅160mm

における各定義式における数値は、IEC 2-44 Ed. 2.0で

1 3 . 2 m G y / 1 0 0 m A s、I E C 2 - 4 4 E d . 3 . 0で2 1 . 1 mGy/100mAs、 そ し てIEC 2-44 Ed. 3.1で は16.2 mGy/100mAsと大きく異なった。この傾向は、ビーム 幅が100mmからエディションごとにCTDIwが明らかに 異なることが見てとれる。また、IEC 2-44 Ed. 3.0で問 題となったオーバービーミングに対する矛盾は、IEC 2-44 Ed. 3.1において解消されている。 100mmを超えるwide beamのCT装置は、冠動脈CT 検査をはじめ、小児の撮影や脳造影還流検査( CT-perfu-sion)にたいへん有用である。しかし一方で、ビーム幅 が広い=被ばく線量が高いという固定観念に惑わされる ことも起こり得る。使用するCT装置の線量特性を正し い知識を持って判断することが必要である。 3.その他 ここまで述べてきた以外にも、従来からスキャン条件 が同一でも線量指標が異なることがよく知られている。 ここでは、代表的なボウタイフィルタとX線管焦点-回

転中心間距離(focus-isocenter distance: FID)による影 響について述べる。 1)ボウタイフィルタ ボウタイフィルタは、X線管の放射口、コリメータ前 に取り付ける付加フィルタの1つである。図4はボウタイ フィルタの模式図と実写真の例である。形状が蝶ネクタ イの外形に似ていることから命名されている。ボウタイ フィルタは、被写体を透過したX線強度分布と線質を均 質化する重要な役割から、各製造メーカともに被写体サ イズにマッチした複数のフィルタが用意されている。た だし、材質や形状・厚みなど、線量指標に関係する詳細 な情報は公開されていない。 図5は3機種のMDCT装置を使用し、管電圧120kV におけるX線スペクトルを測定した例である。CT装置 は、Discovery 750HD(GEヘ ル ス ケ ア・ ジ ャ パ ン、

AW4.5_02.113_CTT_5.X)、Aquilion ONE(東芝メ デ ィ カ ル シ ス テ ム ズ、V4.74JR004)、SOMATOM Definition flash(シーメンス・ジャパン、Syngo CT 2012B VA44A)である。測定はCT装置のX線管装置を 90度の回転位置に固定し、スペクトルアナライザ( XR-100CR、AMETEK)を用いて直接測定した。横軸は光 子エネルギー、縦軸は光子強度である。3機種のエネル ギースペクトルは明らかに異なり、おのずから実効エネ ルギーも異なっている。すなわち、ボウタイフィルタを 透過したX線とCTDIファントムとの相互作用(減弱・散

(7)

58(58) 図4 ボウタイフィルタの模式図と写真 図5 MDCT装置のエネルギースペクトルの測定例 乱)は異なり、線量指標の数値に影響を与えることにな る。 2)X線管焦点−FID 一般のCT検査が診療に欠かせない一方で、CT装置は 放射線治療計画やIVRの手技などにも広く臨床応用され てきた。放射線治療計画で正しく線量分布を得るために は、被写体をSFOVから欠かすことはあってはならない。 またIVR時の穿刺手技においては、アプローチを容易に するためには広い空間が要求される。これらの理由によ り、広いボア径が要求され、結果的にFCD( focus-to-centre distance)が長くなる。 表2は、文献12、13から各社の代表的な64列MDCT装 置とボア径の大きい、いわゆるワイドボアCT装置のFID

と体幹部CTDIファントムの100mAsあたりのCTDIwを

比較したものである。4社ともにワイドボアCT装置の FIDは大きく、相反するようにCTDIwの数値も小さい。 いわゆる距離の逆二乗側が線量指標に影響を与える。

おわりに

本稿では、CT装置の操作モニターに表示される線量 指標のピットフォールについて記述した。スキャン条件 が一見同じでも、線量指標は大きく異なるケースが存在 す る。 主 な ケ ー ス と し て、CT-AEC時 のCTDIvolや

100mmを超えるwide beamを有するCT装置がある。両 者とも、CT装置の安全規格のエディションが異なるた

(8)

日獨医報 第61巻 第1号 2016

59(59) 表2 ワイドボアCT装置の焦点 −FIDとCTDIw

Type Manufacture Scanner model Number of

slices

Focus-isocenter distance [mm]

CTDIw of body phantom [mGy/100mAs] Standard CT GE LightSpeed VCT XT 64 541 Average*: 578.7 8.63 Average*: 9.39 Philips Brilliance CT 64 64 570 5.63

Siemens SOMATOM Definition AS 64 64 595 7.47

Toshiba Aquilion 64 64 600 12.07 Wide Bore CT GE LightSpeed Xtra 16 606 Average*: 629.3 7.33 Average*: 8.87

Philips Brilliance CT Big Bore 16 645 Not available

Siemens SOMATOM Sensation Open 40 40 570 8.47

Toshiba Aquilion LB 16 712 10.80

: Average value is computed except for Philips

めに定義や算出式が違うことが原因である。また従来か ら知られているように、ボウタイフィルタの形状や材質、 およびX線管焦点-FIDが原因で差異が生じることもあ る。 DRLs 2015において、CT検査ではCT装置の線量指 標(CTDIvol、DLP)が“ものさし”として使用される。使 用するCT装置の附属文書から、CT装置の安全規格のど のエディションが適用されているか必ず確認をする必要 がある。その上で、CT装置の正しい線量情報を取得して、 最適化の手段として活用されることが望まれる。 謝辞 CTDIairの測定に際し、助言をいだだきました古畑  優氏(アクロバイオ)に感謝を申し上げます。またエネル ギースペクトルの測定に際し、助言をいただきました黒 田武弘氏(東洋メディック)に感謝を申し上げます。  【参考文献】 1) 赤羽 恵一:医療被ばくの現状.Innervision 25: 46-49, 2010 2) IEC 60601-2-44: 1999, Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equipment for computed tomography, 1999

3) IEC 6 0 6 01-2 - 4 4 Ed. 2 .0 : 2 0 01, Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equip-ment for computed tomography, 2001

4) IEC 6 0 6 01-2 - 4 4 Ed. 2 .1: 2 0 02 , Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equip-ment for computed tomography, 2002

5) IEC 6 0 6 01-2 - 4 4 Ed. 3 .0 : 2 0 0 9, Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equip-ment for computed tomography, 2009

6) IEC 6 0 6 01-2 - 4 4 Ed. 3 .1: 2 012 , Medical electrical equipment - Part 2-44: Particular requirements for the basic safety and essential performance of X-ray equip-ment for computed tomography, 2012 7) JIS Z 4751-2-44 Ed. 2.0: 2004,医用 X 線 CT 装置 ―基 礎安全及び基本性能, 2004 8) JIS Z 4751-2-44 Ed. 2.1: 2008,医用 X 線 CT 装置 ―基 礎安全及び基本性能, 2008 9) JIS Z 4751-2-44 Ed. 3.0: 2012,医用 X 線 CT 装置 ―基 礎安全及び基本性能, 2012 10) Muramatsu Y, Ikeda S, Osawa K, et al: Performance evaluation for CT-AEC (CT automatic exposure con-trol) systems. Nihon Hoshasen Gijutsu Gakkai Zasshi 63: 534-545, 2007 11) Muramatsu Y, Tsuda Y, Nakamura Y, et al: The devel-opment and use of a chest phantom for optimizing scanning techniques on a variety of low-dose helical computed tomography devices. J Comput Assist To-mogr 27: 364-374, 2003 12) The ImPACT Group: Comparative specifications (CEP08027): 64 slice CT scanners. 2009 13) The ImPACT Group: Comparative specifications (CEP08029): Wide bore CT scanners. 2009

参照

関連したドキュメント

金沢大学学際科学実験センター アイソトープ総合研究施設 千葉大学大学院医学研究院

東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻. [email protected]

鈴木 則宏 慶應義塾大学医学部内科(神経) 教授 祖父江 元 名古屋大学大学院神経内科学 教授 高橋 良輔 京都大学大学院臨床神経学 教授 辻 省次 東京大学大学院神経内科学

⑹外国の⼤学その他の外国の学校(その教育研究活動等の総合的な状況について、当該外国の政府又は関

東北大学大学院医学系研究科の運動学分野門間陽樹講師、早稲田大学の川上

大曲 貴夫 国立国際医療研究センター病院 早川 佳代子 国立国際医療研究センター病院 松永 展明 国立国際医療研究センター病院 伊藤 雄介

東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 教授 赤司泰義 委員 早稲田大学 政治経済学術院 教授 有村俊秀 委員.. 公益財団法人

話題提供者: 河﨑佳子 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 話題提供者: 酒井邦嘉# 東京大学大学院 総合文化研究科 話題提供者: 武居渡 金沢大学