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(1)

特  集 呼吸器

結核

国立病院機構茨城東病院胸部疾患・療育医療センター内科診療部呼吸器内科

三浦由記子‌ 斎藤 武文

は じ め に

 コッホが 1882 年に結核菌の発見を報告してから 今年で 135 年になる.結核は,単なる呼吸器疾患,

感染症にとどまらず,免疫学とも関わり,複雑多彩 な病態を示し,発見から 135 年経った今でも根絶す ることができていない.本稿では最近の知見を交え て疫学,診断,治療等について記述する.

疫  学1)

 本邦では,1950 年に結核は死因の第 1 位,死亡 率は人口 10 万対 146.6 であったが,2014 年には第 26 位,死亡率は人口 10 万対 1.7 人となっている.

2013 年度の世界の全結核届出率を見ると,最多は ボツワナ(人口 10 万対 338),次いでザンビア(人 口 10 万対 280),フィリピン(人口 10 万対 234)と 続き,わが国は人口 10 万対 16.1,2014 年には 10 万対 15.4,患者数は 19,615 人と,初めて 2 万人を 下回った2).世界で結核が減少しない要因は,アフ リカの Human‌Immunodeficiency‌Virus(HIV)感 染であるが,わが国では高齢者結核であり,結核患 者の 58.2%が 70 歳以上である.2014 年度,国内で 結核死亡率が高いのは大阪府が第 1 位(人口 10 万 対 2.8),次いで京都府(人口 10 万対 2.6),愛知県・

島根県(人口 10 万対 2.2)となっている.外国生ま れ結核患者の割合は増加傾向にあり(1998 年 2.1%,

2014 年 5.8%),特に 15 ~ 29 歳の年齢層,出生国 ではベトナムとネパールが増加している.東日本大 震災と領土紛争の影響から,中国,韓国の留学生が 減少し,ベトナムとネパールの留学生数が増加した ことと関連があると考えられている.留学生の受け 入れが多い関東,近畿,九州地方では,外国人結核 対策も個別化した対応が必要になると考えられてい る2)

薬 剤 耐 性3)

 イソニアジド(INH)とリファンピシン(RFP)

両薬剤に耐性の結核は多剤耐性結核(multi-drug‌

resistant‌tuberculosis:MDR-TB),さらにカナマ イシン(KM),カプレオマイシン(CPM),アミカ シン(AMK)のうち少なくとも 1 薬剤と,ニュー キノロン系薬剤に耐性の結核菌は,超多剤耐性結核

(extensively‌ drug-resistant‌ tuberculosis:XDR- TB)と定義される.

 結核菌には,薬剤耐性に関与する遺伝子の突然変 異による野生耐性菌が一定の割合で存在しており,

変異を生じる確率は,INH,エタンブトール(EB),

ストレプトマイシン(SM)が 1/106,RFP が 1/108 と推定されている.近年,RFP 耐性菌の 97%に rpoB

(DNA‌dependent‌RNA‌polymerase‌beta-subunit)

遺伝子の変異が認められることが分かり,2002 年に RFP 耐性遺伝子同定検査(フィノス LiPA・RifTB)

が保険適応になった4)

 2007 年の結核療法研究協議会の調査では,INH 耐 性が未治療群で 3.1%,既治療群で 12.3%,RFP 耐性 が未治療群で 0.7%,既治療群で 6.7%,MDR-TB は 未治療群で 0.4%,既治療群で 4.1%と報告された5)

結核の感染と発病6)

 結核の感染様式は,飛沫核感染であり,結核菌が 肺胞まで到達すると肺胞マクロファージに貪食され る.その後マクロファージにより殺菌され,ほとん どは自然治癒するが,約半数が感染し,そのうち約 10%が発病する.結核菌が細胞内で増殖し自然治癒 せず発病するのが一次結核であり,自然治癒した場 合でも結核菌が病巣に潜在し,宿主の免疫が低下し た際に菌が活動を再開し,内因性発病となるのが二 次結核である.

(2)

診  断7)

 結核の診断は,臨床検体から結核菌を証明するこ とが基本である.検体の種類は,喀痰,気管支洗浄 液,胃液,尿,血液,体液,組織などである.結核 の化学療法を成功させるためには,薬剤感受性検査 が必須である.

 喀痰,胃液はいずれも早朝空腹時に採取する.痰 の喀出が困難な患者では,10%塩化ナトリウムによ るネブライザーで誘発喀痰を採取する.

 1.塗抹検査法

 検体の一部を直接スライドグラスに塗抹する直接 塗抹法は,精度が保てないため,遠心で集菌した検 体材料を塗抹に用いることが勧められる.蛍光法は 蛍光顕微鏡 200 倍で拡大して観察するため,見落と しが少ないが,蛍光法では抗酸菌以外のものが蛍光 を発することがあるため,菌量が少ない場合は光学 顕微鏡 1,000 倍で検鏡する Ziehl-Neelsen(Z-N)法 で確認する.塗抹陽性となるには,喀痰 1 ml あた り最低 10,000 個以上の菌量が必要である.塗抹陽 性となっても,非結核性抗酸菌や Nocardia の場合 もあるので,結核菌とは断定できない.

 2.培養検査

 固形培地(小川培地など)と液体培地があり,結 核菌は遅発育菌のため,前者で 3 ~ 8 週間,後者で 1 ~ 4 週間の期間を要する.小川培地による培養法 は結果が出るまでに長期間を要することから,蛍光 発色によって抗酸菌を迅速に検出できる方法,

Mycobacteria‌Growth‌Indicator(MGIT)が開発さ れ,検出感度もより良好で,広く用いられている.

 3.抗酸菌同定法

 塗抹検査で抗酸菌を認めたら,結核菌か非結核性 抗酸菌かを鑑別する.以前は,結核菌で陽性となるナ イアシン試験などの生化学的検査が用いられていたが,

現在は核酸増幅法が主流となっている.Deoxyribo‌

Nucleic‌Acid(DNA)を増幅する Polymerase‌Chain‌

Reaction(PCR)法や Ribo‌Nucleic‌Acid(RNA)を 増幅する transcription‌mediated‌amplification(TMA)

法などがある.核酸増幅法は死菌でも陽性となるた め,活動性結核の診断には他の臨床所見から総合的 に判断する必要がある.

 近年,生の喀痰をそのまま使用することができる Loop-mediated‌isothermal‌amplification(LAMP)

法が開発された.前処理や試薬調整が不要でコンタ ミネーションのリスクも少なく,検査技師以外でも 実施可能であり,1 時間以内に結果が得られる.発 展途上国などの医療機器が限られている診療所など で使用されることが期待される8).感度は,喀痰直 接塗抹陽性培養陽性検体で 98.2%,塗抹陰性培養陽 性検体で 55.6%8)と報告されている.非結核性抗酸 菌や呼吸器疾患原因菌(肺炎球菌,インフルエンザ 桿菌,肺炎桿菌,緑膿菌等)では陰性であり,特異 度は 93.9%と高い9)

 4.薬剤感受性検査

 比率法は,薬剤添加培地に発育した結核菌のコロ ニー数を,薬剤非含有培地に発育した菌のコロニー 数で除することにより,耐性菌の比率を算出するも ので,1%以上を耐性とする.なお,ピラジナミド

(PZA)は,酸性下で薬効を発揮するため,酸性環境 にある培地では結核菌が発育しないために感受性検 査が難しい.このため,専用の検査キットを用いる.

 5.インターフェロン

γ

(IFN-γ)遊離試験7,10)

 従来,結核の診断に用いられてきたツベルクリン 反応は,bacille‌Calmette-Guerin(BCG)既接種や,

非結核性抗酸菌でも陽性になるため,特異度が低下 するという問題があった.そこで,ツベルクリン反 応に代わる診断法の開発が進められ,結核菌の特異 抗原として,early‌secreted‌antigenic‌target‌6kDa‌

protein(ESAT-6),10kDa‌culture‌filtrate‌protein

(CFP-10)が発見された.これらの抗原は,BCGや,

M.‌kansasii,M.‌szulgai,M.‌marinum 以外のほとん どの非結核性抗酸菌に反応しないため,抗原刺激に よって結核感染者末梢血のエフェクター T 細胞から 遊離される IFN-

γ

を測定することによって,結核感 染をより特異度高く診断できるようになった.この 診断法は,IFN-

γ

‌Release‌Assays(IGRAs)と総称 され,クォンティフェロンTBゴールド(QFT-3G),

TスポットTB(T-SPOT)等が保険適用になっている.

QFT-3G は,3 本の採血管に各 1 ml ずつ血液を注入 し,採血管を振ってへパリンと混合させる必要があ るが,T-SPOT は 1 本のへパリン採血管に 6 ml(成 人)採血するのみである.しかし,検査工程は T-SPOT の方がより複雑で時間がかかる.これまで 感度は T-spot が高く,特異度は QFT の方が高い とされてきたが11,12),両者の特異度に差はないとの 報告もある13).HIV 感染者等の免疫抑制宿主では,

(3)

T 細胞からの IFN-

γの産生が減少するため,IGRA

の感度が低下すると考えられており,CD4 が低値 の症例においては結果を注意深く解釈する必要があ る14).プレドニゾロンの投与は IFN-

γの反応を減

弱させるため,QFT-3G の判定保留が増加すること が報告されている15).一方,T-SPOT については HIV 感染者における CD4+細胞数減少,自己免疫 疾患のステロイド投与下での影響は受けにくいとさ れている16).QFT-3G はリンパ球数にかかわらず全 血から IFN-

γ量を測定するので,免疫不全患者で

は感度が低下するが,T-SPOT は一定量の末梢血単 核細胞数をそろえてから結核菌抗原を加えるので,

リンパ球数の低下した免疫不全宿主でも感度が落ち ないとされている17)

 判定基準を表 1,2 に示す.判定保留の考え方は,

QFT-3G と T-SPOT では異なるので注意が必要で

ある.QFT-3G の場合,判定保留は基本的には陰性 として扱うが,接触者健診における陽性率が 15%

以上の場合,他の所見から感染の可能性が高いと判 断した際には陽性として扱う.T-SPOT の判定保留 は,特異抗原の反応値が 8 以上または 4 以下となっ た場合と比較して信頼性がやや低下する可能性があ るため再検査が推奨されている.再検査の結果が再 度判定保留となった場合は,他の診断方法を用いる か,臨床的・医学的症状や患者背景を考慮し,総合 的な判断のもと診断を行う.

 IGRAs は,潜在性結核や肺外結核の補助診断等 には有用であるが,免疫抑制宿主での偽陰性,既感 染による偽陽性の問題もあり,結核の確定診断には 他の臨床所見を含めた総合的な判断が必要である.

 6.病理7,18)

 病初期には滲出性病変が形成され,続いて組織の

表 1 QFT-3G の判定基準 測定値 M

(IU/ml) 測定値 A**

(IU/ml) 判定 解釈

不問 0.35 以上 陽性 結核感染を疑う

0.5 以上 0.1 以上 0.35 未満 判定保留 感染リスクの度合いを考慮し,総合的に判断する

0.1 未満 陰性 結核に感染していない

0.5 未満 0.35 未満 判定不可 免疫不全等が考えられるので判定を行わない 注:12 歳以下の小児は QFT 値が低めに出る可能性がある.

特に,5 歳未満の小児については診断の参考としてだけ適用する.

 測定値 M(IU/ml)=IFN-γA-IFN-γN

**測定値 A(IU/ml)=IFN-γM-IFN-γN

IFN-γA:結核抗原血漿中の IFN-γ濃度(IU/ml)

IFN-γM:陽性コントロール血漿中の IFN-γ濃度(IU/ml)

IFN-γN:陰性コントロール血漿中の IFN-γ濃度(IU/ml) 文献 10)から引用

表 2 T-SPOT の判定基準

判定 陰性

コントロール値

特異抗原の反応値

:高いほう 陽性コントロール値

陽性 10 spot 以下 8 spot 以上 不問

陽性・判定保留 10 spot 以下 6,7 spot 不問 陰性・判定保留 10 spot 以下 5 spot 不問 陰性 10 spot 以下 4 spot 以下

判定不可 10 spot 超 不問 不問

10 spot 以下 5 spot 未満 20 spot 未満

特異抗原の反応値:特異抗原 A および B を用いたスポット数 ︲ 陰性コントロールのスポット数 文献 10)から引用

(4)

乾酪壊死とそれを取り巻く類上皮細胞層が形成さ れ,ラングハンス巨細胞が出現する(繁殖期).次 いで,類上皮細胞の周囲に膠原線維が形成され,類 上皮細胞は萎縮する(増殖期).宿主が優勢で菌の 活動性が弱まれば線維化に至り,最終的には巨細胞 も消失し(硬化期),壊死部には石灰が沈着して病 変は治癒する.好中球などの浸潤により壊死部が軟 化し内容物が気管支から排除されれば空洞形成とな る.一次結核では滲出性反応が強く,二次結核では

増殖性反応が中心となり,散布は管内性となり,呼 吸細気管支中心性の病変が形成される.

 7.画像  1)典型例7,19)

 滲出性病変を反映して,初期には融合傾向を示す 濃厚影が見られる.病変の場は細葉中心から肺胞管 である.粒状影は経気道性に分布し,肉芽腫形成を 反映し,病変の内部が緻密で含気に乏しいためコン トラストが高い(図 1).線状影は細い気道を埋める 病変である.粒状影が気道に沿って散布する像が分 枝状影(tree-in-bud‌appearance)(図 1)で,活動 性の可能性を考える.二次結核は S1,S2,S1+2,S6 に好発する.

 乾酪壊死物質が誘導気管支から排泄されると空洞 が形成される(図 2).空洞も結核でよく見られる 特徴的な所見であり,浸潤影中に比較的壁の厚い空 洞を呈するものが多いが,薄壁空洞もある.空洞を 認める場合は,排菌しているリスクが高い.

 粟粒結核は,全肺野にびまん性の粒状影を認め,

血行性散布を反映し,病変の分布はランダムである

(図 3).

 2)非典型例20)

 結核性肺炎は,肺炎様の病像を呈し,滲出性変化 主体の病変で,気管支透亮を伴う浸潤影がみられる

(図 4).以前は免疫活動が活発な若年者に好発する とされ,内部に空洞や散布影を認める点が細菌性肺 炎との鑑別点であった.しかし,近年高齢者や糖尿 病など基礎疾患を有する結核性肺炎症例で,空洞や 散布影を欠き,菌量が乏しく検出困難のため診断が 遅れる事例があり,注意が必要である.

a.‌‌X 線写真:右上中肺野に境界不明瞭な結節影が複数,図 1 右中肺野には気道に沿って拡がる索条影がみられる.

b.‌‌高分解能 CT:右上葉(S1)には気道周囲に濃厚影,

線状影と末梢には小結節影の散布がみられる.

c.‌‌右下葉(S6)には経気道部分布を示す粒状影,線状 影,分枝状影を認める.

CT:左上葉(S1+2)に空洞,周囲に散布巣,右上葉図 2 に経気道性の粒状影,結節影を認める.

(5)

治  療7,21)

 結核の治療は,患者の治癒だけでなく,薬剤耐性 結核の増加と社会への蔓延防止,さらには後遺症を 予防することが重要な目標である.このためには確 実な服薬が重要であり,世界的にも普及している直 接服薬確認(Directly‌Observed‌Treatment,‌Short- Course:DOTS)が重要な役割を担っている.基本 的には,結核は初回治療を適切に行えば治癒が望め る疾患であるが,高齢,低栄養,糖尿病といった合 併症が治療阻害因子となるため,栄養面や合併症の 管理も的確に行うことが重要である.

 日本結核学会治療委員会では,2014 年に結核医 療の基準の見直しを提言しており,主な変更点,追 加点は以下の通りである.

 ①初回標準治療における EB,または SM の使用 期間

 ②治療期間を 3 か月延長する要件に HIV 感染等 を追加

 ③間欠療法の位置付けの変更,週 2 回の削除,週 3 回の推奨度の引き下げ

 ④治療の中断または変更があった場合の考え方を 追加

 ⑤ DOTS について,地域 DOTS の追加

 ⑥腎不全がある場合,血液透析中の用法・用量の 記載

 ⑦レボフロキサシン(LVFX)の位置付けの変更  ⑧ LVFX 以外に使用可能なフルオロキノロン剤

の変更

 ⑨デラマニド(DLM)の追加

 治療前には血液検査,聴力検査,眼科的チェック 等評価をしておく.栄養状態が良好である患者は INH による末梢神経炎予防にビタミン B6 の内服は 必要ないが,栄養不良,慢性アルコール中毒患者等 では服薬開始時からビタミン B6 を併用しておく.

 1.標準治療

 薬剤感受性が不明である治療開始時には,耐性菌 の可能性を念頭に,抗結核剤を 3 剤以上併用する.

抗結核薬の種類と投与量を表 3 に示す.薬剤耐性の 可能性が考えにくい場合の初回標準治療は以下の通 りである.

 [A]RFP+INH+PZA に SM(または EB)の 4 剤併用で 2 か月治療後,RFP+INH で 4 か月治療

a.‌‌X 線写真:全肺野に小粒状影を認める.図 3

b.‌‌高分解能 CT:両肺野にびまん性に 1 ~ 2 mm 大の 比較的均一な大きさの微細粒状影が分布している.

病変の分布は二次小葉とは無関係で血行散布性病変 を示唆する.

高分解能 CT:右中葉(S4)に気管支透亮像を伴う浸潤図 4 影,右下葉(S6)に斑状影,左下葉(S6)に境界不明 瞭な粒状影が認められる.

(6)

する.全治療期間 180 日.

 [B]RFP+INH に SM(または EB)の 3 剤併用 で 2 か月間治療後,RFP+INH で 7 か月間治療する.

全治療期間 270 日.

 以下の条件がある場合には 3 か月延長する.

 1)結核再治療例

 2)‌‌治療開始時重症例(有空洞,特に広汎空洞例,

粟粒結核,結核性髄膜炎,骨関節結核等)

 3)‌‌排菌陰性化遅延:初期 2 か月の治療後も培養 陽性

 4)‌‌免疫不全を伴う場合:HIV 感染,糖尿病,塵 肺,関節リウマチ等の自己免疫疾患等

表 3 抗結核薬のグループ化と投与量

薬剤 作用 標準投与量

mg/kg/day 最大投与量

mg/body/day 備考

First-line‌drugs(a) 最も強力な抗菌作用を有し,菌の撲滅に必須の薬剤  リファンピシン 滅菌的 成人 10

小児 10 ~ 20 600 薬物相互作用が強い場合があるので,適宜リファブチン で代用する.

特に HIV 感染患者で抗ウィルス剤投与を必要とする場合.

 リファブチン 滅菌的 5 300

 イソニアジド 殺菌的 成人 5

小児 10 ~ 20 300 間欠療法の際には 10 mg/kg/day,1 日最大量 900 mg.

300

 ピラジナミド 滅菌的 25 1,500

First-line‌drugs(b) First-line‌drugs(a)との併用で効果が期待される薬剤

 ストレプトマイシン** 殺菌的 15 750(1,000) 初期 2 か月間は毎日投与していいが,その場合は最大量750 mg/day,週 3 回投与の場合は 1 g/day まで使用可.

 エタンブトール 静菌的 15(20) 750(1,000) 最初の 2 か月間は 20 mg/kg/day としてよいが,3 か月 以 降 も 継 続 す る 場 合 に は 15 mg/kg/day,1 日 最 大 量 750 mg とする.

First-line‌drugs に比べ,抗菌力は劣るが,多剤併用で効果が期待される薬剤

 レボフロキサシン   ‌ ‌ 8 500 体重 40 kg 未満では 375 mg とする.多剤耐性結核の場合,

必要に応じ増量する***.小児,妊婦は禁忌.モキシフ ロキサシンへの代用可.

 カナマイシン**   ‌ 15 750(1,000) 初期 2 か月間は毎日投与していいが,その場合は最大量750 mg/day,週 2 回投与の場合は 1 g/day まで使用可.

 エチオナミド   ‌ 10 600 200 mg/day から漸増する.

 エンビオマイシン   ‌ 20 1,000 初期 2 か月間は毎日投与,その後は週 2 ~ 3 回とする.

 パラアミノサリチル酸   200 12,000

 サイクロセリン   ‌ 10 500

新薬

 デラマニド   200 mg   200 mg‌分 2 朝夕で使用する

上から下に優先選択すべき薬剤の順に記載されている.

の薬剤については,腎機能障害がある場合には投与間隔を長くする検討をする必要がある.

**の薬剤については,聴力低下,腎機能障害がある場合には可能な限り使用を避けるか減量する.但し,腎透析時には使用 可.

***‌‌米国胸部学会の指針ではレボフロキサシンの用量は 500 mg ~ 1 g となっており,これを参考に必要と判断した場合は日 本の添付文書用量を超えることを了解のうえ使用する.

文献 21)表 1,2 を改変して作成

(7)

 5)‌‌副腎皮質ステロイド剤,免疫抑制剤,抗腫瘍 剤併用例

 6)‌‌その他:骨関節結核で病巣の改善が遅延して いる場合等

 治療開始 2 か月後の菌陰性化率が高いこと,治療 期間の短縮を図れることから,原則として[A]法 を使用し,PZA が使用できない場合に[B]法を用 いる.妊娠中,肝硬変,C 型肝炎などで aspartate‌

aminotransferase(AST),alanine‌aminotransferase

(ALT)が 100 U/L 以上の症例,すでに関節痛,痛 風発作の家族歴のある症例では[B]法を用いる.

なお,肝障害がある症例については,INH,RFP,

EB で開始しておいて 1 週間後に PZA を加えても よい.B 型肝炎ウイルス感染者では[A]法を用い てよい.SM,PZA は妊婦には用いない.

 80 歳以上の高齢者では副作用を懸念して[B]法 が用いられることも多いが,栄養状態が良好で,肝 機能障害がなければ,原則[A]法を選択する.薬 剤開始後,注意深く患者の状態を観察し,倦怠感,

食思不振等肝機能障害を示唆する兆候が少しでも現 れた場合には迅速に採血で評価し,肝機能障害があ れば中止する等適切な対応をする.

 SM か EB のいずれを選択するかに関しては,次 の条件を考慮する.①抗菌力は SM が勝る.②国内 の薬剤耐性率は SM が EB よりも高い.③血液透析 を施行していない腎機能障害者では SM の使用を避 ける.③視力障害がある場合は EB の使用を避ける.

④ SM は注射剤のため週 2 ~ 3 回の通院を要する.

2 か月以降の時点で薬剤感受性が不明ないし症状の 改善に乏しい場合,SM または EB は継続とする.

 2.標準治療が行えない場合

 薬剤の選択は表の記載順に従って行う.フルオロ キノロン剤では唯一 LVFX が 2015 年 8 月に承認さ れている.モキシフロキサシンは未承認だが抗菌効 果が高い.

 1)INH が使用できない場合

 (1)‌‌PZA 使用可:RFP,PZA に LVFX,SM(ま たは KM,エンビオマイシン:EVM),EB のうち 2 剤以上を 6 か月以上,その後少なく とも 3 か月 RFP を含む有効薬剤を 2 剤以上,

かつ菌陰性化後 6 か月以上の治療を行う.

 (2)‌‌PZA 使 用 不 可:RFP に LVFX,SM( ま た は KM,EVM),EB の 4 剤 で 6 か 月 以 上,

以降少なくとも 6 か月 RFP を含む有効薬剤 を 2 剤以上,かつ菌陰性化後 9 か月以上の治 療を行う.

 2)RFP が使用できない場合

 (1)‌‌PZA 使用可:INH,PZA に LVFX,SM(ま たは KM,EVM),EB のうち 2 剤以上を 6 か月以上,その後少なくとも 6 か月 INH を 含む有効薬剤 2 剤以上の継続期間を含めて,

全治療期間を菌陰性化後 18 か月とする.

 (2)‌‌PZA 使用不可:INH,LVFX,SM(または KM,EVM),EB の 4 剤で 6 か月以上,以 降少なくとも 12 か月 INH を含む有効薬剤 3 剤を継続し,全治療期間を菌陰性化後 18 か 月とする.

 3)INH,RFP が使用できない場合

 PZA,LVFX,EB,SM( ま た は KM,EVM),

エチオナミド(TH)のうち 4 ~ 5 剤が選択される.

DLM も選択肢に挙がる.DLM は,多剤耐性肺結 核に対し,他の二次薬と併用する薬剤として,2014 年 7 月に承認された.既存の抗結核薬に薬剤耐性お よび副作用の点から 4 ~ 5 剤目として使用できる薬 剤がない場合に使用する.DLM を含んだ二次薬併 用治療において,含まない軍と比較し,治療 2 か月 後の菌陰性化が有意に改善したことが報告されてい る.注意すべき有害事象は QT 延長である22).  3.間欠療法

 外来で直接服薬確認が必要と判断される場合,検 討してもよい.

 対象とできる条件は,PZA を含む[A]法を開 始して中断なく 2 か月の服薬を完了し,RFP,INH の両薬剤に感受性が確認された例である.[B]法 による治療例,副作用のため治療中断した例,HIV 感染者は再発率が高いため,不可である.治療法 は,[A]法を 2 か月間終了したあと,RFP と INH の 2 剤を 4 か月間,週 3 回服用する.なお,重症例 では初期の第 4 の薬剤としては,EB よりも殺菌力 が強い SM を選択する.治療期間は原則 6 か月であ るが,糖尿病合併例,広汎空洞型,再治療例は 3 か 月延長して 9 か月とする.薬剤投与量は,RFP は 毎日法と同様,INH は 1 回投与量を通常の 2 倍の 10 mg/kg,1 日最大量 900 mg とする.間欠療法は 1 回でも服用を怠ると治療失敗につながるので,必 ず DOTS を用いて,電話や FAX,空包による確認

(8)

でなく,直接面前で服薬の確認を行う.

 4.有害事象等の理由により服薬中断せざるを得 なかった場合の治療期間

 初期強化期 60 日分は 90 日以内,維持期について は[A]法では 120 日分を 180 日以内,[B]法では 210 日分を 315 日以内に終えれば可とされている.

 5.治療効果,副作用のモニタリング

 服薬が開始されたら,入院中は院内 DOTS,外 来では地域 DOTS により,確実な服薬が完遂され るよう患者支援をする.

 4 か月以上排菌が持続している例では菌の耐性化 を考慮し,再度感受性検査を確認するとともに,服 薬コンプライアンスについても評価する.DLM 以 外は,薬剤の血中濃度確保と DOTS のためには原 則 1 日 1 回投与とするが,胃腸障害等で困難な場合 には分割投与にしてもよい.

 喀痰は月 1 回,血液検査は開始 2 か月は少なくと も 2 週間毎,特に PZA を使用する場合は週 1 回,

胸部 X 線は 3 か月に 1 回は施行する.SM,EB 使 用例ではそれぞれ毎月聴力,視力検査を施行する.

治療開始 3 か月以内の画像が悪化傾向でも,菌が陰 性化していれば同じ処方で継続する.

 食欲低下,倦怠感,頭痛,悪心,嘔吐等が出現し た場合は,肝障害の可能性が高いので直ちに肝機能 を検査する.但し,無症状例や外来患者では再診日 まで我慢してしまう例もあるため,初期 2 か月は少 なくとも月 2 回は定期検査を施行する.患者には,

体調に変化があればすぐに報告するよう治療前によ く説明しておくことが重要である.特に,高齢者,

糖尿病,アルコール依存症,肝疾患合併患者では副 作用が出やすいため注意が必要である.EB につい ては自覚症状では発見できない例もあり,少なくと も使用 2 か月後には定期的な眼科的チェックが必要 である.発熱・発疹は,いずれの抗結核薬でも起こ り得る.症状が強い場合は,全剤中止し,症状安定 後に被疑薬として考えにくい薬剤から 1 剤ずつ 2 ~ 3 日毎に追加する.減感作療法23)も有効である.

 主な抗結核薬の副作用を以下に挙げる.

 ・INH:肝障害,末梢神経障害,アレルギー  ・RFP:肝障害,胃腸障害,アレルギー  ・SM,KM:第八神経障害

 ・EB:視神経障害

 ・PZA:肝障害,胃腸障害,高尿酸血症,関節痛

 PZAによる高尿酸血症は,代謝産物であるpyrazinoic‌

acid の尿酸分泌抑制作用により生じると考えられて

いた24,25).近年では,尿酸排泄に重要な輸送体 urate‌

transporter(URAT)1 が同定され,PZA が URAT1 における尿酸輸送の交換基質となり,尿酸の再吸収 を促進させる機序が考えられている26).尿酸生成阻 害薬であるアロプリノールは,PZA による二次性 高尿酸血症に対する有効性はなく,PZA の代謝を 阻害し血中濃度が上昇するため27)注意が必要であ る.また,尿酸排泄促進剤であるベンズブロマロン についても尿酸コントロールには有意差が認められ なかったと報告がある28).尿酸値は,基本的には PZA の投与終了後数日で回復し,PZA による高尿 酸血症から通風発作が生じることは極めて稀であ り,痛風の素因や PZA 投与前の高尿酸血症がない 例では尿酸コントロール薬を併用する必要はないと 考えられている28,29)

 6.化学療法以外の治療7,30)

 1)副腎皮質ホルモン剤

 ステロイドの有効性については明確な結論は出て いないが,結核性髄膜炎,結核性心膜炎,粟粒結核 など重症呼吸不全を呈している症例で投与を考慮す る.髄膜炎における水頭症,脳圧亢進には有効とす る報告がある.心膜炎では,抗結核薬や心嚢ドレ ナージに反応が乏しい症例,全身状態不良例,心嚢 液貯留を繰り返す症例に検討することが望ましい.

 2)外科療法

 (1)多剤耐性結核31)

 強力で十分な化学療法を少なくとも 4 か月施行し ても,排菌停止が得られず,病巣が限局して完全に 切除することができる症例が適応となる.空洞は難 治化の要因であり,菌陰性化が得られても空洞内に 菌が残存する例があることから,排菌が陰性化して も肺切除を考慮する.肺切除が不可能な症例では,

空洞の虚脱を得る胸郭成形術も選択肢となる.術前 は3~4か月,術後は1~2年の化学療法が望ましい.

多剤耐性肺結核の手術による菌陰性化率は 77 ~ 98%,再発率が 9 ~ 11%と報告されており,化学療 法による菌陰性化率が 65 ~ 68%,再発率が 50 ~ 56%であることを考えると32,33),良好な成績である と考えられる.

 (2)慢性膿胸

 有廔性膿胸は手術の絶対適応である.肺内病巣が

(9)

軽微であれば肺剝皮術が基本だが,肺内病変が強 く,有廔性の症例では胸膜肺全摘術が行われる.過 量出血や過侵襲を避けるため膿胸腔を一部残したま ま減菌し,死腔を潰す膿胸腔縮小術もある.状態不 良例には開窓術が行われることもある.

 (3)気管支結核

 気管支狭窄により無気肺,閉塞性肺炎を生じる場 合に気管支形成術を検討する.

 (4)喀血

 出血源は空洞と気管支拡張病変で,出血が大量で 持続する場合は,気管支動脈塞栓や,肺切除の適応 となる.

 (5)肺外結核

 化学療法不応例では,肺結核と同様,病巣の適除

(腎,精巣上体,脳,骨,滑膜,子宮内膜,卵巣・

卵管など)を検討する.

 リンパ節,骨・関節,腸腰筋皮下等にある程度の 大きさの膿瘍を形成した場合,化学療法のみでは限 界があり,病巣廓清,ドレナージ等の外科的治療が 必要になる.

 結核性胸膜炎においては,しばしば化学療法のみ で胸水はコントロール可能だが,肺の拡張が得られ ない場合は拘束性換気障害の原因となるため,外科 的な剝皮術が有効である.

 結核性心膜炎では,診断目的,心タンポナーデの 予防および解除目的に心嚢穿刺やドレナージチュー ブ留置が行われる.抗結核薬開始から 4 ~ 8 週経過 しても血行動態に改善がなければ,重篤な右心不全 に到る前に心膜切除術を施行することが推奨されて いる.

 結核性髄膜炎では,水頭症に移行した場合,腰椎⊖

腹腔シャントの造設が必要となる.

 尿路結核では34),腎破壊が著しく,腎機能が廃絶 し,出血や腎性高血圧を伴う症例が腎摘除術の適応 になる.尿路結核による尿管狭窄は,水腎症,尿閉 の原因となるため,尿管の再建術を行う.結核性萎 縮膀胱を来たしている場合には膀胱拡大術が行われ ることがある.

 腸結核では,腸管狭窄,腸管穿孔例で手術適応と なる.

 7.小児における結核の治療35)

 4 歳以下の小児においては,播種するリスクが高 いため,診断したらすぐに治療を開始することが重

要である.

 標準治療は成人と同様,INH,RFP,PZA を 2 か 月,その後 INH,RFP を 4 か月投与する.感受性 のある薬剤を 2 剤(治療開始時には 3 剤以上)併用 する.結核性髄膜炎と粟粒結核の治療期間は 9 ~ 12 か月とする.小児では,有効な血中濃度に達す るため体重当たり多くの投与量を要すること,肝機 能障害などの副作用が少ないことから,以下成人よ りも投与量が多くなっている.

 INH‌10 ~ 15 mg/kg/day(最大投与量 300 mg/day)

 RFP‌10 ~ 20 mg/kg/day(最大投与量 600 mg/day)

 EB‌15 ~ 20 mg/kg/day(最大投与量 750 mg/day)

 PZA‌30 mg/kg/day(最大投与量 1.2 g/day)

 SM(streptomycin)20 ~ 30 mg/kg/day 筋注(最 大投与量 0.75 g/day)

 8.妊婦における結核7)

 結核は出産後急激に悪化することがあり,胎児へ の影響も考慮すると,結核が疑わしい妊婦において は積極的に治療を開始する必要がある.

 結核罹患妊婦の治療は,日本においては INH 耐 性を考慮し,INH,RFP,EB の 3 剤併用が推奨さ れている.これらの薬剤は胎盤通過性があるもの の,催奇形性はないと考えられている.SM,キノ ロン,TH は催奇形性があるため,使用を避ける.

PZA は安全催奇形性に関するデータがないため使 用を避け,治療期間は 9 か月とする.INH を使用 する場合はピリドキシンを併用する.

 9.合併症がある場合7)

 基礎疾患に対して既に複数の薬剤を投与している 例が多いため,抗結核薬,特にリファマイシン系と の相互作用を把握しておくことが重要である.

 1)糖尿病

 糖尿病合併肺結核症は,難治で死亡率が高い.高 血糖は,免疫機能の低下,末梢循環障害による局所 の低栄養や低酸素状態を来たし,治癒の遅延,薬剤 の不十分な到達につながる36).よって,糖尿病患者 における結核では,血糖の十分なコントロールが必 要不可欠である.

 薬物相互作用にも留意する必要があり,RFP,PZA は血糖降下薬の作用を減弱させる.INH はインス リン,血糖降下薬の作用を少量で増強,多量で減弱 させる.但し,肝障害があると INH は少量でもイ ンスリン,血糖降下薬の作用を減弱させることがあ

(10)

るので,個々の患者に合った対応が必要となる.

 2)塵肺結核

 珪肺結核では,局所の血流やリンパ流の障害が治 癒阻害因子になり,予後が不良になることが多く,

治療は 3 か月延長する.

 3)肝疾患37)

 INH,RFP,PZA は肝毒性があるため,治療開 始前に一般的な肝機能検査,腹部エコーを評価して おく.肝不全,非代償性肝硬変,AST または ALT が基準値上限の 3 倍以上である慢性活動性 C 型肝 炎では PZA の使用は避ける.重症肝不全の場合は SM,EB,LVFX などの 3 剤以上による治療を検討 する.一方,粟粒結核により AST,ALT が高値を 来たす場合は,HREZ による強力な治療が必要にな るため,肝酵素上昇の鑑別は極めて重要である.

 肝炎の自覚症状が軽度であっても急激に重症化す ることがあるため,食思不振,嘔吐,腹痛,全身倦 怠感等の出現時は早期に医療スタッフへ伝えるよう 患者に十分説明しておく.肝障害が起きた場合に は,日本結核病学会治療委員会から出されている

「抗結核薬使用中の肝障害への対応について」に準 じて対処する38)

 4)腎疾患37)

 腎障害がある場合は,表 4 に示したような投与 量,投与間隔の調整が必要となる.人工透析時に は,抗結核薬は透析後に投与する.

 潜在性結核感染症39)

 前述したように,ツベルクリン反応は BCG や非 結核性抗酸菌症の影響を受けるため,IGRAs によ る診断が主流となっている.結核菌暴露から QFT が陽性になるまでの期間は 4 ~ 7 週と考えられてお り,濃厚接触者で初回 IGRA が陰性の場合,6 ~ 10 週以内の再検が勧められている.但し,14 ~ 22 週 までに陽転化することもあり40),最終接触から 6 か 月後にも再検査を検討する.

 潜在性結核の治療前には必ず胸部 X 線を撮影し,

活動性肺結核の否定,陳旧性陰影の確認をする.し かし,予防投与後に INH 耐性結核を発病した例が 報告されており,X 線では認められない病巣もあ り,CT の有用性が報告されている41,42)

 予防投与は基本的には INH を 9 か月間投与する が,耐性,副作用等で INH が使用できない場合に は RFP を 4 ~ 6 か月間使用する.用量は標準治療 と同様である.

表 4 腎不全時ならびに人口透析時の抗結核薬の投与量と投与間隔

薬剤 主な排泄経路

血中半減期(時間) 投与間隔(時間)と 1 日投与量(g) 薬剤の

透析外液 正常時 腎不全 への移行

末期   正常時 腎不全時 Ccr‌ml/min

> 50 10~50 < 10 透析時

INH slow‌2~4 17 投与間隔 24 24 24 24 正常時と同じ** あり 肝で代謝 rapid‌0.5~1.5   1 日投与量 0.3 0.3 0.3 0.3 正常時と同じ**

RFP 2~5 2~5 投与間隔 24 24 24 24 正常時と同じ

あり***

1 日投与量 0.45 0.45 0.45 0.45 正常時と同じ

EB 4 8 投与間隔 24 24 23~36 48 隔日

あり***

1 日投与量 0.75 0.75 0.5 0.5 10 mg/kg PAS

0.75 23 投与間隔 8 8 24

投与しない 隔日

肝で代謝 1 日投与量 10 10 8 100 mg/kg あり

SM 2.5 100~110 投与間隔 24 または週 2 日 24 24~72 72~96 週 2 日 あり 1 日投与量 1 0.75 0.5 0.5 0.5 g

KM 3 ~ 4 27~36 投与間隔 週 2 日 24 24~72 72~96 週 2 日 1 日投与量 2 1.5 1 0.5 0.5 g あり

:slow‌inactivator では 4 mg/kg‌pyridoxin 併用.**:1 日 0.3 g を 2 ~ 3 日に 1 回との説もある.

***:異なる見解がある.       文献 35)より引用

(11)

お わ り に

 結核病学は,多くの先人達が自ら結核で命を削り つつ切り開いてきた分野である.

 岡治道氏による胸部 X 線読影法,小林義雄氏に よるツベルクリン反応の研究,INH 予防内服,凍 結乾燥 BCG ワクチンの実用化等は本邦の功績であ り43),呼吸器病学の発展にも寄与したといえる44). また,日本の結核対策は,結核予防法が制定された 1951 年から官民協力体制で推進され,年率 10%と いう速さで結核の減少に成功した45).現在高齢者結 核,海外では HIV 感染等さまざまな問題があり,

いまだに根絶はできていない.しかし,診断,治療 法は進歩し続けており,今後も結核における課題を 一つ一つ解決していくことは,医学の発展において も重要な糧になると考えられる.

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表 2 T-SPOT の判定基準 判定 陰性 コントロール値 特異抗原の反応値 * :高いほう 陽性コントロール値 陽性 10 spot 以下 8 spot 以上 不問 陽性・判定保留 10 spot 以下 6,7 spot 不問 陰性・判定保留 10 spot 以下 5 spot 不問 陰性 10 spot 以下 4 spot 以下 判定不可 10 spot 超 不問 不問

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