ふ り が な
氏 名
かとう りな
河東 里奈 学 位 の 種 類 博士(歯学)
学 位 記 番 号 甲 第 897 号 学 位 授 与 の 日 付 令和 3 年 3 月 5 日
学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項に該当
学 位 論 文 題 目 Detection of exosomal miRNA in GCF with chronic periodontitis
(慢性歯周炎特有の歯肉溝滲出液中エクソソームにおける miRNA の検出)
学 位 論 文 掲 載 誌 Journal of Osaka Dental University 第 55 巻 第 1 号 令和 3 年 4 月
論 文 調 査 委 員 主 査 髙橋 一也 教授 副 査 岡崎 定司 教授 副 査 橋本 典也 教授
論文内容要旨
マイクロ
RNA(miRNA)は約22塩基が連なった一本鎖の
RNA分子で、標的遺伝子の発現を抑制し、
成長や疾患に関わる遺伝子発現を広範に調節している。細胞外に分泌された
miRNAは細胞外小胞で あるエクソソームに内包されているため、分解酵素に満ちた血液や体液などの環境下でも存在するこ とができる。これまで、血液や唾液など体液のエクソソーム内包
miRNA発現を解析することで疾患 特異的な
miRNAが発見されている。一方、歯肉溝滲出液(GCF)は血清由来の滲出液で歯周組織の炎症 によって量や成分が変化することが知られている。GCF からエクソソームの検出が可能であれば、歯 周組織の状態により
miRNA発現に変化があるのではないかと考えた。そこで本研究では
GCFからの エクソソーム検出ならびに慢性歯周炎(CP)特有のエクソソーム内包
miRNA発現の探索を目的とし た。
GCF中のエクソソームの存在を確認するために、粒子径測定と
CD9/CD63の検出確認、またエク ソソームの観察を透過型電子顕微鏡(TEM)にて実施した。
CP患者と健常成人の
GCF中エクソソー ムから網羅的に
miRNA発現解析を行い、解析結果から候補
miRNAを決定した。
CP患者
9名の歯周 ポケット
4mm以上の部位(P)と
3mm以下の部位(PH)、ならびに健常成人
11名の生理的歯肉溝(H)の
GCF中エクソソームから、選択した候補
miRNAの発現解析を行った。粒子径測定の結果よりエクソ ソームの存在を示す
100nm前後にピーク波形を確認することができた。また、CD9/CD63 が検出さ れ、TEM よりエクソソームが確認できた。網羅的解析より、健常成人と比較して
CP患者の
miRNA発現に
8倍以上差がみられたのは
11種であった。その中でもより高い発現を示した
5種の
miRNAを 候補
miRNAとして選択した。また、hsa-mir-4723-5p を内部標準として使用した。発現解析より、
hsa-mir-204-3p
の発現が
Hと比較して
P、PHで有意に低下を示した。本研究から、GCF にも解析可
能なエクソソームが存在し、エクソソームに内包されている
miRNAの発現解析が可能であることが
明らかとなった。また、mir-204 の阻害により
IL-1 , IL-6, IL-8の産生が亢進するとの報告があり、
GCF
における
mir-204-3pの発現低下が
CP患者において炎症性サイトカインの産生を促進する可能 性が示唆された。今後さらに検体数を増やし、
miRNA発現の動態を検討していく必要があると考える。
以上より
mir-204-3pが歯周組織の状態と関連していることが示唆された。
論文審査結果要旨
本研究は、歯肉溝滲出液(
GCF)からエクソソームの検出ならびに慢性歯周炎(
CP)特有のエクソ ソーム内包
miRNA発現の検出を行ったものである。
また、本研究は、大阪歯科大学の医の倫理委員会(大歯医倫 第
110938号)の承認を得て行われた。
GCF