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会議参加記 139

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Vol.25 No.2

原子力バックエンド研究

会議参加記

139

日本原子力学会 2018 秋の大会

バックエンド部会/保健物理・環境科学部会合同セッション 1

「クリアランスの現状と課題(1)」参加報告

澤周補*1

岡山大学で開催された日本原子力学会

2018

秋の大会に て,9月

5

日(水)にバックエンド部会と保健物理・環境 科学部会の合同セッションの

1

つである「クリアランスの 現状と課題(1)」が開催された.セッション冒頭でのバッ クエンド部会大和田部会長および保健物理・環境科学部会 服部部会長の挨拶の後,次の

3

件の発表があり,わが国に おけるクリアランスの現状と検討状況が説明された.

①クリアランスにおける線量基準の考え方

②わが国におけるクリアランスの現状と課題

③物品搬出ガイドラインとクリアランス

以下では,本合同セッションで発表された上記

3

件の内容 について報告する.

①クリアランスにおける線量基準の考え方

電力中央研究所・荻野晴之氏から,当該物質を放射性物 質として扱う必要がなく,放射線防護に係る規制の枠組み から外すという「クリアランス」の概念が成立するための 前提条件や,国際放射線防護委員会(ICRP)の刊行物を基 としたクリアランスにおける線量基準の考え方について紹 介があった.

クリアランスの概念が成立するための前提条件は,原子 力施設の解体に伴って大量に発生した物であっても,放射 能濃度が極めて低く,再利用・再使用による線量が自然界 と比較して十分小さく,人の健康に対するリスクが無視で きる場合である.

クリアランスにおける線量基準は,自然界の放射線との 関係およびリスクとの関係という

2

つの観点で,

ICRP

を中 心とした国際的な議論を経て,「年に

10 µSv

のオーダーあ るいはそれ以下」という判断基準が定められている.ただ し,クリアランスレベルの導出にあたっては,「年に

10 µSv」という単一の値が使われ,厳守することが必要な数

値基準として受け止められがちであり,そもそもの線量基 準における“オーダー”の意味合いに立ち返り,適切な保 守性の範囲内で柔軟に運用していくことが重要である.

②わが国におけるクリアランスの現状と課題

電気事業連合会・石井公也氏から,現在廃止措置および 廃止措置準備をしている実用発電用原子炉が

12

基あり,今 後の廃止措置を円滑に進めるため,クリアランス物搬出先 の確保(拡大)が喫緊の課題であると紹介があった.

わが国では,2005年にクリアランス制度が導入され,こ

れまでに約

5,000

トンのクリアランス物の確認を終え,テ ーブル・ベンチ・ブロック等への再利用により事業者内で の再利用実績が蓄積されている.また,低レベル放射性廃 棄物収納容器の遮蔽体への適用に向けた試験研究が実施さ れ,事業者内での再利用範囲の幅を広げる取り組みがなさ れている.

今後実用発電用原子炉の廃止措置作業の本格化が見込ま れ,例えば

110

kW

BWR

プラントでは,クリアラン ス物が約

3

万トン(廃棄物量全体の約

5%)発生すると推

定されているが,搬出先が確保されていない場合,発電所 敷地内に保管されることとなる.このような状況は,廃止 措置が円滑に進んでいるとは言い難く,クリアランス物に 対する理解が深まっていく必要がある.

③物品搬出ガイドラインとクリアランス

原子力機構・橋本周氏から,日本保健物理学会放射線防 護標準化委員会が

2016

年に制定した,放射性物質による表 面汚染を伴う物品の搬出に関する物品搬出ガイドラインに ついて紹介があった.

物品搬出ガイドラインは,被ばくの状況に応じた次の

3

種類の搬出に対して制定された.

・計画被ばく状況における汚染した物の搬出

・緊急時被ばく状況における汚染した物の搬出

・現存被ばく状況における汚染した物の搬出

計画被ばく状況における物品搬出ガイドラインの解説の 中で,物品搬出に対するクリアランスの概念の適用につい て検討され,物品搬出がクリアランスの行為と類似してい ることから,物品搬出基準とクリアランスの一般的な基準 の比較対照が行われた.その結果,クリアランス線量基準 に相当する表面汚染レベルは物品搬出基準よりも大きいこ とが示され,物品搬出ガイドラインに示した線量基準は,

クリアランスの考え方に整合すると考えられる.

最後に,本合同セッションでは約

100

名が聴講し,会場 がほぼ満席となるほどの盛況であった.本セッションによ って,両部会でわが国におけるクリアランスの現状と検討 状況を共有し,クリアランスを進めていく上での課題を共 通認識することができ,今後クリアランスが有効に活用さ れるための良い機会になったと考えられる.

Report on the joint session 1 of Division of Nuclear Fuel Cycle and Environment and Division of Health Physics and Environmental Science, “ Part 1, Current Status and Issues of Clearance System” by Shusuke SAWA([email protected])

*1 株式会社 IHI IHI Corporation

〒235-8501 神奈川県横浜市磯子区新中原町1

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原子力バックエンド研究

December 2018

140

原子力バックエンド研究

Ju n e 2 0 1 0

写真 1 発表の様子

参照

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