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厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)

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厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)

分担研究年度終了報告書

チラシ配布による介護予防のためのポピュレーションアプローチ       分担研究者  山田  実    筑波大学  人間系  准教授

      青山  朋樹  京都大学医学研究科  准教授

研究要旨 課題1

目的

本研究の目的は、要介護への一次予防の一つとして、介護予防(健康増進)に関するチラ シを配布することによる効果を検証することである。課題1では、配布方法の違いによる意 識・行動変容の差異を検討した。

方法

3つの市町に対して、介護予防に関するチラシを①ポスティング、②広報誌への折込み、

③新聞折込みの3つの方法によって月に1回の頻度で配布した。12ヶ月間(12回)の配布 修了後に、郵送によるアンケートを実施した。

結果

ポスティングによる配布を行ったA市の分析対象者は 4,819名(75.8±7.4歳)、広報誌 への折り込みを実施したB市は6,664名(74.8±6.8歳)、新聞折り込みを実施したC町は 2,088名(77.5±7.9歳)であった。

  ポスティング配布を行った A 市で(1)本介護予防に関するチラシを見ていた高齢者は 44.8%、広報誌への折り込みを行った B市では93.7%、広報誌への折り込みを行った C市

では 31.7%であった。なお、どのような形であってもチラシを見ていれば、約 50%の高齢

者の意識が変容し、約35%には行動も変容していた。

結語

介護予防に関するチラシを3つの方法によって検討した。その結果、広報誌への折り込み を行った地区で最も見ていた高齢者が多かった。なお、どのような方法で配布してもチラシ を見ていれば、約50%の高齢者の意識が変容し、約35%には行動も変容していた。

課題2 目的

本プロジェクトの主たる目的は介護予防に関するチラシをポスティング配布することに よる介護予防への有用性を検証する事である。課題2では、その短期効果の一つとして身体 活動量に対する効果を検証した。

方法

本研究デザインはクラスターRCTである。研究対象となった市には18個の小学校区が存 在し、無作為に 9 小学校区を介入エリア、別の 9 区をコントロールエリアとして介入を実 施した。介入は2012年9月から2013年8月までの1年間とし、月に1度介護予防に関す るチラシをポスティング配布した。チラシはA4片面カラーとして、毎月一つの特集(サル コペニア、認知症、転倒予防など介護予防関連)と当該月に開催している市主催の健康イベ

(2)

ントの告知(健康教室、講演会、検診など)、それに健康に関する記事を掲載した。介入期 間の前後に郵送式のアンケート調査によって生活状況や身体活動等を調査した。解析方法は per protocol analysisとし、追跡可能であった5,795名(介入地区2,989名74.4±5.9歳、

コントロール地区2,806名74.7±6.2歳)を分析した。一週間あたりの運動時間を従属変数

としたANCOVAを行った。調整変数にはベースラインの運動時間、年齢、性別、体格、各

種疾患、経済状況、教育歴などとした。

結果

介入地区ではコントロール地区と比べて有意に運動時間が増加していた(介入地区:263.1

±457.7 分→325.6±538.7 分、コントロール地区:283.0±499.1 分→300.1±456.3 分)

(F=5.62、p=0.018)。なお、介入地区でチラシを見ていたのは1,282名(42.9%)、意識が 変化したのは741名(24.8%)、習慣が変化したのは490名(16.4%)、そして新たに運動習 慣を獲得したのは409名(13.7%)であった。

結語

介護予防に関するチラシ配布によって、介入地区では1週間あたりの運動時間が約60分 増加した。今後は将来的な虚弱発生などのアウトカムの追跡を行う。

課題 1 A. 目的

われわれ は 、これま で に教室型 の 介護予 防事業の効 果検証など を行い、教 室型運動 介入には要 介護に至る リスクを軽 減させる ことなどを 報告してき た。一方で 、教室型 の介護予防 事業には参 加者の面で 制約があ り、一部報 告によれば 参加者割合 は高齢者 人口の 1%に満たないとも言われている。

その中で 近 年、健康 増 進の領域 に おいて ポピュレー ションアプ ローチが注 目されて いる。ポピ ュレーショ ンアプロー チとは、

対象を一部 に限定せず 住民全体に 対してア プローチを 行い、全体 としてのリ スクを軽 減させてい くことであ る。自治体 が実施し ている保健 活動にはこ のようなポ ピュレー ションアプ ローチを意 識したよう な介入も 積極的に取 り入れられ ているが、 大規模な 研究として はまだまだ 不十分なレ ベルであ る。しかしながら高齢者人口が 24%を越え た現在の我 が国におい て、ポピュ レーショ ンアプロー チによる介 護予防は極 めて有用 な手段となる可能性がある。

本プロジェ クトの主た る目的は介 護予防に 関するチラ シを配布す る(ポピュ レーショ ンアプロー チ)ことに よる介護予 防への有 用性を検証する事である。

本課題の 目 的は、配 布 方法の違 い による 意識・行動 変容の差異 を検討する ことであ る。

B. 研究方法

3 つの市町に対して、介護予防に関する チラシを① ポスティン グ、②広報 誌への折 込み、③新聞折込みの 3 つの方法によって 月に 1 回の頻度で配布した。チラシは A4 片面カラー として、毎 月一つの特 集(サル コペニア、 認知症、転 倒予防など 介護予防 関連)と当 該月に開催 している市 主催の健 康イベント の告知(健 康教室、講 演会、検 診など)、それに健康に関する記事を掲載し た(図)。

12 ヶ月間(12 回)の配布修了後に、郵 送によるアンケートを実施して、(1)本介 護予防に関するチラシを見ていたか?(2) 見ていた方 のみに、介 護予防のチ ラシを見

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て 介 護 予 防 に 対 す る 意 識 が 変 わ り ま し た か?(3)見ていた方のみに、介護予防のチ ラシを見て 生活習慣が 変わりまし たか?と いう項目について調査した。

C. 研究成果

  ポスティングによる配布を行った A市の 分析対象者は 4,819 名(75.8±7.4 歳)、広 報誌への折り込みを実施した B 市は 6,664 名(74.8±6.8 歳)、新聞折り込みを実施し た C 町は 2,088 名(77.5±7.9 歳)であっ た。なお、ポスティングには 1 戸 1 回あた り 11.3円、広報誌折り込みでは 4.3 円(折 り込み代)、新聞折り込みでは 9.2 円(折り 込み代)が それぞれ必 要となった (この費 用について は業者によ って異なる ので、あ くまで今回の作業によるもの)。

  ポスティング配布を行った A 市で(1) 本介護予防 に関するチ ラシを見て いた高齢 者は 44.8%であった。その中で、(2)介護 予防のチラ シを見て介 護予防に対 する意識 が変わった方は 58.5%、さらに(3)介護予 防のチラシ を見て生活 習慣が変わ った方は 38.6%となった(表1)。

  広報誌への折り込みを行った B市で(1) 本介護予防 に関するチ ラシを見て いた高齢 者は 93.7%であった。その中で、(2)介護 予防のチラ シを見て介 護予防に対 する意識 が変わった方は 51.8%、さらに(3)介護予 防のチラシ を見て生活 習慣が変わ った方は 39.9%となった(表1)。

広報誌への折り込みを行った C市で(1) 本介護予防 に関するチ ラシを見て いた高齢

者は 31.7%であった。その中で、(2)介護

予防のチラ シを見て介 護予防に対 する意識 が変わった方は 45.6%、さらに(3)介護予 防のチラシ を見て生活 習慣が変わ った方は 32.6%となった(表1)。

D. 考察

結果より 、 どのよう な 形であっ て もチラ シを見ていれば、約 50%の高齢者の意識が 変容し、約 35%には行動も変容することが 示唆された 。なお、最 も見た方が 多かった のが広報誌 への折り込 みであり、 低かった のが新聞折 り込みであ った。また 、各自治 体担当者か らは、広報 誌中に記載 するより も、チラシ を折り込ん だ方が、様 々な事業 への参加率 が高いとの 報告を受け ており、

このような チラシを用 いて継続的 に啓蒙活 動を実施す ることは重 要であると 考えられ た。

E. 結論

  介護予防に関するチラシを 3 つの方法に よって検討 した。その 結果、広報 誌への折 り込みを行 った地区で 最も見てい た高齢者 が多かった 。なお、ど のような方 法で配布 してもチラシを見ていれば、約 50%の高齢 者の意識が変容し、約 35%には行動も変容 していた。

課題 2 A. 目的

本研究で は 、チラシ 配 布による 介 護予防 介入の短期 効果の一つ として身体 活動量に 対する効果を検証した。

B. 研究方法

本 研 究 デ ザ イ ン は ク ラ ス タ ーRCT で あ る。研究対象となった市には 18 個の小学校 区が存在し、無作為に 9 小学校区を介入エ リア、別の 9 区をコントロールエリアとし て介入を実施した。介入は 2012 年 9 月か ら 2013 年 8 月までの 1 年間とし、月に 1 度介護予防 に関するチ ラシをポス ティング 配布した。チラシは課題 1 と同じであった。

介入期間の 前後に郵送 式のアンケ ート調査

(4)

によって生 活状況や身 体活動等を 調査した。

解析方法は per protocol analysisとし、追 跡可能であった 5,795 名(介入地区 2,989 名 74.4±5.9 歳、コントロール地区 2,806 名 74.7±6.2 歳)を分析した。一週間あた り の 運 動 時 間 を 従 属 変 数 と し た ANCOVA を行った。 調整変数に はベースラ インの運 動時間、年 齢、性別、 体格、各種 疾患、経 済状況、教 育歴などと した。本研 究は京都 大学医の倫 理院会の承 認を得て実 施してい る。

C. 研究成果

  介入地区 ではコント ロール地区 と比べて 有 意 に 運 動 時 間 が 増 加 し て い た ( 介 入 地 区:263.1±457.7 分→325.6±538.7 分、コ ン ト ロ ー ル 地 区 :283.0±499.1 分 →300.1

±456.3 分)(F=5.62、p=0.018)。なお、介 入地区でチ ラシを見な お、介入地 区でチラ シを見ていたのは 1,282名(42.9%)、意識 が変化したのは 741名(24.8%)、習慣が変 化したのは 490名(16.4%)、そして新たに 運動習慣を獲得したのは 409 名(13.7%)

であった。

D. 考察

運動を誘 発 するよう な 介護予防 関 連のチ ラシを 1 年間配付することによって、介入 地区では 1 週間あたりの運動時間が約 60 分増加していた。特に 60歳以上の高齢者で は運動時間 と骨格筋の パフォーマ ンスが直 線関係にあ ることも報 告されてお り、運動 時間の増加 は介護予防 に寄与する ものと考 えられた。 本研究では フォロー期 間の分析 は行えてい ないが、今 後追跡調査 を行い中 長期的な効果の検証も実施する。

E. 結論

介護予防に 関するチラ シ配布によ って、介 入 地 区 で は 1 週 間 あ た り の 運 動 時 間 が 約

60 分増加した。今後は将来的な虚弱発生な どのアウトカムの追跡を行う。

F. 健康危険情報

特筆すべき情報はない。

G. 研究発表

1) Nishiguchi S, Yamada M, Arai H, Aoyama T, Tsuboyama T.Differential association of frailty with cognitive decline and sarcopenia in community-dwelling older adults, J Am Med Dir Assoc, in press.

2) Yukutake T, Yamada M, Fukutani N, Nishiguchi S, Kayama H, Tanigawa T, Adachi D, Hotta T, Morino S, Tashiro Y, Aoyama T, Arai H.Arterial stiffness can predict cognitive decline in the Japanese community-dwelling elderly: A one year follow-up study, J Atheroscler Thromb, in press.

3) Yamada M, Moriguchi Y, Mitani T, Aoyama T, Arai H.Age-dependent changes in skeletal muscle mass and visceral fat area in Japanese adults from 40-79 years of age, Geriatr Gerontol Int, Suppl 1:8-14, 2014.

4) Yamada M, Nishiguchi M, Fukutani N, Tanigawa T, Yukutake T, Kayama H, Aoyama T, Arai H.Prevalence of sarcopenia in community-dwelling Japanese older adults, J Am Med Dir Assoc, 14(12):911-5, 2013.

5) Yamada M, Arai H, Nishiguchi S, Kajiwara Y, Yoshimura K, Sonoda T, Yukutake T, Kayama H, Tanigawa T, Aoyama T, Chronic kidney disease is

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an independent risk factor for long-term care insurance need certification among older Japanese adults: a two-year prospective cohort study, Arch Gerontol Geriatr, 57;

328-332, 2013.

6) Yamada M, Arai H, Sonoda T, Aoyama T, Community-based exercise program is cost-effective by preventing care and disability in Japanese frail older adult, J Am Med Dir Assoc, 13: 507-511, 2012.

H. 知的財産権の出願・登録状況 なし

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表 1: チラシ配布方法の違いによる比較

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図:配布したチラシ

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表 1:  チラシ配布方法の違いによる比較

参照

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