ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 に つ い て の 一・考 察
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(2) 第7巻. 1.は. ニ ッ ク リ ッ シ ュ(H.Nicklisch)の. 第1号. じ. め. に※. 「一 般 商 事 経 営 学 』(Allgemeinekaufmannische. BetriebslehrealsPrivatwirtschaftslehredesHandels(undderIndustrie),Leipzig 1912)に. は,限. 界 効 用 学 派 の 影 響 が 認 め ら れ る(1)。本 稿 で は,こ. 資 本 の 概 念 を 検 討 し て,限. の 著 に お け る 価 値 ・資 産 ・. 界 効 用 学 派 の 影 響 を 確 認 す る。 具 体 的 に は,ま. ス ン(T.W.Hutchison)の. 限 界 効 用 分 析 の 問 題 意 識 に 対 して,ニ. う に 対 処 した の か に つ い て 考 察 す る。 特 に,主. ず,2.で,ハ. チ. ック リ ッ シュ が どの よ. 観 的 使 用 価 値 か ら,主. 客 観 的 交 換 価 値 に 統 合 す る た め の 理 論 展 開 を 取 り上 げ る 。 ま た,3.で. 観 的 交 換 価 値 を 経 て, は,ニ. ック リ ッ シ ュ. の 資 産 ・資 本 理 論 に 対 す る 限 界 効 用 学 派 の 影 響 を 検 討 す る(2)。 こ こ で は,本. 稿 の 目 的 で あ る,上. 対 す る 限 界 効 用 学 派 の 影 響,特 し て お く と,ニ. 記 の 検 討 を 始 め る前 に,ニ. に,メ. ック リ ッシュが. ン ガ ー(C.Menger)の. 対 す る 私 経 済 学,後. lehre)の. 立 性 を 確 保 す る た め,ブ. りわ け,独. ヒ ャ ー(K.BUcher),シ. 影 響 に つ い て簡 単 に言 及. 『一 般 商 事 経 営 学 』 を 世 に 出 し た と き,国. (Volkswirtschaftslehre)に 関 係,と. ッ ク リ ッ シ ュの理 論 展 開 に. 民 経 済学. の 経 営 経 済 学(Betriebswirtschafts‑ レ ン タ ー ノ(L.Brentano),ビ. ュ モ ラ ー(G.vonSchmoller)ら. ュッ. に 代 表 され る新 歴 史 学 派 か ら. の 批 判 に 対 処 せ ざ る を え な か っ た 。 ニ ッ ク リ ッ シ ュ は,彼. ら の 批 判 を か わ す た め に,当. 新 歴 史 学 派 に 対 し て 方 法 論 争 上 で 優 位 を 占 め て い た 限 界 効 用 学 派 に 頼 っ た 。 特 に,方 上 で は,メ. ン ガ ー に 頼 っ た が,メ. 重 視 し て い た 。 こ の 点,メ 全 に 明 ら か に さ れ れ ば,…. ※. 拙 稿 を,武 て,非. 知京三. ン ガ ー 自身 は,方. 法 論 に 関 す る研 究 よ り も,実. 時, 法論. 証研究 を. ンガ ー は,「 ひ と た び 国 民 経 済 の 領 域 に お け る 研 究 の 目 標 が 完 … こ の よ う な 目標 へ の 通 路 を 確 立 す る こ と は,非. 常 に難 か しい. 近 畿 大 学 名 誉 教 授 の退 職 記 念 論 文 集 に掲 載 す る機 会 を与 え て い た だ き ま し. 常 に 光 栄 に 考 え て お り ま す 。 今 回 の 金 融 危 機 に 遭 遇 し,売. 株 価 の 低 迷 を 嘆 く経 営 者 は 多 い が,現. 上 高 ・利 益 な ど の 減 少,価. 格 や. 在 の 経 済 理 論 が 「人 間 の 合 理 的 行 動 」 と い う前 提 に 過 度 に. 依 存 し て 理 論 を 展 開 し て き た こ と を 反 省 す る 経 済 学 者 は 少 な い と 思 い ま す 。 拙 稿 で は,ド. イツの. 経 営 経 済 学 者 で あ る ニ ッ ク リ ッ シ ュ を 取 り上 げ る が,企 業 評 価 が ど の よ う な 価 値 概 念 を 用 い て 行 わ れ て き た の か を再 検 討 す る必 要 性 を痛 感 して お ります 。 (1)参 ②. 照 。 大 橋 昭一. 『 ドイ ツ 共 同 体 論 史 」 中 央 経 済 社1966年149‑150頁165‑166頁. 本 稿 で は,ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 著 『一 般 商 事 経 営 学 』 に お い て,資 産 の 構 造 に つ い て の 論 述 と, 企 業 の 収 益 性 と 安 全 性 に 関 す る 論 述 を ま と め て,「 資 産 ・資 本 理 論 」 と わ れ わ れ は 呼 ぶ 。 ま た, ニ ッ ク リ ッ シ ュ に よ る 資 産 の 構 造 に 対 す る 論 述 は,一 企 業 が 所 有 す る 各 種 の 資 産 構 成 部 分 の 価 値 を 確 定 す る た め の 論 述 と,各. 種 の 資 産 構 成 部 分 の 規 模 と そ の 割 合 か ら収 益 性 と安 全 性 に つ い て 検. 討 す る た め の 記 述 に 大 別 で き る と み な し,前. 者 を. 「私 経 済 学 的 評 価 論 」,後 者 を. と 呼 ぶ(Vgl.Nicklisch,H.:AllgemeinekaufmannischeBetriebslehrealsPrivatwirtschaftslehre desHandels(undderIndustrie),Leipzig1912,S.20u.S.56u.S.97‑98u.S.177.)。 ‑680(680)一. 「数 量 調 整 論 」.
(3) ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 に つ い て の 一・ 考 察(牧. 浦). こ とに は な らな い と思 わ れ る」(3)と述 べ て い る が,彼 の影 響 を 受 けた ニ ック リ ッシ ュ も, 「科 学 の領 域 に お け る 限 界 問 題 は,積 極 的 な研 究 に よ って の み 解 決 で き る」(4)と主 張 して い る。 ま た,メ. ンガ ー は 国民 経 済 を対 象 にす る科 学 を三 つ の グ ル ー プ,つ ま り,① 国民 経. 済 上 で の現 象 を構 成 す る個 別 的 な現 象 の本 質 と,個 別 的 な現 象 に 内在 す る連 関(法 則)に つ い て 研 究 ・叙 述 す る 国 民 経 済 の 歴 史 的 科 学(い. わ ゆ る,歴 史 と統 計),②. 国民経済上 で. の現 象 に 内在 す る一一 般 的 な(共 通 す る)本 質 と連 関(法 則)に つ い て研 究 ・叙 述 す る理 論 的 な科 学(い. わ ゆ る,理 論)と,⑧. 国民 経 済 上 で の(状 況 に よ り異 な るが)合 理 的 な行 為. に対 す る原 則 につ い て研 究 ・叙 述 す る 国民 経 済 の実 践 的 な科 学(い に分 類 した(5}。この三 分 類 を 受 けて,ニ. わ ゆ る,政 策 と財 政). ック リ ッシ ュ は,私 経 済 科 学 を,知 識 の体 系 で あ. る私 経 済 学,私 経 済 上 で の活 動 の原 理 と規 則 の体 系 で あ る私 経 済 政 策 と,私 経 済 上 で の活 動 の歴 史 的 な 経 緯 を 明 らか にす る私 経 済 史 の三 つ に 区 分 した(6)。更 に,メ. ンガ ー は,精 密. な経 済 学 は,そ の性 質 上,経 済 性 の法 則 を わ れ わ れ に意 識 させ な け れ ば な らな い の に対 し て,経 験 を 重 視 す る,現 実 主 義 的 な経 済 学 は,人 為 的 な経 済 に お け る実 際 の現 象(つ. ま り,. 彼 が 「完 全 な経 験 的現 実 性 」 と呼 ぶ現 象 に は,経 済 性 に反 す る多 くの要 素 が含 ま れ て い る が,)で. の継 起 と共 存 に 内在 す る規 則 性 を わ れ わ れ に認 識 させ な け れ ば な らな い とみ な し. (7) ,理 論 的 な 経 済 学 は前 者 の精 密 な 経 済 学 で あ る と主 張 した(8)。こ の主 張 を 受 けて,ニ. ッ. ク リ ッ シ ュは,私 経 済 学 を 「言 葉 の厳 密 な意 味 で の 科 学 原 理 で あ る」(9>と主 張 した。 しか しな が ら,国 民 経 済 学 者 は一 定 の領 域 内 に現 れ る経 済 の全 体 を意 味 す る 「国民 経 済 」 を研. (3)Menger,C.:UntersuchengenUberdieMethodederSocialwissenschaften,undder politischenOekonomieinsbesondere,Leipzig1883,S.X.(参. 照 。 福 井 考 治 ・吉 田 昇 三 訳. 『経. 済 学 の 方 法 に 関 す る 研 究 」 岩 波 文 庫1935年17‑18頁) (4)Nicklisch,H:a.a.0.,S.2. (5)Vgl.Menger,C.:a.a.0.,S。8‑9。(参 別 的(歴 S.32.(参. 照 。 福 井 考 治 ・吉 田 昇 三 訳. 『前 掲 書 」35頁)。. 特 に,個. 史 的)観 点 と 一 般 的(理 論 的)観 点 に つ い て は,Menger,C.:a.a.0.,S.5‑6u.S.12u. 照 。 福 井 考 治 ・吉 田 昇 三 訳 『前 掲 書 」32‑35頁41頁60頁)を,ま た,理 論 的 な経 済 学. の 方 法 と 国 民 経 済 上 で の 実 践 的 な 諸 科 学 の 方 法 に つ い て は,Menger,C.:a.a.0.,S.VIu.S.7‑ 8u.S.12‑13u.S.26‑27u.S.29.(参. 照 。 福 井 考 治 ・吉 田 昇 三 訳. 頁55‑56頁58頁)を 参 照 の こ と。 (6)Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.6‑7u.GeleitwortV.;参 森 山 書 店1973年77頁;参 (7)Vgl.Menger,C.:a.a.0.,S.56.;参 (8)こ. の 点,メ. 『前 掲 書 」14頁35頁41‑42. 照 。 田島 壮 幸. 『ドイ ツ 経 営 学 の 成 立 」. 照 。 大 橋 昭 一 編 著 「ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 経 営 学 」 同 文 舘1996年11頁 照 。 福 井 考 治 ・吉 田 昇 三 訳 「前 掲 書 」88頁. ン ガ ー は 理 論 的 な 経 済 学 に つ い て 以 下 の よ う に 説 明 し た 。 す な わ ち,「 今 後 わ れ わ. れ が 『精 密 な 」 と 呼 ぶ 研 究 姿 勢 の 目標 は,現. 象 に 関 し て 厳 密 な 法 則 を 確 立 す る こ と,す. 全 く例 外 の な い も の と し て 現 れ る だ け で は な く て,わ. な わ ち,. れ わ れ が 辿 る 認 識 の 経 路 か ら見 て 真 に 例 外. の な い こ と を 保 証 す る も の を 内 包 し て い る よ う な 現 象 の 継 続 に お け る 規 則 性,通. 常,『. と 呼 ば れ て い る が,正. 確 立 す る こ とで. し く は 『精 密 な 法 則 」 と 呼 ぶ べ き 現 象 に 内 在 す る 法 則,を. あ る 」(Menger,C.:a.a.0.,S.38.;参. 照 。 福 井 考 治 ・吉 田 昇 三 訳. (9)Nicklisch,H.:a.a.0.,S.4u。S。14.;参. 照 。 吉 田和 夫. 1968年72頁;参. 照 。 中村 常 次 郎 稿. 「前 掲 書 」66頁)と. 一681(681)一. 述 べ て い る。. 『 ドイ ツ 企 業 経 済 学 』 ミ ネ ル ヴ ァ 書 房. 「私 経 済 学 時 代 の 独 逸 経 済 学 」 中 村 常 次 郎 編. (上)」 東 洋 経 済 新 報 社1957年156頁. 自然 法 則 」. 『独 逸 経 営 学.
(4) 第7巻 究 ・叙 述 す る(lo)。こ の 点,メ. 第1号. ン ガ ー も,「 経 済 」 を 財 貨 に 対 す る 要 求 の 充 足 に 向 け られ た. 人 間 の 準 備 活 動 で あ る と 解 し,「 国 民 経 済 」 は そ の 社 会 的 な 形 態 で あ る と み な し た(11)。こ れ に 対 し て,ニ に,空. ッ ク リ ッ シ ュ は,「 私 経 済 の 活 動 を 決 定 す る 事 実,そ. 間 上 で の 事 実 関 係 」 に つ い て 研 究 ・叙 述 した(12)。し か も,研. の 分 析 に 限 定 し,個. 別 経 済 と密 接 な 関 係 が あ る場 合 に の み,個. て 検 討 し た(ユ3)。 こ の た め,経. 究 対 象 を個 別 経 済 内 で. 別 経 済 体 間 で の 関係 につ い. 検 討 す る)必. 要 が あ っ た ω。 反 面,メ. ンガ ー に. 下 の よ う な 研 究 姿 勢 を ニ ッ ク リ ッ シ ュ は 踏 襲 し た 。 す な わ ち,「 人 為. 的 な 経 済 に よ る複 雑 な 現 象 を,そ. の 最 も単 純 に,確. こ の よ う な 諸 要 素 に 性 質 上 ふ さ わ し い 基 準(観 な が ら,ど. 間 上 と同様. 済 に 関 連 して 広 く用 い ら れ て き た 諸 概 念 を 利 用 す る と して も,. 改 め て 私 経 済 学 的 な 観 点 か ら焼 き 直 す(再 よ り提 唱 さ れ た,以. の 際,時. の よ う に す れ ば,こ. 実 に 観 察 で き る よ う な 諸 要 素 に 還 元 し,. 点)を. 適 用 し て,こ. の よ うな基 準 を確 保 し. の よ う な 諸 要 素 か ら複 雑 な 経 済 上 の 現 象 が 合 法 則 的 に 生 ず. る の か 」 に つ い て 研 究 す る方 法 が 採 用 さ れ た(15)。. 2.ニ. ッ ク リ ッ シ ュ に よ る 価 値 に 関 連 した 理 論 展 開. ニ ッ ク リ ッ シ ュ に よ る 価 値 に 関 す る 理 論 は,メ 界 効 用 分 析 と し て 展 開 さ れ た(17)。こ の 点,ハ. ン ガ ー の 主 体 的 価 値 論 の 影 響 下 で(16),限. チ ス ン に よ れ ば,限. 界 効 用 分 析 は 共 通 し た3. つ の 問 題 意 識 を 有 す る 。 す な わ ち,(1)古 典 学 派 に よ る 「価 値 」 に つ い て の 定 義 に 含 ま れ る, あ る 種 の 長 期 に 亙 っ て 論 議 さ れ て き た パ ラ ド ッ ク ス,た. と え ば,ダ. イ ヤ モ ン ド と水 の 価 値. (10)VglNicklisch,H.:aa.0.,S.2‑3. (ll)VglMenger,C.:a.aO.,S.44.;参. 照 。 福 井 考 治 ・吉 田 昇 三 訳. 『前 掲 書 」74頁. (12)VglNicklisch,Haa.0.,S.4u。S。8. (13)VglNicklisch,Haa.0.,S.6‑7.;参. 照 。 田 島壮 幸. 『前 掲 書 」77頁. (14)VglNicklisch,Haa.0.,S.2. (15)VglMenger,C.GrUndsatzederVolkswirtschaftslehre.Erster,allgemeinerTheil, Wein1871,S.XX。;参. 照。安 井琢磨訳. 「国 民 経 済 学 原 理 」 日 本 評 論 社1937年. 序 言3頁;. Vgl.Menger,C.:UntersuchengenUberdieMethodederSocialwissenschaften,undder politischenOekonomieinsbesondere,Leipzig1883,S.43u.S.45.;参 三 訳 『前 掲 書 」72頁74‑75頁 (16)こ. の 点,メ. ン ガ ー は,「. て 獲 得 す る 意 義,し. 価 値 と は,具. か も,わ. 照 。 福 井 考 治 ・吉 田 昇. 体 的 な 財 も し く は 具 体 的 な 財 数 量 が,わ. れ わ れ に対 し. れ わ れ が 自 己 の欲 望 の 満 足 に お い て こ れ らの もの の支 配 に 依 存 し. て い る こ と を 意 識 す る こ と に よ り,わ. れ わ れ に 対 し て 獲 得 す る 意 義 で あ る 」(Menger,C.:. GrUndsatzederVolkswirtschaftslehre.Erster,allgemeinerTheil,Wein1871,S.78.;参 安井琢磨 訳. 『前 掲 書 」75頁)と. 主 張 した 。 「こ の た あ,価. 値 は,財. 照。 に 付 着 す る も の で も,財. の属. 性 で も な い し,独 立 し て そ れ 自 身 で 存 立 す る も の で も な い 。 価 値 は,自 己 の支 配 下 に あ る財 が 自 己 の 生 命 お よ び 富 の 維 持 に 対 し て 有 す る 意 義 に 関 し て 経 済 人 が 下 す 判 断 で あ る た め,経 済 人 の 意 識 の 外 で は 存 在 し な い 」(Menger,C.:a.a.0.,S.86.;参. 照。 安井琢磨訳. 張 した。 (17)参. 照 。 大 橋 昭一. 『 ドイ ツ 経 営 共 同 体 論 史 」149‑150頁199頁201頁216頁. 一682(682)一. 「前 掲 書 』80頁)と. 主.
(5) ニ ック リ ッシ ュ の価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 につ い て の一・ 考 察(牧 浦). に 関 す る パ ラ ド ッ ク ス,を 戻 す こ と,そ. して,(3)消. 解 決 す る こ とq8),(2)需 要 と供 給 の 関 係 を 論 理 上 で 明 白 な も の に. 費 者 と(生. 産 者)の. 配 分 問 題 を 解 決 す る こ と を め ざ す(19)。こ の 点,. ニ ッ ク リ ッ シ ュ に よ る価 値 に 関 す る理 論 も例 外 で は な い 。 こ の た め,わ 問 題 意 識 の 内,(1)と(2)を,2.1.「. れ わ れ は,上. 記 の. ニ ッ ク リ ッ シ ュ に よ る 価 値 概 念 の 検 討 」 で,(3)を,2.2.. 「ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 市 場 関 係 論 」 に お い て 考 察 す る 。. 2.1.ニ. ック リ ッ シ ュに よ る価 値 概 念 の検 討. ニ ッ ク リ ッ シ ュに よ る価 値 概 念 の検 討 は,以 下 の4つ の分 類 に従 って行 わ れ た。 す な わ ち, ① 主 観 的価 値 と客 観 的価 値 ② 個 別 的 な価 値 と一 般 的 な(共 通)価 値 ③ 技 術 上 の適 性(充 足 価 値)と 経 済 的価 値 ⑳ ④ 使 用 価 値,生 産 価 値 と市 場 価 値 に分 類 した上 で,検 討 され た⑳。 この 内,① 主 観 的価 値 と客 観 的 価 値 の 分 類 につ いて,彼 は 「主 観 的 価 値 と客 観 的 価 値 に お け る 区 別 は 全 く存 在 しな い」⑳ と主 張 した 。 しか しな が ら,補 足 説 明 に は(2鋤,メンガ ー の 主 体 的 価 値 論 の影 響 が認 め られ る。 この た め,大 橋 昭一 教 授 は,「 両 者 は主 体 的 価 値 に お い て 統 合 さ れ て い る」⑳ と主 張 され た 。 ま た,③ 技 術 上 の適 性(充 で1つ. 足 価 値)と. 経 済 的 価 値 の分 類 に 関 して,ニ. ック リ ッ シ ュ は,「 さ ま ざ ま な程 度. も し くは複 数 の需 要 に対 して与 え られ る充 足 に対 す る財 の純 然 た る 『技 術 上 の』 適. 性 と,技 術 上 の適 性 の程 度 とそ の高 さに お い て特 に手 元 在 高 と欲 望 の 間 で の数 量 的 関係 に 依 存 す る経 済 的 価 値 は区 別 され るべ き で あ る」②5)と説 明 した。 と こ ろで,こ の 説 明 に は, 古 典 学 派 の 「使用 価 値 」 と 「交換 価 値 」 の考 え を 超 え た 限界 効 用 学 派 の解 釈 が認 め られ る。. (18)Vgl.Menger,C.:a.a.0.,S.106‑107.;参. 照 。. 安 井 琢 磨 訳. 『前 掲 書 」104‑105頁;B6hm‑. Bawerk,vonE.:GrundzUgederTheoriedeswirtschaftlichenGUterwerts,in:Conrad's JaherbUcherfUrNational6konomieundStatistick,N.E,Ba.XIII,1886.S.19‑20u.S.32.; 参 照 。 永. 守 善 訳. 『経 済 的 財 価 値 の 基 礎 理 論 」 岩 波 文 庫1932年40‑41頁60頁. (19)see.Hutchison,T.W.:AReviewofEconomicDoctrines1870‑1929,0xford1935p.15‑ 16.;参. 照 。 永. 守 善. ・山 田 雄 三. ・武 藤 光 郎 訳. 『近 代 経 済 学 説 史 」(上. 巻)東. 洋 経 済 新 報 社1955. 年19‑20頁 (2〔DVgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.32. ⑳. 参 照 。 大 橋 昭 一. 『前 掲 書 」150‑151頁. (22)Nicklisch,H.:a.a.0.,S.20‑21. ⑳. こ の 点,ニ. ッ ク リ ッ シ ュ は,(1庄. 観 的 価 値 と 客 観 的 価 値 の 分 類 に 関 し て,「. あ る 。」 … … 価 値 は 財 の 特 性 で あ る 。 そ. し て,そ. に す る 」(Nicklisch,H。:a.a.0.,S。20‑21。)と ⑳. 大 橋 昭 一. 述 べ て い る 。. 「前 掲 書 」150頁. (25)Nicklisch,H:a.a.0.,S.21.. ‑683(683)一. 「価 値 は 価 値 判 断 で. れ は 財 に よ り 充 足 さ れ る べ き 需 要 の 存 在 を 前 提.
(6) 第7巻. 第1号. す な わ ち,古 典 学 派 は,両 者 を 区別 し,使 用 価 値 は交 換 価 値 の前 提 と した が,後 者 が前 者 に比 例 す る とは解 釈 しな か った。 限界 効 用 学 派 は,こ の比 例 性 を分 析 す る こ とに よ り,古 典 学 派 に よ る 「価 値 」 の定 義 に含 ま れ た,長 期 に亙 って論 議 され て き た,パ ラ ドッ クス を 克 服 しよ う と した。 ニ ッ ク リ ッ シ ュ も,同 様 に,手 元 在 高 と欲 望 の 間 で の数 量 的 関係 につ い て考 察 す る こ とに よ り,こ のパ ラ ドッ クス を解 決 しよ う と試 み た。 この試 み に お い て, 彼 は,使 用 価 値 ⑳,生 産 価 値 伽 と市 場 価 値 ㈱ を,手 元 在 高 と欲 望 の 間 で の数 量 的 関 係 を 考 え る た め の経 済 的 価 値 とみ な した(2鋤 。 この 点,ニ. ッ ク リ ッ シ ュに よ る価 値 概 念 の 検 討 は,. 一一 部 の論 者 の現 在 の理 論 水 準 か ら見 れ ば. ,表 面 的 な理 論 統 一一と批 判 され て も仕 方 が な い も. の で あ るが,② に従 った,(④. の個 別 的 な 価 値 と一 般 的 な(共 通)価 値 を援 用 して,「 価 値 の 生 成 と消 滅 の)分 類 」 に お い て(30),先の 限界 効 用 学 派 の共 通 した 問題 意 識 の1つ. であ. る,(2)需 要 と供給 の 関係 を論 理 上 で 明 白 な もの に戻 す こ とを め ざ して いた。 しか しなが ら, 検 討 に よ り,以 下 の よ うな 限界 効 用 分 析 に共 通 した課 題 に遭 遇 す る こ とに な った。 す な わ ち,ど の よ うに して特 定 の個 人 の一 財 に対 す る主 観 的使 用 価 値 か ら,複 数 の財 に対 す る価 値 を経 て,す べ て の財 に対 す る価 値 に ま で統 合 され た主 観 的交 換 価 値 を形 成 す るの か とい う課 題 で あ る。 更 に,後 者 の主 観 的交 換 価 値 か らす べ て の財 に対 す るあ らゆ る個 人 の,社 会 的 な価 値 判 断 まで 統 合 した 客 観 的交 換 価 値(価 格)を 形 成 す るの か と い う課 題 で あ る(31)。 以 下 で は,ニ. ッ ク リ ッ シ ュが どの よ うに して この課 題 を克 服 しよ う と した の か を 中心 に し. て,彼 に よ る価 値 概 念 につ い て わ れ わ れ は検 討 す る。 と ころ で,ニ. ッ ク リ ッ シ ュに よ る課 題 の克 服 の過 程 で は,メ. ンガ ー の生 命 維 持 を左 右 す. る欲 望 の充 足 が 最 大 の 意 義 を有 す る とい う見 解 の 下 に(32,必 需 の 欲 望 で あ る生 理 的 欲 望 が 取 り上 げ られ た㈱。 具 体 的 に は,需 要 面 で の 分 析,つ. ま り,使 用 価 値 の分 析Gの を 中心 に し. (26)Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.21. 伽VgLNicklisch,H.:a。a.0.,S.27‑28. (28)Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.28. 四. な お,ニ. ッ ク リ ッ シ ュ は,消. 費 と の 関 連 に お い て,技. 費 は 需 要 の 充 足 に よ る 財 の 費 消 と解 さ れ る 。 そ し て,後. 術 上 の 適 性 と 経 済 的 価 値 に つ い て,「 消 者 の 目 的 は 人 間 の 生 活 の 諸 力 の 維 持 と展. 開 で あ る 。 完 全 に 消 費 に お い て 消 滅 す る 財 は,経 済 か ら 除 外 さ れ,そ は な く な る 。 … … ま た,消 費 と と も に,財 の 経 済 的 価 値 は 中 絶 し,こ 望 の 間 で の 数 量 的 関 係 の 外 に 立 た さ れ る 。 … … し か し な が ら,充 費 と と も に 中 絶 す る の で は な く て,む 形 す る か,(衣 料 の よ う に)人 と述 べ て い る。. し ろ,消. 費 に よ り,人. の財 は もは や経 済 と の 関係 の よ う な 財 は 手 元 在 高 と欲. 足 価 値(技. 間 の(肉. 術 上 の 適 性)は,消. 体 的 と 精 神 的 な)諸. 力 に変. 間 の 生 活 の 保 全 の た め に 役 立 つ 」(Nicklisch,H:a.a.0.,S.32.). (3①Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.21. (31)参. 照。 杉本栄一. 「近 代 経 済 学 の 解 明 』(II)理. vonE.:a.a.0.,S.5‑7u.S.130‑140.;参 (32Menger,C.:a.a.0。,S.89.;参. 照。永 照。安井琢磨訳. 想 社1955年96‑97頁;Vgl.B6hm‑Bawerk, 守善訳. 『前 掲 書 』18‑20頁209‑225頁. 『前 掲 書 」86頁. (33Vgl.Nicklisch,H.:a。a.0.,S.16‑17u.S。22u.S.24。 (3の こ の 点,需. 要 面 で の 分 析 で 用 い ら れ る使 用 価 値 と 供 給 面 で の 分 析 で 用 い られ る 生 産 価 値 の 間 に,/. 一684(684)一.
(7) ニ ック リッシュの価値 ・資産 ・資本概念 につ いての一・ 考察(牧 浦) て,② 個 別 的 な価 値 と一 般 的 な(共 通)価 値 と して の使 用 価 値 の決 定 問題 と して検 討 され た。 検 討 の結 果,個 別 的 な価 値 と して の使 用 価 値 の決 定 問題 で は,あ. る特 定 の財 の一 定 の. 手 元 在 高 が,(1)様 々 な程 度 の効 果 に よ り特 定 の欲 望 の充 足 に役 立 つ な らば,平 均 的 な程 度 の意 義 が,(2>同 一 の程 度 の効 果 に よ り複 数 の欲 望 の充 足 に役 立 つ な らば,該 当す る欲 望 の 平 均 的 な重 要 性 が,そ れ ぞれ,経 済 的 な使 用 価 値 を 決 定 す る と結 論 付 け た闘。 反 面,一 般 的 な(共 通)価 値 と して の 使 用 価 値 の決 定 問 題 は,「 多 くの 個 別 的 な使 用 価 値 の 内,い ず れ が一 般 的 な(共 通)価 値 を決 定 す る の か」 とい う問 題 と して 検 討 さ れ た㈹。 ニ ック リ ッ シ ュは,「 答 え は,…. …価 値 形 成 の2つ の 極 端 な場 合,す. 値 と最 高 価 値 にお いて,最. も明 白 に な る仰. な わ ち,同 一 財 に対 す る最 低 価. と した上 で,前 者 の 最 低 価 値 で は,最 低 の強. 度 の需 要 を有 す る者 の人 数 が充 分 に大 き い た め,手 元 在 高 と欲 望 の 関係 は手 元 在 高 の所 有 者 に お い て,後 者 の最 高 価 値 で は,最 高 の強 度 の需 要 を有 す る者 の人 数 が充 分 に大 き い た め,手 元 在 高 と欲 望 の 関係 は手 元 在 高 の消 費 者 に お い て,そ れ ぞ れ,充 分 に強 力 な競 争 を 予 想 させ る とみ な した 劔。 この た め,前 者 の 最 低 価 値 で は,手 「競 争 は,一 般 的 な 価 値(共 通)価. 値 の 形 成 に対 して,集. 元 在 高 の所 有 者 に お け る. 中的 に需 要 を最 も少 な く感 じ,. この た め,彼 に は最 も小 さな 意 義 しか生 じな い消 費 者 の評 価 が決 定 的 とな るよ うな方 法 で, 行 わ れ る」G9)のに対 して,後 者 の最 高 価 値 で は,「 あ らゆ る消 費 者 に対 して,自. らの 手 元. に あ る個 々 の財 を,需 要 が最 も集 中 的 に感 じ られ る,つ ま り,最 も性 急 な飢 え(切 望 観) で迫 って い る もの と等 しい高 さ で評 価 す るよ うに させ る,消 費 者 で の競 争 が生 ず る」㈹ と 結 論 付 け た。 ま た,上 記 の 限界 効 用 分 析 に共通 した 問題 意 識 に対 して は次 の よ う にわ れ わ れ は考 え る。 す な わ ち,個 別 的 な価 値 は個 人 に よ る心 理 的 な評 価 作 用 の結 果 で あ り,本 来,相 互 に無 関 係 で あ り,個 別 的 な価 値 の 間 に は全 く内面 的 な 関連 は な い。 した が って,こ の よ うな評 価 作 用 の結 果 と して の価 値 も,本 来,社 会 的 な,客 観 的 な もの で は な くて,個 人 的 な,主 観. \ 「(生 産 価 値 の)評. 価 が,全. く 同 一 傾 向 の 展 開 の 下 に,同. (Nicklisch,H.:a.a.0.,S。27.)と. 値 の 場 合 に は 消 費 者 側 で の 評 価 で あ る の に 対 点 が 異 な る の み で あ る(参. 一 種 類 の 使 用 価 値. い う 考 え が ニ ッ ク リ ッ シ ュ に は 存 在. 照 。 大 橋 昭 一. ㈲Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.22.な. こ の た め,使. 用 価. 産 価 値 の 場 合 に は 生 産 者 側 で の 評 価 で あ る. 『前 掲 書 」155頁)。 お,同. Menger,C.:a.a.0.,S.98‑99u。S。112.;参. し て,生. と 同 様 に 行 わ れ る 」. し た 。. 一 の 趣 旨 の 記 述 は メ ン ガ ー に も 認 め ら れ る(Vgl.. 照 。 安 井 琢 磨 訳. 『前 掲 書 」95‑96頁116頁)。. (36)Vgl.Nicklisch,H:a.a.0.,S.23u.S.24. (鋤Nicklisch,H.:a.aO.,S.24.;参. 照 。 大 橋 昭 一. 『前 掲 書 』153頁. (38)Vgl.Nicklisch,H:a.a.0.,S.25u.S.26. (39)Nicklisch,H.:a.aO.,S.25. ωNicklisch,H.:a.aO.,S.24。. な お,同. 一 の 趣 旨 の 記 述 は ボ ェ ー ム. る(Vgl.B6hm‑Bawerk,vonE.:a.a.0.,S.28‑29.;参. 照 。 永. ‑685(685)一. ・バ ヴ ェ ル ク に も 認 め ら れ. 守 善 訳. 『前 掲 書 」54‑55頁)。.
(8) 第7巻. 第1号. 的 な もの に過 ぎ な い。 この た め,価 格 の よ うな社 会 的 な,客 観 的 な現 象 は説 明 で き な い。 この よ うに して,先 の 課 題 は 限界 効 用 分 析 で は 克 服 で きな い と われ わ れ は み な すω。 ニ ッ ク リ ッ シ ュ も この課 題 を克 服 で き な い こ とは気 付 い て い た。 この た め,個 別 的 な価 値 につ い て,「 平 均 形 成 は,… … 国民 経 済 内 で は な くて,む. し ろ た だ個 別 経 済 内 で の み 可 能 で あ. る。 そ こで生 ず る平 均 も個 々 の経 済 に お い て異 な る。 … … この た め,こ れ ら個 別 平 均 か ら 全 体 平 均 を形 成 す る こ と は で き な い」働 と述 べ て い る。 そ こで,ニ. ック リ ッシ ュ は,一 般. 的 な(共 通)価 値 は個 別 経 済 間 で の競 争 に お い て 成 立 す る と して㈹,限 界 効 用 学 派 と異 な る 「限 界効 用 」 の 解 釈 を した幽。 結 果 と して,主 観 的 な使 用 価 値 か ら主 観 的 な交 換 価 値 へ の統 合 につ い て は個 別 的 な価 値 内 で の平 均 原 理 で,主 観 的 な交 換 価 値 か ら客 観 的 な交 換 価 値 へ の統 合 につ いて は一 般 的 な価 値 内 で の 限 界 原 理 に従 って,説 明 したq5)。従 って,こ. の. よ うな彼 の説 明 で は,実 質 上,理 論 の統 一 は全 く図 られ て お らな い。 更 に,先 の(2>需 要 と供 給 の 関係 を論 理 上 で 明 白 な もの に戻 す こ と もで き て お らな い。. 2.2.ニ. ック リ ッ シ ュの市 場 関係 論. ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 「価 値 に 関 連 し た 理 論 」 は,更 式,す. な わ ち,個. に,消. 費 者 と生 産 者 の 間 で の 市 場 関 係. 別 経 済 内 で の 行 動 基 準 と し て 展 開 さ れ た が,こ. 生 産 者 の 配 分 問 題 を 解 決 す る こ と を め ざす 。 具 体 的 に は,市 同 一 の コ ス トで 増 加 で き る も の,任. り規 定 さ れ る叫の 。 ま た,任 の 増 大 を 伴 う た め,よ. ω. 期 的 に は,平. 意 に は 増 加 で き な い 財 で は,生. 意 に 同 一一 の コ ス トで 増 均 的 な 生 産 コ ス ト額 に よ. 産量 の 増 加 に は必 ず 生 産 コス ト. の よ う な2つ. の 財 は,差. 異 に か か わ ら ず,競. 限 さ れ た 数 量 で の み 存 在 す る 財 は 独 占 財 で あ る(49)。 以 下 で は,ニ. 参 照 。 杉 本 栄 一 守 善 訳. 「前 掲 書 』97‑98頁;Vgl.B6hm‑Bawerk,vonE.:a.a.0.,S.6.;参. 『前 掲 書 』18‑19頁. q2)Nicklisch,H:a.a.0.,S.23. ⑬VglNicklisch,H.:a。a.0.,S.24‑25. ㈲VglNicklisch,H.:a.a.0.,S.25. ㈹. 限 され た数 量 で の み存. り高 い コ ス トで の 生 産 の 継 続 に と り市 場 価 値 の 上 昇 が 決 定 的 で あ. る(4a。しか し な が ら,こ て,制. 別 に 検 討 さ れ た(46)。ま ず,任. 由 競 争 に お け る市 場 価 値 は,長. 参 照 。 大 橋 昭 一. 記 の(3)消 費 者 と. 場 で 取 引 さ れ る 財 の 「任 意 に. 意 に は 増 加 で き な い も の と,制. 在 す る も の 」 と い う 区 分 に 従 っ て,個 加 で き る財 で は,自. れ は,上. 『前 掲 書 」165頁. ㈹VglNcklisch,H.a.a.0.,S.29‑30.;参. 照 。 大 橋 昭 一 ・ 「前 掲 書 」158頁. 働VglNcklisch,H.a。a.0.,S.30。 頓8)VglNcklisch,H.a。a.0.,S.30。 鯉9)VglNcklisch,H.a.a.0.,S.31.. ‑686(686)一. 争 財 で あ る の に対 し ック リ ッ シ ュの市. 照 。 永.
(9) ニ ック リ ッシ ュ の価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 につ い て の一・ 考 察(牧 浦). 場 関 係 式 と,限. 界 効 用 学 派 の 後 を 継 い だ 新 古 典 学 派 に よ り達 成 さ れ た 結 論 と を わ れ わ れ は. 比 較 す る こ と に よ り,上. 記 の(3>消 費 者 と生 産 者 の 配 分 問 題 に 対 す る ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 対 応. を 考 察 す る。 ま ず,消. 費 者 側 で の 行 動 基 準 に 関 連 し て,ニ. を 最 良 の 技 術 上 の 成 果 を 有 し,か して何 を考 慮 す べ きな の か 糊 (市 場 価 格 一 定)で. は,所. つ,最. ッ ク リ ッ シ ュ は,「 消 費 者 は,自. も安 く充 足 す る た め に は,市. に つ い て 考 え る 。 こ の 点,新. 得 の 制 限 を 有 す る 消 費 者 は,各. 場 に お け る活 動 に 際. 古 典 学 派 に よ れ ば,完. 適 な 消 費 財 の 組 合 わ せ を 達 成 す る。 こ れ に 対 し て,ニ. で の 適 性 をQw,技. 術 上 で の 適 性 をx,経. さ いQw,を. 費 財 を選 択 す る と. ッ ク リ ッ シ ュ は,「 経 済 上. 済 的 な 価 値 をm・ ・ …・ に 等 し い と す れ ば,消. の 経 済 上 の 適 性 は,式(1>Qw=x÷mと け 大 き なxで,で. 全競争. 消 費 財 の 限界 効 用 の 単 位 価 格 に. 対 す る 比 率 を 等 し くす る 「限 界 効 用 均 等 の 法 則 」 が 成 立 す る よ う に,消 き に,最. 己 の需 要. 表 現 で き る 。 … … こ の た め,消. き る だ け 大 き なQwを,ま. た,で. き る だ け 大 き なmで,で. 獲 得 し よ う と す る 」(51)と述 べ た 。 し か し な が ら,検. 所 得 の 制 約 が 存 在 す る こ と を 彼 は 忘 却 し て い た(5勿 。 ま た,消 財 の 組 合 わ せ の 問 題 で あ る に も か か わ らず,全. 費 者 は,で. 費者 きるだ. き る だ け小. 討 に お い て,消. 費者 には. 費 者 の 需 要 の 最 適 行 動 が消 費. 体 費 用 と全 体 効 用 の 比 較 に よ り消 費 者 側 の. 行 動 基 準 が示 せ るよ うな幻 想 を抱 い て い た。 次 に,生. 産 者 側 で の 行 動 基 準 に 関 連 し て,新. 生 産 要 素 の 購 入 に 際 し て,各. 古 典 学 派 に よ れ ば,完. 全 競 争 で は,企. 生 産 要 素 の 限 界 生 産 力 の 要 素 価 格 に 対 す る比 率 を 等 し くす る. 「限 界 生 産 力 均 等 の 法 則 」 が 成 立 す る よ う に 行 動 す べ き で あ る 。 ま た,最 る た め に は,利. 益 が プ ラ ス で あ れ ば,限. 界 収 益(生. 産 物 の 販 売 価 格)と. く な る 均 衡 産 出 量 で 企 業 は 操 業 す べ き で あ る 。 反 面,マ 失 が 経 営 休 止 費 用 よ り も小 さ い な ら ば,短 ク リ ッ シ ュ は,生. 大 利 益 を獲 得 す 限界 費 用 とが等 し. イ ナ ス で あ っ て も,操. 産 要 素 の 購 入 に お い て,式(1)が. yを 生 産 コ ス ト価 値 と す れ ば,式(2)y…mが. 0.,S.28. 0.,S.28.;参. 産 に 関 し て,. 成 立 す る と主 張 した(5の 。 し か し な が ら,第. 式(2)は 操 業 に 関 す る も の で あ る と 修 正 し た 個。 こ こ で,yが. (51)Nicklisch,H.:a.a. ッ. 成 立 す る と 主 張 し た ㈹。 彼 の 主 張 は,上. 「経 済 的 経 営 』(WirtschaftlicheBetriebslehre,5.Aufl.,Stuttgart1921)で. (5①Nicklisch,H.:a.a. 業 に よ る損. 期 的 に は 操 業 す べ き で あ る。 これ に 対 し て,ニ. 記 の 消 費 者 側 で の 行 動 基 準 で の 幻 想 と 同 じ も の を 暗 示 し て い る。 そ し て,生. 五版. 業 は,. 照 。 大 橋 昭 一. a.a.0.,S.26u.S.23.. (5鋤VgLNcklisch,H. a。a.0.,S.28。. (5のVgl.Ncklisch,H. a。a.0.,S.28。;参. (55)vgl.Ncklisch,H. WirtschaftlicheBetriebslehre,5.Aufl.,Stuttgart1921,S.24.. 照 。 大 橋 昭 一. ‑687(687)一. 「生 産 者 が 損 失 を 被 る べ き で. 『前 掲 書 』156‑157頁. (52)vgl.Ncklisch,H. は,. 『前 掲 書 」157頁.
(10) 第7巻 な い と き に,販. 売 に お い て,彼. に 譲 渡 さ れ る べ き 価 値 」(56)であ る 点 を 確 認 した 上 で,こ. よ う な 修 正 を 認 め る な ら ば,式(2)は,「 産(正. し くは 操 業)を. こ の 説 明 は,プ. 第1号. 分 数 の 商 が1で. あ れ ば,生. 産 者 に お い て,財. 出 量 は 示 し て は お ら な い 。 し か し な が ら,マ. し て 最 高 の 総 利 益 を 獲 得 で き る産. イ ナ ス の 総 利 益,つ. ま り,損. 処 理 に つ い て は ニ ッ ク リ ッ シ ュ に よ り正 確 に 説 明 さ れ た ㈹。 反 面,生. 失 の下 で の操 業. 産 物 の 販 売 に 関 して,. 成 立 す る と ニ ッ ク リ ッ シ ュ は 主 張 し た が 価9),第五 版 で は,式(3)は. る も の で あ る と修 正 さ れ た ㈹。 し か し な が ら,式(3)は,「xが (生 産 者)の. の生. 新 た に 続 け る 刺 激 は 全 く存 在 しな い 」(5の こ と の 説 明 と な る 。 ま た,. ラ ス の 総 利 益 が な く な る点 を 示 す が,決. 式(3)x÷yが. の. 生 産 物(製. 品)は. よ り 簡 単 に 販 売(正. し く は 生 産)さ. い る と解 釈 さ れ た ま ま で あ っ た 。 し か し な が ら,企 不 完 全 で あ る以 上,企. 大 き く,yが. 小 さ い 程,彼. れ る」㊨1)こ と を 示 し て. 業 の 購 入 と操 業 に つ い て の 行 動 基 準 が. 業 の 需 要 量 と生 産 物 の 供 給 量 の 均 衡 条 件(限. を 引 き 出 せ る可 能 性 は 存 在 し な い 。 こ の た め,ニ. 生 産 に 関す. 界 生 産 力 の 基 本 定 理). ッ ク リ ッ シ ュ の 場 合,生. 産 に 関 す る行 動. 基 準 を 正 し く示 せ る可 能 性 は な か っ た と わ れ わ れ は 考 え る。 そ し て,独. 占 財 に お け る生 産 者 側 の 行 動 基 準 に 関 し て,ニ. の 形 成 下 で は),技 し て,生. 産 物(製. ッ ク リ ッ シ ュ は,「(カ. 術 的 な 性 格 を 有 す る 製 造 価 値 と生 産 者 の 利 益 目 的 は,市 品)の. 論 で き る。 と こ ろ で,同. ら,こ. 著 に よ れ ば,カ. の 「カ ル テ. の よ うな経 済 活 動 の 性 格 を わ れ われ は推. ル テ ル は参 加 者 に 同一 も し くは共 同 の取 引 の締 結. を も た ら す ㈹。 し か し な が ら,「 販 売 価 格 に つ い て 語 ら れ る と き に は,一 格 は 共 通 で あ る が,海. 場 価 値 を除 外. 経 済 的 価 値 を 決 定 す る 」㈹ と述 べ て い る。 こ の 点,彼. ル 論 』(Kartellbetrieb,Leipzig1909)か. 般 に,国. 内 の価. 外 の 価 格 は カ ル テ ル の 意 向 に は 左 右 さ れ な い こ と が 強 調 さ れ るべ き. で あ る」㈹ と述 べ て い る が,ニ. ッ ク リ ッ シ ュ は,カ. ル テ ル を 実 質 上 で は商 品 が た だ一 つ の. 経 済 主 体 に よ り 供 給 さ れ る 単 純 な 供 給 独 占 体 で あ る と み な して い る(65)。 そ して,彼 に よ れ ば,独. ルテル. 占 体 は,ク. ル ー ノ の 点,す. な わ ち,限. の解 釈. 界 収 益 が 限 界 費 用 に 等 し い と い う条 件. es d. m 曲 創 銑. 面 胎 丘 W 飢 短 r P. b a. ㏄ 曲 創. b e . n 就 脆 B a. e畝 &. ㎞ 2, 説 91 . m1 典 ︑9 m 餌 サ ユ U e ㎞ L 9 2. 8. es ㎞. 宙 器. 論 盛. S. 醜㎞. ㎞. B. 器謙. ㎏. 12. f 溜舗. の ユ 加 血. の 沁. 晦. 〃. 障. 稿頭 拙. 昭 揖. 冊腸. 鳶. り. 頁. 稿 拙. 召鱒 ロ バ 参. 翫 8. a. : h. . N V. 御 ㈹. 慮 α ・ ︒ノ 漁 & K 究. ,. 購 論 擁 糊梧. 9. n. . m l. ㎜. e. 量. B. ・ 鵠. ㎜u. m. 血畿. ㎜ eω. a W. 制. ﹃. テ贈. L. 3 n h U. ‑ 面. ⑳ 6. ㎞. 麟. ・. 羅. , a. α. ・齢. hc. H. , n. 訟 肱 個e k. D. MM 聡. L. 窃 ① [a. ・ m. n2 α 膿. 齢 副. 諜島. 8. a , ‑ h 血. の. 5 5. 細ま 跳 濫 ま 晶 響. ㏄ ︒"d. H. Hd忌 捻 Hd晶 齢鼓 k k k ・k h皿ωnhc・・ ㏄・h翻 躍 臨. 譜 納謡. 岡鴛 鵜 v譜 需 励. 50. 88 ω. 88 6.
(11) ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 に つ い て の 一・ 考 察(牧. が 成 立 す る 点 で 価 格 を 決 定 す る 。 な お,独 活 動 の 性 格 に つ い て は,ウ. 以 上,ニ. 浦). 占 体 の 経 営 政 策 に つ い て は,メ. ィ ー ザ ー(Wieser,vonF.)御. ン ガ ー ㈹,経. 済. の 影 響 を 認 め られ る。. ッ ク リ ッ シ ュの市 場 関係 論 は,利 益 最 大 化 も し くは効 用 最 大 化 の原 則 を め ざす. 個 別 経 済 が,収 穫 逓 減 法 則 に支 配 され る状 況 下 で,活 動 す る場 合 の行 動 基 準 を示 そ う と し た。 これ は 限界 効 用 学 派 の基 本 的 な考 え に一一 致 して い る。 ま た,上 記 の(3>消費 者 と生 産 者 の配 分 問題 を解 決 す る こ とを め ざす もの で あ り,以 下 の特 色 を有 す る。 す な わ ち,① 限界 効 用 学 派 の主 張 が消 費 者 側 で の配 分 問題 を強 調 した の に対 して,ニ. ッ ク リ ッ シ ュは生 産 者. 側 で の配 分 問題 を強 調 した こ と,② 独 占価 格 を費 用 原 則 が制 限 され る特 殊 な場 合 と して一 般 価 格 理 論 の体 系 に組 み入 れ よ う と試 み た。 しか しな が ら,ニ ッ ク リ ッ シ ュの論 述 か ら見 て,こ の よ うな 目的 は達 成 で き な か った だ け で は な くて,大 橋 昭一 教 授 が指 摘 され た よ う に,経 営 原 則 の定 義 に も悪 影 響 を及 ぼ した(㈱ 。. 3.ニ. ッ ク リ ッ シ ュ の 資 産 ・資 本 理 論 の 検 討. イ サ ー ク(A.Isaac)は,資 両 者 を ま と め て,資. 産 の 構 造 と,企. 業 の 収 益 性 と安 全 性 の 叙 述. 産 ・資 本 理 論 と 呼 ぶ が. が,ニ. わ れ わ れ は,. ッ ク リ ッ シ ュ の 『一一 般商事経営学』. (Nicklisch,H.:AllgemeinekaufmannischeBetriebslehrealsPrivatwirtschaftslehre desHandels(undderIndustrie),Leipzig1912)の こ の 点,わ. れ わ れ は,彼. 中 心 テ ー マ で あ る と 主 張 し た(69)。. の 資 産 の 構 造 に つ い て の 叙 述 は,①. 個 々 の 資産 構 成 部 分 の価 値 の. 確 定 に つ い て の 言 及 と② 収 益 性 と安 全 性 を 維 持 す る た め の,個 相 互 の 関 係 に つ い て の 言 及 に 大 別 で き る と み な す 。 そ して,前. (66)こ. の 点,メ. ン ガ ー は,独. 々 の資 産 構 成 部 分 の規 模 と 者 を 「私 経 済 学 的 な 評 価 論 」,. 占 体 の 経 営 政 策 に つ い て,「 独 占 体 の 経 営 政 策 は 自 己 の 独 占 財 の 支 配. 量 に よ り で き る だ け 大 き な 収 入 を 獲 得 す る こ と に 帰 す 。 … … 独 占 体 は,独 を 売 却 で き る 金 額 に 価 格 を 設 定 す る の で は な く て,最. 占財 の支 配 量 のす べ て. 大 の 収 入 を 独 占 体 に も た らす よ う に,価. を 決 定 す る の で あ る 」(Menger,C.:a.a.0.,S.187.;参. 照。安井 琢磨訳. 格. 『前 掲 書 」197‑198頁). と述 べ て い る。 ㈲. こ の 点,ウ ィ ー ザ ー は,カ ル テ ル を,準 独 占 的 形 成 体 と し て,独 占 的 に 支 配 す る 国 内 市 場 と, 競 争 す る 海 外 市 場 の た め に,生 産 す る も の と 考 え た(Vgl.Wieser,vonR:Theorieder gesellschaftlichenWirtschaft.GrundrissderSozial6konomik,1.Abteilung,H.Teil, Ttibingen1914,S.158.)。. (働. 参 照 。 大 橋 昭一. 『前 掲 書 」141‑145頁. (69)Isaac,A.:DieEntwicklungderwissenschaftlichenBetriebswirtschaftslehreinDeutsch‑ land,seit1898,Berlin1923,S.59‑60.;参 頁;参. 照。拙稿. 照。 市 原 季 一. 「ニ ッ ク リ ッ シ ュ 」 同 文 舘1982年29. 「ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 「一 般 商 事 経 営 学 」 の 研 究 ノ ー ト」 関 西 学 院 商 学 研 究. 号1980年33‑34頁. 一689(689)一. 第10.
(12) 第7巻. 第1号. 後 者 を 「数 量 調 整 論 」 と呼 ぶ。 以 下 で は,そ れ ぞ れ の 内容 を紹 介 した後,上 記 の 「価 値 に 関連 した理 論 」 との 関係 と,限 界 効 用 学 派 の影 響 につ い て検 討 す る。. 3.1.ニ. ック リ ッ シ ュの私 経 済 的 な評 価 論 の検 討. ニ ッ ク リ ッ シ ュの私 経 済 的 な評 価 論 は,各 資産 構 成 部 分 が,理 論 的 に,つ ま り,事 業 資 産 の構 造 につ い て統 一一され た描 写 をす る た め に は,使 用 価 値,生 産 価 値 と市 場 価 値 の 内, どれ に よ り決 定 され るべ き で あ る の か を 明 らか に す る こ とを 目的 と した㈲。 そ こで は,資 産 は,使 用 され る 目的 に よ り,① 設 備 財 ま た は使 用 財,② 流 通 財,③ 保 証 財 と④ 準 備 財 に 分 類 され た(71隅 。 この 内,ま ず,① 設 備 財 ま た は使 用 財 は 一 般 的 な もの と特 殊 な もの に分 け られ,前 者 は 自己 の経 営 に役 立 つ 土 地,建 物,工 具 と装 置 か ら,後 者 は特 許 権 と資 本 参 加 か ら構 成 され る とみ な され た 力燗,両. 者 は使 用 価 値 を有 す る反 面 ㈹,以 下 の よ う な異 な. る処 理 が な され る とみ な され た。 す な わ ち,前 者 の一 般 的 な設 備 財 ま た は使 用 財 は,各 使 用 者 に評 価 させ る弊 害 か ら㈲,実 践 で は,逆 の道,つ. ま り,個 々の 対 象 とす る設 備 財 に対. して経 験 に よ り与 え られ る特 定 の規 定 に従 って算 定 され る減 価 償 却 額 を,そ の設 備 財 の調 達 価 額 も し くは製 造 価 額 か ら控 除 した金 額 と して 帳簿 上 で は処 理 す る減 価 償 却 法 が採 られ る㈹。 他 方,後 者 の特 殊 な設 備 財 また は使 用 財 で は,資 本 参 加 が,有 価 証 券 に よ り構 成 さ れ るた め,取 得 価 額 も し くは取 引所 相 場 で処 理 され る㈲。 ま た,同 種 の 特 許 権 は,そ の価 値 の不 安 定 性 の た め,株 式 会 社 で は,一 般 に評 価 しな いか,1マ 次 に,② 流 通 財 は,(2a)販. 売 客 体 と(2b)決. 上 制 約 す る㈹,前 者 の(2a)販. ル クで の み処 理 され る⑱。. 算 財 に 分 け られ(79),企業 の 組 織 を本 質. 売 客 体 は販 売 が確 定 され る時 点 まで 増 大 す る コ ス ト価 額. (生 産 価 値)を. 有 す る反 面 侶1),以下 の よ うな 異 な る処 理 が な さ れ る とみ な さ れ た 。 す な わ. ち,(2a)販. 売 客 体 は,ま ず,i)「(広. 義 で の)製 造 過 程 へ の投 入 の た め に待 機 して い. (7①VgLNicklisch,H.:a。a.0.,S.98。 (71)Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.85.;参 (72な. お,緊. 張. と の 関 係. 照 。 田 島 壮 幸 に よ る 資 産 の 分 類. 『前 掲 書 」89‑90頁;参. に つ い て は,『. AllgemeinekaufmannischeBetriebslehrealsPrivatwirtschaftslehredesHandels(undder. cklischN. ㈲Vgl (76)Vgl. cklischN. ㈲Vgl. cklischN. (7aVgl. cklischN. (79)Vgl. cklischN. ⑳Vgl. cklischN. 侶1)Vgl. cklischN. cklischN. 参 照 の こ と。. S S S S S S S S S. (7のVgl. α α α α α α α α α a a a a a a a a a a a a a a a a a a. cklischN. 凪 且 旺 既 旺 既 旺 凪 且. Industrie),Leipzig1912,S56‑57)を. (73Vgl. 85。 98u.S.100‑101. 99。 99‑100. 100‑101。 101‑102.;参 85。 85。 102.. ‑690(690)一. 照 。 拙 稿50‑51頁. 照 。 拙 稿50頁. 一 般 商 事 経 営 学 」(Nicklisch,H.:.
(13) ニ ック リ ッシ ュ の価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 につ い て の一・ 考 察(牧 浦). る財 」,h)「. 製 造 過 程 内 に あ る 財 」 と,i五)「. 企 業 に は,対. 悟 が で き て い る財 」 に 区 分 さ れ る。 そ し て,i)「(広 待 機 して い る 財 」 を 構 成 す る,原. 価 と 引 き 替 え に,放. 義 で の)製. 者 は,本. 来,皿)「. 財 」 を 構 成 す る 完 成 品(商. 企 業 に は,対. 品)と. 品)の. で は,取. 得 価 格 と取 引 所 相 場,完 常 で は,前. 売 契 約 済 で あ る が,未. た 完 成 品(商 (2a)販. 品)は,契. 品)で. 納 入 の 完 成 品(商. 約 価 格 で,そ. 場 価 値)で. 決 算 財 は,商. 処 理 さ れ る駒。 そ し て,以. 性 格 を 異 に す る が,流. 体 は,経. 殊 な(2a)販. 者 で 処 理 さ れ る㈱。 た. 算 時 点)で. 通 価 値,市. 場 価 値 を 有 し,こ. cklischN. 侶6)Vgl. cklischN. ⑳Vgl. cklischN. ㈱Vgl. cklischN. 侶9)Vgl. cklischN. cklischN. S S S S S S S S. ㈹Vgl. α α α α α α α α a a a a a a a a a 乱 a 乱 a 乱 a a. cklischN. 且 旺 既 旺 既 旺 凪 且. cklischN. 102.;参. 別 経 済 間 を 川 上 の 方 向(消 保 証 財 は さ ま ざ ま な勘 り大 き な 信 用 の 保. 照 。 拙 稿51頁. 105‑106。 106. 照 。 拙 稿51頁. 85‑88. 88。 89。 109.;参. 照 。 拙 稿51頁. 一691(691)一. 者 は,. れ に よ り処 理 さ れ る と説 明 さ れ た 侶9)。. 流 通 財 の 内,(2b)決. 106‑109。;参. 通価. の 性 格 か ら,(2b). い 購 入 機 会 や,よ. 設 備 財 ま た は 使 用 財 と,②. て い る と い う 基 本 的 な 構 造 が あ る 反 面,②. 延べ財. の 換 金 化 価 額(流. 流 通 財 の 内,(2a)販. 営 に お い て 相 互 に 指 定 さ れ て い る様 々 な 生 産 段 階 に 属 し,前. ㈱Vgl ⑳Vgl. の よ う な一 般 的 な. 営 に お い て 使 用 さ れ な い も の で あ る と み な さ れ ㈱,三. 産 構 成 部 分 間 に は,①. 秘Vgl. 期 取 引 を締 結 し. 立 て 製 品 の 分 け 前(DieAnteile. 下 の 財 に つ い て は,そ. 準 備 財 は,良. 価証券. 市場価値. 売 客 体 で あ る,繰. 移 転 す る こ と に よ り 特 色 付 け られ ㈹,③. 下 の と こ ろ,経. 産 価 値)と. 売 価 格 で,定. 売 客 体 で あ る が,個. 定 科 目 を 集 約 す る 集 積 概 念 で あ り⑳,④. 記 の 説 明 で は,結. 下 の 例 外 を 除 い て,有. ス ト価 額(生. 品)は,販. 債 権 は 貸 借 対 照 表 作 成 日(決. 費 者 か ら生 産 者 の 方 向)に. な お,資. は,コ. 算 時 点). 売 客 体 で は 血)完. れ ぞ れ 処 理 さ れ る ⑳。 更 に,こ. 品 取 引 に お い て は(2a)販. 証 の た め に,目. 流 通 財 の(2a)販. 引 受 価 格(Hereinnahmewert)で,組. anKonsortialgUter)と. 借 対 照 表 作 成 日(決. 者 が 前 者 を 下 回 る と き の み,後. 売 客 体 に つ い て の 説 明 に 追 加 して,特. (ReportgUter)は. 値,市. 成 品(商. 者 で,後. 棄 す る覚 悟 が で きて い る. 宜 上 の 処 理 で あ る。 と こ ろ で,上. 処 理 が 確 定 さ れ て お ら な い こ と に な る が,以. を 比 較 し て,通 だ し,販. 価 と 引 き 替 え に,放. 設 備 財 ま た は 使 用 財 で は 有 価 証 券,②. 成 品(商. れ ぞ れ 処 理 さ れ る 圃。 しか し. な るべ き もの で あ る た め,貸. で の 資 産 の 構 成 を 表 示 す る た め の,便 果 と し て,①. 造 過 程 へ の投 入 の た め に. 材 料 と補 助 材 料 は 調 達 価 値 も し く は 生 産 価 値 で,h). 「製 造 過 程 内 に あ る 財 」 を 構 成 す る半 製 品 は 生 産 価 値 で,そ な が ら,両. 棄 す る覚. 売客. 後 依 存 的 に規 定 され. 算 財 と,④. 準 備 財 は集.
(14) 第7巻. 第1号. 積 し て 存 在 す る と い う基 本 構 造 が あ る と ニ ッ ク リ ッ シ ュ は 主 張 し た(go)。. 3.2.ニ. ック リ ッ シ ュの数 量 調 整 論 の検 討. ニ ッ ク リ ッ シ ュの 「数 量 調 整 論 」 は,上 記 で も述 べ た が,収 益 性 と安 全 性 を維 持 す るた め の,個 々 の 資産 構 成 部 分 の規 模 と相 互 の 関係 につ い て の言 及 で あ るが,ニ. ックリッシュ. は,「 個 別 企 業 の 資 産 に含 ま れ て い る財 の 種 類 に よ る組 合 わ せ に,ど の 程 度 の 収 益 性 が事 業 に は あ り,ど の 程 度 安 全 で あ る の か が左 右 され る」 と い う見 解 を有 して い た⑲1)。 この た め,彼. は,「 あ る資 産 構 成 部 分 が長 期 に亙 っ て,総 資産 に関 連 した要 求 に よ り,そ の正 当. な割 り当 て以 外 の もの に抑 制 され るな らば,資 産 に お け る諸 力 の調 和,企 業 の事 業 部 門 と 特 殊 な課 題 が 条 件 付 け る調 和 の あ る構 造,全. 体 の 安 定 した 均 衡 は脅 か さ れ る」(吻と主 張 し. た。 そ して,こ の よ うな調 和 ・均 衡 は,流 通 構 成 部 分 の規 模 が,少 な く と も現 行 の事 業 の よ り確 実 な展 開 を保 証 し,か つ,固 定 化 され た資 産 に対 す る全 体 の経 営 手 段(流 通 構 成 部 分 プ ラ ス貨 幣手 段)の 割 合 に 関 して,固 定 化 され た資 産 の完 全 な利 用 が可 能 に な るよ うに 維 持 され る と き に,成 立 す る と説 明 した鱒。 そ して,個 々 の 資 産 構 成 部 分 の 間 で の調 和 の あ る構 造 を検 討 す るた め の代 表 例 の1つ. と して,在 庫 方 程 式 を あ げ た働。 また,国 立 銀 行. に お け る預 金額 の 変 動 を 調 査 す る た め の公 式(T:360=G:U)を. 利 用 した数 量 調 整 も取. り上 げ た。 そ こで は,公 式 を利 用 して,Gに. 一一 年 間 の流 通 総 額 ㈹ を. 代 入 す る こ と に よ り得 られ るT,す 値G÷U,つ. 財 の平 均 在 高㈱,Uに. な わ ち,財 が平 均 して企 業 の 所 有 下 に あ る 日数 と,数. ま り,回 転 度 数 が 調 べ られ た(9の 。 と こ ろ で,こ. 「投 資 の可 能 性 は,特 定 時 点 に お い て,そ. して一 般 的 に も,個 数 と程 度 に お いて 制 限 さ れ. て い る」鰍 と い う見 解 が あ っ た。 また,「 一一 般 に は,今 め に は,常 に,よ. の よ う な言 及 の 背 後 に は,. ま で と同一 の 収 益 性 を 獲 得 す る た. り多 くの流 通 が行 わ れ るべ き で あ るの に」,「そ の 際,引 き受 け られ るべ. き リス クを 非 常 に増 加 させ な いで,一 定 限度 よ り大 きな 資産 を,同 一 の平 均 的 な収 益 性 で,. (9①Vgl.Nicklisch,H:a.a.0.,S.93‑94. (91)Vgl.Nicklisch,H:a。a.0.,S.20。 (92Nicklisch,H:a.aO.,S.120.;参. 照 。 拙 稿54頁. (93Vgl.Nicklisch,H:a。a.0.,S.57。 (9のVgl.Nicklisch,H:a.a.0.,S.158‑161. (9励. な お,ニ. ッ ク リ ッ シ ュ の 場 合,Gは. 期 首 在 高. と 期 末 在 高 の 単 純 平 均 で 求. め ら れ る(Vgl.. Nicklisch,H.:a.a.0.,S.150‑152.)。 (96)個 に,公. 々 の 勘 定 科. 目 で は,借. 式U=Ba(期. 方 と 貸 方 の 流 通 総 額 は 等. 首 の 現 在 高)+E(受. し く な い 。 こ の た め,把. 取 数 量)‑Bs(期. れ る(Vgl。Nicklisch,H.:a。a。0.,S.77‑79.;参. 末 の 現 在 高)を. 照 。 拙 稿44頁)。. (9のVgl.Nicklisch,H.:a。a.0.,S.148‑154。;参. 照 。 拙 稿55頁. (98)Nicklisch,H:a.a.0.,S.84.. ‑692(692)一. 握 す る 側 の 決 定 の 後 用 い て,Uは. 捉 え ら.
(15) ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 に つ い て の 一・ 考 察(牧. 投 資 す る こ と は,小. さ い 資 産 よ り も 困 難 で あ る」(99)とい う見 解 が 存 在 した 。 そ して,こ. よ う な 見 解 の 下 で,事 た,個. 浦). 業 管 理 は,「 常 に,新. 々 の 割 合 を 同 様 に 維 持 す る,も. し い 事 業 を 抑 制 す る だ け で な くて,む. の. しろ ま. し く は 繰 り返 し て 設 定 す る課 題 を 有 す る」 と主 張 し. たq』 ⑪ 。 他 方,企. 業 の 収 益 性 と安 全 性 に つ い て の ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 言 及 を 考 察 す れ ば,ま. 益 性 に 関 して,「 単 に 自 己 資 本 だ け で は な くて,む し,儲. か る よ う に,協. は,(i)流. 資 本 が,企. 業 の 収 益 性 に作 用. 働 す る 」ω と い う 見 解 を わ れ わ れ は 確 認 で き る 。 そ して,こ. の 下 で,「 企 業 の 収 益 性 は,貸 こ と に よ り,表. し ろ,総. ず,収. 借 対 照 表 年 度(会. 計 年 度)の. 純 利 益 を総 資 本 に関 係 付 け る. 示 さ れ る 」q⑫と ニ ッ ク リ ッ シ ュ は 主 張 し たqOl)。ま た,安. 動 性 に よ る 安 全 性 と,㈹. の見 解. 全 性 に関 す る叙 述. 準 備 金 に よ る 安 全 性 に 分 け ら れ た"o鋤 。 こ の 内,(i)流. 動. 性 に よ る 安 全 性 に 関 し て は,「 債 務 の ど れ 程 の 百 分 率 に 流 動 的 な 資 産 構 成 部 分 が 達 し て い る の か を 示 す 」⑯,一 し て,商. 般 的 な 表 示 法 は 銀 行 に の み 意 義 を 有 す る と彼 は 主 張 し た 。 こ れ に 反. 品 取 引 企 業 で は,(a>商. 品 債 権 と商 品 債 務,(b>設. 備 資 産 と営 業 資 産,(c>自. 他 人 資 本 の 各 割 合 が 重 要 で あ る と み な さ れ た ㈲。 ま た,㈲ 「準 備 金 に よ り保 証 さ れ る 安 全 性 の 程 度 は,数 本 だ け で は な くて,む. 準 備 金 に よ る 安 全 性 に 関 して は,. 値 上 で は,準. し ろ 総 資 本 に 比 例 し て,設. 己資 本 と. 備 金 が,資. 本 に,単. 定 さ れ る こ と に よ り,表. に 自 己資. 示 さ れ る」q⑱と. 主 張 し たqOl)。. 以 上,ニ. ッ ク リ ッ シ ュ の 私 経 済 的 な 評 価 論 で は,①. 内,(2a)販. 売 客 体 に お い て,処. 理 さ れ る 価 値(簿. (99)Nicklisch,H.:a.a。0.,S.191。;参. 設 備 財 ま た は 使 用 財 と,② 価)と,現. 実 の 価 値 は,基. 流通財 の 本 的 に は,. 照 。 拙 稿40頁. qO①Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.120. qOl)Nicklisch,H.:a.a。0.,S.178。 q⑫Nicklisch,H.:a.a.0.,S.177.;参 q㈲. な お,総. 照 。 拙 稿37頁. 資 本 の 評 価 の 困 難. さ に つ い て は,『. 一 般 商 事 経 営 学 」(Nicklisch,H.:Allgemeine. kaufmannischeBetriebslehrealsPrivatwirtschaftslehredesHandels(undderIndustrie), Leipzig1912,S.184‑185)を. 参 照 の こ と 。. qOOVgl.Nicklisch,H.:a。a.0.,S.193‑204。 q㈲. な お,ニ. ッ ク リ ッ シ ュ は,減. 価 償 却 と リ ス ク 分 散 に よ る 安 全 性 に つ い て も,『. 一 般 商 事 経 営 学 」. (Nicklisch,H。:AllgemeinekaufmannischeBetriebslehrealsPrivatwirtschaftslehredes Handels(undderIndustrie),Leipzig1912,S.204‑213)で,説 qO①Nicklisch,H.:a.a。0.,S.194。;参. 明 し て い る。. 照 。 拙 稿44頁. qOのVgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.194u.S.62‑63u.S.175‑176. qO鋤Nicklisch,H.:a.a。0.,S.207。 q⑲. な お,ニ に 比 例. ッ ク リ ッ シ ュ は,こ. し て 規 定 す る,当. の 主 張 に 基 づ き,株. 時 の 商 法 典 第262条. 式 会 社 に お け る 法 定 準 備 金 の 金 額 を 株 主 資 本. に つ い て,『. AllgemeinekaufmannischeBetriebslehrealsPrivatwirtschaftslehredesHandels(undder Industrie),Leipzig1912,S.208‑213)で,批. 判. 一693(693)一. し て い る 。. 一 般 商 事 経 営 学 』(Nicklisch,H.:.
(16) 第7巻. 第1号. 一 致 しな い⑩。 この た め,こ れ ら財 の 現 実 の価 値 の性 格 を,価 値 概 念 との 関 係,並. び に,. 限界 効 用 学 派 の影 響 か ら,わ れ わ れ は検 討 す る。 この点,ま ず,① 設 備 財 ま た は使 用 財 の 現 実 の価 値 に関 連 して,ニ. ック リッ シ ュは,特 殊 な 使 用財 で は あ るが,資 本 参 加 に関 して,. 資 本 参 加 の効 用 は,直 接 的 に は,他 の企 業 の事 業 に 関す る配 当金 と して生 ず る利 益 で,間 接 的 に は,資 本 参 加 に よ り安 定 化 され る 自己 の経 営,自. 己 の流 通 に対 す る事 業 関係 を有 す. る メ リ ッ トに お い て現 れ,そ の効 用 の全 体 と して の純 粋 な価 値 が1つ の数 値 に要 約 され, これ が一 般 的 な 割 引 率 で 資 本 化 さ れ る な らば,使 用 価 値 は確 定 され る と主 張 して い るω。 そ こで は,直 接 的 な効 用 が金 銭 上 で評 価 され うる の に対 して,間 接 的 な効 用 は金 銭 上 で は 評 価 で き な い,本 稿 の2.で 検 討 した,個 別 的 な価 値 と して の 主 観 的 な 使 用 価 値 で あ る点 が 注 目 され る。 ま た,直 接 的 な効 用 の大 き さは有 価 証 券 の市 場 価 値 で あ る。 この た め,彼 の 主 張 を,一 般 的 な① 設 備 財 ま た は使 用 財 の ケ ー ス に拡 張 す れ ば,以 下 の よ うに説 明 で き る とわ れ わ れ は考 え る。 す な わ ち,直 接 的 な効 用 は,投 資 機 会 犠 牲 説 を用 い て㈹,金 銭 上 で 評 価 で き る。 具 体 的 に は,そ の大 き さは 当該 物 件 が取 引 され る場 合 を想 定 した市 場 価 値 で あ る。 他 方,間 接 的 な効 用 は,あ. くま で,個 別 経 済 内 で の み成 立 す る もの で あ り,喪 失 し. た場 合 を想 定 した マ イ ナ ス の技 術 上 の適 性(充 足 価 値)で. あ る。 そ の大 き さは,当 該 物 件. に 関す る欲 望 と代 替 品 を調 達 す る困難,具 体 的 に は,手 元 在 高 と代 替 品 との 間 で の数 量 関 係 に左 右 され る とみ な し うる。 ま た,上 記 の ニ ッ ク リ ッ シ ュの主 張 の背 後 に は,自 己資 本 コス トの主 張 を含 め て,費 用(限 界 費 用)は,特. 定 の タ イ プ の満 足 の た め に放 棄 しな け れ. ば な らな い,他 の タ イ プ の 満 足 の 犠 牲 で あ る と い う,「 ウ ィ ーザ ー の費 用 理 論 」 の 影 響 を 認 め る こ と が で き るq1鋤 。 また,「 あ る種 の 財 貨 の主 観 的 な 交 換 価 値 の 大 き さ は,こ れ と引 き替 え に して得 られ る財 貨 の 限界 効 用 に よ り,測 定 され る」 とい う,ポ エ ム ・バ ヴ ェル ク (B6hm‑Bawerk,vonE.)の 他 方,②. 代 替 効 用 の考 え の影 響 も認 め られ うるα1。 。. 流 通 財 の 内,(2a)販. 売 客 体 の 現 実 の価 値 につ いて,確 定 時 点 まで,増 大 す. る コス ト価 値 で あ る とニ ッ ク リ ッ シ ュは主 張 した。 しか も,生 産 技 術 上 の価 値 で あ り,生 産 者 が損 失 を被 るべ き で は な い とき に,販 売 に お い て生 産 者 に譲 渡 され るべ き価 値 とみ な. q1①Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.109. qll)VgLNicklisch,H.:a。a.0.,S.101. q②. な お,ニ. ッ ク リ ッ シ ュ は,自. 己 資 本 コ ス. ト に つ い て,投. 資 機 会 犠 牲 説 を 用 い て,『. 営 学 」(Nicklisch,H.:AllgemeinekaufmannischeBetriebslehrealsPrivatwirtschaftslehre desHandels(undderIndustrie),Leipzig1912,S.179)で,説. 明 し て い る 。. q1紛Vgl.Wieser,vonF.:DernatUrlicheWert,Wien1889,S.166‑167. q10Vgl.B6hm‑Bawerk,vonE.:KapitalundKapitalzins,2。Abteilung,PositiveTheoriedes Kapitales,ErsterBand,4.Aufl.,Wien1921,S.204.. 一694(694)一. 一 般 商 事 経.
(17) ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 に つ い て の 一・ 考 察(牧. 浦). した。 ま た,こ れ は,生 産 に お い て使 用 され る原 材 料,補 助 材 料,生 産 手 段(生 産 装 置) と労 働 力 の移 転 価 値,す 値,つ. ま り,受. な わ ち,供 給 と需 要 の 間 で の 関係 の影 響 下 で成 立 す る(経 済)価. 取 価 値(支. 払 価 値)の. シ ュ の こ の よ う な 解 釈 か ら,(2a)販. 合 計 を 基 礎 と して い る と考 え ら れ るq1駐 。 ニ ック リ ッ 売 客 体 の 現 実 の 価 値 が,原. 則 的 に は,在. 庫 によ り. 引 き起 こ され る利 子 損 失 を加 算 したql㊧,費消 さ れ る生 産 要 素 の 受 取 価 値(支 払 価 値)の 総 額 で あ っ た こ と は 明 ら か で あ る 。 こ こ に も,ま. た,「 生 産 手 段 は 直 接 的 に は 効 用 を も た ら. さな い け れ ど も,こ の よ うな生 産 手 段 を使 って生 産 す るた め に,費 消 され た生 産 要 素 か ら 間接 的 に そ の価 値 は導 か れ る」 とい う 「ウ ィー ザ ー の費 用 帰 属 説 」 の影 響 が認 め られ る。 し か し な が ら,「 ウ ィ ー ザ ー の 費 用 帰 属 説 」 は 生 産 手 段 に 関 す る も の で あ っ た の に 対 して, ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 上 記 の 言 及 は(2a)販. に,ニ. 売 客 体(生. 産 物)に. 関 す る も の で あ っ た αm。更. ッ ク リ ッ シ ュの数 量 調 整 論 に は,経 済 学 が 問題 にす べ き もの は個 人 の行 為 の結 果 と. して,経 済 諸 量 の 間 に生 ず るべ き相 互 依 存 的 な変 化 の み で あ る とい う実 証 主 義 の精 神 が認 め ら れ るql鋤 。 こ れ は,た. 析q1田,i)秘. と え ば,i)4つ. の異 な る業 種 の 大 企 業 につ い て の 資 産 構 成 分. 密 準 備 金 の評 価 剛,血)資. 産 曲 線 と資 本 曲線 を 利 用 した 資産 ・資 本 構 成 部 分. に つ い て の 実 証 研 究q2D,iv)在. 庫 調 査 吻,V)収. 益 性ql鋤,vi)流. 動 性qlの とV五)準. 備金 によ. q1励VgLNicklisch,H.:a。a.0.,S.36。 q1①Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.147u.S.150‑152. q1の こ の 点,生. 産 手 段,特. に,償. 却 資 産 の 簿 価 に つ い て 少 し補 足 す る な ら ば,性. 格 上,法. が 最 も 強 く現 れ る 減 価 償 却 が 問 題 に な る(Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.97‑98.)。 こ の 減 価 償 却 に 関 す る,ニ. ッ ク リ ッ シ ュ の 叙 述 に は,以. 律 的側 面 と こ ろ で,. 下 の 特 徴 が 認 め ら れ る 。 す な わ ち,(1職. 価 償 却 を 設 備 資 産 に 関 す る 概 念 と し(Vgl。Nicklisch,H.:a.a.0.,S.66‑67.),し. か も,減. 却 を 消 耗(設 備 の 利 用)に よ る(Vgl.Nicklisch,H:a.a.0.,S.140.),生 は 用 役 へ の 価 値 の 移 転 と して 捉 え た 点(Vg1.Nicklisch,H.:a.a.0。,S.36.),(2)固. 価償. 産 される対象 も しく 定 資 産 が価 値. (交 換 価 値)と して は 部 分 的 に し か 関 与 し な い が,使 用 価 値 と して は 全 体 と し て 企 業 活 動 に 参 加 す る と い う 特 性 を 指 摘 し た 点(Vgl。Nicklisch,H.:a.a.0.,S。140‑141.;参 照 。 馬 場 克 三 『減 価 償 却 論 」(増 補 版)千. 倉 書 房1956年164‑165頁176頁;参. 照 。 木村 和 三 郎. 『新 版. 減価 償 却 論 」. 森 山 書 店1965年6頁44頁),(3)減 価 償 却 が 固定 資 産 と い う特 殊 な 資産 が 有 す る独 特 の性 質 か ら規 定 さ れ て 発 生 す る コ ス トで あ る 点 を 強 調 し た 点(Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.142‑143.; 参照。馬場克三. 「前 掲 書 」117頁),(4)減. 価 償 却 の貸 借 対 照 表 上 で の記 載 に理 論 的 な説 明 を与 え た. 点(Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.145‑146.),そ E.)が 「定 率 法 」(参 照 。 木 村 和 三 郎 イ ヤ モ ン ド社1961年168‑174頁),シ. し て,(5)シ 『前 掲 書 」226‑227頁;参. ュ マ ー レ ンバ ッハ(Schmalenbach, 照 。 沼 田 嘉 穂 『固 定 資 産 会 計 』 ダ. ュ ミ ッ ト(Schmidt,F.)が. 「定 額 法 」 を 主 張 し た の に. 対 して(参 照 。 木 村 和 三 郎 『前 掲 書 」226‑227頁;参 照 。 馬 場 克 三 『前 掲 書 」24頁224頁),ニ ッ ク リ ッ シ ュ は,減 価 償 却 は 確 率 計 算 で あ る と し て,実 態 に 即 し た 方 法 を 採 用 す べ き で あ る と し た 点 に(Vgl.Nicklisch,H.:a.a.0.,S.140‑141.),特 q1鋤 q1の. 参 照 。 杉 本 栄 一 『前 掲 書 」71頁 Vgl.N cklisch,H.:a.a.0.,S.89‑93.. q2①. VgLN. cklisch,H.:a。a.0.,S.110‑118。. q21). Vgl.N. cklisch,H.:a.a.0.,S.118‑134.. q2助. VgLN. cklisch,H.:a。a.0.,S.154‑161。. q2鋤. Vgl.N. cklisch,H.:a。a.0.,S.186‑193。. q2の. Vgl.N. cklisch,H.:a.a.0.,S.196‑201.. 徴 が 認 め られ る 。. 一695(695)一.
(18) 第7巻 る安 全 性 ㈲ に つ い て の,実 V.)が,「 結 局,静. 第1号. 証 研 究 に お い て 強 く認 め ら れ る 。 そ して,パ. こ の 実 証 主 義 の 精 神 を 強 調 す る こ と に よ り,結 的 な 一 般 的 な 均 衡 関 係 が で き あ が る が,こ. 論 と し て,経. レ ー ト(Pareto, 済 諸 量 の 間 に は,. の経 済 諸 量 の 間 で静 的 な一 般 的 な均 衡. 関 係 を 記 述 す る こ と が 経 済 学 の 任 務 で あ る」q2⑤ と 考 え た よ う に,ニ. ック リ ッシ ュ の数 量 調. 整 は個 別 経 済 内 で の 資産 構 成 部 分 の 間 で静 的 な一 般 的 な均 衡 関係 を検 討 す る こ とを任 務 と し た 。 こ の 点,上. 記 の事 業 管 理 の課 題 につ い て の主 張 は如 実 に物 語 って い る。. 4.お. 限界 効 用 学 派 の影 響 は,ニ. わ. り. に. ック リ ッ シ ュの取 引 概 念 に も認 め られ る。 彼 に よ る と,「 取. 引 の 基 本 業 務 は 交 換 に還 元 され るが 」伽,交 換 は取 引 者 の 間 で の価 値 の 差 異 を 成 立 要 件 と す る。 す な わ ち,「 取 引 は,(生 産 者 と消 費 者 との 間 で の)価 値 の差 異 の一 部 に お い て利 益 を見 つ け るた め に,財 を交 換 手 段(貨 幣)に 比 較 して,よ. り低 い価 値 を 有 す る者 の手 か ら,. 同一 の基 準 に お け る考 慮 に お い て,そ れ を よ り高 く評 価 す る者 の手 に移 す よ うな購 入 も し くは販 売 に よ り,主 に生 産 者 と消 費 者 との 間 で,財 の 交 換 を実 現 す る こ と」⑳ と み な さ れ た。 こ こ に は,「 取 引 当事 者 の双 方 が,交 換 に よ り,彼 の 獲 得 す る もの の 方 が,彼 が 失 う もの よ り も価 値(効 用)が 高 い と考 え る 限 りで,交 換 は行 わ れ る」qlの と い う,ポ エ ム ・バ ヴ ェル クの 限界 対 偶 の考 え の影 響 が認 め られ る。 本 稿 で は,ニ. ッ ク リ ッ シ ュの 『一一 般 商 事 経 営 学 』 に お け る価 値 に 関連 した理 論 と資 産 ・. 資本 理 論 の 吟 味 と,(方 法 論 上 の もの を 含 めて)限 界 効 用 学 派 の影 響 に つ い て わ れ わ れ は 検 討 した。 検 討 の結 果 を簡 単 に ま とめ れ ば,以 下 の よ うに な る。 す な わ ち, ①. 「一 般 商 事 経 営 学 』 の 出 版 に よ り,「 カ ル テ ル論 』 で示 され た新 歴 史 学 派 に依 存 した 方 法 が,限 界 効 用 学 派 に依 存 した もの に転 換 され た こ と。. ②. 価 値 概 念 の検 討 が,手 元 在 高 と欲 望 の間 で の 数量 関係 を考 え る経 済 的 な価 値 に よ り, 表 面 上 で の理 論 統 一 と,古 典 学 派 に よ る 「価 値 」 につ い て の定 義 に含 ま れ る,あ る種 の長 期 に亙 って論 議 され て き たパ ラ ドッ クス の解 消 を試 み た こ と。. ③. 価 値 概 念 につ い て の検 討 は,主 観 的 な使 用 価 値 か ら,主 観 的 な交 換 価 値 を経 て,客. q2励VgLNicklisch,H.:a。a.0.,S.210‑213。 q2①. 杉 本 栄 一 ・ 「前 掲 書 」71頁. 参 照 。121‑123頁. q2のNicklisch,H.:a.a。0.,S.39. q2鋤Nicklisch,H.:a.a。0.,S.40. q2のVgl.B6hm‑Bawerk,vonE.:a.a.0.,S.96.;参. 照 。 永. 一696(696)一. 守 善 訳. 『前 掲 書 」156頁.
(19) ニ ッ ク リ ッ シ ュ の 価 値 ・資 産 ・資 本 概 念 に つ い て の 一・ 考 察(牧. 浦). 観 的 な交 換 価 値 へ の統 合 に失 敗 し,需 要 と供 給 の 関係 を論 理 上 で 明 白 な もの に戻 す こ とは で き な か った こ と。 ④. 市 場 関係 論 は,効 用 逓 減 法 則 の支 配 下 で,利 益 最 大 化 も し くは効 用 最 大 化 の原 則 に 従 う個 別 経 済 の行 動 基 準 を示 そ う と した こ と。. ⑤. 市 場 関係 論 は,短 所 を有 した が,消 費 者 側 か ら生 産 者 側 に も視 野 が拡 大 され た こ と と,独 占価 格 を,費 用 原 則 が制 限 され る特 殊 な ケ ー ス と して,一 一 般 価 格 理 論 の体 系 に 組 入 れ よ う と した点 に長 所 を有 した こ と。. ⑥. 私 経 済 学 的 な評 価 論 に は,ウ. ィー ザ ー の費 用 理 論 と帰 属 説,ポ. エ ム ・バ ヴ ェル クの. 代 替 効 用 の考 え の影 響 が認 め られ る こ と。 ⑦. 数 量 調 整 に は,問 題 にす べ き もの は,個 人 の行 為 の結 果 と して個 別 経 済 内 の資 産 構 成 部 分 間 に生 ず べ き相 互 依 存 的 な変 化 の み で あ る とい う実 証 主 義 の精 神 が認 め られ る こ と。. ⑧. 数 量 調 整 は,こ の よ うな実 証 主 義 の精 神 の下,静. 的 な一 般 的 な均 衡 関係 の追 求 を任. 務 と した こ と。 ⑨. 取 引概 念 に は,ポ エ ム ・バ ヴ ェル クの 限界 対 偶 の考 え の影 響 が認 め られ る こ と。. お わ りに,ニ. ッ ク リ ッ シ ュが 限界 効 用 学 派 の考 え に接 近 した最 大 の理 由 は,新 歴 史 学 派. の 国民 経 済 学 者 が,国 民 経 済 上 の現 象 を人 為 的 な経 済 に よ る単 一一 現 象 に還 元 しよ う とす る 努 力 を 「原 子 論 」 と して,批 判 した の に対 して,メ. ンガ ー が積 極 的 に これ を提 唱 した こ と. に あ る とわ れ わ れ は考 え るq30)。. 参. 文. 献. 市 原 季 一(1982)『 ニ ック リ ッシ ュ』 同 文 舘 大 橋 昭一(1966)「 ドイ ツ共 同 体 論 史 』 中 央 経 済 社 大 橋 昭一 編 著(1996)「 ニ ック リ ッシ ュの 経 営 学 』 同 文 舘. 〔1〕 〔2〕 〔3〕. 木 村 和 三 郎(1965)『 新 版 減 価 償 却 論 』 森 山書 店 杉 本 栄 一(1955)「 近 代 経 済 学 の 解 明 』(H)理 想社 田 島壮 幸(1973)「 ドイ ツ経 営 学 の 成 立 』 森 山書 店. 〔4〕 〔5〕 〔6〕 〔7〕. 考. 中 村 常 次 郎 稿(1957)「 (上)』 東 洋 経 済 新 報 社. 〔8〕. 沼 田 嘉 穂(1961)「. 私 経 済 学 時 代 の 独 逸 経 済 学 」 中 村 常 次 郎 編 『独 逸 経 営 学. 固 定 資 産 会 計 』 ダ イ ヤ モ ン ド社. q3①Vgl.Menger,C.:UntersuchengenuberdieMethodederSocialwissenschaften,undder politischenOekonomieinsbesondere,Leipzig1883,S.78.;参 掲 書 」118頁;参. 照 。 市 原 季 一. 『前 掲 書 」1‑2頁. 一697(697)一. 照 。 福 井 考 治. ・吉 田 昇 三 訳. 『前.
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