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「超高精細コンテンツの流通・利活用に関する調査研究」

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(1)

平成16年度日本自転車振興会補助事業(機械枠)

デジタルコンテンツに関する調査研究

「超高精細コンテンツの流通・利活用に関する調査研究」

報告書

平成17年3月

財団法人デジタルコンテンツ協会

(2)

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

(3)

目 次

第1章 はじめに ... 1

第2章 超高精細コンテンツ流通に向けたサービス・技術の概要 ... 5

2.1 超高精細コンテンツ流通の全体像 ... 5

2.1.1 超高精細コンテンツ流通の仕組み ... 5

2.1.2 超高精細コンテンツ流通に関わる技術の概要 ... 7

2.2 超高精細コンテンツ流通を実現する技術 ... 9

2.2.1 記録・保存技術 ... 9

2.2.2 配信技術 ... 15

2.2.3 入出力技術 ... 21

2.2.4 利活用技術 ... 23

第3章 超高精細コンテンツ流通のためのトータルソリューション事例 ... 27

3.1 コンテンツ配信サービス「Bitway」 ... 27

3.2 放送サービス ... 37

3.3 DVD コンテンツ流通技術「DVDMAGIC」 ... 45

3.4 VOD(Video On Demand)サービス ... 50

3.5 D-Cinema(Digital Cinema) ... 54

3.6 PC 向け映像配信サービス「goo ブロードバンドナビ」 ... 61

3.7 テレビ向け映像配信サービス「BBTV」 ... 65

第4章 超高精細コンテンツの流通促進に向けて ... 70

4.1 超高精細コンテンツ流通に関する課題 ... 70

4.2 超高精細コンテンツ流通に向けた提言 ... 70

第5章 おわりに ... 72

(4)

付録1 コンテンツ流通事業「Bitway」のご案内(講演資料) ... 75 付録2 NHKアーカイブスのシステム概要(講演資料)... 83 付録3 What DVD CAN BE(講演資料) ... 101 付録4 ブロードバンドサービス実現のための商品・サービス・海外展開

の紹介(講演資料) ... 111

(5)

第1章 はじめに

平成 16 年度の「超高精細コンテンツの流通・利活用に関する調査研究事業委員会」では、

デジタルコンテンツ産業の今後の課題解決方策検討の参考に資する調査研究成果を目的と して、デジタルアーカイブ等の分野で制作・保存が進められている超高精細映像コンテン ツをはじめとし、コンテンツ流通・利活用のためのトータルソルーションについて調査研 究を行った。

昨年度は、デジタルコンテンツ流通促進のためにはコンテンツの資産管理が重要である との考えに基づき、現状でのデジタル・アセット・マネージメントに焦点を当て、その要 素技術であるメタデータ管理、アーカイブ・圧縮技術、高精細表示技術、コンテンツ保護 技術等についての開発動向、商品化動向の調査を行った。本年度は、これらの要素技術が 実際にどのように展開・活用されているか、あるいはされようとしているかを調査し、現 状での課題抽出を行うと共に、今後の方向性を検討することにより、コンテンツ流通・利 活用促進のための総合的解決策を探った。

音の世界では、コンパクトディスクを皮切りに一足先にデジタル化が浸透し、最近では インターネットや携帯電話による音楽コンテンツ配信が広がりつつある。また、パッケー ジによるコンテンツ流通では、DVD オーディオやスーパーオーディオ CD にみられるように、

超高精細コンテンツを収録した光ディスクも登場している。一方、映像の世界では、今ま さにアナログからデジタルへの交替が急速に進んでおり、衛星・地上波デジタル放送や DVD ディスクに代表されるように、デジタル映像コンテンツ流通が大きな産業として育ちつつ ある。さらに次世代パッケージの分野では、高精細映像コンテンツを収録できる HD 光ディ スクの開発が盛んに行われており、本格的市場導入も間近に迫っている。また 2001 年にス タートした e-Japan 戦略によって、超高速インターネット網に低廉な料金で常時接続可能 なインフラの整備が進んでおり、様々なコンテンツをストレスなく配信できる環境が整い つつある。業務用分野では、超高精細映像コンテンツの配信システムとなるデジタルシネ マが実験段階から実用化へと動き出した。また、今回の調査の中には、伝送容量の制約に 対して独自の工夫を凝らしたホテルや家庭向けサービス事例も見受けられる。

本報告書では、第2章で超高精細コンテンツ流通のためのサービスの全体像やそのサー ビスを実現するための技術の概要を述べ、第3章では幾つかのデジタルコンテンツ流通の トータルソルーション事例を具体的に挙げ、そこでのサービス概要や特徴について述べる。

ごく限られた数の事例ではあるが、通信、携帯、放送、ケーブル、パッケージといった様々 な分野におけるコンテンツ流通事例を挙げている。第4章ではこれらのコンテンツ流通サ

(6)

超高精細コンテンツの流通・利活用に関する調査研究事業委員会の構成

(平成 17 年 2 月末時点 順不同・敬称略)

<委員長>

小張 晴邦 日本ビクター㈱ 技術開発本部 技術推進部 著作権チーム チームリーダー

<委員>

桃沢 英明 ㈱NHK テクニカルサービス 事業開発センター デジタル開発担当部長

高野 一博 ソニー㈱ B&P カンパニー 技術部門 技術戦略部 標準化担当マネジャー

浅野 正樹 凸版印刷㈱ 情報ビジネス開発本部 文化事業戦略部 主任

山内 和弥 日本ビクター㈱ 渉外部 企画担当課長

北浦 坦 松下電器産業㈱ メディア制御システム開発センター 開発推進グループ 開発渉外チーム チームリーダー

山木 比呂志 三菱電機㈱ リビング・デジタルメディア業務部 技術課 専任

<協力>

佐野 紳也 ㈱三菱総合研究所 情報環境研究本部 情報通信政策研究部長

江連 三香 ㈱三菱総合研究所 情報環境研究本部 情報通信政策研究部 研究員

堤 大地 ㈱三菱総合研究所 情報環境研究本部 情報通信政策研究部 研究員

<事務局>

岩田 庸一 (財)デジタルコンテンツ協会 企画・推進本部 本部長

岸上 俊一 (財)デジタルコンテンツ協会 企画・推進本部 企画調査部 研究主幹

(7)

超高精細コンテンツの流通・利活用に関する調査研究事業委員会の活動経過

第1回(平成 16 年 8 月 2 日)

(1)DCAj の概要紹介

(2)委員会メンバー紹介

(3)委員長選出

(4)平成15年度委員会活動の報告

(5)平成16年度活動計画について検討

第2回(平成 16 年 9 月 14 日)

(1)平成14年度実施の「次世代映像に関する調査研究」の概要紹介

(2)平成16年度実施計画について検討

第3回(平成 16 年 10 月 14 日)

(1)講演「コンテンツ流通ビジネス『ビットウェイ(Bitway)』」

講師:凸版印刷㈱ 漆山 保志 氏

(2)凸版印刷㈱における高精細コンテンツの事例紹介

(3)凸版印刷㈱のVRシステム及び作品の紹介

(4)同上の最新作「故宮VR『紫禁城・天子の宮殿』」を視聴

(5)次回の調査研究事例について検討

第4回(平成 16 年 11 月 17 日)

(1)講演「NHKアーカイブスの概要」

講師:日本放送協会 三沢 善一郎 氏

(2)NHKアーカイブスの施設視察

(3)参考事例(文献)の紹介

(4)次回調査研究事例の検討

第5回(平成 16 年 12 月 15 日)

(1)講演「視聴制御技術『DVD MAGIC』とその応用例」

講師:ヴィジョネア㈱ 内古閑 宏 氏

(2)本年度報告書の記載内容及び執筆分担について討議

(3)次回調査研究事例の検討

(8)

第6回(平成 17 年 1 月 28 日)

(1)講演「㈱エム・ピー・テクノロジーズが提供する映像配信ソリューション」

講師:㈱エム・ピー・テクノロジーズ 吉本 万寿夫 氏

(2)報告書の構成及び執筆内容等について討議

第7回(平成 17 年 2 月 24 日)

(1)報告書原稿の内容等について討議

(2)目次等について検討

第8回(平成 17 年 3 月 10 日)

(1)報告書原稿(第二稿)の内容等につき討議

(2)校正等、今後のスケジュール確認

(9)

第2章 超高精細コンテンツ流通に向けたサービス・技術の概要

2.1 超高精細コンテンツ流通の全体像 2.1.1 超高精細コンテンツ流通の仕組み

光ファイバ等高速通信網の整備、デジタル放送の開始など、情報通信インフラの高度化 が進展する中、その利活用の促進は「e-Japan 戦略Ⅱ」でも大きな課題となっており、コン テンツの制作・流通を促進することは、インフラ活用の有効な方策の一つとして期待され ている。

コンテンツ流通の仕組みは、下図の通り「制作・記録・保存」「配信」「入出力」「利活用」

というフェーズで示され、全体を通じて「コンテンツマネジメント」技術が重要となって いる。また、流通の仕組みにおいては、通信/放送などのネットワークインフラの充実も 不可欠である。もちろん、コンテンツ保存の際には記録媒体の性能、コンテンツ再生時に はコンテンツ入出力機器など、それぞれの技術において関連するハードウェアも存在する。

コンテンツの流通・利活用促進のためには、それぞれの技術の発展が不可欠ではあるが、

特に近年、円滑なコンテンツ権利処理がコンテンツ流通を促進するとして、メタデータや 著作権管理などの「コンテンツマネジメント技術」が、コンテンツをアセットとしてマネ ジメントするための技術として非常に注目されている。

図表 2.1.1-1 コンテンツ流通フェーズ

(5) コンテンツ マネジメント技術

(5) コンテンツ マネジメント技術

(1) コンテンツ 制作・記録・保存技術

(1) コンテンツ

制作・記録・保存技術 (4) コンテンツ

利活用技術 (4) コンテンツ 利活用技術

新映像ジ ャンル

(立体映像、VR等)、

感覚(立体視視覚、

色再現性、立体音響等) 等 情報圧縮技術、

伝送技術(変・復調、

CODEC、暗号化) 等 ハードウェア(制作用)、

ソフトウェア(モ デリング、

オーサリング) 等

メタデータ、著作権管理、

課金、セキュリテ ィ 等

検索、要約生成技術

コンテンツ 記録媒体

コンテンツ 入出力機器 通信/放送

ネットワークインフラ

制作者 利用者

(3)コンテンツ 入出力技術 (3)コンテンツ

入出力技術 (2)コンテンツ

配信技術 (2)コンテンツ 配信技術

(10)

さて、このようなコンテンツ流通のフェーズにどのように事業者が関わっているかを示 したのが以下の図である。コンテンツ流通においては、コンテンツホルダ、コンテンツア グリゲータ、プラットフォーム事業者、コンテンツディストリビュータ等、多くの事業者 が関与する。

コンテンツホルダは、コンテンツを制作する事業者であり、原盤権や版権等の権利を所 有する。コンテンツホルダは、自ら配信を行う場合もあるが、多くはコンテンツディスト ビュータ等に配信を委託する。

コンテンツホルダからコンテンツ配信を受託するのがコンテンツディストリビュータで ある。インターネット接続事業者(ISP)の他、検索ポータルサイト、コンテンツ配信専業 ポータルサイト等が該当する。

プラットフォーム事業者が、コンテンツ配信に必要な諸機能を提供する。大容量コンテ ンツを効率よく配信するCDN(Contents Delivery Network)や著作権管理処理を行うD RM(Digital Rights Management)等が例として挙げられる。

図表 2.1.1-2 コンテンツ流通における事業者と提供サービス

資料:NTT ソフトウェアのコンテンツ流通ソリューション (http://www.ntts.co.jp/ss/tss/csec_sol.html)

これら多くの事業者が参画しているコンテンツ流通フレームの中で、互いにメリットを 得るような形でのコンテンツ流通が望まれている。

(11)

2.1.2 超高精細コンテンツ流通に関わる技術の概要

昨年度は、特にコンテンツマネジメントという観点から各技術の詳細を調査したが、そ の概要と課題について以下に整理する。

2.1.2.1 制作・記録・保存技術

制作技術の一つとしてメタデータが重要である。メタデータの技術としてはほぼ規格体 系として整備されている。課題は複数の規格が存在することと十分な相互関係がまだ考慮 されていないことである。メタデータの実環境での応用という点から、検討が進み各規格 の相互関係が明確にされていく必要がある。記述メタデータに関しては、業界横断の取り 決めが実応用の側面から段階的に統一されていくことが望ましい。メタデータの発生に関 しては、入力の非効率性、利便性のあるメタデータの抽出法にまだ課題が残されている。

また、過去に制作されたコンテンツにはメタデータが存在せず、新たなアセットマネジ メントシステムによる管理が困難であり、新たにメタデータを付与する場合でも、メタデ ータの入力自体に膨大なコストがかかるのが現状である。システムでは完全に対応できな い部分は必ず残されていくので、その部分は人手でカバーしていく、という仕組みが現実 的であると見られる。

記録・保存技術としては、現在、大容量かつ保存性に優れた保存媒体が利用可能である が、これまで長期に渡って制作された大量のコンテンツを保有している場合、その膨大な コンテンツを保存・蓄積している媒体はテープであるケースが多い。今後超高精細コンテ ンツが流通することになれば、コンテンツの効率的デジタル化と大量のデジタルデータを 安定かつ効果的に保存する仕組みを構築するには、さらに技術的、コスト的な進歩が必要 である。また、圧縮技術においては、圧縮や変換効率や劣化防止への取り組みが主である が、保存技術という点では、メディアへの高速アクセス、ピークアクセス時の高可用性と いう課題も指摘されている。

その他、制作技術として採り上げたメタデータにも関連するが、保存・活用する際には、

管理機能の強化(ユーザ設定、アクセス権の設定、複数のアセットの関連づけ、バージョ ン管理、配信先ログ管理)によって、より効率的な保存活用を行うことがアセットマネジ メントシステムの機能を最大限活かすことにつながる。

2.1.2.2 配信技術

ブロードバンドの普及に伴い、コンテンツの配信技術も発達している。著作権管理シス テム・課金システムなどは、既に技術的な課題はクリアされ一般にも普及している。

(12)

元・膨大なデータを効率的に取り込み、また状況に応じて再生することや、データ損失に よるコンテンツ劣化を最小限化させることが課題となっている。

2.1.2.4 利活用技術

利活用技術においては、流通フロー全体でのコピー防止、私的利用と公的利用における 制限のバランス、配信チャネルの多様化への対応、自由度かつ効率性の高い配信機能、多 様な課金方法への柔軟な対応、表示画質向上、ネットワーク上での検索速度向上など、広 い範囲での技術開発課題が挙げられる。また、現状の技術においては、すべてをシステム 化によって解決させることは非常に困難であることから、文字情報や人手が介在すること により、より効果的な表現を行うことが現実的である。

(13)

2.2 超高精細コンテンツ流通を実現する技術

前節ではコンテンツの流通・利活用の促進に不可欠な技術を挙げ概説したが、本節では、

特に超高精細コンテンツ流通の視点で注目すべき技術について、それらが具体的にどのよ うに発展しつつあるか、今後の方向性について調査・検討した内容を記す。

2.2.1 記録・保存技術

今や映像コンテンツのパッケージでの流通は DVD が主流となっている。これはその画質 の良さ、取り扱いの容易さ、大量複製が低コストで可能、と言った点が主な要因と思われ る。しかるに DVD は基本容量 4.7GB、2 層でも 8.5GB であり、これは標準 TV 信号レベルの コンテンツにとっては十分であるが HDTV 信号レベルでは記録時間が十分とれない。最近国 内では BS デジタル放送及び地上デジタル放送でデジタルハイビジョン放送が開始され、HD コンテンツが一般化しつつある。そういう状況に対応して次世代の超高精細コンテンツに まで展開が期待出来る新しい記録媒体が提案されたのでその具体技術概要について説明す る。

2.2.1.1 背景

AV機器のデジタル化の波は、オーディオ(CD)から始まり、DVDやデジタルTVなどの映像 機器にと広がってきた。さらに、HD(High Definition)画像でデジタル化の波は頂点を迎 えた。デジタル映像配信のサービスは、多様化する(図表2.2.1-1)とともにユーザーに多 くの利便性を提供し、AV市場は活況を呈している。

そのような時代の要請に応えるものとして、DVDの次の世代をになうHD記録に対応した光 ディスクとしてHD-DVD 及びBlu-ray Disc(以下、BDと略す)が提案されている。いずれも DVDの赤色レーザ(波長650nm)に対して波長の短い青紫色レーザ(波長405nm)を使って大容 量化を図っている。ここでは一足先に実用化されてすでに市場に供給されている後者(BD) を例にとって、その大容量化及びさらなる超高精細への展開についての技術を説明する。

図表2.2.1-1 多様化するデジタル映像配信サービス

(14)

2.2.1.2 高精細次世代光ディスク

映像のHD化促進には録画・再生機器は必要欠くべからざるものである。それを実現する ものとしてBDフォーマットは開発された。その策定にあたっての基本コンセプトは、

(1)直径12 cmのディスクでデジタル時代の大容量・高転送レートの光ディスクを実現 し、デジタルハイビジョン映像を2時間以上記録できる容量

(2)デジタル放送(データ放送も含め)に親和性の高いフォーマット

(3)セキュリティの高い著作権保護システムの導入

(4)規格のファミリー化で世界を広げる などであった。

BDフォーマットは、これらのすべてに応えるものとなっている。録画時間に関しては、2 層ディスクの導入により、日本のBSデジタル放送を4.5時間録画できることになった。実際 に、最近の大作映画の放送などでは、2時間では収まらないものが珍しくなく、2層ディス クに対する必要性は高まってきている。

HDデジタル放送の録画は、録画機器自身がエンコーディングするセルフエンコーディン グは現時点では困難なため、放送電波で送られてくるビットストリームをそのまま録画す る、いわゆるストリーミング録画の形となる。そこで、放送されるトランスポートストリ ーム(以下TSと略す)の形のままで録画する方式をとった。

2.2.1.3 DVDとの違い

BDでは、ディスク構造をDVDから変えた。記録容量の極大化を狙った結果である。記録密 度を上げるためには、光スポットを小さくすることが最も基本的なアプローチとなる。

光スポットのサイズは光の波長に比例し、収束する対物レンズのNA (Numerical Aperture

(開口数)のことでレンズの分解能を求める指数のこと)に反比例する。図表2.2.1-2 に示 すように、CD・DVD、そしてBDへと、それぞれのアプリケーションに必要とされる容量を実 現するために、レーザの短波長化・対物レンズの高NA化を伴いながらフォーマットは進化 を遂げてきた。対物レンズの高NA化はディスク構造の変化を必要とした。

図表2.2.1-2 フォーマットの進化によるディスク構造の変遷

(15)

対物レンズの高NA化がディスク構造の変化を必要とするのは、以下のような理由による。

光スポットは、光ディスクの透明保護層を透かして収束するが、ディスクが傾くと光スポ ットが収差のために理想的な小ささに絞ることができずに、大きく広がってしまう。この 収差は、対物レンズのNAが大きくなると、NAの3乗に比例して大きくなる。

したがって、むやみにNAを大きくすると、ディスクの傾きを考慮すると、かえって逆効 果になることになる。しかしながら、HD放送を2時間録画するためには23 GB以上の容 量が必要であり、光の波長を405 nmまで短くしてもNAは0.85程度まで大きくする必要があ る。この問題を解決するために、光を透過する透明保護層の厚みを薄くした。

図表2.2.1-3に示すように、透明保護層を透かして光スポットを収束するとき、光スポッ トの収差は透明保護層の厚みに比例する。この収差は、ディスクが傾いたときに、透明保 護層に進入する光線の屈折角に誤差が生じることに起因する。この屈折角の誤差は、ディ スクの傾きに依存するが、保護層の厚みには依存しない。透明保護層が薄くなると、屈折 角誤差が生じた表面から光スポットまでの距離が短くなるので、光スポットの収差による 広がりを小さく抑えることが可能となる。以上のような理由で、BDでは透明保護層を0.1 mm まで薄くした。

図表2.2.1-3 ディスク傾きによる光スポットの収差

2.2.1.4 書換形次世代光ディスク

BDのひとつの特徴に多層ディスクへの対応がある。BDでは、最初からフォーマットとし て多層ディスクに対応できるように設計されている。

(16)

図表2.2.1-4 2層ディスク

図表2.2.1-5に、書換形次世代光ディスクとして、BD-REディスクの主なパラメータを 示した。記録容量は、単層で25 GB、2層で50 GBであり、BSデジタル放送(データストリー ムビットレート:約24Mビット/秒)を単層で2時間以上、2層で4時間以上記録できる。

図表2.2.1-5 BD-REの主なパラメータ

なお再生専用のBD-ROMディスクでは、書換えに関わるところ以外の容量や記録方式など はBD-REと同じである。

2.2.1.5 アプリケーション規格の概要

BD-REのアプリケーション規格では、映像・音声ストリームを格納したファイルの内部フ ォーマットと、その再生を制御するためのデータベースのデータ構造を規定しており、主 に、以下の3種類のファイルを組み合わせて、再生や編集といった機能を提供している。

(17)

① Clip AV Streamファイル:映像・音声データを格納

② Clip Information ファイル: Clip AV Streamの符号化情報やランダムアクセスのた めのテーブルを格納

③ PlayListファイル: 再生順序情報を格納

映像・音声ストリームを格納するClip AV Stream ファイルは、個々に符号化処理された 映像・音声ストリームをMPEGで規定されているTS形式に多重化した構成をもつ。

デジタル放送で受信されるストリームはFull-TSと呼ばれ、複数の番組が1本のMPEG-2 TS に多重化されて送られてくる。この中から、ユーザーが記録したい番組、もしくは視聴し ている番組だけを抜き出したストリームをPartial-TSと呼ぶ。

このPartial-TSをBDに記録する際は、188バイトのTSパケットの到着時刻を正しく復元でき るように、4バイトのATS(Arrival Time Stamp)を付けて、192バイトのsource packetと して記録する。これは、TSパケットのデコーダモデルに合わせて入力タイミングを制御す るためである。アナログ放送/入力から記録する場合にも、記録フォーマットは同じであ る。

プレイリストと呼ばれる再生順序情報には、番組記録時に自動的に生成され Clip AV Stream 全体を指し示す Real PlayList と、ユーザーが好みのシーンを連結した Virtual PlayList との 2 種類がある。Real/Virtual PlayList は、各シーンの再生順序を PlayItem と呼ばれるシーンの連結で記述する。

PlayItem は、1 シーンを MPEG ストリームの時間軸を用いて表し、フレーム単位の高精度 な編集が可能である。

Clip Information ファイルは、Clip AV Stream 毎に生成され、対応する Clip AV Stream 内の映像・音声ストリームの符号化情報や、ランダムアクセスのための EP_map などを格 納している。

EP_mapは、所定の時刻に再生を開始するデータがClip AV Stream ファイルのどこから記 録されているのかを記述したタイムテーブル情報である。

このように、アプリケーション規格では、3種類のファイルを用いて、コンテンツを管理 している。

2.2.1.6 著作権保護

デジタル放送のハイビジョンコンテンツの記録に対応した新たなコンテンツ保護システ ムとして、BD-REディスク用の著作権保護技術CPS for BD-REを開発した。CPS for BD-REで は、暗号のアルゴリズムとしてコンテンツの暗号化には56 bit鍵長のDES(Data Encryption

(18)

なお、BD-ROMディスク対応として新しい著作権保護方式も検討されている。

2.2.1.7 今後の展開

BDフォーマットのファミリーは、書換形のBD-REからスタートした。ファイルシステムは、

レコーダー用途に最適化したものを採用した。また、透明保護層を0.1 mmと薄くした最初 の製品であることから、カートリッジ入りとすることを必須とした。今後は、ファイルシ ステムはPCとの整合性をよくするためにUDFTMを採用し、ディスクはカートリッジをオプシ ョンとすることでベア(裸)ディスクを許容するようにする。さらに、BD-ROM、BD-Rへと 展開することで、BDファミリーが完備されることになる。また、転送レートも標準の36 Mbps から、倍の72 Mbpsへと高められる予定であり、4倍の144 Mbpsも計画されている。

またさらなる大容量化として4層、8層として100GB、200GBの技術も開発が進められて おり、将来は144Mbps、200GBといったディスクがBDシリーズ上に出てくる可能性がある。

こうなると超高精細コンテンツの1つであるスーパーハイビジョンの映像信号記録にも 展開が期待できる。

[参考文献]

1. 奥万寿男他:Blu-ray Discが目指すもの 日経エレクトロニクス2003年3月31日号, p.135.

2. 次世代光ディスク解体新書(日経BP社)pp.21-86(2003).

3. Blu-ray Disc : http://www.blu-raydisc.com/

(19)

2.2.2 配信技術

コンテンツの配信技術は、物理的なネットワークインフラに留まらず、オーサリング技 術、符号化技術、配信サーバ、ネットワーク層より上位のアプリケーションに近い部分や 著作権保護まで含まれ多岐にわたるが、超高精細映像コンテンツという特徴的側面からみ ると、コンテンツの種類によらない日進月歩の種々技術や装置の演算処理速度の向上でカ バーできる技術が多く、主に伝送容量の確保ということが課題として抽出できる。

一方、超高精細映像コンテンツといっても静止画もあれば動画もある。静止画において は、すでにビジネスが存在し、超高精細映像コンテンツの配信技術は確立しており、また 伝送容量などほとんどの技術で動画に包含されるといえる。動画の配信は、大きくダウン ロード型とストリーミング型に分けられるが、伝送容量の大小が大きく影響する。業務用 の配信では、たとえば D-Cinema(Digital Cinema)におけるコンテンツ配信は 300Mbps 程 度に圧縮したダウンロード型である。

伝送容量が十分でない場合、ダウンロード型では長い伝送時間、ストリーミング型では 伝送レートの制限になって表面化する。ダウンロード型は業務用のデータレートの高いコ ンテンツであっても上映までに間に合えばよく、伝送容量の影響は少ない。したがって、

超高精細動画コンテンツのストリーミング配信でかつトラフィックが錯綜しやすい家庭向 けという視点で伝送容量を考えておけば十分である。一般家庭等の末端での伝送レートは、

現状のハイビジョン画質において、デジタル放送の 20Mbps 程度に配信伝送のためのオーバ ヘッド等を加えると 30Mbps 近くに膨れ上がることを考慮し、圧縮技術の進展を加味して、

超高精細映像の伝送レートはオーバヘッドを含めて 2 倍の 60Mbps 程度を想定しておく。

図表 2.2.2-1 60 分のコンテンツの伝送

超高精細映像 実効伝送量 ハイビジョン

30Mbps 60Mbps 備考 30Mbps 60 分 120 分 実時間の倍 ダウンロード

1Gbps 約 2 分 約 4 分 - 30Mbps 1 本 0.5 本 伝送できない ストリーミング

1Gbps 32 本 16 本 -

バックボーン系の伝送容量は、ハイビジョンの伝送など大容量の需要が順調に伸びれば WDM(Wavelength Division Multiplex:光波長分割多重)やフォトニック MPLS(Multi Protocol

(20)

主な課題はアクセス系に絞られる。

2.2.2.1 アクセス系インフラ動向と普及シナリオ

アクセス系といっても、屋外と屋内では違いがある。屋外には、メタル回線を使った ADSL、

光ファイバを使った FTTH、ケーブルテレビ事業者の光ファイバ+同軸、国内では法規制が あり実現していない電力線を使った高速 PLC(Power Line Communication)などがある。こ のうち、FTTH は 200 万世帯を超え急速に普及し始めているインフラで、しかも、伝送容量 が他の方式より大きく実効でも 30~50Mbps ある。ただし、これをもってしても、ハイビジ ョンは伝送できるが、超高精細動画のストリーミング伝送は困難な状況である。FTTH の高 速化が期待される。

図表 2.2.2-2 インターネット加入状況

0 2 4 6 8 10 12 14

1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7

2003年 2004年

百万件

2002年

DSL

CATV FTTH

総務省データより作成

NTT は、WDM を使った通信・映像配信の同時伝送を検討している。3 波を多重し、2 波を 上り下り通信、1 波を映像配信に使う。通信側はいわゆるインターネットアクセスであり、

映像配信側はインターネットと分離することで、トラフィックの影響なく安定的に一定の 帯域を確保できる。帯域が 100Mbps であれはハイビジョン 3 本程度だが、1Gbps であれば 超高精細映像が 16 本程度伝送できる。

(21)

具体的なサービス事例は、第3章を参照されたい。

図表 2.2.2-3 アクセス系インフラ比較 理論伝送容量

(実効は半分以下) 備考

ADSL 下り~50Mbps 上りは低速、局からの距離の影響大、高速化は限界か?

FTTH ~100Mbps より高速な~1Gbps や、波長多重も検討されている CATV ~30Mbps 屋外の光ファイバー化と屋内の高速化が課題

図表 2.2.2-4 WDM を使った映像配信

「通信・放送統合ビジネスの新潮流」を基に作成

一方、屋内は、有線/無線 LAN、法規制のある高速 PLC、アンテナ線を使った C.Link、規 格策定中の UWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)、IEEE1394、などがある。無線系を除け ば、200Mbps 以上が確保され、超高精細動画 2~3 本の同時配信が可能である。また、無線

NTT 局内装置

IP通信

映像配信

超高速インターネット通信

デジタル映像配信

集合住宅 異なる波長の光信号で通信と放送を完全に分離

通信上り 通信下り 映像配信 光波長配置

ITU-T G.983.3準拠

1.26 1.36 1.48 1.50 1.55 1.56 (μm)

100Mbps~1Gbps 双方向通信

放送ハイビジョン:32

(超高精細映像:16本)

宅内装置

STB

(22)

図表 2.2.2-5 有線屋内インフラ比較

規格 理論伝送容量 超高精細映像伝送 Ethernet IEEE802.3 ~1Gbps ◎ 16 本 1394 IEEE1394 ~400Mbps ◎ 6 本 高速 PLC (電力線伝送) ~200Mbps ○ 3 本 C.Link (アンテナ線伝送) ~200Mbps ○ 3 本

図表 2.2.2-6 無線屋内インフラ比較

規格 理論伝送容量 超高精細映像伝送 IEEE802.11a ~54Mbps × ハイビジョン1本 IEEE802.11g ~54Mbps × ハイビジョン1本 無線 LAN

IEEE802.11n※ ~100Mbps △ 1 本のみ UWB IEEE802.15.3※ 100Mbps 以上 ○ 1 本以上

※規格策定中

以上のように屋内の方が一歩進んでおり、すぐにでも配信可能なインフラを整えられる。

まず、ハイビジョンでの配信で需要が喚起され、屋外の伝送容量の需要が逼迫することで、

FTTH などの高速化が進み、その結果として、超高精細動画配信が実現できるインフラが整 うというシナリオが想定される。それまでは、パッケージメディアやダウンロードによる 配信で入手した超高精細動画コンテンツを屋内で配信するようなモデルで普及していくと 考えられる。

2.2.2.2 ホームネットワーク動向と課題

家庭内配信を考える場合、ホームネットワークの概念を外すことはできない。前述のと おり整備されつつある物理的なインフラだけでは、数多くの家庭内機器間の通信はままな らない。複数機器を統合管理しユーザがつなぐだけで認証や設定が自動的にできるホーム ネットワークミドルウェアが必要となる。映像伝送を考慮してこのようなミドルウェアを 最 初 に 標 準 化 し た も の が IEEE1394 ( AV/C ) で あ る 。 HAVi ( Home Audio/Video Interoperability)はこの IEEE1394(AV/C)をベースに大幅に拡張したもので、北米で実 用化されているが多くの製品に普及するまでは至っていない。またマイクロソフトが推進 する UPnP(Universal Plug and Play)もあるが、実用化されているものは PC とその周辺 機器に留まっている。この UPnP をベースに様々な派生が検討されている。代表的なものと して DLNA(Digital Living Network Alliance)がある。

(23)

図表 2.2.2-7 ミドルウエアの互換性

「デジタル情報家電のネットワーク化に関する調査研究会報告書」を基に作成

DLNA は、デジタルコンテンツを家電や PC で共有するために、すでに公開されている業界 標準を組み合わせてガイドラインを策定し、デジタル環境の融合を図ることを目的として いる。

図表 2.2.2-8 情報家電のネットワークを巡る標準化動向

「デジタル情報家電のネットワーク化に関する調査研究会報告書」を基に作成

映像のホームネットワークが普及していない理由として、以下の 3 点

IEEE1394 HAVi UpnP DLNA IEEE1394

HAVi ◎採用物理層

UPnP △共存は可能 △共存は可能

DLNA ×物理層非互換 ×物理層非互換 ◎推奨規格

高速 低速 ミドルウエア規格

制御規格

ネットワーキング 規格

物理規格 有線

無線

DLNA

ITU-T勧告 J.190 AVC UPnP

HAVi

SIP RTP IEC61883 TCP/IP IEEE1394

1000BASE-T 100BASE-TX 10BASE-T 高速PLC/C.Link

IEEE802.11a IEEE802.11g IEEE802.11n

UWB

(24)

たとえば、IEEE1394(AV/C)と DLNA は物理的に互換しないなど歩み寄れないケースもあり、

今後のデファクトスタンダードを見極めていく必要がある。③については、コンテンツホ ルダは1視聴ごとの課金が基本であり、またノード越えをどこまで許すかも場合によって は家庭内から外へ出てしまう危険もあり、家庭内での再配信に慎重である。このような背 景もあり、デジタル放送のコンテンツは無料であってもデジタルコピー制御がかかってお り、むやみに転送できない状況にある。現在はアナログ放送主流なので比較的自由に家庭 内配信が可能だが、すでに DVD などでデジタル化が浸透しているパッケージメディア、2011 年以降全ての放送がデジタル化されると、ほとんどのコンテンツは著作権保護され、自由 に配信できない。

今後のデジタルコンテンツ流通促進のため、さらには、超高精細映像の流通には、家庭 内配信は欠かせないインフラであり、ホームネットワークミドルウエアと DTCP(Digital Transmission Content Protection)、HDCP(High-Bandwidth Digital Content Protection)

などの著作権保護技術の組み合わせによるリーズナブルな仕組みの開発と、権利者の理解 と協調による流通促進が望まれる。

【参考文献】

1.「インターネット接続サービスの利用者数等の推移」総務省情報通信統計データベース http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040930_2.html

2.「詳説 通信・放送統合ビジネスの新潮流」日経 BP 社(2004)

3.「ホームネットワークと情報家電」宅内情報通信・放送高度化フォーラム オーム社 4.「デジタル情報家電のネットワーク化に関する調査研究会報告書」総務省報道資料

http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040827_11.html

(25)

2.2.3 入出力技術

入出力技術の例としてスーパーハイビジョンについて説明する。

NHK は、より臨場感ある将来のテレビシステムの開発を目指し、広視野・大画面映像とマ ルチサウンド技術を用いた映像システムの研究を進めてきたが、「映像と音に包まれた空 間」を実現するシステムを目指して、ハイビジョンの 16 倍の画素数を持つ走査線 4,000 本 級の超高精細映像システム(愛称:スーパーハイビジョン)を開発した。

図表 2.2.3-1 スーパーハイビジョンシステム仕様

項目 ハイビジョン スーパーハイビジョン

有効走査線数 1,080 4,320

水平有効画素数 1,920 7,680 走査フォーマット 飛び越し走査 順次走査

画面アスペクト比 16:9 16:9

フレームレート(Hz) 30 60

図表 2.2.3-2 スーパーハイビジョンシステム構成

テレビシステムは、大きく分けて撮像、記録、伝送、表示から構成されるが、スーパー ハイビジョンはカメラと表示システム(ディスプレイ)の開発を行い、伝送、記録系はデ ジタル技術のメリットを生かし、ハイビジョン機器を並列に使用することにより実現した。

カメラシステムは、約 3,200 万画素の撮像素子が必要となるが、現在ではこれに応える 素子は開発されていないため、新たに開発した 800 万画素 CCD(有効画素数:水平 4,046×

垂直 2,048)を用い、4 板撮像方式により実現した。

(26)

制御器に送られる。

記録系は、ハイビジョン用ハードデスクレコーダーを 16 台並列に動作させて約 18 分の 収録が可能となっている。

ディスプレイ装置は、2 台のプロジェクターユニットを用いて 4 板方式とする手法を開発 した。1 台のプロジェクターで 2 枚のパネルを用いた緑光用映像を投射し、もう 1 台で赤、

青光用映像を投射している。設置位置の異なる 2 台のプロジェクター映像をスクリーン上 で合成するため、映像歪を補正するコンバージェンス補正装置を用いている。

音響設備は、客席で音に包まれた感覚を生む立体音響空間再生と高音質な聴取ができる システムを目指し、22.2 チャンネル音響システムを開発した。本方式は、視聴位置とほぼ 同じ高さの中間層(10 チャンネル)、視聴位置上方(9 チャンネル)、スクリーン下方(3 チ ャンネル)の 3 層に 3 次元配置したスピーカー(合計 22 チャンネル)と、スクリーン下部 に配置した LFE(Low Frequency Effects)用スーパーウーファー(2 チャンネル)で構成 される。こうした配置にすることにより、大スクリーンに合わせた音像の上下移動や観客 席の広範囲な位置での良好な響き感や包まれ感を実現している。

このスーパーハイビジョンシステムは、2005 年 3 月から愛知県で開催される日本国際博 覧会(略称:愛・地球博)で展示されている。

図表 2.2.3-3 22.2 チャンネル音響システム

【参考文献】

1. スーパーハイビジョンシステムの開発 (映画テレビ技術 2004 年 8 月)

(27)

2.2.4 利活用技術

ここでは、利活用技術の中で、最近目立った動きのある検索技術について述べる。

コンテンツを検索する技術はコンテンツ精細度に基本的には依存しない。また、デジタ ルコンテンツにおいては、今後普通に行われると想定される、MPEG7などに代表されるあ らかじめ埋め込んでおいたメタデータを活用した検索も、コンテンツの精細度には依存し ない。ところが、あらかじめ埋め込まれたメタデータは必ずしも検索者にとって有効とは 限らない。このような場合、新たにコンテンツの中から所望の特徴を抽出する必要がある。

NTSC 程度の画質であってもコンシューマ機器の処理能力を考えると映像からの抽出は負荷 が大きく、超高精細ともなると演算量が飛躍的に増大し、ますますハードルは高くなる。

動画においては、映像だけでなく音声も検索のための有力な情報源であり、情報量も映 像に比べて大幅に少なく、今後の情報量の大きな増加も考えにくく、将来にわたって処理 しやすい情報といえる。将来の超高精細映像を検索する技術として、特にコンシューマ機 器においてはこの音声情報の活用がキーになると考えられる。音声の検索技術は、音楽を 対象としたものが多く実用化されている。たとえば、音楽のキー、ビート、コードなどか ら特徴を抽出してフィーリング分けするパイオニアの「HDD サイバーナビ」、曲名の判らな い気になる音楽を聞かせると特徴を抽出し、データベースにある音楽の特徴と相関をとっ て曲名を判定する MTV「Music Finder」などがある。しかし、これらの技術は映像の検索に は直接には役に立たない。

図表 2.2.4-1 KDDI 研究所のハイライト生成方法

・ 音声特徴の利用

観客による歓声レベル

・ 映像特徴の利用

特徴的な画面の抽出 野球の投球 相撲の取組み テニスのラリー ゴルフのパット ・・・

(28)

図表 2.2.4-2 KDDI 研究所のダイジェスト生成方法

MYCOM PC WEB 資料を基に作成

一方、2004 年 4 月に KDDI 研究所の発表した検索技術では、通常行われている映像だけの 検索ではなく、音声の情報も活用して検索精度を向上させており、超高精細映像の検索の 手がかりとなり得るものといえる。 この技術は、ハイライトやダイジェストを自動生成 するもので、スポーツ映像からハイライトを生成する場合と、映画やドキュメンタリー映 像からダイジェストを生成する場合とで方法が異なる。スポーツ映像の場合、音声の特徴 では観客の歓声レベル、映像の特徴では、野球の投球、相撲の取組み、テニスのラリー、

ゴルフのパットなどを抽出してハイライトを生成する。ドキュメンタリーでは、会話か BGM

(効果音)かの判定、映像の特徴では静的な場面(スポーツでは動的な場面)を抽出して ダイジェストを生成する。また、MPEG などの圧縮データの動き情報を活用して、圧縮状態 のままシーン抽出を行い高速化している。

同様な例として、日立製作所のパソコンの録画機能に付属した映像と音声の特徴を抽出 してスポーツ番組ハイライトを生成する「いいとこ観(み)」がある。

音声のみを使った技術としては、三菱電機の音声スペクトラムを解析して「拍手」「歓声」

「音楽」「人の声」「音楽+人の声」などを判別してダイジェストを生成するものがある。

映像と音声の膨大なデータを時間をかけて処理しても万人が満足する 100 点満点のダイジ ェストを生成できないのであれば、音声だけを丁寧に解析して合格点を狙おうというもの で、スポーツ番組では十分な効果が得られるという。さらに他のジャンルも検討されてお り、映像データが膨大となる超高精細映像の検索の方向性を示しているといえる。実現し た技術は、録画時に音声 Dolby AC-3 圧縮時の MDCT(直交変換係数)の傾向をあらかじめ用

・ 音声特徴の利用

音声・会話中心か BGM・効果音中心か

・ 映像特徴の利用

ドキュメンタリー、ロマンスシーン

⇒より静的な場面を抽出 スポーツ、アクションシーン

⇒より動的な場面を抽出

(29)

意したモデルと尤度比較して音声の種類(歓声、拍手、音楽、会話、絶叫音声)を特定、

アナウンサーの絶叫や観衆の大声援が長時間大音量で続く箇所に高い評価値(重要度レベ ル)を与える。再生時には閾値を越えた重要度レベルを持つ箇所のみを連続再生(ダイジ ェスト再生)、あるいはハイライト箇所の手動検索を実現するものである。

図表 2.2.4-3 三菱電機のダイジェスト生成方法

IEEE/ICCE2005 資料を基に作成

このような技術は、配信するコンテンツのメタデータの生成にも活用でき、ハイライト 再生やダイジェスト再生が技術的には可能になると考えられるが、一方でコンテンツの改 編やその幇助にもつながり著作権関連の課題を引きずっているといえる。いずれにしても、

検索者の望むメタデータの充実は今後も重要な課題といえるが、ここで紹介した音声など、

映像にとどまらない情報の活用によって、より有効な検索方法を視聴者に提供する技術開 発は今後も進歩していくと考えられる。

再生時間 重要度

High

Low

スライス レベル

ユーザ 設定可能

再生 再生 再生・・・

手動サーチ,スキップ

自動スキップ

ハイライト 検索機能

ダイジェスト 再生機能

ハイライト ハイライト

(30)

【参考文献】

1.「映像から自動でハイライト・ダイジェスト生成、KDDI が開発」MYCOM PC WEB http://pcweb.mycom.co.jp/news/2004/04/08/014.html

2.録画した TV 番組のハイライトシーンだけを早見できる<いいとこ観(み)>機能を新搭 載

http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/01/0107.html

3."A Highlight Scene Detection and Video Summarization System using Audio Feature for a Personal Video Recorder", IEEE/ICCE2005,2005-01-11, Las Vegas

(31)

第3章 超高精細コンテンツ流通のためのトータルソリューション事例

近年におけるブロードバンドインターネットの急速な普及は、高精細コンテンツ流通(将 来的には超高精細コンテンツ流通)の進展に今後大きな影響をもたらすものと期待される。

本章では、このようなネットワークインフラの発展を背景に、種々の技術、仕組みと組 み合わせ、コンテンツ流通のためトータルなソリューションを展開しようとしている幾つ かのサービス等の事例を取り上げ、紹介を行う。

なお、本章の内容は、3.1、3.3、3.4 の各節については委員会で実施した講演に基づい ている。また、3.2 節の「NHKアーカイブス」の部分については講演と現地調査を行っ た内容を含めており、3.6 及び 3.7 節はヒアリング調査を基にしている。

3.1 コンテンツ配信サービス「Bitway」

3.1.1 はじめに

これまで凸版印刷は、さまざまな形でコンテンツビジネス、ネットワークビジネスに携 わってきた。1994 年 10 月に立ち上げた日本初の企業集合型モール「サイバーパブリッシ ングジャパン」をはじめとして、インフラ環境を提供するホスティングサービス「TOPICA」、

エンターテイメント的な 3D チャットスペース構築サービス「GLOBE WARP」、さらには様々 な企業とのパートナーシップによる新しいビジネスとして、(株)東芝、(株)電通と協同 で 1998 年 12 月に設立した検索エンジンサイト「フレッシュアイ」、地図データベースの検 索サービス「マピオン」、国内外の美術品のデジタルアーカイブ「イメージモールジャパン」、

雑誌『ぴあ』の情報ソースをデジタル化して提供する「ぴあデジタルコミュニケーション 株式会社」等を展開してきた。こうした土壌の中で「Bitway」というサービスは誕生した。

3.1.2 Bitway 事業とは

「Bitway」が提供するサービスは、簡単に言えば、電子化された情報をインターネット を通じてエンドユーザーに販売するというものである。トッパンが様々なコンテンツビジ ネスに取り組む中で、デジタルコンテンツの制作者からは、コンテンツビジネスには多大 な運営費がかかるにも関わらずお金にならないという話を聞いていた。また ISP 各社の担 当者からは、今後は有料コンテンツの配信が有望だろうという話もあった。それならばト ッパンがコンテンツ制作者のエージェントになり、コンテンツの販売サービスを行えば、

ビジネスチャンスになるだろうと考えたのが「Bitway」である。

(32)

図表 3.1.2-1 Bitway の概念

・ 事 業 開 始 時 期 : 1999 年 10 月 Bitway 事業スタート

・ 月 間 販 売 実 績 : 月間 20 万件突破(2004 年 3 月末現在)

・ 取 扱 コ ン テ ン ツ : 150 社以上・40,000 アイテム

・ ビジネスモデル特許取得 : 2003 年 7 月

3.1.2.1 Bitway 事業の基本モデル

当時(1999 年 10 月)、パソコン向けのコンテンツ販売サービスを開始とした Bitway は、

通信インフラの発展や新たなプラットフォームの登場など、時代の変化に敏感に反応し、

2001 年 11 月には PDA 向けコンテンツ販売サービス「@irBitway」、2003 年 4 月に携帯電話 向けコンテンツ販売サービス「HandyBitway」を開始した。

これらマルチプラットフォーム展開により、多種多様のコンテンツを幅広いユーザー層 に販売可能なビジネスモデルを確立した。(図表 3.1.2-2)

図表 3.1.2-2 Bitway のマルチプラットフォーム展開

(33)

3.1.2.2 ビジネスモデル特許の取得

デジタルコンテンツビジネスが活発化することは Bitway 事業にとって重要なテーマで ある。安全で安定したサービス提供により、一層の市場発展を目的に 2000 年 10 月にビジ ネスモデル特許の出願を行った。そして 2003 年 7 月、ビジネスモデル特許を取得すること となった。(録番号:3428979 号、登録日:2003 年 3 月 24 日、登録公報:平成 2003 年7月)

権利の対象は、「1.有料コンテンツを仲介して配信している Bitway のような有料コン テンツ流通企業」、「2.有料コンテンツの流通を行う企業の窓口を行っている販売チャネ ル」である。その権利内容は大きく2つで説明され、複数の販売チャネルでの認証と、「ア クセスキー」と呼ばれる当社が独自に開発したコンテンツ配信機能となっている。

現在このビジネスモデル特許は PC コンテンツ販売サービスで実用稼動中である。今後 様々なプラットフォームへの展開も視野に入れ、技術検討を行っていく。

3.1.3 『通信』その方向性と課題

3.1.3.1 通信事業の縮図と Bitway 事業の相関

自由化から 20 年が経とうとする通信業界。数多くの新規参入や外資の買収攻勢を経験し、

現在は NTT、KDDI、ボーダフォン、ソフトバンクの 4 大グループと、電力会社系の企業連 合、それに独自のサービスを手がけるベンチャー企業群に集約が進んだ。Bitway 事業も通 信業界の変化を捉えつつ、事業検討・拡大を進めてきた。(図表 3.1.3-1)

図表 3.1.3-1 通信環境の推移

(34)

3.1.3.2 主役に躍り出る携帯とブロードバンドについて

携帯電話の爆発的な普及はもちろん、ブロードバンドへの移行もすさまじいスピードで 推移している。(図表 3.1.3-2)

2004 年 7 月現在、ADSL、FTTH、CATV の合計加入者数は 1,700 万回線と言われている。ADSL の比率はその 4 分の 3 で圧倒的なシェアである。しかし近年、ブロードバンドの本命と言 われる光ファイバー(FTTH)の普及が顕著で、月間加入者増加数の推移では、FTTH が ADSL を急速に追い上げてきている。(図表 3.1.3-3)

3.1.3.3 ブロードバンド市場の方向性

日本のブロードバンド市場は ADSL の普及が牽引してきたことは事実だ。しかし 2004 年

10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0

(万契約)

97 98 99 00 01 02 03 04 9月

携帯電話 固定電話

ブロードバンド

注:ブロードバン ドはADSL、光ファ イバー、CATVインターネットの 合計

10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0

(万契約)

97 98 99 00 01 02 03 04 9月

97 98 99 00 01 02 03 04 9月

携帯電話 固定電話

ブロードバンド

注:ブロードバン ドはADSL、光ファ イバー、CATVインターネットの 合計

図表 3.1.3-2 分野別加入契約者数の推移

図表 3.1.3-3 月間加入者数の推移

出所:週刊東洋経済

出所:週刊東洋経済

(35)

に入ってからは明らかに FTTH がブロードバンド市場の主役の座をうかがう状況である。そ の理由は ADSL より大幅に高かった FTTH 料金が利用方法によっては同等か、それ以下の水 準に低下したことが起因していると推測する。(図表 3.1.3-4)さらに FTTH 加入者の多く が ADSL からの乗り換え組みである。これは高速でネットに接続可能である点、ADSL と違 い受信と送信で通信速度が変わらない点などの理由があげられる。

以上のことからも、ADSL から FTTH への転換期が始まっており、ブロードバンド業者は 下記のさらなる競争力の強化が課題と言える。

① TTH 接続料金の低価格化

② IP 電話などに代表されるコミュニケーションサービスの充実

③ テレビやビデオオンデマンド放送等のコンテンツサービスの充実

ユーザーに対してこれらのサービスを包括的に提供できるかがポイントと考えられる。

3.1.3.4 FTTH へ向けた各社の戦略 1)ソフトバンク

地上波テレビをきっかけにコンテンツに引き込む

・ 光接続「ギガビービー」に「GE-PON」の技術を活用

・ 無線 TVBOX の提供

・ ブロードバンド向け放送「BBTV」を配信(VOD:4,700 本)

・ ネットワークハードディスク(HD)の利用提唱

・ IP 電話の積極提供 NTT東日本 ソフトバンク KDDI

有線ブロードネットワークス ケイ・オプティコム

東京電力

5,880円 7,234円

5,985円 5,000円 6,930円

3,045円 4,515円 4,095円

2,980円 4,074円 4,515円

マン ショ ン向け FTTHを 使 ったネット 接続サ ービス料 金 一戸建て

NTT東日本 ソフトバンク KDDI

有線ブロードネットワークス ケイ・オプティコム

東京電力

5,880円 7,234円

5,985円 5,000円 6,930円

3,045円 4,515円 4,095円

2,980円 4,074円 4,515円

マン ショ ン向け FTTHを 使 ったネット 接続サ ービス料 金 一戸建て

図表 3.1.3-4 FTTH を使った接続サービス料金

出所:週刊東洋経済

(36)

図表 3.1.3-5 ソフトバンクのユーザー誘致戦略

2)KDDI

ホームゲートウェイで多面展開を狙う(ネット・電話・テレビの 3 点セット)

・ 基幹回線に音声とデータを統合した CDN を構築

・ 30 の多目的チャンネルテレビ放送

・ カラオケや VOD(2,000 本)のコンテンツサービス

・ 既存電話とセットの割引戦略

・ ホームゲートウェイを中心にサービス追加を模索

図表 3.1.3-6 KDDI はホームゲートウェイで多面展開を狙う

3)NTT

光ファイバーに本腰

・ 光ファイバー=ネット接続の固定観念を打破

・ テレビ電話「フレッツフォン」の発表(IP 電話含む)

・ 多チャンネルビデオ配信「4th MEDIA」

出所:週刊東洋経済

出所:週刊東洋経済

(37)

・ 「GE-PON」の卸売りメニューを発表

・ 2010 年までに 3,000 万回線の光ファイバー敷設を目標

4)電力/有線ブロード

総合力を生かす東京電力、価格破壊の関西電力/有線ブロードネットワークス

・ 東京電力

:「TEPCO ひかり」への資源集中

:100 メガビット bps の通信速度を上下線で実現

:「ひかり de DVD」の試行サービス開始

・ 関西電力(ケイ・オプティコム)

:2004 年 8 月に現行の 2 割以上の値下げを断行

・ 有線ブロードネットワークス

:大都市マンション市場に特化した価格訴求

:大手レコード会社映画配給会社の買収によるコンテンツ強化

図表 3.1.3-7 「ひかり de DVD」サービスイメージ

フレッツフォン フレッツフォン

光ファイバー

DVDに直接録画 コンテンツ配信サーバ

コンテンツ

光ファイバー

DVDに直接録画 コンテンツ配信サーバ

コンテンツ

出所:週刊東洋経済 出所:NTTホームページ、4thメディアホームページ

(38)

メリットのあるサービスを提供できるか?通信インフラとデジタルコンテンツは相乗し合 うことで新たな市場形成のきっかけとなると考えられる。

「デジタルコンテンツ」にイメージされる固定観念も払拭していくことが重要である。

通信インフラの発達はこれまで参入障壁となっていた問題を解消することも期待される。

物販、サービス販売等「EC」の様々なビジネスプラットフォームを総合的に模索していく ことが、結果的にデジタルコンテンツが社会一般に啓蒙され受け入れられることにつなが ると考えられる。

しかし、各事業者が積極的に参入しデジタルコンテンツ市場を活性化していくためには 何が求められているのだろうか?さらに事業者主体ではなく、ユーザーにとって真にメリ ットのあるサービス提供のあり方とは何だろうか?その課題となる重点項目を幾つか列挙 する。

課題:

① デジタルコンテンツの存在=告知・啓蒙

② 「便利」「楽しい」「役立つ」etc お金を払っても利用したい というユーザー意 識の開拓

③ 安定した通信品質による、利便性の向上

④ インターフェースや各種仕様、規格の共通化・標準化

⑤ 様々なプラットフォーム同士の連携(PC、携帯端末、家電)

⑥ 制作コストの解消と効率的な利益回収モデルの研究と検証

⑦ 著作権、肖像権など権利保護の徹底

⑧ コンテンツ市場全体の健全な育成を目的とした支援プログラムの検討

上記課題を真摯に受け止め、解決方法を見出していかなければならない。

難航な課題ばかりだが、ユーザーにとってデジタルコンテンツを利用することが「電話 をかける」「テレビを見る」「雑誌を読む」と同じくらい当たり前な“文化・社会”を形成 していくための基礎を築いていかなければならない。

3.1.4 ユビキタスと超高精細コンテンツ 3.1.4.1 ユビキタスとは

ユビキタス(Ubiquitous)= ラテン語で“いたるところにある、遍在する”

ユビキタスコンピューティングの概念は、1980 年代後半に米ゼロックス社のマーク・ワ イザー氏によって提唱された。生活や社会の至る所にコンピュータが存在し、コンピュー タ同士が自律的に連携して動作することにより、人間の生活を強力にバックアップする情 報環境を意味する。現在、日本では携帯電話を始めとした小型情報端末の進化・普及に伴

(39)

い、どこからでもコンピュータを利用できる環境が整いつつある。

ユビキタス社会の実現には、携帯端末と常時接続とブロードバンドがキーワードと言わ れている。しかしこれらの要素だけではユビキタス社会は実現しない。子供や高齢者でも 簡単に使える、コンピュータだと気付かないような仕様が求められている。

3.1.4.2 5 つの技術によるユビキタスネットワーク

理想的なユビキタス社会を実現するうえで、これら 5 つの技術による社会的インフラの 構築が重要と考えられる。(図表 3.1.4-1)

① ブロードバンドにより、動画を用いた情報量豊かなコミュニケーション

② 携帯(モバイル)端末等を利用することにより、いつでも、どこでもを実現

③ 常時接続により、リアルタイム性やプッシュ機能がフル活用できる

④ バリヤフリー・インターフェースにより、子供や高齢者も簡単に利用可能

⑤ IPv6 の採用により、ID を持てる端末の数が大幅に増加

3.1.4.3 ユビキタスネットワークがもたらす超高精細コンテンツ流通モデル 図表 3.1.4-1 ユビキタスネットワークの概念図

出所:「ユビキタスネットワークと市場創造」「ユビキタスネットワークと新社会システム」

図表 2.1.1-2  コンテンツ流通における事業者と提供サービス
図表 2.2.2-5  有線屋内インフラ比較  規格  理論伝送容量  超高精細映像伝送  Ethernet  IEEE802.3  ~1Gbps  ◎  16 本  1394  IEEE1394  ~400Mbps  ◎    6 本  高速 PLC  (電力線伝送)  ~200Mbps  ○    3 本  C.Link  (アンテナ線伝送) ~200Mbps  ○    3 本  図表 2.2.2-6  無線屋内インフラ比較  規格  理論伝送容量  超高精細映像伝送  IEEE802.11a  ~5
図表 2.2.2-7  ミドルウエアの互換性  「デジタル情報家電のネットワーク化に関する調査研究会報告書」を基に作成  DLNA は、デジタルコンテンツを家電や PC で共有するために、すでに公開されている業界 標準を組み合わせてガイドラインを策定し、デジタル環境の融合を図ることを目的として いる。  図表 2.2.2-8  情報家電のネットワークを巡る標準化動向  「デジタル情報家電のネットワーク化に関する調査研究会報告書」を基に作成  映像のホームネットワークが普及していない理由として、以下の 3 点
図表 2.2.4-2   KDDI 研究所のダイジェスト生成方法  MYCOM PC WEB 資料を基に作成  一方、2004 年 4 月に KDDI 研究所の発表した検索技術では、通常行われている映像だけの 検索ではなく、音声の情報も活用して検索精度を向上させており、超高精細映像の検索の 手がかりとなり得るものといえる。  この技術は、ハイライトやダイジェストを自動生成 するもので、スポーツ映像からハイライトを生成する場合と、映画やドキュメンタリー映 像からダイジェストを生成する場合とで方法が異なる。スポ
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通関業者全体の「窓口相談」に対する評価については、 「①相談までの待ち時間」を除く