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入院検診により患者の身体症状に対する不安を改善した一例

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Academic year: 2021

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A. 研究目的

昭和 63 年から正式なスモン研究班の活動として実 施されているスモン患者検診であるが、 現在 2,000 人 近くいるスモン患者の平均年齢は 80 歳を超え、 高齢 化が進んでいる。 スモン研究班が行った検診では 90

%以上が身体的合併症を抱えていたとされ、 スモン患 者が抱える問題の複雑化・多様化が示唆された。 十分 な時間をかけた入院検診が、 合併症状の改善に有用で あった一例を経験したので報告する。

B. 研究方法

当院でスモン検診を入院で行い、 身体症状および不 安を有効に改善した一例を通し、 スモン患者の身体合 併症の多様性について考察した。 また 2007 年 1 月か ら 2016 年 12 月の期間に、 当院へ入院したスモン患者 について、 電子カルテ MegaOak を用いて後方視的に 検討した。

C. 研究結果

「症例」

(年齢・性別) 73 歳 女性

(既往歴) 虫垂炎、 肝炎、 胆嚢炎、 子宮筋腫、 緑内障、

白内障、 高血圧

(生活歴) 独居。 屋内つたい歩きレベルの ADL。

(現病歴・生活歴) 25 歳時にスモンを発症、 以降両 下肢の痺れ感が続き、 下痢、 腹痛、 便秘の消化器症状 も持続していた。 毎年スモン検診を受けていたが、 異 常は指摘されなかった。 64 歳時に腹痛が強く救急搬

送され、 腸閉塞と結腸癌と診断された。 手術により完 治したが、 検診への不信、 不安が強くなり一時スモン 検診を中断した。 70 歳頃から腹痛が再び強くなり、

内視鏡検査や PET 検査を受けるも異常を指摘されな かった。 73 歳時に便秘・下痢と腹痛症状の増悪があ り、 腹部精査および加療方針について、 検診での検索 を希望され当院へ入院した。

(一般身体所見) 151 cm 45 kg 両下腿浮腫あり (神経学的所見) 意識清明。 右優位上肢、 下肢で軽度 筋力低下し左右差なし。 腱反射はアキレス腱反射のみ 消失。 両下肢振動覚を認め、 臀部から両下肢にかけて しびれ感を認める。

(入院経過) 一般採血、 便潜血、 腹部レントゲン、 腫 瘍マーカー、 腹部単純 CT による検索を行った。 一般 採血は正常、 便潜血は 2 回陰性、 腹部レントゲンでは 異常所見なく、 腫瘍マーカーは陰性で大腸癌再発を疑 う所見は認めなかった。 腹部単純 CT 検査では多量の 便塊貯留と腹腔鼠を認めたが、 他に腹痛を来す器質的 病変の存在を認めなかった。 以上の検索から器質的病 変は認めないとの結論に至った。 検査結果はその都度 病室で説明を行い、 不安の解消に努めた。 並行して過 敏性腸症候群として排便コントロールを行い、 腹部症 状への有効な介入が行えた。 排便コントロールは看護 師とも連携した。 緩下剤、 坐薬、 浣腸を試し本人の希 望を聞きながら対症療法を行った。 最終的に緩下剤の 定期内服と、 週 1 回程度の浣腸を行う方針として退院 した。 入院中は理学療法、 作業療法によるリハビリテー ションを行い、 ADL 維持に努めた。

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入院検診により患者の身体症状に対する不安を改善した一例

狭間 敬憲 (大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科) 竹内恵里子 (大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科) 澤田 甚一 (大阪府立急性期・総合医療センター 神経内科) 野正 佳奈 (大阪難病医療情報センター)

樫山優美子 (大阪難病医療情報センター) 平井 幸枝 (大阪難病医療情報センター)

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「検討」

電子カルテ記録では、 2007 年 1 月から 2016 年 12 月 の期間に当院へ入院したスモン患者は延べ 37 人であっ た。 うち男性 1 人、 女性 36 人であった。 平均年齢は 85.7 歳であった。 検査入院が 16 例、 治療入院が 21 例 であり検査入院のうちスモン検診としての入院は 4 例 であった。 検査入院の内訳は、 消化管疾患が 8 例、 心 血管疾患が 3 例、 脳血管疾患が 2 例、 精神疾患が 3 例 であった。 消化管疾患で入院した例のうち、 約 85%

は大腸内視鏡検査目的の入院であった。 治療入院例の 入院目的は多様であり、 白内障手術、 冠動脈カテーテ ル治療、 悪性腫瘍に対する外科手術や化学療法、 整形 外科手術、 歯科治療、 代謝異常・感染症の治療、 リハ ビリテーリョンなどであった。

D. 考察

飯田らの行った研究で、 スモン検診参加者の合併症 は全体で 91.3%にのぼると報告されている。 なかでも 白内障、 高血圧に次いで消化管疾患は多く 23.2%にの ぼる。 本例では、 過去に大腸癌から腸閉塞を発症して おり、 毎年スモン検診を受けていたが指摘されなかっ たことが患者にとって検診への不安につながっていた。

当院におけるスモン患者の入院内容を後方視的に検討 すると、 検査入院では消化管疾患精査を要する患者の 割合が多いことがわかった。 一方、 治療に関しては手 術や精神薬調整、 リハビリなど多様であった。 高齢化 に伴い合併症の多様化が進むなかで、 スモン患者の疾 患把握は複雑化していると考えられる。 スモン患者に おいては、 身体症状に対し強い不安感を伴うことが多 く、 時間をかけた不安の傾聴および身体合併症の検索 に入院検査が有用である。 本症例では入院検診によっ て、 身体疾患の検索を優先し、 不安を解消しながら対 症療法を行うことで、 有効な検診入院が行えたと考え た。

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