経営学の概要
第1回目(4/23): 経済学の系譜概略: プリントを配布して、アダム・スミスから今日に至る約 200 年余りの経済学の系譜を概観した。
・ ポイント:・・・ 「経営学」は、発展の歴史も、研究対象・研究方法も、「経済学」とは異なる学問領域である。
⇒ 今後の講義を通じて、約 100 年程前から「経営学」が必要になり、現在でも必要とされる理由を理解していただく。
※経済学は「社会科学の先輩」、「経営学の隣接領域」である。ただし、「経済学」が、市場や企業を取り巻く経済環境を扱っているからといって、
「経営学」をその一部として含んでいる訳ではない。
我々は、経営学固有の問題意識を持ち、「経済学」とは一線を画す学問領域で勉強しているという自覚を持つことが大切だ。
第2回目(4/30): 経営学の概要: <第1章 経営学の位置づけ 1 経営学とは>に、目を通した。
・ ポイント:・・・ 「経営学」は、企業経営という現象を実際的かつ多面的に研究する分野である
⇒ 「経営学」には、普遍的な原理に基づく体系がない → マネジメント・セオリー・ジャングル(by ハロルド・クーンツ)と評された
※ 補足: H.クーンツは著書『経営の統一理論』(1964)にて、経営管理の学説を以下の 6 つに分類している。
1.管理過程学派(普遍学派):経営管理を「組織を構成する人々に、あることをしてもらう過程」と捉え、そのための
管理の諸原則を明らかにする。
2.経験学派: 経営管理に関する事例研究(ケーススタディ)を通じて、最も有効な経営管理技法を構築する。
3.人間行動学派: 経営には多くの人々が関わっていることに着目し、構成員・関係者の行動や相互関係を研究する。
・・・ 行動科学や人間関係論など、心理学的アプローチ。
4.社会システム学派: 経営管理を人やその行動からなる一つの社会システムと捉え、社会学的見地から研究する。
・・・人間的側面を重視することから、人間行動学派と共通する点を持つ。C.I.バーナードに代表される。
5.数理学派: 数学や統計学、計測可能なデータなどを駆使して、数理的アプローチから経営管理を把握しようとする。
・・・そのための手段として代表的なものにオペレーションズ・リサーチがある。この学派の研究は経営科学とも言われる。
6.意思決定学派: 企業内の意思決定システムを研究し、合理的な意思決定を行うにはどうすべきかを追究する。
H.A.サイモンに代表される。
経営管理論の入門的な理解では、経営の資源: ヒト・モノ・カネ・チエ(情報) の管理対象別に個別理論体系が設定されている。
ヒト:人的資源の管理・・・人事管理論、労務管理論
カネ:資金や資本の管理・・・財務管理論、財務会計
モノ:物的資源管理・・・生産管理論、物流管理論、購買管理論
チエ:情報資源の管理・・・情報管理論、経営情報論
また、管理対象別とは異なる視点から、企業活動を分析する研究領域として、
●経営組織論・・・意思決定や組織のあり方をテーマ ●経営戦略論・・・企業の外部環境への適応
●マーケティング論・市場戦略論・・・企業と市場の接点に関する研究 ●国際経営論・・・国際的な企業経営について
●経営史・・・個別企業の経営を歴史的に研究 ●経営学史・・・経営学理論発展の歴史について
・・・経営学部が設置されている我が国の大学では、概ね上記のような科目を置いて授業がなされている。
学際的(インターディスシプリナリー)・アプローチ: 様々な隣接分野の研究成果を活用して、多元的に企業経営という 現象を見ている。隣接科学から影響を受けて、経営学に取り込まれたもの。
(・・・図表 1-2 参照。教科書にある代表的なものの名称だけ挙げて、内容には触れない) (1) 形式科学から:
・数学 ・・・ オペレーションズ・リサーチ → 経営科学: 数理計画法(LP、DP など)、待ち行列理論
・確率統計・・・経営統計、統計的品質管理、多変量解析(回帰分析、因子分析)
・コンピュータ・・・膨大な計算能力の活用、非解析的な関数の計算、シミュレーション
(2) 生物学・生態学から: カオス、パラダイム論、シナジー効果、コンティンジェンシー理論、システム理論、進化論的アプローチ (3) 経済学や社会学から: マネジリアル・エコノミックス、人間関係論、産業社会学、経営社会学
(4) 会計学から:経営分析、財務分析 (5) 心理学から: 労働心理学、社会心理学、産業心理学