学 位 論 文 審 査 の 概 要
博士の専攻分野の名称 博士(医 学) 氏 名 髙橋 邦彦
主査 教授 久下 裕司
審査担当者 副査 教授 岩崎 倫政
副査 教授 安田 和則
副査 教授 生駒 一憲
学 位 論 文 題 名
In Vivo Imaging of Particle-Induced Inflammation and Osteolysis in the Calvariae of
NFκB/Luciferase Transgenic Mice
(NFκB/Luciferase トランスジェニックマウスを用いた
磨耗粉誘発性骨溶解の in vivo イメージング)
人工関節置換後における微粒子誘発性骨溶解の治療は大きな臨床課題である。申請者はNFκB に着目し、NFκB/ルシフェラーゼトランスジェニックマウスを用いることによって、微粒子誘 発性溶解モデルにおける骨吸収を in vivo 光イメージングにより評価する手法を開発するための 基礎研究を行なった。
このマウスの頭頂骨表面にポリエチレン粉を埋植した後、IVISイメージングシステムを用いて 発光量を10日間にわたってin vivo計測した。その後、発光量と破骨細胞および骨吸収(非脱灰 標本)、ルシフェラーゼ活性、NFκB および骨吸収関連遺伝子発現との相関性を検討した。その 結果、埋植マウスでの発光量は埋植量依存性を持って経時的に増加し7日目でピークに達した。 発光量とルシフェラーゼ活性、NFκB、TNF-α、RANKL、IL-1β、COX-2の mRNA発現量、 破骨細胞数や骨吸収面積との間に有意の正の相関を認めた。
口頭発表の後、3副査から埋植ポリエチレン粉の分布、頭蓋骨と関節との差異、摩耗粉との形
状の差異と効果、1週以後の発光量に影響を与える因子、臨床応用の方向性、等ついて質問があ
った。主査はルシフェラーゼ量と発光量の相関に不均一性が存在する理由、NFκBを微粒子誘発 性溶解の指標に選んだ理由、等について質問を行った。いずれの質問に対しても申請者は、自己
の研究結果と文献的考察に基づいて概ね妥当な回答を行った。
本研究はNFκB/ルシフェラーゼトランスジェニックマウスを用いることによって、頭頂骨 におけるポリエチレン粉誘発性骨融解を in vivo 光イメージングにより検出することが可能であ ることを初めて報告し、またこのモデルが微粒子誘発性骨溶解に対する種々の治療効果を評価す
るために有用な評価系になり得る可能性を示して国際的に高い評価を得た。審査員一同は、これ