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<新所員研究紹介>正犯とは何かを問いつつ

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Academic year: 2021

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1963年に発表されたクラウス・ロクシンの『正犯性と行為支配』1)が版を重ね,ドイツ 刑法学における地位を築きつつあった。  行為支配論は,正犯を行為支配概念に基づいて統一的に基礎づける理論であったか ら,ドイツ同様,単独(直接)正犯・間接正犯・共同正犯を正犯の 3 形態として認める 日本刑法学にとっても,この理論を基本的思考として採用する意義があると思われた。 行為支配という概念自体は,つとに目的的行為論(finale Handlungslehre)の立場から する「目的的行為支配」として日本でも紹介されてはいた。目的的行為論というのは, 人間の行為を外形的な身体の動静そのものと把握する見解を因果的行為論と呼んで批 判し,ほかならぬ人の「しわざ」としての行為は,人間の主観と客観的動静との不可分 の意味に満ちた統一体であると主張する見解2)である。しかし,目的的行為論自体が 少数説にとどまったことと,そして何より「行為支配」の内容が不明確であることな どが批判されたため,行為支配論が日本刑法学で主要な学説となることはなかった。 そのような事情は,目的的行為論に立脚しないロクシンの著書が紹介された後におい ても,基本的に同様であった。

2 「行為支配」をめぐる考察

 わたくしの行為支配論研究は,紀要に発表3)された後,専修大学法学部の日髙義博 教授(当時)にご紹介4)をいただくことができた。後に勤務校から出版助成を受け,大 幅に改稿したうえ,若干の他論文の内容を補足して,初めての単著5)として刊行がか ない,これにより学位(論文博士)を得た。正犯概念を根拠づけ,概念を画するものと して,行為支配に基づく理論を全面的に展開し主張した研究書は,我が国では初めて といってよいと思う。拙い研究ではあるが,日本で行為支配論に基づく正犯理論学説 (以下,「行為支配説」という)がひとつの立場として認められるための踏み台にでもな れていたとすれば幸いである。

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参照

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問題集については P28 をご参照ください。 (P28 以外は発行されておりませんので、ご了承く ださい。)

( 同様に、行為者には、一つの生命侵害の認識しか認められないため、一つの故意犯しか認められないことになると思われる。

ぎり︑第三文の効力について疑問を唱えるものは見当たらないのは︑実質的には右のような理由によるものと思われ

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