1.ケースの背景
中国人寿保険会社は中国人寿保険グループの中核企業として,中国の生命保険市場において第 一位のシェアを占めている国営の保険会社である。人寿保険衢州支社は,中国人寿保険会社の衢 州市地域を担当するために置かれた支社である。2013 年,衢州支社での生命保険の収入は 7.28 億元に達した。その中で 7 割以上の業績は保険代理社員があげたものである。その一方で,衢州 支社では保険代理社員の離職率が高く,それに応じて代理社員全体の資質も向上しないという問 題を抱えている。この問題への対処方法を,人寿保険衢州支社の人事制度を中心に議論する。こ の問題を議論するために,ケースには,次の事項が含まれる。
中国保険業界の概況
衢州市保険業界と人材市場の概況
人寿保険会社の正社員と代理社員のマネジメント上の問題点 人寿保険衢州支社の人事システム
人寿保険衢州支社のマネジメントや人事施策についての管理層や社員,代理社員の意見 人寿保険衢州支社の今後の課題と展望
なお,ケース作成に当たり,マネジメント側の意見と現場社員の双方の意見をケースに反映さ せるため,人寿保険衢州支社社内の総経理,部門経理,一般社員,代理社員を対象にインタビュー を行った。
2.ケーススタディの意図
本ケースの対象企業は中国の生命保険市場でシェアを一位に占めている中国人寿保険会社の支 社である。中国の改革開放以来 30 年,保険事業を発展させてきた国系の保険会社である。また,
2020 年までに,中国国務院から,中国の国民保険深度を 5.0%にし,なおかつ保険密度を 3,500 元/人にするように目標を定められた。これを達成するためには,保険代理社員に大きな役割が 求められる。ただし,保険代理社員には「離職率が高い,能力およびモチベーションが低い」と いった問題が存在する。保険事業をうまく発展させ,なおかつ 2020 年の国務院の目標を達成す るためには,代理社員の問題を解決する必要がある。具体的には代理社員の定着率を高め,かつ,
代理社員の資質を向上させることである。そのためにはどのような人材マネジメントを行うこと が適切であるのか,社内の正社員の人事制度を参考にしながら,人材マネジメントや組織行動論 の視点を踏まえて議論し,考えることを目的とする。
3.ケース討論のための設問
1.代理社員のモラルを高めるために,どのような施策を行うべきか。
2.代理社員の能力を高めるために,どのような施策を行うべきか。
3.代理社員の離職率を下げるために,どのような施策を行うべきか。
4.現在人寿保険衢州支社で実施されている代理社員に対する評価制度は有効だと思うか。も
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ケース「中国人寿保険会社衢州支社」の概要
李 毅
し,問題点があるとすれば,どのように改善すればよいか。
4.想定されるディスカッションのポイント
1. 人寿衢州支社では,衢州の経済状況に合わせて,これから保険代理社員にどのようなマネ ジメントをしていくべきかをディスカッションする。
2. 保険業界で成果主義賃金制度が効果的に機能するためには,どのような評価基準が必要で あるかについてディスカッションする。