予定している。通常は高水準のサービス提供と低価格 はトレードオフの関係にあるが,この両者を実現する チャネルは消費者にとり望ましいもので,「価値実現 型」の新しいビジネスモデルといえる。今後は,規模 が拡大すればするほどいかに人材を確保して本部機能 を充実し中央統制を徹底していくか,これらを克服で きるかどうかが問題となる。中国では,第 1・2 級市 場と第 3・4 級市場では家電品流通がかなり異なる実 体があるが,「アトム・モデル」は後者における流通 近代化のひとつの手段になると思われる。 第 3 のチャネルとしては,この他「卸主導型」や 「消費者主導型」などが考えられるが,まだ東アジア ではほとんど現実化していない。しかしながら,こう した多様な垂直的マーケティング・システム(VMS) が競い合う姿こそが,家電品流通のあるべき姿「マク ロモデル」と考えられる。 おわりに 流通のグローバル化が盛んにいわれる時代,ベスト 電器が東アジア 5 カ国に 31 店舗を展開しているくら いであり,日本の家電量販店の海外進出は控えめで あった。家電品小売業の国際化の遅れと同じように, 家電品流通の海外(比較)研究も手薄であった。本稿 は,今まで中国家電品流通に関する研究はあまり行わ れてこなかった点で意義をもつし,日本を含めて海外 家電品メーカーが中国に進出するさいに必要な現地の 情報を提供している。研究目的は,中国において家電 量販店チェーンが成長したことによる経済的・社会的 意義を明らかにし,家電品流通のマクロモデルを検討 することにあった。そこではメーカー主導型と量販店 主導型とは異なる第 3 のビジネスモデルと,多様な VMS 間の競争が提案された。 あるべき家電品流通のマクロモデル構築に近づくた めには,それぞれの地域での時系列的な分析を行うと ともに,東アジアに限ってみても,家電品流通は多様 な実体があり,比較研究を積み重ねることが必要であ ろう。もちろん規範的理論研究も欠くことはできな い。 参考文献・資料 天野倫文・範 建亭[2003]「日中家電産業発展のダイナミズ ム(上)(中)(下)」『経営論集』第 58・59・60 号,東洋大学。 新井 亨[2005]「中国における家電の流通チャネルの変遷」 (松江 宏編『現代中国の流通』同文舘。 于 淑華[2004]「国美発展と連鎖経営」国家発展改革委員会 レポート(中国語)。 王 曙光[2002]『海爾集団―世界に挑戦する中国家電王者』 東洋経済新報社。 大橋英夫[2005]『現代中国経済論』岩波書店。 何 森[2005]『連鎖為王―解読中国連鎖企業経典案例』国経 済出版社(中国語)。 胡 欣欣「流通業における中小企業の実態」(西川博史・谷 源洋・凌 星光編『中国の中小企業改革の現状と課題』日 本図書センター)201∼229 頁。 胡 欣欣[2001]「日米欧がしのぎを削る中国」(ロス・デー ビス/矢作敏行編『アジア発 グローバル小売競争』日本経 済新聞社)163∼196 頁。 胡 欣欣[2003]「中国小売業の近代化と外資参入動向」(矢 作敏行編『中国・アジアの小売革新―全球化のインパクト』 日本経済新聞社)53∼75 頁。 黄 ! 編[2002]『WTO 加盟後の中国市場―流通と物流がこ う変わる』蒼蒼社。 黄 ![2003]『新興市場戦略論―グローバル・ネットワーク とマーケティング・イノベーション』千倉書房。
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