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ナトリウムイオン電池用電極の電気化学特性と熱安 定性

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ナトリウムイオン電池用電極の電気化学特性と熱安 定性

趙, 潔

http://hdl.handle.net/2324/1441279

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2,3)

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氏 名:趙 潔

論文題名:Electrochemical and Thermal Properties of Electrodes for Na-ion Batteries (ナトリウムイオン電池用電極の電気化学特性と熱安定性)

区 分:甲

論 文 内 容 の 要 旨

市販蓄電池の中でもっとも高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート パソコンといった各種携帯電子機器の小型化に多大な貢献をし、さらなる需要の拡大が見込まれ ている。しかし、電気自動車や、電力平準化用途に向けた大型蓄電池化に際して、使用する元素 の材料コストの課題が顕在化しており、レアメタルフリーを追求した鉄系正極、ナトリウム系負 極の組み合わせによる高コストパフォーマンスのナトリウムイオン電池が注目されている。ナト リウムは地殻存在量が全元素中5位(O>S>Fe>Ca>Na…)で、埋蔵量はリチウムに比べ 3 桁多 く、環境負荷の点でも理想的であるが、リチウムよりも活性の高いナトリウムでは、不働体皮膜 を形成しにくく、その安全性、特に電池内、電解液共存下での満充電、満放電状態での熱安定性 に関する懸念が大きい。しかし、ナトリウムイオン電池自体が新しい電池系のため、リチウムイ オン電池で過去蓄積されてきた電極活物質の熱安定性に関する報告例がほとんど皆無である。二 次電池は酸化剤と還元剤という反応性に富んだ正負極活物質がセパレータを挟んで構成されてお り、外部、内部ショートや外部温度の上昇など、何らかの原因で電池温度が上昇すると、電池構 成材料同士が発熱反応を起こすため、さらに電池温度が上昇し、熱暴走するという悪循環に陥る 潜在的な危険性がある。特に、電池が大型化するほど電池体積に比例する発熱速度の増加に比べ て、電池表面積に比例する放熱速度が相対的に低くなるため、電池に熱がこもり、熱暴走事故に 繋がりやすくなる。

本研究では、イオン体積がリチウムの2倍あるナトリウムを可逆性よく充放電できるホスト化 合物として、NaFeO2という層状鉄酸化物正極とハードカーボン負極に着目し、その電池反応メカ ニズムと熱的安定性の解明を目的とした。

第 1 章ではリチウムイオン電池の基本的原理と各種電池材料についての概要であり、特にナト リウムイオン電池の特長、および問題点を明らかにし、本研究が目的とするナトリウムイオン電 池用正極、電解液、負極各構成材料の電気化学特性と熱安定性、ならびに本論文の概要について 述べた。

第2章ではナトリウムイオン電池用正極材料として、リチウムイオン電池用層状岩塩正極 LiCoO2と同じ、層状岩塩構造を持つ NaFeO2に着目し、1 M NaClO4/EC-DMC 有機電解液を用いて室 温で電気化学特性について検討を行った。NaFeO2の合成は固相焼成法にて行い、その後徐冷して

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ペレット正極とした。電池反応メカニズムを明らかにするため、充電後正極 Na0.58FeO2の熱安定性 を加熱試験で調査したところ、充電後正極粉末 Na0.58FeO2では 300oC から発熱現象が起こり、リチ ウムイオン電池用層状岩塩正極 Li0.5CoO2と同様、高温での酸化物正極からの酸素脱離が確認され た。さらに電解液共存下では正極からの脱離酸素による電解液の酸化に起因すると思われる 250oC からの発熱現象が確認された。しかし、LiCoO2 の熱安定性と比べ、発熱開始温度が高く、発熱量 が小さいため、熱安定性はむしろ NaFeO2の方が優れていると結論された。

第 3 章では正極の可逆容量とサイクル特性向上を目的として、NaFeO2正極の鉄へのマンガン置 換ドープを検討した。NaFeO2正極では充電過程において、鉄が三価から異常原子価状態である四 価 Fe4 +へ 変 化 す る ため 正 極 の 化 学的 、 熱 的 安 全 性 が劣 化 す る と 考え ら れ た た めで あ る 。 Na2/3FexMn1-xO2(x = 1/3、1/2、2/3)正極の合成は、固相焼成法で行ない、マンガン置換ドープ量 が 1/2 と 2/3 の時、P2 型層状岩塩構造の単相化に成功した。その充放電特性は、x = 1/3 の時、

初期最大放電容量が 210 mAh/g まで拡大でき、充電過程で、マンガンと鉄それぞれの3価/4価 レドックス反応を X 線吸収分光法(XAS)にて確認した。その満充電相 Na0.25Fe1/3Mn2/3O2も脱離酸 素反応に起因する発熱反応を示すが、その発熱は、比較的高温の 330oC からであり、熱安定性の 改善が認められた。

第 4 章ではナトリウムイオン電池の負極材料のひとつとして、現在もっとも可逆容量が大きな ハードカーボン C1600 の熱安定性評価を TG-DSC を用いて行った。さらに、得られた結果について、

リチウム挿入時のハードカーボン C1600 の結果との比較を行うことにより Li イオン二次電池の熱 安全性との比較を行った。ナトリウムイオン二次電池用 5 種類のハードカーボン負極は 1000 o 2000 oC の5種類の熱処理温度品(共同研究先住友化学筑波開発研究所提供)の負極特性を調査 し、この中でもっとも可逆容量の大きかった 1600oC 熱処理品について、4 種類の電解液中(1M NaClO4/EC-DMC, 1M NaClO4/PC, 1M NaPF6/EC-DMC, 1M NaPF6/PC ) 中 で の 負 極 特 性 を 調 査 し 、 NaClO4/EC-DMC の場合にもっとも負極特性が良好で、初回充電容量が 413 mAh/g、放電容量が 321 mAh/g、さらに、サイクルによる容量劣化も小さく、50 サイクル後も 90%の容量を維持すること を明らかにした。また、ナトリウムイオンを挿入した C1600 と電解液の混合物はそれぞれ 150℃

と 300℃の近くに発熱ピークが見られた。リチウムイオンを挿入した C1600 と電解液の混合物と 比較すると、発熱温度はほぼ同じであるが発熱量が少なくなっており、負極活物質自体の熱安定 性から判断するとナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池より潜在的な危険性が少ないと判 断できる定量的な評価結果を得た。

5章では、本研究で得られた成果を総括した。

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