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北川におけるカワスナガニのゾエア幼生の塩分選好性実験

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Academic year: 2022

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(1)VII-047. 土木学会西部支部研究発表会 (2009.3). 北川におけるカワスナガニのゾエア幼生の塩分選好性実験 九州大学工学部. 学生会員○ 坂本勝也. 九州大学大学院. 正会員. 伊豫岡宏樹. 九州大学大学院. 学生会員. 北九州市立大学. フェロー. 楠田哲也. 中尾昭仁. 1. 目的 近年の都市化に伴う河川や海岸の改変、水質の汚濁などのインパクトにより、生物の生息環境に大きな変化 がもたらされている。人為による種の絶滅の防止と保護対策の実施を行うためには、まず絶滅の恐れのある種 の生態を的確に把握する必要がある。本研究は宮崎県五ヶ瀬川水系北川感潮域に生息する、カワスナガニ (Deiratonotus. japonicus)の保全を目的とし、特にカワスナガニのゾエア幼生の生態を明らかにするため、. 塩分環境の異なる条件でのゾエア幼生の分布を把握する室内実験を行った。感潮域に生息するプランクトンは 鉛直移動特性により海に流されないようにしているものがあり(栗原ら1) ) 、中尾ら2)は塩分がゾエア幼生の 鉛直移動に大きく影響している可能性を示している。潮汐により上流方向のフラックスが生まれる感潮域では、 この塩分による移動特性がカニ類幼生の生息地への回帰に大きく影響している可能性もある。 2. 実験装置 実験装置の概要を図1に示す。水槽は、幅20.5cm、高さ42.0cm、奥行き2.0cmのアクリル製のものを自作し た。水槽内は蒸留水で塩分を調整した濾過海水を用いて、塩分一様の環境および塩分勾配を持つ環境を作成し た。塩分勾配は水と濾過海水(塩分35)を十分に攪拌しながら徐々に水槽底面から水槽内に流入させることで再 現した。また、水槽中の塩分の測定には白金電極を使用した自作の塩分計3)を用いた。 3. 実験方法. 塩分測定器. 実験水槽に蛍光灯による上方向からの照射(水上面6000lux)を与えた状. 蛍光灯. 態で、実験室内にて孵化・育成したゾエア幼生約50匹を投入し30分後、60 分後、その後蛍光灯を消した状態で30分後の計3回水槽をデジタルカメラで 撮影した。撮影画像を、画像処理ソフト上で解析することによりゾエア幼. ゾエア幼生. 生の分布状況を把握した。実験は10/26に孵化したゾエア幼生を用いて、 10/27(孵化後1日目 1齢)、10/29(孵化後3日目 ほぼ2齢)、11/2(孵化後7日目. 淡水と塩水の混合. 1齢)、10/31(孵化後5日目. ほぼ2齢)の計4回実施し、11/3に孵化したゾ. エア幼生を用いて、11/8(孵化後5日目 齢から3齢) 、11/18(孵化後15日目. 液送ポンプ. ほぼ2齢)、11/13(孵化後10日目. カメラ. 2. ほぼ3齢)の計3回実施した。それぞれ. 水槽で塩分一様の条件(塩分10、20、35)および塩分勾配を持つ条件にお. 人工海水. 液送ポンプ. 図 1 実験装置の概要. いて実験を行った。 4. 実験結果 図2~図4に実験結果を示す。すべての条件において放出後1日目は、ほとんどのゾエア幼生が表層付近に分 布した。暗条件の結果と比較すると、これは正の走光性の影響を受けているものと考えられる。塩分10で一 様の条件では、3日目には表層での明らかな分布の集中はなくなり、ほとんど2齢となった5日目以降は底にと どまるゾエア幼生が多くなった。塩分20で一様の条件では、7日目までは特に大きな変化は見られないが、2 齢から3齢になり始めている10日目以降は底にとどまるゾエア幼生が急に多くなった。塩分35で一様の条件で は、3日目以降は底にとどまるゾエア幼生が多少は見られるものの、15日目においても多くのゾエア幼生が上 層に分布した。塩分勾配のある条件では、1日目には塩分10程度の低塩分領域へ侵入するゾエア幼生も見られ たが、3日目以降はほとんどが塩分20以上の高塩分領域に分布した。塩分一定の条件では、ゾエア幼生は、齢 -975-.

(2) VII-047. 土木学会西部支部研究発表会 (2009.3) 0. 0. 5. 10. Salinity 15 20. 25. 30. 35. 0. 0. 5. 10. Salinity 15 20. 25. 30. 35 0. 0. 5. 0. 10. 10. Salinity 15 20. 25. 30. 35. 60. 70. 期が高くなるにつれて上層に集中して 10. っていき、塩分条件が低いほどその傾向. 10. Depth(cm). Depth(cm). 10. 20. Depth(cm). いる分布のばらつきが次第に大きくな. 20. 20. が顕著に見られる。塩分勾配のある条件 では、15日目までのすべての実験で水槽. 30. 30 0. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 0. 10. 20. Existing ratio(%). 底面以外に分布のピークがあり齢期が. 塩分 10. 高くなるにつれてこの分布のピークが 次第に高塩分領域へと移動している。こ. 0. 5. 10. 塩分 20. 1 日目. Salinity 15 20. 25. 30. 35. 0. 10. 表層への移動能力が弱まる傾向がある. 0. 5. 10. 10. ことがわかる。. 20. 30. 40. 50. 60. 塩分 10 0. 5. 10. 70. 25. 30. 35. 0. 25. 0. 5. 10. 0. 10. 20. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 0. 0. 5. 10. 15. 20. 25. 30. 35. 0. 10. 35. 30. 40. 50. 60. 70. 0. 5. 0. 10. 10. 7 日目. Salinity 15 20. 25. 30. 35. 30. 50. 60. 70. Depth(cm). Depth(cm). Depth(cm). 30. 10. 20. 20. 25. 塩分 35. 塩分 20 Salinity7 日目 35. 20. Existing ratio(%). Existing ratio(%). 30. 15. 30 0. 10. 川感潮域における満潮時の塩分調査の. Salinity 15 20. 30 40 50 Existing ratio(%). 20. 7 日目. Salinity 15 20. 20. 塩分 35 1 日目 Salinity. 10. Existing ratio(%). 0. 30. 1 日目. 30 0. 図5、図6に2008年3月10日に行った北. 70. 20. 30. 5. 考察. 60. Depth(cm). 20. につれて低塩分領域での走光性による. 50. 10. Depth(cm). れら一連の実験により、齢期が高くなる. 40. Depth(cm). 0. 30. Existing ratio(%). 20. 結果と満潮時における流速分布の計算 30. 30 0. 値を示す。北川は弱混合型の河川であり、. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 0. 70. 10. 20. Existing ratio(%). 塩分 10. 明確な塩水楔が形成されており、上げ潮. 塩分 20. 15 日目. 図2. 時には上流方向の流れが発生する。塩分. 0. 0. 5. 10. Salinity 15 20. 25. 30 40 50 Existing ratio(%). 60. 70. 30 20. 40. Existing ratio(%). 15 日目. 塩分 35. 15 日目. 塩分一様の条件でのゾエア幼生の分布 30. 35. 0. 0. 5. 10. Salinity 15 20. 25. 30. 35. 0. 0. 5. 10. 0. 10. 20. Salinity 15 20. 25. 30. 35. 30. 50. 60. 70. 選好性実験の結果と併せて考えると、主 10. 10. 20. Depth(cm). ら放出されたゾエア幼生は放出直後、低. 10. Depth(cm). Depth(cm). に感潮域の上端部に生息する親ガニか. 20. 20. 塩分領域に侵入することによって下流 30. 方向の流れによって感潮域から浅海に. 0. 10. 20. かけての成長に適した場所に移動し、成. 30. 40. 50. 60. で、上流方向の流れを利用し外海への拡. 0. 散を防いでいる可能性がある。今後はよ. 10. 0. 10. 20. 30 0. 10. 20. 30. 40. 50. 60. 70. 40. Existing ratio(%). 1 日目. 7 日目. 15 日目. 図3 5. 30 Existing ratio(%). 長と共に分布を高塩分領域に移すこと 0. 70. Existing ratio(%). 塩分勾配の条件でのゾエア幼生の分布. Salinity 15 20. 25. 30. 35. 30. 50. 60. 70. 10 Depth(cm). り高齢なゾエア幼生の実験も行い、北川 におけるゾエア幼生の輸送シミュレー. 20. ションを行っていく予定である。. 30 40. Existing ratio(%). 塩分 10. 図4. 1 日目. 暗条件. 塩分一様、暗条件で. 図5. 北川における縦断塩分分布. のゾエア幼生の分布. 【参考文献】 1) 栗原康(1988):河口・沿岸域の生態学とエコテクノロジー 2) 中尾ら(2005):土木学会西部支部「北川におけるカワスナ ガニのゾエア幼生の移動特性に関する研究」 3) 楠田ら(1986): 「水質観測用計測機器の試作」、 水質汚濁研究、第9巻、第4号、pp.239-243 図6. -976-. 上げ潮時の流速分布の計算値.

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