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韓国老人福祉館の利用者の健康関連

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学審査学位論文 博士(スポーツ科学) 概要書. The Health-Related QOL and Associated with Utilization among the Senior Centers in Korea. 韓国老人福祉館の利用者の健康関連QOLと 利用に関連する要因の検討. 2012年1月. 早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科. 金 賢植 Kim, Hyun-shik 研究指導教員: 中村 好男 教授.

(2) 第1部. 緒言. 韓国では、2008 年 7 月から介護保険制度が実施され、高齢者の介護予防や QOL 向上を目 的とした健康増進事業の重要性が提起されている。特に、韓国では高齢者人口が急増して いるために、大規模な施設投資をするのではなく、既存の住居地域内で手軽に利用できる 老人福祉館を活用する方案が、健康増進事業の1つとして提起されている。しかし、韓国 において老人福祉館に関する研究は限られている。健康行動に関連する研究モデルでは老 人福祉館の利用と健康関連 QOL との関連性を実証することで、老人福祉館利用を健康増進 事業の 1 つとすることの意義を裏付けられることができる。また、老人福祉館の利用率は 韓国全体の高齢者の 3%しか満たないことから、利用者を増やすための効果的な支援方策の 開発が期待されている。老人福祉館の利用状況に関連する心理的、社会的および環境的要 因を明らかにすることで、効果的な支援方策開発の手がかりが得られる。 本論文では、1)介護予防の観点から韓国の老人福祉館で実施している健康増進プログラ ムの実施事例を紹介すること、2)老人福祉館の利用状況と健康関連 QOL との関連性を検 討すること、3)老人福祉館の利用に影響する心理的、社会的および環境的要因を検討する ことを目的とした。 第2部. 介護予防の観点から見た韓国の介護保険制度の実施状況. 韓国政府機関による報告書と関連論文から、韓国における介護予防対策の現状について 概説した上で、その具体的事例として、老人福祉館で実施している健康増進プログラムを 紹介した。韓国における介護予防事業は、まだ介護保険制度に含まれていないものの、そ の重要性が認識され、試験的に行われている。事例として取り上げた老人福祉館では、地 域高齢者を対象に、社会教育、福祉厚生、健康増進、高齢者ボランティア、リハビリなど 様々なプログラムが実施されていた。今後、地域高齢者のための健康増進プログラムを提 供する機能を持つ老人福祉館を積極的に活用すれば、健康増進事業の肯定的な効果を達成 することができると考えられる。. 第3部. 老人福祉館の利用状況と健康関連 QOL との関連. 韓国老人福祉館の利用状況と健康関連 QOL との関連性を検討するために、韓国釜山に在 住している 65 歳以上を 2 つのグループに分け、老人総合福祉館を利用している高齢者 (n=154)と、老人総合福祉館を利用していない高齢者(n=137)を対象者として質問紙調 査を実施した。その結果、老人総合福祉館を利用している集団の方が、利用していない集 団と比較して、健康関連 QOL の下位尺度である身体機能、日常役割機能(身体)、活力が 高いことが示された。これらの結果から、因果関係には言及できないものの、老人総合福 祉館を利用することは、高齢者の健康関連 QOL 向上につながる1つの方案になる可能性が あることが示唆された。 2.

(3) 第4部. 老人福祉館の利用状況と心理的、社会的および環境的要因との関連. 老人福祉館の利用に対する効果的な支援方策を明らかにするために、老人福祉館の利用 状況と心理的、社会的および環境的要因との関連性を検討した。韓国ソウルに在住してい る 65 歳以上の高齢者を対象に、老人総合福祉館を利用している高齢者(n=262)と、老人 総合福祉館を利用していない高齢者(n=156)を対象者として 1 対 1 の面接調査を実施し た。その結果、韓国高齢者の老人福祉館の利用状況には、セルフ・エフィカシー、促進要 因と阻害要因、ソーシャルサポート、交通の利便性および老人福祉館までの所要時間が関 連していることが明らかとなった。これらの結果から、老人福祉館を利用しない高齢者に 対して利用を促すためには、セルフ・エフィカシー、促進要因と阻害要因、ソーシャルサ ポート、交通の利便性および老人福祉館までの所要時間を考慮することが有用であると示 唆された。 第5部. 総合論議. 本論文における主な知見は、老人福祉館の定期的な利用は、健康関連 QOL における複数 の下位尺度と有意な関連が認められ、身体的な健康だけではなく心理的な健康との関連が 示唆された。さらに、老人福祉館の利用状況に影響を及ぼす要因として、セルフ・エフィ カシー、促進要因と阻害要因、家族や友人のサポート、交通の利便性および老人福祉館ま での所要時間に影響を受けていることが明らかとなった。本論文の結果は、韓国高齢者健 康の維持・増進対策のための戦略の構築に対する重要な知見になるものと考えられる。ま た、今後の展望として、老人福祉館の利用状況に関する縦断的な評価を行うこと、効果的 な介入方法の開発と検証を実施すること、環境的な要因について客観的な評価と支援方策 が重要であると考える。. 3.

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