駒 澤 大 學 佛 教 學 部 論 集 第 十 八 號 昭 和 六 十 二 年 十 月
吉
蔵
の
成
仏
不
成
仏
観
(二
)末
光
三 五 四愛
正
序 既 に 「 吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏観
」 (駒
沢 大 学 仏 教 学 部 研 究 紀 要第
四 十 五、 昭 和 六 十 二 年 三 月 ) と 題 し て 、直 往 の 菩 薩 は 成 仏 、
声 聞 の 中 の 退 菩 提 心 と 本 学 小 乗 と
常
不軽
所 対 の増
上慢
は 、 や が て は 廻小
入 大 し て 成 仏 、 し か し 五 千 の 徒 の 増 上慢
と 決 定 声 聞 と は 、 仏 説 を 聞 こ う と し な い が故
に 不 成 仏 で あ る 事 等 を 論 じ た 。 し か し 、 残 り の 声 聞 の 事 や縁
覚 、 正 因 縁 因 仏 性 等 の 事 に 関 し て 論 ず る こ と が 出 来 な か っ た 。 そ こ で こ の 続 き と し て 、 「吉
蔵 の 成仏
不 成 仏 観 ( 二 ) 」 と 題 し て 論 述 す る 。 「 以 二 仏 道 声 一 令 二 一 切 聞 こ 声 聞 に つ い て 吉 蔵 ( 五 四 九 ー 六 二 三 ) は 声 聞 を 五 種 類 に 分 け る 。 次 明 二 五 種 声 聞 得 記 不 得 記 義 → 「 者 退 レ 大 学 レ 小 声 聞、 如 二 身 子 之 流 ハ ニ 者 発 軫 学 小 声 聞 、 三 者 以 二 仏 道 声一令
一 一切
聞 → 四 内
秘
一 一 菩 薩 行一 外現
為
二 声 聞 → 五増
上慢
声 聞 、 (法
華
玄 論 巻 第 七 、
T
三 四 ・ 四 二 一 下 )即 ち 、 退 大 学 小 、
発 軫 学
小
、 以 仏 道 声 令 一 切 聞 、内
秘
菩
薩 行 外現
為 声 聞 、 増 上慢
の 五 種 の 声 聞 で あ る 。 そ の内
、 退 大 学 小 と 発 軫 学 小 と 増 上慢
の 声 聞 に つ い て は 既 に 論 じ 、 残 る は 第 三 と第
四 の 声 聞 に関
し て で あ る 。今
論 じ 様 と す る第
三 の 「 以仏
道
声 令 → 切 聞 」 の 声 聞 の 文 は 、 「 信 解 品 」 の我 等 今 者 、 真
是
声 聞、 以 二 仏 道 声 ハ 令 二 一 切 聞 ハ (巻
第 二 ・T
九 ・ 一 八 下 ) の文
に 依 る も の で あ る 。所
で 五 種 声 聞 に 分 類 し て も 、 法華
教 の 対象
と す る 声聞
は 、 発 軫 学小
と 退 大 為 小 の 二 声 聞 の為
だ と す る 文 が あ る 。問 、 前 明 二 五 種 声 聞 噛
今
何 故 但 明 三 一 種 噛答
、 雖 レ 有 こ 五 種声 聞 ハ 但 法
華
教 起 正 為 二 二 人 → 以 下 発 軫 学小
令 二改
ン 小 而信 ジ 大 、 退
大
為
小
亦
令
中還
学 申 本大
描 故 但 為 三 一 人 一 也 、 ( 法華
玄 論 、 巻第
七 、T
三 四 ・ 四 二 三 中 ) 即 ち 、 法華
教 は 発 軫 学 小声
聞 を 「 改 小 信 大 」 さ せ 、 又 退 大 為小
声 聞 を 「 還 学 本 大 」 さ せ る為
で あ る 。 そ れ で は 残 り の 三 種 の声
聞 は 法 華 教 と ど の 様 な関
連
を 果 す か 。権
行 人 乃 是 欲 レ誘
二引
此 二 種 人 → 故 不 レ 須 レ 為 也 、 以仏
道 声令
一 切 聞 、 即 是 前 二 人得
レ 悟 能 以 二 仏道
声 一令
二 一 切聞
哨為
レ之
已 竟 亦 不 レ 須 レ 為 也 、増
上 慢 者 、 憚 レ教
不 レ 受 如 二 五 千之 徒 紬 此 未 レ 可 レ
為
也 、 ( 前 同 頁 )ま ず 権 行 の 人 と は 、
後
に 論ず
る ご と く第
四 の 「 内 秘菩
薩
行
外
現
為 声 聞 」 声 聞 の 事 で 、 発 軫 学 小 と 退大
為
小 の 二 声 聞 を 一 乗 に誘
引 す る役
割
を 果 す 。増
上慢
声 聞 は 、法
華 教 を 聞 こ う と し な い 不 成仏
の 五 千 の徒
で あ る か ら 、 法華
の 教 え と縁
な き 衆 生 で あ る 。 そ れ で は 「 以 仏 道 声令 一 切
聞
」 の 声 聞 は ど の 様 な声
聞 か 、 そ れ は発
軫 学 小 と 退 大 為 小 の 二声
聞 が 、 廻 小 入 大 し た菩
薩 を指
す
と 言 う 。 こ の 様 に 廻 小 入 大 し て 菩薩
に な っ て も 、尚
且 つ声
聞
と 云 う 理 由 を 論議
し て い る内
容 が あ る 。然 る に 経 既 に 三 を 会 し 一 に
帰
し て 皆 菩薩
と 成 れ る に 、 而も 猶 声 聞 と 言 え る こ と は
凡
そ 三義
あ り 。 一 に は 本 に 仍 って
名
と なす
。 二 に は復
一 を悟
る と 雖 も 三 を 失 せず
。然
る所
以
は本
と 三 の 病 を 破 す 、是
の 故 に 一 を 説 け り 。 三 の 病既
に 除 き ぬ れ ば 一 の 薬 も 亦息
む 。 三 に 非 ず 一 に 非 ざ る が 吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 宋 光 )故
に 、能
く 一能
く 三 た る な り 。 三 に は 即 ち菩
薩 を 諦 け て 以 て 声 聞 と な す 。 前 に 云 え る が如
し、 我 等 今 は真
に 是 れ 声 聞 な り 、 仏 道 の 声 を 以 て 一 切 に 聞 か し む と 。 ( 法 華 義疏
、巻
第 九 、T
三 四 ・ 五 九 三 上 ) 即 ち第
一 は 、菩
薩
に な っ て も 本 の声
聞 の 名 で 呼 ぶ 為 、第
二 は 、 一 乗 を 悟 っ て も 三 乗 の権
教 の働
き
を 認 め る 為 、 第 三 は 、 菩薩
を 声 聞 と 云 う 為 の 三 つ の 理 由 を 示 す。 そ の 経証
と し て 「 信解
品 」 の 文 が引
用 さ れ る 。 こ の様
に 発 軫 学 小 と 退 大 為小
の 声 聞 が 、 廻 小 入大
し て 菩薩
に な っ た 人 で も 「 以 仏道
声 、令
一 切 聞 」 の 声 聞 と 定 義 す る 。 そ れ で は 発 軫 学小
と 退大
為 小 の 声 聞 は 、 法華
経 の 如 何 な る 内 容 を聞
い て 領 解 す る の で あ ろ う か 。 但 声聞
有 二 二種
ハ 一 発 軫学
小 、 二 者 退 大 為 小 、 三 車 為 情発
軫 学小
人 令 巾 出 二 三界
一 当得
山 三 乗 艶 若 二 化 城 譬一 者 、 為 卞退
大為
小
人 、 本求
二 仏 乗一 憚 二 仏 道 長 遠一 欲 申 退 受 中 人 天 之 楽 上 故 、於
二 中路
一 為 二 止 息 一 説 三 → 涅 槃一 也 、 然 通 而 為 レ 論 、 二 文皆
含
二 両義
嚇 取 二 其 正 意 噛 則如
二 向 説一 也 、 (法
華
玄
論
、巻
第
七 、T
三 四 ・ 四 二 三 上 ) 即 ち 発 軫 学 小 の 声 聞 は 、 三 車 の喩
を 聞 き 信 心 を起
し 三界
を 出 、無
余 に 入 り 、仏
か ら 法 華 経 を聞
き 菩 提 心 を発
す 。 退大
為 小 の 声 聞 は 、 化城
譬
に 示 す ご と く 、曽
て 一 乗 を 聞 き菩
提 心 を 発 し な が ら 、 仏 道 長遠
を 憚 っ て 小 乗 に 退 い た 。 し か し 曽 て発
三 五 五吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) し た 一 乗 の 種 子 が あ る か ら 、 現 在 に 再 び 一 乗 を 聞 き
菩
提 心 を ( 1 )発
し 作 仏 を 知 る 。 こ の様
に 考 え る の が 正意
で あ る が 、 両 喩 に は 傍 意 と し て発
軫
学 小 、 退 大 為 小 に 対 し て も 、 そ れぞ
れ説
示 し て い る と 云 う 。 そ う な る と 、 現 世 に お い て 法華
教 を 聞 き 、 菩 提 心 を発
し 作仏
を 知 る の は 、 声 聞中
で は 退 大 為 小 の み と な る 。 先 に 五種
声 聞 を 示 し た が 、 退大
為 小 の声
聞 と は 、 一 者 、 退 レ 大 学 レ 小声
聞
、 如 二 身 子 之 流 → ( 法 華玄
論
、巻
第 七 、T
三 四 ・ 四 二 一 下 ) と 、身
子 (舎
利弗
) 等 で 、身
子 等 の 退 大為
小 の 声 聞 の み 、 現 世 に お い て菩
提
心 を 発 し 、 作 仏 を 知 る事
と な る 。 所 で身
子
等
の 三 根 の 声 聞 と 、 三 周説
と の 関 係 に 関 す る 次 の 様 な 文 が あ る 。 今所
レ 明 者 、初
周
説 通 為 三 二 根 →而
上 根 一 聞 即 解 、 次 周 説 通為
ご 中 下( 而 中 根 再 聞 方 悟 、 宿 世 因 縁 説 但 為 二 下 根 → 下 根 三聞
始
了 、 故 釈論
明 丁 身 子 一 聞 即 証 二 初 果 納 目連
再 説 方 証 二 見 諦 → 下 根 理 応 δ 三 也 、 ( 法 華 玄 論 、 巻第
五 、T
三 四 ・ 三 九 八 下 ) 即 ち身
子
は 上根
で あ り 、 法 説 に て 一 乗 を悟
り 、 又 目 連 は 中 根 で あ り 、譬
説 に て 一 乗 に 悟 入 し 、 又 下根
は 宿 世 因 縁 説 で 一 乗 に 悟 入す
る 。 『 法華
義 疏 』 中 に も 身 子 は 上根
に し て 応 に 前 に 悟 を得
べ け れ ば な り 。 ( 巻 第 三 五 六 三 、T
三 四 ・ 四 九 二 中 ) 或 は 、 此 の 経 は 仏 に 三 周 の 説 あ り 。 初 周 は 法説
、次
周 は譬
説 、後
周 は 亦譬
亦 法 な り 。 弟 子 の 三 た び 領解
す
る も 亦 三 階 あ り 。舎
利弗
は 上 の 法 説 を 聞 き還
法 説 を作
し て領
解 し 、 迦葉
は 前 の譬
説 を 悟 り 還 譬 説 を作
し て領
す 。 ( 巻 第 九 、T
三 四 ・ 五 八〇
下
ー 五 八 一 上 ) と 、 身 子 は 上 根 で あ っ て 法 説 で 領解
し 、 又 迦 葉 は 中 根 で あ っ て譬
説 に て 領解
す る 。 或 は 、 又 即 ち 此 の 経 の 三 根 の 人 の如
し 。 上 根 の解
を得
る者
は少
し 、 身 子 一 人 の如
し 。 中根
は稍
多 し 、 四 大 声 聞 の如
し 。 下根
は 転多
く 乃 至 五 百 な り 。 ( 巻 第 五 、T
三 四 ・ 五 二 二 下 )或
は 、 上 根 の領
解
は唯
一 人 の み あ り 。 中 根 の 領解
は 則 ち 四 人 あ り 。 下根
の領
解 は 其 の 数無
量 な り 。 ( 巻 第 七 、T
三 四 ・ 五 四 三 下 ) と 、 上 根 は身
子 ] 人 の み 、 中根
は 四 大 声 聞 、 下根
は 無 量 な い し 五 百 人 で あ る と 説 く 。 法 説 で 領解
す る 身 子 一 人 が 、 上 根 で あ る こ と は 問 題 は な い 。 し か し 中根
が 目 連 の み な ら ず 、迦
葉
を 含 む 四 大声
聞 で あ る事
に 関 し て 、 次 の 様 な論
議
が さ れ て い る 。 問 う 、 毘婆
沙 に 言 わ く 、 一 切 の声
聞 を 開 い て 三 品 と な
す 。 上
根
は唯
一 人 な り 。 身 子 は 独 り 六 十劫
修 行 す る を 以て の 故 に 。 中 根 も 亦 た 一 人 な り 。 謂 く 、 目 連 な り 。 余 の
一 切 の 声 聞 を ば、 並 に 下
根
に属
す と 。 今 何 が 故 に 中根
に四 人 あ る や 。 答 う 、 目 連 は 乃 ち 是 れ
声
聞
の 中根
な り 。 大乗 に 悟 入 す る こ と は 、 未 だ 必 ず し も
迦
葉
に 勝 ら ず 。 故 に中 根 の
数
に 入 る な り。 ( 前 同 、T
三 四 ・ 五 四 三 下 ) 即 ち 、 目連
の み が 中根
の 声 聞 だ と 云 う 問 い に 対 し 、 迦葉
、 目連
も 含 め た 四大
声 聞 が 中根
で あ る と 主 張 す る 。 し か も 『 維 摩 経 』 の 四 大声
聞
と、 『 法 華 経 』 の 云 う 四 大 声 聞 は 異 な る と 云 う 。問 う 、 浄
名
経
の 四 大 声 聞 は今
と何
ん が 異 る や 。 答 う 、 彼の 経 に は 身 子 の 慧 、 目 連 の 定 、
善
吉 の 空解
、 迦 葉 の 有 行を 明 し 、 此 の 四 人 を 以 て 大 声 聞 と な す 。 ( 前 同 、
T
三 四 ・五 四 四 上 ) 即 ち 、 『 維 摩 経 』 で 云 う 四 大 声 聞 と は 、 身 子 ・ 目 連 ・
善
吉 ( 須菩
提 ) ・ 迦 葉 の 四 人 で あ る 。 こ の 四 人 は 、 「 弟 子 品 」 の 十 大 弟 子 中 の 最 初 の 四 名 で あ る 。吉
蔵 の 『 維 摩 経 義 疏 』 に は 、論
三 十 人 徳 行 一 者 、 初 謂 二 四 大 声 聞 叫 身 子智
慧 、 目連
神 通 、迦 葉
苦
行 、善
吉 空 解、 故 以 二 定 慧 行 解 哨 為 二 四 大 声 聞 →( 巻 第 三 、
T
三 八 ・ 九 三 六 上 ) と 、 同 内 容 の 註 釈 が さ れ て い る 。 そ れ で は 『 法 華 経 』 で 云 う 四 大 声 聞 と は 、吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) と 、 声 聞 中 の 身 子 が 、
声
聞 の仲
間 入 り を す る 。 釈 に は 、 前 に は 四 大 弟子
に 記 を 授 け 、 ( 中略
) 、 前 に 迦 葉 に授
け 、後
に 三 人 に 授 く 。 (巻
第
八 、T
三 四 ・ 五 六 七 上 ) と あ る 事 か ら 、 「 授 記 品 」 の我
此 弟 子 摩 訶 迦葉
、 ( 中 略 ) 、爾
時
大 目 挺 連 、 須 菩 提 、摩
訶 迦 栴 延 等 、 ( 巻 第 三 、T
九 ・ 二〇
中
− 下 ) に 依 っ た も の と 思 わ れ る 。 残 る は 下根
で あ る が 、 先 に 「 下根
は 転 多 く 至 乃 五 百 な り 」 或 は 「 下 根 の 領 解 は其
の 数 無 量 な り 」 と あ っ た 。 『 法 華 統 略 』 の 「 五 百 弟 子 授 記 品 」 の 註 に も 、 利根
難 レ得
、 故有
一 一 一 人 → 中根
稍 多 、有
一 一 四 大声
聞 → 下根
無
数
、 略 陳 五 百 也 、 ( 巻 五 、 卍 一 ・ 四 三 ・ 一 ・ 六 六 a ) と あ る 。 五 百 と は 「 五 百 弟 子 授 記 品 」 中 の 満 願 ( 富 楼 那 ) や 五 百 人 の 弟 子 を 指 す と 思 え る 。 以 上 論 じ た ご と く 、 上 根 は身
子 一 人 、 中 根 は善
吉 ・ 迦 旋三 五 七 此 の 経 に は 身
子
は 利根
に し て 独 り 衆 人 の 外 に抜
け 、 四 大 声 聞 の 所 摂 に非
ざ る こ と を 明 す 。 乃 ち 善 吉 は 空 を解
し 、 旋 延 は 有 に達
し 、 迦 葉 は 頭 陀 し 、 目連
は 禅 定 な る を 以 て な り 。 (法
華 義疏
、 巻 第 七、T
三 四 ・ 五 四 四 上 ) 善吉
・ 迦 旋 延 ・ 迦 葉 ・ 目連
の 四 人 で あ る 。維
摩
経 の 四 大法 華 経 で は 上 根 と 考 え る 為 、 迦 旋 延 が 四 大
( 2 )
『 法 華 義 疏 』 の 「 授 記 品
第
六 」 の註
吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) 延 ・ 迦 葉 ・ 目 連 の 四 大 声 聞 、 下
根
は 満 願 や 五 百 人 の 弟 子 で あ る 。 二「 内 秘 二 菩 薩 行 →
外
現
為 二 声 聞 一 」 声 聞 に つ い て 五 種 声 聞 中 の 第 四 「 内 秘 二 菩 薩 行 → 外 現 為 二 声 聞 二 の役
割 は 、 先 に 示 し た ご と く 、 権 行 人 乃 是 欲 レ誘
二引
此 二 種 人 → ( 法 華 玄 論 、 巻 第 七 、T
三 四 ・ 四 二 三 中 ) と 、 発 軫 学 小 と 退 大 為 小 の 二 種 の 声 聞 を ] 乗 に 誘引
す る 役 目 を 持 つ と 云 う 。 こ こ に 「権
行 人 」 と 云 う 言 葉 が 出 て来
た が 、 吉 蔵 の 『浄
名 玄 論 』 に 声 聞 を 分 類 し て 、 又 大 判 二 声 聞 ( 凡 有 二 二種
→ 一 者実
行
、 二 老 権 行 、実
行 之 中 、 復 有一三
種 → 一 退 大 学小
、 二 本 学小
乗 之 人、 ( 巻 第 七 、T
三 八 ・ 八 九九
中
)( 3 ) と 、 実 行 の 声 聞 と
権
行 の 声 聞 に 分 け て い る 例 が あ る 。実
行 の 声 聞 と は 、 既 に 論 じ て来
た 本 学 小 乗 ( 発 軫 学 小 ) と 退 大 為 小 の 声 聞 の こ と で 、 声 聞 そ の も の を 指 す 。 こ れ に 対 し 権行
の 声 聞 と は 、 今 次 就 二 権 行 声 聞 一 釈者
、 内 秘 二 菩 薩 ハ 外 現 二声
聞 → 有一 一 二 種 義 → 一 是 讃 二 揚 大 道 → 二 引 二諸
小 行 → ( 前 同 、T
三 八 ・ 九〇
〇 上 ) と 、 本 来 は菩
薩
行 を 行 な っ て い る の で あ る が 、 そ れ を秘
め て三 五 八 声 聞 の 姿 と な っ て い る 仮 り の 声
聞
で あ る 。 仮 り の 姿 、 即 ち 権 行 の 声 聞 と な る の は 、 大 乗 を 讃 揚 す る 為 と 、 諸 の実
行
の 声 聞 を 一 乗 に誘
引 す る 為 で あ る 。 『 法華
義
疏 』 に は 、実
行 と 権行
の権
実
を 共 に 必 要 な も の と 論 ず る内
容 が あ る 。第
三 に 権 実 門 と は 、 有 人 言 く 、 同 聞 衆 は皆
是
れ 実 行 聴 経の
衆
な り と。 有 人 言 く 、 皆是
れ権
行
の 影響
し て 経 を証
する の 人 な り と 。
今
明 さ く 、 此 の事
知 り 難 し 。 若 し 皆 是 れ実
行 な ら ば 、 則 ち 影 響 の 人 を 失 せ ん 。 若 し 皆 是 れ 影 響 なら ば 、 則 ち 稟 教 の 衆 な か ら ん 。 故 に 須 く 両 の 義 雙 べ て
弁
ず べ し 。 ( 巻 第 一 、
T
三 四 ・ 四 五 七 上 ) 即 ち 、 法 華 教 を 聞 く 大 衆 に は 、実
行
の 声 聞 の み と 云 う 説 と 、権
行 の 声 聞 の み と 云 う 説 があ
っ た 。 こ れ に 対 し 吉 蔵 は 、権
行 の 声 聞 だ げ で は だ め で実
行
の 声 聞 も 必 要 であ
り 、 又実
行
の 声 聞 が あ る か ら権
行
の 声 聞 が 必 要 な の で あ り 、 「 大衆
に は( 4 ) 具 に
権
実 あ る な り 」 と 、 権行
と実
行 の 二 声 聞 の存
在 を 共 に 認 め る 。 更 に、其 の 王 た り 主 た る は
多
く 是 れ権
行 に し て 、 若 し 是 れ 眷属
た る ぽ 多 く
是
れ 実 行 な る を 以 て の 故 に 、 小 に 非 ず 大 に 非ざ れ ど も 小 の 方 便 を 作 し て
小
の 眷 属 を引
き 、 同 じ く 一乗
に 帰 せ し む 。 乃 至 聖 に 非 ず 凡 に 非 ざ れ ど も 、 凡 の 方 便 を
作 し 凡 の 眷
属
を 引 い て 共 に 不 二 に 入 ら し む 。 ( 前 同 頁 )と 、 権 行 の
声
聞 が 実 行 の声
聞 を引
く の は 、 王 様 が 家 臣 を 導 く 様 な も の で あ る 。 本 来非
大
非 小 で あ る も の を 仮 り に 小 乗 の 方 便 の 身 を 作 し ( 権 行 の声
聞 ) 、 小 乗 の 眷属
(実
行 の 声 聞 ) を 誘 引 し 、 一 乗 に帰
せ 、或
は 不 二 に 誘引
す る 為 で あ る と 説 く 。 こ の 様 に 仮 り に 声 聞 の姿
と な る 権 行 、 即 ち 発 迹 に 関 し て 、 次 の 様 に も論
じ て い る 。 問 う 、発
迹 に 何 の 利 益 あ り や 。答
う 、 一 を 開 い て 三 と す る に 凡 そ 二 種 あ り 。 一 に は 一法
を 開 い て 三法
と な し 、 二 に は 一 人 を 開 い て 三 人 と な す 。 上 来 に は 、 一法
を 三 法 と な し 、 三 法 を 一法
に 帰 す る こ と を 明 す と 雖 も 、 未 だ 一 人 を 三 人 と な し 三 人 を 一 人 と な す と は 弁 ぜ ず 。 今 諸 の 菩 薩 の迹
を発
し て 始 め て 一 人 を 三 人 と な し 、 三 人 を 一 人 と す る こ と を 明 す を得
。 具 に 人 法 に 約 し て 明 さ ば 、 開 会 の 義 に 於 て 始 め て 円 な る を 以 て な り 。 ( 法 華 義疏
、 巻 第 九 、T
三 四 ・ 五 七 八 下 ー 五 七 九 上 ) 即 ち 、発
迹
に ど の 様 な利
益 が あ る の か と 云 う問
い に 対 し 、 「 法 」 に関
し て 、 「 一仏
乗 に於
て方
便 し て 三 と 説 く 」 枝 末法
輪 を 説 き 、更
に法
華 教 に て 「 会 三 帰 冖 」 の 収 末帰
本 法 輪 を 説 い た 。 こ の 「 法 」 と 同 じ様
に 、 「 人 」 に 関 し て も 、 開 会 の義
が あ る の で あ る と 主 張 す る 。 そ れ で は 、 「 内 秘 二 菩 薩 行噛 外 現為
二声
聞 一 」声
聞 、 即 ち 権 行 の 声 聞 と は 具 体 的 に だ れ か と 云 う こ と に な る が 、 先 に コ 吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 )( 5 )
者
、 退 大 学 小 声 聞 、 如 二 身 子 之 流 二 と 云 う文
を 示 し た . し か し実
は 、 身 子 は 退 大 為 小 の 声 聞 で は な く 、 権 行 の 声 聞 で あ る と 云 う 内 容 が あ る 。問 、 身 子
皆
是 退 大 取 小人
、 故 云 三 三 万 億仏
所
修
二 学大
乗
噴則
知 先 為 二 退 大 取 小 人 一 也 、 答 、 身 子是
権 行 人 、 為 レ引
一 一発
軫
学 小 実行
之 人 一 故 先 対 ご 身 子 一 也 、 ( 法 華 玄 論 、 巻 第 七 、T
三 四 ・ 四 二 三 上 )即 ち 身 子 は 、 退 大 為 小 の 声 聞 で は な く 、
実
は 発 軫 学 小 の実
行
の 声 聞 を 誘 引 す る 権 行 の 声 聞 で あ る と 説 く 。 『 法 華遊
意
』 中 に も 、身 子
権
行 、 摂 二引
実
人 → (T
三 四 ・ 六 三 五 中 ) と あ り 、身
子 は権
行 の 声 聞 で あ る 。 し か し 権 行 の 声 聞 は身
子
の み に は 限 ら な い 。問 、 法
華
三根
人 悟 、 為 二 皆 是 権 行 一 亦是
実
行 、答
、 皆 是権
行 、 ( 法 華 玄 論 、 巻 第 五 、
T
三 四 ・ 四 〇 一 下 )或 は 、
答 、 法
華
中 明 二身
子 等 三 根 → 此多
是 内 秘 二 菩薩
行 一外
現
二 是声 聞 → 引 二 小 行一 耳 、 ( 前 同 、
T
三 四 ・ 四 〇〇
中i
下 ) と 、 法華
中 の 上 中 下 の 三 根 の 声 聞 、 即 ち 身 子 の み な らず
、中
根
の 四 大 声 聞 も権
行 の 声 聞 で あ る と 云 う 。 又 満 願 (富
楼
那 ) や 阿 難 や 羅 喉 羅 も 権 行 の 声 聞 で あ る 。 即 ち 、満 願 の
如
き は 、 実 に 是 れ 菩 薩 の 方 便 し て 小 乗 と な る こ と 三 五 九吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) を 示 す 。 ( 法 華 義 疏 、
巻
第 九 、T
三 四 ・ 五 九 一 中 )或
は 、 三 に は 上 に 無 学 の 人 に 権 あ り と 明 す 。 満 願 の 如 き は 権 と な し 、余
人 を実
と な す 。 今 は 学 無 学 の 人 に 亦 権 実 あ る を 明 さ ん と 欲 す 。 阿難
と 羅 雲 と は発
迹 あ る が 故 に 、 所 以 に権
と な す。 二 千 人 は 発 迹 せ ざ る が 故 に 、 之 を 目 け て 実 と な す 。 ( 前 同 、T
三 四 ・ 五 八 三 上 ) と 、 満願
や 阿 難 や 羅 喉 羅 は 、 発迹
が あ る が 故 に 権 行 の 声 聞 だ と 云 う 。 所 で身
子
や 四 大 声 聞 等 が 、 「内
秘 二菩
薩
行 噛 外 現 為 二 声 聞 こ と 云 う権
行 の 声 聞 で あ る こ と を 、 ど の様
に 証 明 し た か 。 『 大 方 広 仏華
厳
経 不 思 議 仏境
界 分 』 に は 、 復有
二 無 量 千 倶 胝 諸 菩薩
衆 → 示 二声
聞
形 → 亦 皆来
集、所
謂 、舎
利 弗 多羅
、蘇
補
底
没 特伽
良
演
那 、 羅 怙羅
、 僑陳
那 、摩
訶 迦 葉 波 、 郎 波離
、 阿 泥律
陀
、 纈 麗 縛多
、 阿 難 陀 、 提婆
達 多 、 跋 難陀
、 (T
一 〇 ・ 九〇
五 中 )( 6 ) と あ る
事
等 が 指 摘 さ れ て い る 。 経 証 と し て は 絶 好 の 文 で あ る( 7 ) が 、 吉 蔵 以 後 の 翻 訳 で あ る 。 こ の 点 吉 蔵 は か な り
苦
労 し て い る様
で あ る 。 例 え ば 、 問 う 、 何 が 故 に 三 根 の 声 聞 は 、 皆 是 れ 方 便 な り と 知 る こ と を 得 る や 。 答 う 、実
行 の 人 は 法華
経 を 聞 い て 即 ち 能 く 領解
し 、 仏 を助
け て 化 を 揚 ぐ る と い う こ と な し 。 (後
略
)三 六 〇
( 法
華
義 疏 、 巻 第 九 、T
三 四 ・ 五 八〇
中 − 下 ) と 、 上 中 下 の 三根
の 声 聞 は 、 ど う し て 方 便 ( 権行
) の 声 聞 と い え る か 、 と 問 う 。 こ れ に対
し 、 若 し 実行
の 声聞
で あ っ た な ら ば 、 法 華 経 を 聞 い て も 一 乗 に 悟 入 出 来 ず 、讃
揚
大 道 、引
諸
小 行 す る こ と が 出 来 な い か ら 、 三 根 の 声 聞 は実
行
で は な く権
行 の 声 聞 だ と 論 じ て い る 。 又 別 の 証 明 法 と し て 、吉
蔵
は 「 発迹
」 で 論証
す る 。 先 に満
願 ( 富楼
那 ) も 権 行 で あ る と述
べ た が 、別 し て
満
願 に 記 を 授 く る こ と は 、満
願 は 発迹
あ り 、余
人
は 発 迹 な し 。 ( 前 同 、
T
三 四 ・ 五 七 八 下 ) と 、 満 願 は 発迹
す る か ら だ と 論 じ る 。 満願
の発
迹
と は 、 「 五 百 弟 子 受 記 品 第 八 」 の、汝 等 、 勿 レ 謂 四 富
楼
那 但 能護
二持
助
』 且 我 法 ハ 亦 於 二過
去 九十 億 諸 仏 所 ハ 護 二 持
助
「 宣 仏 之 正 法→ 於 二 彼 説 法 人 中 一亦
最
第
一 、 又 於 二 諸 仏 所 説 空 法 → 明 了 通 達 得 二 四 無 礙 智 →常
能
審
諦 清 浄 説 法 、 無 レ有
二 疑 惑 門 具 二 足 菩 薩 神 通 之 力 → 随 二其
寿 命一
常
修 二梵
行 叫 彼 仏 世 人 威 皆 謂 二 之 実 是 声 聞 瑚 而 富楼
那 以 二
斯
方 便 ハ饒
二 益 無 量 百 千 衆 生 → 又 化 二 無 量 阿 僧 祗 人 →令
ン 立 二 阿 耨多
羅 三 藐 三 菩 提 → 為 〆浄
二仏
土一 故 常 作 二 仏 事一教 二 化
衆
生( 諸 比 丘 、 富 楼 那 亦 於 二 七仏
説 法 人 中 一 而得
二第
一 噛 今 於 二 我 所 一 説 法 人 中 亦
為
二第
=
( 法華
経
、 巻第
四 、T
九 ・ 二 七下
)の 内 容 で あ り 、 過 去 世 に お い て 菩
薩
行
を な し て い た が、 現 在 声 聞 の 姿 で あ る こ と を 指 す 。 阿 難 と 羅 喉 羅 の 発 迹 は 「 授 学 無( 8 ) 学 人 記 品
第
九 」 の内
容 を 指 す 。 満 願 の 発迹
に 対 し 次 の 様 な 問 が 発 せ ら れ る 。 問 う 、 上 中 の 二人
は 皆発
迹 な し 、 何 が 故 に 下根
の 人 に 至 っ て 発迹
あ り や 。 ( 法華
義
疏 、巻
第 九、T
三 四 ・ 五 七 八下
) 即 ち 、身
子 や 四 大 声 聞 の 上 根 中根
に 発 迹 が な い の に 、 下根
の 満 願 に は ど う し て 発迹
が あ る の か と 云 う 問 い で あ る 。吉
蔵 は 五 つ の 理 由 を 述 べ る が 、 そ の 第 四 の 理 由 は 、 四 に は 下 根 の 人す
ら 尚 発迹
す 、中
上 根 豈 是 れ 実 行 な ら ん や 。 故 に 摂 大 乗論
に 云 わ く 、舎
利
弗 等 は 皆 是 れ 化 人 な り と 、 故 に 有 る 経 に 云 わ く 、 須 菩 提 は 是 れ 東 方 世 界 の 青 龍 陀 仏 な り と 。 則 ち 知 ん ぬ 、 皆是
れ 権 行 の 人 な り と い う こ と を 。 (前
同 頁 ) と 、下
根
の 満 願 が 発 迹 す る の で あ る か ら 、 上根
中 根 の 身 子 や 四 大 声 聞 も 当 然 発迹
し 、権
行
の声
聞
で あ る と 説 く 。 そ の 経証
( 9 ) と し て 、 『 摂
大
乗
論 』 と 有 経 を 引 用 す る 。 又 『 法 華 玄 論 』 中 に は 、 又余
経
云 、 須菩
提 本 是 青 龍陀
仏
、 又 経 云 、 是 阿 維 顔 、 阿維
顔
者
十 地 頂 人 也 、 又 大 経 明 、 迦栴
延
及薄
拘
羅 皆 云 二 顕 発如
来 一 方 便 密 教 来 二 至 仏所
→ 故 知皆
権行
也 、 ( 巻 第 五 、T
吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 )三 四 ・ 四
〇
一 下 ) と 、 須 菩 提 、 迦 栴 延 等 も権
行 の 声 聞 で あ る と 説 い て い る 。 こ の 様 に 身 子 、 四 大 声 聞 、 満 願 等 の 三根
の 声 聞 が 全 て権
行 の 声 聞 だ と す る と へ 法華
に て 一 乗 に 入 る実
行 の 声 聞 が い る の か と 云 う 問 が 生 じ て 来 る 。問 う 、
若
し 爾 ら ば 此 の 経 の 三 周 は 並 に 是 れ方
便 の 人 なり 、
実
に 道 を悟
る こ と な き や 。答
う 、 此 の 三根
に寄
せ て迷 悟 を
述
べ 、実
行 の 小 乗 人 を し て 法華
経 に 於 て 信 心 を得
せ し む 。 是 の 故 に 、
諸
の 余 の 声 聞 は 仏 語 を 信 ず る が故
に此 の 経 に 随 順 す と 云 う 。 即 ち 其 の 証 な り 。 (
法
華 義疏
、巻 第 九 、
T
三 四 ・ 五 八 〇 中 ) 即 ち 法華
の教
え に て 身 子 等 の 三 根 の 権 行 の 声 聞 に こ と よ せ て 、 実 行 の 声 聞 に 一 乗 の 教 え を 信 じ さ せ る こ と で 、 可 と 考 え て い る 。 「 譬 喩 品 第 三 」 中 の 「其
余
声 聞 、 信 二 仏 語一 故、 随 二 順 〔 10 )此
経 二 の 文 を 引 用 し 、 「 其 余 声 聞 」 と は 三 根 の 権行
以 外 の実
行
の 声 聞 と 解 し て 、 そ の経
証 と し て い る 。 繰 り 返 す が 、先
の 「吉
蔵
の 成 仏 不 成 仏観
」 中 、実
行
の 声 聞 で あ る 発軫
学 小 (本
乗
声 聞 ) と退
大 為 小 の 声聞
の 相 違 に関
し て 、問 う 、 二 人 何 が 異 な る 。 答 う、 本 乗 の 声 聞 は 昔 大 乗 を 聞
か ず 、
未
だ 菩 提 心 を発
さ ず 、 】 乗 の 種 子 な し 、 無 余 に 入り つ
後
、 仏 に 値 い 経 を 聞 い て 、 方 に 乃 ち 菩 提 心 を 発 す 。退 菩
提
心 の 声 聞 は 、 昔 曽 て 一 乗 を 聞 き 菩 提 心 を 発 し て 一 三 六 一吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) 乗 の 種 子 あ り 、
但
し 中 途 に 大 乗 を 退 し て 小 を 取 る 。現
在 に 一 乗 経 を聞
き 、続
い て 菩提
心 を 発 し 、 自 ら作
仏 を知
る 。 故 に 二 人 異 な る と為
す 。 (勝
鬘宝
窟
、 巻 下之
本 、T
三 七 ・ 六 〇 上 ) と 、 発 軫 学 小 は 一 乗 を 聞 い て未
来 に 、 又退
大 為 小 は 現 在 に菩
( 11 )提
心 を 発 す る 相違
を 指 摘 し た 。 こ の 文 の 定義
よ り 考 え れ ば 、発
軫 学 小 の 声 聞 は 、 身 子等
の権
行 の 声 聞 の 廻 小 入 大 に こ と よ せ ら れ て 、 法華
の 教 え を 信 じ 、 無 余 に 入 っ た後
再 び法
華
経 を聞
き 菩 提 心 を 発 す る こ と に な る 。 こ の 為発
軫 学 小 の声
聞 は 、 現 在 に お い て法
華 経 を 聞 い て も 、 現 世 に お い て 一 乗 に 入 り菩
提 心 を 発 し作
仏
を 知 る実
行
の 声 聞 で は な い 事 に な る 。 こ の 故 に 残 る 退 大為
小
の 声 聞 の み が 、 現 在 に お い て 法 華 経 を 聞 き 、現
世 に お い て 一 乗 に 入 り菩
提 心 を発
す 実 行 の 声 聞 と 云 う こ と に な る 。先
に 「 上 根 の 解 を 得 る 者 は少
し 、 身 子 一 人 の如
し 。 中 根 は 稍多
し 、 四 大 声 聞 の如
し 。 下根
は転
多 く 乃 至 五 百 な り 」 と 云 う文
等 を 先 に 示 し た 。 こ の 中 で 身 子 や 四 大 声 聞 は 権 行 の 人 であ
る か ら 、 実 行 の 退 大 為 小 の 声 聞 は 、 「 下 根 は 転 多 く 乃 至 五 百 な り 」 或 は 「 下 根 の 領 解 は其
の 数無
量 な り 」 或 は 「 下 根 無数
、 略陳
五 百 也 」 の 文 中 の人
数 と な る 。 し か も 「 五 百 弟 子授
記
品 第 八 」 の 註 に は 、 九 に は 、 前 の 五 百 人 は 亦発
迹 あ り 、 亦 発迹
な し 。 満 願 の 如 き は 即 ち発
迹 し 、 余 人 は 発迹
せ ず 。 ( 法 華 義疏
、 巻第
三 六 二 九 、T
三 四 ・ 五 七 八 中 ) と 、満
願 の み発
迹 し 、残
り の 五 百人
は 発迹
し な い 。 こ の 為満
願 は 権行
の 人 と な る が 、 下根
中 の 「 五 百 」 人 が 実 行 の 退 大為
小 の声
聞
と 云 う 事 に な る と 思 わ れ る 。 こ れ ら の 件 に 関 し て は 後 日 調 査 検討
す る に し て も 、法
華 教 を 聞 い て 、 現世
で 一 乗 に 入 り 菩 提 心 を発
す る 廻小
入 大 の菩
薩
の数
は 、 「 無数
、 略 陳 五 百 也 」 で 、 そ れ 以外
の 本 学 小 乗 は 一 乗 の 機 に ふ れ 信 心 を 起 す も の の 、 来 世 で な け れ ぽ 菩 提 心 を発
す る 事 が 出 来 な い 様 で あ る 。 三本
乗 縁 覚 と 部 行 縁 覚 所 で 吉 蔵 が声
聞 と 縁 覚 の 同 異点
を 論 じ て い る 所 が あ る 。 そ の中
で 、三 に は 時 異 、
声
聞 は 仏 と 同 世 な れ ど も 、縁
覚 は 仏 と 異 世な り 。 ( 法
華
義 疏 、巻
第
八 、T
三 四 ・ 五 六 八 下 ) と 、 声 聞 と の 別 異 点 を 縁 覚 は無
仏
時
に 世 に 出 る と述
べ る 。無
仏 世 に 縁 覚 が 出 る 理 由 に つ い て 、問 う 、 其 の 人 は 何 が 故 ぞ
仏
に 値 わ ざ る や 。 答 う 、其
れ 声聞 の 師 に
従
う を 恥 じ 、 仏道
の 長 遠 な る を 椰 っ て 、 二 盈の 間 に 故 に 無 仏 世 に 出 づ 。 (
中
観 論 疏 、 巻 第 八 末 、T
二四 ・ = 一 八 中 ) と 、
声 聞 の 様 に
仏
か ら 教 え を 聞 く 事 を 恥 じ 、 仏 道 修 行 の長
遠
な る事
を憚
っ て 、 こ と さ ら に無
仏 世 の 時 に 出 現 す る と 云 ( 夥 う吉 蔵 は 、 縁 覚 に つ い て、 『 法
華
玄 論 』 中 で 「 総 論 二 縁 覚 噴 凡有
二 四 種 こ と 述 べ 、一 、 本 乗 縁 覚
二 、 非 本 乗 縁
覚
三、 部 行 縁 覚
四、
変
化 縁 覚 の 四 種縁
覚
を 説 く 。こ の 内 、 第 一 の 本 乗
縁
覚 と第
三 の 部 行 縁覚
と が縁
覚 果 を得
て し ま っ た 場 合 に現
世 に お い て は 、 成 仏 と 全 く 無縁
の 縁覚
と な る 。 第 一 の 「 本 乗 縁 覚 」 と は 、一 者 本 乗 縁 覚 、 謂 本 発 二 縁 覚 心 一 後 得 ご 縁 覚 果→ 但 此 人 有 昌
多
経 ツ劫
、 而 釈 論 及 余 論 略 挙有
レ ニ 、 一 極 遅 百劫
、 百 劫 者此 是 大 辟 支 、
倶
舎
論 秤 二 犀 角 喩 百劫
一 也 、 二 極速
四 世 、中
聞 則 多 小 不 定 、 此 二 種 人
成
二縁
覚
果
( 決 定 不 レ 値 レ 仏、 ( 中略 ) 、 若 爾
者
、 法華
之 座 何 由有
二 縁 覚 一 耶 、 ( 巻 第 五 、T
三四 ・ 四 〇 〇 下 − 四 〇 一 上 ) と 、 最 初 に 縁 覚 心 を
発
し 、 そ の ま ま 最 後 に 縁覚
果 を 得 る と こ ろ の 縁 覚 で あ る 。 縁覚
果 を得
る の に 最 も 時 間 が か か る老
で 百 劫 、 一 番 早 い の が 四 世 で 、 そ の 中 間 の 者 も あ る 。 い ず れ に せ よ縁
覚
果 を 得 て し ま っ た 本乗
縁
覚
は 、 「 決 定 し て 仏 に 値 わ ざ 吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) る 」 が 故 に と あ る ご と く 、法
華 の 会座
に は 存 在 し な い 縁覚
で あ り、 現世
に お い て は 、 菩 提 心 を発
す る こ と の 出 来 な い 不 成 仏 の 縁 覚 で あ る 。 第 三 の 部 行縁
覚 と は 、 三者
、倶
舎 論 復有
二 部 行 縁 覚 ハ其
人 自有
二 徒衆
部儻
→如
三仏
有 二弟
子 眷属
→ 故 名 二 部 行 → 此人
行
レ行
不 竺 必 具 満 二 百劫
一 亦 可 二 六 十劫
→ 如 二 身 子時
節 一 故 也 、 問 、 此 人 値 レ仏
不 、答
、亦
不 レ値
レ 仏 也 、 (前
同 、T
三 四 ・ 四 〇 一 上 ) と、 独覚
で も 集 団 の 縁覚
で あ る 。 こ の部
行 縁覚
は 、 前 の 本 乗 縁 覚 中 の犀
角
喩 に 対す
る も の で あ る 。 即 ち 「 犀角
愉 の 辟支
あ ( 13 ) り 、 独 り自
ら 出 世 す 」 と 、犀
に唯
一 つ の 角 の み あ る が ご と く 、 辟 支 仏 も唯
一 人 他 と は 独 立 し て 縁 覚 果 を得
る 者 で あ る 。( 14 ) こ れ に 対 し 「 部 行 の
辟
支
あ り 。 亦 た 部 党 眷 属 あ る な り 」 と あ る ご と く 、 集 団 の 縁覚
の事
で あ る 。 こ の 部 行 縁覚
も 、 「 亦 仏 に 値 わ ざ る な り 」 と 云 う か ら、 現 世 で は 法 華 教 を 聞 か ず 、 菩 提 心 を起
す
こ と な く 、 成 仏 と 無 関 係 の 縁 覚 と な る 。 四非 本 乗 縁 覚 と 変
化
縁 覚 四 種縁
覚
中 残 る は 第 二 の 非 本 乗 縁覚
と 第 四 の変
化 縁 覚 であ
る 。非
本乗
縁 覚 と は 、 二 者 、 非 本 乗 縁 覚 、 其 人 本 是 声聞
、 於 二 仏 法 中 一 証 二得
初
果 哨初
果 人 但 十 四 生 満値
レ 仏 、 則 成 二 羅 漢 → 不 レ値
レ 仏 成 二 = = ハ 三吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) 辟
支
→ ( 前 同 、T
三 四 ・ 四〇
一 上 ) と 、 最 初 か ら 縁 覚 で な く 、 本来
は 声 聞 の 人 で あ る 。 初 果 の 時 仏 に 会 え ぽ羅
漢 と な り 、会
え な け れ ば辟
支
と な る 縁覚
で あ る 。 『浄
名 玄 論 』 中 に は 、 二 非本
乗
縁覚
有
三 一 人 → 一 者 本 是 声 聞 、値
二 無 仏 世 一 故 成 二 縁覚
ハ ニ 本 是 菩 薩 、 無 レ値
二仏
世 ハ退
取 ゴ小
乗
一 亦 名 二 縁 覚 → 故 釈論
云 、 菩薩
證 二 於 四諦
一 成 二 辟 支 仏 齟 也、 ( 巻 第 七 、T
三 八 ・九
〇 一中
) と 、 声 聞 の み な ら ず 菩 薩 で も 、無
仏 世 に 出 会 え ば 縁 覚 と な る こ と も あ る と述
ぺ て い る 。 し か し こ の 非 本 乗 縁覚
は 、 縁 覚 と な っ て し ま っ て も 、 値 仏 の 義 が あ る と 云 う 。如
レ 此 之 人 、或
有
二値
レ 仏 義 → 以 下 共 成 二 辟 支 一 竟 ハ 而 仏 便 出 世 故 有 二値
仏 義 一 也 、 問 、 華 厳 云 下 放 レ 光 照 レ 之令
レ滅
及移
叩 他方
坤 云 何得
レ 値 レ 仏 耶 、答
、 此 人 本 願 レ 見 ソ 仏、与
二 前 人 一 異 故 不 レ 例 也 、 ( 法 華玄
論
、 巻 第 五 、 丁 三 四 ・ 四〇
一 上 ) 即 ち 、 非 本 乗 縁覚
は 根 っ か ら の 縁 覚 で は な く 、 本 来 が 声 聞 や 菩 薩 な る が 故 に 、 先 の 本 乗 縁 覚 と は 異 な り 、 縁 覚 と な っ て も 値 仏 の義
があ
る と 云 う。 又 更 に 、 問 、 但 初果
不 レ値
レ 仏 成 二縁
覚 → 二 果 三 果 不 レ 値 レ 仏 亦 成 二 縁 覚 一 耶 、 答 、 倶舎
論 云 、 二果
不 レ 値 二 仏 法 一亦
成 二 縁 覚 ¶ 而 不 ン 出 一 一 三果
文
→ 但 得 二 那含
一 竟値
ン 仏 成 二羅
漢 → 脱 不 レ 値 レ 仏三 六 四 亦 有 下 成 二
縁
覚
一 義 恥 但 此 義 既少
故 経 論 不 レ 出 レ 之 耳 、 (前
同 頁 ) と 、 初 果 の 須 陀 沮 の み な ら ず 、 二 果 の 斯 陀 含 、 三 果 の阿
那
含
果 を得
竟 っ て も 、 仏 に 会 え ば 羅 漢 と な り 、会
え な け れ ば 縁 覚 と な る 。 以 上 の ご と く 非本
乗 縁 覚 は 、 本 来 が 声 聞 や 菩薩
な る が故
に 、 仏 に 会 え ば 羅漢
と な る が 、 仏 に 会 う こ と が 出 来 な け れ ぽ 、縁
覚
と な る 。残
る 第 四 の 変 化縁
覚 は 、 四 老変
化 縁 覚 、 以 卞衆
生 応 中 見 − 此 人 在 二 仏 世 一 而 悟 上故
仏 世 有 レ 之 也 、 (前
同
頁 ) と 、 縁 覚 で あ る が 、 仏 世 に在
っ て 悟 る 縁覚
で あ る か ら 、変
化縁
覚
と 云 う 。 具 体的
に は 迦葉
が そ の 例 で あ る 。 問 、 迦葉
是 何等
根 性 耶 、答
、 此 是 本 乗 縁覚
人 、 非 二 七 生 須 陀 沍 人 一 也 、 ( 前 同 頁 ) 即 ち 迦 葉 は 「 本発
二 縁 覚 心 こ の 本 乗 縁覚
で あ っ た 。 そ の 本 乗 縁覚
が 仏 と 会 っ た が 故 に 声 聞 に 変 化 す る 。 『 法華
玄 論 』 で は 、 二 者 迦 葉 之 流 、 不 レ 値 レ 仏 即 成 呂縁
覚
→ 値 レ 仏 即 事 レ 仏 為 レ 師 也為
二弟
子 → 故 名 二 声 聞 一 耳 、 根 性如
レ 故 、 此 是 不 卞転
二 中根
鰯 為 中 下根
上 也 、 ( 巻 第 五 、T
三 四 ・ 四〇
「 中 ) と 、 迦葉
は 仏 に会
わ な け れ ば 本 乗縁
覚 な る が 故 に縁
覚 果 の 人と な る は ず で あ っ た 。 し か し 仏 に 会 い 師 弟 関 係 が 成 立 し
弟
子 と な っ た か ら 声 聞 と 名 づ け た 。 こ の 為 迦葉
の根
性 は 、 中根
の 縁 覚 か ら 下 根 の 声 聞 に 下落
し た の で は な く 、 も と の中
根 の根
性 の ま ま で あ る と 論 じ て い る 。 又 『 法 華 義 疏 』 中 に は 、 迦 葉 は 本 是 れ 縁 覚 の根
性 な り し が 、 仏 に値
い し が 故 に 声 聞 と 成 る 。 (巻
第 五 、T
三 四 ・ 五 二 二 下 )或
は 『浄
名
玄 論 』 中 に は 、 二 非 本 乗 声 聞 、 開為
三 一 人 ( 本 是 縁 覚 、発
二 縁 覚 心 一行
二 縁 覚行
→ 中 間 値 レ仏
、 因 レ 教 得 道、転
名 二 声 聞 → 即 迦 葉 是 也 、 ( 巻第
七 、T
三 八 ・ 九 〇 一 上 ) と 、 迦葉
は も と 縁 覚 で あ っ た が 声 聞 に 変 化 し た 変 化 縁 覚 だ と 述 べ る 。 『浄
名玄
論 』 で は 変 化 縁覚
を 非 本 乗 声 聞 と 呼 ん で い る が 、意
味 と し て は 同 内 容 であ
る 。 迦 葉 は 本乗
縁 覚 で あ る と 述 べ た が 、 本 乗 縁 覚 と は 「 本 と 縁 覚 の 心 を 発 す 」 と あ る ご と く 、 出 発 点 が 縁覚
だ と 云 う 意味
で あ る 。 こ の為
に 縁 覚 果 を得
る 以前
に 、 本 乗 縁 覚 で も 迦 葉 の 様 に 声 聞 に変
化 す る 場 合 が 出 る 。 こ の 点 に 関 し て 、 問 、 大小
縁 覚 未 二 得 果一 時 、 見 レ 仏 以 不 、如
二 四 世 得 果一自
二 三 世一 已 来得
γ 値 レ 仏 不 、 乃 至 百劫
未
満所
作 二 是 問 噛 答 、 或 値 レ 仏 、或
不 レ 値 レ 仏 、 此 無 レ 定 也 、 ( 法華
玄 論 、 巻 第 五 、T
三 四 ・ 四〇
一 上 ) と 、 四 世得
果
、 百 劫 得 果 以 前 の 縁 覚 に は 、 仏 に 会 う こ と も あ 吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) り 、 又 会 う こ と も な く 、 不定
で あ る と 論 じ て い る 。 迦 葉 は縁
覚
果 を 得 る 以 前 に 仏 に 会 っ た 例 で あ る 。 以 上 四 種 の 縁覚
に つ い て 述 べ た が 、吉
蔵 は 「 法華
の 座 中 に( 15 ) は 縁
覚
な き な り 」 と 主 張 す る 。 即 ち 、 問 、 何 故 唯有
二 声 聞領
解 → 無 二 縁 覚 領解
一 耶 、 答、 本 乗 縁覚
、 不 レ在
レ 座 故 不 レ得
二 領 解 噛 因 人 、 行浅
故 未 レ 得 レ 同 一 一 三 根 声 聞 領 解受
記 嚇 是 故 不 レ 説 也、変
化 縁 覚 、 不 レ 須 レ 明 二 其 領解
一 也、 又 法 華会
所
レ 無 也 、 ( 前 同 、T
三 四 ・ 四 〇 一中
ー
下 ) と 、 縁 覚 の 果 人 は 法華
の 座 に い な い し、 又 縁 覚 の 因 人 は ま だ 三 根 の声
聞 の 様 に 領解
す る ま で に い た ら な い の で 説 か な い等
の 理 由 で 、縁
覚 は 法華
の 座 に は存
在 せ ず 、 法 華 に て菩
提 心 を発
せ な い 人 々 で あ る 。 但 し 、 非本
乗 縁 覚 や 迦 葉 の様
な 変 化縁
覚
が 、 仏 に 会 っ て 声 聞 と な り 、機
が 熟 し て 法 華 に て廻
小 入 大 し、 菩 提 心 を 発す
る こ と は あ る 。 以 上 『 法 華 玄論
』 中 の 四 種縁
覚
を 中 心 に 述 べ た が 、 『 中観
論 疏 』 「 法 品 」 中 の 縁 覚 の 内 容 等 を合
わ せ 図 示 す る と 、 次 の 様 に な る 。丶 本 乗 の 辟 支 本 乗 縁
A
覚賢
醗
雛
コ
非 本 乗
声
開 三 六 五吉 蔵 の 成 仏 不 成 仏 観 ( 二 ) ( 末 光 ) 鰭 聴
Y
愛
干
崋
本馨
五 法華
以 後 に お け る 成 仏 観 以 上 論述
し て来
た 様 に 、 法華
の 教 え を 聞き
、 一 乗 に 悟 入 し菩
提 心 を 発 し 作 仏 を 知 る 退 菩 提 心 の 声 聞 等 は 、法
華 経 に て 救 わ れ る か ら 良 い 。 し か し 今 回 論 じ た様
に、縁
覚
に 関 し て は、( 16 ) 「 法 華 座 中 無 二 縁 覚 一 也 」 と 吉 蔵 は 考 え る か ら 、 法 華 の 教 え を 聞 こ う に も 聞 け
ず
、 菩 提 心 を 発 す る機
会 が 全 く な い 。 又 現 世 に て 法華
の 教 え を 聞 い た と し て も 、 法 華 に て 菩 提 心 を 発 す る こ と の出
来
な い 鈍 根 の 人 々 は 、 ど の 様 に し て 成 仏 出来
る機
会 が あ る と 吉 蔵 は考
え る の か 。 こ の点
に 関 し て吉
蔵 は 、法 華 教 で 菩 提 心 を
発
し な い 者 は 涅 槃 教 に て 、 更 に 現 世 の 法 華 ・ 涅槃
の 教 え で 菩提
心 を 発 し な い 者 は 、 来 世 に て そ の 機 会 が あ る と 考 え る 。 第 一 の法
華 教 に て 菩 提 心 を 発 し な い 者 が 、 涅槃
の 教 え に て 菩 提 心 を 発 す る 場 合 に つ い て 述 べ る 。先
に 法 説 ・ 譬 説 ・ 宿 世 因 縁 説 の 三 周 説 に 対 応 さ せ て 、 身 子 が 上 根 、 四 大 声 聞 が 中根
、無
数 乃 至 五 百 が 下 根 で あ る と 述 べ た 。 こ の 様 に 法 華 の 教 え の 中 で 、 衆 生 の 利 鈍 に 応 じ て 上根
巾根
下 根 の 三根
に 分 け た 。 し か し こ の 様 な 分 け 方 の み な らず
釈 迦 説 教 現 世 中 で 、 そ 三 六 六 の 利 鈍 に 応 じ て 上 中 下 の 三根
に 分 け る 場 合 も あ る 。若 し 現 在 に 就 い て 三 根 を 弁 ぜ ば 、 法 華 の 前 に 直
往
の 菩 薩已 に 悟 を
得
る 者 を 名 け て 上根
と な し 、 法華
に 至 っ て 廻 小入
大
す る を 名 け て 中 根 と な す 。 故 に涌
出 品 に 云 く 、 初 め我 が 身 を 見 我 が 所 説 の 法 を 聞 き 即 便 信
受
し て 仏慧
に 入 ると 、 謂 く 上
根
な り 。前
よ り 修習
し て 小乗
を 学 せ る 者 を 除く (
是
の 如 き の 人 も )今
此 の経
を 聞 い て 亦 仏慧
に 入 ると 、 謂 く 中
根
な り 。 此 よ り 已外
の 猶 未 だ 得 道 せ ず滅
を 唱え 為 に 浬
槃
を 説 く を 聞 い て 方 に 悟 を得
る 者 は 、 謂 く 下 根な り 。 ( 法
華
義
疏 、 巻 第 十 、T
三 四 ・ 六C
八 上 )即 ち 釈 迦 説 法 中 、 法 華 以 前 の 教 え に て
悟
入 す る直
往 の 菩薩
を 上 根 と 云 う 。 こ れ に 対 し 法華
教 に て 廻小
入 大 す る菩
薩 、 つ ま り 先 に 示 し た 身 子 や 四大
声 聞 等 の 三 根 を 全 て 中根
と す る 。 し か し 法 華 に て 一 乗 に悟
入 出 来 な い 声 聞 に対
し 、涅
槃
教 を 説 き 、 こ の 教 え に て 悟 入 す る 者 を 下根
と す る 。 こ の 釈迦
現
世 の 教 え を 三根
に 当 て は め る考
え は、 三論
伝統
説 で あ る 。 即 ち 、相 伝 云 、 宝 性 論 云 、 大 品 等 為 二 利
根
菩 薩一 説 、 法 華 為 二中
根人 一
説
、 涅 槃 為 二 下 根 人 一 説 、 ( 法華
遊 意 、T
三 四 ・ 六 四 一 中 ) と 、 三 論 相 伝 説 と し て 、 大 品等
上 根、 法 華 中根
、 涅 槃 下根
と 教 え と機
根 を 対 応 さ せ て い る 。今 こ こ で 特 に 問
題
と し た い の が 下 根 の 声 聞 の こ と で あ り 、( 17 ) こ れ を 「 寿 量 品 」 中 の 「 失 心 の 子 」 に 愉 え る 。
華