平成 27 年度広島県立総合技術研究所畜産技術センター研究成果発表会報告要旨 216 年 2 月 1 日広島県立総合技術研究所畜産技術センター

(1)

平成

27

27 年度総合技術研究所畜産技術センター成果発表会

年度総合技術研究所畜産技術センター成果発表会

および

および広島県飼料稲活用・普及検討

広島県飼料稲活用・普及検討

広島県飼料稲活用・普及検討会

会

合同研修会

合同

研修会

次第

日時平成２８年２月１０日（水）１０：３０～１５：３０

場所みよしまちづくりセンターぺぺらホール

（所在地：三次市

十日市西六丁目 10 番 45 号

）

１開会（10：30）

あいさつ県立総合技術研究所長松岡孟

広島県飼料稲活用・普及検討会会長一般社団法人広島県畜産協会田川専務理事

２事例発表（10:45～11：05）

『養鶏への飼料用米利用の取組について』

ＪＡ全農ひろしま鶏卵課生産担当課長塩田信通

３畜産技術センター成果発表（11:05～11:30）

『飼料イネ「たちすずか」の効率的バンカーサイロ調製技術』

飼養技術研究部副部長河野幸雄

４ポスターセッション（11:30～12:00）

昼食（12:00～13:00）

５基調講演（13:00～14:00）

『ブランド化を目指した飼料イネ，飼料用米を活用したＴＭＲ等調製利用』

一般社団法人日本草地畜産種子協会吉田宣夫（飼料イネアドバイザー）

６畜産技術センター成果発表（14:10～14:50）

『乳用牛へのイネＷＣＳ「たちすずか」の微細断ＴＭＲ給与技術』

飼養技術研究部副主任研究員城田圭子

『肥育牛へのイネＷＣＳ「たちすずか」ＴＭＲ給与による生産への効果』

飼養技術研究部副主任研究員福馬敬紘

７総合討議（14:50～15:20）

８閉会（15：30）

あいさつ

県立総合技術研究所畜産技術センター長藤井司

(2)

平成

平成２７

２７ ２７年度

２７ 年度

年度

広島県立総合技術研究所

畜産技術センター研究成果発表会

報告要旨

２０１６年 2

月１０日

広島県立総合技術研究所畜産技術センター

(3)

目

次

【

【研究成果発表

研究成果発表

研究成果発表】

】

（１）

（１）飼料イネ「たちすずか」の効率的バンカーサイロ調製技術

飼料イネ「たちすずか」の効率的バンカーサイロ調製技術

飼養技術研究部

河野

幸雄 ……1

（２）

（２）乳用牛への飼料イネ「たちすずか」の微細断ＴＭＲ給与技術

乳用牛への飼料イネ「たちすずか」の微細断ＴＭＲ給与技術

飼養技術研究部

城田

圭子……7

（３）

（３）肥育牛への飼料イネ「たちすずか」ＴＭＲ給与による生産への

肥育牛への飼料イネ「たちすずか」ＴＭＲ給与による生産への

効果

飼養技術研究部

福馬

敬紘……13

(4)

飼養技術研究部河野幸雄

H27

H27年度畜産技術Ｃ成果発表会

年度畜産技術Ｃ成果発表会

飼料イネ「たちすずか」の

効率的ﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ調製技術

近畿中国四国

農業

農業研究ｾﾝﾀｰ

研究ｾﾝﾀｰ

株式会社

タカキタ

岡山大学

広島県

畜産技術ｾﾝﾀｰ

酪農業協同組合

農食研究推進事業（H25-27）

「画期的WCS用稲『たちすずか』の特性を活かした

微細断収穫調製・給与体系の開発実証」

WCS用稲の画期的新品種

たちすずか

微細断

収穫技術

収穫

収穫・輸送

・輸送

・減容化

⇒効率化効率化効率化・コスト低減効率化・コスト低減・コスト低減・コスト低減「一度にたくさん運べる」「安く運べる」従来（3cm）より短く細断

保存

保存・

・

・WCS調製

調製

・高密度

⇒品質品質品質向上・コスト低減品質向上・コスト低減向上・コスト低減向上・コスト低減「もっと良いWCS」「ﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ利用」

家畜

家畜への給与

への給与

・微細化

⇒高摂取高摂取高摂取高摂取・高生産・高生産・高生産・高生産「たくさん食べてたくさんとれる」

【ねらい】わが国に最適な稲WCSの効率的収穫調製給与体系

牛乳牛乳

ワゴンタイプ：

ワゴンタイプ：SMW5200

（発売：（発売：（発売：（発売：H28年年年年6月予定）月予定）月予定）月予定）

ロールベーラタイプ

ロールベーラタイプ：：：：SMR1020

（発売：（発売：H28年（発売：（発売：年年11月以降）年月以降）月以降）月以降）

作業幅1800mm

理論切断長 4段階に切替可能

（ 6・11・19・29mm）

・ディーゼルエンジン搭載

・最大出力 73.8kW（100.3PS）

タカキタ

タカキタ汎用型微細断飼料

汎用型微細断飼料

汎用型微細断飼料収穫機

収穫機

収穫

収穫・

・

・輸送

輸送

ワゴンタイプ

5.2m3

☆微細断により減容化

2tﾀﾞﾝﾌﾟに1t積載可

ロールベールタイプ

☆微細断により減容化

ﾛｰﾙ重量は最大400kg前後に

効率輸送

効率輸送!

!

保存

保存・

・

・WCS調製

・

調製

詰込密度

バンカーサイロ

☆微細断により

乾物密度

150kg/m

3

_以上

ロールベール

☆乾物密度150kg/m

3

_以上

高密度調製

高密度調製!

!

(5)

402

394 ₃₇₀

351 ₃₂₉

304

205 ₂₀₀

188 ₁₈₂

169 ₁₅₈

0 50 100 150 200 250 0 100 200 300 400 500 600

6

8

11

15

19

29 乾

乾

物

密

度

ロ

ー

ル

重

量

理論切断長

理論切断長 mm

mm

●乾物密度

ﾛｰﾙﾍﾞｰﾙｻｲﾚｰｼﾞ

kg/m3 kg ロール重量

ﾛｰﾙﾍﾞｰﾙｻｲﾚｰｼﾞ

6mm

11mm

19mm

6mm

11mm

19mm

理論切断長

■乳酸菌添加

■無添加

微細断の効果：ﾛｰﾙﾍﾞｰﾙｻｲﾚｰｼﾞ

切断長が短いほど

・詰込密度が向上

⇒

運搬・保管に有利

・

pH

が低く，乳酸含量が高い

⇒

発酵品質良好

バンカーサイロ

【長所】

・調製コストが安い

・作業効率（詰込、取出し）が良い

※適合条件（圃場から近い）

【短所】

・比較的気密性が低い

・好気的変敗リスクが大きい

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0

30

60

90 ｻｲﾛ内

窒素%

調製後日数

ﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ

ﾛｰﾙﾗｯﾌﾟｻｲﾛ

ﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ：比較的気密性が低い

空気侵入

の指標

空気

（窒素80%）

ﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ：好気的変敗リスク大

★ﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛの取出し

・１回に少し（使用量）

だけを切り出す。

切り出し面は

長時間空気と接触。

(6)

☆乳酸菌豆知識

ｻｲﾚｰｼﾞ調製におけるイネの特徴

【短所】低密度＆低糖分（従来品種）

茎が中空構造のため

詰込密度が上がりにくい

糖含量が5%未満のため

pH

が高く，酪酸発酵しやすい

高密度

高糖分

酢酸

稲

稲WCSのﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ調製

のﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ調製

バンカーサイロ調製試験

①乳酸菌添加効果の検討

②切断長の比較

①乳酸菌添加効果の検討

コンクリート擁壁バンカー間口3m 奥行6m 高さ1.2m 「サイロＳＰ」 ※収穫時に噴霧

【収穫調製】

・H26年10月23日

・たちすずか

（出穂後約45日）

・微細断収穫機（試験機）

・理論切断長 6mm

【開封調査】

・H27年9月15日～10月末

・毎日20cm掘出し

・品温、発酵品質を調査

4.0 _3.9

0

1

2

3

4

5 SP

添加無添加

ｐ

ｐｐ

ｐH

乳酸菌添加効果（発酵品質）

（原物中%）

乳酸菌乳酸酢酸酪酸 1,2PDｴﾀﾉｰﾙ

SP

添加

1.22 1.47 0.00 1.07 0.38

±0.76 ±0.35 ±0.00 ±0.23 ±0.02

無

2.32 0.61 0.01 0.06 0.86

±0.29 ±0.30 ±0.01 ±0.02 ±0.10 1,2PD：ﾌﾟﾛﾊﾟﾝｼﾞｵｰﾙ

(7)

乳酸菌添加効果（品温変化）

10

15

20

25

30

35

40 09/13

09/23

10/03

10/13

10/23

温

度

℃

無添加

SP

添加

外気温

廃棄

一気に増殖し発熱

空気の

進入

酵母が生残

空気の

進入

酢酸が酵母を抑制

空気に触れても

発熱しにくい

酢酸酢酸酢酸酢酸酢酸酢酸酵母菌 _{ﾊﾞﾝｶｰｼｰﾄ}

乳酸菌の効果：バンカーサイロ

ﾍﾃﾛ発酵型乳酸菌の添加により

・酢酸，ﾌﾟﾛﾊﾟﾝｼﾞｵｰﾙが増加

※ﾍﾃﾛ発酵型乳酸菌の特徴

・開封後の発熱を強力に抑制

⇒

好気的変敗抑制効果：

大

②切断長の比較

コンクリート擁壁バンカー間口3m 奥行6m 高さ1.2m

【収穫調製】

・H25年10月21日

（出穂後約45日）

・11月26日

（出穂後約80日・肥育牛用）

・たちすずか

・微細断収穫機（試験機）

・乳酸菌「ｻｲﾛSP」添加

【開封調査】

・H26年7月9～24日

（10月収穫分）

・H26年8月18～31日

（11月末収穫分）

・1日40cm掘出し

・品温、発酵品質を調査

10 月収穫

11 月末収穫（肥育牛用）

詰込

取出し

155 ₁₅₀

143

149

130

121

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180 6mm

11mm 19mm

6mm

11mm 19mm

10 月収穫

11 月末収穫

乾物密度

kg/m

3

(8)

発酵産物・残存糖（原物中%）

収穫

時期

理論

切断長

pH

乳酸酢酸酪酸 1,2PD ｴﾀﾉｰﾙ糖類

10月

6mm

3.80 2.44 0.65 0.03 0.11 0.34 0.42

_±0.09 _±0.49 _±0.19 _±0.01 _±0.05 _±0.18 _±0.1

11mm

3.92 2.11 0.49 0.00 0.16 0.27 0.50

_±0.15 _±0.59 _±0.18 _0.00 _±0.09 _±0.14 _±0.17

19mm

4.06 1.01 1.25 0.05 0.02 0.73 0.46

_±0.13 _±0.42 _±0.21 _±0.05 _±0.01 _±0.17 _±0.11

11月末

6mm

4.08 1.64 1.33 0.01 0.76 0.57 2.02

_±0.15 _±0.5 _±0.29 _±0 _±0.27 _±0.21 _±0.41

11mm

4.15 1.66 1.49 0.03 0.93 0.64 2.00

_±0.1 _±0.27 _±0.13 _±0.04 _±0.14 _±0.12 _±0.31

19mm

4.24 1.49 1.41 0.02 0.64 0.83 1.38

_±0.12 _±0.38 _±0.29 _±0.01 _±0.26 _±0.29 _±0.47

15 20 25 30 35 40 7/9 7/117/137/157/177/197/217/23

10 月収穫

気温 6mm 11mm 19mm

4 日間取出し休止

品温変化

最高気温（庄原） 15 20 25 30 35 40 8/18 8/20 8/22 8/24 8/26 8/28 8/30 9/1

11 月末収穫

気温 6mm 11mm 19mm 発熱発熱発熱発熱

【カビ好発部】先端部（ｼｰﾄの皺）壁の隙間後壁際

Ｌ字型ﾌﾞﾛｯｸ壁

サイレージ

バンカー種別

_{（両端以外）}

廃棄率

備考

10月調製

11mm

6mm

8%

5%

19mm

2%

11月調製

11mm

6mm

2%

4%

8/25（雨天中4日）_{のデータも除外}

19mm

7%

変敗・廃棄

ﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ

空気の進入踏圧不足

微細断の効果：バンカーサイロ

微細断（

+

乳酸菌）により

※ﾍﾃﾛ発酵型

・詰込密度が向上

・開封後の発熱は問題なし

・廃棄率は

2 ～

8%

※両端部以外

※切断長（

6 ～

19mm

）による違いは無し

⇒

「たちすずか」

WCS

の

バンカーサイロ調製は可能

近畿中国四国農業研究センター・試算

・片道30分以内の近距離輸送

・片道10分輸送の場合，

WCS

調製費用を20%低減

その他

固定サイロ，

コンビラップとの

組合わせも有効

簡易バンカーサイロ事例

ｷｭｰﾌﾞﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ 4×10×0.9m（三次市三和町）ｷｭｰﾌﾞｻｲﾛを並べて壁を形成ｷｭｰﾌﾞﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ 6×30×0.9m（東広島市豊栄町）ｷｭｰﾌﾞｻｲﾛを並べて壁を形成屋根付きﾊﾞﾝｶｰ 2.5×8×0.6m ×3基（島根県飯南町）外壁（L字ｺﾝｸﾘｰﾄ）内壁（単管+ｺﾝﾊﾟﾈ）Ｌ字型ｺﾝｸﾘｰﾄ擁壁ｻｲﾛ 3×6×1.2m×6基（畜産技術ｾﾝﾀｰ）建築用のＬ字型擁壁を並べて壁を形成（奥は単管とｺﾝﾊﾟﾈ製）

(9)

前傾水はけ良く，水の侵入防止前方に広いスペースを確保ﾀﾞﾝﾌﾟ・ﾛｰﾀﾞｰ作業設置場所大きさ充分な間口ﾛｰﾀﾞｰ車輪幅の二倍以上 ※狭いと中央部が踏圧できない使用量に応じた間口 1日の取出し量（給与量）に見合った大きさに設定 1日あたり最低15cmは取出すように設計 ※間口3m高さ1mの場合15cm取出し量は約200kg （試算条件：乾物密度150kg/m3，乾物率33.3%）踏圧作業中凹または平ら壁際も踏みやすい中凸壁際が踏めない運転難，危険密封隙間なく包装ﾊﾞﾝｶｰｼｰﾄを丁寧に隙間なく覆う壁の内側は床までｼｰﾄで覆う上部は土嚢などで確実にｼｰﾄを押える取出し丁寧に1日15cm以上取出すｼｰﾄは掘出す部分だけ切り取るか捲ってｻｲﾛ本体に極力空気を入れない。 ※乱暴な取出しはNG 取出し面を長い間空気に曝すと変敗するので毎日15cm以上取出す。

ﾊﾞﾝｶｰｻｲﾛ

調製の要点

取出し幅

(10)

乳牛への飼料イネ「たちすずか」の

微細断

微細断TMR

TMR

TMR給与技術

TMR

給与技術

飼養技術研究部

城田

城田圭子

圭子

H27

H27度畜産技術センター

度畜産技術センター

度畜産技術センター成果発表会

度畜産技術センター

成果発表会

たちすずかの乳牛への給与効果

・不消化子実

が少ない

・繊維の消化

性が良い

・栄養価が

高い

従来品種「クサノホシ」に比べ

乳量

体重

乾物摂取量

＝

TMR

の乾物摂取量当たりの咀しゃく行動

総そしゃく時間採食時間反芻時間

たちすずかTMRは茎葉

の摂取量が多い

※粗飼料価指数（RVI：乾物摂取量1kg当たりの総咀しゃく時間）飼料のそしゃく刺激効果を評価する値で，31分分分分が乳脂率3.5%維持の目安従来品種たちすずか総そしゃく時間，総そしゃく時間，総そしゃく時間，総そしゃく時間，反芻反芻反芻反芻時間が長い時間が長い時間が長い時間が長い

乾物摂取量の増加効果がないのは

…

茎葉

RVIが高いと飼料摂取量が制限され、低いと第一胃の機能が

損なわれる

炭水化物

繊維

NFC

(澱粉,糖）

酢酸

ﾌﾟﾛﾋﾟｵﾝ酸

酪酸

揮発性脂肪酸

pH

低下

pH

安定化

だ液

pH

大きく低下

ルーメンアシドーシス

食欲低下，乳脂率低下，下痢，蹄葉炎など ※pH5.6>が3時間以上継続すると潜在性ルーメンアシドーシス

ルーメン機能維持

吸収

微生物

急激な増加

飼料

第一胃（ルーメン）の発酵と機能維持

長い

短い

粗飼料の切断長が及ぼす影響

通過速度

消化率

乾物摂取量

＜

＞

ＲＶＩ

＞

＜

従来品種

子実排せつ率は

30

30 30m

m

mm

m

m＜

＜

＜10mm

10mm

飼料イネの切断長

「たちすずか」

微細断の影響

？

(11)

微細断WCSの乳牛への給与効果

●期待される効果

・乾物摂取量の増加

●懸念される影響

・消化率の低下

・子実排せつの増加

・健康への影響

（ルーメンアシドーシスなど）

・コストの低減

農食研究推進事業（H25-27）

「画期的WCS用稲『たちすずか』の特性を活かした

微細断収穫調製・給与体系の開発実証」

近畿中国四国

農業

農業研究ｾﾝﾀｰ

研究ｾﾝﾀｰ

株式会社

タカキタ

岡山大学

広島県総研

畜産技術ｾﾝﾀｰ

広島県

酪農業協同組合

泌乳試験

1 切断長の検討

（株）タカキタ試作収穫機により収穫

6mm

11mm

29mm

飼料構成

濃厚飼料

65%

ｲﾈWCS

35%

6mm

給与TMR

【設計値】 TDN: 74.1

%DM

CP : 15.6

%DM

NDF: 31.8

%DM

NFC: 39.4

%DM

11mm

29mm

（従来切断長）

供試牛：９頭（1区3頭）

試験期間：1期14日×3

合計42日間

5

4

5

78

73

60

16

20

3

0.4

3

32 0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

6mm

11mm

29mm

>19mm

>8mm

>1.18

<1.18

TMRの粒度

ﾊﾟｰﾃｨｸﾙｾﾊﾟﾚｰﾀ

理論切断長

微細断は，19mm

以上の割合が少

ない

632

687

639

435

444

379

68.4

64.4

58.4

0

10

20

30

40

50

60

70

80

0

200

400

600

800 1000

1200

6mm

11mm

29mm

g/

_日・頭

%

切断長が短いほど不消化

子実割合が増える傾向で

あるが，子実数に差はない

不消化子実割合・子実数

ふん中

子実

WCS

_中

子実

排泄率

(12)

24.2

24.1

23.9

16.3

16.5

67.5

68.7

68.9

0

10

20

30

40

50

60

70

0

5

10

15

20

25

30

35 6mm

11mm

29mm

kg/

日・頭

%

乾物摂取量・消化率

乾物摂取量

可消化

乾物量

乾物消化率

切断長の違いで乾物摂取量・

消化率に差は無い

泌乳成績

kg/

日・頭

%

切断長の違いで乳量・乳脂率に差は無く，

乳成分に問題無し

そしゃく行動

31.6

33.6

33.4

316

334

349

438

452

445

0

5

10

15

20

25

30

35

40

0

100

200

300

400

500

600

700 6mm

11mm

29mm

そしゃく時間・粗飼料価指数（RVI）

RVI 採食反芻

そ

し

ゃ

く時

間

（分

）

/日

分

/乾

物

摂

取

量

（

k

g）

微細断は採食時間が

短くなる傾向であるが，

RVI

は31以上

まとめ

切断長の検討

切断長の異なるWCS（6，11，29mm）を

乾物中35%混合したTMRを給与した結果，

・乾物摂取量，消化率，泌乳成績に差なし

・微細断WCSで顕著な弊害は認められない

輸送コスト、サイレージ調製でメリットの

大きい6mm微細断WCSを乳牛に給与可能

泌乳試験

２ 長期給与の影響

TMR

の飼料構成と成分

長期給与

各区4頭に

2 ヶ月間

継続給与

(13)

泌乳試験

TMR

の粒度分布

10

12

68

63

22

21

0.5

4 0%

20%

40%

60%

80%

100%

微細断区

ﾁﾓｼｰ併給区

>19mm

>8mm

>1.18mm

<1.18mm

チモシー併給区は

19mm

以上の割合

が多い

泌乳試験

泌乳成績

赤字：p<0.05で有意差あり

乾物摂取量，乳量，乳成分に差は無く，乳成分値に問題なし。

体重変化は，微細断区で減少が少ない。

＞

泌乳試験

第一胃内容液性状

※飼料給与後2時間後に採取

赤字：p<0.05で有意差あり

微細断区で酸の産生量が多く，pHが低いが，正常な範囲

＜

＞

泌乳試験

血液性状

赤字：p<0.05で有意差あり

ヘマトクリット，総ケトン体に差を認めたが，明らかな異常は

無し

＞

＜

泌乳試験

微細断（6mm）WCSを25%と35%混合

した発酵TMRを2ヶ月間給与した結果，

・泌乳成績は良好

・微細断WCS単独給与で第一胃pHが低下傾向

※総揮発性脂肪酸量が多い

・血液性状に差を認めたが，食欲低下など明ら

かな異常なし

まとめ

微細断（6mm）WCSの給与は，泌乳成績に問題

なく，利用可能。

第一胃内のpHの低下を考慮し，単独給与よりも

チモシー乾草などの粗飼料との併用が望ましい。

酪農経営における現地実証

(14)

給与実証の概要

飼養形態フリーバーン

飼養頭数搾乳牛110頭

○実証農場

○試験区分と期間

現地実証

飼料構成と成分

現地実証

乳量

微細断区は乳量が

多い傾向

Kg/

日・頭

現地実証

乳成分

赤字の項目に差が認められたが，何れも問題ない値

微細断区で粗蛋白質（CP）の利用効率低下がうかがえる

＞＞＞＞＞＞＞＞＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜

現地実証

血液性状

赤字の項目に差が認められたが，何れも正常範囲

＞＞＞＞＜＜＜＜＜＜＜＜＞＞＞＞＜＜＜＜＜＜＜＜＞＞＞＞＞＞＞＞

現地実証

繁殖成績

微細断区の1頭当たり授精回数は少なく，受胎率

は高い。

(15)

現地実証

経済効果

微細断区は約4.8～7.0%飼料費が低減

まとめ

微細断（6mm）WCSを粗飼料（乾物中32%）中５～６割

TMR

に混合して給与した結果

・泌乳成績：良好

・繁殖成績：良好

・血液性状：正常範囲

・経済効果：飼料費を4.8～7.0%低減

注意：微細断区で粗蛋白質（CP）の利用効率の低下

がうかがわれ，NFCの増加などの飼料構成の

調整が必要

現地実証

全体のまとめ

①微細断（6mm）「たちすずか」WCSは乳牛に

給与可能であり，泌乳成績は良好

②乳量あたりの飼料費を低減することが可能

③他の粗飼料を併給し，乳成分や牛の状態

に注意する

(16)

肥育牛への飼料イネ「たちすずか」

ＴＭＲ給与による生産への効果

平成27年度畜産技術センター研究成果発表（平成28年2月10日）

畜産技術センター飼養技術研究部福馬敬紘

本日の内容

１．肥育牛用「たちすずか」ＷＣＳについて

２．「たちすずか」ＴＭＲの肥育牛への給与

１．肥育牛用「たちすずか」ＷＣＳについて

0 10 20 30 40 飼料イネWCS （黄熟期）イナワラ β‐カロテン含量 mg/kgDM

β‐カロテン含量が多い

肥育牛飼料としての飼料イネの課題

３２

（9.6～144）

４

（0.5～9.3）肉質低下日本標準飼料成分表（2009）肉質良好

β-カロテン含量の低減技術

立毛貯蔵（極遅刈り）

飼料イネの生育に伴うβ‐カロテン含量の推移（平岡ら，2003）

高い耐倒伏性が必要

高糖分飼料イネ「たちすずか」

優れた耐倒伏性

左：従来品種「クサノホシ」，右「たちすずか」 0% 10% 20% 30% 40% 50% 重心重心重心重心生重量分布～105 ～95 ～85 ～75 ～65 ～55 ～45 ～35 ～25 ～15 高さ㎝

(17)

倒伏しにくい「たちすずか」

クサノホシ

たちすずか

立毛貯蔵によるβ-カロテン含量の推移

0 10 20 30 40 50 60 70 80 30 40 50 60 70 80 90 βカロテン含量（ m g／ kg D M ）出穂後日数 10月上旬 11月上旬 12月上旬 N 0 N 7 N 14 N 21 N 28

出穂後90日（12月上旬）でイナワラ並み

0 10 20 30 40 50 60 70 たちすずか適期刈り (出穂後30日) たちすずか極遅刈り (出穂後90日) イナワラ可消化養分総量（TDN）可消化粗タンパク質可消化粗脂肪×2.25 可消化無窒素物可消化粗繊維

極遅刈り「たちすずか」の栄養価

たちすずか極遅刈り＞イナワラ

42.9

50.8

59.8 肥育牛用「たちすずか」ＷＣＳの注意点

カビ発生の防止

ロールの内部にも発生

◇乳酸菌

（ヘテロ発酵型）

酢酸を生成

⇓

真菌類を抑制

◇微細断収穫機

最短6mmの切断長

⇓

サイレージ密度の向上

小

括

肥育牛用ＷＣＳの収穫調製は，

β‐カロテン含量を低減するため

11月下旬～12月上旬に行う

2012.11.12 三原市久井町の「たちすずか」圃場

肥育牛用「たちすずか」ＷＣＳはイナワラに比べて

栄養価が高く，肥育牛に対する効果も期待できる

２．「たちすずか」ＴＭＲの肥育牛への給与

農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業（実用技術開発ステージ）『画期的WCS用稲「たちすずか」の特性を活かした微細断収穫調製・給与体系の開発実証』

において実施したものです。

(18)

給与した「たちすずか」ＷＣＳ

WCSの調製

2013.11.28，2014.11.27-28 三原市久井町試験用微細断収穫機（㈱タカキタ）理論切断長 11mm ロールベール体系 8層巻

WCSの品質

（発酵期間：5～391日）

給与したＴＭＲ

ＴＭＲの調製・給与

① 原料準備 ② 混合 ③ 詰込

④ 脱気・密封 ⑤ 貯蔵（2～4週間） ⑥ 給与（1日1回飽食）

肥育スケジュール

WCS TMR

前期

WCS TMR

前期

WCS TMR

後期

導入

9ヶ月齢

TMR切替

13ヶ月齢 24ヶ月齢

出荷

WCS TMR

前期

WCS TMR

前期

イナワラTMR

前期

イナワラTMR

前期

イナワラTMR

後期

肥育牛：同一父牛（美津百合）半きょうだい牛

TS区 5頭

TS25区 6頭

RS区 6頭

乾物摂取量

TS区・TS25区で多い

7.99 7.82 8.68 8.55 8.98 8.76 7.14 8.27 8.07 0 2 4 6 8 10 前期後期通期 kg／日 TS区 TS25区 RS区

増体成績

TS区・TS25区で良好な成績

1.13 0.87 0.92 1.13 0.84 0.89 0.89 _0.81 _0.82 0.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5 前期後期通期 kg TS区 TS25区 RS区

(19)

血中ビタミンＡ濃度

TS区・TS25区もRS区と同様に低下

0 20 40 60 80 100 120 140 9 11 13 16 19 22 IU／dl 月齢 TS区 TS25区 RS区

枝肉成績

TS区で良好な成績

＞

脂肪酸組成（ロース）

TS区が27ヶ月齢出荷とほぼ同等

46.6 52.1 1.27 48.2 50.7 1.11 49.5 49.2 1.32 45.3 52.6 2.12 0 10 20 30 40 50 60 SFA 飽和脂肪酸 MUFA １価不飽和脂肪酸 PUFA 多価不飽和脂肪酸％ TS区 TS25区 RS区 27ヶ月齢出荷

収益性の試算

（肥育牛1頭当たり）

TS区で収益性が大きく向上

TS区－ RS区＝＋3,780円＋＋156,748円＝

＋160,529円

TS25区－ RS区＝ -7,807円＋＋67,510円＝

＋59,703円

飼料費

枝肉価格

小

括

肥育牛用「たちすずか」ＷＣＳを混合したTMRの給与により

◇ 飼料摂取量が向上し，発育成績も良好

◇ ビタミンAコントロール可能

◇ 枝肉成績が良好で，収益性が向上

総

括

立毛貯蔵した「たちすずか」WCSは，

黒毛和種肥育牛用飼料として利用可能であり，

TMR給与により生産性・収益性向上に寄与できる

今後の課題

◇ 肥育牛用「たちすずか」WCSの適切な調製

◇ TMRの低コスト化

（自給飼料・未利用資源の活用，適正な栄養バランス設計）

平成 27 年度広島県立総合技術研究所畜産技術センター研究成果発表会 報告要旨 216 年 2 月 1 日 広島県立総合技術研究所畜産技術センター

平成

平成

平成

平成

27

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27

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年度総合技術研究所畜産技術センター成果発表会

年度総合技術研究所畜産技術センター成果発表会

年度総合技術研究所畜産技術センター成果発表会

年度総合技術研究所畜産技術センター成果発表会

および

および

および

および広 島 県 飼 料 稲 活 用 ・ 普 及 検 討

広 島 県 飼 料 稲 活 用 ・ 普 及 検 討

広 島 県 飼 料 稲 活 用 ・ 普 及 検 討

広 島 県 飼 料 稲 活 用 ・ 普 及 検 討 会

会

会

会

合同研修会

合同

合同

合同

研修会

研修会

研修会

次第

次第

次第

次第

日 時 平成２８年２月１０日（水） １０：３０～１５：３０

場 所 みよしまちづくりセンター ぺぺらホール

（所在地：三次市

十日市西六丁目 10 番 45 号

）

１ 開会（10：30）

あいさつ 県立総合技術研究所長 松岡 孟

広島県飼料稲活用・普及検討会会長 一般社団法人広島県畜産協会 田川専務理事

２ 事例発表（10:45～11：05）

『養鶏への飼料用米利用の取組について』

ＪＡ全農ひろしま鶏卵課 生産担当課長 塩田 信通

３ 畜産技術センター成果発表（11:05～11:30）

『飼料イネ「たちすずか」の効率的バンカーサイロ調製技術』

飼養技術研究部 副部長 河野 幸雄

４ ポスターセッション（11:30～12:00）

昼食（12:00～13:00）

５ 基調講演（13:00～14:00）

『ブランド化を目指した飼料イネ，飼料用米を活用したＴＭＲ等調製利用』

一般社団法人 日本草地畜産種子協会 吉田宣夫（飼料イネアドバイザー）

６ 畜産技術センター成果発表（14:10～14:50）

『乳用牛へのイネＷＣＳ「たちすずか」の微細断ＴＭＲ給与技術』

飼養技術研究部 副主任研究員 城田 圭子

『肥育牛へのイネＷＣＳ「たちすずか」ＴＭＲ給与による生産への効果』

飼養技術研究部 副主任研究員 福馬 敬紘

７ 総合討議（14:50～15:20）

８ 閉会（15：30）

あいさつ

県立総合技術研究所畜産技術センター長 藤井 司

平成

平成

平成

平成２７

２７

２７年度

２７

年度

年度

年度

広島県立総合技術研究所

広島県立総合技術研究所

広島県立総合技術研究所

広島県立総合技術研究所

畜産技術センター研究成果発表会

畜産技術センター研究成果発表会

畜産技術センター研究成果発表会

畜産技術センター研究成果発表会

平成 27 年度広島県立総合技術研究所畜産技術センター研究成果発表会報告要旨 216 年 2 月 1 日広島県立総合技術研究所畜産技術センター

および広島県飼料稲活用・普及検討

広島県飼料稲活用・普及検討

広島県飼料稲活用・普及検討

広島県飼料稲活用・普及検討会

日時平成２８年２月１０日（水）１０：３０～１５：３０

場所みよしまちづくりセンターぺぺらホール

１開会（10：30）

あいさつ県立総合技術研究所長松岡孟

広島県飼料稲活用・普及検討会会長一般社団法人広島県畜産協会田川専務理事

２事例発表（10:45～11：05）

ＪＡ全農ひろしま鶏卵課生産担当課長塩田信通

３畜産技術センター成果発表（11:05～11:30）

飼養技術研究部副部長河野幸雄

４ポスターセッション（11:30～12:00）

５基調講演（13:00～14:00）

一般社団法人日本草地畜産種子協会吉田宣夫（飼料イネアドバイザー）

６畜産技術センター成果発表（14:10～14:50）

飼養技術研究部副主任研究員城田圭子

飼養技術研究部副主任研究員福馬敬紘

７総合討議（14:50～15:20）

８閉会（15：30）

県立総合技術研究所畜産技術センター長藤井司

飼養技術研究部河野幸雄