学位論文要約
説明的文章の批判的読みの教育評価に関する研究
広島大学大学院教育学研究科
文化教育開発専攻 国語文化教育学分野
村井 隆人
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1.論文の構成
序章 研究の目的と方法 ...
第1節 研究の目的 ...
第2節 研究の方法 ...
第3節 研究の意義 ...
第1章 説明的文章における批判的読みの指導と教育評価の課題 ...
第1節 「批判」概念に着目した批判的読みの措定 ...
第2節 教育評価論における形成的評価論の展開とその機能 ...
第3節 説明的文章の批判的読みの指導研究の成果と課題 ...
第4節 説明的文章の批判的読みの授業実践の展開と課題 ...
第5節 インタビュー調査による教師の批判的読みの学力観と評価観の様相 ...
第6節 研究課題の設定 ...
第2章 説明的文章の批判的読みにおける構成要素と系統性の検討 ...
第1節 批判的思考研究における反省性の展開 ...
第2節 反省性を伴った批判的読みための説明的文章教材の分析 ...
第3節 批判的読みの水準の措定と反省性を発揮する読みの方向性 ...
第3章 〈批判的読みの評価モデル〉の構築 ...
第1節 批判的読みの過程の検討 ...
第2節 マルザーノらによる「新しいタキソノミー」の検討 ...
第3節 〈批判的読みの評価モデル〉の構築...
第4章 授業観察による批判的読みの学力形成と評価方法の調査 ...
第1節 授業実践の目的と分析の方法 ...
第2節 授業実践の分析 ...
第3節 〈批判的読みの評価モデル〉の検討と授業実践における仮説の設定 ...
第5章 批判的読みの学力形成と評価方法に関する実験授業 ...
第1節 反省性を伴った批判的読みを成立させる「学習のための評価」の検証 ...
第2節 「学習としての評価」による学習者が理解の更新に用いる評価の開発 ...
第3節 批判的読みの学力形成と評価方法に関する知見の整理 ...
第6章 批判的読みの指導モデルの構想 ...
第1節 実験授業を通して得られた指導モデルへの示唆 ...
第2節 批判的読みの指導モデルの構築 ...
終章 研究の総括と展望 ...
第1節 研究の総括
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第2節 研究の展望 ...
参考文献 ...
2.研究の目的と方法
(1)研究の目的
批判的読みの学習指導論は,1980年代以降盛んに提出されてきたが,指導理論の発展とは対照 的に実践の水準においては長らく定着することがなかった。しかし,2004年の PISAショック以 降,批判的読みの指導の実践の充実が期待されるようになっている。 批判的読みとは,情報や議 論の妥当性を判断する読みであり ,情報が妥当であるかを判断する合理性と,批判の文脈や自身 の批判を省察する反省性の2つの要素が十全に発揮されることが重要とされている。
批判的読みの学習指導の中では,教師が学習者の読みを的確に評価し,過度な批判を特定し読 みを更新するための指導を組み立てる必要がある。加えて ,学習者には,自身の評価に偏りがな いかを判断し読みを調整することが求められる。ここで重要なのは教師による学習者の評価と学 習者による自己評価であり,批判的読みの指導を充実させるには,教育評価の概念を取り入れて いくことが有効だと考えられる。近年の教育評価論においては,形成的評価の概念を拡張する中 で,教師主体の「学習のための評価」と学習者主体の「学習としての評価」が重要とされており,
批判的読みの指導を充実させるための方向性と一致する ためである。
批判的読みの指導を教育評価の概念から捉えると ,「学習のための評価」については指導論と学 力モデルに関する課題が,「学習としての評価」については評価のフィードバックに関する課題が 存在する。
1 つ目は批判的読みの指導論に関わる課題である。 教師には,批判的読みの枠組みに関する知 識や読みの水準を設定するための学力モデルが必要であるが ,批判的読みの学習指導論において は,批判的読みは,読みの指導論の展開から捉えられるに留まっている。2 つ目は読みの学力モ デルに関わる課題である。読みの学力モデルは,1990 年代に認知心理学の知見が取り入れられ,
発展してきた。しかし,批判的読みの指導において どのような認知的な技能,メタ認知,情意的 な要素が重要となるのかは十分に議論されていない。3 つ目の課題は評価のフィードバックに関 する課題である。評価の主体を学習者とする場合, 学習過程を意図的に見直すことが重要とされ ているが,反省性を発揮する評価と指導の在り方については明らかになっていない。
本研究では以上の3つの課題に取り組むために以下の 5つの下位の研究課題を設定する。
①批判的読みの学習指導論を背景理論から整理し,指導と評価の課題を明らかにする。
②批判的読みに特有の要素を整理し,読みの水準を措定する。
③批判的な読みの要素を整合的に扱えるモデルを検討し,評価モデルを構築する
④授業観察を通して評価モデルを検討し ,批判的読みの指導と評価に関する仮説を得る。
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⑤批判的読みの指導と評価に関する仮説を,実験授業を通して検証し,批判的読みの学習指 導における評価の在り方を明らかにする。
1つ目の課題には①が,2つ目の課題には②~④が,3つ目の課題には⑤が対応する。本研究で は,批判的読みの概念を規定するなかで,学力形成と評価のモデルを構築し,それを基に,先行 研究などの理論面と,授業観察や実験授業などの実証面の往還を図ることで,批判的読みの学習 指導を促す指導と評価の方法について明らかにすることを目的とする。
(2)研究の方法
本研究では,批判的読みを,その背景理論である批判的思考研究や批判的教育学における「批 判」概念の検討を通して措定し,学習指導論の成果と統合する。また,学力形成の観点からは,
認知科学の成果を基礎とした学力モデルの知見に学び,認知的な技能,メタ認知,情意的 な要素 を包括的に扱うモデルを検討する。このような検討を通して構築した〈批判的読みの評価モデル〉
の妥当性を,授業観察によって検討するとともに指導と評価に関する仮説を得る。そして,この 仮説を実験授業によって検討し,批判的読みにおける評価の在り方について考察する 。
3.各章の概要
第1章 説明的文章における批判的読みの指導と教育評価の課題
本章では,説明的文章の指導論と授業実践を,「批判」概念と形成的評価論の観点から検討し,
研究課題を再設定した。
第 1 節では,「批判」概念の枠組みを批判的思考研究と批判的教育学から設定した。 批判的読 みは,対象となる文章の論証や修辞の妥当性を評価する ,一方で,批判をする文脈や自分自身の 意思決定を省察する読みである。「批判」概念を検討するなかで ,先行研究を検討する観点として
「批判の目的」,「批判の対象」,「指導内容」の 3つの観点を設定した。
第 2 節では,形成的評価概念の広がりを ,「学習の評価」,「学習のための評価」,「学習として の評価」から捉えた。そのなかで,教師が評価の主体となり,学習者の理解を更新するための一 連の手立てを扱う「学習のための評価」と,学習者が評価の主体となり,自身の理解を更新する ための「学習としての評価」が重要になることを捉えた。
第3節では,第1節と第 2節の観点をもとに,先行する指導理論の成果と課題を検討した。そ の結果,先行理論においても反省性を発揮することの重要性は指摘されているものの ,学習者の どのような思考や振る舞いを指導 や評価の対象とするのかが明確になっていないこと ,実践の水 準での検討が十分に行われていないことが明らかになった。
第4節では,実践の水準での批判的読みの指導の充実が求められるようになったと考えられる 2005年以降の批判的読みの授業実践を検討するために,1995年から 2014年までの 20年間の批
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判的読みの授業実践を収集し ,その展開を捉えた。その結果,2005年以降は,少数ではあるが,
論証の中でも論拠を対象としたものや,メタ認知によって理解を更新するなど 反省性を対象とし たものというように,多様な実践へと拡張している様子が明らかになった。指導の対象が拡張さ れていることは成果ではあるものの,反省性を扱った実践が必要であることが明らかになっ た。
第5節では,批判的読みの指導における評価の困難を捉えるために ,教師の学力観と評価観を インタビューによって明らかにした。9名の中学校教師にインタビューしたものを分析した結果 , 批判的読みの指導の重要性は共有され,実践を行うようになったものの,評価方法に関しては,
教師間で共有する評価方法が十分にないことに困難を抱えていることが明らかになった。
第6節では,第5節までの検討を通して研究課題を再設定した。
第2章 説明的文章の批判的読みにおける構成要素と系統性の検討
第2章では説明的文章の批判的読みの水準を批判的思考研究の知見と説明的文章教材の分析を 通して措定した。
第1節では,批判的思考において重要とされる反省性のなかで,批判的思考を行う人がとる思 考の傾向である情意的性向の展開を捉えた。その結果 ,情意的性向は「批判を正確に行おうとす る」「自身の思考に対し反省的であろうとする」「 状況や他者の感情について適切に反応しようと する」といった 3 つの傾向に大別することができた。先行実践を分析した結果 ,3つの傾向のう ち,後の2つが批判的読みの指導において重要になることが明らかになった。
第2節では,中学校の説明的文章教材を論証の構造という観点から分析し,反省性を発揮して 読んでいくための方向性について検討した。その結果 ,1 年生では,論拠の導出の関連性が弱い もの,2 年生では,主張に強い修辞がみられるもの ,3 年生では,反証が繰り返されるなど結論 部分が特殊なものといった類型が見出された。
第3節では,第2節までの検討の結果を統合し ,反省性を発揮するための読みの方向性を考察 した。その結果,単一の情報における根拠や主張に対する批判 を行う段階,単一の情報に対して 論拠を含めた批判を行う段階 ,複数の情報に対する評価が行える段階があり,3 段階の水準へと 到達するためには,とりわけ自身の批判を見直す情意的性向が重要になることが明らかになった。
第3章 〈批判的読みの評価モデル〉の構築
本章では,批判的読みの学力形成を説明し,また評価に関する枠組みとしても利用できるモデ ルとして,マルザーノらによる「新しいタキソノミー」に着目し,〈批判的読みの評価モデル〉を 構築した。
第1節では,批判的読みがどのような過程として想定されるのかを,批判的思考研究の成果を もとに捉えその課題を明らかにした。批判的思考研究においては,認知,メタ認知,態度の要素
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が認知処理の水準から捉えにくいこと,読みの指導の研究においては ,批判的読みをメタ認知的 な読みとして捉える傾向が強いことが課題と考えられた。
第2節では学力形成論の展開を捉え,マルザーノらによる「新し いタキソノミー」を検討した。
「新しいタキソノミー」は,情意や態度を「自律システム」,メタ認知を「メタ認知システム」,
認知を「認知システム」と捉え ,それぞれの思考を発揮する際の「知識」の4つの要素からなる。
検討の結果,「新しいタキソノミー」は ,単にブルームらのタキソノミーを乗り越えるモデルでは なく,批判的思考研究の系譜も踏まえたものであり ,批判的読みにおける認知とメタ認知・情意 的性向の区分が読みの水準から整合的に捉えられることが明らかになった。
第 3 節では,「新しいタキソノミー」に第 2 章で明らかにした批判的読みにおいて重要な要素 を具体化することで〈批判的読みの評価モデル〉を構築した。 それが以下の図1である。
【指導の対象となる要素】 【対応する評価の方法】
図 1 「新しいタキソノミー」をもとにした〈批判的読みの評価 モデル〉
図1は,批判的読みにおいて重要な要素である合理性と反省性の関係が捉えやすいものとなっ 自律システム
認知システム
知識
・情 報(宣 言 的 知 識)
・ 論 証 な ど に 関 す る 一 般 的 な 知 識
・ 知 識 に 関 す る 一 般 的 な 知 識 な ど
・心 的 手 続 き(手 続 き的 知 識)
・ 論 証 の 分 析 評 価 に 関 わ る 技 能 メタ認 知 システム
・学 習 課 題 へ の 取 り 組 み に 関 す る 要 素
・ 批 判 的 読 み に 関 わ る 情 意 的 性 向
・ 目 標 の 具 体 化
・ プ ロ セ ス の モ ニ タ リ ン グ
・ 明 瞭 性 と 正 確 性 の モ ニ タ リ ン グ
・ 読 み の 技 能 な ど に 関 す る も の
・論 証 な ど 批 判 の 対 象 に 関 す る も の
○ レ ベ ル4: 知 識 活 用
・ 課 題 の 条 件 を 踏 ま え た 読 み を 行 う
○ レ ベ ル3: 分 析
・ 論 証 な ど を 評 価 す る
・ 論 証 な ど の 分 析(具 体 化)
・ 読 み の 知 識 や 技 能 の 抽 象 化 反 省性
合 理性
作 文 やアンケート
※ 主 に 全 体 の 傾 向 を み る た め に 用 い る 。
作 文 など
※ 自 己 評 価 を 主 と し ,必 要 に 応 じ て 学 習 の 調 整 な ど が で き る 問 い を 用 意 す る 。
作 文 ・思 考 ツール パフォーマンス課 題
※ 思 考 ツ ー ル な ど で , 概 念 の 理 解 の 水 準 を 捉 え た り , 課 題 の プ ロ セ ス を 明 示 化 す る 。
レ ベ ル 4 を 対 象 と す る 場 合 は パ フ ォ ー マ ン ス 課 題 を 用 い る 。
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ている。すなわち,合理性における読みの水準は,学習者の読みの傾向や,読みの捉え方に強く 影響を受け,読みを更新するにはメタ認知システムによって,自律システムの点検が必要になる 場合があることを示している。
第4章 授業観察による批判的読みの学力形成と評価方法の調査
本章では,批判的読みの指導に取り組む教師の授業実践を観察することで,批判的読みの学力 形成の過程を明らかにし,指導の中でどのような評価が行われていたのかを分析することを通し,
〈批判的読みの評価モデル〉の有効性を検討した。また,その結果を通して,批判的読みの学力 形成と評価方法に関する仮説を立てた。
第1節では,中学 1年生に対して行われた授業を観察し,学習者の読みの推移が〈批判的読み の評価モデル〉によって説明することができるかを検討した。その結果 ,認知システムにおいて は,学習者の読みの傾向を説明し ,読みの水準から反省性にどのような課題があるかを推察する ことができた。しかし,自律システムやメタ認知システムの実態については今回用いたアンケー トなどからは十分に明らかに はならなかった。この結果から,〈批判的読みの評価モデル〉は授業 実践を説明するモデルとして使用できることが示唆された。
第2節ではこの授業観察の結果と先行実践の知見を踏まえ ,批判的読みの指導と評価における
「学習のための評価」と「学習としての評価」の仮説を設定した。「学習のための評価」では,学 習者が過度な批判を発揮する際に ,そのような過度な批判を教師が評価・選択し,検討すべき読 みとしてフィードバックすることが理解を更新するために有効ではないか と考えた。「学習として の評価」では,批判的読みに関わる課題を自己評価するためのルーブリックを設定することと , 学習者の批判を省察させる思考ツールの開発によって ,学習者は反省性を発揮した読みを行うの ではないかと考えた。
第5章 批判的読みの学力形成と評価方法に関する実験授業
本章では,第 4章で得られた仮説と〈批判的読みの評価モデル〉をもとに,実験授業を構想し,
その有効性を検証した。
第1節では「学習のための評価」の仮説を検討した。中学 1年生を対象とした実験授業の結果,
修辞や文章構成に関わる過度な批判は,教師によるフィードバックを もとに,学習者同士で検討 することで,反省性を伴った読みへと到達できた。メタ認知システムを活性化させることで ,認 知システムにおける理解を更新することができたのである。一方で,論拠に対して学習者の共感 を得やすい生活経験をもとにした「例外による批判」は ,学習者同士の検討だけでは適切な読み を行うのが難しく,メタ認知システムだけでなく ,認知システムに関わる指導を並立することで , 理解を更新させる必要があることが明らかになった。
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第 2 節では,「学習としての評価」の仮説を検討した。中学 2 年生を対象とした実験授業の結 果,初読の批判や論証の理解を深めた際の批判を振り返り,それが自身の信念に近い一方の立場 にしか立脚していないことを捉えた学習者は,反省性を発揮した読みを行うことができた。しか し,自身の読みの偏りを自覚したにも関わらず読みの更新を十分に行うことができない学習者も 見られた。ここからメタ認知システムや自律システムを対象に ,自身の信念や読みの方向と妥当 と考えられる読みとの間を取り結ぶための指導が必要になる ことが明らかになった。また,ルー ブリックは,読みの水準の差を例によって示すだけではなく,効果的な批判に関わる基準の差を より具体的に言語化し,共有を図っていく必要があることが示唆された。
第3節では,実験授業をとして得られた知見を以下のように整理した。
①「学習のための評価」においては,教材分析を踏まえた具体的な読みの水準を設定すること が,学習者の理解を捉え,指導を調整することに役立った。ここでの具体的な読みの水準と は認知システムとメタ認知システムの両面からなるものである。
②このような「学習のための評価」は,学習者の,実感や経験をもとにした批判や例外的な事 例による批判といった過度な批判をあぶり出し,検討すべき読みの類型(情意的性向に関わ る課題)を明らかにすることに役立った。
③「学習としての評価」においては,反省性を促す思考ツールを用いた場合,それ以前の吟味 における自身の読みの傾向を捉えることができる学習者は,異なる立場を総合的に評価する 読みを実現できた。しかしながら,論証や修辞の一部分に強く反応する学習者は自身の立場 に固執し,反省性を十分に伴った読みを実現することができなかった。
④質的分析の結果,反省性を伴った読みを実現するには,読みの一貫性を点検させることや,
教師からのフィードバックを利用して読みを振り返らせることが,次の単元以降で目指すべ き読みの方向を見定めることを促していた。
⑤過度な批判に固執してしまう学習者にとっては,修辞や二次的な主張に着目する意図を問う 中で,過度な批判を判断するためのルーブリックを共有可能な水準で開発することが,反省 性の発揮に必要になると考えられた。
第6章 批判的読みの指導モデルの構想
第6章では,批判的読みの過程の観点から,それぞれの過程で必要となる指導と評価の方法を まとめなおすことで,〈批判的読みの指導と教育評価のモデル〉を構築した。
第1節では〈批判的読みの評価モデル〉の改善点として ,読みの過程を含めたモデル へと拡張 する必要があることを確認し ,第5章で得られた知見を読みの過程ごとに整理した。
2 節では,読みの過程を中心に,教師の指導と評価,学習者の反応と評価,処理の水準と評価 方法という3つの軸から〈批判的読みの学習指導と教育評価のモデル〉を構築した。このモデル
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では,「学習のための評価」と「学習としての評価」の区分が明確であり ,教師が重視したい学習 形態に応じて指導と評価方法を選択しやすいモデルとなっている。
終章 研究の総括と展望
本章では研究の成果を総括し ,今後の研究の展望についてまとめた。
主要な成果として,批判的読みにおいて重要になる合理性と反省性の区別を明確にした〈批判 的読みの評価〉モデルを用い ,学習者が反省性を発揮できず過度な批判をしている状態から,適 切なフィードバックによって ,総合的な批判的読みへと推移することを理論的・実践的に検討し たことがあげられる。
一方,本研究では,実践的な検討をしたものの ,すべての学習者に対して反省性を発揮した批 判的読みを実現することはできなかった。この点が主要な課題である。そこで ,今後は過度な批 判をフィードバックする際に ,メタ認知システムだけでなく,認知システムにおいてはどのよう な支援が必要となるのかを検討していくことや ,学習者にとって自身の批判の成果を適切に捉え , 見直すためのルーブリックの開発やそれを共有する方法の検討を行っていく必要がある。
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リチャード・ポール・リンダ・エルダー『クリティカル・シンキング―「思考」と「行動」を 高 める基礎講座』(村田美子・巽由佳子訳),東洋経済新報社,2003 年
牧野由香里『議論のデザイン』ひつじ書房,2008年 益地憲一『国語科指導と評価の探求』溪水社,2002年
間瀬茂夫「国語学力観の検討―「新学力観」を中心に―」中国四国教育学会『教育学研究紀要』
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間瀬茂夫「中学校説明的文章教材における「説明」の階層性と学年段階」『論叢国語教育学』復刊
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間 瀬 茂夫 「説 明的 文 章の 論 証理 解に おけ る 推論 ― 協同 的な 過程 に おけ る 仮説 的推 論を 中 心に ―」
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間瀬茂夫「高等学校における高次読解力の評価のあり方―読解力評価問題の活用―」『国語教育研 究』56 号,pp.219-230,2015年
松沢伸二・加藤茂夫「授業で一度読んだ文章を英語の期末考査に使うことについての一考察」『新 潟大学教育人間科学部紀要』 第 6巻第 2号,pp. 395-403
松 下 佳 代 編 著 『〈 新 し い 能力 〉 は 教 育 を 変 え る か 』 ミネ ル ヴ ァ 書 房 ,2010年
R.J マルザーノ・J.S. ケンドール『教育目標をデザインする』(黒上晴夫・泰山裕訳),北大路書 房,2013
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道田泰司「批判的思考における soft heart の重要性」『琉球大学教育学部紀要』第 60 号,2003 年,p.161 -170
森権「論理的思考」『教育科学国語教育』第56巻 1号,2014年,pp.90-92 森田信義『認識主体を育てる説明的文章の指導』渓水社,1984年
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森田信義「説明的文章の読みの能力構造論――「評価読み」を中心に――」『鈴峯女子短期大学人 文社会科学研究集報』,2008年,pp.1-15
森田信義『「評価読み」による説明的文章の教育』渓水社,2011年 ギルバート・ライル『心の概念』(坂本百大ら訳)みすず書房 ,1987年 オリヴィエル・ルブール『レトリック』(佐野泰雄訳)白水社,2000年
山 本 茂喜 「国 語科 単 元学 習 にお ける ポー ト フォ リ オ評 価の 方法 ― 米国 に おけ る実 践を 中 心に ―」
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山本茂喜・香川尚子「国語科単元学習におけるポートフォリオ評価の有効性について」『香川大学 国文研究 』27号,2002年,pp.9-204
吉田崇「多くの視点から思考を深めるグループ学習」『実践国語教育研究』35 巻 6号,2011 年,
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