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不法行為法における「胎児の被害法益」 : わが国および英法系諸国の問題状況概観(その三)〔承前〕

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(1)判決例は、少-とも六例ある(六例中四例ほ、ヴィクトリア州裁判所. 筆者の調査では、苓稿との関連で重要と思われるオ-ストラリアの. ていないといわねばならない。. わが国および英法系諸国の問題状況概観(その三)∩承前〕. Australia)(1)の領域内. injury). の問題に関す. ・1九六1年・チャップマン対ヒア-ズ事件(Chapmanv.Hearse. V.L.R.280). ・1九四〇年・マンズ対カ-ロン事件(Mannsv.Car)on〔)940〕. A.a.85). (Grantv・AustralianKnittingMills.Ltd.&other8〔)936]. ・一九三五年・グラント対オ-ストラリア編物工業株式会社外事件. からの事例)。いま、これらを、判決言渡年月順に列記すると次のとお. 一、二にとどまらず、しかも、意義深い事例に富むように思われる。 ant?natal. ちなみに'ご-最近の文献(末尾附記参照)で、未出生子侵害に対 する損害賠償(ConpenSationfor. るオ-ストラリアの判決が1つだけあり、それほ1九七二年のワット. 対ラ-マ事件である旨を紹介したものがあるが、この叙述は正鵠を射 不法行為法における「胎児の被害法益」. 三三. 〇年以後のことである。処がおそい割には、報告されている判決例はI. の裁判所に、胎児の母胎内被害訴権の諸問題が登場する時期は、既に. (Co巨-芦OnWealth. 関 りである(未入手のものが多い)0. オ-ストラリア連邦. オーストラリアにおける場合. サウスアフリカにおける場合(以下次号) むすび. オ-ストラリアにおける場合(本号). アメリカにおける場合(以上前々号第二三輯) カナダにおける場合(以上前号第二四輯). イギリスにおける場合. 日本における場合. はしがき 問題状況概観. -. 不法行為法における「胎児の被害法益」. 目. -次. みてきたイギリス、アメリカ、カナダ等に比しかなりおそく、一九四. of. 1. 七 六 五 四. 五.

(2) 不法行為陰における「胎児の被害法益」 ()961))06C.(,.R.)12). ・l九六九年・リチャ-ド対ヴィクトリア州事件(Richardv・State Victoria[)969]V.R.)36). ・1九七〇年・ヴィクトリア州対ブルヤ-ル事件(StateofVictoria v.Bryar[)970]A,L.R.809). 〔)940〕. (AustralianCivi)Code). (Mannsv・Carlon. の要約). の如き. 事案は、1九三九年中ないし四〇年初頭に'ヴィクトリア州内で起 ったある交通事故(atrafficaccidentlおそら-自動車事故). れたのほ、本件をもっておそらく頓矢としてよいと思われる。. 285)は、その事実関係も終局的結論もさはど分明ではない。けれども、. て争われたケ-スという意味で、又、ワット・ケ-スは'既に紹介済 のイギリスの「一九七六年先天性心身害(民事責任)法Congenital. の立法過程に重要な契機. り,いわゆる内縁の夫を殺された'一九才(2)の妊婦'クリスチ-チ. Act)976]. Disabilities(Civil(Jiabi)ity). .グレイス・マンズGhrisitnaGrace賀annsならびに彼女の胎内に. る内容のものであるのかなどは詳かでない。本訴が「生命を害された. 右法規が、ヴィクトリア州の制定法であるのか、また'全体が如何な. 規定に基づく訴訟であることは、判決の記述によって明らかであるが、. 本訴が、「1九二八年・不法行為法WrongsAct)928」の第三章の. 害賠償(damages)を訴求したケ-スである。. E.T.BrownLimited(おそらく、自動車保有者)を被告として、損. ある七ケ月の胎児を原告とし、右事故の加害者とされた、ケネス・カ ーロンKennethGarlonならびにその使用者E・E・・プラウソ会社. を与えたケ-スの一つであるという意味で、共に検討に値するものと 思われる。 偶々、両者ともヴィクトリア州最高裁判所のケ-スであり、前者は. 「胎児訴権」を認めなかった事例であり、後者はこれを認めた事例で あって、彼此、対照的である点にさし当り止目しておこう。. (1). (外に'一準州NorthernTerritory)から成り立ち'各州に州政府、 Canberraに連邦政府がある。. South Wa)es,Queens)and, オ-ストラリア連邦は、現在'New southAustra)ia.Tasmania.Victoria,WesternAu8traliaの六州. 注. によ. マンズ・ケ-スほ、この種の事案がオ-ストラリアの裁判所で初.め. である。両ケ-スともに、「未出生子の法的地位」の問題を詳細に論. (賞annsv.Carlon〔1940]V・L・R・280-. マ-チン判決(決定). マンズ対カ-ロン事件. ものはないとのことである。. 邦全域に普遍妥当する統1民法典. る.不法行為法に関しては、ヴィクトリア州に一九二八年制定法'サ ウス・オ-ストラリア州に1九三六年制定法などがあるようだが、連. るが、おおむねはイギリスのコモン・ロウと同然であるといわれてい. また、各州それぞれのコモン・ロウをもち'各州で若干の相異はあ. 三四. オ-ストラリアの裁判所に於て、未出生子の母胎内被害訴権が問擬さ. 〔概. じており'特に後者は全文三〇真に及ぶ長大な内容のものである。. マンズ対カ-ロン事件. -. ・一九七二年・ワット対ラ-マ事件(Wattv,Rama〔)972〕V・R・ 35;3). ×. ところで、この中で筆者が入手し得ているのは、l九四〇年のマン. ×. ズ対カ-ロン事件および1九七二年のワット対ラ-マ事件の二例だけ. (こ 要〕. of.

(3) 老の妻'夫、父母および子の利益のための for. thebenefit. wife,husband,parentorchi)dofthepersonki)led」訴権を認め. た条項(3)を根拠として提起されたものであること、および右不法行 為法の条項にいう「子chi)d」 の概念の外延に、まさに本件の場合の ような「非嫡出子il)egitimatechildren」が包摂さるべきか否かが争 点となったことだけは確かである。. 本件の事実審理(trial)は'7九四〇年四月二六日および五月三日. the. itisbornalive),いずれであろうかという点にある。. しかし、本件では'マ-チソ判事はこれにいずれとも応答すること. をせず、結局は「未出生子」の出生まで審理を延期し,かつ,この子. が死産であった場合にほ、原告の請求申立書から、この子の斎求に関. する当該部分を削除せしめる自由を被告に許可する旨の決定を下した. (つまり被告側の言分の1部が認められた)のであった。. 以下、判決報告の順に即して、論議の骨子をみていくが,そもそも. 本件は、訴訟手続のいわば入口になる「召喚状Summons]の記載事. ってなされたOrderの理由と結論)」がつづく。. (再々抗弁)」などの要約があり'最後に「裁判官の判示言渡をも. を要約したあと、「被告側抗弁」、「原告側再抗弁」、さらに「被告側. 冒)のすぐあとに、「召喚状」とのみ記載があり、それをめぐる争論. ともかく'判決報告は、表題、頭注(関連事項-. れているようにも思われるが'やや分明でない。. 後順にして弁論内容を摘示してあり、その限りでほ主璽鼻任が転換. 定手続か?)に付された事件だったらしく'被告側を先順、原告側を. 項の可否をめぐる被告側の争論から始まる、反訴的な訴訟手続 mmonsの内容を被告から争った場合の判決前の裁判所の略式争点決. (S苧. 本件の請求申立善事estatement.fc)aim)とそこに付された召. (onbehalfofherse)i. 喚状の請求要旨附記欄(theindor8emen-Onthewri-)には、本訴. 訟は、亡夫の妻自身とその未出生子のために. 提起される旨、. 略記されていたようである。そこで被告らは、この記載のうち「未出. andherunbornchild.fherdeceaSedhusband). の二回堅且って行われたようであるが、原告マンズ女の請求について は、仮に彼女が分娩に際して死亡するようなことがあった場合の本損 害賠償訴権の帰趨如何、という疑義が論ぜられた外にほ、何も実質的 に審按された形跡がな-'他ほ、もっぱら彼女の胎内にある「未出生 (achi)aenventresamare)」 の損害賠償訴権の有無ならびに その性質如何'という問題が論ぜられている。 この点について、判決報告の頭注およびマ-チン判事(MartinJ.). の後掲の判示などを総括すれば、一般論として裁判所は、一九二八年. under. 不法行為法第三章の規定に基づ-訴権を、未出生子が持っているとみ. ている(achi)devve邑re8anarehasarightofaction PartH・oftheWrongsAct1928,)のであるが'問題は、かかる 訴権が、その胎児が生きて産まれる前に(つまり'胎児中に)その子 に代理して〔代理人が〕行使できる権利として授与されているのか. when. 過〕. of. (butquaere(1)whether8uChrightofactioni8aVeStedright whichenablesac)aimtobemadeonitsbehalfbeforeitishorn. veBted. alive;)・それとも、これほ、彼が生きて産まれたならば授与されるこ becomes. 三五. (oron)y. 経. ×. とになるというだけのことなのか. 喚. ×. 不法行為法における「胎児の被害法益」. 〔召. 子.

(4) 不法行為法における「胎児の被害法益」. 生子unbornchild」に関する部分をとらえ、この「未出生子」. ほ、右不法行為法の適用範囲内. 会社事件(Dickinsonv.NorthEasternRailwayCo・〔1863〕2H・. のものではない、と述べて、ディキンソソ対ノース・イ-スタソ鉄道. 「非嫡出子il)egitimatechi)dren」. また、最広義の意味で用いられるものでもないのであって、たとえば、. 用語は'「胎児achildenventresamare]を含むものではなく'. 第1に'l九二八年不法行為法の第三章にある「子chi)d」という. べき旨を、数多くの判例、学説を援用しながら争論する。すなわち'. 「未出生子」の請求を却下或いは棄却するか、または審理を延期する. ットネイ.キングWhitneyKing氏のものである.要するに、本件. 〔被告側の論旨〕 まず'最初に掲げられた弁論内容の要約は、被告側訴訟代理人ウィ. (affidavit)から明らかな事実であるとされている。. 点がⅩ線検査の結果判明していること等は、原告側の宣誓陳述書. ofdevelopmenttobeexpec-edinthenormalcour8eOfelentS). shewaspregnantwi-honefoetuswhichhadattainedthestage. れるべき発育段階まで到っている胎児をl人、身寵っていた(that. であったこと、ならびに、彼女が事態の通常のなりゆきに於て予期さ. なお,原告・未成年者マンズ女(一九才)が、妊娠七カ月を経過中. 生するに至る、先の相応の時期まで本件審理を延期する決定をするよ うに求めて〔反訴的に〕本召喚を申立てたもののようである。. 定官deユをするように求め、さもなければ、右「未出生子」が出. ないのであるからして、裁判所から原告にこの部分を削除せしめる決. 糾させるものであり、かつ何らの正当なる訴訟原因を陳明するもので. 言及部分は不必要かつ迷惑千万であり、本件の公平な審理を阻害・紛. への. &G.735.). を引用する。. に言及した。. p,670・)、エリオット対・,・Lヨイシィ事件(E11iotv・. ようにのべる0すなわち、. 第三に、「未出生子」の損害賠償額算定の不可能性を論じて、次の. 二頁,注c)も引用されている(これについては、注4参照)0. して、ホ-ルズベイリ氏の1awsof. も,当該訴訟はその子の出生するまで延期されるべきものであろうと England(二版・二三巻・六九. いうような,擬制的事実構成(fictionalconstruction)をとる場合で. 一歩ゆずって'先例が未出生子の権利保護の為に出生を擬制すると. Joicey〔Lord],[1935〕A・C・209・)などに言及している。. &s.665.at. ラッソソ対プラッソソ事件(Blassonv・B)aSson〔1864]2I)eG・J・. RailwayCo,〔1891〕281・R・Ir・69・a-pp・84-89・)〔前述〕やプ. かのアイルランドのウォ-カ-・ケ-ス(Walkerv・GreatNorthern. 私権を享有するとされた事例は、いまだかつてないのであるとして、. そしてつまりは、未出生子が原告になるとか、未出生の間に胎児が. 2K.B.422.422.atP.429.). Negligence(四四入京),を引用し、加えて、ウィリアムズ対オ-シ ャン炭鉱株式会社事件(Williamsv・OceanCoalCo・Ltd・〔1907]. のLawofTorts(九版三六四頁)'チャ-ルズワ-ス氏のLawof. を認める場合にのみ先例たりうるにすぎないとして、サ-モンド氏. ずかに「父の死後に出生した子posthumouschildJに訴求する資格. )oApp.Gas,59・)を引用し、もしこれが先例たりうるとすれば、わ. ロック卿のLawofTorts(一三版六九頁、"TheVeraCru2"〔1884]. 〔)87)]L,R,3A・&E・466)(4)は、もはや先例たりえないとして、ポ. 第二に、ジョ-ジ対リチャ-ド事件(TheGeorgeandRichard. 三六.

(5) 1128.). damages under. born. the. and it. isnobasis. 子」が死産で生まれてしまったり、分娩に際して'母たる原告女が死 亡してしまったりした場合に生ずるであろう難問題を避けるべきであ り、いずれにせよ、「未出生子」の出産乃至母親の分娩完了まで、本. v.Lane〔1669〕)Wms.Saund2)6). also. right. thechild. arise. action. the. the. event. any. Act. impo・. p(aintiff dying persona). husbandandwouldsurvive. her. disposalof. Executors(一二版・四九l-四九二頁)とを引用して、次. still-born.The. damage. the. と、ウィリアム. 訴訟を延期するべしとする論旨であろう。ウィ-トレイ対レイン事件. 氏のOn. her. shou)d. would. のようにのべる0すなわち、. lose. awarded not. for. her. of. 「Problems mages would. action. death. to. to be. da・. damage. thedeceased. Wrongs. assessing. loss,there. Par七日of. event.. child. beconsidered. damage.. notdependenton. that. is. 「Inasmuch. before. unti)the. inrespectofpecuniary. damages. chi)d. offactorsto. is. )928aregiven asses8ing assess the. bornit. evidence. them. 第四に、もしも本訴訟を急いで裁定してしまったのちに、「未出生. in. for. thel・e. Until. ssible. and. as. cannotbeknownbeforethechild.Bbirth.」(1940V.L.R.28).. number. is. the. 〔原告側の論旨〕. (しかも被告側の引用した同. 次いで、原告側訴訟代理人ベイリイBarry氏の弁論内容が要約さ. れる。これまた多数の先例に言及しっつ. じ先例から原告側の論拠をむしろ補強し得るような法命題をとり出す. る)、要するに'「未出生子」. の被扶. の訴権も請求も認容されるべきであり、. 場合もあるらし-、援用先例ほ、被告側のそれとかなり重複してい. v.Ore)lCo)lieryCo.Ltd.〔)909]. というべきであるとして、ショフィ-ルド対オ-. 第一にほ、本件「未出生子」は、故人(原告女の内縁の夫). 本訴訟の延期は許されない旨を主張する。すなわち、. (dependant). (Schofield. を引用する。. レル採炭株式会社事件 [K.B.)78). Pass. 〔)799〕. 4=Ves.. たりうるし、これをあ. 第二にほ、一般に「未出生子」は、一九二八年不法行為法の第三章. に基づく訴訟において、請求人(aclaimant). v.Woodford. (Villar. v.Gilbey. たかも現実に生まれたものとして取扱うべきであるとして、被告側の. 引用した先例でもあった処のジョ-ジ対リチャ-ド事件ならびにアイ. (Thel)usson. ルランドのウォ-カ-・ケ-スを援用した。このほかにも、国王対シ ェファ-ド事件 (R.v.Shephard〔1919〕2K.B.)25)、テルッソソ 対ウッドフォ-ド事件. Salaman;. v.Sonnenthal〔1908〕. p.)4=4.).サラマン案件、ド・パス対ゾソネン. 226,atp.322.)'ヴァイラ-対ギル''(イ事件 〔)907]A.C.1391at. メ-ル事件. イシイ卿事件. v.Ocean. (E))iot. Torts. p.238). (九版・三七〇頁)、ブラック. v.Joicey〔)935]A.C.209,at. Co.Ltd.〔)907]2K.B.442.)、エリオット対ジョ. Ch.4,atp.8.)、ウィリアムズ対オ-シャン炭鉱株式会社(Wi))iams. 1. to. child・birth.The caused. in. (Ibidem.p.28211.)-5.). De. is. representatives-」. の先例と、サ-モンド氏のOn. など. estate. her. re. of of. as is. ((n. is. of. 養者. A. no by. 不法行為法における「胎児の被害法益」. 三七. Coal. (Wheat)ey in to.

(6) the. Laws England. 不法行為法における「胎児の被害法益」 ストソ氏のCommentaries 九貢)などの学説に言及している。. action. v.Leveil16. ventre and. can. whatever. 〔)933〕4D.L,R.337). has. may. comp)ete there. (ibid,p.282.ll.20). difEculty. overcomeL. に何らの. (l巻・l二. and. vested as8e-. 分娩完了まで訴訟を延期すれば、分娩に際して彼女が死亡した場合' 「遺産〔人格〕代表者representatives. ずとする趣旨なのであろう。次のように述べる。. is. a. すなわち、遺言執行. personalaction. 「astayshou)dnotbegrantedaBtheplaintiirwouldthereby. action. and. wou)d. bydying. はなく、彼女の法的利益を奪うことになるから本訴訟を延期すべから. 人executor又は、遺産管理人administrator」に承継されるもので. -. 原告女の訴訟は、いわゆる「人格訴訟per80nalaction」であるから、. その. 述べる。 「Thechild. ri喝htof damages. in. 第四にほ、これも被告側の第四の抗弁に再抗弁する形で、もしも、. BSing. mare. 慕った損害の賠償算定上の困難はのりこえられるとして、次のように. 第三には'被告側の第三の抗弁に再抗弁する形で'「未出生子」の. 言及もなかった点である。. (MontrealTramway. しかるべしといえる筈の、1九三三年カナダのルヴュイエ・ケ-ス. しかし'やや奇妙に思われることは、原告が最も重視し、依拠して. of a. (ibid.p,282,)),22,). 三八. のではなかろうか。. 〔判決の理由. 妻'夫、父母および子の利益の為にあるといわれ、かつ、. personalis. である旨が'. そして、この種の事案からは、一個以上の訴訟が提起されうるし'. とりわけ強調されている。. する作業は、陪審固有の職務(afunctionofthejury). は、その損害賠償の総額を算定し、全利害関係者間にその賠償を配分. その死亡にょって害を被むったl人以上の人々があまねくいる場合に. された老. ある旨を述べたあと、この法律の規定に基づき、この種の訴訟は、殺. 彼女自身とその胎内にある未出生子のための損害賠償を訴求するもの として'一九二八年不法行為法第三章に基づいて申立てられたもので. 第一にまず'本件訴訟は'自動車事故で殺されたある男の寡婦が、. 最後にマ-テン判事(MartinJ.)がかなり長文の理由をのペる。. マ-チソ決定の要旨〕. WrongsActがキャムベル卿法に相当するヴィクトリア州法だった. がなかったのであろうか。否、まさに本訴の根拠たる不法行為法. のは何故であろうか、という点である。同法はオ-ストラリアに適用. 向に向っていたであろうと思われるのに、原告が叙上の論義をかぎす. moriturcumper80na)」というコモンロウの法諺は修正・緩和の方. ムベル卿法以来、「人格訴訟は人とともに死す. ここでもやや釈然としないのほ、すでに1八四六年のいわゆるキャ. (Actio. action. has. been. (full. brought). particulars. persons. を、その原告は陳述. the. また、記録上はl人の原告でも、その訴訟を誰々の為に提起するのか. the. についての完全な人別詳細 whose. on. be. sa. representativesL. it. becompe)ledtorisk. her. of. on. thelossofherrightofaction. -. しなければならないことになっている旨を述べる。. behalf. be. en. child・birth.Her. notpass. to. in.

(7) childnowenventresa. そこで問題ほ、まさにこの人別詳細(particu)arsofthepersons) の1人として、「現未出生子the n如re」. が含まれるか否かである。これが、マ-チン判事の第一の問題提起で あった。. ratiodecidendi. 若くは先例価値ないし. マ-チン判事は、まず、原告、被告ともに援用した、一入七一年の ジョ-ジ対リチャ-ド事件を要約・検討する。この海事損害賠償案件 の事案ほ複雑であり'その 先例機能はまとこに把握し難いのであるが、同判事は結局、「未出生. 子の訴権は否定された」と解したホ-ルスベイリ氏の解釈を採用し た(4)0. しかし、同判事はつづけて、一九〇七年のウィリアムズ対オ-シャ. るコ-ゼソス・ハ-ディ記録長官 補強するものであった旨を述べた。. (CozensHardyM.R.). の意見を. そして又、原告代理人キング氏の提起した、何ほどかの扶養という ことが、「未出生子」の場合にあり得べきかという問題(これが第二. の問題点か?)に関しても、ショフィ-ルド対オ-レル採炭株式会社. 事件の控訴院判決が肯定的に考えているようにみえる旨も述べた。. 同判事は、か-して、およそ権威存すとされる典籍・先例のすべて. が、「未出生子ほ訴権をもつ」とする見解に対して好意的であるよう. にみえる、とまで事態を認識していたことほいたのであった。. when. bemade. question. opinion,asinanyeventl(. difncult. itsbeha)fbeforebirthoronlybecomes. i8bornalive express. which. 「--but,whetherthatrightisave8tedrightwhichenab)es. ところが、判示はさらに反転する。すなわち、. vested. intend. (ibid.p.284). on. ン炭鉱会社事件にふれ、そこでの問題が、父の死後生まれた子(a. (Workmen.sCompens苧. not. a. 本件の未出生子は約. り、この子の性別如何も、或いは不具ないし障害を伴って出生するか. ない。母と子に賠償額をどう配分するかの問題は極めて解決困発であ. 死産で生まれた場合には、その損害賠償額ほ大きく増加するかもしれ. 陪審名簿になる。にも拘らず、もしこのまま審理をつづけ'この子が. 二カ月後の六月にほおそら-出生するであろうし、七月にほ新らたな. 理由づけがこのあとにつづく。その大要ほ'. われたわけである。けれどもむしろ具体的な事実判断とでもいうべき. ここに至って意外にも、抽象的な規範判断についての判断停止が行. bygrantedL. is. on. shou)d. an. to. considerastay. to. posthumouschild)が'労働者災害補償法. の視界内において、その亡父の被扶養者(dependant)と. 見得るかどうかということでほあったが、「未出生子」が、その利益 の為に必要とみてよいような目的のために、すでに出生したものと見 倣されたこと、そして、この見方は'同じ1九〇七年のヴァイラ-対. ギルベイ事件の貴族院判決に遵ったものであった旨を述べた。 同判事はさらにつづけて、一九三五年のエリオット対ジョイシイ事 件の貴族院判決は、再び同様の問題に遭遇して、一、二にとどまらな law)を、この擬制をまさに適用すれば、. い貴族院判事諸公が、ある未出生子を既に出生子として取扱うという 法の擬制(thefictionof. もし先へいって出生ありせば亨受するであろう利益を前もって取得す. ることになるような事案に対してだけほ、適用しょうという考え方を. do. it. ac)aim l. どうかも知るべ-もない。これらほすべて賠償額算定に際し、陪審に. 三九. 示したこと、そしてこの考え方は、前記ウイ-アムズ・ケ-スにおけ 不法行為法における「胎児の被害法益」. -. ti昌Aets).

(8) 不法行為法における「胎児の被害法益」. 影響を及ばす事象であり乍ら、而る反面'子のない寡婦ほ、その夫が 生存している場合より経済的には段々よくなってい-ものであり'本 件原告もただの一九才で'故人となった夫の稼働力にまさる稼働力を もっているかもしれないのである。 他方又、原告代理人ベイリイ氏が指摘したように、この寡婦が子の. ここであらわれた「便宜の均衡」という基準ないし尺度は何を意味. と、分娩まで審理を延期し後に再開した場合とを勘案し、その簡明さ. するものか判然とほしない。おそら-、分娩前に審理を続行した場合. 「権利」. の観点よりも優越させる、如何に. ないし便宜さからいって、後の場合の方がまさると考えたものなので あろう。「便宜」の観点を. も現実感覚に富むイギリス的法曹の観点なのであろうか、そのコトバ. を判決文に堂々と表現するところがまた興味深い。. v・Leveil16. 分娩に際し死亡するかもしれないし、その結果、〔授与されている一. 四〇 ofthe. の決定. という親矩を設. birth. thestate・. る'というべきであろう。. (Montreal. に何らの言及もみられない点である.. 賢明なマーチン判事(MartinJ.). して、いわば大前提たるべき先例規範命題を抽象的に説明するもので. が、その前半ほ、援用された若干の先例を要約したり、意義づけたり. の判旨ほ'かなりの長文である. るべき筈の'原告側弁護人の摘示されている弁論にほ重大な欠落があ. どうか?)'いずれにせよ、このケ-スに最大限に依拠して論じて然. としては、この程度のことは不注意というべきでほないのであろうか. 要するにこれは、原告側弁護人の無知もし-は怠慢によるものか' あるいは被告側弁護人の無知もし-は無視によるものか、はたまた、. balanceofconvenience」. the. ぶりは'彼自身が自覚的であったか否かはともか-として、コモン・ ロウの硬直な法準則の解釈に対する懐疑それ自体を表出したものかも. 唐突に「便宜の均衡the. child. trial). 裁判官の不注意によるものか(それとも、当事者主義の下の訴訟指揮. としては奇異である。裁判官においてもこれを釈明した形跡がない。. このことは'被告側であれば不問にしても奇異ではないが、原告側. 〔)933]4().L.R.387). ゆるモソトリオ-ル電鉄事件. 年の判決でありながら'l九lll三年の画期的なカナダのケ-ス、いわ. 本件を吟味してみて、なにょりも奇異に感ぜられるのは、一九四〇. Tramway. 身専属的な人格訴権という〕彼女固有の権利を失うかもしれない。或 いはまた、被告代理人キング氏が指摘したように、叙上のようなこと ほ'分娩というものの通常の結果でほないのであって、今日では叙上. というも. に承継されると主張したが、. の如き危険は少ないであろう。キング氏は、いずれにせよ、原告の権 利はその道言執行人たち(Executors). のである。. そうなるかどうか'私ほかなりの程度まで疑っている。. × ×. 定して、次のように述べ、ついに審理延期(astayof. the. (ibid.p.286). stil)-born.(grant. しれない。とはいえ、彼はこのような狐疑達巡を止揚するべ-'やや. 以上、たどってくれば、マ-チソ判事の思考過程における左顧右晒. -. × ×. を正当化する。すなわち、. and.if. it.]. be. 「But.inanyeventthebalanceofconvenienceseemstobe. furthel・Order. reference. to. infavourofgrantingastayoftrialuntil chi)d. all. libertytothedefendantstoapplytostrikeoutof. ment. c)aim. or of.

(9) あり'その後半ほ'所与の事実関係から重要事実を抽出して、いわば 小前提たるべき認定事実構成を具体的に表出するものであった。そし て、この大前提と小前提とをにらみあわせて'結論に到ったわけであ. るが、本件ではその際に突如「便宜の均衡thebalanceofconveni・ enee」という'いわば独特の優劣衡量概念がもち込まれて訴訟延期の 決定が下されてしまった。 このようなやや唐突の感を免れない判旨および結論への跳躍は、大. her. next. friend). とある。この場合、「近友」は'. (The. 「近友nextfriend」. (おそ. 「未成年者infant」. 遂にヴィクトリア州の裁判所を鼓吹することがなかったわけ. action・・-by. beba)for. 彼自身の名において訴える「原告」なのか、又はあ-までも「原告本 人」の「代理人」なのか、判然としない。いずれであるかによって、後 「請求要旨略記欄 indorsement herse)f・・・・」の意味 や. 不法行為法における「胎児の被害法益」. 段の「訴状statementof the writs」に記載されている「on. claim」. であるらしく、本件訴訟ほ、右マンズ女の らくは彼女の親権者)を通して提起された. ヴィクトリア州法において'1九才という年令ほ. 注. である。. (2). an on. (3). が規定される.すなわち、「原告女のために(原告として)」なのか' 「原告女に代って(原告代理人として)」なのか。おそらくほ、後者で. おそらくこれほ'わが民法典の七二条の規定に相当するような条項. あろうと思われる。 ではなかろうかと想像している。. ちなみに、わが民法七一一条は、「他人ノ生命ヲ害シタル老ハ被害者 ノ父母、配偶者及ヒ子二対シテハ其財産権ヲ害サレサリシ場合二於テモ. 損害ノ賠償ヲ為スコトヲ要ス」と規定する。 本条については、夙に立法当時(1八九八年)から、その沿革や解釈. 運用をめぐって多yの論議がかわされていることは周知のとおりである.. たとえば'民法修正案理由書'七百十条(現行七1 1条)の項に、 「本条ハ不法行為ノ責任二関スル特別ノ場合ヲ規定スルモノニシテ 成法典二其例ナシト維モ 実際上極メテ必要ナルヲ以テ多数ノ立法例ヲ 参酌シテ新二之ヲ加へタリ 蓋シ本条二示ス所ハ塵発生スルコトアルニ 拘ハラス 被害者ノ父母配偶者又ハ子ハ被害者ノ死亡二困リテ財産権ハ 勿論明二権利卜称スヘキモノヲ侵害セラレタルコトヲ証明スルコト能ハ サル場合少シトセス 而シテ此等ノ者ニシテ自己ノ権利ヲ害セラレタル ノ原則二 事実ヲ証明スルコトヲ得ハ固ヨリ第七百八条(現行七〇九条) 依リテ損害賠償ヲ請求スルコトヲ得へシト錐モ 本条ノ場合ノ如キハ被 害者ノ父母配偶者又ハ子ハ或ハ其俺板スル老ヲ失ヒ或ハ非常ノ悲哀ヲ感 シ普通ノ権利侵害二比シテ造二不法行為ノ害ヲ蒙ルコ-大ナルニ拘ハラ 被害者ノ生存二付キ別三権利ヲ有シタリト云フコトヲ得サルカ為メ 権利侵害二田ル損害ヲ証明スルコト能ハスシテ終二賠償ノ請求ヲ為スコ トヲ得サルノ不幸二陥ルヘシ 之レ即チ本案ハ特二本条ノ規定ヲ設ケ被. 四一. 及ヒ再ビ婚嫁スルマテノ寡婦卜為スモノニシテ 本案ハ此等ノ立法例二 倣ヒ請求権者ノ範囲ヲ適当二限定シテ被害者ノ一等親等ノ者及ヒ其配偶 者卜為セリ」となる。 この説明からも窺知しうるように、この種の条項に基-請求権者の範. 害者ノ父母配偶者及ヒ子ハ仮令其財産権ヲ害セラレサリシ場合卜錐モ加 害者二対シ損害賠償ヲ請求シ得ルコトヲ認ムル所以′ニシテ 羅馬法二於 テハ斯ノ如キ請求権ヲ認メサリシト錐モ近世諸国ノ法典ハ多クハ本条ノ 如キ規定ヲ設ケ其請求権者ハ或ハ之ヲ未亡人及ヒ遺子トシ或ハ之二父母 ヲ加へ或ハ尊属親及ヒ再ビ婿嫁スルマテノ寡婦トシ若クハ成年以下ノ子. 既. 前提と小前提を細心・周到におさえているのでない限りほ、独善の誹 をめぐって、右せんか左せんか、か. をまぬがれまい。本判旨にその傾きがないであろうか。 ともあれ、「未出生子の法益」. なりの達巡をみせたマ-テン判事であったが、いわばルビコンを前に して遂に敬子を投ずることをしなかったのである。 かつて、一九三三年、決断力にみちていた、カナダの裁判官たちが 投じた敬子は、七年後の1九四〇年に至ってもなお、オ-ストラリア の裁判官に認知されなかったわけであり、さらに遡って'一八四六年. plainti苧-・brought. のキャム.,(ル卿法も、その一八八四年、一九三四年の同法改正法など. も(5). ス.

(10) petition. herse)f. COu)a. have. and. の論点が wasfi)edbya. had. shehadnoc)aim.but she. thepetitioner. (5). the. 四二 case. reading. the. cited. for. the. what. cannot. was. done. proposition. in. made. and). on. behalf. aSSume. George. いわゆるキャムベル卿法とは、一入四六年の致命事改法Fatal dentAct)846(9&10Vict.c,93)を指し'生命侵害の場合に1定. The. of. the. マ-チソ判事も、この案件の審決をどう意義づける..(きかに困惑した. ・・-in8uCh until. 「Noauthority anthor's. be. 二貢の脚注)に'「この種のケ-スでは、その子が出生するまでは、そ a)aim. と、きわめて自信なげに、この-だりを結ぶのである。. Richard.A. of. and. Acci・. たりするのは'いわゆる加害者に甘い行政や立法に対する1針として、 あながち責められない面もあろう.しかし、本当に「勝ツタ」のは誰で あるのかを、前世紀以来の長いスパ-ンの中で、かつまた、社会・経済. を議たからといって'「勝ツタ、勝ツタ」. する訴訟)で、一部であれ'全部であれ、被害者に「損害賠償」の判決 と褒めそやしたり'騒ぎ立て. 近時'生命や健康や自由や名誉等々、財産権以外の諸々の人格的価値 を侵害され乍ら'その 「原状回復」にかえて「損害賠償」を訴求した多 -の訴訟(例えば、交通事故、医療事故、食品事故'公害などを原田と. うか.. 法思想″、〝企業至上主義″に途を拓-結果になってきたのではなかろ. もコストにくくって企業活動を拡げればよい″とする、逆立ちした"遵. 賠償の方法をひろ-講ずれば講ずるほど'被害者側における〝拝金思 想″、"金・Lリ主義″を助長する1方、他方加害者側に対しては'"賠 償さえ払えば、物でも人でも侵害できる″'グ算盤が合う限りは、賠償. しかし、思うに'かかる債向の中で、1般に人格訴権の侵害に、損害. である。. 範囲の被害者遺族に損害賠償請求権を認めて、コモン・ロウの厳魚たる 法原則を緩和した。その後も再三の改正法によって、請求権者の範囲を 拡げた。 かかる立法又は司法の債向は、我国も含め各国とも軌を一にするよう. it. ものらし-'ホ-ルズベイリ氏のLawsofEng)and(二版・二三巻六. born.」. の子に代理してかかる請求をなし得ない. infant. a. とあるのをそのまま引用し、つづけて'. is. 不法行為法における「胎児の被害法益」. the. that. that. existence. behalfof. and. asking. way. rightofaction)として'. is. it. 囲は多様であろう。我七二条の沿革、学説'判例等については'さし. answer deceased replied. 否の停止条件(aConditionprecedenttoa. その子が実在しているべきものであることまでを要件としていない」と. いう見解を按摩したようではあるが'結局、その審決(decree)におい ては、その子が出生した場合には、その請求を立証せしめるという許可 を保留してしまったもののようである。. is. あたり'植林弘「慰籍料算定論」(一九六二年)二八七貢以下、私立学 会シンポジウム「生命侵害の損害賠償」(1九六七年)、私法二九号三賞 以下、好美清光「慰謝料請求権者の範囲」損害賠償法講座七巻(一九七 四年)二一五貢以下などを参照。 このジョ-ジ対リチャ-ド事件 (TheGeorgeandRichard〔1871〕 L・R・3A・&E,446.)は、マ-チン判事の要約によれば、船舶衝突事. 故により死亡した船員の妻の1人と、雇主たる船主並びに衝突した船の 船主の1方又は双方との間の案件のようである。 最も基本的な点が詳かでないのだが、事件名の表示が'the George andRichardとなっている処から推測するに、第1の船主がジョ-ジ、. others,an the. was. not. とくに'. 第二の船主がリチャ-ドということで'双方が出しあった衝突事故の救. one. unbornchi)d.(t person. was ordinary. existence. the. c)aim.. 「Amongst widow ber subsequent)y,the that. on. unbornchildsaid. argnmentputforwardon. perSi8ted. c)aim,The. but,they. the. a)lowed. in. 提起された、海事損害賠償案件であろうと思われる。即ち' Seamen. hadsufferednopecuniary)o8S.. (ibia.p.283.). chi)d. thatcounse)for. that. wasthatanunbornchildwa8nOtaper胡Onin wa88aid Against thatthe. a. behalf in. it. petitioner8admitted. be. of. he. tO to. of it. この案件を審理したロバ-ト・フィルモア卿(SirRobertPhi))imore) は、「法律(この法律が何を指すかは不明)は、その乗出生子の訴権成. when. on)y. c)aim. no. of. born.]. (4). 亡船員の妻の「未出生子」にまで 済金を、遭難した船員の遺族. a.

(11) of. 構造全体の汎い場面の上で'冷静に、見据え直せば、それはいかにも悲 劇的に見え 時には欺隔的にさえ見える.と-に司法ほ'「利益」のみ ではなくして、「正義」をも分配するべきものであろうから、加害者と 被害者の問に立って、生命や健康を取引する「和解プロ-カ-」に成り 下がらないような見識を求められて当然であり'他方'立法や行政は、 「賠償法づくり」に精を出すよりも、被害や訴訟を皆無乾するような日 常的「法策」や「用法」にこそ心を砕くように強-求められねばならな. v,Rama〔)972〕). (Pre)iminary. determination. 以下、Y氏と略記). に付され'いわゆる終局判決になっていないか. Rama. で惹起された自動車事故により'. を治療させるべ-出費して、「損失・出摘the. 負った父、原告アレキサンダ-・エイトキン・ワット. lossand. expense」を. (Alexander (以下、A母と略記). quadriplegic」. になった.. に起因するものであったという. 点は否認して争った。さらにまた、被告が原告の母を侵害したその瞬. neg)igencealleged). しかし'被告は、原告芯娘が、「脳障害と療病」を具なえて産まれた ことは不知であるとし、また、この原告の被害が、原告のいう処の被. かった。. 六八年一月四日に、原告が出生したことなどほ、これを認めて争わな. してしまったこと'A母が右衝突時に妊娠中だったので、その後一九. また、本件衝突の結果'原告乳娘の母(即ちA母)を「四肢麻痔」に. いたとするならば、彼に過失があったことになるということは認め'. の胎内にあった原告芯娘に対して、Y氏が注意義務を負っていたとす る点は争うとしながらも、もし万が一、彼がかかる注意義務を負って. これに対し'被告Y氏は、まず本件衝突の事実を認め、次に'A母. epi-epsy」を病んでいたのであった。. したが、その日からすでに孔娘ほ「脳障害と療病braindamageand. そして'叙上の衝突のあった時期に、叙上のA母が実は妊娠してお り、この事故の約入力月後の1九六二年一月四日に、原告乳娘を分娩. 「四肢麻痔a. の運転する専と衝突した.右衝突はY. 転する辛が芯娘の母、訴外シルヴィア・アリス・ワット(Sy)viaAlice. 右自動車事故がおきたのは一九六七年五月1五日であり'Y氏の運. AitkenWatt 乳娘の父'共同原告。以下、‰父と略記)がこの損 失の回復recoverを訴求したという事案に関する.. -. 氏の過失に起因するものであり、この結果、A母ほ. -. いであろう。. ワット対ラ-マ事件. キャムベル卿法の初心にかえり'更にはコモンロウの法諺を温めて衣 て'「致命事故」の場合の「法倫理」をあらためて自戒する秋ではなか. ろうか。. (1..). らである。 本件ほ'被告ハリル・ラ-マ (meg-igenee). ほ' (Sylvia. damage」および「療病(てんかん)epi)epBy」の侵害. に対して、その過失. -. law)」(中間判決). 本件が「法的争点についての予備決定. その事実関係は簡明であるが、その終局的結論は分明でない。それは. ワット対ラ-マ事件(Wattv.Rama〔)972〕V.R.353-382). よる中間判決. ウィネッケ、ペイプ、ジラ-ドの三判事に. (Watt. を被った状態でこの世に生を亨けた原告シルヴィア・ワット. 「脳障害brain. (Ha)il. Watt. 告の過失. (the. 要〕. の侵害による損害の賠償を訴求し、かつまた、乳娘のかかる身体侵害. Wat. がこ. 不法行為法における「胎児の被害法益」. 四三. ー一九六八年1月四日生、未成著者。以下孔娘と 〔概.

(12) 不法行為法における‥「胎児の被害法益」. うことで、次の二つの抗弁を提出し、その先決を求める。すなわち、. 問には、その女性が妊娠中であったという事実を知らなかった、とい. (被告側抗弁書・第九項). nocause. the. not. co)lision. action. recovered. duty. onthegroundSthat. infant. defendantowed. injurethe. the. againsthim. (papa.)o)"thesaidc)aimiSbadinlawandtheallegations disclose. atthe the. plaintiff. who. to. wasthenunborn;andthedamagesoughtto. 「申立てられた請求の趣旨ほ、法律上不適法のものであり、本件. 四四. p(ai1titr. 衝突事故当時に未出生である未成年者原告に対しては、被告におい. no. of. bythep)aintitfAle2and2rAi-kenWattisinlawtooremote・". to. of. て何らの注意義務をも負わないのであるから、原告の主菜は被告に. time. (ibid.p.854)]NO. said. 対するいかなる訴訟原因をも陳明していることにならない。 また被告は、この未成年者原告に対し'その母を侵害することな. (damages). は、法律上遠隔に. かるべき、何らの義務も負うものではな-、本件未成年者原告によ. って回復を求められている損害賠償 すぎ'法的因果関係の範囲外のものである。」. (被告側抗弁書・第十項) 「申立てられた請求の趣旨は、法律上不適法のものであり、本件 衝突事故当時に未出生である未成年者原告に対しては、被告におい. the. p)aintifr. is. bad. duty. who. not. was. recovered. in)aw. then. and. the. (damage). injure. her the. and. は、法律上. a))egation8. mother;. infantp)aintiff. col)isionthedefendantowednodut,yofcare. sought. no. った。. (thepointsoflaw)につき、本件の事実審理に先んじて審. を発行した。. 予備決定の手続に入る旨の決定を出した。大法廷を構成したのは、 oへイブPape.ジラ-ドGillardの三判事であ ウィネッケWinneke,. の法律問題について、事実審理前に、大法廷(Fu)lCourt)を開いて. 裁判所側は,若干の曲折はあったが、一九七1年八月10日、叙上. rnab)e). 理由で、削除せしめる旨の決定を求める回付召喚状(summonsretu・. ば、右原告の訴状を、何ら正当な訴訟原田を陳明せるものに非ずとの. 按、先決する手続に入る決定をするか'又は、そういかないのであれ. の論点. 被告側は、裁判所に対し、一九七一年八月五日、叙上二点の法律上. be. 務を負うていたかどうか?. 年者原告に侵害を生ぜしめる原因を与えないようにする注意義. 訴状に表明された諸事態において、被害は、当時未出生の未成. 要約された。すなわち、. るべく、大法廷を構成した三判事が当面させられた問題は次の三点に. かくして'本件の終局判断に入る前の予備決定として被告に応答す. ×. て、未出生である原告を侵害することなかるべき'何らの義務も負 うものではなく、原告アレキサンダ-・エイトキン・ワット 〔原告. the the infant. p)aintiff. ×. の父〕 によって回復を求められている損害 claim. to. remote."(ibid.p.354). owed. "the. unborn;and. by. of. damages too. to. he. said. 遠隔にすぎ、法的因果関係の範囲外のものである。. infant. di8Closenocauseofactionagainsthimonthegroundsthatat time. in)aw. be. the the are. 如. (Para.9) to.

(13) whether. injurytothe. whether. the. the. the are. the. circumstance8Set. defendant. duty. Out care. infantplainti鞄whowasthenunborn;. the. circummtances set. duty. hermother;. defendantowed. too. remote.. 80ught. circumstances. damages in)aw. 遠隔すぎるものにあらず'no・. set. 応答の必要を認めず、unnecessarytoanswer・. そのような注意義務を負うyeS・. out. out. care. the not. the. statement cause. statement totheinfant. the recovered. 結果、三裁判官全員一致で、次のような結論に達している。. statement the. 例および学説を引用し、その主要なものについて綿密な検討を加えた. by. the. められた損害賠償は、法律上、遠隔すぎるものかどうか?. 訴状に表明された諸事態において、原告たちによって回復を求. plainti鴇nottoinjure. ofclaim. whether. ていたかどうか?. する関係で'原告の母親を害さないようにする注意義務を負う. 訴状に表明された諸事態において、被告ほ、未成年者原告に対. to. in in in. 結局は、本件で被告の提起した抗弁はすべて斥けられ、未出生子の. 判事の三人とも一致していたわけであるが'このうちジラ-ド判事だ. reach. such. cone)usionsL. judgment). として述べられた. (ibid.p.36)). けは、同じ結論に至るとしても、その道筋は異なっていた旨を表明し た。即ち、. course. 「Althoughlconcdrintheirconclusions,(havefo)1oweda ditrerent. ジラ-ド判事の単独意見(seperate. に比して、一層詳細をきわめ. 理由づけほ'これまた数多くの先例、学説を検討しており、他の二人. の判事の合同意見(jointjud喝ment) る(6)0. これを本件に即して吟味することが、かのイギ. 二つの道筋による同一の結論、あるいは、法的論理の多様性と法的. リスの胎児侵害責任立法を理解する上で不可欠わ次の課題である.. 解決の劃一性(7). (6). のほか、. GasLightandCoke. Co.∩)948]. Ltd.〔1939〕4Al)E.R.123;. (Leveil)かcase)、マンズ・ケ-ス. すでに言及した、ウォ-カ-・ケ-ス. Knitting. (Manns. のほか、. case).ルヴェイニ・ケ-ス. Ltd.[)936]A.C.85;. case). これに対し、補足意見である単独意見で引用された主要な判決例は'本稿で. 2A))E.. case).ルヴュイエ・ケ. 多数意見である合同意見で引用された主要な判決例は、本稿ですでに (Leveil)6case). 言及した。ディ-トリッヒ・ケ-ス. v.Stewart&Arden v.Guildford. E.R.525;. V.Lewis[1955]A.C.549;. v.Mayoh&Co.〔1953〕All C.CI. Wa喝OnMound〔)96)〕A.C.388;. DorsetYachtCo.Ltd.v.Homeomce〔(970]AIC.)004などである.. The. Carmarthenshire. Hart)ey. R.1086;. Buck)and. HerBChtal. Austra)ianKnittingMi))sLtd.v.Grant[)936]A.C185;. -ス. (()ietrich. of of. 右の三論点に対する応答がすなわち、本件決定であり'数多-の先. be. 訴権問題は、積極に解すべしとする予備決定(中間判決)をみたわけ. (Wa)ker. a. to. v.Stevenson〔)932]A.C.562; Grantv.Anstralian. 四五. である。. Mills. to. -. owed. ただし'右の結論は、ウィネッケ首席判事、ペイプ判事、ジラ-ド. 注. a. in in in. 不法行為法におけるJ胎児の被幸法益」. Donoghue. c)aim. c)aim. of of p)aintiirs. A; vJa. 3 的 e^.

(14) 不法行為法における「胎児の被害法益」. Co,Ltd.&WingtLtd.〔1960〕. v.Pisto)a()943)COW.N.(N.S.W.)95; v.Hearse(1961)106C.LIR.))2;. OLRce[1970〕A.C.)00;. Co.Ltd.[)963]2S.A.;. Watsonv,FramReinforc2dConcrete. Chapman. S.C.(I.L.)92; Co.Ltd.v.Home. Pinchinv.Santam(nsurance. Dorset,Yacht. などであり、合同意見の引用判決例と若干おもむきを異にしている。 このような場合、複数の道筋のあることそれ自体が重要であり'この ような道筋の多様性を示すことが裁判ないし司法(ひいては法律学)に (7). クレッ-ニイ教授 アティヤア教授. (Prof.S.M.Cretney-ExeterCo))ege.Oxford) (Prof.P.S.Atiyah-St.John.8Co))ege.Oxford). 訪問調査団の精力的な作業に敬意を表するとともに、従来からの筆者の関心 を'この文献を素材にしながら一層ユンカレジし'インスパイアしてくれた、. 四六. 〔一九七九・五・三〇〕. 問的友情に対し、遥か極東の地から謝意を表するものである。 なお、本シリ-ズに関連する文献・判例・資料等をヨ-ロッパで検索・収 集するに際し、多-の方々の好意と便宜を恭な-した.特に、Rynen Ekiji, Kerstinlchimura,Prof.AndersAge))のウプサラ大学関係の諸氏、およ び、伊藤lニ郎(朝日新聞欧州総局)、BrianF.Packham (ロンドンタイム ズ)'J.A.Boxha))(ロンドン大学)'田村隆司'田村虞樹子の各氏には'並 々ならぬ御世話をうけた。ここに篤く御礼を申上げる次第である.. の学と、. 郎. とっては、結論を同じうしたことを示すより以上に重要であろうと思わ. (未完). Systems. Civi)Liabi)ityandCompcnsationforPersona). 1. 結論」という判決の論. 理構造において、理由がAでもBでも、あるいほcやDであっても、結 局は同一の結論に至るという場合にほ、まさに「事案」の「事実構成」 を「要件」として一般化し、「結論」の「規範構成」 「効果」として 一般化することによって'この「要件効果」命題が'抽象的規範命題と. (附記). Royal. Commission. ないし不合理ひいては不正義・不公平には、まさに司法がするどい注意 を払っていなければなるまい。けだし、規範命題の独り歩きに歯出めを かけることこそ司法の重要な任務なのであるから。. しえないのは、いわば必然悪であるから、所与の諸理由以外の理由によ って別異の効果にむかうべき場合をもあやまって囲い込んでしまう危険. にこそ、本ケ-スがイギリスの立法に重要契故を与えたのであろう。し かし'立法命題が一般にこの要件と効果の間隙をうめるべき理由を列挙. して'まさに立法になじむものとなるのは見易い道理であろう.それ故. を. を'本稿の準備段階でようやく参看する. 弼. -. 右文献ほ、昨一九七八年夏、筆者が国際法社会学会(於ウプサラ大学)秦 加の帰途'イギリスに立ち寄った際に偶然入手できたもので、表記の主題に 関する主要各国の法制や実情を要領よく素描しており'所々拙速匠流れた節 もなくはないが、総じて有益な文献である。ピアソン卿をはじめとする各国. ofCompensation(March)978) ことができた。. on. 閑. れる。l方では、このように. Cannore. Injury,chairman;LordPearson,Reportvo).310verBe.

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