Title
災害脆弱地区における都市整備促進施策とその効果に関す
る研究( 本文(Fulltext) )
Author(s)
上田, 孝行; 高木, 朗義
Citation
[土木学会論文集] vol.[702] p.[39]-[50]
Issue Date
2002-04-20
Rights
Japan Society of Civil Engineers (公益社団法人土木学会)
Version
出版社版 (publisher version) postprint
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/24338
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土 木 学 会 論 文 集No. 702/IV-55, 39-50, 2002. 4
災害脆 弱地 区 にお ける都市 整備 促進 施策
とその効 果に関す る研究
上 田 孝 行1・ 高 木 朗 義2 1正会 員 博(工)東 京 工業 大 学 助教 授: 工 学 部 開発 シ ステ ム工 学科(〒152 -8552東 京都 目黒 区大 岡 山2-12-1) 2正 会 員 博(工)岐 阜 大 学 助 教授 工学 部 土木 工 学科(〒501 -1193岐 阜市柳戸l-1) 大都 市 圏 には, 災害 に 対 して非 常 に 脆 弱 な地 区 が存 在 して い る. それ らの地 区は 都 心 部 に在 り, 潜 在 的 に は都 市 開 発 に よる 高 い収 益 が期 待 で き るに もか か わ らず, 個 々 の 区画 は 建 物 へ の建 替 えが 依 然 と し て 進 まず, 都 市 防 災 上 は 大 き な問題 の 一っ とな っ てい る. 本稿 は経 済 動 学 の 分 野 で 開発 され て きた 投 資 タイ ミン グモ デ ル を発 展 させ て, 災 害 脆 弱 地 区の 開発 が 進 行 しな い メカ ニ ズ ム を描 写 す るモ デ ル を 提示 し, そ れ に基 づ いて 災 害 脆弱 地 区の 都 市整 備 を促 進 す る施 策 の 効 果 を 分析 す る. ま た, 便 益 帰 着構 成 表 ア プ ロー チ を用 い て, 社 会 的 純便 益 が 建 物利 用 者 の享 受 す る 防 災機 能 の 向 上 か ら区画 所 有 者 が 負 担 す る 建 設 費 用 と営 業 費用 を差 し引 い た もの で あ り, 開 発 タイ ミン グ が便 益 の大 き さ を規 定 す る こ と を示 す.Key Words: development timing, dynamic externality, self-fulfilling equilibrium, urban development 1. は じめ に 大都 市 圏 には, 老 朽 化 した 木造 集合 住 宅 が密集 し, 街 路 も狭隆 であ り, また, 公 園等 の オー プ ン スペー ス も不 足 した 災 害 に 対 して 非 常 に脆 弱 な地 区 が存 在 して い る. それ らの 地 区は 交通利 便 性が 高い都 心 部 あ るい は 旧市街 地 部 に在 り, 潜在 的 に は基 盤整 備 を伴 う都 市 開発 に よる 高い 収益 が期 待 で き る. しか し, 実 際 には そ の よ うな地 区 では個 々の 区画 は脆 弱 な 建物 か ら頑 強 な建 物 へ の建 替 えが 依 然 と して進 まず, 都 市防 災上 は 大 きな 問題 の 一つ とな って い る. 本 稿 は経 済 動 学 の分 野 で開 発 され て き た投 資 タ イ ミングモ デル を発展 させ て, 災 害脆 弱地 区の開発 が進 行 しな い メ カニ ズ ム を描 写 す るモ デル を提 示 し, それ に基づ い て 災害 脆弱 地 区 の都 市整 備 を促進 す る施 策 の効 果 を分析 す る. 2. モ デ ル 作 成 の 要 点 と 既 往 の 関 連 研 究 モデ ル を作 成 す る際 の要 点 は, (1)各区画 所有 者 が 開 発 タイ ミン グを選 択 す る最 適行 動 のモ デル 化, (2) あ る区 画 所 有 者 が 選 択 した タ イ ミン グが 他 の 区画 所 有者 に影 響 を及 ぼす とい う外 部 性 の導 入, (3)地区 全 体 で の(1)と(2)を踏 ま えた 均衡 状態 と して の 開発 の進行 状 況 の描 写, で あ る. (1)につ い て は土 地 保 有 税 の開 発 促 進 効 果 につ い て分析 す るた め に金本1}2)がモデルを示している. しか し, 行 動 モデ ル の範 囲 で の効 果分 析 に 留 ま って い る. ま た, 土地 開発 よ りも一 般 的 な投 資 タイ ミン グの選 択 モデ ル と して は, Krugman3), Dixit4)があり, 大瀧5), 脇田6)はそれらの解説と展開を行っている. これ らは 不 確 実 性 下 の タイ ミン グ選 択 に お い て は 投 資 の 意 思 決 定 を遅 らせ る こ と に よ る便 益 が 存在 す る こ とを示 して い る. 多 々納7)も不確実性下の公 共 主 体 の 開 発 タイ ミング 選 択 モ デ ル に お い て 開発 の 意 思 決 定 を 遅 らせ る こ とに よ る留 保価 値 が存 在 す る こ とを示 し, そ の性 質 を議 論 して る. また少 し 視 点は 異 な るが, 榊 原 ら8)は安全性診断と関連する 補助 制度 を取 り上 げ, 所 有 者 の余 命 と家屋 の 履歴 と い う時 間 的 要 素 と木 造 家屋 更 新 の 意 思決 定 との関 係 につ い て分析 して い る. しか し, これ らの モデ ル も, (2)と(3)への展 開 は難 しい. (2)と(3)に関 しては, Murphy et al9)は個々の経済主 体の 投資 選 択 の結 果 と して, 全 員 が 投資 す る均衡 と 全 員 が投 資 しな い均 衡 の複 数 均 衡 が発 生 す る可 能 性 が あ る こ とを示 し, 後 者 の 均衡 が 一 種 のSocial dileaの 状態 で社 会的 に不効 率 に な る危 険性 を指 摘 して い る. しか し, それ は静 学 モ デル に 留 ま って お り, タイ ミン グの 問題 は議 論 して い ない. 松 村10)
は① ∼③ をカバ ー してお り, 投 資 タイ ミン グの選 択 モデ ル に外 部 性 とそれ に関 す る不確 実性 を導 入 し, そ の結 果 と して いつ ま で もす べ て の経 済 主 体 が 開 発 を選 択 せ ず, 経 済 全体 で 未 開発 の 状況 が 永遠 に持 続 す る よ うな 可能性 を指 摘 してい る. 本 稿 で は松 村lo)で示されている完全情報下のモ デ ル と金 本1)のモデルをべ一スにしたモデルを示す, す な わ ち, 経 済主 体 間 の開発 タイ ミン グの選 択 に外 部 性 を導 入 し, そ の も とで税 制 を含 む い くつ かの施 策 の効 果 を 分析 す る. 本 稿 で松 村10)の意味での不確 実 性 を考 慮 しない の は, それ がKmgman3), Dixit4), 大瀧5), 脇田6)の意味での動的なプロセスで変化す る不確 実性 とは異 な り, 都 市整 備 に伴 うリス クをモ デ ル 化 す る上 で ど ち らの 不 確 実 性 が 適 用 で あ る か 現 在 の とこ ろ筆者 らに は判 然 と しな い た めで あ る. この 点 は今 後 の研 究 で取 り組 みた い と考 えて い る. な お, 本 稿 のモ デル は災 害 の発 生確 率 を考慮 して い な い ため に防 災 対策 に限 らず, 一般 的 な外 部 効 果 を 持 った 都 市 整備 促 進 施 策 に も適 用 で き る と考 え ら れ るが, 本 研 究 の動 機 は 防 災対 策 と して の都 市整 備 促進 施 策 の必 要性 で あ り, これ を 目的 と して 本稿 の 議論 を進 め てい き たい. また, 確率 を考慮 して い な い た めに, 高 頻度 の災 害 に対 して は実 際 の被 害 を受 け るま で 建 替 え を しな い とい う行 動 が 最適 に な り 得 る とい う問題 が考 え られ るが, 実 際 に は脆 弱 な建 物 で あっ て も, 高頻 度 の 災害 規模 では 損傷 しな い こ とが多 い と考 え られ る. 一 方, 災害 脆 弱地 区 の 開発 に 関 して 実証 的 に分 析 した もの もい くつ か あ る. 森 地11)は災害脆弱地区に お け る都 市 整備 を例 示 し, 現 在 の面 整備 制 度 が不 十 分 であ り, 市 場 メ カニ ズ ムの 活用 お よび その た めの 政策 展 開 を検討 す る必 要 が あ る と主 張 して い る. 本 縞 は理 論 分 析 に よ り この 主 張 に応 え て い る と も位 置付 け られ る. 金 本l2)はわが国における住宅の補助 制度 に つ いて整 理 し, 近 隣外 部性 の見 地か ら住 宅 の 耐震 性 に対 す る住 宅 金 融 公 庫 の融 資制 度 の正 当性 につ い て触 れ て い る. しか し, 災害 に よ る近 隣外 部 性 につ い ては対 策 の 必 要性 を述べ るに とどめ, 充 分 な分 析 が で き な か っ た と して 今 後 の課 題 に挙 げ て い る. 本 縞 は, この 課題, す な わ ち災害 に よる近 隣 外 部性 へ の 対策 と して何 が 有効 か, に取 り組 んだ も の と も位 置 付 け られ る. の 3. モ ア ル (1)モデ ルの 前 提 条件 モ デル は 以 下の 主 な前 提 条件 に基づ く. 1)地 区 は1∈1={l, …, hj}のラ ベ ル を持 つ 有 限 個 の 区画 に 分割 され て い る. 都 市整 備 に よって 区画 は変 更 され な い. 2)土 地 資 産 は確 率 的 に変 動 しな い とす る. す な わ ち, 土 地資 産 は所 有者 に とっ て安全 資 産 で あ る. 3)各 区画 の所 有 権 は十 分 に競 争 的 な 市 場 で瞬 時 に 売 買 可 能 で あ る. その 価格 が土 地 価格 であ る. こ の土 地 価格 に対 して 土地 保 有税 が税 率 τで課 せ られ る とす る. 4)所 有 権 と代 替 的 な安 全 資産 の収 益 率 は時 間 に依 らな い一 定値 ρ で あ る とす る. 5)各 区 画 の所 有者 が 自区 画 に建 設 す る建 物 の タイ プはb∈B={w, 3}で あ り, w: 脆 弱, 5: 頑 強 で あ る とす る. 6)時 点 は ∫∈[0, mhg)で表 し, 各 区 画 の開 発 に よ り建 物 タイ プ はw→5へ と変 化 す る. 開 発 の タイ ミ ング を τ ∈[0, jk)で表 す. 7)各 区 画 の所 有者 は 自区画 の建 物 を賃 貸 して, 収 入jk(∫)を得 る. そ のた め の営 業費 用 をOl(∫)で表 す. 災害 脆 弱地 区に お いて は, この営 業費 用 は 災 害 に よ り確 率 的 に 変動 す る もの で あ るが, こ こで は簡 単化 のた め少 々厳 密 さを欠 くが, 災 害 に よ る被 害 を考 慮 した維 持 ・補修 費 用 の年 平 均 支 払額 ま た は理 想 的 な保 険 料 と考 え る. これ に よ り, 営 業費 用 の減 少 額 は 期 待被 害 軽減 額 と し て捉 える こ とがで きる. 8)開 発 に際 しての 建設 費 用 は タ イ ミン グに依 らな い もの と し, yと す る. この 費用 は減耗 しな い 建物 資 産価 値 とな り, そ れ に は建 物 資産 税 が税 率 τkで課 され る. ま た, この 費用 を借 入 れ で賄 い, 無 限 期 間 に わた って各 時 点 で は金 利 分 ρP1 のみ を返 済 してい く とす る1). 9)本 来, 賃貸 収 入 は住 宅 市 場 の均 衡 を通 じて 内生 的 に決 定 され る もので あ るが, 本 稿 で の論 点 を 絞 るた め に これ を外 生 的 に 取 り扱 う. また, 多 くの場合, 災 害脆 弱 地 区は都 心部 に位 置 し, 潜 在 的 な 需要 が 大 き い こ とか ら, 本 稿 で は各 区画 の建 物 に 関す る需要 は所 有者 か ら見 て無 限 に弾 力的 で あ る とす る. さ らに, 賃 貸 収入 は建物 タ イプ だ けで な く, 地 区の基 盤 施設 整 備 水準 で あ る ρ(∫), 地 区の全 建 物 中 に 占め る頑 強建 物 タイ プ の 数 β(∫)=1-{lk∈lib'=3}に 依 存 し て い る と し て, 4(∫)=4(∫, ρ(∫), β(∫))と表 す. な お, 賃 貸 収 入 は 年 々 上 昇 す る が, 営 業 費 用, 建 物 費 用 は 一 定 で あ る とす る. 営 業 費 用, 建 物 費 用 を 一 定 と置 い た の は 建 築 関 係 の 物 価 上 昇 を 差 し引 い て 費 用 を 実 質 化 した も の と解 釈 で き る の で,
す べ ての 物価 が 建 築 関係 の物価 上昇 分 だ け割 り 引 かれ て 評価 され て い る と考 え な けれ ば な らな い. した が っ て, こ こでの 基本 的 な仮 定 は賃貸 収入 の 上 昇率 が 費 用 の上 昇 率 よ り高 い こ とで あ る1). 10)賃 貸 収 入 か ら営 業 費用, 建 物 費用, 建物 資 産税 を 引い た純 不 動 産 収入 は, 地 区内 に頑 強 建物 数 が少 な い場 合 には, 頑 強 建 物 よ り脆 弱建 物 の方 が多 く, 頑 強 建 物数 が多 い 場合 には, 脆 弱建 物 よ り頑 強建 物 の 方 が 多い とす る. これ は, 地 区 内 に頑 強建 物 が少 な い場 合 に は, 地 区全 体 の安 全 度 が低 いた め頑 強建 物 で も十 分 な賃 貸 収入 を 獲 得 す る こ とが で き ない に もか か わ らず, 費 用 や 税 金 のみ が 高 い た め, 脆 弱建 物 よ りも純不 動 産 収入 が 少 な くな る と考 え る もので あ る. 11)災 害脆 弱 地 区 に お いて は, 自区画 が頑 強 な建物 の場合 には, 倒 壊 な どに よ る直 接 的 な被 害か ら 免 れ, かつ 近 隣 も頑 強 な建 物 で あれ ば避難 が 可 能 で あ る. しか し, 自区 画 が脆 弱 な建 物 の場合 には, 例 え他 区 画 あ るい は地 区 全体 が 頑強 な建 物 で あ って も, 避 難 す る前 に 自区画 の 建物 倒壊 に よる被 害 を 受 け るた め に, 災 害 か ら免 れ な い と考 え られ る. す なわ ち, 脆 弱 な建 物 の災 害 リ ス ク は, 他 区 画 の建 物 更新 に よっ て軽減 しな い と考 え られ る. したが っ て, 賃貸 収 入4(∫)は 自 区 画 の建 物 が 更新 され ない 場合 に は, 他 区画の 建物 更 新 に よる影 響 を受 けな い とす る. また, これ と同様 な理 由か ら脆 弱 な建 物 にお け る賃貸 収入 の 上 昇 率 も, 少 な くと も頑 強 な建物 よ り高 い とは考 え られ ない さ らに, 地 区全体 の 防災 レベ ル が高 い ほ ど, 将来 に対す る期待 が 大 き く, 賃貸 収 入 の上昇 率 が 高 くな る とす る. l2)こ の地 区 の都 市 整備 が実 現 して防 災性 能 が 向上 す る こ とは他 の地 区 を含 めた地 域 全 体 の防 災性 能 の向 上 に 資す る と し, そ の た め, この地 区で 都 市 整備 が早 期 に 実現 す るほ ど建 物利 用 者 に と って は 望 ま しい もの とす る. (2)モデ ル の作 成 区画 の ラベル を省 略 して表 せ ば, 開 発 タイ ミン グ が τ で あ る場 合 の 時 点 ∫に お け る 土 地価 格 γ(T, t) は, 代 替的 安 全資 産 との無裁 定 条件 か ら次式 に従 う. Fort<T (ρ+τ)γ(7, ∫)=ljk+(∫)-w(∫) (1) Fort>T (2) (ρ+τ)γ(7, ∫)oγ)+(∫)一O(∫)-(ρ+τ ρP この 時点 ∫で の土 地価 格 は次 の よ うに 書 き表 せ る. V(T, t) 1{(3)-O(3)-τ γ(7, s)}exp-ρ(3-∫)j +kl(5)-(3)-(ρ+η)P一 τγlkj(∫<η exp{-ρ(s-t)j J{4(5)-ρ, (3)(ρ+τ ・)P-τ γ(75)} (∫≧η exp← ρ(s-t)}kl (3) 式(1), (2)と 弍(3)が 整 合 的 で あ る こ とは, 式(3)の 両 辺 を 時 点 ∫に つ い て 偏 微 分 す る こ と で 容 易 に 確 か め られ る. 式(1), (2)ま た は 式(3)を 満 た す 土 地 価 格 γ(τ, ∫)の具 体 的 な 解 は, 合 理 的 バ ブ ル が 発 生 す る 場 合13)を除けば, 不動産からの純収益を代替資産の割 引 率 と 土 地 保 有 税 率 を 合 わ せ た ρ+τ で 現 在 価 値 に 割 り引 い た も の に な る. v(z, r)=
f{rw(s)-cw(s)}exp-(p+z)(s-t)}ds
+∫{(s)-ρ, (5)-(ρ+τ)P} (∫<η exp←(ρ+τ)(5-∫)}kj ∫kjh(s)-(3)-(ρ+η)B exp(ρ+τ)(s-t)}lkj (∫≧η (4) 式(4)か ら初 期 時 点 ∫=0で の土 地価 格, す なわ ち, 区画所 有者 の利 潤 の現 在価 値 は 次 の よ うに な る. V(T, 0)J{rw(s)cw(s)}expf-(p+z)s}ds
(T>0) (5) +J{jk(S)-ρ, (3)-(ρ+τ)P}exp9ρ+τ)5klj ∫ξ<3-(S)-(ρ+η)exp9ρ+τ)jk=0) 区 画 所 有 者 は こ れ を 最 大 に す る よ うな 開 発 タ イ ミ ン グ τ を 選 択 す る. γ(jk)が凹 関 数 で あ る こ と を 仮 定 す る が, あ る 区 画 の 建 物 賃 貸 収 入 は 他 の 区 画 の 開 発 タ イ ミ ン グ に も依 存 して お り, そ の た め γ(・)は連 続 で あ る が, jh∫), Ol(∫)はす べ て の ∫に 関 して 必 ず しも 連 続 で は な い の で, す べ て の τに つ い て 微 分 可 能 で あ る と は 言 え な い. そ の 場 合 の 厳 密 な 最 大 化 問 題 に つ い て は, 劣 微 分 の 概 念(例 え ば, 津 野14)を参照) を 用 い て 分 析 す べ き で あ る が, 本 稿 の モ デ ル で は, 次 の 条 件 で 表 され る. V(T-h, 0)<V(T, 0)andV(T+h, 0)<V(T, 0) forallhE(0, 00) (6) こ れ は 左 微 分 が 非 負, 右 微 分 が 非 正 で あ る こ と を 意 味 す る. た だ し, 7=0で 最 大 と な る 場 合 は, γ(7+kj, 0)≦ γ(7, 0)だ け で あ り, 右 微 分 が 非 正 で あ る こ と が 条 件 に な る. 7>0の 場 合, 式(5)の 目的 関 数 に 対 し て は 微 分 係 数 は 一 般 に 式(7)の よ うに 表 され る. た だ し, 後 で 説 明 す る よ うに τが あ る 値lk=7l を 取 る 前 後 で, 開 発 後 の 純 不 動 産 収 入 7∫(∫)-O(∫)-(ρ+τ)Pが 不 連 続 と な る場 合 に は, 微 分 係 数 の 関 数 表 現 は 同 じ で あ っ て もそ の 前 後 で 微 分 係 数 の 値 は 異 な る. 従 っ て, 厳 密 に は 微 分 不 可 能 な 場 合 が 含 ま れ て い る こ と に 注 意 が 必 要 で あ り, 式 (6)は そ の 場 合 の 最 大 化 条 件 を表 して い る. av(T, o>={r w(T)-cw(T)}exp{-(p+Z)T}aT -{r, (T)-c, (T)-(p+z k)P}exp{-(p+z)T} (7) 式(7)に基 づ い て右微 分 と左 微 分 を調 べ て, 不 連続 で あ って も, 非 負 か ら非 正 に変 化す る時 点 τを見つ け れ ば, そ こが最 適 開発 タイ ミン グに な る. (3)実現 す る均衡 状 態 すべ ての 区画 が 均質 で対称 な均衡 を考 え, さ らに す べ て の 区 画 所 有 者 が 他 の 区画 の開 発 状 況 を 知 り 得 る とす る完 全 情報 下の ゲー ム と して 見 た場 合, 松 村lo)と同様に本モデルにおいても, 任意の∫∈[0, lkl) につ い て, a)すべ ての 区 画 で開発 が行 われ る均衡 と b)す べ て の 区 画 で 開 発 が 行 わ れ て い な い 均 衡 が 存 在 し得 る. 都 市整 備 の 早期 実 現 を可 能 にす る政策 は b)の 均衡 が 成 立す る可能 性 を排 除 して, a)の均衡 が 実現 す る可 能性 を高 め る こ とで あ る. 実 際 には すべ て の 区画 が 均質 で な い ため に, あ る 開 発 タイ ミン グ にお い て開 発 前 後 の純 不 動 産 収入 の 大 小 関係 が 逆 転 す る 区画 と しない 区画 が 存在 す る. この場 合 に はa), b)以外 の均 衡 す な わ ち開発 が 行 わ れ る区 画 と開 発 が 行 わ れ ない 区 画 が 混在 す る均 衡 が存 在 す る可能 性 が あ り, 区画 の 不均 質 さの 程 度 に よ って 均衡 が 複数 存 在 し得 る. この よ うに各 区 画 が均 質 で な い場 合 に つ い て も分 析 す る必 要 が あ る と思わ れ る が, 本稿 では この分 析 ま でを対 象 と しな い. これ につ い て は不 均 質 さの程 度 と開発 タイ ミン グ との 関係 な どを分析 す る必 要 が あ り, 今後 の 課 題 と した い. なお, す べ ての 区画 が 均質 で な い場 合 で も, あ る 区画 の開 発 タイ ミン グの 早期 化 に よ り 他 の 区 画 に お け る開発 後 の 純 不 動産 収 入 が 増 大 す るた め, 全 区画 が 同時 に開 発 しない ものの 他 の 区画 の開 発 タイ ミン グ も早期 化 す る場 合 が存 在 す る と 予想 され る. 4. 都 市 整 備 促 進 施 策 と そ の 効 果 (1)施策 の内 容 とモ デル の 特定 化 す べ て の 区 画 で 開発 が行 われ て頑 強 な建 物 へ の 変 更 が早期 に実現 す るよ うにす るた め の施策 は, 主 な もの と して, (1)土地保 有 税 率 τを変 更 す る こ と, (2)建物 資 産税 率 τ々を変 更す る こ と, (3)開発 費 用(建 物建 設 費 用)に対 して一 定 率 の補 助金 を支 出 す る こ と, (4)一定 数 の 区画 につ い ては公 的主 体 が土 地所 有 権 を獲得 して開 発 を実 施す る こ とが挙 げ られ る. 以 下で は, これ らの施 策 の効 果 に つい て 考察 す る. 議 論 を単 純 化 す るた め に 地 区 に は2区 画 しか 存 在 してい な い場合 を考 え, さ らに次 の よ うな特 定 化 を加 え る. 1={1, 2} π(∫, ρ(∫), β(∫))nρ0, (∫, ρ(∫), 1)=ρ0β ρ κ(∫, ρ(∫), 2)=ρoβjh Ojk(∫)-O3, O(∫)-O2 zρoβP-Oρ-(ρ+τ ∂P ≦ ρ0-O3≦ ρ0β2-(2-(ρ+τ ρP (8) ここで は, 7=71に お いて全 区画 で 同時 に 開発 が 行 われ るよ うな均 衡 を基 準 均衡 と して想 定す る. そ の 上で, (1)∼(4)の施策 が個 々 の区 画所 有者 に この均 衡 か ら離 脱 して早 期 に開 発 を行 う誘 因 を 与 え る か ど うか を検討 す る. た だ し, 施 策 に よ る効 果 を実際 に計 測す るた めに は, 基 準均 衡 にお け る開発 タイ ミ ング 君 を知 る必 要 が ある. この 開発 タイ ミン グは 区 画所 有 者 の 開 発 に 対 す る信 念 形成 に よ っ て決 定 さ れ る と思 われ るが, 本稿 では そ のモ デル 化 ま で を対 象 と しな い. このモ デル 化 が で きれ ば計 測 可能 で あ るが, これ につ い ては今 後 の課 題 と した い. (2)モ デル の図 解 図一1∼7はすべ て 開発 タイ ミング と土 地価 格 の現 在価 値 の変 化分 との 関係 を表 した もの で あ る. まず, 図一1はす べ て の 区画 で開 発 が 行 わ れ な い 均 衡 を
表 して い る. 図 一2は 名 にお い て一 方 の 区画 で 開発 が行 われ, それ に よっ て全 区 画 で開発 が行 われ る均 衡 を表 じて い る. この2つ の 基 準均 衡 にお い て は, 一 方 の 区画 所 有 者 が そ こか ら離 脱 して早 期 に 開発 を行 うこ とも, 開発 を遅 らせ る こ ともい ずれ も得策 で ない. す なわ ち, 次 の 条件 が成 り立 っ て い る. ∂γo)>okjhhgf 77<τ (9a) ∂γ ・o)<okjh7T>kj (9b) 式(9)と 同 様 に ∂γo)の 符 号 条 件 を 図 解 に よ っ て 調 べ る た め に, 図 に は 次 の3つ の 曲 線 が 描 か れ て お り, 図一1 す べ て の 区画 で 開発 が行 わ れ な い均 衡 AA: {r'QSZ-c-(p+tk)P;exp{-(p+r)T; BB': (ρo-og)exp{(ρ+τ)η CC': {rOS, c(A+r,)P}exp{-(p+rlT (+)=gfd,k>o, (-)fgk;l<o 図 一2 71に お い て全 区画 で 開発 が行 わ れ る均 衡 図一3 土 地保 有 税 率 τの 引 き上 げ(施策(1)) 図一4 土 地 保 有 税 率 τの 引 き下 げ(施策(1)) 図一5 建 物 資産 税 率 τん引 き下 げ の 効果(施 策(2))および 建 物 建 設 費Pへ の 補 助金 給 付 の効 果(施策(3)) 図一6施 策(2), (3)によ る開発 タイ ミン グの 早 期 化誘 導 図 一7一 方 の 区画 の 公 的 な 開発 に よ る効 果(施策(4))
以 下 で は これ らの 曲 線 に 着 目 して 分 析 を 進 め る. AA: {rQS2-c(o+zk)P}exp{(p+z)T} BB': (ρo-03)exp{(ρ+τ)τ} CC': {ρoβ 〇3-(ρ+τ)P}exp{(ρ+τ)τ} こ こ で, AとBBの 差 は, 他 区 画 で 開 発 が な され た 場 合 に, 自 区 画 で の 開 発 を 遅 らす こ と に よ っ て 生 じ る地 価 の 変 化 で あ る. 今, 均 衡 か ら離 脱 し て 早 期 に 開 発 を 行 う誘 因 を 作 り出 す た め に は, 7<η の 範 囲 で, 一 方 の 区 画 所 有 者 が 単 独 で 開 発 を 行 っ た 場 合 に, ∂γo)が 正 か ら負 に 転 じ る よ うな 時 点 が 存 在 す る よ う に 曲 線BB'とCC'を 変 化 させ る こ と で あ る. こ の 符 号 の 転 じ る 時 点 が 開 発 タ イ ミ ン グ で あ り, そ の 条 件 式 は 式(10a)の よ う に な る. た だ し, 両 辺 に exp{(ρ+τ)7}が あ る た め, こ の 条 件 式 は 式(lOb)の よ うに 書 き換 え ら れ, 土 地 所 有 税 が 開 発 タ イ ミ ン グ に 寄 与 しな い こ と を 示 して い る. す な わ ち, (1)の施 策 は 開 発 タ イ ミ ン グ を 早 期 化 す る 誘 因 を 持 た な い. こ れ は, 金 本1}2)と同じ結論である. 図 一2に 示 され るBB'とCC'の 交 点 は, 単 独 の 区 画 の み で 開 発 した 場 合 に お け る 開 発 前 後 の 純 不 動 産 収 入 が 同 じに な る 時 点 で あ る 初 期 時 点 で は 左 辺 が 右 辺 を 上 回 っ て い る た め, 2っ の 曲 線 が 交 差 す る に は, 純 不 動 産 収 入 が 時 間 を 追 っ て 変 化 し, か つ 右 辺 の 変 化 率(上 昇 率)が 左 辺 の 変 化 率(上 昇 率)を 上 回 る 必 要 が あ る. す な わ ち, 純 不 動 産 収 入 の 変 化 率 の 相 対 的 な 関 係 が 開 発 タ イ ミ ン グ を 決 定 す る 条 件 とな る. した が っ て, こ れ を 変 化 させ る 施 策 が 開 発 タ イ ミ ン グ を 変 更 し得 る 施 策 の 条 件 で あ る. (ρo-O3)exp{-(ρ+τ)τ} (10a) ={ρoβ ρ-O(ρ+τ)P}exp{-(ρ+τ)τ} ρ0-O={ρ0βP-O2-(ρ+τ)P} (10b) (3)開発 タ イ ミ ング早 期 化の 可 能性 (1)の施 策 が 開 発 タイ ミン グ を早 期 化 す る誘 因 を 持 た ない こ とは前節 で述 べ た が, まず, それ につ い て確認 してみ る. 図一2を 基 準 均衡 と した場 合, 土 地保 有 税 率 τを引 き 上 げ る と, す べ ての 曲線 が同 じ よ うに急 な勾 配 で 減 衰 す る だ け で交 差 す る時 点 は 移 動 しな い(図一3). 一 方, 土地 保 有税 率 τを 引 き下 げ る と, す べ ての 曲線 が同 じよ うに緩 や か に減 衰 す るだ けで 交差 す る時 点 は移 動 しな い(図一4). また, 図一1を 基 準均 衡 と した場 合 も同様 で, (1)の施 策 を 実施 して も交 点 を持 た ない. したが っ て, (1)の施策 は 開発 タイ ミング を早 期 化 し得 な い. (2)の施 策 にお い て, 建 物 資 産税 率 τ を 引 き下 げ る と, 曲 線CC'は 全 体 に 上 方 ヘ シ フ トし, 7<hの 範 囲 内 で 交 点 を 持 ち 得 る(図 一5). (3)の施 策 は, 曲 線 CC'に 含 ま れ るPを 減 少 させ る こ と に な る の で, (2) に お い て 建 物 資 産 税 率 τ々を 引 き 下 げ る の と 同 様 の 効 果 を 持 つ(図-5). (2)の 建 物 資 産 税 率 の 引 き 下 げ と (3)の建 設 補 助 金 の 給 付 は そ れ ら を 大 幅 に 行 え ば, 曲 線CC'全 体 をBB'の 上 方 に シ フ ト させ る こ と が で き, 両 方 の 区 画 所 有 者 に と っ て0≦7≦7;の す べ て の 時 点Tに お い てhfo)<0と な る た め, T=0で 開 発 をす るこ とが 最適 にな る. そ の場 合 に は, 7=0で 両方 の 区 画 が 開発 され る タイ プa)の 均 衡 が 実現 す る(図一6). 図一1を基 準均 衡 と した 場合, (2), (3)の施 策 につ いて は, 税 率 の変 化, 補助 金 の 大 き さが小 さ けれ ば開 発 の タイ ミン グは 依 然 と して基 準均 衡 の 場合 と同 じに留 ま り, 早期 化 され な い場 合 が あ る. す なわ ち, それ らの施 策 に よ って 開発 が早 期 化 され る ため には, あ る程 度 の 大 き さで税 率 等 の変 更 を行 わ なけれ ば な らな い. した が って, これ らの 施策 に は有 効 と な るた め の あ る臨 界 値 が 存在 す る こ と に 注意 しな けれ ばな らない. (4)の施 策 は, 7=0に お いて 一方 の 区画 を公 的主 体が 買収 して開発 す る と, 他 方 の 区画所 有 者 に とっ ては 曲線CC'は 意味 を持 たな くな り, 0≦ τ≦Zの す べ て の 時 点7に お い て"gjfo)<0と な る た め, τ=0で 開発 をす るこ とが最 適 に な る(図-7). 以 上述 べ て きた こ との うち, 施 策 に よって 単独 の 区 画所 有 者 が 開 発 タイ ミン グを 早期 化 す る誘 因 を 持つ か ど うか につ いて は, 金 本1)2)で示されている 結論 を確 認 した もので あ る. しか し, 本 研 究 で は施 策 に よる個 々 の 区画 の 開発 タイ ミングだ け で な く, そ の外 部 効 果 が もた らす 全 区 画 の 開発 タ イ ミン グ の早 期化, す な わ ち, 社 会全 体 に対 す る効 果 につ い て分 析す るこ とを 目的 と して い る. そ の具 体 的 な内 容 につ いて は次 章 で述 べ る. 5. 開 発 タ イ ミ ン グ の 早 期 化 便 益 4章 で 示 した そ れ ぞ れ の 施 策 は公 的 主体 の税 収 変化 や財 政支 出変化 を発 生 させ る. また, 開発 タイ ミン グの 早 期 化 に 伴 っ て 当該 地 区 お よ び他 の地 区 を含 め た地域 全 体 の防 災性 能 が 向上 し, 土地 価格 が 変化 して 区画所 有 者 の利 潤 も変 化 す る. ここで は, 都 市 整 備 の 促 進 施 策 に 伴 っ て 各 主 体 が享 受 す る便 益 と支 払 う費 用 お よび 社 会 的 純 便 益 を便 益 帰 着 構 成 表 アプ ロー チ15)16)を用いて分析する. 分析は4章 で示 した施 策(2), (3)を実施 した場 合 に つい て詳 細 に
行 うこ とと し, 施 策(4)を実施 した場 合 にっ いて は施 策(2), (3)に対す る分析 結 果 を用 い て後 か ら分 析す る. また, 施 策(1)につ い ては4章 で も示 した よ うに開発 タイ ミン グを早 期化 す る誘 因 を持 たな い ため, 検 討 対 象 か ら除外 す る. (1)前 提 条件 分析 にあ た って の前 提条 件 を以 下 に示 す. 1)議 論 を 単 純 化 す る た め に 地 区 に は2区 画 (1={l, 2})し か存 在 しない とす る. 2)施策(2), (3)の具 体 的 な内 容 と して は, 初 期 時点 ∫=0に お い て 区 画1だ け 建 物 資 産 税 率 τ々を (1一ξ)τ々(ξ: 減 税 率(0<ξ<1))に 変 更 す る と とも に, 建 物 建 設 費 用 の 補 助 金 δP, (δ: 補 助 率 (0<δ<1))を 給 付す る もの とす る. 3)施策 が 実施 され ない 場 合 は, τ'=71'に お い て全 区画 で開 発 が行 われ る よ うな均衡(既 述 のb)の 均 衡)を 基 準均 衡 と して 想 定す る. また, 施策 が実 施 され る場合 は, 区画1が 開発 タイ ミング を早期 化す る と ともに, 他 の 区画 も区 画1と 同時 に 開発 す る こ とが最 適 で あ るた め, 全 区画 で 同時 に 開発 タイ ミング が τ'=jhgに 早期 化 す る こ と とな る. 本分 析 で は 区画1の み に施 策(2), (3)を実 施 し, そ れ が社 会 全 体 に与 え る影 響 を捉 え る こ と とす る. 4)地 区 内 に は 区画 毎 に そ の所 有 者 と建 物 利 用 者 が 1人 ず つ存 在 す る と と もに, 地 区全 体 を一括 して 取 り扱 っ てい る都 市 政府 が 存在 す る とす る. この 内, 建 物利 用 者 は簡 単 化 のた め家 計 の み を考 え る. 5)対象 地 区 の基 盤 施 設 整 備 水 準 ρ は施 策 に よっ て 変化 しない こ と とす る. 6)各主 体 の 便 益 は, 期 間 に よって 異 な る. よって, 期 間 を 初 期 時 点 ∼ 施 策 有 の 開発 タイ ミ ン グ(期 間: 0<∫<711), 開発 タイ ミングが 早 ま った期 間(施 策 有 の 開発 タイ ミン グ∼ 施 策 無 の 開 発 タイ ミン グ(期間: 73<∫<I11)), 施 策 無の 開発 タイ ミング 以 降(期間: 711<∫)の3つ に 分 けて整 理 す る. (2)施 策(2), (3)によ る各主 体 の便 益 a)区 画1の 所 有者 の 便 益 施 策 に よる区 画1の 所 有 者 の便 益 は, 以 下の よ う に な る. なお, 各式 は ∫時 点 にお け る便 益 を0時 点 の現 在 価値 に換算 した形 で 表現 して い る. (期間: 0<∫<gf) {kjr(∫)-Okj(∫)}exp(-(ρ+τ)∫) -{(∫)-O(∫)}exp((ρ+τ)∫)=0 (lla) (期 間: jhg<∫7il) 「r'(t)-Ok∫)-{(1-δ)ρ+(1-ξ)τ}1)11exp((ρ+τ)∫) -{rw(t}-cw(t)}exp(-(p+z)t) ==[{11(∫)-(∫)}-{Oξ(∫)-O(∫)} -{(1-δ)ρ+(ξ)τ}PlleXP(-(ρ+τ)∫ (llb) (期 間: η1<∫) [(∫)-〇1(∫)-{(1-δ)ρ+(1-ξ)τ1)1]exp-(ρ+τ)∫)
-{r,
(t}-cs.
(t)-(o+z
k}P}exp(-{p+z)t)
={(o+ξ τ})1)1}exp(ρ+τ)∫) (11c) した が って, 区画1の 所 有者 便 益 は 次 の よ うに整 理 され る. (期間: 78<∫<7i1) 便 益=建 物 賃 貸 収 入 の 増 大 分 一営 業 費 用 の 増 大 分 一建 物 建 設 費 用 返 済 額 の増 大 分+建 設 費 補 助 金 一建 物 資産 税 支払 額 の増 大分 た だ し, 建物 賃 貸 収入 の 増大 分 には, 区画2が 頑 強建 物 に な った こ とに よる増 大 分 を含 ん で い る. (期間: 711<∫) 便 益=補 助 金 に よ る建 物 建 設 費 用 返 済 額 の 減少 分 +建 物 資 産税 支 払額 の減少 分. b)区 画1の 建 物 利用 者 の便 益 本研 究 で は 開発 タイ ミ ング の 早 期 化 に よる便 益 を解 明 す る こ とに焦 点 を絞 るた め, 区画1の 建 物利 用者 で あ る家 計 は, 資 本蓄 積 を行 わな い と仮 定 す る. これ に よ り家 計 は 各 時 点 の み の 効 用 水 準 を最 大 化 す る よ うに消 費行 動 す る と仮 定 で き, あ る時 点 のみ に着 目 して評 価 で き る. この とき, ∫時点 にお け る 建物 利用 者 の 効用 水 準 び は次 の よ うに表 され る. U1==[p(t), ρ(∫}β(∫}y(∫)-(∫)] (12) こ こで, p(∫): ∫時 点 に お け る各 種 財 の価 格 ベ ク トル (市場 はオ ー プ ンで あ る と考 え, 施 策 に よる影 響 を 受 けな い とす る), y(∫): ∫時 点 に お け る可 処 分所 得 (地 区外 で 獲 得 す る所 得 で, 施 策 に よ る影 響 を受 け ない とす る). 施策 が実施 され る と, 開発 タイ ミン グが 早 ま った 期 間 内(I8<∫<711)だ け, kjh(∫)とβ(∫)が変化 す るた め, ∫時 点 にお け る建 物利 用者 の 便益 構 成 は 次の よ うに表 され る. (期 間: 0<∫<lkj) 0 (期 間: jく ∫く711) μkjh -jkh 14exp(-ρ ∫) (13a)=kjh ・{-l(∫)+lkj(∫)}exp(-ρ ∫) (13b) =lk 1hjg;l{(∫)-z(∫)}+4β(∫)]exp(-ρ ∫) (期 間: 71l<∫) 0 (13c) こ こで, jh: 効 用 変化 に対 す る限 界支 出 した が って, 区画1の 建 物 利 用者 には期 間(73<∫< η1)のみ, 次 の よ うな項 目の便 益 が 帰着 す る. 便 益=一 建 物 賃 貸料 支 払 額 の 増 大 分+防 災性 能 の 向上 分(対 象 地 区 での頑 強建 物 占有 割 合 が高 ま り, 地 区の 防 災性 能 が 向上 す る分) c)区 画2の 所 有 者 の便 益 施 策 に よ り区画1で 開 発 タイ ミン グが 早 ま る こ とに よ り, 区画2で も開 発 タイ ミン グが712=η1に 早 ま る. 区画2に は建 物 資産 税 率 の軽 減 も補 助金 の 給 付 もない こ とに注 意 して整 理す る と, 区画2の 所 有 者 の便 益 は 次 の よ うに な る. (期 間: 0<∫<7j
{Yw(t)-Cw(t)}exp(-(p+z)t)
-{rw(t)-cw(t)}exp(-(p+z)t)=0
(14a) (期 間: 78<∫<711) {r, 2(t)-c2Ct)-CP+zk)P2}expC-CP+z)t) -{kl(∫)-O3(∫)}exp(-(ρ+τ)∫) =[{2(∫)-Z3(∫)}-{O3(∫)-O3(∫)} -(p+z k)P2)exp(-(P+z)t) (14b) (期 間: η1<∫) {lkj2(∫)-O3(∫)-(ρ+τ)P2}exp(-(ρ+τ)∫)-{r2(t)-cs(t)-(p+z
k)P2}exp(-(p+z)t)=0
(14c) したが って, 区 画2の 所 有 者 に は期 間(78<∫<711) の み, 次 の よ うな 項 目の便 益 が帰 着す る. 便 益=建 物 賃 貸 収 入 の 増 大 分 一営 業 費 用 の 増 大分 一建 物 建 設 費 用 返 済 額 の増 大 分 一建 物 資 産 税 支 払 額 の増 大 分 た だ し, 建 物 賃貸 収 入 の増 大 分 に は, 区画1が 頑 強建 物 で あ る こ とに よ る増大 分 を含 んで い る. d)区 画2の 建 物 利 用者 の 便 益 区画1と 同様 に, 区画2の 建 物利 用 者 で あ る家 計 の効 用 水 準 σ2は 次 の よ うに表 され る. O2=σ[p(t), ρ(∫), β(∫), (∫-2(∫)] (15) 開 発 タ イ ミ ン グ が 早 ま っ た 期 間 内(hく ∫<η1)だ け, lk2(∫)とβ(∫)が変 化 す る た め, ∫時 点 に お け る 区 画2の 建 物 利 用 者 の 便 益 構 成 は 区 画1と 同 様 に 次 の よ うに 表 され る. (期 間: 0<∫<78) 0 (16a) (期 間: 73<∫<zl) 0e-m4exp(-ρ ∫) =lkj-jh2(∫)+k(∫)}exp(-ρ ∫) (16b) =0kjh-hglk[-2(∫)-(∫)}+khg(∫)]exp(ρ ∫) (期 間: 711<∫) 0 (16c) したが っ て, 区画2の 建物 利 用者 には期 間(78<∫< η1)のみ, 次 の よ うな 項 目の 便益 が 帰着 す る. 便 益=-建 物 賃 貸 料 支 払 額 の 増 大 分+防 災性 能 の 向上分(対 象 地 区 で の頑 強建 物 占有 割 合 が高 ま り, 地 区 の防 災性 能 が 向上 す る分) e)都 市 政府 都 市 政府 は, 区 画所 有者 か ら徴 収 した税 金(建 物 資産 税, 土 地保 有税)を 財源 と して, 建 物 資産 税 率 の 引 き 下 げお よび 建 物 建 設 費 用 の 補 助 金 給 付 を行 い, この財 政 収 支 が対 象 地 区内 で期 間 を通 してバ ラ ンス してい る とす る. 施 策(2), (3)を実 施 した場合, 各 期 間 に お け る都 市政 府 の財 政 収 支 の変 化 は 次 の よ うに表 され る. (期 間: 0<∫<78)Σ1τγ(1To, t)-τ γ(1, ∫)lexp(-μ) (17a)
(期 間: kjhく ∫<7i1) Σ ・{τγ(η1, ∫)-τγ(1, ∫)+τP}-(jhg+ξ τ)pl]exp(-μ) (17b) (期 間: τ1<∫) [Σ{τγ(1To, t)-τ γ(1, ∫)}-(+ξ τ)pl]exp(μ) (l7c) 式(4)を 用 い て これ ら を整 理 す る と次 の よ うに な る. (期 間: 0<∫<78) τ<gdlks)-O(5)}exp(-(ρ+τ)(-gf))4 +kjh{1(3)-Ol(8)-(ρ+τ)P'}exp(-(ρ+τ)(3-∫))43
-J"{rw(S)-cw(s)}exp(-(p+T)(s
-t))ds
-∫kjh(3)-ρ;((ρ+τP}exp(-(ρ+τ)(∫))4・1 +gfkl{(hgfd)+ξτ)P1}exp←(ρ+τ)(∫))>expμ) =τ Σj[4(5)-4(s)-{ρ1(5)-O(3)} -(ρ+τP1)']exp(-(ρ+τ)(3-∫))43 +gdkl{(kh+ξ τ)P1}exp-(ρ+τ)(5-∫))43>exp-μ) (18a)(期 間: hf<∫<7il) τ Σkh(s)-Ol(3)-(ρ+τ)P'}exp(-(ρ+τ)(5-))4s
-f
ry{Y'x,
(S)-Ctiy(s)}exp(-(p+z)(s-t))ds
-fgdkl(s)-Ol(3)-(ρ+η)exp←(ρ+τ)(gfdkl)) +r{(kjh+ξ τ)P1}exp(-(ρ+τ)(hg∫))4sexp(-μ) +{Σ τP(hgξ τPP}exp(kl) =τ Σ1(S)-Z↓(5)-{Ol(S)-O(S)} -(ρ+τ ρP']exp(-(ρ+τ)(s-∫))4s (18b) +f{(hgl+ξ τ)P1}exp(-(ρ+τ)(3-∫))4s>exp-μ) +hglkτP'-(h+ξ τP1}exp(-μ) (期 間: 7il<∫) τ/Σlf{4(3)-Ol(s)-(ρ+τ)P'}exp(-(ρ+τ)(s-∫))4s -f{4'(3)-Ol(3)-(ρ+τP'}exp(-(ρ+τ)(s-∫))451 +f{(jhg+ξ τ)P1}exp(-(ρ+τ)(s-∫))4exp(-4) -(gdlk)+ξ τ1)1exp(-ρ ∫) =τr{(δ;o+ξ τ)P1}exp(ρ+τ)(s-∫))43exp(-μ) -(δ)+ξ τj)plexp(-ρ ∫) (18c) したが っ て, 各期 間 に お け る都 市 政府 の財 政収 支 の 変化 は次 の よ うに整 理 され る. (期間: 0<∫<kjh) 収 支 変 化=将 来 の 利 潤 増 大 に 伴 う地価 変 化 に よ る 土地 所 有税 の 増大 分 (期間: 78<∫<7i1) 収 支 変 化=将 来 の利 潤 増 大 に伴 う地 価 変 化 に よ る 土 地 所 有 税 の 増 大 分+建 物 資 産税 の増 大 分 一施 策 費用 (期間: 711<∫) 収 支 変 化=将 来 の 利 潤 増 大 に伴 う地価 変化 に よ る 土地 所 有税 の増 大分 一施 策 費 用 (3)便 益帰 着構 成 表 前節 で 求 め た各 主 体 の便 益 を表-1の 便 益帰 着構 成 表 に整理 す る. な お, 表 中の各 項 は各 時 点 にお け る便益 を全時 点 に亘 って合 計 した形 で表 現 す る. まず 表 の 最 上 段 に 区画 別 の2主 体 と都 市政 府 を 列 挙 す る と とも に, 左 端 に便 益 と費用 の 項 目名 を列 挙 す る. 次 に 主体 毎 の具 体 的 な便 益 と費用 の 項(式) を記 入す る. 区画1の 所 有 者及 び 建物 利 用者 の欄 は それ ぞれ 式(11), 式(13)の 各 項 を記 入す る・ 区 画2 の欄 には それ ぞれ 式(14), 式(16)の各 項 を記 入す る・ 都 市政 府 の欄 には式(18)の各 項 を記 入す る. た だ し, 区画 所 有 者 の 欄 に つ い て は 土 地保 有税 に 関係 す る 項 と関係 しない 項 に分 離 して 記 入す る. 各 項 の記 入 が終 了 した ら縦 横 の合 計 を計算 す る. この 時, 縦方 向 の合計 は各 主体 の便 益 の 合 計 を示 して い る. 横 方 向 の合 計 は 地 区全 体 で の便 益 と費 用 の 項 目毎 の合 計 を示 してお り, 便益 と費 用 の各 項 目の 内, 建 物 賃 貸 料 の 変 化 と建 物 資 産 税 の 変 化 が キ ャ ンセ ル され る こ とが 明確 にな っ てい る. なお, 合 計 す る際 に は, ∂e∂U≡1として い る. した が って, 施 策(2), (3)がも た らす 便 益 は, 開 発 タイ ミング が早 ま っ た期 間 にお け る各 区 画 の建 物 利 用者 の 防 災 性 能 向 上 便 益 か ら 建物 建設 費 用 と営 業 費 用 を引 い た もの とな る・これ が社 会 的 純便 益 で あ り, 表-1の<23>と して示 され て い る. この社 会 的純 便 益 は現 在価 値 化 され てい る た め, 開発 タイ ミン グの 早期 化 期 間 が便 益 の 大 き さ を規 定 して い る. ま た税 は 開発 タイ ミン グ を通 じて 影 響 し合 い, 社 会 的 純便 益 に は税 収 額 が直 接影 響 し ない. した が って, 開発 タイ ミン グの 早期 化 が社 会 的純 便 益 の極 大化 に寄 与す る こ と とな る. 言 い 換 え る と, 補 助金 や 税 金 の軽 減 の財 源 が 地 区 全 体の 区 画所 有 者 か ら徴収 す る税金 で あ るた め, 地 区全体 と して はキ ャ ンセ ル され, 減税 率 や 補助 率 の 大 き さは 社 会的 純便 益 に寄 与 しな い. しか し, 前 章 で述 べ た よ うに 開発 タイ ミン グ の 早期 化 を 実現 さ せ る施 策 には 臨界 値 が存 在 す る た め, あ る大 き さ以 上 の減税 や 補 助 を行 う必 要 が あ る. 一 定 の財 源 を 多 くの 区画所 有 者 に配 分 す る場 合 に は, 1件 当 た りの 補助 額 が少 な くな り, 臨 界値 を越 え る可 能性 が低 い. す な わ ち, 開発 タイ ミン グが早 期 化す る可 能性 が 低 い. それ に 対 して 同 じ額 の財 源 をい くつ か の 区画 所 有 者 だ けに投 入 す れ ば, 臨 界値 を越 え る可 能性 が高 いた め, 当該 区画 の 開発 タイ ミン グが 早期 化 す る可 能 性 が 高 い. そ して, それ に追 随 して 他 の 区画 も開 発 タイ ミン グが 早期 化 す る. す なわ ち, 全 区画 に投 資 す る よ りもい くつ か の 区画 のみ に 投 資す る方 が, 全 区 画 に お い て 開 発 タイ ミン グ が早 期 化 す る可 能 性 が 高い. また, 施策 に必 要 な財 源 を確 保 す る とい う点 で も有利 で あ る. この こ とが本 稿 が最 も主 張 し たい 点 で あ る. た だ し, 他 の 区画 が開発 され るか否 か に左右 され る空間 的範 囲は 限 られ る. 例 えば, 幅 員 の広 い道 路 は延 焼 を防 ぐ機 能 を果 たす た め・そ こ で 開発 の連 鎖 が 途切 れ る可能 性 が あ る. した 炉 って, 連 鎖す る範 囲 が小 さけれ ば, この 施策 の効 果 も小 さ くな るた め, 実 際 に施 策 を適 用す る際 に は, 近隣 外 部 性 の影 響 範 囲 につ い ての 吟味 が 必 要 とな ろ う. ま た, あ る区画 所 有者 の み が減 税 や補 助 を受 け, それ 以外 の 区画 所 有 者 は それ らを 受 け ず に 費用 を負 担 す るた め, あ る区画 所 有者 の み が得 をす る こ と とな り, 公 平性 の問 題 が生 じる こ とに も注 意 が必 要 で ある. この 問題 を解 消す る方 法 の1つ が施 策(4)であ る と考 え られ る. これ につ い て は, 次節 で述 べ る. 一方, 本 モデ ル で は明 示 的 に取 り扱 って い ない が, 施策(減税 や 補 助金 給 付)を 実施 した地 区(以下, 地 区 内 と呼 ぶ)で都 市 整 備 が 行 われ る こ とに よ り, 施 策 を 実施 しない 地 区(以下, 地 区外 と呼ぶ)に お いて も 便益 が 発 生す る. 本 縞 で は施 策 を実施 す る箇所 を限 定す るた め に便 宜的 に地 区 を設 定 したが, 頑 強 建物 タイプ の数 β(∫)は地 区内 に 限定 す る必 要 は な く, 地 区 外 も含 め た 地 域 全 体 の 防 災 性 能 向 上 と して 捉 え る こ とが可 能 で あ る. す な わ ち, 地 区外 の住 民 も地 区内 に避 難 した り, 地 区 内 の道 路 を避 難経 路 と して 利 用 で き, 地 区外 の防 災 性能 も向 上 させ る. 本 モデ ル で は こ こ ま で議 論 を す っ き りさせ るた め に β(∫) を地 区内 で捉 えて きた が, β(∫)は地 域全 体 で 捉 え る こ とが 可能 で あ る. β(∫)を地域 全 体 の頑 強 建物 タイ プ の数 と して捉 えた 場合, 表一1の 便 益 帰 着構 成 表 には地 区外 の建 物 利 用者, 区画 所 有者 の列 が 追加 さ れ, <9>∼<16>の 上付 添 字2を 地 区外 を示 す上 付 添 字 に変 更 した 項 が便 益 と費 用 と して 追加 され る. 都 市 政府 の列 の<17>∼<19>に お け る ∫の範 囲 が 地 区 外 まで含 む こ ととな る, ま た建 物 賃借 料 の 変化 は 地 区外 で キ ャンセ ル ア ウ トす るが, 施策 に必 要 な費 用 は地 区 内で確 保 して い る と仮 定 す る と, 都 市政 府 に お いて 建物 資 産 税や 土地 保 有税 の税 収 が増 大す る. したが って, 社 会 的純 便 益 に は開発 タイ ミン グ早期 化 期 間 にお け る地 区外 の 建 物 利 用 者 の 防 災性 能 の 向上便 益(<lO>に 相 当す る項), 区画 所 有者 の営 業費 用 と建 物建 設 費 用 の増 大(<l2>, <13>に 相 当す る項), 建 物 資産 税 と土地 保 有税 の 増 大(<14>, <15>に 相 当 表 一1施 策(2), (3)によ る開発 タイ ミング 早期 化 の 便益 帰 着 構 成 表 <1>=-ghlkjh
lu. 1(∫)-(∫)}exp(-ρ ∫), <2>-1gfdk1u(∫)exp(-ρ ∫)4∫, <3>-∫{1(∫)-r(∫)}exp(-μ)
<4>=-gdfkl{O1(∫)-O(∫)}exp(-ρ ∫)4∫, <5>-gfdjlexp(-ρ ∫Plexp(-ρ ∫)hfd,
<6>=-jhgτplexp(-μ)kjh+ξ τPlexp-jkh
<7>-fkl[{kj(∫)-∫)}-{O1(∫)-O(∫)}-(ρ+τ)pl]{exp←-1}exp-μ)4+(gdkl+ξ η)pl{exp←hg一1}exp← μ)4∫, <8>=hglkf[{(∫)-(∫)}-{O1(∫)-O(∫)}-(ρ+η)P1]{expα ρ+τ)∫)hgkjhg(h+ξ η)Plexpρ+τ)∫)gfdkl
<9>=-hfklukjh{(∫)-(∫)}exp(-μ)gfk<10>=dfslk2(∫)exp(-μ)
<ll>=hgflk(∫)-(∫)}exp(-μ)fdk, <l2>=-∬{Or(∫)-O3(∫)}exp(-fldk), <l3>=-fdlk2exp(μ)gldfk, <14>=-∬ τP2exp(ρ ∫)gdkl, <15>=[jh(∫)-(∫)}-{ρ1(∫)-Oglfdk(∫)}-(ρ+η)P2]{exp←fkl-1}exp← μ)hjg, <16>hgfl[{(∫)-(∫)}{O(∫)-O(∫)}-(ρ+τ ρP2]{expα ρ+τ)∫)4∫, <17>=-hgfk;l1exp(-ρ ∫)4∫, <l8>=1Σ τP'exp(-ρ ∫)4∫-∫ ξτPlexp(-ρ ∫)4∫,
<19>=rτ/Σhg;l(s)%(s)-{ρ;(s)-O(jkh)}-(ρ+τ)P']exp←(ρ+τ)(s-∫))gf;kl+hgf{(hg+ξ τpP1}exp←(ρ+τ)(s-∫))kj/exp← μ)4∫,
<20>=-kjΣ, {Ol(∫)O(∫)}exp(-ρ ∫)4∫, <21>=-∫fsρ Σ, P'exp(-ρ ∫)4∫, <22>=gfdkli1Σkjhu4∫(∫)exp(-ρ ∫)4∫,
す る項)が 追加 され る. これ が 地 区 内で 実施 した施 策 に よ り地 区 外 へ 純 便 益 と して ス ピル オー バ ーす る部 分 で あ る. (4)施 策(4)によ る開 発 タ イ ミン グ早 期 化 の 便 益帰 着構 成 表 施 策(4)は都 市政 府 が 区 画1の 所 有 者 の 役 割 を果 たす こ とを意 味す る. この 場合 の 便益 帰 着構 成 表 は, 表一1に お け る区画1の 所 有 者 の 便益 と費用 の 項 目 を都 市政 府 に移 動 させ, 整 理 した もの とな り, 表一1 か ら容 易 に推 測 可 能 で あ る. 表一1と 異 な る点 は 区 画1の 所 有 者 と都 市 政 府 との間 で収 支 均 衡 が取 れ てい た税, 補 助金 の項 が 消去 され る こ とで あ る. 社 会 的 純便 益 は表一1と 同 じで あ る. なお, 土 地所 有 権 の獲 得 に 要す る費用 は, 建 物 賃貸 収 入 と区画2の 所 有 者 か らの 税 収 か ら営 業 費 用 と建 物 建設 費 用 返 済 額 を差 し引 い た 分 に よ って 賄 わ れ る もの と考 え られ る. 6. お わ りに 本 稿 で は 経 済 動 学 の 分 野 で 開発 され て きた 投 資 タイ ミングモ デル を発展 させ て, 災 害脆 弱 地 区の 開 発 が進 行 しな い メ カ ニ ズ ム を描 写す るモ デ ル を提 示 し, それ に基 づ いて 災害 脆 弱地 区の都 市整 備 を促 進 す る施 策 の 効果 を分析 した. そ の結 果, 各 区画 は 開発 後 の純 不 動産 収入 が 開発 前 を上 回 る時 点 で開発 され るこ と を示 した. この純 不動 産収 入 は, 賃貸 収 入 お よび建 設 費 用, 建 物 資産 税 率 か ら構 成 され て い るた め, 高 い建 設 費用 や 建物 資産 税 率 が 開発 タイ ミン グ を遅 らせ る こ とを示 し た. さらに, 賃貸 収 入 は他 区画 の開発 状 況 の影 響 を 受 け るた め, 各 区画 の 開発 タイ ミン グの遅 れ は, 各 区画 の 開発 タイ ミ ング を よ り遅 らせ る, す な わち, 災害 脆 弱 地 区内 にお け る外 部 性 の 存 在 が 開発 タイ ミン グ を最 適 な タイ ミン グ よ りも遅 らせ る こ とを 明 らか に した. ま た既 往研 究1}2)で示されている点, すなわち土 地 保有 税 が 開発 の 早期 化 に寄 与 しない こ と, 建物 資 産 税 率 の変 更 お よび 建 物 建設 費 用 の補 助 金給 付 は, 個 々 の 区 画 所 有 者 に 開 発 を早 め る誘 因 とな り うる こ と, 税 率等 の 変 更の 大 き さが 開発 の 早期 化 の程度 に影 響 を及 ぼす こ とを確 認 した. そ の上 で, あ る程 度 の大 き さ以 上 で税 率 の変 更, 補 助 金 の給 付 を行 わ な けれ ば, 開発 の 早期 化 を もた ら さない こ と, ある 区 画所 有者 の み に施 策 を実 施 すれ ば, 当該 区画 が 開 発 を早 め るの み な らず, 他 の 区画 に お いて も当該 区 画 と同 時 に開発 す る誘 因 を もっ こ とを示 した. ま た, 公 的 主体 が あ る 区画 を 買収 して 開発 す る と, す べ て の 区画 で開 発 され な い とい う均衡 か ら離脱 し, 他 の 区 画 にお い て も即 時 に 開発 す る誘 因 とな り得 る こ とを示 した. 続 い て, 建物 保 有税 率 の 変 更, 補 助金 の給 付, 公 的主 体 の 区画 買収 に よ る 開発 とい う3タ イ プ の都 市整 備 の 促 進 施 策 が も た らす 開発 タ イ ミン グ の早 期 化 便 益 を帰 着 便 益 構 成 表 ア プ ロー チ に よ っ て分 析 した. そ の結 果, 都 市 整備 の促 進施 策 が 地 区, あ るい は地 域全 体 に与 え る社 会的 純 便 益 は, 開 発 タイ ミン グ早 期 化 期 間 にお い て建 物 利 用 者 が享 受 す る 防 災 性 能 の 向 上 便 益 か ら区画 所 有 者 が負 担 す る建 設 費 用 と営 業 費 用 を差 し引 い た も の で あ る こ と を 示 した. これ に よ り開発 タイ ミン グの早 期 化 期 間が 便 益 の大 き さを規 定 して お り, 開発 タイ ミング の早 期 化 が社 会 的 純 便 益 の 極 大 化 に寄 与 す る こ と を示 した. 本稿 で は 防 災 性 能 の 向 上 とい う外 部 効 果 を明 示 的 に取 り扱 うこ とに よ り, 少 な い財 源 で 効 率 的 に地 域全 体 の 開発 を促 進 す る方法 を示 した. す な わ ち, い くつ か の 区画 の開 発 が早 期 化す れ ば, それ に追 随 して他 の 区画 も開発 が 早期 化 す る た め, 全 区画 に お い て開発 タイ ミン グ早期 化 を実 現 させ るに は, い く つ か の 区 画 が 単独 で 開発 タ イ ミン グ を早 期化 す る 分 だけ の減 税 や補 助 を行 えば よい. た だ し, 外 部効 果 が 地価 に与 え る影 響 の程 度 や地 域 特 性 に よ り, 他 の 区画 が 開発 され る か否 か に左 右 され る空 間 的範 囲は 限 られ る. したが って, 連 鎖 す る範 囲 が小 さけ れ ば, この施 策 の効 果 も小 さくな るた め, 実 際 に施 策 を適 用 す る際 には, 近 隣 外 部性 の 影 響範 囲 につ い ての吟 味 が 必 要 で あ る. ま た, この 方 法 で は あ る区 画 所有 者 の み が得 をす るた め, 公 平 性 の 問題 が 生 じ る こ とに注 意 が必 要 で あ る. この問 題 を解 消 す る方 法 の1つ が 公 的 主 体 に よ る 区画 の 開発 で あ る と考 え られ る. なお, 本研 究で は都 市 基盤 整 備 が 対象 地 区の住 環 境 水準 ρ を変化 させ, そ れ が各 区画所 有 者 の行 動 に 影 響 してい くプ ロセ ス につ い て は考 察 してい な い. この 点 に つ い て は別 の 機 会 に検 討 して紹 介 した い と考 えて い る. 謝 辞: 本 研 究 の一 部 は 文部 省 科 学研 究費(特 定 領 域 研 究(A)(1), 課 題 番 号lll15102)の 助 成 を受 けて い る. 本 稿 作成 に あた っ ては森 杉 壽 芳 先 生(東北 大学), 金 本 良嗣 先 生(東京 大学)か ら貴 重 な コ メ ン トを頂 い た. ま た査 読者 の方 々 か ら も貴重 な コ メ ン トを頂 いた. ここに 記 して感 謝 の意 を表 す る.
参 考 文 献
1)金 本 良 嗣: 土 地保 有税 と遊 休 地 の 開発, 住 宅 土 地 経 済, No. 1, pp. 2-9, 1991.
2)金 本 良 嗣: 都 市経 済学, 東 洋 経 済新 報 社, 1998.
3) Krugman, P.: Exchange Rate Instability, MIT Press, 1989. 4) Dixit, A. K.: Entry and Exit Decision of a Firm under
Uncertainty, Journal of Political Economy 97, pp. 620-38, 1989. 5)大 瀧雅 之: 景気 循 環 の 理 論, 東京 大 学 出版 会, 1994. 6)脇 田成: マ ク ロ経 済 学 の パ ー スペ クテ ィブ, 日本 経 済 新 聞社, 1998. 7)多 々納 裕 一: 開発 留 保 の 便 益 と開発 戦 略, 応 用地 域 学 研 究, No. 3, pp. 21-32, 1998. 8)榊 原 弘之, 岡 田憲 夫, 土屋 哲: 安 全 性診 断 を考 慮 した 木 造家 屋 の更 新 シ ス テ ム に 関す るモ デ ル 分析, 京 都 大 学 防 災研 究 所 年 報, 第42号B-2, pp. 33-43, l999.
9) Murphy, K. M., Shleifer, A. and Vishy, R. W.: Industrialization and the Big Push, Journal of Political
Economy 97, pp. 1003-1026, 1989. 10)松 村 敏 弘: 投 資 の タイ ミン グ の 内 生 化 と産 業 化, 浅 子 和美, 大滝 雅 之 編, 現 代 マ ク ロ経 済動 学, 東京 大学 出版 会, 1996. 11)森 地茂: 密 集 市街 地 の地 震 防 災 性 改 善 に関 す る提 言, 運輸 政 策 研 究, VoL1, No. 2, pp. 49-53, 1998. l2)金 本 良嗣: 住 宅 に対 す る補 助 制度, 岩 田規 久 男, 八 田 達夫 編, 住 宅 の 経 済学, 第3章, 日本経 済新 聞 社, 1997. 13)浅 子 和 美, 加 納悟, 佐 野 尚史: 株 価 とバ ブル, 西 村 清 彦, 三 輪芳 郎 編, 日本 の地 価 ・株 価, 第3章, pp. 57-86, 東 京 大 学 出版 会, 1990. 14)津 野 義 道: 劣 微 分 と最 適 化 問題, 牧 野 書 店, 1997. 15)森 杉 壽 芳 編 著: 社 会 資 本 整備 の 便 益評 価, 勤 草 書 房, 1998. 16)上 田孝行, 高 木 朗 義: 便 益 帰 着 構 成 表, 伊 多 波 良雄 編 著, これ か らの政 策 評価 シ ステ ム, 中央 経 済 社, 第4 章, 1999. (2000. 1. 11受 付)
ON THE EFFECTS OF URBAN DEVELOPMENT IN DISASTER-FRAGILE AREA
Taka UEDA and Akiyoshi TAKAGI
There are disaster-fragile areas where old buildings are densely located and infrastructures are very poor. The areas have not been developed for many years just by private initiative so that they result in serious urban issues. This paper models such a situation so as to examine the effects of urban development policies. The model is based on the concept of self-fulfilling equilibrium with choice of development timing. According to Benefit Incidence Table Approach, we showed that social net benefit of urban development policies consists of the construction cost, the business cost burdened by the landowners and the benefit of the disaster prevention performance improvement enjoyable for the building users in the whole disaster-fragile area.