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[報文]仙台市におけるPM2.5高濃度事例について―2014年2月の観測結果から―

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(1)

<報

文>

仙台市における PM

2.5

高濃度事例について

―2014年 2 月の観測結果から―

緑 川 裕 良

**

・北 本 洋 紀

** キーワード ① PM2.5 ②成分分析 ③越境大気汚染 ④イオン成分 ⑤金属成分 高濃度時の PM2.5の成分を調査するため,PM2.5が高濃度になることが予想された2014 年月25日から 月日に PM2.5を仙台市内地点で採取したところ,26〜27日に PM2.5 濃度が環境基準を超過した。自動測定機データおよび PM2.5成分分析の結果より,高濃 度時に SO2,SO42−,Pb,As の各濃度の上昇が見られ,その濃度の推移は測定した地 点で類似した傾向を示した。一方,Ni,V,NO3−の濃度は SO42−や Pb などと異なった挙 動を示し,高濃度期間の後半にかけて上昇する傾向を示した。それらの結果と後方流跡線 解析から,中国大陸からの長距離輸送により影響を受けた可能性が考えられ,高濃度期間 初期には大陸からの SO42−や Pb,As などを多量に含む気塊が直接的に流入し,期間後半 は国内の異なる輸送経路を通過して Ni,V などを含んだ気塊の流入があったと考えられ る。 1. は じ め に 微小粒子状物質(PM2.5)は粒径2.5μm 以下の粒 子で,その粒径が小さいことから体内に吸引され ると粘膜で除去されず,細気管支や肺胞に沈着し て健康影響を引き起こすことが懸念されてい る1)。環境省は PM 2.5に関する疫学調査等の結 果2)に基づき,“年平均値が15μg/m3以下であり, かつ日平均値が35μg/m3以下”という環境基準を 2009年月に告示した。仙台市では,2013年度よ り環境省が指定した統一捕集期間に市内地点で PM2.5の採取を行い,重量濃度および成分濃度測 定を実施して報告している3)。2013年度の統一捕 集期間において重量濃度が環境基準を超える日は なかった。しかしながら,PM2.5の測定を開始し た2011年度からの自動測定機の結果では,仙台市 においても年に数日は環境基準の日平均値を上 回る日があり,高濃度現象を PM2.5成分に着目 して把握することは今後の健康危機管理や環境監 視の面からも有用であると考えられた。 大気中の浮遊粒子状物質による地球規模の気候 変動および大気汚染の状況を再現・予測するソフ トウェア SPRINTARS を用い,PM2.5が高濃度 となることが予想された2014年月25日〜 月 日に市内地点で12時間ごとに採取して調査した ところ,調査期間内で環境基準を超過する高濃度 となり,その成分について測定することができ た。本稿では,その解析結果について報告する。 2. 調 査 方 法 2.1 採 取 期 間 2013年度の採取は下記の期間で実施した。 ・春季(2013年月日〜22日) ・夏季(2013年月24日〜月日) ・秋季(2013年10月23日〜11月 日) *Analysis of PM

2.5Air Pollution Episode in Sendai, February 2014 **Yura M

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・冬季(2014年月22日〜月日) 高濃度時の採取は下記の期間で実施した。 ・高濃度(2014年月25日〜 月日) 2.2 採 取 地 点 PM2.5の採取地点および設置状況は図 1 に示 す。2013年度は,大気汚染常時監視測定局である 榴岡測定局(一般環境大気測定局:以下,榴岡)お よび苦竹測定局(自動車排出ガス測定局:以下, 苦竹)を採取地点として選定した。榴岡は榴岡公 園内に位置しており,近傍に道路はない。苦竹は 仙台市の主要な幹線道路である国道45号線に隣接 しており,苦竹近傍の坂下交差点は平日12時間交 通量4)が約4.2万台,大型車混入率が6.6%であり, 交通量は仙台市内において多い地点である。 2.3 採 取 方 法 PM2.5採取装置は,榴岡で FRM 2025を,苦竹

で FRM 2025i(ともに Thermo Fisher Scientific 社製)を用い,それぞれ台ずつ設置した。地 点とも PTFE 製フィルタ(PALL 社製,Teflo)お よび石英フィルタ(PALL 社製,2500QAT-UP) で同時に採取を行い,PTFE 製フィルタは重量 および無機元素測定に,石英フィルタはイオン成 分の測定にそれぞれ用いた。 春夏秋冬の各季は,統一捕集期間に地点で24 時間採取を14日間連続で行った5)。高濃度期間は 月25日の 時(JST)から12時間採取を開始し, 月日12時まで連続で実施した。 2.4 測 定 方 法 PM2.5の質量濃度は,「環境大気常時監視マ ニュアル 第 版」(環境省,平成22年 月)で示 される条件(温度21.5±1.5℃,相対湿度35± グしたのち,採取前および採取後のフィルタを秤 量して質量差を求めることで算出した。 PM2.5の 成 分 は,大 気 中 微 小 粒 子 状 物 質 (PM2.5)成分測定マニュアル6)に基づき,測定し ている。無機元素は PTFE フィルタをマイクロ ウェーブで酸分解・濃縮し,ICP-MS(iCAP Qc, Thermo Fisher Scientific 社製)を用いて分析を 行った。イオン成分は石英フィルタから超純水で 溶 出 し,イ オ ン ク ロ マ ト グ ラ フ (ICS-5000, Dionex 社製)で分析した7)

2.5 後方流跡線解析

気塊の後方流跡線解析は,National Oceanic and Atmospheric Administration(NOAA)の Air Research Laboratory(ARL)より提供されている HYSPLIT (HYbrid Single-Particle Lagrangian Integrated Trajectory)モデルを利用した。起点 時刻は,月25日 時から28日 時(JST)まで12 時 間 置 き に 設 定 し た。ま た,気 象 デ ー タ は GDAS を用い,起点高度は上空1300m とし8),計 算時間は72時間として3次元法により算出した。 2.6 SPRINTARS SPRINTARS は竹村らによって開発された全 球エアロゾル輸送・気候モデルで,大気浮遊粒子 状物質による気候システムへの影響および大気汚 染状況を地球規模でシミュレートするために開発 された数値モデルである9)SPRINTARS を用いて PM2.5が高濃度となる期間を予想した。 3. 結果および考察 榴岡・苦竹のそれぞれの測定結果は,表 1 およ び表 2 に示す。PM2.5質量濃度は榴岡・苦竹とも 月26および27日に環境基準(日平均値が35 μg/m3以下)を超過しており,榴岡で53.6μg/m3 と60.0μg/m3,苦竹で59.9μg/m3と64.7μg/m3 あった。直近の冬季平均と比べて,高濃度期間で は SO42−と Pb は〜倍ほど,As については 12〜15倍ほどまで濃度が上昇し,高濃度期間の最 初である26AM に最も濃度が高かった。一方, Ni,V,NO3−は段階的に濃度が上昇し,高濃度 期間の最後である27PM にもっとも高くなる傾向 を示した。 3.1 後方流跡線解析と PM2.5,SO2観測結果 図 1 測定地点と PM2.5採取装置の設置状況

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290 19 3.1 2.3 17 300 1.8 6.2 60 6.6 1.4 5.3 36 250 19 1.9 2.5 19 300 1.5 7.5 68 7.7 1.5 5.8 46 100 11 1.2 1.6 8.3 140 0.59 3.2 27 3 0.63 2.5 19 月27日 210 14 0.83 1.1 7.4 210 0.57 6.7 18 1.6 0.7 5.6 6 金属元素(ng/m3) Al Ti V Cr Mn Fe Ni Cu Zn As Sb Ba Pb 20000 2500 75 320 7800 640 58 120 月28日 12000 1700 82 130 4900 360 25 77 月日 月25日 4100 1800 120 83 2000 120 9.9 86 月26日 イオン成分(ng/m3) SO42− NO3− Cl− Na+ NH4+ K+ Mg2+ Ca2+ 表 1 高濃度期間の各成分(榴岡) 16500 22000 30000 59200 60800 54000 53100 32700 18300 PM2.5質量(ng/m3) 95 7.9 0.87 0.71 3.4 83 <0.40 2.6 20 1.8 0.51 2 5.1 140 18 1.1 0.83 5.9 150 0.66 3.2 23 2.3 0.56 3.1 10 96 9.8 2 1.1 7.8 130 0.82 3.7 29 2.5 0.98 2.7 14 200 15 4.5 2 18 290 2.4 7.3 87 5.8 1.9 7 37 190 14 3 2 15 250 1.5 6.9 60 6.1 1.6 4.9 34 5100 750 340 300 2100 140 29 58 8500 650 160 300 3200 190 35 93 10000 5500 74 120 5300 230 16 61 18000 11000 840 240 9900 510 40 92 18000 8700 610 240 9500 540 41 110 20000 2400 96 280 7500 600 50 150 AM PM AM PM AM PM AM PM AM 540 42 3.4 3.1 26 610 2.2 16 79 7.1 2 14 43 380 28 2.2 2.9 22 420 1.6 11 73 7.7 1.7 9.2 45 220 24 1.4 1.7 13 290 0.86 7.2 39 3.4 1 5.8 24 月27日 490 37 1.4 2.1 13 520 0.82 15 26 1.4 1.2 11 8.2 金属元素(ng/m3) Al Ti V Cr Mn Fe Ni Cu Zn As Sb Ba Pb 20000 3600 330 330 8200 620 58 160 月28日 12000 2100 210 150 5000 340 25 140 月日 月25日 4100 240 500 290 2200 130 16 250 月26日 イオン成分(ng/m3) SO42− NO3− Cl− Na+ NH4+ K+ Mg2+ Ca2+ 表 2 高濃度期間の各成分(苦竹) 16900 23900 34300 66900 62500 62800 57000 35400 27800 PM2.5質量(ng/m3) 140 12 1 1.1 4.5 130 0.41 4.4 28 2 0.89 3.6 6.2 270 22 1.3 1.4 8.7 230 0.81 5.5 25 2.6 0.77 5.4 11 170 13 2.4 1.9 12 210 1.4 8 46 3.2 1.4 5.2 18 280 32 5.1 4.1 23 410 3 14 93 6 2.4 12 38 390 30 3.3 3 22 420 2.1 13 90 7.2 2.2 9.7 43 4900 790 400 300 2100 140 29 71 8300 710 300 300 3200 190 35 110 10000 6600 180 130 5700 240 17 86 17000 12000 1200 280 10000 510 43 160 19000 9400 820 250 9900 590 41 150 20000 5200 600 320 8700 610 55 280 AM PM AM PM AM PM AM PM AM

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方流跡線解析を行った10)。結果は図 2 に示す。 月25日 時から28日 時(JST)まで12時間ごとに 起点時刻を設定し,72時間遡って算出した流跡線 を(a)〜(g)で示した。(a)〜(c)および(e),(f)は 中国北部を通過しており,類似した輸送経路で あった。(d)は他の流跡線と比べて移動距離が短 く,日本海から北陸地方を経由していた。(g)は 関東地方から太平洋を経由したのち,中部地方か ら国内へ流入しており,(f)と(g)は国内で類似し た輸送経路であった。 高濃度期間の PM2.5および SO2の自動測定機 の結果を図 3 に示す。図 3 の①〜③で PM2.5は 向を示した。SO2濃度は,①では高濃度で推移 し,②では濃度の低下が見られ,③では再び上昇 した。 中国東部地域は SO2排出量が多い地域と推定 されている11)。さらに藍川らによって,2003〜 2005年度の東アジアにおける硫酸塩の空間分布が 中国東部を中心に拡がっていたことが化学輸送モ デル CMAQ を用いて示されている12)。これらの 報告から,中国北東部を通過した気塊が多くの SO2を 含 む こ と が 予 想 さ れ る。ま た, SPRINTARS13)の 計 算 結 果 を 図 4 に 示 す。図 2 (a)〜(c)の輸送経路である中国北部では月24日 について SO2濃度が上昇していることが推定さ れ,その経路を通過した気塊は SO2を多く含む と思われる。 以上の知見および観測結果から,PM2.5および SO2の高濃度は長距離輸送により影響を受けた可 能性がある。また,SO2濃度の推移から国内の他 の地域を経由した気塊の存在が考えられる。成分 分析結果を考慮し,さらに詳細な解析を試みる。 3.2 SO42−,Pb 濃度と Pb/Zn 比 SO42−と Pb 濃度の併用や Pb/Zn 比を用いるこ とは,大陸からの長距離輸送現象をより明らかに できると報告されている14)。SO 42−および Pb 濃 度の2013年度各季平均値と高濃度期間の濃度推移 を図 5 に示す。SO42−濃度は2/25PM より急激に 上昇し,26AM から27PM は2013年度各季平均の 倍程度で推移したのち,28AM から減少して 起点は仙台市上空1300m,起点時間はそれぞれ(a)25日 時, (b)25日12時,(c)26日 時,(d)26日12時,(e)27日 時,(f) 27日12時,(g)28日 時とし,72時間遡上して算出した。 図 2 後方流跡線解析の結果 2014年月24日の日平均データの算出結果。 図 4 SPRINTARS による SO2濃度の分布 自動測定機による時間ごとの濃度推移 図 3 高濃度期間の PM2.5と SO2の濃度推移

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度も26AM から27PM にかけて高濃度となり,各 季平均の倍程度で推移し,SO42−および Pb 濃 度の推移は非常に類似していた。さらに,SO42− および Pb 濃度の推移は,SO2濃度のそれとも類 似していた。よって,SO2,SO42−,Pb は同じ気 塊に由来すると考えられる。 丸本らの報告によると,島根・松江で採取され たエアロゾルの Pb/Zn 比は,日本国内を経由し た気塊では0.21±0.09ともっとも小さく,ロシア から中国北部を経由した気塊では0.37±0.19,中 国中部から朝鮮半島を経由した気塊では0.53± 0.25と最も大きかった15)。また,中国・北京で 2001年 月から2003年月の間に採取したエアロ ゾルの無機元素成分に関して奥田らが報告してお り,Pb の平均値が0.43μg/m3,Zn の平均値が 0.77μg/m3であり,それらの値から Pb/Zn 比は 0.56と計算された16),17)。それらの報告された数 値より,大陸から大気汚染の影響を受けると Pb/Zn 比は0.5〜0.7程度になると考えられる。 2013年度各季平均値および高濃度期間の榴岡・ 苦竹の Pb/Zn 比と Pb 濃度を図 6 に示す。2013 年度各季のデータは季節ごとの平均値を,高濃度 期間は12時間ごとの値をそれぞれ示す。榴岡およ び苦竹の値はおおむね類似しているが,Pb 濃度 は自排局である苦竹でやや高くなる傾向を示し た。2013年度各季において,Pb/Zn 比は春季〜 夏季に0.3程度,秋季〜冬季に0.4〜0.5程度で あった。高濃度期間では,Pb/Zn 比は25AM に 0.3程度であったが,25PM から26AM にかけて 0.6〜0.7 と 大 き く な り,26PM か ら 27AM に 0.5〜0.6,27PM から28AM は0.4程度と小さく なり,3/1AM には0.2程度となった。 SO2,SO42−,Pb それぞれの濃度や Pb/Zn 比 の推移と後方流跡線解析の結果より,今回の PM2.5高濃度現象は大陸からの長距離輸送の影響 を受けたと考えられる。しかし,27PM は PM2.5 が高濃度であるにも関わらず Pb/Zn 比が0.4程度 であったことから,国内を経由して異なる経路で 流入した気塊があると思われる。 3.3 V,Ni 濃度の推移 V および Ni 濃度の2013年度各季平均値と高濃 度期間の濃度推移を図 7 に示す。V と Ni の濃度 は,26AM から26PM にかけて急激に上昇して高 いまま推移し,27PM にはさらに上昇した。その 後,28AM から急激に減少して28PM には冬季平 均程度まで低くなった。高濃度期間の V と Ni の 濃度は類似した傾向を示した。SO2,SO42−,Pb は25PM から急激な上昇傾向を示したが,V と Ni は26AM から上昇しており,時間差があった。 また,25PM から26AM にかけて PM2.5濃度は約 倍になっており,V と Ni の濃度も比例して 2013年度の各季平均値と月25日〜 月日の12時間ごとの 濃度推移。 図 5 SO42−と Pb の濃度推移 2013年度の各季平均値と月25日〜 月日の12時間ごとの 濃度推移。 図 6Pb/Zn 比と Pb 濃度の推移 2013年度の各季平均値と月25日〜 月日の12時間ごとの 濃度推移。 図 7 PM2.5質量濃度と V,Ni 濃度の推移

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倍になった。しかし,26AM から26PM にかけて PM2.5濃度はほぼ変化しなかったが,V と Ni の 濃度は約1.5倍に増加した。さらに,27AM から 27PM にかけて PM2.5濃度は同程度であったが, V と Ni の濃度は約1.5倍に増加した。それらの 結果より,SO2,SO42−,Pb を同様に含むが,異 なる経路を通過して V と Ni を多く含んだ気塊が 流入した可能性が考えられる。また,図 2 (a)〜 (c)と比べて,(d)〜(g)の流跡線は国内の経路を 通過しており,(d)〜(g)の起点時刻は PM2.5濃 度と V および Ni の濃度上昇が比例しなくなった 期間と一致する。さらに,V と Ni の組み合わせ は,環境省の大気中微小粒子状物質(PM2.5)成分 測定マニュアルによれば,その発生源は石油燃焼 で あ る 可 能 性 が 考 え ら え る。し た が っ て, 26PM〜27PM の V および Ni の濃度上昇は国内 の石油燃焼に由来すると思われる。 3.4 As 濃度と As/V 比 米持らは2013年月の北京で採取された PM2.5 の成分分析を行い,As を石炭燃焼,V を石油燃 焼の指標と考え,As/V 比を計算して石油燃焼に 対する石炭燃焼の寄与を求めた18))。その結果に よると As/V 比は 〜13程度であることが報告 されており,本市の2013年度の各季の As/V 比 は そ れ と 比 較 し て 小 さ い 値 で あ っ た。ま た, 2005〜2006年の北京市の大気エアロゾル(TSP)の As/V 比は4.3であると報告されている17),19) As 濃度と As/V 比の推移を図 8 に示す。As 濃度は25PM から26AM にかけて上昇して高い濃 度で推移し,28AM から減少していく傾向が見 られた。この傾向は SO42−や Pb 濃度の推移と類 似する。As/V 比は26AM にもっとも大きくな り,26PM か ら 27PM に か け て 小 さ く な っ た。 26AM の As/V 比は程度と TSP での値に似て おり,Pb/Zn 比からも大陸の気塊に近い性質を 持つと考えられる。また,26AM から27PM にか けての As/V 比の減少は,V 濃度の上昇による 影響が大きいと思われる。後方流跡線解析や Pb, Zn,Ni,As,V,SO42−の結果より,異なる経路 で国内を通過した気塊が26PM から流入したと推 定される。 3.5 NO3−濃度の推移 PM2.5質量濃度と NO3−濃度を図 9 に,自動測 定機による NOx 濃度を図10にそれぞれ示す。 NO3−は SO42−,Pb,As や V,Ni とも異なる推 移を示し,榴岡と苦竹でも濃度上昇に時間差が あった。NO3−濃度は,季節平均では自排局であ る苦竹が榴岡よりもやや高めになるが,おおむね 類似した傾向を示した。一方,高濃度期間では 2013年度の各季平均値と月25日〜 月日の12時間ごとの 図 8 As/V 比と As 濃度の推移 図10 高濃度期間の NOx の濃度推移 2013年度の各季平均値と月25日〜 月日の12時間ごとの 濃度推移。 図 9 PM2.5質量濃度と NO3−濃度の推移

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26AM〜26PM にかけて局での濃度差が大きく なり,27AM 以降は濃度差が減少する傾向が見 られた。その濃度差は25AM〜28PM にかけて, 29%,21%,36%,74%,%,%,18%, %であった。榴岡と苦竹の25AM〜27PM におけ る NOx 濃度を比較すると苦竹は高めで推移して おり,局の濃度差は苦竹周辺の NOx の影響を 受けた可能性が考えられ。 4. ま と め (1) 仙台市において2014年月26〜27日に観測 された PM2.5の高濃度現象は,後方流跡線解 析,無機元素(Pb,Zn,As)およびイオン成分 (SO42−)の成分分析結果より,大陸からの長距 離輸送による影響を受けたと推定される。 (2) 後方流跡線解析と Ni と V の濃度推移より, 高濃度期間の後半に国内輸送されたと思われる 気塊の流入があったと推定される。 (3) 自排局において,高濃度期間に特異的な NO3−濃度上昇が見られた。 謝 辞 PM2.5高濃度期間の予想には,九州大学応用力 学研究所の竹村氏らが開発した SPRINTARS を 用いました。ここに記して謝意を表します。 ―引 用 文 献― 1) 環境省:微小粒子状物質健康影響評価検討会報告書, 2008 2) 環境省:微小粒子状物質曝露影響調査報告書,2007 3) 緑川裕良,多田有佑,北本洋紀,金久保美喜,庄司岳志, 吉本守一:仙台市における PM2.5の調査について(平成 25年度).第55回大気環境学会年会講演要旨集,266, 2014 4) 仙台市:交差点交通量調査(平成25年度) 5) 環境省:微小粒子状物質(PM2.5)の成分分析ガイドライ ン,2011 6) 環境省:大気中微小粒子状物質(PM2.5)成分測定マニュ アル,2012 7) 緑川裕良:仙台市における PM2.5の概要.公衆衛生情報 みやぎ,436,8-12,2014 8) 村尾直人:大気モデル ―第 講 流跡線解析―.大気 環境学会誌,46,A61-67(2011)

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11) Lu, Z., Streets, D.G.., Zhang, Q., Wang, S., Carmichael, G.. R., Cheng, Y.F., Wei, C., Chin, M., Diehl, T., Tan, Q.: Sulfur dioxide emissions in China and sulfur trends in East Asia since 2000, Atmospheric Chemistry and Physics, 10, 6311-6331, 2010

12) Aikawa, M., Ohara, T., Hiraki, T., Oishi, O., Tsuji, A., Yamagami, M., Murano, K., Mukai, H.: Significant geographic gradients in particulate sulfate over Japan determined from multiple-site measurements and a chemical transport model : Impacts of transboundary pollution from the Asian continent. Atmospheric Environment, 44, 381-391, 2010

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14) 日置正,中西貞博,向井人史,村野健太郎:日本海沿岸 で粒径別連続採取したエアロゾル中の水可溶性イオン種 および微量金属成分による長距離輸送現象の解析―2002 年春の黄砂イベントを中心に―.エアロゾル研究,21, 160-175,2006 15) 丸本幸治,坂田昌弘,吉村友宏,奥村稔:大気・降水中 の水銀の発生源評価―日本海側におけるアジア大陸から の長距離輸送―.電力中央研究所研究報告,No. T00024, 2001

16) Okuda, T., Kato, J., Mori, J., Tenmoku, M., Suda, Y., Tanaka, S., He, K., Ma, Y., Yang, F., Yu, X., Duan, F. and Lei, Y. : Daily concentrations of trace metals in aerosols in Beijing, China, determined by using inductively coupled plasma mass spectrometry equipped with laser ablation analysis, and source identification of aerosols. Science of the Total Environment, 330, 145-158, 2004

17) 辻昭博,日置正:大気エアロゾル中のイオン成分および 無機元素成分の粒径別高時間分解能観測による黄砂と人 為起源物質の越境輸送の詳細解析.大気環境学会誌,48, 82-91,2013 18) 米持真一,陈炫,缪萍萍,呂森林,王効挙,梅沢夏実: 2013年月に中国北京市で採取した高濃度 PM2.5,PM1 の特徴.大気環境学会誌,48,140-144,2013

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