東海大学海洋研究所研究報告
第 29 号(2008),9−28 頁別刷
Reprinted from Bull. Inst. Oceanic Res. & Develop.,Tokai Univ. (2008), 29, 9−28
電磁気学的手法による火山監視
原 田 誠・笹 井 洋 一・J. Zlotnicki・田 中 良 和・長 谷 英 彰・J. P. Sabit・
J. T. Punongbayan・J. M. Cordon Jr.・E. U. Villacorte・E. G. Corpuz・長 尾 年 恭
Monitoring of volcanic activity of Taal Volcano(Philippines)
by electromagnetic methods
Makoto Harada, Yoichi Sasai, Jacques Zlotnicki, Yoshikazu Tanaka,
Hideaki Hase, Julio P. Sabit, Jane T. Punongbayan, Juan M. Cordon Jr.,
フィリピン・タール火山における
電磁気学的手法による火山監視
原 田 誠
1)・笹 井 洋 一
2)・J. Zlotnicki
3)・田 中 良 和
4)・長 谷 英 彰
5)・J. P. Sabit
6)・
J. T. Punongbayan
6)・J. M. Cordon Jr.
6)・E. U. Villacorte
6)・E. G. Corpuz
5)・長 尾 年 恭
1)Monitoring of volcanic activity of Taal Volcano(Philippines)
by electromagnetic methods
Makoto Harada
1), Yoichi Sasai
2), Jacques Zlotnicki
3), Yoshikazu Tanaka
4),
Hideaki Hase
5), Julio P. Sabit
6), Jane T. Punongbayan
6), Juan M. Cordon Jr.
6),
Edgard U. Villacorte
6), Ernesto G. Corpuz
6)and Toshiyasu Nagao
1)1) 東海大学海洋研究所地震予知研究センター 〒 424-8610 静岡県静岡市清水区折戸 3-20-1
Earthquake Prediction Research Center, Institute of Oceanic Research and Development, Tokai University, 3-20-1, Orido, Shimizu-ku, Shizuoka 424-8610, Japan
2) 東京都総合防災部 〒 163-8001 東京都新宿区西新宿 2-8-1 東京都庁
Disaster Prevention Division, Tokyo Metropolitan Government, 2-8-1, Nishi-Shinjuku, Shinjuku-ku, Tokyo 163-8001, Japan
3) CNRS, Observatoire de Physique du Globe de Clermont-Ferrand 24 Avenue des Landais 63177-AUBIERE Cedex, France
4) 京都大学地球熱学研究施設火山研究センター 〒 869-1404 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽 5280
Aso Volcanological Laboratory, Kyoto University, 5280, Kawayo, Minami-Aso, Kumamoto, 869-1404, Japan 5) 北海道大学地震火山研究観測センター 〒 060-0810 北海道札幌市北 10 条西 8 丁目
Institute of Seismology and Volcanology, Hokkaido University, Kita-10, Nishi-8, Kita-ku, Sapporo, Hokkaido 060-0810, Japan
6) Philippine Institute of Volcanology and Seismology
C. P. Garcia Avenue, U. P. Campus, Diliman, Quezon City, Philippines (2008 年 1 月 21 日受付/ 2008 年 1 月 31 日受理)
Abstract
We have carried out electromagnetic(EM)monitoring of Taal Volcano, Philippines. Taal is a basaltic-andesite volcano which has had 33 eruptions in the historic times and is located close to Metro Manila. On Taal, various geophysical and geochemical observations have been conducted, but not the EM monitoring. A cooperative project for EM studies between PHIVOLCS and EMSEV/IUGG has recently been started. Measurements of total magnetic fi eld(TMF), self-potential(SP), ground temperature and CO2 degassing
緒 言
近年,火山における電磁気学的手法を利用した 活動監視が広く行われてきている(e.g. Yokoyama, 1969; Yukutake et al., 1990a, 1990b, 1990c; Tanaka, 1993; Hashimoto and Tanaka, 1995; Sasai et al., 1997; Zlotnicki et al., 1998; Del Negro et al., 2002; Hase et al., 2005). 最近で は,地 磁 気 全磁 力(TMF), 自 然 電位(SP),比抵抗構造探査を組み合わせた観測が火 山活動の推移を把握するための手段として確立され つつある(e.g. Sasai et al., 2002; Zlotnicki et al., 2003; Byrdina et al., 2003; Zlotnicki et al., in press).
フィリピン国における火山活動の監視業務は主に フ ィ リ ピ ン 火 山 地 震 研 究 所(Philippine Institute of Volcanology and Seismology,PHIVOLCS)により行 われている.PHIVOLCS の擁する観測ネットワーク は,地震計,GPS,水準測量,光波測距から構成され, さらに機動観測チームにより精密測量がくり返し実 施されている(Lowry et al., 2001; Bartel et al., 2003). また,火山湖の水温・PH 測定,火山ガスの化学分析 等の情報を合わせて火山周辺域の居住者への警報が発 令される仕組みとなっている.近年の電磁気学的手法 の進歩を鑑みると,同手法を観測ネットワークに組み 込むことで火山噴火の直前期における活動予測の精度 向上に役立てることができると期待される. 2004 年 12 月 に 国 際 測 地 学・ 地 球 物 理 学 連 合 (International Union of Geodesy and Geophysics,
IUGG)傘 下 の 3 協 会(IAGA,IASPEI,IAVCEI) のワーキング・グループである EMSEV (Working Group on Electromagnetic Study of Earthquakes and Volcanoes,議長・上田誠也・東海大学教授)と PHIVOLCS の間で,ルソン島南部における地震・火 山・テクトニクスの共同研究の推進を目的とした合意 が交わされた.合意内容には,①タール火山の熱水対 流系と噴火機構の解明,②マヨン火山の電磁気学的監 視手法の検討,③マリキナ渓谷断層の電磁気学的構造 探査,地震発生ポテンシャルの評価,④フィリピン断 層系の電磁気学的構造探査,が含まる.EMSEV から は日本およびフランスの研究者がフィリピンへ派遣さ れ,PHIVOLCS の研究者および観測チームとの共同 で上記項目が実施される.当面の研究対象としてター ル火山(Taal Volcano)が選択され,2005 年 1 月に第一 回目のキャンペーンを実施して以来,2007 年 12 月ま でに計 10 回の現地調査が行われている(Table 1). タール火山のテクトニクス, 噴火史および近年の活動 フ ィ リ ピ ン・ ル ソ ン 島 南 部 に あ る タ ー ル 火 山 (120.99°E,14.00°N, 標 高 311 m)は 25 km×30 km のカルデラ湖(タール湖)のほぼ中央にあるタール火山 島(Taal Volcano Island)であり,世界で最も標高が低 く,噴火危険性の高い火山の一つとして知られている (Fig. 1).直径約 5 km の火山島はカルデラ形成後に were made during the fi rst survey in January 2005. Distinct anomalies in TMF and SP were found in the geothermal areas in Taal. Repeated survey in February detected changes in TMF up to 10 nT and enhancement of positive SP anomaly during the one and half-month period, when the surface geothermal activity was high. Field campaigns have been conducted 10 times by December 2007. Continuous measurements were started on SP, and ground temperature in November 2005, and TMF in December 2007 in the geothermally active areas in the Volcano Island. These EM measurements combined with mechanical ones will uniquely contribute to clarifying the eruption mechanism and the magma plumbing system of Taal Volcano, which will lead to the prediction of volcanic eruption.
Table 1 List of fi eld campaigns on Taal Volcano,
promoted by EMSEV working group. Participants are listed in country names ; Japan(JPN), France(FR), and Philippines (PH).
できたとされ,多くの噴火口 が見られる.火山島の中央 には直径約 2 km のクレーター (Main Crater, MC)があり, クレーターの中央は幅 1.2 km, 深 さ 約 80 m の クレーター 湖 (Main Crater Lake, MCL)と
なっている(Fig. 2). タール火山を含むカルデ ラの形成史には諸説あるが, 地質調査に基づく最も有力 な説では,およそ 14 万年前 にデイサイト質の旧・ター ル火山(Taal Cone)が形成さ れ,2 万 7000 年前から 5 千年 前にかけてくり返し発生した噴火活動によ り,現在の 25 km × 30 km のカルデラ(Taal Caldera)ができたとされる(Listanco, 1994). カルデラ内はタール湖で満たされ,その後 の火山活動により,カルデラ中央部に現在の タール火山島が形成された. 火山島には 47 個の火口・火山丘が存在す ることが確認されており,うち 26 個は tuff cone,5 個は cinder cone,4 個は maar であ る.これらは,ベースサージ,火山灰,溶岩 流等の異なるプロセスで形成されたものであ る.火山堆積物で最も顕著なのがベースサー ジに起因するもので,主に火山島南西部に見 られる.この地域には火山弾,噴石,火山礫, 火山灰等の火山砕屑物も分布する.Calauit, Mt. Binintiang Malaki,Pira-Piraso,MC 内 部の北崖,Mt. Tabaro では溶岩が見られる (Listanco, 1994). 火山島では 1572 年から 1977 年の間に 33 回 の噴火が記録されており(Punongbayan and Tilling, 1989),多くは水蒸気爆発やマグマ水 蒸気爆発によるものである.MC は,有史以
Fig. 1 Location maps of Taal volcano.
Fig. 2 Map of eruption centers of Taal Volcano(After
PHIVOLCS, 2003). Geothermally active areas, based on our fi eld surveys, are also shown.
来の多くの噴火(例えば 1754 年,1911 年)が発生した 場所である.1911 年の噴火は MC における最後の大 噴火であるが,火山島と周辺域で 1,000 人を超える犠 牲者と,マニラに至る広範囲での降灰をもたらした (Miguel Saderra Maso´, 1911).火山島での最後の噴 火は,1965 年から 1977 年にかけて Mt. Tabaro におい て発生した.1965 年に発生したベースサージでは,熱 風がタール湖を西進して対岸に到達し,住人 200 人が 犠牲になったことが知られている(Moor et al., 1966). 1968 年と 1969 年に発生したストロンボリ式噴火では, 玄武岩質マグマの溶岩流が 1965 年噴火地点から火山 島南西岸にかけて流出した.1977 年に最後の水蒸気 爆発が発生して以来,噴火は記録されていない. 1990 年代初頭に火山島を震源とする群発地震が発 生し,特に 1992 年 2 月の活動では土地の隆起(10∼ 20 cm)や割れ目の発生,MCL 周辺の噴気の活発化が 見られた(Gabinete, 1999; Richon et al., 2003).2004
年 9 月からは地震活動が再び活発化し,同年 10 月末 には Alert Level が 0(静穏)から 1(低い火山活動)に 引き上げられた.2005 年 1 月 9 日には島内で比較的強 い地震が発生し,火山島北部の Pira-Piraso で震度 3 (フィリピン震度階)を観測した.さらに,同年 3 月末 までに MC 北東部で植生の枯死や MCL 湖面の低下 (約 76 cm),MCL の気泡の増加が見られるなど地熱 活動の活発化に伴う現象が発生した.その後地震活動 は静穏化し,同年 6 月には Alert Level が 1 から 0 に 引き下げられたが(Alanis et al., 2005; Villacorte et al., 2005; Harada et al., 2005),同年 12 月に地震活動が活 発化してからは Alert Level が再度 1 に引き上げられ ている(Zlotnicki et al., in press).
現在の火山島内の地熱活動域は,主に MC の南西 岸(Picture A(c))から MCL 内部を含む北東岸,北 側 の リ ム(Picture A(a)), お よ び 北 側 斜 面(Daang Kastila, Picture A(b))に 分 布 す る(Fig. 2). 特 に
Picture A Photos of geothermally active areas on Taal volcano(January, 2005).(a) North to North-eastern shore of MCL.(b) Northern fl ank of the Volcano Island(Daang Kastila).(c) Western shore of MCL.
MCL 北東岸からクレーター北側の壁面にかけて地熱 活動が著しく,安山岩質の岩石が変質している.また, 湖岸沿いには所々から噴気があがっており,MCL 北 端では熱水を含む蒸気が間欠泉のように吹き上がっ ている(原田ほか,2005).一方で,1965 年から 1977 年に活動した Mt. Tabaro 付近では地熱活動の兆候は
見られない(J. Sabit, 私信)ことから,タール火山の 活動域が MC 内部および北側斜面(クレーターリム∼ Daang Kastila)に移ったと考えられる(Zlotnicki et al., in press). 火山島における 地磁気全磁力(TMF)・自然電位(SP)観測 1.現地調査の概要 第一回目の現地調査は,2005 年 1 月 8 ∼ 15 日に実施 された.調査項目は,地磁気全磁力(total magnetic fi eld, TMF),自然電位(Self-potential,SP),地中(深 さ 50 cm)の CO2濃度および温度である.これらの測 定は,MC 内部と火山斜面の同一測線上を 25 m 間隔 で行われた.測定ルートを Fig. 3 に破線で示す. ルートは,次の 4 つのコースからなる. コース 1 北側斜面をクレーターリムからタール湖畔 (Pira-Piraso)に至るコース(ルート C ∼ D) コース 2 北側のクレーターリムおよび斜面 8 合目あ たりを東西に横断するコース コース 3 火山島東岸(Calauit)からクレーターリムを 経て,MCL 東岸(A)に至るコース.さらに MCL 北東岸沿いに東∼北を計測するルー
Fig. 3 Location map of TMF and SP measurements in Taal Volcano Island in the fi rst campaign in January
2005. Measurements were made along the broken lines at every 25 m. Double circles indicate the locations of repeat TMF survey points. Rectangle near H indicates the area where zigzag survey was made during the fi rst campaign. In this paper, the results of paths A-B(overall length is about 600 m) and C-D(do. 2,500 m) are presented. Solid lines indicate the profi le lines for the two-dimensional modeling of TMF anomaly. Profi le G ∼ H ∼ I traverses the geothermal areas from the NE shore of MCL to Taal Lake by way of Crater rim(do. 3,500 m). SRTM-3 was used to illustrate the elevation.
Fig. 4 The distribution of benchmarks for the repeat TMF survey points. The points from 01 to 21 were
established during the fi rst campaign in January 2005. The points of higher numbers were established after the fi rst survey to the 8 th survey in April 2007. Benchmarks are grouped into three areas (Area-A, Area-B and Area-C) to represent characteristic features of TMF variations(Fig. 12).
Picture 1 1 Photos of the NE shore of MCL.(a) 08 January 2005.(b) 25 February 2005. The vegetation was
ト(A ∼ B)と,クレーターの崖下に沿って 計測するルート(A ∼ C)を含む コース 4 火山島西岸(Alas-as)からクレーターリム を経て,MCL 西岸に至るコース.さらに MCL 西岸沿いに南西∼北を計測するルー トを含む 第一回目の調査では,3 台のプロトン磁力計(GEM System 社 製 GSM-19 を 2 台,Scintrex 社 製 OMNI-IV を 1 台.センサーの高度は地上 2.38 m)を使用して 地磁気全磁力を測定した.うち 1 台をタール湖畔の Buco(Fig. 1)に設置し参照観測点として利用した(調 査期間の日中を 5 秒サンプリングで稼働).参照点の データは,火山島で測定される地磁気データから地磁 気日変化や地磁気嵐の影響を取り除くために使用され る.測線上を 25 m 間隔で測定する移動観測では,各 地点において 20 cm 以内で位置をずらした計 3 回の測 定の平均を測定値として記録する.測定値から同時刻 の参照点のデータを差し引いた値を各測定点の「地磁 気全磁力異常」(diff TMF)とする. SP 測 定 で は,2 本 の Pb-PbCl2平 衡 電 極 を 2,000 m の銅線でつなぎ一組のダイポールを構成する.一方の 電極を参照点として固定し,もう一方を 25 m 間隔で 測線上を移動して 2 地点間の電位差を高インピーダン ス・ディジタル・テスターで測定する.測線の最終点 を次の参照点とすることで,島内の全測定点の電位分 布が分かる(Zlotnicki et al., in press).
一方,火山活動による地磁気変化を検出するために, 島内に数カ所ある地熱活動域の内外にくり返し測定用 のベンチマーク(コンクリート製)を設置した(計 21 地 点,Fig. 4).各測定点では,15 分間にわたり 10 秒間 隔で地磁気全磁力を測定し,毎分 00 秒と前後 2 データ を含む 5 データの分布から± 5 nT を超える外れ値を 除いて平均化し,毎分値とする.さらに,毎分値から 参照点の毎分平均値を差し引くことで地磁気短周期変 動を除去し,15 分間の平均値を各観測点の測定値と して記録する(Harada et al., 2005; Zlotnicki et al., in press).地熱活動の動静を長期的にモニタするために は,活動域の拡大・縮小に敏感な場所を探す必要が あるので,第二回目以降測定点を補充した結果,2007 年 12 月現在では 28 ヶ所にベンチマークが設置されて
Fig. 5 SP and TMF(“diff TMF”) anomalies along the horse trail in the northern flank of Taal Volcano
いる(Fig. 4). 2 .2005 年 1 月の TMF・SP の観測結果 Fig. 5 は,前節のコース 1(ルート C ∼ D)について, 地形断面および TMF と SP の測定結果を示したもの である.diff TMF はクレーターリム(C)の北 25 m 地点 において最小(約−3,500 nT)となり,クレーターリムか ら約 400 m 地点の 8 合目あたりを頂点とする明瞭な正 異常を示し,タール湖畔(D)へ向けて増加する.8 合 目の正異常は,測線全体の傾向から見積もると最大で 1,500 nT となる.一方,SP も 8 合目付近で約 300 m にわたり大きな正異常(100∼200 mV,Fig 5(a)の陰 影部分)を示す.これら二つの正異常の位置はよく一 致する.またクレーターリムから約 700 m 地点を境界 として SP 異常の傾向は南北で異なり,この付近に構 造境界が伏在する可能性を示唆する.事実 8 合目あた りでは,南北約 300 m の範囲に東−西走向の割れ目 が発達しており,その中は地熱活動域となっている. TMF,SP の正異常はその地熱活動域とほぼ一致する ことから,いずれも地熱活動に起因する可能性が高 い.SP の測定値は正異常を除いた全体の傾向として は,上記の境界の南側では −1.2 mV/m 程度と見積も られる一方で,北側では平坦に近い.これは南側では 地下水の流下があるが,北側ではそれがないとすれば, SP 測定で典型的に見られる地形効果(e.g. Zlotnicki and Nishida, 2003)とは矛盾しないが,山体全体とし ての水流システムの解明は今後の課題である. Fig. 6 は,前節のコース 2 において,地熱活動域(Fig. 3 の四角で囲むエリア)での diff TMF を求めた結果で ある.Horse Trail の西側に約 +200 nT をピークとす る正異常(黄色∼赤色)が存在しており,その周囲には 緑色(−300 ∼−400 nT)の領域が東西に帯状に存在し ているように見える.− 100 nT 以上のエリアは地中 温度が高い場所と非常によく一致するので,TMF の 正異常は熱消磁現象(Tanaka, 1993)の影響が大きいと 見られる. 3 .火山島北部の 2 次元磁化構造モデル 磁化を帯びた岩石は高温下では温度に依存して磁化 が減少し,キュリー温度において完全に磁化を失う. タール火山の地磁気伏角は 14 度とほぼ水平に近く, 地下の岩石の磁性が熱消磁により減少すると,その直 上の磁場は増加する(Fig. 9 参照).すなわち,正異常 の原因となり得る.ただし,地表で測定する磁場は地 形の凹凸の影響も含むため,地熱活動域の正異常に対 する熱消磁の影響を正確に見積もるのは難しい.
Fig. 6 Two-dimensional distribution of TMF anomaly(“diff TMF”) in the northern fl ank(rectangular area
near H in Fig. 3) of Taal volcano. Contour interval is 50 nT. Red circles indicate the measurement spots including the repeat survey points.
そこで,本節では火山島の MCL 東岸からクレー タ ー リ ム(Daang Kastila)を 経 て 火 山 島 北 端(Pira-Piraso)へ至る測線(G ∼ H ∼ I)における地形の起伏が 作る磁場を 2 次元モデリング(Talwani and Heirtzler, 1964)によって見積もる.モデル計算にあたり,測線 G ∼ H ∼ I 上の地形データ(SRTM-3:約 90 m メッシュ) を利用し,深さ 250 m まで一様な磁化(1∼10 A/m)を 与えて,地上 2.5 m における実際の観測値に近い磁化 率を試行錯誤的に推定した. Fig. 7 は,測線 G ∼ H ∼ I における地形断面と一様 な磁化率を 3 A/m,5 A/m,7 A/m としたときの磁 場,および実際の観測値を表したものである.なお, 地磁気の偏角および伏角は,現在のタール火山付近に おけるものとし,それぞれ 0°と 14°に設定した.測 線 G ∼ C ∼ H に関しては,磁化率を 5 A/m としたモ デルが最も観測値に近いことがわかる.前述の 8 合目 付近の正異常(C と H の間に見られる)についても地 形の起伏(特にクレーターリムの存在)で説明される 部分が大きい.ただし,正異常のピークは観測値では +172 nT であるのに対し,モデル計算結果では− 335 nT であることから(Fig. 7),地形の影響では約 500 nT の差を説明できない.前節で地熱活動地域の周囲 には−300 ∼−400 nT の領域が帯状に存在すると述べ たが(Fig. 6),それはこの標高における diff TMF が 地形のみでほぼ説明されることを示すものと考えら れる.したがって,一様磁化モデルでは説明できない 約 500 nT の差は,局所的な熱消磁の影響を反映する 可能性が高い.しかし,厳密な議論を行うためには, MCL およびタール湖を含むタール火山の地形の作る 磁場を計算し,観測値と比較する必要がある.これは 将来の課題としたい 4 .2005 年 1 月と 2 月の TMF くり返し測定結果と モデリング 第一回目の現地調査時に計 21 ヶ所のくり返し測定 点を設置し,全地点で第一回目の TMF 測定を行っ た(Fig. 4).調査期間中に有感地震が増加し,くり返 し測定を開始した 2005 年 1 月 9 日には島内を震源とす る震度 3(フィリピン震度階)の地震が発生したことか ら,1 月 14 日に 5 地点(TA01 ∼ TA05)において 2 回 目の測定を実施した.その結果,MC 北東部の 3 観測 点(TA01, TA02, TA03)において + 2.5 nT の有意な
TMF 増加が認められた.(本文では地点番号を TA01 などと表示するが,TA は Taal の略号であり,図中 では省略されている.) 第二回目の現地調査は,PHIVOLCS の観測チーム により 2005 年 2 月 15 日∼ 25 日に行われた.TMF の 参照データとして,原則的には Buco の測定値を利用 したが,諸原因によりそのデータが取得できなかった
Fig. 7 The estimated TMF intensity along the profi le G∼ H∼ I in Fig. 3. The calculated values are at the
height of 2.5 m. Solid lines with open triangles, circles and squares indicate the estimated TMF intensity, of which magnetization are assumed to be 3, 5 and 7 A/m, respectively. The TMF intensity is computed at every one meter. Solid squares indicate the observed TMF intensity.
場合は,北方に約 50 km 離れた Muntinlupa 地磁気観 測所(see Fig. 1)での地磁気全磁力毎分値を利用した. Fig. 8 は,2005 年 2 月と 2005 年 1 月の TMF の差を 示したものである.ここでは Muntinlupa 地磁気観測 所の地磁気データを参照データとして利用した.地熱 活動域である MC 北東部と Daang Kastila において顕 著な TMF 増加(+5 nT 以上)が見られる.これは,地 熱活動の活発化による地下浅部における消磁効果を反 映するものと考えられる.また,2005 年 1 月と 2 月に MCL 北東岸沿いを同一ルートで SP 測定を実施した が,1 月の測定では SP 正異常の分布が噴気孔の周辺 に限定されていたが,2 月の測定では正異常のエリア が拡大して MC 北東部の全体の電位に増加が見られ
た(原田ほか,2005; Zlotnicki et al., in press).実際, 第二回目の調査期間中に MC 北東部の植生の枯死 (Picture 1),MCL 湖岸の広い範囲で激しく気泡が湧 き上がる等の現象が確認されている(J. Punongbayan, 私信.See Picture A(a)).
これらの TMF 増加の原因を説明するためモデル 計算を行った.MC 北東部の SP・地温測定の結果 や ASTER 衛星の画像処理結果から,2005 年 2 月に MCL の北東岸で見られた温度上昇域は,西北西− 東南東の走向に分布すると推定されている(Zlotnicki et al., in press).そこで,この走向を有する一様な 磁化物体を楕円体で近似し(Clark et al., 1986; 笹井 , 2006),それが熱消磁効果を受けると想定した(Fig. 9
Fig. 8 Changes in the geomagnetic total intensity in Volcano Island during the period from January to
(a)).計算では 5 A/m の一様磁化をもつ物体中に 1%(−0.05 A/m)の消磁をうけた楕円体を仮定した. Table 2 に示す通り,楕円体の大きさ・位置・姿勢等 を変えて,地上高 2.5 m の TMF が計算された.Fig. 9(b)の(i)∼(iii)に 3 通りのモデル計算結果を示す. モデル(i)は楕円体の上面の深さを 50 m とした場 合で,2005 年 1 月 9 日∼ 14 日の 5 日間での変化(+2.5 nT)をよく説明する. モ デ ル(ii)は, 楕 円 体 の 上 面 の 深 さ を 10 m と し た場合の計算結果である.2005 年 1 月と 2 月の間に TA02 と TA03 ではそれぞれ +5 nT,+8 nT 変化し たが(Fig. 8),このモデルは観測結果によく合う.前 節で推定したようにタール火山の磁化率を約 5 A/m とすれば,磁化率の減少は 1 % でよいことになる. この変化は数℃の温度上昇に相当すると考えられる が,厳密な議論にはタール火山の岩石サンプルを用い た熱消磁実験を要する.一方,楕円体の南北側では負 異常が分布するが,MC 北東部では TMF 減少域は見 られない.これは,① TA03 の北側にくり返し測定 点がない,② TA04 と TA05 の標高は TA02,TA03
Fig. 9 (a) Model for computing the effect of underground thermal demagnetization during the fi rst
campaign in January 2005. In this study, a shallow demagnetized ellipsoid is assumed.(b) Results of computation(After Zlotnicki et al., in press).
に比べて 5 ∼ 10 m 高く,計算した水平面より高い場 所に位置する,等の理由で検出ができなかったためと 思われる. モデル(iii)は,Daang Kastila の地熱活動域におけ るモデル計算結果である.この地域では地熱活動域 がほぼ東西に帯状に存在している.くり返し観測点 は傾斜 4.8°の斜面に分布しているので,地磁気伏角を 9.2°に設定すると平面上の結果と同等になる.楕円体 の直上では +10 nT となり,中心から東西方向へ正異 常が減少してゆくが,負異常は見られない.これは, TA08 と TA17 の観測結果と調和的である.Daang Kastila 周辺域では負異常が見られないため(Fig. 8), 南北の広がりを特定するためには,南・北方向にく り返し測定点を増設する必要がある.モデル計算結果 は,深さ 30 m におけるわずか数℃の温度上昇に相当 する.これは,Daang Kastila で 2005 年 1 月∼ 3 月の 期間に目立った植生の枯死が見られなかった事実と矛 盾しない. 5 .TMF・SP 連続測定点の設置 火山島内にはこれまでにも PHIVOLCS によって GPS,自然地震の観測施設が設置されており(Lowry et al., 2001; Bartel et al., 2003),観測データは MC 北 部のリムに設置された無線通信装置を介してタール湖 畔の Buco 観測所(PHIVOLCS Buco Observatory)に 送られている.これらの力学的観測だけでなく,地磁 気や SP 等の電磁気学的観測データの時間変化をモニ タすることで,火山活動のメカニズムを推定する上で
Fig. 10 (a) Daang Kastila station on northern fl ank of the Volcano Island. E and T indicate the probes
for electric and ground temperature. DK08 is the benchmark for the precise leveling.(b) Station on north-eastern shore of MCL. Seismometer and GPS antenna are stations of PHIVOLCS. P_MG and F_MG mean the proton magnetometer(KM-62) and fl ux-gate magnetometer(Mag-03MS1000). (c) Location of the stations. ST_DK is Daang Kastila station and ST_MCE is the station on the north-eastern shore of MCL. Repeater is used to transmit the GPS and seismic data to the Buco observatory.
重要な情報を抽出し,噴火の直前予測の実現に役立て ることができると期待される. そこで,2005 年 11 月の調査期間中に地熱活動が活 発な 2 つの地域(Daang Kastila と MC 北東部)にお いて,観測機器を収納するためのシェルターを建設 し,Daang Kastila において SP および地中温度の連 続観測を開始した.さらに 2007 年 12 月には Daang Kastila および MC 北東部にプロトン磁力計(KM62 式, Tanaka, 1993),MC 北東部には 3 成分フラックスゲー ト型磁力計(Mag-03MS1000, Bartington Instruments) を設置して連続観測を開始した.2 つの観測エリアに おけるシェルターと観測機器の配置図(Fig. 10)とプ ロトン磁力計のセンサーおよび周辺域を撮影した写真 (Picture 2,Picture 3)を示す.2007 年 12 月現在はオ フラインによる観測であるが,将来的には無線通信に より Buco 観測所に伝送される予定である. Fig. 11(a)に,現地調査期間中に取得された TMF ( 期 間 2007 年 12 月 1 日 ∼ 8 日 )を 紹 介 す る. こ こ で は,一例として MC 北東部(MCE,60 秒値)を示す. また,比較のため Buco(BUC,5 秒値から 60 秒値を 抜き出したもの)と Muntinlupa 地磁気観測所(MUT, 60 秒値)の連続測定データも並べる.さらに,TMF のばらつきを検討するため,3 観測点のうち 2 点を 組み合わせて互いの差分を求めた(Fig. 11(b)).上 よ り,MCE と MUT の 差 分,MCE と BUC の 差 分, BUC と MUT の差分を表す.MCE と MUT の差分は,
日変化に伴う長周期成分が卓越する時間はあるが,ば らつきは概ね 1.0 ∼ 1.5 nT に収まっている.磁気測量 は日中に行われるため,2 回の測量の差には日変化に よる 2 ∼ 3 nT の誤差が入る可能性がある.一方で, MCE と BUC の差分では日変化はほとんど除去され ていることが分かる.したがって,磁気測量の解析に はくり返し磁気測定点と BUC との差を取ることが望 ましい.しかし,実際には BUC のデータが得られな かった場合が多く,次節で述べるように,くり返し測 定点のデータと MUT との単純差を取って比較した. 地磁気全磁力(TMF)のくり返し測定 2005 年 1 月から開始された TMF くり返し測定は, 2007 年 12 月現在まで計 10 回実施されている.TMF くり返し測定点は,島内の 3 つの地熱活動域の内部 およびその周辺に設置されているので,ここでは 3 つのエリア(Fig. 4,Area-A:MC 北東部∼ Calauit, Area-B:Daang Kastila,Area-C:MCL 西岸∼ Alas-as)に大別してそれぞれの特徴をまとめる(Fig. 12). Area-A(Fig. 12(a))における TMF 変化は,ほとん どの観測点で 2005 年 1 月から 2 月まで急変しているの に対し,TA01,TA02 では変化が小さい.両点は地 熱活動域の内部にあるため,1 月の時点ですでに熱消 磁の影響を受けていたものと考えられる.この2点を 除く地点で急変を示したことは,地熱活動域の拡大を 示唆する.
Picture 2 Photos of the sensor of proton magnetometers(KM-62) and scenery around the shelters.
Picture 3 Photos of geothermally active areas in the Volcano Island.(a) Northern fl ank of Volcano Island
(Daang Kastila). E and T indicate the baseline for the measurements of electric fi eld and ground temperature. P_MG means the proton magnetometer. DK08 is the benchmark for the precise leveling, which is conducted by the PHIVOLCS.(b) North-eastern shore of the MCL. Both pictures were taken from almost the same place on the north rim of MC.
TMF の変化は,Area-B(Fig. 12(b))が最も顕著で ある.2005 年 1 月から 2 月まで約 +10 nT 増加してし ばらくその状態が続いたが,同年 11 月には元のレベ ルに戻っている.これは,火山活動の活発化と静穏 化の時期に対応するので,明らかに地熱活動の推移 と関連がある.しかし,最も北に位置する TA10 の 変化は疑わしい.この観測点は窪地に設置されてい るため,降雨により泥が周囲から流れ込んだ恐れがあ る.一方,TA09 の変化は比較的小さいので,地熱活 動域における地中温度の上昇は TA09 より南側まで しか拡大しなかった可能性がある.残念ながら TA09 においては,2006 年 2 月と 8 月の測量の間に,わずか 数 10 cm 近傍に鉄条網を張られてしまい,大きな擾 乱を受けた.TA09 から約 20 m 離れた地点に補助点
Fig. 11 (a) TMF variations at three stations during the period from December 1 to 8. BUC, MUT, and MCE (a) TMF variations at three stations during the period from December 1 to 8. BUC, MUT, and MCE indicate Buco, Muntinlupa, and North-eastern shore of MCL stations.(b) Simple differences of TMF among MCE, BUC, and MUT.
TA09B を 設 け た が,Fig. 12(b) に見られるように,それ以降の変 化は小さく安定している.TA17 と TA08 は地熱活動域の東端と 西端に位置しており,地熱活動の 活発化と低下の影響をよく反映 しているといえる.TA07 は地熱 活動域の中心に位置しているが, 変化量が小さいのは地熱活動の 影響を常時受けているためと思 われる. Area-C(Fig. 12(c))では,TA13 だけが地熱活動域内部に設置さ れているが,それ以外の測定点 に比べて顕著な変化を示してい る.この測定点は局所的な磁場 勾配が極めて大きく,センサー 位置のわずかなずれで全磁力値 が変動することが判明している. したがって,Fig. 12(c)における TA13 の 大 き な 変 動 は, 見 か け 上のものである.TA12,TA14, TA15 の変化を見ると,2005 年の TMF の増加は小さいので,2005 年 に MCL 西 岸 で は 地 熱 活 動 が 活発化しなかったといえる.し たがって,MCL 西岸の地熱活動 の熱源および地下深部からの輸 送径路は,MCL 北東岸や Daang Kastilaとは独立であると見られる.
Fig. 12 Changes in the TMF :(a) in the Area-A , the north-eastern shore of MCL and the outer south-eastern Changes in the TMF :(a) in the Area-A , the north-eastern shore of MCL and the outer south-eastern fl ank of MC(Calauit).(b) in the Area-B, the outer northern fl ank of MC(Daang Kastila).(c) in the Area-C, the western shore of MCL and the outer western fl ank of MC(Alas-as).
考 察 と 結 論 2004 年 9 月以降,タール火山では火山性地震が増加 し,Alert Level が 0 から 1 に引き上げられた.その 後,2005 年 1 月末には MC 内部は突然の水蒸気爆発 や毒性の強い火山ガスの噴出の恐れがあることから, PHIVOLCS により一般人の立ち入り禁止措置がとら れた.第二回目の現地調査(2005 年 2 月)は,MCL 湖 面の気泡の増加や MC 北東部の植生枯死といった状 況下において実施されたものである. 第一回目の調査となる 2005 年 1 月に設置した TMF くり返し測定点のうち,MC 北東部では数日のうちに TMF の有意な増加が検出された.モデル計算により 地下浅部における熱消磁で説明できるので,急激な温 度上昇が生じた可能性が示唆された.このことは,地 表の熱的活動が活性化する以前に地磁気観測により変 化が見いだされたことを意味しており,火山噴火を 事前に予測するための手段として有望である理由とな る.ニュージーランドのホワイト島火山では,噴火に 先行して TMF が大きな変動を示すことが知られてい る(Christoffel, 1989;Hurst et al., 2004).TMF 変 動 のメカニズムとしては,地下浅部の岩石の加熱(地下 深部からの高温の蒸気の上昇)および冷却(熱輸送の中 断)が示唆されている(Hurst et al., 2004).2005 年 1 月 から 2 月にかけて見られた TMF の増加は,ほぼ同様 なメカニズムで生じたものと考えられる. 島内の 2 つの地熱活動域に観測用シェルターを建設 し,2005 年 11 月から SP および地中温度,2007 年 12 月から TMF の連続測定を開始した.TMF,SP のく り返し測定によって面的な分布の変化は把握される が,連続測定によって日変動や季節変動などを明らか にすることが可能になる. タール火山は 1977 年以降,過去 30 年間にわたり噴 火していないが,有史以来の噴火活動(Punongbayan and Tilling, 1989)からみると異例と言えるほどの長期 の空白期である.タール火山では最後の噴火以降,人 口が増加し,周辺地域の産業の発展も著しい.現在で は観光地として名高く,毎日のように外国人を含む大 勢の観光客がタール火山を訪れる.本研究で示された ように,観光コース(Pira-Piraso からクレーターリム に至る Horse trail)は,近未来的に噴火が発生する恐 れのある地熱活動地域を通るので,住民・旅行者の 安全を確保するためにも,噴火の直前予測は重要な課 題となる.PHIVOLCS の従来の観測ネットワークに, 地磁気・自然電位・比抵抗等の電磁気学的手法を組み 込むことで,力学的手法のみでは困難な火山内部の熱・ 物質輸送システムの解明も進むに違いない.これらの 観測を継続して実施し,火山活動の動静に関する理解 を深めることで,次の噴火の直前予測が可能になるで あろう. 謝 辞 本研究は,主に EMSEV(議長・上田誠也・東海大 学教授)の資金援助および(社)東京地学協会の研究・ 調査助成金を受けて,日本・フランス・フィリピン の 3 カ国の共同研究として実施された.共同研究の実 現に尽力された PHIVOLCS の前所長・故 Raymundo Punongbayan 博士と現所長・Renato U. Solidum Jr. 博士,EMSEV 議長・上田誠也教授に感謝を申し上 げたい.また,上田教授には本論文を改善する上 で有益な意見をいただいた.現地調査においては, PHIVOLCS の Bartolome C. Bautista 博 士,Jaime S. Sincioco 博士をはじめとする Ishmael C. Narag,Paul K. B. Alanis,Raymond P. R. Maximo,Teodorico Sandoval,Recardo Seda の 諸 氏 に お 世 話 に な っ た.千葉大学の伊勢崎修弘教授には,2 次元磁場モデ リングコードを提供していただくとともに,データ解 析において有益な助言をいただいた.北海道大学の茂 木 透 教授からは,オーバーハウザー型プロトン磁力 計を拝借した.NaMRIA,JAMSTEC,東京大学地震 研究所からは Muntinlupa 地磁気観測所の地磁気デー タを提供していただいた.これらのお世話になった 方々に御礼を申し上げる. 引 用 文 献
Alanis, P. K. B., Y. Sasai, J. Zlotnicki, M. Harada, J. Cordon Jr., J. P. Sabit, R. Seda, E U. Villacorte, J. T. Punongbayan, I. C. Narag, R. P. R. Maximo, R. Ballon, E. G. Corpuz, B. C. Bautista, R. U. Solidum, Jr., T. Nagao, and S. Uyeda(2005)Taal volcano (Philippines): Gearing towards a new eruption ?
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