タイ・バンコクにおける低所得者層の居住環境整備
とUCDOの役割
著者
藤井 敏信, 安 相景, 高橋 一男, 海老塚 良吉,
薬袋 奈美子
著者別名
FUJII Toshinobu, An Sang Kyung, TAKAHASHI
Kazuo, EBIZUKA Ryokichi, MINAI Namiko
雑誌名
国際地域学研究
号
3
ページ
93-112
発行年
2000-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00003891/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja国 際地 域 学研 究 第3 号2000 年3 月
タイ・バン コクにおけ る低所得者層の
居住環境整備 とUCDO
の役割
藤 井 敏 信,安
相 景,高 橋 一 男
海老塚良吉,薬袋奈美子
93 1 。 は じ め に ー バ ン コ ク の 状 況 近 年、 居 住環境 整備 の分野 で は、 ト ップ ダウ ン型 の公的 政 策 の限 界 が明 ら かに な る一 方 で、 地域 主 体 や、 さ まざ まなNPO 、NGO に よる参 加型 の整 備 方法 が試 みら れて い る。 それ は、プ ラ ン重 視 の新 規 開発 か らプロ セ ス重視 の 持続 型 開 発 へ、 パッ ケ ージ型 事業 から オ ータ ナティ ブ な選 択型 事業 へ、 公共 主 導 のハ ード 整 備 重視 か ら、 マ イ クロ クレ ジッ ト に見 ら れ るよ うな 住民 の イン セン ティブ を活 かし た エ ンパ ワー メント ・ イ ネ ーブ ル政 策 重視 へ、 という 変化 とし て現 象し てい る。 そ の具 体 的 な展 開過 程 は、行 政制 度、 地 域施 策 、 都 市化 の状 況、 地域 社 会 の構成 や担 い手 で あ る開発 主体 の 役割 等 に より、 各地 域 ご とに 異な る が、 興 味深 い のは、 こ うし た、 地 域 主体 に よる ボト ムア ップ 型 へ とい う傾 向 が南 北 を問 わず世 界 的 に通 底 し てい るこ とで あ る。 一 方 同 時 に、 経済 社会 全体 を巻 き 込 ん だ世 界的 な グロ ーバリ ゼ ー ショ ン の進 行 は市場 の国 際 化 や、 情報 ・ 資源 ・技 術 ・資 本 の偏 在的 な 占有 化 を通 じて 地域 間 の格差 や 、 低所 得 者層 の拡 大 を招 い てい る。 開 発途 上国 一般 に見 ら れる こ とで もあ るが 、 アジ アの大 都市 に お い て も、 こう した低 所 得者 の住 む スラ ム・ ス ク ウオッ タ ーの存 在 は、 経 済・ 社会 システ ムの構 造 的 な課 題 となっ てい る。 本 稿で は、 タ イ・バ ンコ クで の低 所 得者 層 の居 住環 境 整備 につ い て、UCDO(UrbanCommunityDevelopmentOffice) が関 わ る事業 を 紹 介し 、 その分 析 を通し て 、住民 が主体 となっ た居 住環 境整 備 にお け る課題 を考 察 する。 対 象 とし たバ ン コク は、60 年代 から の急 速 な都 市化 とと もに、 農村 から の人 口流 入 に より、 市 域 が膨 張し 、基 盤整 備 が後 追い す る状 況 の中 で 、居 住環境 の未整 備 な ス ラム が80年代 まで 拡 大し て き たl。1960年バ ンコ クの人 口 は、2,168,657人 で あ った が、1995年 に はお お よそ8,126,000人 へ と35年間 で 約3.7倍 に、また市 域 も150平 方 キロ メ ート ル から、482平 方 キロ メ ート ル へ と約3.2倍 に膨 れ上 が り、 この 結 果、 市 域 に分 散 す る スラ ム・ ス ク ウオ ッタ ーは、 現 在843地 区、人 口 で1,164,509人 を 数 え る(Vichai 、1998)。彼 らの経 済基 盤 は通 常 、市場 に組 み込 ま れな いイ ン フ ォーマ ル セ クタ ーに依 拠し て い る。多 く は運河 ・河 川沿 いや 湿 地 な ど居 住条 件の 劣悪 な地 区に 定 住し てお り、 その環境 改 善 は 公 的 セ クタ ーに とっ て も大 きな施 策 課 題 とな っ てい る。 加 えて、 市 街地 内 で公 用地 、民 有 地 を占 拠 1 こ の メ カ ニ ズ ム に つ い て は 藤 井(1998) を 参 照 。94 国 際地域 学 研究 第3 号2000 年3 月 する ス ラム ・ スク ウオ ッタ ー は、 都市 の 経済 発展 に伴い フ ォーマ ル セ クタ ーに よる土 地 利 用 の高 度 化 ・更 新 圧力 が 強 まる と と もに、 強制 撤 去 の対 象 とな る可 能性 を常 に はら んでい る。1988 年 まで の14 年 間 の間 、毎年1.55% のス ラム・ス クウオ ッタ ーが 強制撤 去 に遭 っ てい るが 、統 計 に現 れ ない 事 例 も多 い と考 えら れ る。 一 方的 な排 除、 解 体 に対 し スラ ム・ ス ク ウオッ ター の住 民 も、1973年 から 開始 し た クロ ント イ 地 区 で のラ ンド シ ェア リ ング事 業 を はじ め とし て、 この30年 間 の間 の組 織的 な抵 抗 や、 行 政・ 土 地 所 有 者 との交渉 に より 、住 み続け ら れる 「 居住 の権利 」 の実 現 に向 けた 居 住運動 の 経験 を 次第 に蓄 積 し て きた。 こうし た 運動的 な居 住環 境 整備 は、 公共施 設 の 整備 や土 地 所有 者 の土 地利 用更 新 とい っ た都 市 更 新圧 力 に よる強 制撤 去 に対 し て、 大 きく二 つ の方向 、 すな わち現 在 の場 所で の 開発 = オン サ イト か、 あ るい は再 定 住地 で の 開発 = オフ サイド か、 の 選択 を 迫ら れる。 そ れは、 現 在 の立 地 状 況 と開 発 圧力 との関 係 を通し て 、移 転 補 償費、 仕事先 の有無 、 基盤 サービ ス施 設 の整 備状 況 、 新 た な土 地・建 物 の費 用負 担、さ ら に は現 在 のコ ミュニ ティ の ま と まり や 開発 に関 わ るNGO やNPO と い っ た支 援 団体 の力量 な ど、 外 的内 的 な 複合 要因 によ り、 結果 とし て さ まざ まな 展開 を示 すこ とに な る( 図1 )。 今 日で は、 スラ ム に対 する 公的施 策 の新 た な展 開を 背景 に、 公共 団 体やNGO な どの 支援 を受 け て、組 織 さ れたコ ミュニ ティ によ る(CBO )自立 的 な居 住 環境整 備 に 着手 す る住 民 組 織 も みら れ る よう になっ た。 図I. スラム居住環境整備の展開 フ ォ ーマルセ クタ ーの 拡大 ↓ 撤去 ・再定 住の 要 請 イ ン フォ  ̄マル セクタ  ̄ 支 援 NGO 、NPO 公的団 体 居 住 地 選 択 オ フ サ イ ド 分 散 ・ 新 た な ス ラ ム 形 成 サイト & サー ビス 住区 建設 2.UCDO(UrbanCommunityDevelopmentOffice) の 活 動2 −1 . 活 動内 容ucDo は、政府 に よる都 市 貧民 開 発基 金 を基 に1992年設 立 さ れた。低所 得 者 層に よ り組 織化 さ れ た貯 蓄 信用 組 合・ グ ループ を対 象 に、 その構 成員 に対し て融 資 を行 う公 的団 体 であ る。90 年 代当 初、 バ ン コ クで は投 資ブ ー ムに よ り再 開発 が 進 み、 市域 内 の スラム ・ ス クウ オッ タ ー に 居 住 す る低 所 得者 層2 万4 千 世帯 が 強制 撤 去 に直 面し て い た。
藤 井,安,高 橋,海老 塚,薬袋 :タ イ・バン コ クにお ける 低所 得 者層 の居 住環 境整 備 とUCDO の役割 95 タ イ にお け る スラ ム政 策 は、 開 発 が進 む 他 の諸 国 と同 様 の経 過 を辿 っ て きた。60 年代 か らの初 期 段階 におけ る 公共主 導 の強制 撤 去 と公共 住宅 建 設 との併 行期 間 を経て 、70年代 に は第 二段 階 とし て 公的 主 体 が基 盤整備 を行い、 移住 し た住民 が与 えられ た敷地 に住宅 を建 設 する サイト ア ンド サービ ス や、 土地 所 有者 と スラ ム住民 が 上 地 を分 有 す るランド シェア リ ン グな ど が進 めら れ てきた が、 い ず れ も都市 全 域 に膨張・拡大 する スラ ム・ス ク ウオタ ーを前 に し て、 公共 施 策 とし て は限界 が あ り、 財政 的 な 負担 も大 き く、期待 さ れ た成 果 は上 が らな かっ た。一 方 ス ラム・ス ク ウオッ タ ー住民 に とっ て も、 仕 事が 見 つか らな い遠 隔地 へ の 移住 を 強い ら れた り、 生活 サ ービ ス 基盤施 設 が不 足し てい た り、 あ るい は高家 賃 の負 担 に耐 え られ な かっ た りで、双 方に 満足 で き る施 策 を打ち 出 す こ とが困難 な状 況 にあっ た。90 年代 に入 り、 政 治 体制 に お け る民 主化 の 流 れ を背景 に、 従来 の スラ ム対策 を見 直 す中で、 新 た な試 みが 行 われ る よう に なっ た。 グラ ミン銀行( バ ン グラ デ シュ)、CMP( フ ィ リピ ン) な ど周辺 諸 国 のクレ ジ ット融 資 事業 に倣 いつ つ、 事 態 に対 応し た イネ ーブ リ ン グ・エ ン パ ワー メ ント施 策 が1992年、 第7 次全国 総 合 開発 計 画 の もと に打 ち 出さ れ る。 政 府 から の当 初 資 金12.5億 パ ーツ(約60億 円)に よっ て「 都市 貧 民 開発 基 金(urbanpoordevelopmentfund) 」が、NHA(NationalHousingAuthority 国家 住宅 公社) の管 理下 で設 置さ れ、 低 所 得者 層 が組 織 し たコ ミュニ ティ 信用 貯 蓄 組合・グ ループ を対 象 とし た、 い わ ば「 統 合型 マ イクロ クレ ジ ット 」 が 、UCDO に よ る公共 政 策 とし て開 始さ れた。UCDO はこ の クレ ジ ット を手 段 とし て、住 民 の生活 展 開 を支 援 す る各種 の 訓練プ ロ グラ ムへ の参 加 を促 進し た り、 また コ ミュニ テ ィ の組 織化 や そ のネ ット ワ ー ク化 を通じ て 、 これ ら に依拠 し た住 民 の生 活 の自立 や、 環境 の向上 を支援 する活 動 を担っ てい る。 クレ ジット 融 資 の対 象 は、 主 に組 織 化 さ れた コ ミ ュニ ティ 貯 蓄 活 動 の 実績 を担 保 にし た 土 地 取 得・住宅 建設 で あ るが、 これに 限 ら ず融 資 の対 象 には起業 活 動 な ど生 活全 般 の改善 も含 ま れてい る。 ス ラム・ス ク ウオッ ター地 区 の環 境 改善・再定 住 地事業 で は、NHA と協 同 す るこ とも多 い 。 こ の 場 合NHA が基盤 サービ ス施 設 を建 設 し、UCDO は低所 得 者層 が 組織 化し たコ ミュ ニ ティ に よる貯 蓄 信用 組 合・ グ ループ を対 象 とし て、 基 金 を 元 にした 融資 を行 う。 組織 的 な特 徴 とし て、 次の2 点 が あ げら れ る。 第一 に、組 織 として の自 立性 の確 立で あ る。UCDO の理事 長 はNHA の総 裁 が務 め てい る が、そ の運 営 や事 業 に関 し て は、NHA の施 策 か ら 独立 し た理事 会 が 方針 を決 定 す る。理 事 会 は行政 関 係者3 名、NGO ・民 間団体3 名 、低 所 得 者 が組 織 化し たコ ミ ュニ ティ か らの代 表3 名 と、 事 務局 長 で 構 成 さ れ る。 第二 に、 分 権的 な活 動 を目的 とし た組 織化 を行 って い る。1995 年 に はコ ミュニ ティ を基盤 とし た 開 発 を推 進し、 その管 理 ・調整 を行 う 機関 とし て、 全国 的 な規 模 で 区分し た地域 の代 表 者 から な る 委員 会CDC(CommunityDevelopmentCommittee) を設 置し た。 その中 に は住 宅 関連、 コ ミュニ ティ 起 業 、信 用貯 蓄 の開 発、環 境 整備 、 女性 開発、 情報 提 供、 コ ミュニ ティ 福祉 といっ た7 つ の タ スク フ ォー スを設 け てい る( 図2) 。
96 資 料:UNDO 国 際 地 域 学 研 究 第3 号2000 年3 月 図7 住宅 プ ロ グラ ム に関 す る組 織 othertask forces 2 −2. 活動 の経 緯1992 年 設立以 来、次 第 に事業 を拡大 し てお り、現 在で は 市域 に分 散 す る4 分 の1 の ス ラ ム・ス ク ウ オ ッ タ ー地 区 と関係 を もつ。 年 次別 の活動 展 開 を次に示 す。92 年; 設 立。6 名 の スタ ッフ で開 始。93 年;100 の コ ミュニ ティ が メ ン バ ー (UCDO の融 資 を受 け る た め の貯 蓄 グ ル ープ を 結 成 し た コ ミ ュニ ティ ) とな る。94 年:25 のコ ミュ ニティ 、400 世帯 が 融資 を受 け る。95 年;50 の訓練 コ ース (貯 蓄、 会 計、 コ ミュ ニ ティ 形成 ・ 運 営、 世 帯会計 等 ) が設 け ら れる。 地 域単 位 の組 織化 に施 策 転換 。 全国 に8 つ の地 区別 コ ミュ ニ ティ ネッ ト ワ ー クを 組 織し 、 そ の代 表者 に よ るコ ミュニ ティ 開 発 委員 会(CommunityDevelopmentCommittee )を 立 ち上 げ る。149 コ ミュニ ティ(内142 がバ ン コ ク圏)、1 万2 千家 族 に融 資。 う ち共 同土 地取 得(郊 外 移転 ) の た めの融 資 は45件 。96 年;100 人 の スタ ッフ に拡大。UCEA (UrbanCommunityEnvironmentalActivities ) プロ グラ ムを 構築 す る。500 の コ ミュニ ティ が会 員 とな る。100 の コ ミュニ ティ が 融資 を受 け る。250 の事業 に 融資 。
藤井,安,高 橋,海 老塚,薬袋 : タ イ・バ ンコ クに おけ る低所 得者層 の居住 環境 整備 とUCDO の役 割 97年 ;!14名 の スタッフ 。634 の コ ミュニ ティ が会 員。 貯蓄 総 額1491万 ド ル (約15億5 千 万 円 )。貸 出総 額 は2711万 ド ル、 内7 割 は住宅 ロ ーン。 97 2 −3 . 融資 の内 容 融 資 を希望 する住民 は、組 織化 さ れた組 合 ・ コ ミュニ ティ を媒 介 す る こ とが求 めら れ、 次 の よう な条 件 (UCDO,1999 ) の も とにロ ー ンを受 ける。 ①原 則 とし て、25名以 上 に よ り貯蓄 組 合 ( コ ミュニ ティ また はグル ープ ) を形 成 す るこ とが 求 めら れ る。貯蓄 組 合 は5 人 以上 のメ ン バ ーに よ る委員 会を 設 置す る。そし て貯蓄 活 動 を最 低6 ヶ月 続け る と、 組 合 とし て認 めら れ、 基 金 から の低 利 融資 を受 け ら れる。 一 手 続 の簡素 化 ②融 資 限度 は貯蓄 総 額 の10倍 を限 度 とし て い る。この 額 は通 常 住宅 の建 設 に は不足 す るが 、UCDO と の契約 実 績を基 に 市中 銀行 か ら融 資 を う ける こと が可能 とな る。 一 公的 融資 に よ る信用 の 拡大 ③地 区の計 画 や施設 整備 はコ ミュ ニ ティ が 独自 に 開発計 画 を策 定 す る。 そ の際一 般 的 な宅 地 開 発規 制 は原則 とし て 除外 さ れる。 一 住民 主 体 の計 画策 定 基金 か らの 融資 は、 教育、 借金 返 済等 の 回転 ロ ーン(RevolvingFund )、 事 業 向 けロ ーン(IncomeGeneration )、 強 制 撤 去 に 対 す る 土 地、 住 宅 の 取 得 ロ ーン (HousingProject )、 住 宅 改 善 ロ ー ン (non-projectHousing) の4 つ のロ ーンが あ る (表1 )。UCDO の金利 は、イ ン フレ ー ショ ン に よる 年別 の金利 変 動 を考 慮 する とやや低 い 割合 とい える。 ロ ー ンご との金利 は、個 別 の融 資 の 方が グ ル ープ に対 する融 資 よ り も高 く なる よう に設 定し てい る。 強 制撤 去 に対 応し た土 地、住 宅 の取 得 ロ ー ンの場 合 は、融資 額 が6 千 米ド ル以 下 は3 %、そ れ以 上 は8 % で あ る。 組 合 (コ ミュニ ティ ) は、 市場 金利 にあ わ せて利 子 (2∼5 %) を上 乗 せ し、 融資 を申請し た住民 に分 配 する。上 乗 せ分 は、 コミ ュニ ティ の福 祉活 動、運 営 管理 費 、 開発 整 備費 とし て蓄 積 す るが、 返 済 が困 難 な会員 のロ ー ンを 肩代 わり す るこ ともあ る。 この た め返 済率 は高い。 近 年、 バブ ル経 済 破 綻 の影 響で ロ ーン の返 済率 が低 下 し、グル ープ か らの脱 退 も起 こ る よう に なっ たの で、UCDO で は信 用組 合 の組 織化 に際し 、返 済能 力 の確 認 作業 を強化 し てい る。 融 資 に際し て、 住宅 ロ ー ンの場 合 は取 得 対 象 の土地 お よび建 物 が担 保 とな るが、 そ の他 は組 合 ・ コ ミュニ ティ の保 証 と預 金通帳 が 担 保 となる。(一般 的 な市場 金利 は15% であ る が、通常 融資 が受 け ら れない 貧困 層 は、イ ン フ ォーマ ル セ クタ ー から 数十 % の高金 利 で融 資 を受 け てい る ケ ース もあ る) 表IUCDO の融資内容 融 資 の 種 類 UCDO の 金 利 会 員 の 金利 返 済 期 間 教 育 、 借 金返 済 等 の 回 転 ロ ー ン 10% 12一15 % 5 年 以 内 起業 、 所 得向 上 の ロ ー ン 8 % 10−13 % 5 年 以 内 強 制 撤 去 に対 す る 土 地 、 住 宅 の取 得 ロ ー ン 3 また は8 % 5 −13 % 15年 以 内 住宅 改 善 ロ ー ン 10% 12-15 % 15年 以 内 資料;UCDOUpdate1997
98 国際地 域学 研究 第3 号2000 年3 月 強制 撤 去 を受 け再定 住 地 を求 めて い る組 合・ コ ミュニ ティ で は土 地 ・住宅 取 得ロ ーン が優 先 す る が、 通 常 の融 資 は回転 ロ ー ン、所 得 向上 ロ ー ンから始 め、 次い で住 宅 関連 の融 資 を受 け るプ ロ セ ス を 経 る。土 地 ・ 住宅 取 得ロ ーン は、 住民 によ るコ ミュニ ティ の管 理 ・ 維持 や基 盤 サ ービ ス施 設整 備 の効 率 性 を考 慮し 、対 象 と する コ ミュニ ティ の規模 を、 原則 とし て100∼200 世帯 に設定 し て い る。 そ の際、融 資 額が100万 パ ー ツ以 上 の場 合 は、コ ミュニ ティ から2 名 、NHA か ら2 名 、銀 行 か ら2 名 、 専門 家1 名 、UCDO から2 名 で構 成 さ れる、 ロ ーン委 員 会 が審 査 する。 この ケ ー スに限 ら ず、UCDO はさ まざ まな事業 の 実施 に際 し 、対 応 する第 三者 的 な委 員 会 を設 立 し て 、 方針 を 決定 す るシ ステ ム を構築 し てい る。 土地 ・ 住宅 融資 に つい て は一歩 進 めて、 後述 す る よ うな コ ミュ ニティ グル ープ の ネット ワー ク組 織に貸 出 の権 限 を委 譲し 、分 権化 する 方法 を 検討 し て い る。 設 立以 来 、1998年 まで に、住宅 関連 融資 で187の事 業 を実施 し たが、これ は全事 業 数で みれ ば10分 の1 に 満 たない。 但 し 事業 規 模 が大 きい ので 、総 額 は融資 全 体 の3 分 の2 、約19.3億パ ー ツ に なる。 2 −4. 活 動 の新 たな 展開− ネッ トワ ー ク化1 ) 活動 の方向 につ い て ソ ムス ク事務 局 長 は、UCDO の活 動 とそ の方向 づ けに つい て「総 合的 な コ ミュニ ティ 開発 を 目的 とし てお り、 住民 の活 動 を支 援促 進 させ る事 務 機関で あ る。 そ の基 本的 な戦 略 は、 信 用貯 蓄 活 動 を 端 緒 として コミ ュニ ティ の組 織力 と自主 的 な運営 能力 を高 め るこ とにあ り、 融 資 は媒介(intermedi-ary ) に過 ぎ ない。 こ のた め コ ミュ ニ ティ 相 互 の連 携 を図 る ネット ワ ー ク化 に近 年 重 点 を 置 い て い る。」 とい う。UCDO の現 在 の活動 展 開、 特 に ネット ワー ク化 に つい て、 ヒ ア リン グし た内 容 を次 に示 す。 ・ コ ミ ュニ ティ の ネット ワ ー ク化 経 済 開発 、 都市 化 は、所 得 格差 を拡大 し、 貧困 層 が社会 的 な力 の基盤 (社会 ネ ット ワ ー ク、 適性 な情 報、 資 金 、 参加型 民主 主 義)に接近 す る機 会 を減少 させ る 傾向 にあ る。UCDO はこ うし た 動 き に対 症 療法 的 に対 応 す るので は な く、 根 本的 ・ 構造的 な 観点 から、 効 果的 で自 律的 な 持 続性 あ る開 発プ ロ グ ラ ムを作 り、 住民 を支援 し て い く必要 があ る。 各国 で 試 みら れて い るコ ミ ュニ ティ ネ ッ ト ワ ー クの組 織 化 は、 都市 貧困 層 が主 体 と なって 各 コミ ュニ ティ の連 合 ・協 同組 織 をつ く り、 さ まざ ま な目 的 の達 成 を運 動体 とし て 行 う もので 、同 時に 専門家 ・運 動家 、 市民 運動 団体 と も連携 す るこ とに よ り創造 的 で、 革新 的 な効 果 を発揮 で きる。 また ネッ ト ワー クに よるエ ンパ ワ ーメ ント は経 済 的 活動 や 開発 過 程に おい て も、 都市 貧困 層 とフ ォ ーマ ルセ ク ター との 間 をつ なぎ、 政 治的 に も関 係 団 体 と均 衡 あ る関係 を構 築 す るこ とに もな る。 同 じ地 域 や都 市内 ( なわ ばり ) で、各 信用貯 蓄 グル ープ を 結びつ け るコミ ュニ ティ ネ ッ ト ワー キ ング を支 援 す るこ とは、UCDO の重 要 な役割 で あ る。近年 新 た な活動 とし て、コ ミ ュニ ティ ネッ ト ワ ー ク基 金 を設 立し た。 これに より会員 コ ミュニ ティ に融 資 を行 って 、彼 ら 自身 の ネッ ト ワ ー ク形 成 の た めの 基金 づ くり を支援 し て い る。 ネ ットワ ー クは各 グ ル ープ の目的 と能 力 に応 じ て 組織 化 さ
藤井,安,高橋,海老塚,薬 袋: タ イ・バ ン コ クにおけ る低所 得者 層 の居 住環境 整 備 とUCDO の役割 99 れ、貧 困 層 のコ ミ ュニ ティ が 試 み るさ まざ まなプ ロ グラ ム に関連 し てい る。 こ れを通 し て、学 習 ・ 情 報活 動 、 経験交 流 な どを行 い、 フ ォ ーマル セ ク ターに 自立 的 に参 画 す る足 がか り を確保 す る こ と が で き る。 ネット ワ ー クの形 成 は、 最初 は小 さ く、 そし て ルー ズな 関 係を構 築 する とこ ろか ら始 め、 定期 的 な集 まり を持 ち、 そ れぞ れに 異な る コ ミュ ニ ティ を相互 に 理 解し つ つ そこ から 学び、 次 第 に組織 を 強化 し て、 協同 す る運 動体 へ と拡 大し てい き たい。 特 に貧 困層 に とっ て 、基 本的 な 居住 の 権利、 所 得 格差 の拡 大 への対 応、 強 制撤 去 へ の対 応 、 な どの社会 構 造的 な 課題 に対 応 し てい く に は、 個 別 の 取 り組 み で は限界 があ り、組織 的 な運 動 体 とし て行 動 する よう な ネ ット ワ ーキ ン グが不 可欠 であ る。 現 在 は、600以 上 の コミ ュニ ティ 信 用貯 蓄 グル ー プが全 国 各都 市で ネ ット ワー クを形 成 し てい る。 ・NGO な どとの協 同 他 のNGO な ど との協 同 は、人 的 資 源 の効果 的 な活 用、開 発プ ロ グ ラ ムへ の参 加 機会 の拡 大 など 統 合 的 なア プロ ーチ の た めに重 要 であ り、積 極的 に推 進し てい る。まず第 一段 階 とし てNGO に働 き か け、その 活動 を支 援 する。第二 段 階 で は、NGO が 核 となっ て各 地 区 コ ミュ ニティ や 、専門 家 、運 動 家 との連 携 を図 る。最終 段 階で はコ ミ ュニ ティ ネット ワ ークが 組 織 さ れる。NGO は行政 、学者 、民 間 団 体 と関 係し なが ら、 ネ ット ワ ー クの形 成・運 営 を支援 す る。 こ の過 程 でUCDO はNGO の支 援 や、ネット ワ ー ク、コ ミュニ ティ への 融資 を行 う 。融資 を受 け る側 で は、関 係者 によ る独 立し た ネッ ト ワー ク委員 会 を設 置し て運 営 を行 う。 こうし た ネ ット ワ ーク化 の推 進 に より 、 開発 に 係る関 係者 間 で の合 理的 で 、貧 困 層に も公平 な権 利 調 整 シ ステ ムの遂 行、 地主 も巻 き込 んだ話 し 合い の場 の設 定 、計 画 的 な住宅 ・ 住環 境 の整 備・ 開 発、 再定 住 に際し て の特 別 な行 政 政策 の 要求 、資 源活 用 訓練 プロ グラ ム の開 発、 バ ンコ ク都 か らの 一 括 事業 の請負 な ど多様 な運 動 が 展 開さ れ てい る。 ・環 境改 善プ ロ グ ラム1996 年 から デ ンマ ーク の国際 協力 機構 で あ るDANCED (DanishCooperationforEnvironmentandDevelopment )と協同 で、環 境 基金 とそ の運 用プ ロ グラ ム を作成 し た。 この基 金 は組 織さ れた コ ミュニ ティ ネット ワ ー クが 自 ら決 定し 、 専門 家 とと もに行 う環 境 整備 活 動(UCEA ) に当 てら れて い る。 環境 整 備活動 は可視 的 な運 動 とし て 、住 民 の参加 が 得 や すい 。 こ の ネット ワー クは、 開発 に 関 す るさ まざ まな課 題 を結 び つけ る 役割 を果た し、 各 コ ミュニ ティ の知識 や 経 験 の交 流 を通し て 、 組 織全 体 の強化 に つ ながっ て い る。2 年間 に お よそ200 の事業 、コ ミュニ ティ セ ンタ ー建 設、下水 事 業 、水 供給 事業 、架 橋 ・舗 装事 業 が、 比 較 的安 価 に遂行 さ れ た。1999 年 から は社 会投 資基 金(SocialInvestmentFund )と協同 し、 コ ミュニ ティ 会員 のセ ンタ ー的 な 役割 を果 たしてい るコ ミュ ニ ティ ネ ット ワ ー クが、 自ら 福祉 ・ 教育 ・ 医療面 での セ ーフ ティ ネ ッ ト を 開発 す る事業 を サ ポートし てい る。 ・UCDO の位置 づ けUCDO は むし ろコ ミュニ ティ ネ ット ワ ー クの組織 化 を支 援 す る媒 介的 役割 に まわり、実際 の事 業 の展 開 はコ ミュニ ティ の連 合 体で あ る ネ ット ワー ク自身 が 行 うこ とで 、自立的 な 活動 が可 能 に なる。
100 国際 地 域学研 究 第3 号2000 年3 月 政府 によ り設 立 され た組織 で は あ るが、 こ うし て ネット ワ ー クの活 動 支援 に回 る こ とで、 権 限 の 集中 化 、 官 僚制化 を防止 し、 貧 困 層 のコ ミュ ニ ティ をベ ース にし た自 立 や、 フ ォー マル セ ク タ ー と の連 携 を 促 進さ せ よう とし て い る。 すな わち フ ォーマ ル セク タ ー とイ ン フ ォーマ ル セ クタ ー と の間 に浮 い てい る状 態が現 在 のUCDO で あ る。 2) 住宅 コー ポラ ティブ ネ ット ワ ーク の事例 とし て、会 合の た めUCDO 事務 所 に来 所 し たKajpa さ ん(ス クス サ ク ット60 に居 住) から ヒ アリ ングし た。 彼 は自宅 で 縫製 業を 自営し てい る。18歳 で バ ンコ ク に来 て以 来 、35 年 に な る。 彼 の 住む地 区全 体 の土 地 所有( 取 得) 者 は30%、 その 中に はUCDO の 融資 によ り土 地 を 取 得し た者 もい る。UCDO の住宅 ロ ーン は3 % だが、その上 に5 % コミ ュニ ティ運 営 用 の利 子 が 加 算 さ れ てい る。 現在3 つ の組 織、 近 隣 コ ミュ ニティ 、 地域 コ ミュ ニティ 、 住宅 コー ポラ ティ ブ に 属し て い る。 地 区 全体 で約30 %の世 帯 はど の組 織 に も属し てい ない。 住宅 コ ーポラ ティ ブ は住 宅 確保 の た めの貯 蓄 グ ル ープ で 、彼 の地 区に居 住 す る700人 の 内102人 が会 員 となっ てい る。95年 に結 成 さ れ た コ ミュニ ティ ネット ワ ーク の一 種 で、 小単 位 の16の住宅 協 同 組合 が連 合し て、 中 間的 な連 合 体 を 組 織し 、そ の上 に センタ ー的 な 組織 が あ る。全 国で600 の同様 な グル ープが あ り、土 地 の取 得 や住 宅・ 環 境 問題 に取 り組 んで い る。 会 員 は200∼2000パ ーツ/月 を貯蓄 し て い る。 グル ープ へ の加 入 はラ ジ オ 放 送で も呼 びか けてい る。 3)3 つ のネ ット ワ ー クUCDO は政府 各機 関 の支 援 も得 て、理 事 会 の下 にコ ミュニ ティ 起 業 促進 委員 会 を設 置 し てい る4)。 委 員 会で は、 職業 訓練 プロ グ ラ ムの 開発 や 、 コミュニ ティ 起業 を支 え る職業 人 の 養成 を通 し て 、 コ ミュ ニ ティ を 単位 とし た起 業活 動 や、 その ネッ トワ ー ク化 を促 進し てい る。 現 在、 活 動 の展 開 に着 目 し て い るの が、小 売り販 売 の ネッ ト ワ ー ク、工芸 品 の ネット ワ ー ク、米 供 給 ネッ ト ワ ー クで あ る。 流 通 の 中間 過 程 を排除 し、 直接 消 費者 とつ な がる ことで 価格 の引 き下 げや、 品 質 の保 証、 市 場 で の 生 産 の拡 大 を めざ し てい る。 ・RomkraoZone8 の 小 売店 の ケ ー ス 協 同運 営 に よ る小売 店が 、NHA に よ り住宅 建設事 業 が 実施 さ れたLatKrabang 地 区で 活 動 し て い る。 コ ミュ ニ ティ 信用貯 蓄 を利 用し て、当初 資 金2.5万 パ ーツ に、UCDO か らのロ ー ン25万 パ ー ツ を加 え て建 設 さ れた。こ の試 みに はコ ミュニ ティ の50名の 会員 が10パ ー ツづ つ株 を購 入し 参 加し てい る。 会員 よ り選出 さ れた5 人 か らな る委員 会 が 実 際の運 営 を行 い 、2人 の店 員 を雇 用し て、8ヶ月 で4.2万 パ ー ツの利 益 を計 上し 、5年間 のロ ーン の半 分 を返 済 す る実績 を上げ てい る。現 在販 路 の拡 大 を求 め て、 新 た な場 所 に倉 庫 を建 設 す るた め、UCDO にロ ーン を 申請し てい る。 ・バ ンコ クコ ミュニ ティ工 芸 セ ン ター 当 セ ン タ ーは5 つ の コ ミュニ ティ の連合 に より設 立 され た。 こ れに よ り、各 コ ミ ュニ ティ に よ る 一一
藤井,安,高橋,海老塚,薬 袋: タ イ・バ ン コ クにお ける低所 得 者層 の居 住環境 整 備 とUCDO の役割 101 直 接的 な生産 と販 売 、価格 の安 価 な 設定 、NGO 、政府機 関 へ のネ ット ワ ー クの拡 大、小 規模 な コ ミュ ニ ティ企 業 のフ ォ ーマ ルな 市場 で の展 開 が可 能 に なっ た。 ・ コ ミュニ ティ米 (rice) ネッ トワ ー ク 米 ネ ット ワ ーク で は、 農 家 から 卸 売 り価 格で 米 を購入 し、 適 切 な 価格 で会 員 へ販 売し て い る。 ト ンブ リ 地 区のPranakornThonburi 協 同 グ ル ープ は12のコ ミ ュニ ティ から構 成 さ れ、 住 宅建 設 や、 職業 開 発 に従事 し てい るが、同時 に米 の販 売 も行 っ てい る。国 際NGO から の7.5百万 パ ーツ と会員 に よる百万 パ ー ツの貯蓄 を基 に、ネ ット ワ ー クが組織 化 さ れた。回転 資 金1.8百万 パ ーツ をUCDO か ら借 りて い る。 居住 環 境 の整 備 は、「居 住」 とい う生 活 基盤 に 関わ る基 本的 な課 題 で あ るが、 スラ ム・ス ク ウオッ タ ー住民 に とって 、 日常 生活 全般 の維 持・改善 というプ ロ セ ス の中で は、 選択肢 の一 つ に 過 ぎない 。 現 実 に可 能性 の あ る、必 要性 の高 い課 題 か ら、主 体的 に取 り 組 みを始 め るとい っ た運動 的 な展 開 を、 そ こに みる こ とがで き る。 さ らに、 グロ ーバ ル化 する市場 に対 し、 地 域社 会 ( コミュ ニ ティ ) の自 前性 に依 拠し た協 同 組合 ネ ット ワ ー クを 構築 し、 自立 的 な社 会 ・経 済 システ ム を埋 め込 んで い く試 み は、 世 界共 通 に現 象し てい る今 日的 な 運動 (コ ミュニ ティ ビ ジ ネス、 市 民起 業、 域 内通 貨制 、 生 活者 ネッ ト な ど) と共通 す る点 も多 い 。 3 。 居 住 環 境 整 備 事 業 の 事 例3 −1.Prakasa コ ミュ ニテ ィ (Samat-Prakarn 県 ) 一強 制撤 去 に より4 地 区 からの 移 住者 を中 心 とし た再 定 住事 業。1 ) 地 区の 概要 バン コ ク市郊 外、工 住地 域 の外 縁部 に位 置 す る。土地 は沼地。 地 区面 積3 ライ(1 ライ =1400平 方 メ ート ル)、全 体 で43区画 の敷 地割 。土 地 は協 同 で地 主 から購 入 し た。現 在地 区 のお よ そ半分 の 区画 でU 字型 の ミニ 開発 が行わ れ てい る。土 地 の造成 や基 盤 サ ービ ス施 設 の整 備 は未 完成 の状 態 であ る。 区画 を特 定、基盤 を整備 し た 後、各戸 で 住宅 を建設 して き た。土 地 代 の総 額 は3.2百万 パ ー ツで あっ た が、 購入 に 際し ての 資金 はUCDO の土 地、 住宅 取 得ロ ー ン を利 用し た。 2) 強 制撤 去 の状況 以 前 の地 区 から の移 住者 な いし 移 住予 定 者 を示 す( 表2) 。 各地 区 から 移住し て きてい るが 、 さ ま ざ まな理由 か ら別 の スラ ムに 移っ た者 も多 い。 ス ラム の解 体化 の様子 もう かが える。 3) 住宅 建 設 の経緯 撤 去を受 けた4 地 区の 住民 は、1991年 に援助 機 関であ るCUCD (CenterofUrbanCommunityDevelopment) から、 移 住希望 者 の 組織 化( 貯蓄 組合 )につ い て指 導 を受 け、 さ ら に移住 先で あ る土 地 を 数 ケ所 紹介し て もらっ た。CUCD は、ス ラム 改善 にお け る先 駆的 な事業 で ある クロ ント イの ラ ンド シェ アリ ングに も参加し 、 現 在同 様 に34のコ ミュニ ティ と関 係し てい るが、 このプロ ジ ェクト
102 表2 移 住 の状 況 国 際 地域 学研 究 第3 号2000 年3 月 従 前 の 地 区 名 と 戸 数 当 該 地 への 移 住 戸 数 ラ マ3 世:67 戸 15戸 : 私有 地 か ら の 撤 去 、 補 償 金 (15000 パ ー ツ/戸 ) サ マ キ ナ イ(SamaKiNai ):91 戸 6 戸 ; 私 有 地 か ら の 撤 去 、 補 償 金 等 に つ い て 現 在 交 渉 中 ス ツク ン ビ ツト101,55 ;80 戸 6 戸 ; 私 有 地 か ら の撤 去 、 補償 金 あ り ト ン ス ー(TonsSuk):90 戸 10戸 : 公 有 地 か ら の 撤 去 、 補 償 金 はな い ヒアリングよI)(1999.9.22-28) で はUCDO と貯蓄 組 合 との媒 介 的 な役 割 を果 たし てい る。 具体 的 な 移住 場所 に つい て は、 今後 道 路建 設 が予定 さ れて い ない(強 制撤 去 がな い)3つ の候 補地3 に絞 っ て、土 地 局 (DepartmentofLand ) に相 談 を もちか け、1992年 に土 地 を取 得し て い る。 道 路 の配 置 等 の計 画 案 は1996年、 建 設 コ ンサ ルタ ント のアド バ イ ス を得 て住民 リ ーダ ー が作 成 し た。 当初 は60戸 が移 住を 希望 し てい た が、 交渉 期 間の間 に 次第 に減 少し て43戸 に なっ た。 現 在 そ の内15 戸 が住 宅 が建 設し て い る。 他 の世帯 は毎 月 開 かれ るUCDO に よ る住宅 建 設 の貯 蓄 組 合 の会 合 に は 参加 し て い るが、 仕 事の 関係 や 、 資金 的 な問題 か ら以 前 の スラム地 区の周 辺 や別 の地 区 に住 む。 4) 事 業資 金 土 地購 入 の頭 金 は30万 パ ー ツで、各世 帯 当 た り4400パ ーツ を支払 っ た。事 業 資金 はUCDO や そ の 他 の 団体 か ら融 資 を受 け た。 融 資 額 は土 地代 と造 成費 を含 め て5 百万 パ ー ツ(上 地3 百 万 、 造 成費2 百万 )。土 地 代 は15年 のロ ーン。 返 済金 は戸 当 たり850パ ー ツ/月 で、1992年 か ら返 済 を開 始 し てい る。 返 済 が 困難 な者 に つい て は、 他 の者 が立 て替 え るな どし て、 コ ミ ュニ ティ 全体 とし て は契 約 通 り 返 済し て い る。建物 建設 費 は平 均 し て3 万 パ ーツ/戸 にな るが 、一部 の世帯 は2 年 間 のロ ーン を組 み、1500パ ー ツ/月 のロ ーンを 返 済し てい る。 5)課 題 入 居当 時 、道 路 はな く大 変不 便 で あっ た。 整備 さ れた現 在 の道 路 も未舗 装で あ る。 移 住 者 や移 住 予 定 者 の収 入 は約 半数 が7000パ ー ツ/月、 残 り の半数 が2000パ ーツ/月 で、 ロ ーン返 済が困 難 な世帯 も多 く存在 す る。 彼ら はコ ミュニ ティ 維 持代 とし て200パ ー ツ を負担 し てい る。 そ の 内訳 はCUCD と の会 合代 に100 パー ツ、 コ ミュ ニ ティ の 維持 に100パ ーツで あ る。 住宅 等 の整 備・ 建設 に は他 か ら もロ ーン を借 り てい る。住宅 建 設費 は各世 帯 の資産・所 得状 況 を反 映し 、20万 パ ー ツ の戸 建 か ら1 万 パ ーツ の仮 設的 な住宅 まで差 が大 きい。 既 述 の よう にUCDO の 融 資 を受 け る た め貯 蓄 組 合 を 組 織 化し てい る が、 今 後さ まざ まな事 情 か ら家 を建 てら れない 住民 も出 現 す る可能 性 が あ り、 そ の場 合 連 帯 責 任 制 の維 持 が課 題 とな ろ う。 また立 地条件 か ら は、 土 地 の転 売 も起 こ りう る。
藤井,安,高橋,海老塚,薬 袋: タ イ・バン コ クに おけ る低所 得者 層 の居住 環境 整 備とUCDO の役 割 103 3 −2.Nakprioon 地区 (Prakarn 県 ) −UCDO の土 地 、住 宅取 得 ロー ンを利 用し た再定 住 地 の建 設1 ) 地 区 の概 要 バ ン コ クの郊外 、Prakasa 地 区の 近 く、 工場 地 区 の外 縁 に位 置す る。 強 制撤 去 を受 け た166世 帯 が、UCDO の 信用貯 蓄付 ロ ー ンを利 用 し つつ 、フライ の土 地 を購 入し 、 現 在146戸 の共同 住宅 を建設 中で あ る(図3 )。 旧 地区 で は3 百世 帯 が 居住 し てい たが、1992年 から1994 年 にわ たっ て、強制 撤去 を受 けた。その 内99世帯 が ま と まっ て再 定 住 を決 定し 、33km 離 れ た当 地 に移 住し て きた。 そ れ に他 の地 区 か らの 住民 も加 わっ て 農村 住宅 組 合(HousingCooperative )を 結成 し、1994年、166世帯 の 住宅建 設 に着 手し た。彼ら は まず、組合 グル ープ の活 動 拠点 とな る事 務 所 兼 コ ミュ ニ ティ ホ ール を先行 し て建 設 し てい る。 組合 事務 所 に は専 従 の スタ ッフ が3 名、 彼 ら の 平均 収 入 は1 万 パ ーツ/月 であ る。組 合 の運 営 に は住民 の ボ ラン ティ ア も参 加し て い る。現在48戸 が 完成 し、 他 は建 設中 で あ る。 2)UCDO の住宅 ロ ー ン 土 地 購入 費 用 は約2 千万 パ ー ツ、総 建 設 費 は約6.5千 万 パ ー ツで あ る。 組 合 はUCDO よ り4 千 万 パ ー ツの融 資 を受 けた 。 その 内訳 は土 地 代2 千 万 パー ツ(3% のUCDO 利 率+5% の組 合利 率)、 建 物2 千 万 パー ツ(8 % のUCDO 利 率 +2% の 組合利 率 )で あ る。 住宅 建設 費 は、平 均 敷地15 ワ ー(1 ワ ー=4 平 方 メート ル )の場 合 、戸 当 た016 万 パ ー ツ(建物 )十 図3.Nakprion地区
104 国際 地域 学 研究 第3 号2000 年3 月 17万 パ ー ツ(土 地) となる が、 組合 員 はそ の 】割 程度 を自己 資 金 よ り支 出し、 残 り は組 合 を通 し て 借 り てい る。 組 合ロ ー ンは平 均3100パ ー ツ/月 で15年 間 の期 限 であ る。 3) 課 題 住宅 組 合 の活動 は、 共同 住宅 の計 画 的 な建 設 や事 務所 の 運営 方 法 に見ら れる よう に、 組 織化 さ れ て い る。 移 住に際 し て住民 は通常 、 大 きな生活 上 のリ ス クを負 う こ とに なるが 、 そ の際 リ ーダ ー の 指 導力 の与 える影 響 は計 り知 れない ものが あ る。こ のコ ミュ ニ ティ で は、組 合 の利 子 率 に着目 し て、 外 部 から も約20名 が 預金し てお り、 また住宅 建 設労 働者 とし て、一 部 の住 民 の働 き場 所 を確保 し た り、会 合 に住民 を積 極的 に呼 び 込 んで 意識 化 を図 るな ど、 ソフ ト面 で のコ ミ ュニ ティ 形 成 に も配 慮 し てい る 様子 か ら全 体 とし ての まと まりが う かが える。UCDO の支 援 を受 け た活 動 が、順 調 に運 ん でい る ケー スであ る。 し かし 現 在建 設中 で あ るた め、 まだ 住宅 を 確保し て い ない 住民 も多 く、 こ の こ とが 今 後 の組合 運営 の不 安 材 料 とい え よう。また、バ ン コ ク市内 で のNHA のサ イト ア ンド サ ー ビ ス に よる 開発 で は、事業 実施 後8 ∼10 年 の間 に 移住世 帯 の所有 し てい た 区画 の20∼60% が、コ ミュ ニ ティ 活 動 とは無縁 な、よ り高い 所 得 階 層の 所有 に代 わっ てい る2 )こ とか ら、建 物建 設 後 の転 売 や土 地 の転 売 の可 能性 も指摘 で き る。 3 −3.Tungkru 地 区 (バ ン コ ク都) 一地 区の 中 に8 戸 がUCDO の土 地 取 得ロ ーン で土 地 を確保 し、 住 宅 を建設 中1 ) 地 区 の概 要 バ ンコ ク都 心 か ら南東 に1 時 間 程度 の時 間距 離 にあ る。地 区 面積32 ラ イ。64戸 、134世 帯 、約5 百 人 が居 住 し てい る。地 区 の半 数以 上 の 住戸 が 河川 の水面 上 にあ る。 内16戸 の み水 道 が敷 設 さ れて お り、 他 の 家で は水 を買 っ てい る。 河 川 水 は飲料 水以 外で すべ ての世 帯 が日 常的 に 使用 し て い る。 地 区の リ ーダ ーで あ るド ウン デ ンさ ん(64歳)に よる と、「80年 前 に は2,3軒 が河 川沿 い に居 住 す る の み で、 当時 は畑 地 や水 田 が周 辺 にあ る裸 地で あっ た。以 降次第 に移 住者 ( 強制 移住 者 も含 む) が 増加 し て きた。 市 街 地 の拡 大 と と もに 冠水 す る こと も多 くな り、 河川 も汚 濁し て き た。」 とい う。1981 年 に 市当局 への働 き かけ に より 、河 川 に沿っ た地 区 の通 路 と な る橋 が建 設 さ れた。80 年 代 に は公共 施 策 とし て、オ ンサ イト の スラ ム改善 の ため住民 の組 織化 が行 わ れるよう にな るが 、1985年 、 衛 生局 か らド ウン デン さ んに地 区 のリ ー ダ ー とし てコ ミュ ニ ティ を ま とめる よう に依 頼 が あっ た。 地 区最 大 の課題 は河川 の 汚濁 に よ る環境 衛生 の悪 化で あ った。 そ こで コ ミュニ ティ で は 河川 の 汚 濁 を緩和 するた め、 市 のご み運 搬船 の巡 回 に合 わせ、総 出 で清 掃作 業 を行 っ てい る。 住宅 は、64戸 の 内半数 が持 家 で、 建 設費 は約20万 パ ー ツ(土地 十建物 )。 借家 は地代 が200 バ ー ツノ ワ ー/月 で、セルフ ヘ ルプで の建 物 建 設時 に5 千パ ー ツ支払 う 。住民 の持 家 取得 の 意欲 は 強 いが 、こ れ以 上 の土 地売 買 につい て は、 土地 所 有 者側 が難色 を示 し てい る。 理 由 は、 彼 らが地 価 の上 昇 を 組 み込 んだ 高度利 用 を図 るた め、 地 区 に近接 する集 合住宅 の類い の建 設 を独自 に検 討し て い る こ とに よ る。
藤井,安,高橋,海老 塚,薬袋 :タ イ・バン コ クにお ける低所 得 者層 の居 住環 境整 備 とUCDO の役割 105 2)UCDO の土 地取 得ロ ー ンに よ る 住宅 建 設 地 区 内 に、親戚 関 係にあ る8 世 帯 が ま と まって グル ープ を 結成 し 、土 地 取 得ロ ー ンを利 用し つ つ、8 区 画の 土地178 ワ ーを 購入(22 ∼24 ワ ー×8) し た。8 軒 は自己 資 金24万 パ ーツ と、UCDO から の融 資101.6万 パ ー ツで土 地 を購 入し て い る( 図4) 。 土 地 購入 費 の合 計 額 は126.5万 パ ー ツ、ロ ーン は1060∼1200パ ー ツ/月/戸 で、返 済期 間 は15年 間。8 戸 全体 で 約8 千パ ーツ/月 を直 接UCDO に返 済し 、残 りの480 パ ーツ/月 をコ ミュニ ティ の活 動 資 金 とし て返 済し てい る。 こ れ ら全8 区 画 は水面 下 にあ る。 現 在1 戸 が完 成、1 戸 は人 工 土 地 と な る基盤 部 分 を 構築 済で あ る。他 の6 区画 で建 設が 進 まな い の は、資 金 不足 に よる。彼 ら は景気 が よ くなっ た らUCDO よ り融 資 を受 けて、 建 設 を進 め る予 定 で あ る とい う。 3) 課題 各戸 と もト イレ は筒状 の容 器 を埋 め 込 んで冠 水 を防 止し てい る との説 明 であ った が、 汚濁 し た水 面上 とい う劣 悪 な環境 の中 で 住宅 が 建 設中 で あ る。居住 環境 面 か ら みて 適切 な場 所 か どう か、といっ た地 区全 体 の環境 に対 す る評 価基 準 の 設定 が課 題 であ る。UCDO の融 資事業 とし て も、・融 資 条件 との整 合性 、・事 業認 定 につ な がる 環境 評 価、・多 数 を占 め る建 設 待 機中 の世帯 (困 窮 層) へ の対 応 な ど、事 業基 準 の検 討が 必 要で あ ろ う。 また地 区内 で の部 分的 な 開発、 し か も親戚 関 係 の一 団 に よ る事 業 が 、 コ ミュニ ティ 全体 の 社会 関 係に 及 ぼす 影響 も無 視で きない もの があ る。 一 一 之 | 図4.Tungkru 地 区
106 国 際地 域学 研究 第3 号2000 年3 月 都 心 か ら比較 的近 い とい う立 地 条件 もあっ て、 開発 圧力 が 高 まる こ とも十 分考 えら れる 地 区で あ り、安 定 し た居 住 を確保 の た め に土 地 取 得 を希望 する 住民 と、 独 自 に高 度利 用 を図 ろ う とす る土 地 所 有者 と の調整 も課 題で あ る。 3 −4.ChalongKrung 地 区 (ナ ンチ ャ オ バン コ ク) −NHA に よる再 定 住地 の サ イト ア ンドサ ービ ス事 業1 ) 地 区 の概 要 バ ン コク都 心 から 時間 距離 で 約1 時 間半 の 郊外地 に位 置 する。 住民 の30% は都 内で 働い て い る。 彼 ら の平均 収 入 は約3500パ ーツ/月。残 りの70% は失業 中 の者 が多 く、地 区 内 で働い てい る者 は少 な い 。交 通 が 不 便な た めに主 婦 は内 職 をし てい る。内 職先 につい てはNHA な どが職 を 紹介 し 、当 初 金 とし て 材料 費 を出 資し て いる。 地 区 は強 制撤 去 に対 応し た 再定 住 地 とし てNHA が サ イト アン ド サー ビ ス事 業 に よ り整 備 し た。 高 速 道 路 の建 設 に 伴 う 撤 去地 区 な ど、20 地 区 から 移 住 し て き て い る。 現 在 信 用 貯 蓄 グ ル ープ がUCDO に よ り組織 さ れつ つあ る。1996 年 から基 盤整 備 とと もに移 住 を開 始し た。 全体 は約4 千 区画。 移 住先 の 区画 は旧 地 区 コ ミ ュ ニ ティ ご とに ま と まっ て、 抽 選 によ り決 定し た。 現在1060戸、 約4 千 人 ( うち 未成 年 約1200人 ) が 居 住。 残 りの区 画 も既 に成 約 済 みで ある。 各 区 画の規 模 は平均 し て20 ワー であ る。 2) 事 業 内容NHA に よる サ イト ア ンド サ ービ ス 事業 で、 住宅 は 住民 が 自 ら 建 設 す る。10年 間 で 土 地 名 義 がNHA か ら 居住 者へ 移 るリ ー ス形 式 (rentalpurchasescheme )で あ る。 土地 代 は区 画面 積 が20 ワ ー の場 合、頭 金 が12千 パ ー ツ、返 済 す るロ ーン は1750パ ーツ/月 にな る。郊 外地 で職 場 か ら離 れた 立地 条件 にあ る た め、通 勤費 が 嵩 むこ と や、 周辺 で は適 当 な仕 事先 が 限定 さ れて い るこ とな どか ら、 経 済 的 に ロ ーン 返 済 が困 難 な 世帯 が 圧 倒 的多 数 を占 めて お り、10 ヶ 月 か ら3 年 間 の延 滞 者 は 実 に約95 % に上 る。NHA は現地 に関連 会 社CEMCO を設置 し て、 地 区の 整備 や、 ロ ーン の返 済業 務 を委 託し てい る。他 にNHA に よ る賃 貸住宅 もあ り、賃 貸料 は450パ ーツ/月。住宅 の建 設費 は土地 代 を含 め て、 平均 約23万 パ ー ツで ある。 3) 貯蓄 組合1997 年 か ら当 地 区内 に、住 宅建 設 、生 活 再建 な ど、生 活環 境 改善 全 般 の向上 を 目的 とし て 、貯 蓄 組 合 が 新 た に組 織化 さ れて い る。 会員 は現 在265人、 貯蓄 高 は60万 パ ーツ に なる が、 こ れ を もと にUCDO から事 業資 金 の融 資 を受 け てい る。組合員I 人 当 た り百 パ ーツ/月 の貯 蓄 を行 い、余 裕 の あ る 者 は2 百 パ ーツ/月 を貯 蓄し てい る。組 合 の運 営 は比較 的柔 軟 で、貯 蓄が 困 難 な者 につ い て は期 間 を 延長 し て い る。このた めかメ ンバ ーの約30 %が滞 納し て いる。UCDO に とっ て、滞納 に よる 返 済不 能 は 組織 運営 上 の基幹 的 な課 題 であ るので 、問 題の あ るコ ミュ ニ ティ の再点 検 作業 を行 っ て お り、
藤 井,安,高 橋,海 老塚,薬袋 : タイ・バ ンコ クにお ける低 所 得者層 の 居住 環境整 備 とUCDO の役 割 今後 は当 地 区で も組合 コ ミュニ ティ に対 す る指 導 の強化 が予 想 さ れ る。 107 4)課 題 郊 外地 に建 設し た再定 住 用 の地 区で あ る が、 ス ラム に居 住 する低 所 得者 層 に とっ て は、遠 隔地 で 雇用 先 の確保 が 困難 であ る こ とか ら、 生計 手 段 が決定 的 に不 足し てい る。 し た がっ てロ ー ンの返 済 が困 難 な居 住者 が圧 倒的 な状 況 にあ り、こ のこ とはNHA の事業 展 開 に打撃 を 与 えてい る。サイト ア ンド サ ービ ス事業 に共通 す る課 題 であ るが、 遠 隔地 で の再定 住 につ い て は、 ト ータル な生 活 の場 ・ 基盤 を確 保 す る観点 か ら、 雇用 の 創出 も同 時 に 計画 に盛 り込 む必要 が あ る。 またNHA も、当初 か ら都 市居 住政 策 の一環 とし て、強 制撤 去 の受 け 皿 用に再 定 住地 を 確保し た経 緯 か ら、 採 算ベ ー スで の事業 計 画 を十 分詰 めて こ なかっ た と推 測 さ れる。 地 区の大 半 が空 地 の状態 で ある 現状 か ら、 今 後 都市 域 の拡大 に とも ない、 移 住者 か らよ り高 い所 得 層 への所 有 移転 が進 む こ とも予 想 さ れる。 道 路 な ど生 活 基盤施 設 の整 備 は建 設途 中 であ り、整 備 さ れた 施設 の 維持管 理 も十 分 な状 態で はな い。4. ま と め 1)低 所 得者 層 のコ ミ ュニティ 活 動 と居 住環境 整 備 紹 介し た4 つ の事 例 はUCDO の居 住 環 境 事業 の一部 に過 ぎ ない が、 各 事 例ご とに コ ミュニ テ ィ の状況 に対 応し た さ まざ まな関 わ り方 が みら れる。 基準 となる 整備 マ ニ ュア ルが 明 確で ない 中で 実 現し た 住環 境で あ り、既 述し た ようさ まざ ま な課題 を抱 え てい るが 、 調 査側 に とっっ て は こうし た 指摘 が どの よう な立 場 から、 どこ に向 っ て発 する かとい っ た、 現場 との 「関 係性 」 を常 に意 識し て お く必 要 が あ る。 そ れ は調査 が 今 後 現場 に ど の よ う に生 かさ れ る か とい っ た問 い か け と直 接 つ な がっ てい る。 強 制撤 去 を受 けた 住民 に とっ て は、建 設 され た居 住地 が その時 点 で考 えら れる現 実的 な可 能性 を追 及し た結果 で あ り、 また現 在 も自力 によ り建 設途 上 の状 態 であ る。 こ うし たプ ロ セ ス を共 感 す るこ とが まず求 めら れて い る。 低所 得 者層 の コミ ュニ ティ活 動 と居 住環 境整 備 との関係 を示 す( 図5 )。 経済 の基 盤を 基本 的 に イ ン フ ォ ーマル セ クタ ーに依 拠し 、 都市 雑業(露 天商 、修 理工 、 路上 飯 屋、 家 政 婦、運 転 手、 縫製 業、 廃品 回 収業 等 ) を生計 とし て スラ ム ・ ス ク ウオ ッタ ーに居 住 する 住民 に とっ て 、個々 の世帯 単 位 で の活動 (Friedman,1995 ) や 地域 的 活 動か ら な る コミュニ ティ 活 動 が果 た す役 割 は大 きい。 その 内 部 で はモ ノ のや り とりな ど互 酬性 と特 徴 とす る相 互扶助 的 なモラ ル エ コ ノミ ーが存 在し 、 協同 活動 とし てさ まざ まなグ ル ープ 貯蓄 が行 わ れて い る。 居 住環境 の 整備 も、基 盤整 備 へ の参画 や、 家 族 、 近 隣 に よる セル フヘ ルプ型 の 住宅 建 設 に見 ら れ る よう に、 コミ ュニ ティ 活 動 の一環 とし て 組 み込 ま れてい る。 都市 経 済活 動 の主 流で ある フ ォ ーマ ル セ クタ ー から は、 産 業構 造 の再 編 に よる包 摂化 、 小企 業 や 自 営業 の解 体、 強制撤 去 を伴 う空 間 の 更新 など市 場 を通し た圧力 が 、常 にイ ンフ ォー マ ルセ ク ター に向 けら れ てい る。 他方 イ ンフ ォ ーマ ル セ クタ ー は、 フ ォ ーマ ルセ ク タ ーに対 し 独自 の 雇用 創出 ダ
108 グロ ー バル な 世界 都 市 活動 国 際 地域 学研 究 第3 号2000 年3 月 図5. 低 所 得 者 層 の コ ミ ュ ニ テ ィ活 動 と居 住 環 境 整 備 コミ ュニ テ ィ 活 動 サ ポ ート 活動 福 祉 民 間 資金 参考 ;JohnFriedman.EMPOWERMENT.1995 イ ナ ミ ズム を有 し、 都市 システ ム に不 可 欠 のサービ スを提 供し てい る。 世 帯 単位 の 小規 模 経 営 、 セ ル フ ヘル プ に よる住宅 の建設 、 コ ミ ュニ ティ 内で の自 家消 費的 な流通 といっ た特 徴 を有 し て お り、 地 域 コ ミ ュニテ ィ とし て自 律的 な シ ステ ムを 内包し て い るが、 反面 市 場 にお い て労 働力 再生 産費 用 の押 し下 げ 要因 とし て働 き、 イン フ ォ ーマル セ クタ ーを垂 直的 な枠組 みの中 に封 じ 込 め る要 因 と も なっ てい る。 こ れ に対し 、 コ ミュニ ティ の組 織化 に よ るグル ープ セ ービ ン グを対 象 とし たマ イ クロ クレ ジ ット は、 スラ ム ・ ス クウオ ッタ ー住 民 の生 活全 般 の向上 を、 住民 自体 が選 択的 に実現 す る手 段 を提 供 す る とと もに、 コ ミュニ ティ の集 合 とし て のパ ワーや 連帯 責 任 を担保 に、 市場 金利 に 準じ た融 資 シ ス テム を取 り込 むこ とで、 自 ら をフ ォーマ ル セ クタ ーに重 ね合 わせ る とい った二 重 の 意味 を もつ。 ス ラ ム住民 に とっ て、 こ のよ う なマ イ クロ クレ ジット は自立的 なフ ォーマ ル化 の手 段 とし て、 大 きな 可 能 性 を有 す る。 強 制 移住 を受 け る以 前 か ら、事 例に紹 介し たスラ ム・ス ク ウオ ッタ ーで はUCDO の融 資 を受 け土 地建 物 を購 入 する ため に、貯 蓄 組 合が 作 ら れてい た。 こ うし た地 域活 動 とし ての グ ル ープ セ ービ ン グ は、強制撤 去 へ の対 応 を はじ め とし て、さ まざ まな生 活向上 機会 に対 応 す るた めの必 需 的 な コ ミ ュ ニ ティ 活動 となっ てい る。ロ ンチ ョ ン地 区 からChalongKrung 地 区 へ移 住し て きた 住民 によ る と、
藤井,安,高橋,海 老塚,薬 袋: タ イ・バ ン コ クにおけ る低所 得者 層 の居住 環境 整備 とUCDO の役 割 109 旧 地区 に は10の貯蓄 組 合が あ り、 宮 沢 フ ァンド へ申し込 もう とし て い る。 こ のフ ァンド を得 て 、子 供 の奨 学金 や 疾病 者 への援 助、 健康 セ ンタ ー の設 立な ど に活 用 する こ とを期 待 して い る。 こうし た フ ァンド の取 得に つい て、 日 常生活 をベ ース にし た地縁 関 係で 申 し込 むとな かな か意見 が ま とま ら な いが 、貯 蓄組 合(コ ミュ ニ ティ )は 組合 員 の ネ ットワ ー クで構 成 さ れ るので 、規 模 も広 が りア ピ ー ル効 果 も大 きいの で要 求 を実現 し や すい とい う。 この意 味 で貯蓄 組合 ・ コ ミュニ ティ はア ソシ エ ー ション 的 な機能 を 有し てい る。 2)UCDO に関 わ る課題UCDO は当初 、組 織化 さ れ たコ ミュニ ティ に よる貯蓄 組合・グ ル ープ を支 援 す るた め、 具 体的 な 手段 として 個別 の固 定 さ れた融 資 を、 会 員 とな っ た個別 の ス ラ ム地 区や 住民 を対 象 に行っ て い た。 そ の後 、NGO など民 間組 織 の拡 大 や、 スラ ム 住民 の組 織化 の進 展 な どバ ン コ クの経 済・社会 構造 の 変化 とと もに、 他団 体 との 援助 活動 と も連携 し た コミ ュニ ティ の協 同 的管 理 ・運 営や 、 そ のネ ット ワ ー クの組 織化 に重 点 を移 し てい る。 グロ ーバ ル化 す るフ ォ ーマ ル セク タ ーに対 し、 コ ミュ ニ ティ に依 拠 し た協 同 組合 型 のネ ット ワ ー ク を埋 め込 む こ とで 、 ス ラム コ ミュニ ティ が 自立 的 な社 会 参画 を図 る運 動 を支 援 する、 媒 介的 な役 割 を担っ て い る。 また、 政府 基 金 を基 にし た公 的施 策 に よる統 合型 マイ クロ クレ ジ ット の性 格 と、社 会変 革 の た め の運 動 体的 な性 格 の両面 を 持っ て い る。 従っ て 政 府機関 を通 し た さ まざ まな 支援 施策 を組 み込 む こ とが可 能で あ る反面 、財 政 基盤 を政 府に 依存 し て いるた め、 自 立的 な組織 運 営 を行っ て い る とはい え、 政府 のス ラム対 策 に影響 を受 け ざ るを えな い状 況 にあ る。 こ の こ とが、 個別 の事 業 に関 係 す る 団体 や 住民 か らみ たUCDO の評 価 に微 妙 な影 響 を与 えて い る。 調 査 の過 程で も確認し た が、UCDO は当 面 す る課 題 とし て(UCDO,1999 )、 次 の4 点 をあ げ て い る。 ① ロ ー ンが 最下 層 の住民 に 届い て い ない。 返 済 能力 を高 めるた め の コ ミュニ ティ に よる担 保 条件 が 最貧 困 層の 居住 者へ の融 資 を困 難 にし て い る。 ② コ ミュニ ティ 組織 に よ る運 営 能力 や知 識 の不足 から、 広範 な 参加 が得 ら れてい な い。 依然 ト ッ プ ダ ウン型 の事 業 展開 が継 続 して い る。 ③実 績 を あげ るた めに促 進 し た、 短期 間 の準 備 に よる 信用貯 蓄 組 合形 成 と これ に基づ い た融 資 の 実施 は、 コ ミュニ ティ に よ る返 済・ 管 理 を困難 にし てい る。 ④居 住環 境整 備 事業 の実 施上 の課 題 とし て、 インフ ラ な ど公 的 施 設 の整備 不 足、 住民 の 負担 を超 えた 過剰 な整 備 の実施 、事 業 運営 能力 の不 足、 再 定 住地 への 移住 の遅 れが指 摘 さ れる。 ①、② に関 連し て、NGO や 地 区 コ ミュ ニ ティ の間 に は、現場 の固 有 の状 況 から得 ら れ る課題 を十 分 に把 握 し ない現 状 へ の批判 が あ る。UCDO が 進 めて い る ネッ ト ワ ーク化 (Somsook,1999 ) に つ い てい えば、 運動 体 とし て社 会的 なパ ワ ー を獲得 し てい くに は、 コ ミュニ ティ や グル ープ 単体 が 発 進す る個別 の場面 情報 の吸 収・評 価 シ ステ ム を組 み込 んで い く必 要 があ る。その 意味 で、ネット ワ ー ク化 は、 ネット ワ ーク とコ ミュニ テ ィ との関 係 が相互 刺 激的 な状 況 で あ る場合 に、 成 立 する と考 え
110 国際地 域学 研 究 第3 号2000 年3 月 ら れ る。 ④ の事 業整 備 で は、 事 例 に見 る通 り、 現 地 での計 画策 定 が原 則 となっ てい るの で、 居 住水 準 とし て 許 容 で きる最 低 の計 画 基 準 の 設定 が 困 難 に なっ て い る (イ ンド ネ シア のKIP な ど と の比 較 に お い て )。 また 再 定 住 地 に お け る所 有 権 の 移転 につ い て、UCDO は住宅 関連 ロ ーン を受 け た 世 帯 の85.5 % が現 地 に住 んで い る と報 告し てい るが、 現地 への 移住 が 完成 し て い ない状 態 を見 る か ぎ り課 題 が残 る。 個々 の住宅 の建設 は世 帯 の 自己 負担 に よ るので、 資 産 の直接 的 な 反映 につ な がり、 一 般的 に は閉 鎖的 、 個別 的 な水 準の 異な る住 宅 の 出現 と と もに、 従 来 のコ ミ ュニ ティ成 員 間 の関 係が 変 化 し、 協 同 体 とし ての地 域 活動 を疎 外し 、不 活発 化 させ る傾向 が み られ る。また、チ ェン マ イで の事 例 で は、 強 制撤 去 を受 けた旧 コミュ ニ ティ が、 住 環境 を整備 する事 業体(NHA,UCDO )の そ れぞ れ の 方針 、 基 準 に よ り、各 世帯 の資金 準備 額 に 応じ て二 分さ れ、 環境 水 準 が明 確に 異 なる それ ぞ れ二 地 区 へ の 移 住 が 実現 し てい る。 個別 の世 帯(私 )と、 これに よっ て構 成 さ れ るコ ミュニ ティ(公 )の関 係 が、 開 発 の 進 展 とと もに非 連続 的 に現 出 す るの が居住 環境 整備 (住環 境 開発) 上 の固 有 の課 題 とな っ て い る。UCDO のす す める コミ ュニ ティ 単 位 のネ ット ワー ク化 は、こ うし た課 題 に対 して 、相互 の 交 流 の 中 で 発 生 する別 の 課題 を提 起 す るこ とで 、運 動的 に解 消し て いこ う とし てい る( ソ ムス ク事 務 局 長 )。 3) 日本 の 参加型 まちづ くり との 関係 都 市計 画 法 の改正 によ る都 市マ スタ ープ ラ ン策定 や 、NPO 法 の施行 、情 報公 開 法 の制 定、地 方分 権 化 の推 進 等 の制 度改 革に よ り、「都 市型 社 会」におけ る住 民 参加型 の まち づ く り は新 た な段 階 を迎 えて い る。 高度 経 済成長 期 を基 底し てい た公 共主 導の 限界 が明 ら か にな り、 さ まざ ま な角 度 か ら ま ち づ く り に関 わる 住民団 体 やNPO の組 織化 が進 んでい る が、総 合計 画 、都 市 マ スタ ープ ラ ン の 策定 を みる か ぎり、 依然 とし て 形式 的 な 「参 加」 に留 まる 傾向 が うか が える。 この数 年 間 は公 共 団 体 と 住 民、 民 間 団体 の間 の 新た な関 係 の構 築、 まちづ く りに関 わ る社 会体 制 の見直 し を 巡っ て、 手 探 り の模 索状 態 にあ る とい え よう。 一 方、 欧米 型 に みら れる よう な、 さ まざ ま な市民 団 体が 重 層的 に ま ち づ く り に参与 す る方 法 は、市 民 社会 形成 の 長い 歴史 的 な時 間の 中 で蓄積 さ れて き た もの で あ る。 また タ イの社 会 にお け るNPO 、NGO な どの活動 に も同 様 な歴史 的 背景 があ る。 こ うし た 固有 の社 会 シ ス テ ムを背 景 とす る まちづ くり の状況 を みる と き、日本 で はUCDO の よう な、公共 の 機関 で は あ る が 独立し た 施策 決定 権 限 を有し 、 住民 の 自立的 な 運動 を支 援 す る団体 の存 在 は、 参加 型 ま ちづ く りを す すめ る上 で 参考 に な る と考 える。 以上 の課 題 につ い ては継 続 す る調 査 の中で 明 らか にし てい きたい。
藤井,安,高橋,海老 塚,薬 袋: タ イ・バ ン コ クにおけ る低所 得 者層 の居 住環境 整 備とUCDO の役 割 Ill 基 礎 的 資 料 人 口 ; タ イ の 総人 口 は6150 万 人(1995 年 )、スラ ム 居 住 者約137 万 人( 内113 万 人 が バ ン コ ク に 居 住 、12% 、1521ヶ 所 ) 所 得 ; 世 帯 平 均2 万 パ ー ツ/月 住 宅 建 設;97 年 の 新 規 登 録 戸 数14.5 万 戸( デ ベ ロ ッ パ ー11.8万 戸 、 個 人 建 設2.7万 戸 )所 得 の上8 % は 自 力 で 注 文 住 宅 を建 設 、中 間 の82 % は市 場 で 購入 、下 の10 % はNHA 、UCDO 、NGO な ど が 住 宅 の供 給 、援 助 を 行 う (NHA で の 説 明 )。 バ プ ル 期 は2 千 あ っ た 住 宅 建 設 デ ベ ロ ッ パ ー が バブ ル 崩 壊 後 の 現 在 で は2 百 に 減 少 し た 。 住宅 政 策 ; 国 家 社 会 経 済 開 発 庁 (NESDB) 内 の 住 宅 開 発計 画 委 員 会 が 計 画 を立 案 し 、NHA (国 家 住 宅 公 社 ) は 実 施 機 関 。NHA は76 年 か ら99 年 の 間 に29 万 戸 (低・中 所 得者 向 け 住 宅 を12 万 戸 、 公務 員 住 宅 を4 万 戸 、 ス ラ ム 改 善 事業 で13 万 戸 ) を建 設 。99 年NHA は年 間7 万 戸 の 住 宅 建 設 を 計 画 。 本 稿 は 科研 課 題「 ア ジ ア の まち づ く り に関 す る計 画 論 的 研 究 」(代 表 内 田 雄 造 )の 一 環 と し て 、昨 年9 月 に 行 っ た タ イ調 査 の 中 間 報 告 で あ る。 調 査 者 は 藤 井 敏 信 、 安 相景 、 高 橋 一 男 、 海 老 塚 良 吉( 日 本 住 宅 協 会 )、 薬 袋 奈 美 子(目 白 女 子 短 大 )、 岡 崎 弘 毅 (日 本 福 祉 大 学 )、 伊 藤 奈 緒 子( 国 際 地 域 学 部 )山 田 久(国 際 地 域 学 部 )、 の5 名 で 、 本稿 の調 査 事 例 の ま と め は 全 員 の 協 同 作 業 に 基 づ く。 現 地 調 査 の コ ー デ ィ ネ ー ト や、UCDO に つ い て の 学 習 はUCDO の ソ ム ス ク(Somsook ) 事 務 局 長 の教 示 に よ る とこ ろ が 大 で あ る 。 彼 女 の 御 好 意 に 深 く 感 謝 し た い。 参 考 文 献I) 藤 井 敏 信 ; 第 三 世 界 に お け る ス ラ ム の 居 住 環 境 改 善 に つ い て 国 際 地 域 学 研 究 創 刊 号 東 洋 大 学19982 )VichaiViratkapan,AStudyofTheRelocationofSlumHousingSettlementunderEvictionInBangkokAsianInstituteofTechnology19993)UCDO ,BroadeningAccessforMoreAfTordableHousing19994 )UCDO,Guidelines&ActionPlanforCommunityEnterpriseSupportandPromotion (Mimeo ),19975 )SomsookBoonyabancha, “TheurbancommunityenvironmentalactivitiesprojectanditsenvironmentfundinThailand",EnvironmentandUrbanization,Vol. 目 ,No.l,Aprill19996 )Friedman,J.,Empowerment:ThePoliticsofAlternativeDevelopment,1995
112 国 際地 域学 研究 第3 号2000 年3 月