Title
Pulmonary Arterial and Right Ventricular Responses to
Prophylactic Albumin Administration Before Aortic Unclamping
During Abdominal Aortic Aneurysmectomy.( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
上田, 宣夫
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1195号
Issue Date
1999-03-05
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15083
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 上 田 宣
夫(東京都)
博 士(医学) 乙第1195 号 平成11年 3 月 5 日 学位規則第4条第2項該当PuImonary ArteriaJand Right VentricuJar Responses to ProphYlactic ALbumin Administration Before Aortic Uncfamplng During Abdominal Aortic AneurysmectomY. (主査)教授 土 肥 修 司 (副査)教授 森 田 啓 之 教授 贋 瀬 論 文 内 容 の 要 旨 腹部大動脈癌人工血管置換術では.大動脈の遮断および解除を必要とするが,この際の急激な血行動態の変動 が,麻酔・手術管理を困難なものにしている。とくに大動脈遮断解除時には急激な血圧低下が生じる危険性があ り,その対応に苦慮することも多い。一方で,大動脈遮断解除数分後に,肺動脈庄上昇,肺血管抵抗増加が生じ ることも報告され,腹部大動脈瘡人工血管置換術での麻酔・手術管理は複雑で綿密な対応が必要とされる。 大動脈遮断解除後の血圧低下には.遮断解除前の容量負荷が有効であると報告されているが,あらかじめ容量 負荷がなされた状態での大動脈遮断解除,それに続く石室後負荷増加(肺動脈圧上昇,肺血管抵抗増加)は右心 機能になんらかの影響を与えると推測される。本研究では,大動脈遮断解除前の容量負荷が,遮断解除後の肺動 脈,ひいては右心機能にどのような影響を及ぼすかを石室駆出率,石室拡張終期容量などが測定可能な肺動脈カ テーテルを用いて検討した。 【対象と方法】 対象は本研究に同意を得られ,腎動脈下腹部大動脈病人工血管置換術を予定された39例とした。対象を,大動 脈遮断解除前には維持輸液のみ投与し,特別な容量負荷を行わなかった群(容量非負荷群)と,維持輸液に加え て10ml/kgの5%albuminを大動脈遮断解除前に急速投与した群(容量負荷群)の2つに無作為に分類した。手 術室入室後,心電図,観血的動脈圧,経皮的酸素飽和度のモニターを行った。麻酔をミダゾラム.フェンタニー ル,チオペンタールにて導入後,ベクロニウムにて筋弛緩を得た後,気管内挿管を行い,酸素,笑気.イソフル レンにて麻酔を維持した。全例,石室駆出率,石室拡張終期容量などが測定できる肺動脈カテーテルを挿入し, 大動脈遮断前,遮断解除前,遮断解除後1分,5分.15分,30分,60分後に心拍数,血圧,心拍出量,肺動脈圧, 石室駆出率,石室拡張終期容量などの血行動態を測定し,同一グループ内の各時点での変化,同一時点での各グ ループ間での変化について検討した。統計学的解析には,一元分散分析とt-teSt(Bonferroni's correction)を 行った。 【結果】 容量非負荷群,容量負荷群の両群とも,血圧(MAP)は遮断解除前に上昇,遮断解除1分後に低下した(容量 非負荷群:91±1AmmHg,71±13mmHg;容量負荷群:99±12mmHg,73±9mmHg)。容量非負荷群では,心 係数(CI),一回拍出量係数(SVI)は遮断後減少し,遮断解除5分後には増加した。容量負荷群では,SVIは容 量非負荷群と異なり,遮断解除前で増加した。肺動脈庄(MPAP)は,両群ともに遮断解除5分後に上昇し(容 量非負荷群:18.7±4.8mmHg;容量負荷群:25.7±6.7mmHg),以後徐々に低下した。肺血管抵抗係数(PVRI), 石室拡張終期容量係数(RVEDVI),石室仕事量係数(RVSWI)は,両群ともに肺動脈圧と同様の変動を示し た。石室駆出率(RVEF)はこれらとは逆にPVRIの増加に伴い,遮断解除5分後に減少した(容量非負荷群: 37.0±5.8%;容量負荷群:32.4±7.1%)。 両群間の比較では,遮断前には有意差はなかった。が.遮断解除前では,容量負荷の影響か,MAP,CI,SV
ー121-Ⅰは容量負荷群のほうが高値を示した。それにもかかわらず,遮断解除1分後には両者に差はなかった(71±13mm Hgvs73±9mmHg)。MPAPは遮断解除5分後には容量負荷群が容量非負荷群より有意に高値を示し(18・7±4・8 mmHgvs25.7±6.7mmHg),PVRIも同様であったので,石室後負荷の増加がより顕著であることが示唆され た。また,これに伴って,RVEDVI,RVESVIほより高値を,RVEFはより低値(37.0±5.8%vs32.4±7.1%) を示した。遮断解除前に比べた各種血行動態の変動では,MAPは遮断解除前に比べて両群とも20∼30%程度減 少した。SVIは容量非負荷群では遮断解除1分後に減少しないのに対して,容量負荷群では減少した。MPAP, PVRIは5分後に両群ともに増加した。とくに注目すべきだったのは.容量負荷群では遮断解除5分後にRVEDVI は増加しているにも関わらず,SVIの増加が認められないことであった。 【考察】 本研究の結果は,大動脈遮断解除前の10ml/kg程度の容量負荷が,遮断解除後の血圧低下の防止に必ずしも 有効でないことを示し,また,遮断解除前の容量負荷の有鰍こ関わらず,遮断解除数分後には,肺動脈圧.肺血 管抵抗の増加がみられ,これに伴い,石室は拡張,駆出率は低下することを明らかにした。しかも,遮断解除前 の容量負荷はこの肺動脈圧上昇,肺血管抵抗増加(すなわち右心後負荷の増加)を助長し,その結泉 石室をよ り著明に拡張し.石室駆出率も減少させることも明らかになった。しかし,SVIやCI,RVSWIは保たれている ので.右心機能の悪化はないものと考えられた。一方で,石室機能の悪化はないものの,容量負荷群では遮断解 除5分後に,RVEDVIの増加に伴う,SVIの増加が認められなかったので,過剰な容量負荷は大動脈遮断解除後 の右心機能を悪化させる危険性も示唆された。大動脈遮断解除前の容量負荷の方法は,今後,慎重に検討してい く必要があると思われる。 【結論】 腹部大動脈瘡人工血管置換術では,大動脈遮断解除前に行う10ml/kg程度の容量負荷ほ,遮断解除後の血圧 低下の防止に必ずしも有効ではなかった。また,この容量負荷は,遮断解除数分後の石室後負荷増加を助長し, 石室をより著明に拡張するので,大動脈遮断解除前の容量負荷は慎重に行われるべきであると考えられた。 論文書査の結果の要旨 申請者 上田宣夫は,腹部大動脈癌人工血管置換術における大動脈遮断解除前の容量負荷が,遮断解除後の血 圧,肺動脈,右心機能に与える影響について検討し,この容量負荷が,遮断解除後の血圧低下の予防に必ずしも 有効でないことを明らかにした。また,この容量負荷が,大動脈遮断解除数分後の肺動脈圧上昇,石室後負荷増 加を助長し,石室を著明に拡張することを明らかにし,大動脈遮断解除前の容量負荷は慎重に行うべきであると の結論に達した。本研究の成果は,腹部大動脈癖人工血管置換術における大動脈遮断解除前の容量負荷が,遮断 解除後の血圧,肺動脈,右心機能に与える影響を検討した初めての知見であり,より緻密で安全な麻酔・手術管 至引こ貢献する研究として,麻酔学の進歩に寄与することが大きいと認める。 【主論文公表誌】
Pulmonary Arterialand Right Ventricular Responses to Prophylactic Albumin Administration Before Aortic Unclamplng During AbdominalAortic Aneurysmectomy.
Anesthesia&Analgesia 87(12):1020∼1026,1998