1 学 年 第5学年 2 主題名 「正義の実現」(C公正,公平,社会正義) 3 ねらい 吉野さんの行動や,周りの子どもたちの思いや悩みを通して,いじめがあることを心か ら望んでいる者など誰もいないのだということを理解し,公正,公平な態度を大切にしよう とする心情を育てる。 4 教材名 「名前のない手紙」(出典:「小学道徳 生きる力5」日本文教出版) 5 本時の主題について 本主題は,第5学年及び第6学年の内容項目[C公正,公平,社会正義]「誰に対しても差別をするこ とや偏見をもつことなく,公正,公平な態度で接し,正義の実現に努めること。」に基づくものである。 これは,第3学年及び第4学年の「誰に対しても分け隔てをせず,公正,公平な態度で接すること。」を 受け,中学校の「正義と公平さを重んじ,誰に対しても公平に接し,差別や偏見のない社会の実現に努め ること。」に繋がっていく。 人は自分と異なる他者と関わりあって生きているが,本来,自分と他者は同じ人間として五分五分であ るはずである。ところが,差別や偏見などにより,人間関係や集団社会をゆがめる傾向がある。それらは 正義が実現されている状態ではない。正義が実現されている社会は公正,公平でなければならない。公正 は,誰に対してもいつでもどこでも,正しいとして通用することであり,公平は,誰に対してもいつでも どこでも,与えるべきは与え,受けるべきは受けることを実現することであると言える。これらの公正, 公平が実現された社会が,正義が実現させた社会であることを理解し,公正,公平に接しようとする心情 を育てることは大切である。児童は,自分の考えや思いをもっていても,つい周りの行動や言動に流され, 公正,公平でない集団意識になってしまうことがある。そんな時一人でも公正,公平な態度で行動するこ とにより,周りが公正,公平な態度を取り戻していくこともある。そこで公正,公平な態度を大切にし, 自分の正しいと思うことを積極的にすすめ正義を実現しようとする心情を育てたいと考え,本主題を設定 した。 6 本時の主題に係る児童の実態について 本学級の児童は,内容項目[C公正,公平,社会正義]を中心に,[A個性の伸長],[B友情,信頼],[D よりよく生きる喜び]を関連させた総合単元的道徳学習プログラムを通して,誰に対しても公正,公平な 態度で接することができる子を目指して取り組んでいる。本学級の児童は集団で仲よく交流し活発に活動 することができている。本学級の児童を対象に,「正義の実現」についてアンケート調査を行った。(結 果略) 質問①②から,いじめはいけないことであり,やめさせたいという意識は高く,友達が無視されてい たりからかわれていたりする場面では自分から動き助けようとする児童が多いことがわかった。質問③ の「正義の実現」については,正しいことを行動で表すことの必要性を考えるなど,自分なりの捉えが できている児童が多かったが,よく理解できていない児童がいることもわかった。質問④では,「いじ めをやめさせようとすることができない」と答えていた児童が数人いた。いじめを見たら助けたい気持
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いじめを防止するための道徳教
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学校名(世羅町立せらひがし小学校)実践事例
実践事例
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質問①「友達が冷やかされたり,からかわれたりしていたらあなたはどうしますか。」 質問②「友達が無視されたり,仲間はずれにされたりしたらどうしますか。」 質問③「『正義の実現』とは,どういうことだと思いますか。」 質問④「いじめを見たり聞いたりしたとき,いじめをやめさせようとすることができますか。」ちがあっても,実際にやめさせることに難しさを感じていると思われる。自分の考えを言えず友達との 力関係で強い者の味方をしてしまうことや自分と仲よしの友達を優先するなど,自分の好みで相手に対 して不公平な態度をとってしまうことがあり,自分と異なる考え方や感じ方を理解し,集団の中で公正, 公平な態度をとれるまでには至っていない。 7 教材について 本教材は,クラスのリーダー的存在であるミッコが,「わたし」を仲間外れにしようと指令を出した ことから始まる。仲間外れになった「わたし」は,抗議もできず疎外感にかられる日々が続く。あると き,「わたし」の筆箱に名前のない励ましの手紙が入るようになり,「わたし」の心の支えとなる。そ して,転校する吉野さんの告白をきっかけに,仲間外れをしていたクラスの悪い状況を打ち破る勇気の 声が次々と上がるという内容である。 指導に当たっては,吉野さんの行動がクラスを動かす場面と,そこに至るまでクラスメイトが「わた し」を無視し続けていることに着目させ,クラスの弱さや本心に迫るようにするとともに,それぞれが 勇気をもって社会正義を実現しようとする心情を育てる。 8 授業づくりの工夫 ①テーマに係っての工夫 ・導入では,「正義の味方とはどんな人でしょう。」と問いかけることで,「正義」のイメージをもたせ, ねらいとする価値への方向付けを行う。そして,「正義の味方になれそうですか。」と問いかけ,実行 することの難しさから,「正義の実現のために大切なことは何だろう。」という課題意識をもたせる。 ・展開前段では,手紙を書いた子はどんな思いかを考えさせる。「なぜ名前を書かなかったのか。」を問 うことで,「わたし」のことをなんとかしたいという気持ちと,自分自身を守らなければいけないと いう葛藤があり,名前を書けなかったことに気付かせる。 ・展開後段では,吉野さんの行動から,主題である「正義の実現」について,どんなことが大切だと思 ったかをグループで話し合わせることで,友達のいろいろな考え方に触れ,正義の実現のためには周 囲の雰囲気や人間関係に流されない態度が大切であることに気付かせる。 ②深い学びにつなげる工夫 ・中心発問では,吉野さんがみんなの前で発言した意図や思いをしっかり考えさせることで,最初はし かたなくやっていたが,途中からもやもやした気持ちが生まれ,転校を機に行動に移すことができた 吉野さんの心の変化を捉えさせる。また,クラスの他の子の思いについても問いかけることで,様々 な立場に立ち,それぞれの思いを考えさせる。さらに自分とのかかわりで考えさせるために,「自分 は吉野さんかクラスの他の子のどちらの立場に共感できるか。」と問う。このとき心情メーターを活 用し,自分はどの位置か記入させ,どうしてそう思うか理由をペアで話し合わせ,お互いの考えに対 し質問したり意見を言ったりさせることで考えを深められるようにする。 ・終末には,心情メーターで「なりたい自分」の位置を記入させることで,自分の今後の生活につなげ, 生き方について考えられるようにする。また,振り返りの視点を示すことで,新しい考えや課題を見 つけよりよい生き方について考えられるようにする。 9 準備物 場面絵,道徳ノート,ワークシート,磁石
◎
吉野さんはどんなことを考えて,みん なの前ではっきり発言したのでしょう。 10 学習指導過程 学習活動 主な発問と予想される児童の心の動き (◎中心発問) 指導上の留意点 (☆評価の観点) 導 入 1 課題意識をも つ。 ○ 正義の味方とはどんな人でしょう。 ・人を守る。 ・正しいことをする。 ・優しい人。 ・相手のことを考えて行動する人。 ○ 正義の味方について,考え させることで,ねらいとする 価値への方向づけを図る。 ○ 正義の味方になれるかどう かを問うことで,課題につな げる。 展 開 2 教材「名前の ない手紙」の範 読を聞き,考え 話し合う。 ○ 仲間外れにされた「わたし」はどんな気 持ちになったのでしょう。 ・つらい。 ・一番の仲良しだったのに。 ・ミッコに抗議することはできない。 ・みんなミッコのいいなりでひどい。 ○ 手紙を書いた子はどんな思いをもってい たのでしょう。 ・仲間外れをしているけど,本当はしたくな い。 ・元気付けたい。 ・自分が仲間外れになるのは怖い。 ○ 全文を範読後,概要を押さ える。 ○ 仲間外れにされた「わたし」 の気持ちを考えさせること で,寂しくもやるせない気持 ちに共感できるようにする。 ○ 「なぜ名前を書かなかった のか」と問うことで,「わたし」 のことをなんとかしたいとい う気持ちと,自分自身を守ら なければいけないという思い から,名前を書けなかったこ とに気付かせ,いじめの構造 を押さえる。 【中心発問】 ・このままではいけない。 ・今日を逃したら,もう言えない。 ・自分が仲間外れになるかもしれないのが怖 くて,みんなと一緒にひどいことをしてい たことを謝りたい。 ・仲間外れをなくしたい。 ・間違っていることをきちんと正したい。 ・みんなも仲間外れなんてしたくないはずだ。 ○ 吉野さんがみんなの前で発 言した意図や思いをしっかり 考えさせることで,最初は仕 方なくやっていたが,途中か らもやもやした気持ちが生ま れ,行動に移すことができた 吉野さんの心の変化を捉えさ せる。 ○ 吉野さんの話を聞いて「わ たしも」と言った子や何も言 わない子の思いについても問 うことで,いろいろな立場の 思いを考えさせる。 正義を実現するために大切なことは何だろう。○ 自分がこのクラスにいたらどうしま すか。 展 開 3 自分の生活を 振り返り,まと める。 【解きほぐしの発問】 吉野さん←―——―→クラスの他の子 ・仲間外れはいけないと言う。 ・一人でも行動する。 ・勇気を出してする。 ・吉野さんのように行動したい気持ちが強い けど,不安。 ・一人ではできそうもない。 ・周りに合わせてしまいそう。 ・吉野さんみたいな子がいてくれたら,一緒 にできるかもしれない。 ○ 吉野さんの行動から正義の実現のため に,どんなことが大切だと思いましたか。 ・仲間外れは絶対しない,許さないという気 持ちをもつこと。 ・周りの人の考えに流されず,いけないこと はいけないと言うこと。 ・勇気をもって動くこと。 ○ 自分とのかかわりで考えさ せるために,心情メーターを 活用し,自分はどの位置か記 入させる。 ○ ペアで話し合わせること で,いろんな考えにふれさせ る。全体でも質問をしながら 話し合わせる。 ○ 吉野さんとクラスの他の子 との違いに気付かせること で,傍観者から仲裁者になる ことがいじめをなくすカギで あることに気付かせる。 【キーワード】 ○ グループで話し合わせるこ とで,正義の実現のためには 周囲の雰囲気や人間関係に流 されない態度が大切なことに 気付かせる。 終 末 4 振り返りをす る。 ○ 「正義の実現のために大切なこと」につ いて今日の学習を振り返りましょう。 ・今日新たにわかったことは,正義の実現の ためには日ごろから自分の考えをもち,友 達の意見に流されることなく,いけないこ とはいけないと正しく言うということで す。 ・今はみんなの前で正しいと思ったことを話 すのは難しいけど,いじめをなくすために 自分も正しいと思ったことを言えるように なっていきたいと思いました。 ○ ワークシートに「①今日新 たに分かったこと,考えたこ と②今の自分について振り返 り,これから生かしたいこと」 という視点を示すことで,自 分自身を見つめて振り返らせ る。 ☆ いじめがあることを心から 望んでいる者など誰もいない のだということを理解し,公 正,公平な態度を大切にしよ うとしている。 (ワークシート) ・人の考えに流されずいけな いことはいけないと言う。 ・いじめを絶対なくすという 気持ちをもつ。
11 板書例
場面絵
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