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第1編 春日井市下水道事業の現状と課題

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5.2.4 目標水質について 1) 愛知県における水質基準 (1) 排水基準の考え方 終末処理場の計画放流水質を設定する上での目標とすべき排水基準値は、以下①~ ③に示すものがある。①では、人の健康に係る基準、すなわち有害物質等や生活環境 項目に係る排水基準が法で一律に定められ、さらに各都道府県がこれを強化した上乗 せ基準を定めている。さらに③では、下水道施設が遵守すべき基準が BOD、SS 等につ いて決められている。 また、②の環境基準値を遵守するために、流域からの物質毎の排水量を規制する排 水基準が定められる。春日井市の各浄化センターの放流先である伊勢湾の場合には、 閉鎖性水域であるためその汚濁の指標である COD を低減させるためには、栄養塩であ る窒素とリンの流入量を規制する必要がある。そのため、伊勢湾については環境基準 遵守のため、現在第6次総量規制が課せられており、浄化センターの放流水について も平成 37 年を計画年として COD、窒素、リンについては年間平均放流水質が規制され ることになる。 ① 放流先の排水基準によるもの 一律排水基準 (水質汚濁防止法 第 3 条第 1~2 項) 有害 物質 全ての事業場。カドミウムおよびその化合物をはじめ 27 項目。(表 5-14) 生活環 境項目 日平均排水量 50m3/日以上の特定事業場に適用。水素イオ ン濃度始め 14 項目。(表 5-15) 上乗せ排水基準 (水質汚濁防止法第 3 条第 3~5 項) 愛知県の定める事業場の業種、排水量、水域等により適用。 総量規制基準 (水質汚濁防止法第 4 条第 2~5 項) 日平均排水量 50m 3/日以上の特定事業場に適用。 ② 環境基本法によるもの ・水質環境基準値 ·· 環境基本法第 16 条 ③ 技術基準によるもの ・放流水の水質の技術上の基準 ···· 下水道法に基づく政令 (2) 排水基準による規制水質 ① 水質汚濁防止法に基づく排水基準 水質汚濁防止法に基づく人の健康に係る基準を表 5-14 に、生活環境に係る排水基 準を表 5-15 に示す。 県条例による上乗せ基準や、総量規制等による規制値、あるいは下水道法に基づく 計画放流水質に定められていない項目(BOD、COD、SS、T-N、T-P を除く項目)につい ては、水質汚濁防止法に基づく排水基準が、各浄化センターの排水基準となる。

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表 5-14 人の健康に係る基準 単位:mg/ℓ 番号 有害物質の種類 許容限度 番号 有害物質の種類 許容限度 1 カドミウムおよびその化合物 カドミウム 0.1 16 シス-1,2-ジクロロエチレン 0.4 2 シアン化合物 シアン 1 17 1,1,1-トリクロロエタン 3 3 有機リン化合物(パラチオン、メチルパラチ 1 18 1,1,2-トリクロロエタン 0.06 オン、メチルジメトン、EPN) 19 1,3-ジクロロプロペン 0.02 4 鉛および化合物 鉛 0.1 20 チウラム 0.06 5 六価クロム化合物 六価クロム 0.5 21 シマジン 0.03 6 砒素およびその化合物 砒素 0.1 22 チオベンカルブ 0.2 7 水銀およびアルキル水銀その他 水銀 0.005 23 ベンゼン 0.1 の水銀化合物 24 セレンおよびその化合物 0.1 8 アルキル水銀 検出されないこと 25 ほう素およびその化合物 ※ 10 以下(海域以外) 9 ポリ塩化ビフェニル 0.003 230 以下(海域) 10 トリクロロエチレン 0.3 26 ふっ素およびその化合物 ※ 8 以下(海域以外) 11 テトラクロロエチレン 0.1 15 以下(海域) 12 ジクロロメタン 0.2 27 アンモニア、アンモニア化合 100(アンモニア性窒素 に 0.4 を乗じたも の亜硝酸性窒素及 び硝酸性窒素の合 計量) 13 四塩化炭素 0.02 物、亜硝酸化合物および硝酸化 14 1,2-ジクロロエタン 0.04 合物 ※ 15 1,1-ジクロロエチレン 0.2 表 5-15 生活環境項目に係る排水基準 単位:mg/ℓ ただし大腸菌群数は個/cm3 番号 項目 許容限度 番号 項目 許容限度 1 水素イオン濃度(pH) 海域以外の公共用水 6 フェノール類含有量 5 域に排出されるもの 7 銅含有量 3 5.8 以上 8.6 以下 8 亜鉛含有量 2 * 海域に排出されるも 9 溶解性鉄含有量 10 の 5.0 以上 9.0 以下 10 溶解性マンガン含有量 10 11 クロム含有量 2 2 生物化学的酸素要求量 160 12 大腸菌群数 日間平均 (BOD) (日間平均 120) 3,000 個/cm3 3 化学的酸素要求量 160 13 窒素含有量 120 (COD) (日間平均 120) (日間平均 60) 4 浮遊物質量(SS) 200 14 リン含有量 16 (日間平均 150) (日間平均 8) 5 ノルマルヘキサン抽出物含有量 ・鉱油類含有量 5 ・動植物油脂類含有量 30 備考 1 「日間平均」による許容限度は、1 日の排出水の平均的な汚染状態について定めたものである。 2 BODについての排水基準は海域および湖沼以外の公共用水域に排出される排出水に限って適用し、CODについての排水基準は海域 および湖沼に排出される排出水に限って適用する。 3 窒素含有量、リン含有量についての排水基準は、窒素またはリンが湖沼プランクトンの著しい増殖をもたらすおそれがある湖沼(名古 屋市においては、牧野が池)、および海洋植物プランクトンの著しい増殖をもたらす恐れがある海域として環境庁長官が定める海域およ びこれらに流入する公共用水域(名古屋市においては、名古屋港または名古屋港に流入する河川等)に排出される排出水に限って適用 する。

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② 計画放流水質の検討 春日井市の浄化センターの放流先は庄内川水系であり、かつ庄内川は伊勢湾に注い でいることから伊勢湾流総計画に合致した計画とする必要がある。 また、伊勢湾流総の計画年は平成 37 年度であることから、それ以前は現状の活性 汚泥法等の処理施設で運転することが可能であるが、平成 37 年度以降は全ての処理 施設は COD、窒素、リンについて高度に処理できる機能を確保する必要がある。 平成 18 年度伊勢湾流総計画検討委員会の合意事項(案)における計画処理水質 単位:mg/ℓ 処理能力 COD T-N T-P 備考 (日最大)30,000m3/日以上 8.1 7.0 0.66 高蔵寺、勝西、南部 (日最大)30,000m3/日未満 12.0 17.0 1.40 計画放流水質はBOD、T-NおよびT-Pについて定める。 流総計画に基づく計画放流水質 単位:mg/ℓ 項目 BOD COD T-N T-P 備考 伊勢湾流総計画の計画処理水質 ① - 8.1 7.0 0.66 年間平均値 換算係数 ② - - 1.45 2.6 (イ)計画処理水質①×換算係数② - - 10 1.716 年間最大値 (ロ)下水道法施行令の上限値 15 - 20 3 年間最大値 全体計画における計画放流水質③ 15 - 10 1.7 年間最大値 換算係数②:国土交通省都市・地域整備局下水道部流域管理管付事務連絡(平成 19 年 11 月 9 日)より T-N1.4、T-P2.6。 (各浄化センターの T-N、T-P の総量規制基準値:現在の届出値) ④ ・高蔵寺:COD=20mg/ℓ、T-N=20mg/ℓ T-P=1.5mg/ℓ ・勝 西:COD=20mg/ℓ、T-N=20mg/ℓ T-P=1.5mg/ℓ ・南 部:COD=20mg/ℓ、T-N=25mg/ℓ T-P=2mg/ℓ ③および④の T-N、T-P 値に対して、高蔵寺、南部浄化センターの処理水質の実績が越えているため、 T-N、T-P については、将来、高度処理対応とする必要がある。

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総量規制に基づく計画放流水質 (30,000m3/日以上の処理場の高度処理対応の総量規制基準) ⑤ 項目 COD T-N T-P 既設 20mg/ℓ 15mg/ℓ 1.5mg/ℓ 新設 20mg/ℓ 10mg/ℓ 1.5mg/ℓ (30,000m3/日未満の処理場の高度処理対応の総量規制基準) ⑤ 項目 COD T-N T-P 既設 20mg/ℓ 25mg/ℓ 2mg/ℓ 新設 20mg/ℓ 20mg/ℓ 1.5mg/ℓ 計画放流水質(全体計画) 項目 BOD COD T-N T-P 備考 全体計画における 計画放流水質 ⑥ 15mg/ℓ 20mg/ℓ 10mg/ℓ 1.5mg/ℓ 年間最大値

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高度処理導入計画については、計画放流水質の水質項目(BOD、T-N、T-P)と COD について段階的に導入計画を設定する。 (計画放流水質に対して) 当面の 対応 計画放流水質 (mg/ℓ) 30,000m3/日以上 項目 既設 新設 BOD 15 15 T-N 15 10 T-P 1 1 30,000m3/日未満 BOD 15 15 T-N 15 10 T-P 1 1 高蔵寺浄化センター:標準活性汚泥法+凝集剤添加 勝西浄化センター :標準活性汚泥法+凝集剤添加 南部浄化センター :既設:凝集剤併用型ステップ流入式 2 段硝化脱窒法+急速ろ過法 新設:凝集剤併用型ステップ流入式 3 段硝化脱窒法+急速ろ過法 処理水実績を評価 反応タンク設備、送風機設備の更新時 計画放流水質:T-N=10mg/ℓ 項目 新流 総値 (年間 平均値) 補正 係数 ※1 新流総値× 補正係数 (日平均の 年間最大値) ① 下 水 道 法 施 行 令※2 ② 将来の 目標値 ③ 総量規制基準 (高度処理) 計画放流水質 既設 新設 既設 新設 全体 計画 計画放 流水質 (mg/ℓ) 30,000 m3/日 以上 BOD 10.0 8.3 83 15 15 - - 15 15 COD 8.9 1.4 12.5 - - 20 20 (12.5) (12.5) S S - - - 40 - - - 40 40 T-N 6.6 1.4 9.2 20 9.2 15 10 9.2 9.2 T-P 0.48 4.3 2.1 3 1 1 1 1 1 30,000 m3/日 未満 BOD 10 8.3 83 15 - - - 15 15 COD 12 1.4 16.8 - - 20 20 16.8 16.8 S S - - - 40 - - - 40 40 T-N 15 1.4 21.0 20 - 25 20 20 20 T-P 1 4.3 4.3 3 - 2 1.5 2 1.5 高蔵寺浄化センター:既設:凝集剤併用型ステップ流入式 2 段硝化脱窒法+急速ろ過法 新設:凝集剤併用型ステップ流入式 3 段硝化脱窒法+急速ろ過法 勝西浄化センター :既設:凝集剤併用型ステップ流入式 2 段硝化脱窒法+急速ろ過法 新設:凝集剤併用型ステップ流入式 3 段硝化脱窒法+急速ろ過法 南部浄化センター :既設:凝集剤併用型ステップ流入式 2 段硝化脱窒法+急速ろ過法 新設:凝集剤併用型ステップ流入式 3 段硝化脱窒法+急速ろ過法 ※1 補正係数:愛知県内の流域下水道で最も規模が大きく、凝集剤添加ステップ流入式硝化脱窒法+急速ろ過を採用し、全体計画に最も近い 矢作川流域下水道の平成 13~16 年度の処理水実績により計算されたものである。日平均の最大値については、データが正規分布している と考え、+3σで異常値を除外したものである。 ※2「下水道法第 8 条に基づく施行令第 6 条、施行規則第 4 条の 3」に示される技術基準より、計画放流水質(日間平均の年間最大値)を定め ている。

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5.2.5 高度処理方式の検討 窒素、リン除去を主体とした高度処理システムが初めて日本の下水処理場に導入さ れて 20 年余りが経過しているが、窒素、リンに係る水質環境基準の達成率は未だ低 く、富栄養化をはじめとする各種問題は解決されていない。 降雤や農地、土壌等から発生する面源負荷の対策など、下水道事業以外での対策が 重要であることはもちろんであるが、下水処理場に対しても、より一層の処理水質向 上が求められている。 また、従来システムよりも高度な処理水質が求められる一方で、下水処理場の建設、 運転管理に対して一層の経済性が要求される。 1) 高度処理の現状 愛知県および名古屋市の高度処理施設の現況を表 5-16 に示す。 表 5-16 高度処理施設の現況 水処理センター名 処理能力 処理方法 備考 愛知県 矢作川浄化センター 166,915 m3/日平均 ステップ流入式多段硝化脱窒法 +急速ろ過 平成 20 年度末 衣浦東部浄化センター 15,343 m3/日平均 凝集剤添加硝化脱窒法 平成 20 年度末 豊川浄化センター (3系) 62,248 m3/日平均 ステップ流入式多段硝化脱窒法 平成 20 年度末 五条川左岸浄化センター 60,581 m3/日平均 ステップ流入式多段硝化脱窒法 平成 20 年度末 日光川上流浄化センター 20,639 m3/日平均 凝集剤添加硝化脱窒法 平成 20 年度末 五条川右岸浄化センター 10,163 m3/日平均 凝集剤添加硝化脱窒法 平成 20 年度末 名古屋市 熱田水処理センター 38,000 m3/日最大 嫌気好気活性汚泥法 運転開始 平成 13 年度 打出水処理センター (4系) 52,000 m3/日最大 嫌気好気活性汚泥法 運転開始 平成 14 年度 柴田水処理センター (3系) 60,000 m3/日最大 嫌気無酸素好気法 運転開始 平成 21 年度 西山水処理センター 15,000 m3/日最大 嫌気無酸素好気法(担体型)+急 速ろ過 運転開始 平成 22 年度 名城水処理センター 50,000 m3/日最大 機械式ろ過法 運転開始 平成 22 年度 露橋水処理センター (建設中) 80,000 m3/日最大 嫌気無酸素好気法+急速ろ過 工事着手 平成 15 年度 流域下水道終末処理場ではステップ流入式多段硝化脱窒法+急速ろ過が採用され、 名古屋市では嫌気無酸素好気法+急速ろ過法の採用事例が多いことがわかる。

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高度処理人口普及率を表 5-17 に示す。 大都市や名古屋市において、早期整備により下水道の整備は促進したが、高度処理 は遅れている。 表 5-17 高度処理人口普及率 単位:% 全国平均 大都市平均 名古屋市 備考 16.9 20.1 4.1 2) 処理方式および除去率 計画放流水質に対しては、下水道法施行令で処理施設の構造の技術上の基準(第五 条の六)を表 5-18 のように定めている。

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表 5-18 処理方法と適合する計画放流水質区分の関係 ○別表 1 の「処理方法と適合する計画放流水質区分の関係」に示す処理方法 別表 1 処理方法 生 物 化 学 的 酸 素 要 求 量 一 〇 以 下 一 〇 を 超 え 一 五 以 下 窒 素 含 有 量 一 〇 以 下 一 〇 を 超 え 二 〇 以 下 二 〇 以 下 燐 含 有 量 〇 . 五 以 下 〇 . 五 を 超 え 一 以 下 一 を 超 え 三 以 下 一 以 下 一 を 超 え 三 以 下 一 以 下 一 を 超 え 三 以 下 三 以 下 三 以 下 標準活性汚泥法等(注1) ◎ 急速濾過法を併用 ◎ ○ 凝集剤を添加 ○ ○ 凝集剤を添加、急速濾過法を併用 ○ ○ ○ ○ ○ 循環式硝化脱窒素法等(注2) ◎ ○ 有機物を添加 ○ ○ 急速濾過法を併用 ◎ ○ ○ ○ 凝集剤を添加 ◎ ○ ○ ○ 有機物を添加、急速濾過法を併用 ◎ ○ ○ ○ ○ 有機物を添加、凝集剤を添加 ○ ○ ○ ○ 凝集剤を添加、急速濾過法を併用 ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 有機物および凝集剤を添加、 急速濾過法を併用 ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 嫌気好気活性汚泥法 ◎ ○ 急速濾過法を併用 ◎ ○ ○ ○ 凝集剤を添加 ○ ○ 凝集剤を添加、急速濾過法を併用 ◎ ○ ○ ○ ○ 嫌気無酸素好気法 ◎ ◎ ◎ ○ 有機物を添加 ○ ○ ○ ○ 急速濾過法を併用 ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ 凝集剤を添加 ○ ○ ○ ○ 有機物を添加、急速濾過法を併用 ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 有機物を添加、凝集剤を添加 ○ ○ ○ ○ 凝集剤を添加、急速濾過法を併用 ◎ ○ ○ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 有機物および凝集剤を添加、 急速濾過法を併用 ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 注1)標準活性汚泥法とは、以下の7つの方法を指す。 標準活性汚泥法、オキシデーションディッチ法、長時間エアレーション法、回分式活性汚泥法、酸素活性汚泥法、気性ろ床法、接触酸化法 注2)循環式硝化脱窒素法等とは、以下の4つの方法を指す。 循環式硝化脱窒素法、硝化内生脱窒法、ステップ流入式多段硝化脱窒法、高度処理オキシデーションディッチ法 ◎令第5条の6第1項第4号に示された処理方法 計 画 放 流 水 質 [ 単 位 ㎎ / ℓ ]

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表 5-18 により、構造的に処理可能となる処理方式を選定すると、全体計画におい ては以下の 5 処理方式である。 ○凝集剤添加の循環式硝化脱窒法等(循環式硝化脱窒法、硝化内生脱窒法、ステップ 流入式多段硝化脱窒法、高度処理オキシデーションディッチ法) ○嫌気無酸素好気法 全体計画、事業計画時の規制水質と対応する処理法を示すと表 5-19 となる。 表 5-19 規制水質と法規上の適用処理法 分類/項目 水質(mg/ℓ) 適用処理法 BOD 窒素 リン 全体計画 勝西 南部 高蔵寺 15 7 0.66 嫌気無酸素好気法+凝集剤、有機物添加+急速ろ過法 循環式硝化脱窒法+凝集剤、有機物添加+急速ろ過法 事業計画 高蔵寺 勝西 15 20 1.5 嫌気無酸素好気法+急速ろ過法 循環式硝化脱窒法+凝集剤添加+急速ろ過法 南部既設 15 15 1 嫌気無酸素好気法+凝集剤添加+急速ろ過法 循環式硝化脱窒法+凝集剤添加+急速ろ過法 南部新設 15 10 1 嫌気無酸素好気法+凝集剤、有機物添加+急速ろ過法 循環式硝化脱窒法+凝集剤、有機物添加+急速ろ過法 現状 高蔵寺 15 20 1.5 標準活性汚泥法+凝集剤添加+急速ろ過法 勝西 15 20 1.5 標準活性汚泥法+凝集剤添加 南部 15 15 1 標準活性汚泥法+凝集剤添加 着手 南部 15 10 1 循環式硝化脱窒法+凝集剤添加 下水道法施行令による処理法 表 5-19 に示すように、法規上は窒素除去が必要な場合には、嫌気無酸素好気法ま たは硝化脱窒法に凝集剤、有機物を添加する方法に急速ろ過法を組み合わせた方法を 選定する必要がある。 3) 窒素除去方法の比較 窒素除去方法として当初開発されたのは、硝化液循環法であるが、ステップ流入式 硝化脱窒法の実績が増加すると、流入の段数を増やすことで窒素除去率を高く取るこ とが可能で、かつ循環ポンプが不要等の理由でステップ流入式が主流になりつつある。 愛知県の流域下水道処理施設は基本的にこの方法を採用している。 この 5 処理方式の比較を表 5-20 に示す。

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Ⅲ -89 表 5-20 生物学的硝化脱窒法の比較 方法 項目 嫌気無酸素好気法 循環式硝化脱窒法 処理 フロー プ ロ セ ス の概要 反応タンクは嫌気タンク、無酸素タンク、好気タンクの3つで構成される。 ① 脱窒:後段に設けれた好気タンクで生成された硝酸性窒素を含む硝化液を中 段に設けられた無酸素タンクに循環させることにより、脱窒を生じさせる。 脱窒の際必要となる有機物は、流入下水中の有機物を用いる。 ② 脱リン:前段の嫌気タンクでリン蓄積能力のある活性汚泥中のリンを吐出し、 後段の好気タンクでリンを過剰摂取させリンを除去する。 反応タンクは無酸素タンク、好気タンクの2つで構成される。 ① 脱窒:後段に設けれた好気タンクで生成された硝酸性窒素を含む硝化液を前 段に設けられた無酸素タンクに循環させることにより、脱窒を生じさせる。 脱窒の際必要となる有機物は、流入下水中の有機物を用いる。 ② 脱リン:反応タンク末端部にアルミニウム塩等3価の金属イオンを添加し、 難水溶性のリン酸化合物として、余剰汚泥とともに除去する。 反 応 タ ン ク容量 12~15(HRT-時間) 12~15(HRT-時間) 特徴  凝集剤を併用しなくても比較的高いリン除去が期待できる。  反応タンクに流入する除去率T-N60~70%程度、T-P70~80%程度  雤天時等処理水量の増大時、処理能力が低下する可能性もあるためバックアッ プとして凝集剤添加設備を設けておく必要がある。  比較的安定して、T-N(65~75%)およびT-Pの除去が可能である。  多段式にすることにより、さらに除去率を高めることもできる。  凝集剤の添加により発生汚泥量が増加する。  電力使用量(比率)1.1 (リン放出) (硝化・リン摂取)

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Ⅲ -90 表 5-21 窒素除去活性汚泥法の比較(1/2) 方法 項目 硝化内生脱窒法 ステップ流入式多段硝化脱窒法 処理 フロー プロセス の概要 反応タンクは好気タンク、無酸素タンク、好気タンク(再エアレーションタンク) で構成される。 ①脱窒:前段に設けられた好気タンクで生成された硝酸態窒素を含む硝化液が後 段の無酸素タンクで脱窒される。脱窒の際必要となる有機物は、細胞内に蓄積さ れたものを用いる。再曝気タンクは、最終沈殿池での汚泥の浮上防止および放流 水のDO確保のために設けられる。 ②脱リン:循環式硝化脱窒法に同じ。 各反応タンクは完全混合タンクを基本とし、1 対を成す無酸素/好気タンクを複数 段(2 または 3 段)直列に配置する。原水は各段最上流部に一定の割合に配分(基 本的には等配分)するようにステップ供給する、各段下流部の好気タンクで硝化 された活性汚泥混合液は上流の無酸素タンクへ好気槽のエアリフト効果で返流 され、ステップ供給された原水中の有機物を利用して脱窒が行われる。 反 応 タ ン ク容量 循環法の容量の 1.2~1.3 倍を必要とする。 10~12(HRT-時間) 特徴  循環の必要がない。  循環法に比べT-N除去率は高い。  脱窒の際必要となる有機物は細胞内に蓄積されたものを用いるため最初沈殿 池を設けなくてもよい。  他方式に比べ滞留時間が長く反応タンク容量が大きくなる。  エアリフト効果により循環するので循環ポンプが不要である。  各段毎に循環量に応じた除去率が得られるので窒素除去率が高い。 (75~85%)  平均 MLSS を高く保つことができるので反応槽容量を縮小できる。(80%)  電力使用量(比率)1.0

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Ⅲ -91 表 5-22 窒素除去活性汚泥法の比較(2/2) 方法 項目 高度処理オキシデーションディッチ法 処理 フロー プロセス の概要 反応タンクを用いて、硝化細菌を系内保持するために必要となるASRTが一定 となるよう、計画1日最大汚水量時に好気時間:無酸素時間=1:1 となる容量を 持ち、流入負荷量に応じた汚泥引き抜き時間および好気時間を調整することによ って安定した有機物の除去および脱窒除去を行う下水処理法である。 反 応 タ ン ク容量 24~36(HRT-時間) 特徴  計画 1 日最大汚水量流入時において、年間を通じて硝化に必要なASRTおよ び無酸素時間の確保ができるよう1日当りの引き抜き汚泥量および好気時間を 設定するとともに、好気:無酸素時間比を 1;1 程度にできる施設容量を設定す ることにより、窒素除去率は 85~90%が期待できる。  流入下水に時間的変動があっても安定した処理が可能であり、発生汚泥量は標 準活性汚泥量より尐ない。  反応タンク容量が大きく必要である。  電力使用量(比率)1.4

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4) リン除去方法の比較 リンの除去方法としては、下水道法施行令から生物学的にリンの除去が可能な嫌気 無酸素好気法か、これに凝集剤を添加する方法、または循環式硝化脱窒法に凝集剤を 添加する方法がある。 すなわち、以下の 3 方法がある。 a) 循環式硝化脱窒法の反応槽に嫌気槽を付設して嫌気無酸素好気法とする b) 上記嫌気無酸素好気法に凝集剤を添加する c) 循環式硝化脱窒法に凝集剤を添加する 表 5-19 に示すように、高蔵寺浄化センターのみは a)または c)を選択でき、勝西お よび南部浄化センターは b)または c)を選択できる。 すなわち、循環式硝化脱窒法の反応槽に嫌気槽を設置して嫌気無酸素好気法とする ことで、高蔵寺浄化センターの場合には、凝集剤注入を不要にし、他の浄化センター は凝集剤の量を減尐させることになる。そこで、経済的に嫌気無酸素好気法の導入が 有利かどうかということになる。 図 5-9 は処理水のリン濃度とアルミの添加率の関係を示したもので、低いリン濃度 を目指す場合には注入率が高くなる。 図 5-9 処理水のリン濃度とアルミの添加率の関係 表 5-23 に各浄化センターにおいて、嫌気無酸素好気法を導入する場合としない場 合の、凝集剤の注入率と汚泥発生量を算出し、処理に係る年間費用を比較する。 嫌気無酸素好気法を導入した場合、嫌気槽の滞留時間が 1.5 時間程度必要であり、 反応タンク容量が大きくなるため用地制約上問題となる。また、水処理水槽の建設費 用は低いが、系列が多いため槽数が大きく攪拌機の費用が必要である。将来の維持管

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表 5-23 嫌気無酸素好気法導入の効果 浄化センター名 嫌気無酸素法 流入リン 除去対象 必要 Al PAC 注入率 汚泥発生量 処理水量当費用 年間費用 mg/L mg/L mg/L mg/L mg/L 円/m3 百万円/年 高蔵寺 無 4.7 1.9 1.6 10 8 0.99 8.0 導入 0.0 0.0 0 0 0.00 0.0 差 1.9 1.6 10 8 0.99 8.0 勝西 無 4.7 1.9 2.5 15 12 1.27 16.3 導入 1.0 1.5 9 8 0.77 9.9 差 0.9 1.0 6 5 0.49 6.3 南部 無 5.6 2.2 2.9 18 15 1.51 23.6 導入 1.0 1.5 9 8 0.77 12.1 差 1.2 1.4 9 7 0.74 11.5 PAC45 円/kg,汚泥処理費用、高蔵寺 54 円/DSkg、その他 47 円/DSkg 全体計画日平均処理水量 高蔵寺:22,100 m3/日、勝西:35,200 m3/日,南部:42,800m3/日 5) 水処理方式の決定 以上より、従来システムよりも高度な水処理方式が求められる一方で、下水処理場 の建設、運転管理に対して一層の経済性が要求される現状の社会情勢から、コンパク トな施設で高い除去性能を達成できる技術である「ステップ流入式多段硝化脱窒法」 を採用する。なお、凝集剤併用法と組み合せることにより、窒素、リンの同時除去が 可能な処理プロセスとなる。 ○高蔵寺浄化センターは現在、標準活性汚泥法で運転中であり、既設改造を凝集剤添 加のステップ流入式 2 段硝化脱窒法とし、COD除去対策として、急速ろ過施設を 併用する。 ○勝西浄化センターは現在、標準活性汚泥法で運転中であり、用地条件が厳しく、既 設改造を凝集剤添加のステップ流入式 2 段硝化脱窒法とし、COD除去対策として、 急速ろ過施設を併用する。 ○南部浄化センターは現在、標準活性汚泥法で運転中であり、既設改造を凝集剤添加 のステップ流入式 2 段硝化脱窒法とし、COD除去対策として、急速ろ過法を併用 する。 全体計画における処理方式を表 5-24 に示す。 表 5-24 全体計画(H37)における処理方式 高蔵寺浄化センター 既設:凝集剤併用型ステップ流入式 2 段硝化脱窒法+急速ろ過法 新設:凝集剤併用型ステップ流入式 3 段硝化脱窒法+急速ろ過法 勝西浄化センター 既設:凝集剤併用型ステップ流入式 2 段硝化脱窒法+急速ろ過法 新設:凝集剤併用型ステップ流入式 3 段硝化脱窒法+急速ろ過法 南部浄化センター 既設:凝集剤併用型ステップ流入式 2 段硝化脱窒法+急速ろ過法 新設:凝集剤併用型ステップ流入式 3 段硝化脱窒法+急速ろ過法

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5.2.6 各既存処理場で確保できる処理水量の検討 1) 高蔵寺浄化センター 高蔵寺浄化センターは、事業認可計画の処理について規制を遵守できると考えられ るが、平成 37 年を計画年とする伊勢湾流総規制水質には対応できないので、全体計 画の計画年に合わせて主として窒素、COD の規制水質に対応できるように改修する必 要がある。本浄化センターでは、嫌気性硝化処理施設やコンポスト施設が廃止される ので図 5-10 に示すような、水処理施設および急速ろ過設備(ハッチング部分)の配 置が可能である。 図 5-10 高蔵寺浄化センターの全体計画時配置計画 既存水処理施設による処理可能量は、平成 19 年度事業認可申請書では、凝集剤添 加ステップ流入式循環式硝化脱窒法に改修することから、冬期で 16,000m3/日と算定 されているので、日最大処理水量としては 20,300m3/日となる。 水処理施設は、図 5-10 に示すように W45m×L83m の範囲に構造物が建設可能である ため、その処理能力を検討する。この場合、反応槽は深さ 9m の深層反応槽とし、最 終沈殿池は2階層沈殿池とする。 改修後の処理能力(暫定) 既設処理施設: 冬期 16,000m3/日 日最大処理水量 20,300m3/日 増設処理施設: 冬期 6,100m3/日 日最大処理水量 7,700m3/日

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2) 勝西浄化センター 勝西浄化センターは、事業認可計画の処理について規制を遵守できると考えられる が、平成 37 年を計画年とする伊勢湾流総規制水質には対応できないので、全体計画 の計画年に合わせて改修する必要がある。処理方式は凝集剤添加ステップ流入式 3 段 硝化脱窒法に急速ろ過設備を加えたものとする。 図 5-11 に、先述のろ過速度の高い急速ろ過設備を設置した全体計画時の配置計画 を示す(ハッチング部分が増設部分)が、全体計画の施設を配置すると、これ以上の 増設の余地はない。 改修後の施設の処理能力は、基本的には事業認可計画書に計算された量とするが、 第 2 プラントにおける増設反応タンクは水深 7m で計画されている一方で、既存の反 応タンクは水深 8m である。今回の計画汚水量から増設水槽を水深 10m の深層反応層 とする。 改修後の処理能力(暫定) 第1プラント(既設); 冬期 16,000m3/日、 日最大処理水量 20,400m3/日 第 2 プラント(既設); 冬期 8,000m3/日、 日最大処理水量 10,200m3/日 第 2 プラント(新設); 冬期 11,200×8/7=12,800m3/日、 日最大処理水量 16,300m3/日 合計 日最大処理水量 46,900m3/日

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図 5-11 勝西浄化センターの全体計画時配置計画 3) 南部浄化センター 南部浄化センターは、窒素の処理水質を遵守するため、既存の水処理施設を凝集剤 添加型ステップ流入式 2 段硝化脱窒法に改修する必要がある。さらに、今後の増設施 設は、平成 37 年度の全体計画の処理水質を遵守できる施設として計画し、処理方式 を凝集剤添加ステップ流入式 3 段硝化脱窒法に急速ろ過設備を加えた施設とする。全 体計画の配置計画図を図 5-12 に示す(ハッチング部分が増設部)が、全体計画施設 を配置した場合、更なる増設用地のスペースはない。従って、南部浄化センターの処 理可能量は全体計画の処理水量となる。

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図 5-12 南部浄化センターの全体計画時配置計画 反応槽 最初沈殿池 最終沈殿池 急速ろ過池 全体計画時の処理能力は以下のとおりとする。 処理能力(暫定) 既設処理施設: 冬期 8,600m3/日 日最大処理水量 10,500m3/日 増設処理施設: 冬期 34,200m3/日 日最大処理水量 42,000m3/日 合計 日最大処理水量 52,500m3/日

表 5-14  人の健康に係る基準  単位:mg/ℓ  番号  有害物質の種類  許容限度  番号  有害物質の種類  許容限度  1  カドミウムおよびその化合物  カドミウム  0.1  16  シス-1,2-ジクロロエチレン  0.4  2  シアン化合物  シアン  1  17  1,1,1-トリクロロエタン  3  3  有機リン化合物(パラチオン、メチルパラチ  1  18  1,1,2-トリクロロエタン  0.06  オン、メチルジメトン、EPN)  19  1,3-ジクロロプロペン
表 5-18  処理方法と適合する計画放流水質区分の関係  ○別表 1 の「処理方法と適合する計画放流水質区分の関係」に示す処理方法  別表 1  処理方法  生物化学的酸素要求量 一〇以下 一〇を超え一五以下窒素含有量一〇以下一〇を超え二〇以下二〇以下燐 含 有 量 〇.五以 下 〇.五を超え一 以 下 一を超え三以下 一以下 一を超え三以下 一以下 一を超え三以下 三以下 三以下 標準活性汚泥法等 (注1) ◎  急速濾過法を併用  ◎  ○  凝集剤を添加  ○  ○  凝集剤を添加、急速濾過法を併用
表 5-18 により、構造的に処理可能となる処理方式を選定すると、全体計画におい ては以下の 5 処理方式である。  ○凝集剤添加の循環式硝化脱窒法等(循環式硝化脱窒法、硝化内生脱窒法、ステップ 流入式多段硝化脱窒法、高度処理オキシデーションディッチ法)  ○嫌気無酸素好気法  全体計画、事業計画時の規制水質と対応する処理法を示すと表 5-19 となる。  表 5-19  規制水質と法規上の適用処理法  分類/項目  水質(mg/ℓ)  適用処理法  BOD  窒素  リン  全体計画  勝西 南部  高蔵
表 5-23  嫌気無酸素好気法導入の効果  浄化センター名  嫌気無酸素法  流入リン  除去対象  必要 Al  PAC 注入率  汚泥発生量  処理水量当費用  年間費用  mg/L  mg/L  mg/L  mg/L  mg/L  円/m 3 百万円/年  高蔵寺  無  4.7  1.9  1.6  10  8  0.99  8.0 導入 0.0 0.0 0 0 0.00 0.0  差  1.9  1.6  10  8  0.99  8.0  勝西  無  4.7  1.9  2.5  15  1
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参照

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