令和3年3月
防衛省
○
防衛力
を質・量的にさらに
強化
する
○
核抑止力
をさらに
強化
し、
最強の軍事力
を育てる
○
国防科学技術
をさらに
高い水準
に引き上げる
H30.4.2時点北朝鮮の核・ミサイル能力に関する認識
1
北朝鮮 韓国 在韓米軍 総兵力 約128万人 約60万人 約3万人 陸 軍 陸上兵力 約110万人 約46万人 約2万人 海 軍 艦艇 約800隻 11.1万トン 約240隻 25.5万トン 支援部隊のみ 海兵隊 - 約2.9万人 空 軍 作戦機 約550機 約620機 約80機 第3/4世代 戦闘機 MiG-23×56機 MiG-29×18機 F-4×30機 F-16×162機 F-15×59機 F-16×60機 (資料源:「ミリタリーバランス2020」など)南北の兵力比較
北朝鮮の発表(党大会)
(画像:「労働新聞」)○ 北朝鮮軍は韓国軍及び在韓米軍に対して通常戦力において著しく劣勢。その
劣勢を補うべく、核兵器や弾道
ミサイルの開発の推進及び運用能力の向上
を図ってきた。
○ 北朝鮮は、2018年6月の米朝首脳会談において、
朝鮮半島の完全な非核化
の意思を表明。また、
核実験及
びICBM級弾道ミサイルの発射実験の中止
を表明し、
豊渓里(プンゲリ)核実験場の爆破
を公開。しかし、
これら
の措置は
、北朝鮮がこれまでに累次の核実験及び弾道ミサイル発射を通じて獲得した
核・ミサイル能力に変化
を及ぼすものではない
。また、
全ての大量破壊兵器及びあらゆる弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、
不可逆的な方法での廃棄は行っていない。
○ 北朝鮮が、
①
核兵器の小型化・弾頭化を既に実現
しているとみられること
②
我が国を射程に収めるノドンやスカッドERといった弾道ミサイルを保有
していること
などを踏まえれば、技術的な観点からは、北朝鮮はこれらの
弾道ミサイルに核兵器を搭載して我が国を攻撃す
る能力を既に保有
しているとみられる。
○ 北朝鮮のこうした軍事動向は、
我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威
であり、地域及び国際社会
の平和と安全を著しく損なうものとなっている。
○ また、北朝鮮は
2021年1月の党大会で、
核抑止力の強化
などに言及している。
○ 2016年、2017年だけで、
3回
の核実験の他、
40発
もの弾道ミサイルの発射を強行。
〇 2017年後半は特に、
新型
を含む
長射程
の弾道ミサイルを繰り返し発射。
○ 2019年5月以降、
新型短距離弾道ミサイル等
を繰り返し発射。
○ 2019年10月には
新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)
を発射。
北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射
2月12日 第3回核実験 1月6日:第4回核実験、9月9日:第5回核実験 9月3日 第6回核実験指導者
年
弾道ミサイル
発射数
核実験
金日成主席
1993年
不明
―
金正日国防委員長
1994年
~
2011年
16発
(
1998年、
2006年、
2009年に発
射)
2回
金正恩国務委員長
2012年
~
現在
88発
4回
北朝鮮の弾道ミサイル発射数・核実験回数
北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射事案
2
■テポドン ■テポドン2・派生型 ■SRBM/MRBM (スカッド、ノドン、「北極星2」) ■SLBM ■IRBM (ムスダン、「火星12」) ■ICBM級 (「火星14」「火星15」) ■不明 (弾種不明・弾道ミサイルの 可能性があるもの等) ■新型短距離弾道ミサイル 5月25日 第2回核実験 10月9日 第1回核実験 (画像:韓国統一部北朝鮮情報ポータル)※いずれも震源地は北朝鮮 北東部・豊渓里周辺
豊渓里
(プンゲリ)
観測された地震の規模及び推定出力
2006年
10月
2009年
5月
2013年
2月
2016年
1月
2016年
9月
2017年
9月
地震の規模
(CTBTO発表の値)
M4.1
M4.52
M4.9
M4.85
M5.1
M6.1
推定される出力
(※TNT換算)約
0.5-1kT
約
2-3kT
約
6-7kT
約
6-7kT
約
11-12kT
約
160kT
過去5回の核実験と比較すれば、最大の出力
推定出力から考えれば、水爆
実験であった可能性も否定で
きない
ものと認識。
○
17年9月の核実験について、北
朝鮮は、
水爆実験を成功裏に断行
したと主張。
技術的な成熟が見込まれることなどを踏
まえれば、
北朝鮮は核兵器の小型化・弾
頭化を既に実現しているとみられる
。
ICBMに搭載する水爆と主張する物体を視察 する金正恩党委員長○ 5回目の核実験について、「
新たに研究、製作した核弾
頭の威力判定のための核爆発実験が成功裏に行われた
」
と、6回目の核実験について、「
ICBM装着用水爆実験を
成功裏に断行
」と発表
水爆の保有に関する評価
小型化・弾頭化に関する評価
北朝鮮による核開発の現状について
3
【参考】広島:約15kT(ウラン)、長崎:約21kT(プルトニウム) (画像:朝鮮中央通信HP)※ 北朝鮮の保有する弾道ミサイルのペイロードは、ノドンが700~1,200kg 、スカッドERが300kgとされる。
(ジェーン年鑑)
4
5
弾道ミサイルとは
○
弾道ミサイル
は、放物線を描いて飛翔する、ロケットエンジン推進のミサイルで、長距離離れた目標を攻撃す
ることが可能。核・生物・化学兵器などの
大量破壊兵器の運搬手段としても使用
される。
○ 有効に対処するには
極めて精度の高い迎撃システムが必要
。
○一般的な弾道ミサイルの構成
推進部 誘導部 弾頭 (例は2段式ミサイル)○弾道ミサイルと巡航ミサイルの違い
弾道ミサイル
巡航ミサイル
• 放物線を描いて飛翔する、ロケット推進の
ミサイル。
• 長距離にある目標を攻撃することが可能。
• 速度が速い。
• 基本的にジェットエンジン推進の、航空機
に似た形状の誘導式ミサイル。
• 低空飛行が可能。
• 飛行中に経路の変更が可能で、命中精度
が極めて高い。
区分ごとの弾道ミサイルの飛翔イメージ○弾道ミサイルの区分
<1,000 SRBM 1,000-3,000 MRBM >5,500 ICBM距離
(km)
高
度
3,000-5,500 IRBM※弾道ミサイルの区分は、米ミサイル防衛庁ホームページ記載のBallistic & Cruise Missile Threat.(National Air and Space Intelligence Center作成)による
極めて短い時間で、迎撃のための対応を行う必要
高高度まで、迎撃ミサイルを精密に誘導・管制し、確実に迎撃するため直撃させる必要
小さく高速な目標を確実に探知・追尾する必要
極めて精度の高い迎撃システムが必要
○弾道ミサイル迎撃における課題
ロフテッド軌道 ディプレスト軌道 ミニマムエナジー軌道○様々な飛翔経路
ミニマムエナジー軌道:最も効率的な飛翔パ ターン。 ロフテッド軌道:ミニマムエナジー軌道と比べ、 高度を高くとり、高仰角で落下するため、対処 が困難。 ディプレスト軌道:ミニマムエナジー軌道と比べ、 高度を低く抑え高速で飛翔するため、短時間 で対処する必要。発射後の制御により、いくつかの飛翔軌道を取らせることが可能。
6
北朝鮮の弾道ミサイル開発の動向(概説)
○ 北朝鮮は、
極めて速いスピードで弾道ミサイル開発を継続的に実施
。
○ 近年、
ミサイル関連技術の高度化
を図ってきており、2019年5月以降の
3種類の新型短距離弾道ミサイル
は固体燃料を使用して通常の弾道ミサイルよりも低空で飛翔
をするといった特徴を有しており、
ミサイル防衛網
の突破
を企図。高度化された技術が
より射程の長いミサイルに応用されることも懸念
。
○ 北朝鮮は、
攻撃態様の複雑化・多様化を執拗に追求
し、攻撃能力の強化・向上を着実に図っており、発射兆
候の早期の把握や迎撃をより困難にするなど、
我が国を含む関係国の情報収集・警戒、迎撃態勢への新たな
課題
。
短距離弾道ミサイルA
短距離弾道ミサイルB
短距離弾道ミサイルC
北朝鮮の呼称
「新型戦術誘導兵器」
「新兵器」「戦術誘導兵器」
「超大型放射砲」
発射事例
(19年:5/4, 5/9, 7/25, 8/6)
4回
3回
19年:8/10, 8/16
20年:3/21
7回
19年:8/24, 9/10, 10/31, 11/28
20年:3/2, 3/9, 3/29
飛翔距離
600km程度
400km程度
400km程度
飛翔高度
北朝鮮が保有しているスカッドの軌道よりも低い(100km未満)
100km程度又はそれよりも低い
推進方式
固体燃料
運用
TEL
2019年以降に北朝鮮が発射した3種類の新型短距離弾道ミサイル
※分析中のものを含む。※飛翔距離について、過去の発射事例のうち最大のものを記載。 (画像:朝鮮中央通信HP)北朝鮮の弾道ミサイル開発の動向(1)
7
注:「」は北朝鮮の呼称
イメージ図 スカッドER(2017年3月)①長射程化
②飽和攻撃のために必要な正確性・連続射撃能力・運用能力の向上
・過去に例のない地点から、早朝・深夜に
TELを用いて複数発発射(2014年~)
⇒
任意の地点から任意のタイミングで発射できる
ことを示す
・
同時発射
:スカッドER3発(
2016年9月)、スカッドER4発(2017年3月)
⇒
運用能力の向上
を企図
・スカッド改良型(
2017年5月)
⇒終末誘導機動弾頭を装備しているとの指摘。
攻撃の正確性の向上
を企図
・異なる場所から発射し、
特定の目標に命中
させることを追求(
2019年5月~)
・
2発の短距離弾道ミサイルの発射間隔が1分未満(2019年11月、2020年3月)
⇒
連続射撃能力の向上
を企図
・新型の短距離弾道ミサイルと様々な火砲を組み合わせた射撃訓練等
⇒
実戦的な運用能力の向上
を企図
ICBM級「火星14」 (射程5,500㎞以上) 8月29日の発射イメージ 9月15日の発射イメージ 順安(スナン) 平壌(ピョンヤン)「火星12」発射イメージ
(いずれも
2017年)
(画像:「朝鮮の今日」、朝鮮中央通信HP) テポドン2派生型、 ICBM級「火星15」※ (射程10,000km以上) 短距離弾道ミサイル(2019年11月) 卵島への着弾(2019年8月) ※弾頭の重量等による IRBM級「火星12」 (射程約5,000㎞)注:「」は北朝鮮の呼称
2020年10月10日の
軍事パレードには、
新型ICBM級弾道ミ
サイルの可能性
があ
るものが登場
・
発射台付き車両(TEL)
や
潜水艦
を使用する場合、
任意の地点からの発射が可能
であり、
発射の兆候を事前
に把握するのが困難
になる。
・ また、一般的に、
固体燃料推進方式のミサイル
は、固体状の推進薬が前もって充填されており、発射前に燃料
充填が必要な液体燃料推進方式に比べ、即時発射が可能であり、発射の兆候が事前に察知されにくく、かつ、
保管や取り扱いも比較的容易であることなどから、
軍事的に優れている
とされる。
⇒ 発射の兆候把握を困難にするための
秘匿性
や
即時性
を高め、
奇襲的な攻撃能力の向上
を図っているものと
みられる。
固定式発射台
/TEL・潜水艦の違い
発射台付き車両(
TEL)
潜水艦
弾道ミサイルの燃料は、固体と液体の2種類がある。
固体燃料
安定性があり、保管が容易
燃料の充填が予め可能で、移動式ミサイルに最適
推力の制御が難しい
液体燃料
推力の制御が容易
燃料の取扱いが難しく、長期保管は困難
燃料の充填に時間がかかる
【参考】固体/液体燃料推進方式の違い
8
北朝鮮の弾道ミサイル開発の動向(2)
③秘匿性・即時性の向上、奇襲的攻撃能力の向上
固体燃料
/液体燃料の違い
外部からの攻撃に脆弱
移動可能
任意の地点から発射可能
⇒ 見つかりにくい
海中から発射
⇒ 見つかりにくい
(画像:「朝鮮の今日」、朝鮮中央通信HP)変則的な軌道
○ イスカンデルは、尾翼を動かすことにより姿
勢を制御し、飛翔中の機動が可能。
○ 北朝鮮自身も「防御が容易ではないであろ
う…
低高度滑空跳躍型飛行軌道
」等と発表
イスカンデルの飛翔軌道(イメージ図)
・新型短距離弾道ミサイル(2019年5月、7月、8月)
⇒通常よりも低高度を飛翔で変則的な軌道で飛翔可能とされる「イスカンデル」と外形上類似点がある。一般に、
「イスカンデル」のようなものは、
ミサイル防衛網を突破することを企図
しているとの指摘
イスカンデルがとるとされる迎撃回避方法
①上昇時の機動
②低空軌道によるレーダー回避
③ステルス性が高く、小さいレーダー反射
④終末段階の機動
(Jane’s)
9
④低高度・変則的な軌道
北朝鮮・短距離弾道ミサイルA (2019年5月、7月、8月) ロシア「イスカンデル」北朝鮮の弾道ミサイル開発の動向(3)
(画像:朝鮮中央通信HP、CSIS Missile Threat)
2021年1月14日の軍事パレードに登場した、新型弾
道ミサイルの可能性があるものについては、短距離
弾道ミサイル
Aとの外見上の類似が指摘されている。
2017年5月14日の新型弾道ミサイル1発発射
の翌日に公開された画像
・ 2016年
6月22日に発射されたムスダン(2発目)は、
1,000kmを超える高
度
に達した上で、約
400km飛翔。
・
2017年5月14日に発射された中距離弾道ミサイル(IRBM)級の新型弾
道ミサイルは、
2,000kmを超える高度
に達した上で、約
800km飛翔。
・
2017年7月4日に発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)級新型弾道ミ
サイルは、
2,500kmを大きく超える高度
に達した上で、約
900km飛翔。
・
2017年7月28日に発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)級新型弾道ミ
サイルは、
3,500kmを大きく超える高度
に達した上で、約
1,000km飛翔。
・
2017年11月29日に発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)級新型弾道
ミサイルは、
4,000kmを大きく超える高度
に達したうえで、約
1,000km飛
翔。
・
2019年10月2日に発射された新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)
は、
最高高度は約
900km
に達したうえで、約
450km飛翔
10
北朝鮮の弾道ミサイル開発の動向(4)
・ 「
ロフテッド軌道
」 による発射(
2016年~)⇒一般論として、
迎撃がより困難
・ IRBM級やICBM級弾道ミサイルも、発射角度(ロフテッド軌道)によっては我が国にも飛来しうる
⑤発射形態の多様化
ロフテッド軌道 ディプレスト軌道 ミニマムエナジー軌道 (画像:「朝鮮の今日」HP内の動画よりキャプチャ)北朝鮮が保有・開発してきた弾道ミサイル
11
(JANE’S STRATEGIC WEAPON SYSTEMS等を基に作成) 【注】青字は北朝鮮の呼称 ※1 新型SRBM(A)・(B)・(C)の射程は実績としての最大射程 ※2 弾頭の重量等による トクサ 新型SRBM (A)・(B)・(C) スカッドB・C・ER ・改良型 ノドン・ 改良型 SLBM SLBMの 地上発射 改良型
SLBM ムスダン IRBM級 ICBM級 ICBM級 テポドン2派生型 射程 約120 km 約600km/約400km/ 約400km※1 約300km/約500km/ 約1,000km/ 分析中 約1,300km/ 1,500km 1,000km 以上 1,000km 以上 約2,000km 約2,500 ~ 4,000km 約 5,000km 5,500km以上 10,000km以上※2 10,000km以上 燃/段 固、1 固、1 固、1 固、1 液、1 液、1 固、2 固、2 固、2 液、1 液、1 液、2 液、2 液、3 運用 TEL TEL TEL TEL TEL TEL 潜水艦 TEL 潜水艦 TEL TEL TEL TEL 発射場