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Serial ATAテクノロジーとSerial Attached SCSIテクノロジー

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(1)

テクノロジ

ブリーフ

TC030605TB

HP industry

standard servers

2003 年 6 月

Serial ATA テクノロジと

Serial Attached SCSI テクノロジ

概要...2

はじめに...2

シリアル アーキテクチャ:将来のHDDテクノロジ...2

パラレルATAテクノロジ ... 2 パラレルSCSI... 4 シリアル ドライブ テクノロジ... 5 LVDシグナリング ...5 ポイント ツー ポイント接続...6 8b/10bエンコーディング ...6

Serial ATA テクノロジ ...7

SATA 1.0 ... 7 主要なコンポーネント...7 SATA II ... 9 パフォーマンスの向上...9 下位互換性 ...9 SATAの位置付けとロードマップ... 9

Serial Attached SCSI テクノロジ...10

パフォーマンス ... 10 主要なコンポーネント ... 10 SAS/SATAの互換性 ... 11 SASトポロジ ... 12 内部...12 JBODでの内部/外部...12 マルチノード クラスタ...12 SASの位置付けと ロードマップ ... 13

まとめ ...13

フィードバック...13

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概要

このテクニカル ブリーフでは、パラレル ATA と SCSI、およびそれに対応するシリア

ル テクノロジである Serial ATA と Serial Attached SCSI について、技術的な相違点を説 明します。さらに、将来のエンタープライズ テクノロジの帯域幅に関する要件を満た すため、業界がこれらのシリアル テクノロジに移行しようとしている理由についても 説明します。

はじめに

IT 管理者がデータセンターのストレージ ソリューションを選択するに当たって、その 柔軟性が限定されています。その選択肢は、パラレル ATA(Advanced Technology Attachment)、SCSI(Small Computer Systems Interface)、またはファイバチャネル デ ィスク インタフェースに基づく独立したシステムに限定されてきました。これらのス トレージ オプションによって、コア テクノロジを導入および再導入する IT 管理者に できることが限定されることとなり、その結果として、企業に大きなコストと管理上 の負担がかかることになります。シリアル I/O アーキテクチャの出現により、現在、 HP などの主要なソリューション プロバイダは、広範囲のストレージ アプリケーショ ンの要求を満足する単一のシステムまたはストレージ ソリューションを提供すること ができるようになりました。これによって、IT 管理者は、単一のサーバまたはストレ ージ プラットフォーム上で標準化を行うことができるようになり、現在のデータセン ターで各種のストレージ アプリケーションを管理する複雑性を劇的に緩和することが できます。

HP は、SATA(Serial ATA)および SAS(Serial Attached SCSI)業界のワーキング グ ループに積極的に参加し、ストレージ ソリューションの柔軟性とパフォーマンスに対 する IT 管理者のニーズを満足するシリアル I/O テクノロジの仕様を開発しました。 Serial ATA は、デスクトップ PC や、低コストでミッション クリティカルではないサ ーバのストレージ ソリューションとして実装されます。Serial Attached SCSI は、エン タープライズ クラスのデバイスに実装され、SCSI ハード ディスク ドライブ(HDD) の全機能を提供します。 本書では、パラレル ATA および SCSI テクノロジの現在の状況、および将来のエンタ ープライズ テクノロジの要求を満足するに当たって直面する障壁を説明します。次 に、これらのパラレル I/O テクノロジの限界を打ち破るシリアル I/O テクノロジの基本 的な機能を説明します。以降の各節では、SATA テクノロジと SAS テクノロジ、およ びそれを採用するアプリケーションについて説明します。

シリアル アーキテ

クチャ:将来の

HDD テクノロジ

現在主流となっているパラレル I/O アーキテクチャの ATA と SCSI は、将来のエンタ ープライズ テクノロジの要件を満たす上で、いくつか課題に直面しています。この節 では、将来のエンタープライズの要件を満たす上でのパラレル ATA と SCSI の限界、 および業界がシリアル I/O テクノロジに移行している理由を記載します。

パラレルATA テクノロジ

パラレル ATA は、1980 年代に IDE(Integrated Drive Electronics)として導入されて以 来、デスクトップ製品とノートブック製品の中心的なインタフェースとなってきまし た。図 1 に、パラレル ATA アーキテクチャの主要なコンポーネントを示します。マザ ーボードに、ATA コントローラが 1 つと、パラレル ATA 接続が 2 つ組み込まれてい ます。3 つの 40 ピン コネクタ(信号ピンが 26、コマンド ピンが 15)を持つ 80 芯の リボン ケーブルを使用することにより、各 ATA コネクタに最大 2 つのデバイスを接 続できます。かさばるケーブルによって、冷却のために重要性を増しているキャビネ ット内のエアフローが妨げられますが、4 ドライブ以下の小規模なパーソナル システ ムには適しています。

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図 1. マスター ドライブとスレーブ ドライブ用に 40 ピン コネクタを持つパラレル ATA ケーブ ル デスクトップ市場やノートブック市場におけるパラレル ATA の成功は、度重なる性能 の向上と下位互換性の保証、さらに運用コストを可能な限り低下させるという目標を 常に持ち続けたことによります。パラレル ATA が導入されて以降、そのデータ転送速 度は、3MB/s から 133MB/s に向上しました(図 2)。ATA 100 と ATA 133 では、イン タフェースが一度に 1 つのドライブだけに対応すればよいことから、今日の 7200 RPM HDD の実効転送速度に対処する余裕があります。 図 2. パラレル ATA モードのデータ転送速度と HDD の実効転送速度(STR) HDD の実効転送速度(STR) は、ドライブが、複数のトラ ックとシリンダからディスク インタフェースにシーケンシ ャルにデータを転送できる速 度を意味しています。STR は、複数の内部ドライブ要因 に依存し、インタフェースの 外部転送速度(この場合には ATA)とは異なります。 このパフォーマンス グラフを見ると、ATA 100 で今日のデスクトップ クラス (5400RPM と 7200RPM)の HDD の要件に対処できるとしたら、当然のことながら、 なぜシリアル インタフェースに変更する必要があるのか、という疑問が浮かんできま す。その答えは、信号電圧とデータの信頼性に関係しています。パラレル ATA のデー タ転送は、トランジスタ間論理(transistor to transistor logic: TTL)信号に基づいていま す。TTL 信号は、パラレル ポートのピン 2 から 9 の、ある時点における高電圧状態と 低電圧状態のシーケンスによって、8 ビット デジタル値を定義します。TTL は、許容 電圧 5V、信号電圧 3.3V を使用しますが、これにより最大 5V の入力信号を許容する内 蔵回路が必要になります。コンポーネントがより微細かつ繊細なリソグラフィを使用 して作成されるようになってきたため、従来の 5V TTL の信号要件をサポートするの は飛躍的に困難になっています。 データの信頼性に関して、ATA は、巡回冗長検査(CRC)を使用して、ホストと HDD コントローラ間で伝送されるデータ信号の正確性を検証します。しかし、ATA コマンド信号は CRC では検査されないため、潜在的なエラーの発生源となります。 さらに、5V の信号要件と、コマンド信号の整合性の問題が発生しやすくなることか ら、133MB/s を超えて ATA の速度を向上させるのは困難です。 ATA MB/ s

ATA-2 ATA-3 Ultra

ATA ATA66 ATA100 ATA133

7200rpmドライブの実効転送速度

ATA

MB/

s

ATA-2 ATA-3 Ultra

ATA ATA66 ATA100 ATA133

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パラレルSCSI SCSI 仕様は、すべての周辺装置プラットフォームおよびシステム アプリケーションに

渡って使用できる共通インタフェースを提供するために開発されました。SCSI インタ フェースは、RAID(Redundant Array of Independent Disks)ストレージなど、より広範 囲のアプリケーションに対応しており、パラレル ATA インタフェースよりも広範なコ マンド セットを持っています。I/O インタフェースとしての SCSI の成功は、そのパフ ォーマンス、インテリジェンス、および下位互換性のおかげと考えることができま す。

SCSI システムは、SCSI コントローラ(イニシエータ)、SCSI バス(ケーブルとバッ クプレーン)、1 つまたは複数のターゲット デバイスで構成されます。SCSI コントロ ーラは、コンピュータとバス上の他のデバイスとのインタフェースです。SCSI コント ローラは、マザーボードに組み込まれているか、または PCI または PCI-X スロット内 の SCSI ホスト バス アダプタ(HBA)カードに内蔵されています。図 3 に、この 2 つ の構成を示します。 図 3. SCSI コンポーネント SCSI ケーブルは、SCSI コントローラを含めて、最大 16 台のデバイスを接続できま す。SCSI ケーブルは、34 本の柔らかい撚り銅線のツイストペアで、合計 68 芯で構成 されています。サーバ内の SCSI デバイスは、68 ピンのリボン ケーブルを使用して SCSI コントローラに接続されています。リボン ケーブルの各端にコネクタがあり、そ の長さの範囲内で 1 つ以上のコネクタを付けることができます。外部 SCSI デバイス は、丸型 68 ピン ケーブルを使用して SCSI HBA に接続されています。SCSI バスの各 端(この図には示されていない)には 2 組のターミネータがあり、ケーブル内の信号 の反射を防止しています。 1981 年以来、7 世代の SCSI プロトコルが存在します。世代が新しくなるごとに、パフ ォーマンスが前の世代の 2 倍に向上しています(図 4)。SCSI のパフォーマンスは、 最大 4MB/s でデータを転送する 8 ビット、シングルエンド インタフェース(SCSI-1) から、チャネルごとに 320MB/s でデータを転送する最新の 16 ビット、低電圧ディフ ァレンシャル インタフェース(Ultra320 SCSI)の範囲に渡っています。この図は、読 み取り操作時のドライブの実効転送速度(STR)に基づいて Ultra 320 SCSI が処理でき る 10K RPM ドライブと 15K RPM ドライブの数を示しています。RAID ドライブはイ ンタフェースの帯域幅を共有するので、RAID の実装においてこのことが非常に重要 な意味を持ちます。

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図 4. 10K および 15K の RPM RAID ドライブの実効転送速度で、7 世代の SCSI の帯域幅を比較

Ultra320 SCSIの開発は、Ultra160 SCSIのクロック周波数を単純に倍増する以上の非常 に挑戦的な作業でした。実際に、Ultra320 SCSIの高度なパフォーマンスは、以下のパ フォーマンス拡張機能を実装することによって可能になりました。1 • リード データとライト データのストリーミング • 迅速なアービトレーションと選択 • フロー制御 また、Ultra320 SCSI は、前置補正とトレーニングという新しい 2 つのテクノロジを導 入して、信号のスキュー(線ごとの信号の微小な遅延)と減衰が信号の整合性に与え る影響を最小にしています。Ultra320 SCSI の開発がかなり大きな電気工学的課題に直 面したため、一般に、新しい高価なテクノロジを採用することなしには、高い信頼性 を持って Ultra640 SCSI を配備することはできないと信じられています。したがって、 次のパフォーマンス向上は、Serial Attached SCSI による 3Gb/s となります。

シリアル ドライブ テクノロジ パラレル I/O アーキテクチャの限界を打破するために、サーバ業界はシリアル I/O テク ノロジに移行しています。シリアル I/O テクノロジは、フォームファクタの小型化、 電力消費の低下、技術進歩の新しい波による帯域幅の要求を満足する I/O パフォーマ ンスの向上を実現する可能性を秘めています。シリアル I/O ドライブ テクノロジは、 共通して次の機能を備えています。 • 低電圧ディファレンシャル(LVD)シグナリング • ポイント ツー ポイント接続 • 8b/10b エンコーディング LVD シグナリング パラレル バス アーキテクチャの大きな問題の 1 つとして、シグナリング速度が高速化 するのに従って、信号スキューや符号間干渉(ISI)によってビット信号の信頼性と整 合性が低下する可能性があります。ISI は、ケーブル線内のビット信号がある期間 1 つ の電圧に固定されることにより、ちょうどコンデンサに充電するように、線に電荷が 溜まることで発生します。ホスト デバイスが、荷電した線の電圧を遷移させること で、反対方向に短いシングル ビットの信号を送ろうとしても、ターゲット デバイスが この遷移を完全に見落とす可能性があります。 シリアル テクノロジは、複数のパラレル ストリームでなく、シングル ストリームで 信号を伝送します。シリアル テクノロジは、2 組のデータ線を使用して低電圧信号の 送信と受信を行う LVD シグナリング方式を採用しています。 1

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データは、各ペアの 2 本の線間の電圧差で表現されます(図 5)。線に低電圧を流す のは短い時間しか掛からないため、LVD シグナリングは、パラレル アーキテクチャ上 でのシグナリングと比較して格段に高速で実行できます。低電圧によって、静電誘 導、インダクタンス、およびノイズの影響が減少します。ノイズ発生源は、両方の線 に同じ電圧を掛ける傾向があるため、線の間の電圧差は一定のまま保たれます。 図 5. LVD シグナリング ポイント ツー ポイン ト接続 シリアル I/O アーキテクチャでは、ホストと複数のデバイス間でスイッチ型ポイント ツー ポイント リンクを設計できます。このポイント ツー ポイント アーキテクチャ は、ホストとターゲット デバイス間で複数の同時接続をサポートできます。各接続 は、複数のリンクを追加することで拡張できます。その結果、ポイント ツー ポイント アーキテクチャは、パラレル アーキテクチャよりも格段に高いスループットを提供し ます。 8b/10b エンコーディ ング パラレル バス アーキテクチャでは、データ信号とクロック信号は、イニシエータからターゲット デバイスに、パラレル線に沿って特定のシグナリング速度で伝送されま す。シグナリング速度が高速になると、スキューのためにデータ信号とクロック信号 の整列を保つのが飛躍的に困難になります。さらに、すべてのデータ信号を同時にス イッチングするために発生する電気的ノイズによって信号の整合性が劣化します。 シリアル アーキテクチャは、クロック信号をデータ ストリームにエンコードする(埋 め込む)ため、データ信号とクロック信号の整列の問題を排除できます。シリアル ア ーキテクチャでは、同時にスイッチするデータ線の数が大きく減少するため、電気的 ノイズの発生も抑えることができます。その結果、シリアル シグナリング速度は、パ ラレル バスで達成可能な速度を大きく超えて高速化できます。 シリアル通信には、パラレル データをシリアル ビット ストリームに変換するデバイ ス、そしてその逆に変換するデバイスが必要です。このデバイスはシリアライザ/デシ リアライザ(SerDes)と呼ばれ、パラレル デジタル インタフェース、FIFO(First-In-First-Out)キャッシュ、8 ビット/10 ビット(8b/10b)エンコーダとデコーダ、シリア ライザ、およびデシリアライザで構成されています(図 6 参照)。8b/10b エンコーダ は、8 ビットの各データ バイトを 10 ビットの伝送文字に変換し、クロック情報をデー タ ストリームにエンコードします。これでデータ ストリームのオーバヘッドが 20% 増加しますが、パラレル アーキテクチャで経験したクロック スキューの問題を排除で きます。 図 6. SerDes コアは、8b/10b コーディングおよびデコーディング ロジックを内蔵しています。

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Serial ATA

テクノロジ

SATA は、ATA 133 を超えるパラレル ATA の速度の向上を阻む電気的なシグナリン グ、ケーブリング、およびデータ堅牢性の問題に対応します。SATA は、より低いシ グナリング電圧、エンド ツー エンドのデータ保護、ホットプラグ機能、およびコネク タ ピン数の減少(結果としてケーブルが薄くなり、配線が簡単)を実現しています。 SATA 仕様は、SATA 1.0、SATA II フェーズ 1、および SATA II フェーズ 2 の 3 つのパ ートでリリースされています。SATA 1.0 は、パラレル テクノロジからシリアル テク ノロジへの移行を表します。SATA II フェーズ 1 は、低コスト サーバとネットワーク ストレージ市場のニーズに対応する機能を追加しています。SATA II フェーズ 2 は、 データ転送速度を 300MB/s に向上させるとともに、以下に説明する拡張機能を追加し ています。

SATA 1.0 SATA 1.0 仕様は 2001 年 8 月にリリースされ、ANSI T13 に組み込まれました。この仕 様は、帯域幅の増大と、パラレル ATA アーキテクチャに関連する設計上の問題の緩和 に焦点を当てています。Serial ATA は、最大帯域幅 1.5Gb/s または 20%のエンコーディ ング オーバヘッドの影響を含めて 150MB/s で導入されています(「8b/10b エンコーデ ィング」を参照)。表 1 に、その他の重要な変更点をまとめます。 表 1. パラレル ATA と SATA の比較 SATA 1.0 は、パラレル ATA に代わるものとして設計されていますが、これはデスク トップの要求に対応することを意味しています(ノンホットプラグ)。Serial ATA は、旧来の Ultra ATA とハードウェアの互換性はありません。しかし、ATA プロトコ ルとは完全な互換性があり、したがって既存の ATA ドライバともソフトウェアの互換 性があります。以下に、主要なハードウェア コンポーネントを説明します。

パラレル ATA Serial ATA

帯域幅 133MB/s 150MB/s 電圧 5V 250mV ピン数 40 7 ケーブル長 45.7cm(18 インチ) 100cm(39 インチ) 主要なコンポーネント SATA コントローラは、マザーボードに組み込むこと も(図 7)、また PCI 拡張スロットにプラグ接続する こともできます。SATA コントローラにはいくつかポ ートがあり、デバイス接続や外部接続に使用できま す。 SATA は、パラレル ATA の 40 ピン コネクタと 18 イ ンチ長の幅広リボンケーブルを、7 ピン コネクタ(4 本の信号線と 3 本の接地線)と最大 1m 長の小径ケー ブルで置き換えます。細いケーブルによって、エアフ ローと配線が改善します。 SATA 1.0 は、パラレル ATA のマスター/スレーブの概念を捨て、ケーブルごとに 1 デ バイスだけを許可しています。システムは、これをマスターATA デバイスと解釈しま す(図 8)。これらのポイント ツー ポイント接続によって、各ドライブは、最初に他 のデータ トラフィックがクリアされるのを待つことなくコントローラと通信できま す。 また、SATA は、7/8 インチ幅、15 ピン、単一列の電源コネクタを備えています。電源 コネクタはホットプラグ機能を備えており、マシン全体の電源を切断することなく、 ドライブを交換できます。 図 7. SATA ケーブル

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図 8. Serial ATA コントローラは、各ポートに 1 デバイスを接続し、ポイント ツー ポイント接続 を構成します。 SATA コントローラは、エクスパンダ(低コストのスイッチ)を使用して、単一ポー トから複数のターゲット デバイスに「広がる」ことができます(図 9)。 図 9. SATA エクスパンダによって、多数のデバイスへの接続が可能になります。 PC にとって有用なこれらの機能にも関わらず、SATA 1.0 仕様には、ある種のサーバ やネットワーク ストレージ アプリケーションで必要とされる高度な機能のサポートが 欠けています。

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SATA II SATA II は、SATA 1.0 の仕様が進化した最初のものです。SATA II 仕様は、2 つのフェ ーズで開発されています。2002 年 10 月にリリースされた SATA フェーズ 1 仕様は、 サーバとネットワーク化されたストレージ アプリケーションに関して、SATA デバイ スの能力を向上させています。2004 年にリリースされる予定の SATA フェーズ 2 仕様 は、すべての SATA 市場セグメントに対するシグナリング速度を向上させます。 パフォーマンスの向上 SATA フェーズ 1 は、ネイティブ コマンド キューイング、アウト オブ オーダ実行と 配信、およびデータ スキャタ/ギャザー リストを備えています。 • ネイティブ コマンド キューイングでは、ハード ドライブは、プロセッサからデー タに対する複数の要求を受けた後、スループットを最大にするようにこれらの要求 の順序を並べ直します。SATA II ハード ドライブは、CPU の支援なしで要求をキュ ーに入れたり、実行したりできます。 • アウト オブ オーダ実行と配信では、実行リソースを可能な限りビジーに保ちま す。ネイティブ コマンド キューイング モデルでは、この機能によって、コマンド が要求したデータの後半部分を、データの前半部分より前に配信して実行できま す。コマンド内のアウト オブ オーダ データ配信が望ましい場合には、ノンゼロ バ ッファ オフセットのサポートが必須です。 • データ スキャタ/ギャザー リストは、ダイレクトメモリ アクセス(DMA)エンジン が、転送バッファ全体が入ったメモリ領域を探索するのを支援するデータ構造で す。仮想メモリ マッピング メカニズムでは、バッファが非連続な複数の物理メモ リ ページに渡って分散するので、この支援が有効です。 SATA フェーズ 2 では、データ転送速度が、3Gb/s または 20%の 8b/10b エンコーディ ング オーバヘッドで 300MB/s に向上します。 下位互換性 SATA II は、オープン スタンダード環境で開発されているわけではありません。これ は、SATA 運営委員会(推進委員)によって管理されています。SATA II の高度な機能 では、オペレーティング システムとドライバ サポートのアップデートが必要です。 SATA II デバイスは SATA 1.0 と下位互換がありますが、データ速度は SATA 1.0 の 150MB/s のみとなります。また、SATA 1.0 デバイスは、Serial ATA II ホストでも動作 します。 SATAの位置付けと ロードマップ SATA は、デスクトップに必要な信頼性、機能性、およびパフォーマンスを低コスト で提供することから、その前世代機能であるパラレル ATA と同様にデスクトップ市場 の主流になると考えられます。インタフェース機能が限定されること、および典型的 なドライブ メカニズムの信頼性が低いことから、SATA の主な使用分野は、PC デスク トップ、ノートブック、ミッション クリティカル以外のサーバ ストレージ、およびコ ンシューマ、ゲーム、ビデオ レコーディングなどの新興市場になります。 SATA 1.0 HDD の「ブリッジ」ソリューションが、2003 年の末から出荷されていま す。SATA ブリッジ HDD では、SATA から PATA に変換または「ブリッジ」するアプ リケーション固有の内蔵回路(ASIC)が必要となり、デバイスのコストが上昇すると ともに、パフォーマンスが若干制限されます。第 2 世代の SATA HDD は、ASIC イン タフェースを内蔵しています。SATA 1.0 コントローラと HDD は、2004 年の上期に製 品発表しています。SATA 光学デバイスは、1 年以上遅れる可能性があります。ホット プラグやネイティブ コマンド キューイングなど、SATA II フェーズ 1 の機能は、2003 年の下期から提供される第 2 世代のデバイスを対象としています。シグナリング速度 3.0Gb/s の SATA II フェーズ 2 デバイスは、2005 年を目標としています。

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Serial Attached

SCSI

テクノロジ

Serial Attached SCSI は、SCSI の機能に基づいてエンタープライズ用に構築されたポイ ント ツー ポイント ディスク インタフェースです。SAS アーキテクチャは、高速のシ グナリング速度時にパラレル SCSI で経験したクロック スキューや信号劣化の問題を 解決します。SAS は、コマンド セットをパラレル SCSI から、フレーム フォーマット をファイバ チャネルから、物理的な特性を Serial ATA から継承しています。 HP(Compaq)、IBM、LSI Logic、Maxtor、および Seagate は、2001 年に Serial Attached SCSI Working Group を設立しました。SAS は、そのテクノロジが業界標準で あることを保証するため、オープン スタンダード(ANSI T10)環境で開発されていま す。 パフォーマンス SAS は、リンクごとに最高 300MB/s を達成し、データ、コマンド、ステータス情報が 双方向に流れる全二重モードで動作します。SAS インタフェースは、複数のリンクを 組み合わせて、スケーラブルな帯域幅を実現する 1x、2x、3x、または 4x 接続を実現 できます。それとは対照的に、Ultra320 SCSI は、チャネルごとに 320MB/s の半二重帯 域幅を持っています。

図 10 に、SAS および Ultra320 SCSI の帯域幅を、15K RPM ドライブ数の帯域幅要求と 対比して示します。Ultra320 SCSI は、(チャネルごとに)最大 4 台の 15K RPM RAID ドライブの STR を処理できるのに対して、4x SAS は最大 16 台のドライブの要求を満 足することに注意してください。

図 10. 15K RPM HDD の実効転送速度と比較した、SAS リンクおよび Ultra320 SCSI の帯域幅

主要なコンポーネント SAS コントローラは、内部デバイス リンクまたは外部リンクとして配備されます。す べての SAS デバイスは 1 つまたは複数のポートを持つことができ、各ポートはナロー (シングル リンク)ポートまたはワイド(マルチリンク)ポートとして構成できま す。SAS アーキテクチャは、データ転送速度が 300MB/s のリンクを、最大で 4,096 リ ンクまでサポートできます。 エクスパンダは、最大 128 の物理リンクを提供することにより、コントローラから多 数のデバイスに接続可能にします(図 11)。これらのリンクには、SAS デバイス、 SATA デバイス、他のエクスパンダ、および他のホスト接続が含まれます。 SAS インタフェースは 2 つの全二重リンクを持つことができますが、これにより、同 時データ転送は 2 つに限定されます。第 2 世代の SAS デバイスは、ハイアベイラビリ ティ構成用にリダンダント パスをサポートする 2 つのポートを持ちます。

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図 11. Serial Attached SCSI コンポーネント

SAS/SATAの互換性 SAS アーキテクチャでは、SAS デバイスと SATA デバイスの両方を装備するシステム 設計が可能であり、エンタープライズ カスタマにとってブレークスルーとなります。 これは、IT 管理者に対して、信頼性、パフォーマンス、およびコストに基づいてスト レージ デバイスを選択する柔軟性を与える幅広いストレージ ソリューション(図 12)を提供するものです。SAS デバイスと SATA デバイスは、SAS コネクタの拡張を 除いて、同じ物理デバイス コネクタを共有します。この拡張によって、SAS は、 SATA デバイス接続を受け付けることができます。しかし、SATA は、現在の仕様に 基づく SAS デバイス接続を受け付けるわけではありません。

SAS は、SMP(Serial Management Protocol)、SSP(Serial SCSI Protocol)、および STP (SATA Tunneling Protocol)の 3 つのプロトコルをサポートして、各種デバイスとの通 信を処理します。SMP は、エクスパンダのポイント ツー ポイント トポロジの管理に 使用されます。SSP は、コントローラが SAS デバイスおよび既存の SCSI ソフトウェ アと通信するのを可能にします。一方、STP は、SAS コントローラと SATA デバイス の通信を可能にします。電源投入または再起動の後、SAS ドメインは、初期化シーケ ンスを通して、各種のデバイスと通信する適切なプロトコルを判断します。 図 12. SAS アーキテクチャは、IT 管理者にソリューションを選択する柔軟性をもたらします。

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SASトポロジ Serial Attached SCSI は、高度にスケーラブルなトポロジ(内部、外部、その両方の組 み合わせ)を可能にすることで、製造企業と顧客に対して、幅広いソリューションを 設計および配備する柔軟性を提供します。

内部 図 13 に、内部 RAID システムに使用できるトポロジを示します。SAS RAID コントロ

ーラは、SAS デバイスまたは SATA デバイスから成る 2 台から 8 台までの内部 HDD ドライブをサポートできます。小型の SAS コネクタは、3.5 インチまたは 2.5 インチの 内部 HDD への接続を可能にし、ブレード サーバのような高密度のサーバ フォームフ ァクタでのリダンダント ストレージ構成を可能にします。

図 13. 内部ストレージ アプリケーションのトポロジ

JBOD での内部/外部 SAS インタフェースは、1 つのバックプレーンに SAS ドライブと SATA ドライブのど

ちらでもプラグ接続可能にすることにより、新しいレベルの選択肢を提供します。こ れにより、ドライブ アレイを SAS、SATA、またはその両方で構成する柔軟性を提供 し、エンタープライズ デバイスとデスクトップ デバイスを同じサーバまたはネットワ ーク ストレージ サブシステムで使用可能にします。 図 14. 内部および外部ストレージ アプリケーションのトポロジ マルチノード クラスタ 高度にスケーラブルなアーキテクチャによって、ハイアベイラビリティ(フェイルオーバ)や負荷分散のためにマルチノード クラスタリングをサポートするトポロジが可 能になります(図 15)。 図 15. マルチノード クラスタ アプリケーションのトポロジ

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SASの位置付けと

ロードマップ

旧来のパラレル SCSI ソフトウェアと SAS の互換性によって、既存の SCSI ユーザに対 して移行パスが提供され、DAS、NAS、および SAN システムの中心的なインタフェー スとして、SAS が SCSI に取って代わるのが可能になります。SAS はファブリック ト ポロジではないので、SAN 市場ではファイバ チャネルに取って代わるのではなく、フ ァイバ チャネルを補完するよう意図されています。SAS と SATA の互換性により、高 パフォーマンスとハイアベイラビリティのみならず、メガバイト単位で見ると低コス トのソリューションを配備できます。

SAS ロードマップは、デュアル ポートのデバイスとデータ速度の向上をもたらしま す。SAS ソリューションは、2004 年 1 月 28 日に ANSI から承認を受けたことを、SCSI Trade Association(STA)と International Committee for Information Technology Standards (INCITS)が発表しました。

まとめ

SATA と SAS の利点は、SCSI ソフトウェアの投資保護、より高速の HDD パフォーマ

ンス、より長いケーブル配線距離、より小型のフォームファクタ、より大きなデバイ ス アドレス指定など、デスクトップからデータセンターまで広がっています。SATA アーキテクチャと SAS アーキテクチャは、物理的に同じデバイス コネクタを使用する ため、顧客は、SAS デバイスと SATA デバイスの両方を使用するソリューションを柔 軟に設計できます。この柔軟性は、アダプティブ エンタープライズにとって非常に重 要な意味を持ちます。

HP は、SATA と SAS のテクノロジの開発におけるリーダーです。HP は、SATA Working Group を通して SATA テクノロジの開発に貢献しています。また、HP は、 2001 年 11 月に Serial Attached SCSI Working Group を創設したメンバーでもあります。

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本書に関するご意見は、ISS Technology Communications Group に下記のインターネット

アドレスまでお寄せください。TechCom@HP.com(英語)

本書に記載するすべての製品名は、各企業の商標または登録商標です。 本書の内容は、将来、予告なしに変更されることがあります。

© 2003 Hewlett-Packard Development Company, L.P. © 2003 日本ヒューレット・パッカード株式会社 2003 年 6 月

図 1. マスター ドライブとスレーブ ドライブ用に 40 ピン コネクタを持つパラレル ATA ケーブ ル  デスクトップ市場やノートブック市場におけるパラレル ATA の成功は、度重なる性能 の向上と下位互換性の保証、さらに運用コストを可能な限り低下させるという目標を 常に持ち続けたことによります。パラレル ATA が導入されて以降、そのデータ転送速 度は、3MB/s から 133MB/s に向上しました(図 2)。ATA 100 と ATA 133 では、イン タフェースが一度に 1 つのドライブだけ
図 4. 10K および 15K の RPM RAID ドライブの実効転送速度で、7 世代の SCSI の帯域幅を比較
図 8. Serial ATA コントローラは、各ポートに 1 デバイスを接続し、ポイント ツー ポイント接続 を構成します。  SATA コントローラは、エクスパンダ(低コストのスイッチ)を使用して、単一ポー トから複数のターゲット デバイスに「広がる」ことができます(図 9)。  図 9
図 10 に、SAS および Ultra320 SCSI の帯域幅を、15K RPM ドライブ数の帯域幅要求と 対比して示します。Ultra320 SCSI は、(チャネルごとに)最大 4 台の 15K RPM RAID ドライブの STR を処理できるのに対して、4x SAS は最大 16 台のドライブの要求を満 足することに注意してください。
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