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Microsoft Word - 不動産ファンドに関する国際財務報告基準 第6回.doc

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第6回

固定資産の減価償却

あらた監査法人 代表社員 公認会計士 清水 毅 はじめに 投資不動産の会計処理については、第2回「投資不動産の会計処理」で解説したとおり、国際会計基準(以下 IAS)第40号「投資不動産」の規定により、1)公正価値による評価(公正価値モデル)と2)原価による評価(原価モ デル)の選択適用が認められています。 「原価モデル」を選択した不動産ファンドは、IAS第16号「有形固定資産」の規定に従い、投資不動産の取得価 額、減価償却の方法等を決めていくことになります。今回は、「原価モデル」を選択した場合、実務上税法の規定 に従った会計処理が容認されている日本基準と、IFRSの違いに焦点をあてて解説したいと思います<図表1参 照>。なお、文中意見に係わる箇所は筆者の個人的見解です。

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1.有形固定資産の認識 IFRSにおいて、有形固定資産は、資産に関連する将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、かつ当 該資産の取得原価を信頼性をもって測定できる場合に認識されます。 日本基準では、特別な規定はありませんが、不動産であれば、通常不動産の受渡しが完了した時点で自社の 資産として認識します。特別な条件が付いていない限り、実務的に大きな差異はないと考えられます。 2.有形固定資産の当初測定 IFRSでは、有形固定資産は当初取得価額で測定されます。取得原価には、資産を取得するのに要した対価に 資産をその用途に供するために直接必要となった「付随費用」を含めます。 IFRSにおいては、「付随費用」には<図表2>に記載の項目が含まれるとされています。 日本基準も、連続意見書第3に「固定資産を購入によって取得した場合には、購入代金に買入手数料、運送費、 荷役費、据付費、試運転費等の付随費用を加えて取得原価とする」と規定されており、基本的にはIFRSと同様の 扱いになると考えられます。 3.借入費用の資産化 IFRSにおいては、「適格資産」の取得、建設または生産を直接の発生原因とする借入費用は、当該資産の取得 価額の一部として資産計上しなければならないとされています。「適格資産」とは意図した使用または販売が可能 になるまでに相当程度の期間を要する資産をいいます。IFRSでは、「適格資産」に直接関係する借入費用の金額 がある場合はこれを取得原価に含めますが、一般の借入金がある場合には、「適格資産」に対応する部分を算定

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価に算入することが例外的に認められています。また、不動産開発事業を行う場合にも、以下の条件を満たして いる場合、支払利息を原価に算入する処理も認められています。 1)所要資金が特別の借入金によって調達されていること 2)適用される利率は一般に妥当なものであること 3)原価参入の終期は開発の完了までとすること 4)正常な開発期間の支払利子であること 5)開発の着手から完了までに相当の長期間を要するもので、かつ、その金額の重要なものであること 4.取得後の支出 IFRSでは、取得後の修繕費用は発生時に費用化されます。固定資産の構成部分の取替は固定資産の認識基 準を満たしたときに資産化されます。定期的に発生する大規模な検査または修繕の費用は、同じく固定資産の認 識基準を満たしたときに資産化されます。交換される部分の正味帳簿価額は、定期修繕時に費用化されます。 日本基準において、有形固定資産の耐用年数の延長あるいは用益提供能力の向上にかかる費用は「資本的 支出」として資産計上されます。実務上は、両者に大きな差はないと考えられます。

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5.資産除去債務 IFRS では、資産の解体および除去費用、ならびに敷地の原状回復費用等に対する経営者による最善の見積 額について、債務が存在する時点で計上することが要求されます。この見積額は、長期性資産の取得、建設また は開発の結果生じる現在の債務を基礎とします。現在の債務が存在しているかどうかが明確でない場合には、 その可能性が「どちらかといえば高い」かどうか(more-likely-than-not)という判断基準で事実関係を評価すること になります。当該可能性の判断は、該当する債務の支払の可能性を踏まえて評価する必要があります。 IFRSでは、貨幣の時間的価値に関する市場調査および負債特有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて 資産除去債務を計算します。 日本基準でも、資産除去債務は、債務が発生したときに、有形固定資産の除去に要する割引前の将来キャッシ ュ・フローを見積り、割引後の金額(割引価値)で算定します。日本基準では割引率は、貨幣の時間的価値を反映 した無リスクの税引前の利率とすることになっています。 不動産ファンドにおいて、資産除却債務を計上すると、1)過年度分を特別損失として計上した金額が損金算入 されない2)その後の減価償却費増加部分が損金算入されないという税務上の問題が発生することになります。

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6.減価償却 IFRSにおいて、有形固定資産の減価償却費は、企業が資産の便益を消費するパターンを反映するかたちで、 その耐用年数にわたり規則的に配分します。さらに、企業は有形固定資産の重要な部分がそれぞれの耐用年数 を有する場合には、それらを個別に減価償却することが要求されています。まれに、SPC等において、簡便的に 建物を一括りにして減価償却が行われることがありますが、当該処理はIFRSでは認められないことになります。 減価償却方法は定期的に見直しが行われます。残存価額と耐用年数は期末日に見直しが行われます。 日本基準でも、資産の耐用年数にわたり、定額法、定率法等の一定の方式に従い、取得原価を各事業年度に 配分します。 日本基準においては、日本公認会計士協会より「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」が公表されており、 以下のように規定されています。 従って、日本では実務的には、税法に定める耐用年数と残存価額に基づき、減価償却が行われることが多くな っており、IFRSにより財務諸表を作成する際には、経済的耐用年数と実質的な残存価額を見積もり、減価償却を 行うことになります。

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7.取得後の測定 「原価モデル」が採用された固定資産は取得原価から減価償却累計額と減損損失累計額を差引いた額で計上 します。「原価モデル」を採用している場合、事実や状況の変化により資産の帳簿価額を回収できないことが示唆 されるときには減損テストを実施し、回収可能価額まで帳簿価額を引き下げることになります(注:減損会計につ いては、ARES43号:第5回「不動産の減損」を参照)。 日本基準においても、IFRSの「原価モデル」と同様に、投資不動産および有形固定資産は、取得原価から減価 償却累計額と減損損失累計額を差引いた額で計上します。日本基準では、不動産や有形固定資産を公正価値で 評価することは認められていません。IFRSと同様に、事実や状況の変化により資産の帳簿価額を回収できない ことが示唆されるときには減損テストを実施することになります。

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不明の点、さらに詳しい説明等のご要望がございましたら、あらた監査法人 清水までお問合せ下さいますよ うお願いいたします。 清 水 毅 公認会計士、日本証券アナリスト協会検定会員、不動産証券化協会認定マスター あらた監査法人 代表社員 不動産ファンドおよび運用会社に対して、監査およびアドバイス業務を提供。 主たる著書として、「投資信託の計理と決算」(中央経済社・共著)、「不動産投信の経理と税務」(中央経済社・共著)、「集団投資スキームの会計 と税務」(中央経済社・共著)等。あらた監査法人の不動産業・IFRS チャンピオン、および PwC・Global の IFRS・業種別委員会・不動産部会の委 員を務める。

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