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(1) 随伴症状随伴症状の発現状況を全事象について表 に, 副作用について表 に示した また, 随伴症状の器官分類別の発現件数を全事象について表 に, 副作用について表 に示した 随伴症状 ( 全事象 ) はタクロリムス群で 2

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2.7.6.1.4.3 安全性 1)有害事象の発現率

有害事象の集計・分析に際しては,治験責任/分担医師の記載用語を MedDRA/J(Version 7.1)(以 下,MedDRA/J 7.1 と略)に準じて読み替えた。なお,有害事象の器官別大分類には primary SOC(System Organ Class)を用いた。また,有害事象の分析では,基本語(preferred term:PT)を用 いた集計結果を示したが,判り易さを考慮し,一部 AST,ALT,ALP,LDH,γ-GTP,CRP,CPK 及び NAG な どの略号で表示した。 有害事象の程度は,治験責任医師等が「1:軽度(無処置で投与継続可能な程度),2:中等度(減量 あるいは何らかの処置により,投与継続が可能な程度),3:高度(投与中止すべき程度)」の3段階 で判定した。程度はこの分類に従って表示した。 また,同一症例に同一有害事象が2回以上発現した場合は1件と扱ったが,程度別の集計におい ては程度毎に1件と扱った。評価例数が5例未満の場合は割合の集計を行わなかった。 随伴症状,感染症又は臨床検査値異常変動のいずれかが発現した症例を有害事象発現例として, その発現率を表 2.7.6-13 に示した。 有害事象(全事象)は,タクロリムス群で 28 例中 27 例(96.4%)に 151 件,プラセボ群で 35 例中 34 例(97.1%)に 192 件発現し,両群の発現率に有意差はなかった(p=1.000,Fisher の直接確率法)。 有害事象(副作用)は,タクロリムス群で 28 例中 26 例(92.9%)に 91 件,プラセボ群で 35 例中 28 例(80.0%)に 106 件発現し,タクロリムス群の発現率はプラセボ群に比べて高かったが,両群間 に有意差はなかった(p=0.277,Fisher の直接確率法)。 なお,タクロリムス群及びプラセボ群における因果関係の詳細については,2.7.6.6 付録 表 2.7.6-152~154 に示した。 また,有害事象のために治験薬の投与中止に至った症例は,タクロリムス群で 28 例中5例 (17.9%),プラセボ群で 35 例中4例(11.4%)であり,治験薬の投与中止に至った有害事象はいず れも副作用と判定された。 表 2.7.6-13 有害事象発現率 全事象 副作用 投与群 タクロリムス群 プラセボ群 タクロリムス群 プラセボ群 評価例数 28 例 35 例 28 例 35 例 発現件数 151 192 91 106 発現例数(発現率) 27 例(96.4%) 34 例(97.1%) 26 例(92.9%) 28 例(80.0%) 検定(Fisher の直接確率法) p=1.000 p=0.277 中止例数(中止率) 5 例(17.9%) 4 例(11.4%) 5 例(17.9%) 4 例(11.4%)

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(1) 随伴症状 随伴症状の発現状況を全事象について表 2.7.6-14 に,副作用について表 2.7.6-15 に示した。 また,随伴症状の器官分類別の発現件数を全事象について表 2.7.6-16 に,副作用について表 2.7.6-17 に示した。 随伴症状(全事象)はタクロリムス群で 28 例中 24 例(85.7%)に 61 件,プラセボ群で 35 例中 27 例(77.1%)に 65 件発現し,両群の発現率に有意差はなかった(p=0.523,Fisher の直接確率法)。タ クロリムス群の主な事象(全事象)は,悪心 28 例中6例(21.4%),頭痛 4例(14.3%),腹痛 3例 (10.7%)であった。一方,プラセボ群では悪心 35 例中3例(8.6%),頭痛7例(20.0%)であり, 腹痛の発現はなかった。タクロリムス群で複数例に発現しプラセボ群で発現しなかった事象は, 前述の腹痛3例(10.7%)の他,急性心筋梗塞2例(7.1%),関節痛2例(7.1%),片頭痛2例 (7.1%)であった。 器官分類別には,両群ともに胃腸障害が最も多く,次いで神経系障害が多かった。程度別には, 両群ともに軽度が多かった。高度の事象は各群3件であり,その内訳はタクロリムス群では急性 心筋梗塞2件,発疹1件,プラセボ群では急性心不全,ループス腎炎 <治験責任医師等の記載用 語:原疾患(ループス腎炎)の悪化(全身浮腫)>,スティーブンス・ジョンソン症候群が各1件であ った。投与中止に至った事象は,タクロリムス群で4例(14.3%)に4件,プラセボ群で3例 (8.6%)に3件みられ,その内訳は,前述の高度の事象の他,タクロリムス群の薬疹1件(軽度)で あった。なお,タクロリムス群の急性心筋梗塞,プラセボ群の急性心不全,ループス腎炎,胸水, 心嚢液貯留(ループス腎炎,胸水,心嚢液貯留は同一症例に発現)は重篤な有害事象と判定され た。 随伴症状(副作用)はタクロリムス群で 28 例中 17 例(60.7%)に 28 件,プラセボ群で 35 例中 16 例(45.7%)に 29 件発現した。タクロリムス群の発現率はプラセボ群に比べて高かったが,両群間 に有意差はなかった(p=0.312,Fisher の直接確率法)。タクロリムス群の主な事象(副作用)は,悪 心 28 例中4例(14.3%),急性心筋梗塞2例(7.1%),片頭痛2例(7.1%),高血圧2例(7.1%)で あった。一方,プラセボ群では,悪心,急性心筋梗塞,片頭痛の発現はなく,高血圧 35 例中3例 (8.6%)であった。タクロリムス群のみに発現した事象は,前述の悪心4例(14.3%),急性心筋梗 塞2例(7.1%),片頭痛2例(7.1%)の他,心室肥大,眼球乾燥,腹痛,便秘,高尿酸血症,関節 痛,振戦,腎機能障害,不正子宮出血,薬疹,多汗症,発疹が各1例であった。 器官分類別には,両群ともに胃腸障害が特に多かった。程度別には,両群ともに大多数が軽度 又は中等度であった。高度の事象は各群3件であり,その内訳は上記随伴症状(全事象)で述べた とおりである。投与中止に至った事象は,タクロリムス群で4例(14.3%)に4件,プラセボ群で 3例(8.6%)に3件みられ,その内訳も上記随伴症状(全事象)で述べたとおりである。 -35-

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表 2.7.6-14 随伴症状(全事象) 投与群 タクロリムス群 プラセボ群 評価例数 28 35 発現件数 61 65 発現例数(発現率) 24(85.7%) 27(77.1%) 検定(Fisher の直接確率法) p=0.523 投与中止例数(中止率) 4(14.3%) 3(8.6%) 程度 程度 器官分類[SOC] 症状[PT] 発現 例数 軽度 中等度 高度 発現 例数 軽度 中等度 高度 血液及びリンパ系障害 鉄欠乏性貧血 1 1 急性心筋梗塞 2 2 急性心不全 1 1 心嚢液貯留 1 1 心臓障害 心室肥大 1 1 耳及び迷路障害 回転性眩暈 1 1 眼痛 1 1 霧視 1 1 眼障害 眼球乾燥 1 1 腹痛 3 1 2 下腹部痛 1 1 上腹部痛 1 1 1 1 口唇炎 1 1 便秘 1 1 下痢 1 1 2 2 1 胃潰瘍 1 1 胃炎 2 2 1 1 歯肉腫脹 2 1 1 軟便 1 1 1 1 悪心 6 4 2 3 1 2 口内炎 2 2 嘔吐 1 1 口の感覚鈍麻 1 1 胃腸障害 歯牙破折 1 1 胸部不快感 1 1 胸痛 1 1 1 1 倦怠感 1 1 1 1 末梢性浮腫 1 1 疼痛 2 1 1 全身障害及び 投与局所様態 圧痛 1 1 齲歯 1 1 3 1 2 感染症及び 寄生虫症 胃腸炎 1 1 節足動物咬傷 1 1 節足動物刺傷 1 1 転倒 2 2 関節捻挫 1 1 傷害,中毒及び 処置合併症 挫傷 1 1 1 1 血圧上昇 1 1 1 1 臨床検査 体重増加 2 1 1 食欲不振 1 1 1 1 代謝及び栄養障害 高尿酸血症 1 1 関節痛 2 2 背部痛 1 1 滑液包炎 1 1 筋痙攣 2 2 1 1 1 筋痛 1 1 1 1 頚部痛 1 1 筋骨格系及び 結合組織障害 四肢痛 1 1 浮動性めまい 3 3 体位性めまい 1 1 頭痛 4 3 1 7 5 2 感覚減退 1 1 片頭痛 2 1 1 神経系障害 振戦 1 1 アルコールによる宿酔 1 1 精神障害 不眠症 2 2 ループス腎炎 1 1 腎及び尿路障害 腎機能障害 1 1 生殖系及び乳房障害 不正子宮出血 1 1 咳嗽 1 1 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 胸水 1 1 脱毛症 1 1 1 1 薬疹 1 1 湿疹 1 1 皮下出血 1 1 多汗症 1 1 毛孔性紅色粃糠疹 1 1 発疹 1 1 スティーブンス・ジョンソン症候群 1 1 皮膚及び皮下組織障害 蕁麻疹 2 1 1 1 1 血管障害 高血圧 2 2 3 2 1 合計 - 40 19 3 - 40 23 3 (MedDRA/J 7.1)

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表 2.7.6-15 随伴症状(副作用) 投与群 タクロリムス群 プラセボ群 評価例数 28 35 発現件数 28 29 発現例数(発現率) 17(60.7%) 16(45.7%) 検定(Fisher の直接確率法) p=0.312 投与中止例数(中止率) 4(14.3%) 3(8.6%) 程度 程度 器官分類[SOC] 症状[PT] 発現例数 軽度 中等度 高度 発現 例数 軽度 中等度 高度 急性心筋梗塞 2 2 急性心不全 1 1 心嚢液貯留 1 1 心臓障害 心室肥大 1 1 眼障害 眼球乾燥 1 1 腹痛 1 1 便秘 1 1 下痢 1 1 1 1 胃潰瘍 1 1 胃炎 1 1 1 1 歯肉腫脹 1 1 軟便 1 1 1 1 悪心 4 2 2 胃腸障害 口内炎 2 2 胸痛 1 1 全身障害及び 投与局所様態 末梢性浮腫 1 1 感染症及び寄生虫症 齲歯 1 1 血圧上昇 1 1 1 1 臨床検査 体重増加 2 1 1 代謝及び栄養障害 高尿酸血症 1 1 関節痛 1 1 筋骨格系及び 結合組織障害 四肢痛 1 1 浮動性めまい 1 1 頭痛 1 1 3 2 1 片頭痛 2 1 1 神経系障害 振戦 1 1 精神障害 不眠症 1 1 ループス腎炎 1 1 腎及び尿路障害 腎機能障害 1 1 生殖系及び乳房障害 不正子宮出血 1 1 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 胸水 1 1 脱毛症 1 1 1 1 薬疹 1 1 多汗症 1 1 毛孔性紅色粃糠疹 1 1 発疹 1 1 皮膚及び皮下組織障害 スティーブンス・ジョンソン症候群 1 1 血管障害 高血圧 2 2 3 2 1 合計 - 12 13 3 - 18 8 3 (MedDRA/J 7.1) -37-

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表 2.7.6-16 随伴症状(全事象)の器官分類別発現件数 投与群 器官分類[SOC] タクロリムス群 プラセボ群 血液及びリンパ系障害 1 心臓障害 3 2 耳及び迷路障害 1 眼障害 3 胃腸障害 18 15 全身障害及び投与局所様態 2 7 感染症及び寄生虫症 2 3 傷害,中毒及び処置合併症 2 5 臨床検査 1 3 代謝及び栄養障害 2 1 筋骨格系及び結合組織障害 7 4 神経系障害 9 10 精神障害 3 腎及び尿路障害 1 1 生殖系及び乳房障害 1 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 1 1 皮膚及び皮下組織障害 7 5 血管障害 2 3 (MedDRA/J 7.1) 表 2.7.6-17 随伴症状(副作用)の器官分類別発現件数 投与群 器官分類[SOC] タクロリムス群 プラセボ群 心臓障害 3 2 眼障害 1 胃腸障害 9 7 全身障害及び投与局所様態 2 感染症及び寄生虫症 1 臨床検査 1 3 代謝及び栄養障害 1 筋骨格系及び結合組織障害 1 1 神経系障害 4 4 精神障害 1 腎及び尿路障害 1 1 生殖系及び乳房障害 1 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 1 皮膚及び皮下組織障害 4 3 血管障害 2 3 (MedDRA/J 7.1) (2) 感染症 感染症の発現状況を全事象について表 2.7.6-18 に,副作用について表 2.7.6-19 に示した。 感染症(全事象)は,タクロリムス群で 28 例中 16 例(57.1%)に 25 件,プラセボ群で 35 例中 20 例(57.1%)に 32 件発現し,両群の発現率は同じであった。両群ともに主な事象は鼻咽頭炎であり, タクロリムス群で 28 例中 10 例(35.7%),プラセボ群で 35 例中 13 例(37.1%)に発現した。タクロ リムス群のみに発現した事象は,ウイルス性上気道感染,インフルエンザ,歯髄炎,ウイルス性 胃炎,感染性腸炎,膿尿,腟炎,毛包炎,蜂巣炎,単純ヘルペスが各1例であった。程度別には, タクロリムス群ではプラセボ群に比べて軽度の事象が少なく,発現した事象の多くは中等度であ った。両群ともに高度の事象はなく,投与中止に至った症例もなかった。なお,タクロリムス群

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の感染性腸炎,蜂巣炎,プラセボ群の細菌性腟炎,クラミジア性骨盤内炎症性疾患(細菌性腟炎, クラミジア性骨盤内炎症性疾患は同一症例に発現)は重篤な有害事象と判定された。 感染症(副作用)は,タクロリムス群で 28 例中 10 例(35.7%)に 14 件,プラセボ群で 35 例中 13 例(37.1%)に 22 件発現し,両群の発現率に有意差はなかった(p=1.000,Fisher の直接確率法)。両 群ともに主な事象は鼻咽頭炎であり,タクロリムス群で 28 例中5例(17.9%),プラセボ群で 35 例 中8例(22.9%)に発現した。タクロリムス群のみに発現した事象は,ウイルス性胃炎,膿尿,腟 炎,毛包炎,蜂巣炎が各1例であった。程度別には,両群ともに中等度が多かった。 表 2.7.6-18 感染症(全事象) 投与群 タクロリムス群 プラセボ群 評価例数 28 35 発現件数 25 32 発現例数(発現率) 16(57.1%) 20(57.1%) 検定(Fisher の直接確率法) p=1.000 投与中止例数(中止率) 0 0 程度 程度 症状[PT] 発現例数 軽度 中等度 高度 発現 例数 軽度 中等度 高度 結膜炎 1 1 結膜出血 1 1 上気道の炎症 2 2 1 1 上気道感染 1 1 ウイルス性上気道感染 1 1 咽頭炎 1 1 鼻咽頭炎 10 3 7 13 8 6 気管支炎 1 1 1 1 急性気管支炎 1 1 細菌性気管支炎 1 1 インフルエンザ 1 1 外耳炎 1 1 歯周炎 1 1 歯髄炎 1 1 胃腸炎 1 1 ウイルス性胃炎 1 1 腸炎 1 1 感染性腸炎 1 1 尿路感染 1 1 1 1 腎盂腎炎 1 1 膀胱炎 1 1 膿尿 1 1 腟炎 1 1 細菌性腟炎 1 1 クラミジア性骨盤内炎症性疾患 1 1 毛包炎 1 1 蜂巣炎 1 1 皮膚乳頭腫 1 1 1 1 単純ヘルペス 1 1 足部白癬 1 1 合計 - 5 20 0 - 14 19 0 (MedDRA/J 7.1) -39-

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表 2.7.6-19 感染症(副作用) 投与群 タクロリムス群 プラセボ群 評価例数 28 35 発現件数 14 22 発現例数(発現率) 10(35.7%) 13(37.1%) 検定(Fisher の直接確率法) p=1.000 投与中止例数(中止率) 0 0 程度 程度 症状[PT] 発現 例数 軽度 中等度 高度 発現 例数 軽度 中等度 高度 上気道の炎症 2 2 1 1 上気道感染 1 1 咽頭炎 1 1 鼻咽頭炎 5 1 4 8 3 5 気管支炎 1 1 1 1 細菌性気管支炎 1 1 外耳炎 1 1 胃腸炎 1 1 ウイルス性胃炎 1 1 尿路感染 1 1 1 1 腎盂腎炎 1 1 膀胱炎 1 1 膿尿 1 1 腟炎 1 1 細菌性腟炎 1 1 クラミジア性骨盤内炎症性疾患 1 1 毛包炎 1 1 蜂巣炎 1 1 皮膚乳頭腫 1 1 足部白癬 1 1 合計 - 1 13 0 - 6 16 0 (MedDRA/J 7.1)

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(3) 臨床検査値異常変動 臨床検査値異常変動の発現状況を全事象について表 2.7.6-20 に,副作用について表 2.7.6-21 に示した。 臨床検査値異常変動(全事象)は,タクロリムス群で 28 例中 20 例(71.4%)に 65 件,プラセボ群 で 35 例中 24 例(68.6%)に 95 件発現し,両群の発現率に有意差はなかった(p=1.000,Fisher の直 接確率法)。タクロリムス群の主な事象は NAG 増加 28 例中8例(28.6%),血中尿酸増加5例 (17.9%),白血球数増加4例(14.3%),血中クレアチニン増加4例(14.3%),血中ブドウ糖増加 4例(14.3%),AST 増加3例(10.7%),血中トリグリセリド増加3例(10.7%),尿中ブドウ糖陽性 3例(10.7%),尿中β2ミクログロブリン増加3例(10.7%),腎クレアチニン・クリアランス減少 3例(10.7%)であった。一方,プラセボ群では NAG 増加 35 例中 10 例(28.6%),血中尿酸増加4例 (11.4%),白血球数増加2例(5.7%),血中クレアチニン増加6例(17.1%),血中ブドウ糖増加1 例(2.9%),血中トリグリセリド増加6例(17.1%),尿中β2ミクログロブリン増加9例(25.7%) であり,AST 増加,尿中ブドウ糖陽性,腎クレアチニン・クリアランス減少の発現はなかった。タ クロリムス群で複数例に発現しプラセボ群で発現しなかった事象は,前述の AST 増加3例 (10.7%),尿中ブドウ糖陽性3例(10.7%),腎クレアチニン・クリアランス減少3例(10.7%)で あった。検査項目の種類別には,両群ともに腎機能に関連する異常変動が多く,次いでタクロリ ムス群では糖代謝,プラセボ群では脂質代謝に関連する異常変動が多かった。程度別には,両群 ともに軽度が多かった。高度の事象は,タクロリムス群3件,プラセボ群1件であり,その内訳 は,タクロリムス群では AST 増加,ALT 増加,血中 LDH 増加が各1件,プラセボ群では尿中蛋白陽 性であった。タクロリムス群の AST 増加,ALT 増加,血中 LDH 増加は急性心筋梗塞が発現した1例 にみられ,急性心筋梗塞に伴うものと判定された。また,プラセボ群の尿中蛋白陽性はループス 腎炎が発現した1例にみられ,ループス腎炎に伴うものと判定された。投与中止に至った事象は, タクロリムス群で1例(3.6%)に1件,プラセボ群で1例(2.9%)に2件みられ,その内訳は,タ クロリムス群では血中ブドウ糖増加,プラセボ群では血中尿素増加,血中クレアチニン増加の各 1件であった。なお,プラセボ群の血中アルブミン減少(3例中1例),尿中蛋白陽性(4例中1 例)(血中アルブミン減少,尿中蛋白陽性は前述のループス腎炎の症例に発現)は重篤な有害事象と 判定されたが,タクロリムス群で重篤な有害事象と判定された事象はなかった。 臨床検査値異常変動(副作用)は,タクロリムス群で 28 例中 16 例(57.1%)に 49 件,プラセボ群 で 35 例中 17 例(48.6%)に 55 件発現し,両群の発現率に有意差はなかった(p=0.613,Fisher の直 接確率法)。タクロリムス群の主な事象は,NAG 増加 28 例中 7 例(25.0%),血中ブドウ糖増加4例 (14.3%),尿中ブドウ糖陽性3例(10.7%),尿中β2ミクログロブリン増加3例(10.7%)であった。 一方,プラセボ群では NAG 増加 35 例中6例(17.1%),血中ブドウ糖増加1例(2.9%),尿中β2ミ クログロブリン増加6例(17.1%)であり,尿中ブドウ糖陽性の発現はなかった。タクロリムス群 のみに発現した事象は,前述の尿中ブドウ糖陽性3例(10.7%)の他,AST 増加2例(7.1%),グリ コヘモグロビン増加2例(7.1%),腎クレアチニン・クリアランス減少2例(7.1%),好中球百分 -41-

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率増加1例(3.6%),血小板数減少1例(3.6%),フルクトサミン増加1例(3.6%),CRP 増加1例, 血中 CPK 増加1例,血中マグネシウム減少1例(3.6%)であった。検査項目の種類別には,両群と もに腎機能に関連する異常変動が多く,次いでタクロリムス群では糖代謝,プラセボ群では脂質 代謝に関連する異常変動が多かった。程度別には,両群ともに軽度が多かった。高度の事象は, タクロリムス群3件,プラセボ群1件であり,その内訳は,上記臨床検査値異常変動(全事象)で 述べたとおりである。投与中止に至った事象は,タクロリムス群で1例(3.6%)に1件,プラセボ 群で1例(2.9%)に2件みられ,その内訳も上記臨床検査値異常変動(全事象)で述べたとおりであ る。 表 2.7.6-20 臨床検査値異常変動(全事象) 投与群 タクロリムス群 プラセボ群 評価例数 28 35 発現件数 65 95 発現例数(発現率) 20(71.4%) 24(68.6%) 検定(Fisher の直接確率法) p=1.000 投与中止例数(中止率) 1(3.6%) 1(2.9%) 程度 程度 項目[PT] 発現例数/測定例数 軽度 中等度 高度 発現例数/ 測定例数 軽度 中等度 高度 赤血球数減少 2/35 1 1 ヘモグロビン減少 1/28 1 4/35 2 2 ヘマトクリット減少 3/35 1 2 白血球数増加 4/28 3 2 2/35 2 白血球数減少 1/35 1 好中球百分率増加 1/28 1 リンパ球百分率減少 2/28 1 1 4/35 4 血小板数減少 1/28 1 INR減少 1/― 1 AST増加 3/28 2 1 ALT増加 2/28 1 1 1/35 1 血中ALP増加 1/35 1 血中LDH増加 2/28 1 1 1/35 1 γ-GTP増加 1/28 1 3/35 3 総蛋白減少 2/35 1 1 血中アルブミン減少 3/35 1 2 血中尿素増加 2/28 2 3/35 1 2 血中クレアチニン増加 4/28 4 1 6/35 4 2 血中尿酸増加 5/28 4 1 4/35 3 1 β2ミクログロブリン増加 1/28 1 5/35 5 血中アミラーゼ増加 1/28 1 3/35 3 血中ブドウ糖増加 4/28 3 1 1/35 1 グリコヘモグロビン増加 2/28 2 1/35 1 グリコヘモグロビン減少 1/35 1 フルクトサミン増加 1/28 1 フルクトサミン減少 2/35 2 血中コレステロール増加 2/28 1 1 5/35 4 1 血中トリグリセリド増加 3/28 3 6/35 6 CRP増加 1/― 1 血中CPK増加 1/― 1 血中カルシウム減少 2/35 2 血中マグネシウム減少 1/28 1 尿中ブドウ糖陽性 3/28 2 1 尿中蛋白陽性 1/28 1 4/34 2 1 1 NAG増加 8/28 6 2 10/35 10 尿中β2ミクログロブリン増加 3/28 3 1 9/35 8 1 尿中赤血球陽性 2/28 1 1 3/34 3 尿円柱 1/34 1 腎クレアチニン・クリアランス増加 1/34 1 腎クレアチニン・クリアランス減少 3/28 3 合計 ― 50 15 3 ― 76 18 1 (MedDRA/J 7.1)

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表 2.7.6-21 臨床検査値異常変動(副作用) 投与群 タクロリムス群 プラセボ群 評価例数 28 35 発現件数 49 55 発現例数(発現率) 16(57.1%) 17(48.6%) 検定(Fisher の直接確率法) p=0.613 投与中止例数(中止率) 1(3.6%) 1(2.9%) 程度 程度 項目[PT] 発現例数/測定例数 軽度 中等度 高度 発現例数/ 測定例数 軽度 中等度 高度 赤血球数減少 1/35 1 ヘモグロビン減少 1/28 1 2/35 2 ヘマトクリット減少 1/35 1 白血球数増加 2/28 1 2 1/35 1 白血球数減少 1/35 1 好中球百分率増加 1/28 1 リンパ球百分率減少 1/28 1 1/35 1 血小板数減少 1/28 1 INR減少 1/― 1 AST増加 2/28 1 1 ALT増加 1/28 1 1/35 1 血中LDH増加 2/28 1 1 1/35 1 γ-GTP増加 2/35 2 総蛋白減少 1/35 1 血中アルブミン減少 2/35 1 1 血中尿素増加 2/28 2 2/35 1 1 血中クレアチニン増加 2/28 2 1 4/35 3 1 血中尿酸増加 1/28 1 3/35 2 1 β2ミクログロブリン増加 1/28 1 4/35 4 血中アミラーゼ増加 1/28 1 3/35 3 血中ブドウ糖増加 4/28 3 1 1/35 1 グリコヘモグロビン増加 2/28 2 フルクトサミン増加 1/28 1 血中コレステロール増加 2/28 1 1 3/35 3 血中トリグリセリド増加 1/28 1 2/35 2 CRP増加 1/― 1 血中CPK増加 1/― 1 血中カルシウム減少 1/35 1 血中マグネシウム減少 1/28 1 尿中ブドウ糖陽性 3/28 2 1 尿中蛋白陽性 1/28 1 1/34 1 NAG増加 7/28 5 2 6/35 6 尿中β2ミクログロブリン増加 3/28 3 1 6/35 6 尿中赤血球陽性 2/28 1 1 3/34 3 尿円柱 1/34 1 腎クレアチニン・クリアランス減少 2/28 2 合計 ― 34 15 3 ― 48 6 1 (MedDRA/J 7.1) -43-

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2)有害事象の発現時期 副作用について,時期別に発現件数と発現例数を示した。同一症例に同一症状が複数回発現し た場合は,その事象での初回発現時期を集計した。 (1) 随伴症状(副作用) 随伴症状(副作用)発現時期を表 2.7.6-22 に示した。両群ともに発現時期に一定の傾向はなか った。 表 2.7.6-22 随伴症状(副作用)発現時期 発現時期 投与群 器官分類[SOC] 症状[PT] ~2 週 (15 日) ~4 週 (29 日) ~8 週 (57 日) ~16 週 (113 日) ~28 週 (197 日) 28 週~ (198 日) 合計 心臓障害 急性心筋梗塞 1 1 2 心室肥大 1 1 眼障害 眼球乾燥 1 1 胃腸障害 腹痛 1 1 便秘 1 1 下痢 1 1 胃炎 1 1 軟便 1 1 悪心 1 1 2 4 臨床検査 血圧上昇 1 1 代謝及び栄養障害 高尿酸血症 1 1 筋骨格系及び結合組織障害 関節痛 1 1 神経系障害 頭痛 1 1 片頭痛 1 1 2 振戦 1 1 腎及び尿路障害 腎機能障害 1 1 生殖系及び乳房障害 不正子宮出血 1 1 皮膚及び皮下組織障害 脱毛症 1 1 薬疹 1 1 多汗症 1 1 発疹 1 1 血管障害 高血圧 1 1 2 タクロリ ムス群 合計 6 6 4 6 6 0 28 心臓障害 急性心不全 1 1 心嚢液貯留 1 1 胃腸障害 下痢 1 1 胃潰瘍 1 1 胃炎 1 1 歯肉腫脹 1 1 軟便 1 1 口内炎 1 1 2 全身障害及び投与局所様態 胸痛 1 1 末梢性浮腫 1 1 感染症及び寄生虫症 齲歯 1 1 臨床検査 血圧上昇 1 1 体重増加 1 1 2 筋骨格系及び結合組織障害 四肢痛 1 1 神経系障害 浮動性めまい 1 1 頭痛 2 1 3 精神障害 不眠症 1 1 腎及び尿路障害 ループス腎炎 1 1 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 胸水 1 1 皮膚及び皮下組織障害 脱毛症 1 1 毛孔性紅色粃糠疹 1 1 スティーブンス・ジョンソン症候群 1 1 血管障害 高血圧 1 2 3 プラ セボ 群 合計 4 5 8 7 5 0 29 (MedDRA/J 7.1)

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(2) 感染症(副作用) 感染症(副作用)発現時期を表 2.7.6-23 に示した。両群ともに4週を超えてから時期を追うご とに発現件数が増加したが,その多くは鼻咽頭炎であった。 表 2.7.6-23 感染症(副作用)発現時期 発現時期 投与群 症状[PT] ~2 週 (15 日) ~4 週 (29 日) ~8 週 (57 日) ~16 週 (113 日) ~28 週 (197 日) 28 週~ (198 日) 合計 上気道の炎症 1 1 2 鼻咽頭炎 2 3 5 気管支炎 1 1 ウイルス性胃炎 1 1 尿路感染 1 1 膿尿 1 1 腟炎 1 1 毛包炎 1 1 蜂巣炎 1 1 タクロリ ムス群 合計 1 0 3 4 6 0 14 上気道の炎症 1 1 上気道感染 1 1 咽頭炎 1 1 鼻咽頭炎 1 2 4 1 8 気管支炎 1 1 細菌性気管支炎 1 1 外耳炎 1 1 胃腸炎 1 1 尿路感染 1 1 腎盂腎炎 1 1 膀胱炎 1 1 細菌性腟炎 1 1 クラミジア性骨盤内炎症性疾患 1 1 皮膚乳頭腫 1 1 足部白癬 1 1 プラ セボ 群 合計 1 1 4 6 8 2 22 (MedDRA/J 7.1) (3) 臨床検査値異常変動(副作用) 臨床検査値異常変動(副作用)発現時期を表 2.7.6-24 に示した。タクロリムス群では 49 件中 10 件が2週以内に発現したが,8週を超えて 16 週以内にも 16 件,16 週を超えて 28 週以内にも 13 件発現した。プラセボ群では4週を超えて8週以内に 55 件中 24 件と多くが発現した。 -45-

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表 2.7.6-24 臨床検査値異常変動(副作用)発現時期 発現時期 投与群 項目[PT] ~2 週 (15 日) ~4 週 (29 日) ~8 週 (57 日) ~16 週 (113 日) ~28 週 (197 日) 28 週~ (198 日) 合計 ヘモグロビン減少 1 1 白血球数増加 1 1 2 好中球百分率増加 1 1 リンパ球百分率減少 1 1 血小板数減少 1 1 AST増加 1 1 2 ALT増加 1 1 血中LDH増加 1 1 2 血中尿素増加 2 2 血中クレアチニン増加 2 2 血中尿酸増加 1 1 β2ミクログロブリン増加 1 1 血中アミラーゼ増加 1 1 血中ブドウ糖増加 3 1 4 グリコヘモグロビン増加 1 1 2 フルクトサミン増加 1 1 血中コレステロール増加 1 1 2 血中トリグリセリド増加 1 1 CRP増加 1 1 血中CPK増加 1 1 血中マグネシウム減少 1 1 尿中ブドウ糖陽性 1 2 3 尿中蛋白陽性 1 1 NAG増加 2 2 1 1 1 7 尿中β2ミクログロブリン増加 1 1 1 3 尿中赤血球陽性 2 2 腎クレアチニン・クリアランス減少 2 2 タクロリ ムス群 合計 10 7 3 16 13 0 49 赤血球数減少 1 1 ヘモグロビン減少 1 1 2 ヘマトクリット減少 1 1 白血球数増加 1 1 白血球数減少 1 1 リンパ球百分率減少 1 1 INR減少 1 1 ALT増加 1 1 血中LDH増加 1 1 γ-GTP増加 2 2 総蛋白減少 1 1 血中アルブミン減少 1 1 2 血中尿素増加 1 1 2 血中クレアチニン増加 1 1 2 4 血中尿酸増加 1 2 3 β2ミクログロブリン増加 1 2 1 4 血中アミラーゼ増加 2 1 3 血中ブドウ糖増加 1 1 血中コレステロール増加 1 1 1 3 血中トリグリセリド増加 1 1 2 血中カルシウム減少 1 1 尿中蛋白陽性 1 1 NAG増加 1 1 3 1 6 尿中β2ミクログロブリン増加 1 1 1 3 6 尿中赤血球陽性 1 1 1 3 尿円柱 1 1 プラ セボ 群 合計 8 6 24 4 13 0 55 (MedDRA/J 7.1)

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3)有害事象の持続期間 副作用について,持続期間を示した。持続期間は副作用が回復するまでの日数とし,回復しな かった場合は「未回復」と表示した。同一症例に同一症状が複数回発現した場合は,初回発現時の 持続期間を集計した。 (1) 随伴症状(副作用) 随伴症状(副作用)持続期間を表 2.7.6-25 に示した。タクロリムス群では 28 件中3件(心室肥大, 片頭痛,高血圧の各1件)が未回復であった。約半数が4週以内に回復し,28 週以内に多くが回復 した。プラセボ群では 29 件中4件(急性心不全 <治験責任医師等の記載用語:突然死(急性心不全 の疑)>,胃潰瘍,頭痛,毛孔性紅色粃糠疹が各1件)が未回復であった。2週以内に比較的多くが 回復し,28 週以内に多くが回復した。各群1件(タクロリムス群:高血圧,プラセボ群:不眠症) が発現後 28 週を超えて持続した。 -47-

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表 2.7.6-25 随伴症状(副作用)持続期間 持続期間 投与群 器官分類[SOC] 症状[PT] ~2 週 (15 日) ~4 週 (29 日) ~8 週 (57 日) ~16 週 (113 日) ~28 週 (197 日) 28 週~ (198 日) 未回復 心臓障害 急性心筋梗塞 2 心室肥大 1 眼障害 眼球乾燥 1 胃腸障害 腹痛 1 便秘 1 下痢 1 胃炎 1 軟便 1 悪心 3 1 臨床検査 血圧上昇 1 代謝及び栄養障害 高尿酸血症 1 筋骨格系及び結合組織障害 関節痛 1 神経系障害 頭痛 1 片頭痛 1 1 振戦 1 腎及び尿路障害 腎機能障害 1 生殖系及び乳房障害 不正子宮出血 1 皮膚及び皮下組織障害 脱毛症 1 薬疹 1 多汗症 1 発疹 1 血管障害 高血圧 1 1 タクロリ ムス群 合計 8 7 4 2 3 1 3 心臓障害 急性心不全 1 心嚢液貯留 1 胃腸障害 下痢 1 胃潰瘍 1 胃炎 1 歯肉腫脹 1 軟便 1 口内炎 2 全身障害及び投与局所様態 胸痛 1 末梢性浮腫 1 感染症及び寄生虫症 齲歯 1 臨床検査 血圧上昇 1 体重増加 1 1 筋骨格系及び結合組織障害 四肢痛 1 神経系障害 浮動性めまい 1 頭痛 1 1 1 精神障害 不眠症 1 腎及び尿路障害 ループス腎炎 1 呼吸器,胸郭及び縦隔障害 胸水 1 皮膚及び皮下組織障害 脱毛症 1 毛孔性紅色粃糠疹 1 スティーブンス・ジョンソン症候群 1 プラ セボ 群 血管障害 高血圧 1 1 1 合計 9 4 5 5 1 1 4 (MedDRA/J 7.1)

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(2) 感染症(副作用) 感染症(副作用)持続期間を表 2.7.6-26 に示した。タクロリムス群では 14 件中1件(膿尿)が未 回復であったが,発現後2週以内に7件と半数が回復し,8週以内に未回復の1件以外はすべて 回復した。プラセボ群では 22 件中未回復の事象はなかった。8週以内に 18 件と多くが回復したが, 4件は8週を超えて持続した。 表 2.7.6-26 感染症(副作用)持続期間 持続期間 投与群 症状[PT] ~2 週 (15 日) ~4 週 (29 日) ~8 週 (57 日) ~16 週 (113 日) ~28 週 (197 日) 28 週~ (198 日) 未回復 上気道の炎症 2 鼻咽頭炎 2 2 1 気管支炎 1 ウイルス性胃炎 1 尿路感染 1 膿尿 1 腟炎 1 毛包炎 1 蜂巣炎 1 タクロリ ムス群 合計 7 4 2 0 0 0 1 上気道の炎症 1 上気道感染 1 咽頭炎 1 鼻咽頭炎 4 3 1 気管支炎 1 細菌性気管支炎 1 外耳炎 1 胃腸炎 1 尿路感染 1 腎盂腎炎 1 膀胱炎 1 細菌性腟炎 1 クラミジア性骨盤内炎症性疾患 1 皮膚乳頭腫 1 足部白癬 1 プラ セボ 群 合計 7 5 6 3 1 0 0 (MedDRA/J 7.1) (3) 臨床検査値異常変動(副作用) 臨床検査値異常変動(副作用)持続期間を表 2.7.6-27 に示した。タクロリムス群では 49 件中5 件(ヘモグロビン減少,血中尿素増加,血中クレアチニン増加,フルクトサミン増加,尿中赤血球 陽性の各1件)が未回復であった。比較的多くが2週以内に回復し,大多数が 28 週以内に回復し た。2件(血中アミラーゼ増加,血中ブドウ糖増加の各1件)は発現後 28 週を越えて持続した。プ ラセボ群では 55 件中 10 件(血中クレアチニン増加2件,血中アミラーゼ増加2件,血中トリグリ セリド増加2件,ヘモグロビン減少1件,血中尿酸増加1件,β2ミクログロブリン増加1件,血 中コレステロール増加1件)が未回復であった。28 週以内に大多数が回復したが,発現後2週以内 に回復した事象は少なかった。 -49-

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表 2.7.6-27 臨床検査値異常(副作用)持続時間 持続期間 投与群 項目[PT] ~2 週 (15 日) ~4 週 (29 日) ~8 週 (57 日) ~16 週 (113 日) ~28 週 (197 日) 28 週~ (198 日) 未回復 ヘモグロビン減少 1 白血球数増加 1 1 好中球百分率増加 1 リンパ球百分率減少 1 血小板数減少 1 AST増加 2 ALT増加 1 血中LDH増加 1 1 血中尿素増加 1 1 血中クレアチニン増加 1 1 血中尿酸増加 1 β2ミクログロブリン増加 1 血中アミラーゼ増加 1 血中ブドウ糖増加 1 2 1 グリコヘモグロビン増加 2 フルクトサミン増加 1 血中コレステロール増加 1 1 血中トリグリセリド増加 1 CRP増加 1 血中CPK増加 1 血中マグネシウム減少 1 尿中ブドウ糖陽性 1 1 1 尿中蛋白陽性 1 NAG増加 2 1 2 1 1 尿中β2ミクログロブリン増加 2 1 尿中赤血球陽性 1 1 腎クレアチニン・クリアランス減少 2 タクロリ ムス群 合計 17 7 5 7 6 2 5 赤血球数減少 1 ヘモグロビン減少 1 1 ヘマトクリット減少 1 白血球数増加 1 白血球数減少 1 リンパ球百分率減少 1 INR減少 1 ALT増加 1 血中LDH増加 1 γ-GTP増加 1 1 総蛋白減少 1 血中アルブミン減少 1 1 血中尿素増加 1 1 血中クレアチニン増加 1 1 2 血中尿酸増加 1 1 1 β2ミクログロブリン増加 1 1 1 1 血中アミラーゼ増加 1 2 血中ブドウ糖増加 1 血中コレステロール増加 1 1 1 血中トリグリセリド増加 2 血中カルシウム減少 1 尿中蛋白陽性 1 NAG増加 1 1 2 2 尿中β2ミクログロブリン増加 2 3 1 尿中赤血球陽性 1 2 尿円柱 1 プラ セボ 群 合計 3 7 8 16 11 0 10 (MedDRA/J 7.1)

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4)有害事象に対する処置と転帰 副作用について,治験薬の処置及びその他の処置の有無と副作用の転帰を以下に示した。同一 症例に同一症状が複数回発現した場合はすべての事象を集計し,件数(のべ件数)として表示し た。 (1) 随伴症状(副作用) 随伴症状(副作用)に対する処置と転帰を表 2.7.6-28 に,また後述する重篤な副作用を除き,投 与中止に至った随伴症状(副作用)を表 2.7.6-29 に示した。 投与中止に至った事象(有害事象のための中止)は,タクロリムス群では 29 件中4件(急性心筋 梗塞 2件,薬疹 1件,発疹 1件),プラセボ群では 31 件中3件[急性心不全,ループス腎炎, スティーブンス・ジョンソン症候群が各1件]であり,そのうちタクロリムス群の3件,プラセボ 群の1件ではその他の処置も行われた。投与中止に至った事象のうち,プラセボ群の急性心不全 以外はいずれも回復した。休薬された事象は,タクロリムス群では 29 件中2件(悪心,片頭痛が 各1件)であり,プラセボ群ではなかった。休薬された事象のうち,悪心は回復したが,片頭痛は 不変であった。投与が継続された事象[その他(当該有害事象以外の理由)による中止を含む]は, タクロリムス群では 29 件中 22 件,プラセボ群では 31 件中 25 件であり,そのうちタクロリムス群 の 10 件,プラセボ群の 11 件ではその他の処置が行われた。投与が継続された事象のうち,タクロ リムス群では回復が 20 件,不変が2件(心室肥大,高血圧が各1件)であり,プラセボ群では回復 が 22 件,軽快が2件(頭痛,毛孔性紅色粃糠疹が各1件),不変が1件(胃潰瘍)であった。なお, 投与終了(中止)時の観察において発現又は投与終了(中止)後に発現した事象が,タクロリムス 群で 29 件中1件,プラセボ群で 31 件中3件みられ,いずれも何らかの処置が行われた。投与終了 (中止)時の観察において発現又は投与終了(中止)後に発現した事象は,いずれも回復した。 表 2.7.6-28 随伴症状(副作用)に対する処置と転帰 のべ件数 処置 転帰 投与群 治験薬 その他 回復 軽快 不変 死亡 あり 9 1 継続 なし 9 1 あり 1 中止(その他) なし 1 休薬 あり 1 1 あり 3 中止(有害事象) なし 1 タクロリムス群 終了(中止)時の観察において 発現又は終了(中止)後発現 あり 1 あり 11 2 継続 なし 10 あり 1 中止(その他) なし 1 あり 1 中止(有害事象) なし 1 1 プラセボ群 終了(中止)時の観察において 発現又は終了(中止)後発現 あり 3 -51-

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表 2.7.6-29 随伴症状(副作用)のために中止に至った事象 ①タクロリムス群 処置 症例 番号 有害事象 程度 治験薬 その他 発現日 (日目) 転帰日 (日目) 転帰 治験薬との 因果関係 血中濃度1) (ng/mL) 06-01 薬疹 軽度 中止 【70】 なし 69 92 回復 可能性あり 4.4 [64] 32-02 発疹 高度 中止 【6】 あり 4 22 回復 可能性あり - 1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) 【 】:治験薬の最終投与日(日目) [ ] :血中濃度測定日(日目) ②プラセボ群 処置 症例 番号 有害事象 程度 治験薬 その他 発現日 (日目) 転帰日 (日目) 転帰 治験薬との 因果関係 血中濃度1) (ng/mL) 25-01 スティーブンス・ ジョンソン症候群 高度 中止 【56】 なし 36 116 回復 多分あり - 1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) 【 】:治験薬の最終投与日(日目)

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(2) 感染症(副作用) 感染症(副作用)に対する処置と転帰を表 2.7.6-30 に示した。 両群ともに,投与中止に至った事象はなかった。タクロリムス群では 15 件すべて,プラセボ群 では 26 件中 23 件で投与が継続され,そのうちタクロリムス群の 14 件,プラセボ群の 21 件ではそ の他の処置が行われた。投与が継続された事象のうち,タクロリムス群では回復が 14 件,不変が 1件(膿尿)であり,プラセボ群では 23 件すべてが回復した。なお,投与終了(中止)時の観察に おいて発現又は投与終了(中止)後に発現した事象が,プラセボ群で 26 件中3件みられ,そのう ち2件では何らかの処置が行われた。投与終了(中止)時の観察において発現又は投与終了(中止) 後に発現した事象は,いずれも回復した。 表 2.7.6-30 感染症(副作用)に対する処置と転帰 処置 転帰 投与群 治験薬 その他 回復 不変 あり 12 1 継続 なし 1 タクロリムス群 中止(その他) あり 1 あり 20 継続 なし 2 中止(その他) あり 1 あり 2 プラセボ群 終了(中止)時の観察において 発現又は終了(中止)後発現 なし 1 のべ件数 (3) 臨床検査値異常変動(副作用) 臨床検査値異常変動(副作用)に対する処置と転帰を表 2.7.6-31 に,また後述する重篤な副作用 を除き,投与中止に至った臨床検査値異常変動(副作用)を表 2.7.6-32 に示した。 投与中止に至った事象は,タクロリムス群では 54 件中1件(血中ブドウ糖増加),プラセボ群で は 56 件中2件(血中尿素増加,血中クレアチニン増加が各1件)であり,いずれもその他の処置は なく,回復した。両群ともに,休薬された事象はなかった。投与が継続された事象は,タクロリ ムス群では 54 件中 35 件,プラセボ群では 56 件中 28 件であり,そのうち,タクロリムス群の5件, プラセボ群の1件ではその他の処置が行われた。投与が継続された事象のうち,タクロリムス群 では回復が 32 件,未回復(回復せず)が3件(ヘモグロビン減少,フルクトサミン増加,尿中赤血 球陽性が各1件),プラセボ群では回復が 19 件,未回復が9件(血中アミラーゼ増加 2件,血中 トリグリセリド増加2件,血中尿素増加1件,血中クレアチニン増加1件,血中尿酸増加1件, β2ミクログロブリン増加1件,血中コレステロール増加1件)であった。なお,投与終了(中止) 時の検査において発現又は投与終了(中止)後に発現した事象が,タクロリムス群で 54 件中 18 件, プラセボ群で 56 件中 26 件みられ,そのうちタクロリムス群の 11 件,プラセボ群の8件では何ら かの処置が行われた。投与終了(中止)時の検査において発現又は投与終了(中止)後に発現した 事象のうち,タクロリムス群では回復が 16 件,未回復が2件(血中尿素増加,血中クレアチニン -53-

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増加が各1件),プラセボ群では回復が 24 件,未回復が2件(ヘモグロビン減少,血中クレアチニ ン増加が各1件)であった。 表 2.7.6-31 臨床検査値異常変動(副作用)に対する処置と転帰 処置 転帰 投与群 治験薬 その他 回復 回復せず あり 3 継続 なし 19 1 あり 2 中止(その他) なし 8 2 中止(有害事象) なし 1 あり 11 タクロリムス群 終了(中止)時の検査において 発現又は終了(中止)後発現 なし 5 2 継続 なし 11 7 あり 1 中止(その他) なし 7 2 中止(有害事象) なし 2 あり 8 プラセボ群 終了(中止)時の検査において 発現又は終了(中止)後発現 なし 16 2 のべ件数 表 2.7.6-32 臨床検査値異常変動(副作用)のために中止に至った事象 ①タクロリムス群 処置 症例 番号 有害事象 程度 治験薬 その他 発現日 (日目) 転帰日 (日目) 転帰 治験薬との 因果関係 血中濃度1) (ng/mL) 28-03 血中ブドウ糖増加 中等度 中止 【35】 なし 29 36 回復 あり 2.4 [29] 1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) 【 】:治験薬の最終投与日(日目) [ ] :血中濃度測定日(日目) ②プラセボ群 処置 症例 番号 有害事象 程度 治験薬 その他 発現日 (日目) 転帰日 (日目) 転帰 治験薬との 因果関係 血中濃度1) (ng/mL) 血中尿素増加 中等度 中止 【84】 なし 15 133 回復 多分あり - 04-01 血中クレアチニン増加 中等度 中止 【84】 なし 15 166 回復 多分あり - 1)発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) 【 】:治験薬の最終投与日(日目)

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5)血中濃度 本剤の移植領域における集積データより,20ng/mL 以上の血中トラフ濃度が持続すると腎機能障 害等の有害事象の発現率が増加することが確認されていることから,患者の安全性を確保するた めに治験薬の血中濃度を測定することとした。血中濃度の解析対象例は,安全性解析対象例とした。 また,上記の集積データは1日2回投与時のトラフ濃度に基づくものであることから,血中濃度 の解析には投与後 12±4時間(投与後8~16 時間)の測定値を用いた。ただし,最高血中濃度の解 析には投与後8~24 時間の測定値を用いた。 (1) 血中濃度の推移 血中濃度の推移を図 2.7.6-3及び表 2.7.6-33 に示した。タクロリムス群では,各測定時期 (2~28 週)の血中濃度(中央値)は 3.20~5.15ng/mL で推移した。プラセボ群では,血中濃度の検 出例はなかった。 2 4 8 12 16 20 24 28 最終時 (週後) タクロリムス群 12 19 14 14 13 12 13 13 25 (例数) 図 2.7.6-3 血中濃度推移 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 -4 0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 観察時期 ng/mL 週後 最終時 血中 濃度 中央値(第1~3四分位) タクロリムス群 -55-

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表 2.7.6-33 血中濃度推移 2 週後 4 週後 8 週後 12 週後 16 週後 n n n n n 平均値±S.D. 平均値±S.D. 平均値±S.D. 平均値±S.D. 平均値±S.D. 中央値 中央値 中央値 中央値 中央値 第1-第3四分位 第1-第3四分位 第1-第3四分位 第1-第3四分位 第1-第3四分位 項目 最小~最大 最小~最大 最小~最大 最小~最大 最小~最大 12 19 14 14 13 4.78±1.94 4.07±1.93 4.34±2.01 4.49±2.41 4.63±1.48 4.45 3.90 4.15 3.65 4.40 3.65-4.95 2.70-5.20 2.90-5.50 3.00-5.20 3.20-5.50 血中濃度 (ng/mL) 2.50~9.20 1.00~9.30 2.00~8.70 1.00~9.60 2.60~7.30 20 週後 24 週後 28 週後 最終時 n n n n 平均値±S.D. 平均値±S.D. 平均値±S.D. 平均値±S.D. 中央値 中央値 中央値 中央値 第1-第3四分位 第1-第3四分位 第1-第3四分位 第1-第3四分位 項目 最小~最大 最小~最大 最小~最大 最小~最大 12 13 13 25 4.83±1.62 4.05±1.30 3.40±1.95 4.57±2.40 5.15 3.90 3.20 4.00 3.40-5.95 2.90-4.50 2.10-4.30 2.80-6.00 血中濃度 (ng/mL) 2.40~7.30 2.10~7.00 0.00~7.00 0.00~9.60 (2) 平均血中濃度と最高血中濃度 各症例の平均血中濃度及び最高血中濃度を表 2.7.6-34 に示した。 タクロリムス群での平均血中濃度の分布は,5ng/mL 未満 17 例(68.0%),5ng/mL 以上 10ng/mL 未満8例(32.0%)であり,10ng/mL 以上の症例はなかった。平均血中濃度の平均値±S.D.(最小~ 最大)は 4.35±1.53(1.70~7.30)ng/mL,中央値(第1~第3四分位)は 4.00(3.55~5.30)ng/mL で あった。 投与後8~16 時間の最高血中濃度の分布は5ng/mL 未満9例(36.0%),5ng/mL 以上 10ng/mL 未 満 16 例(64.0%)であり,10ng/mL 以上の症例はなかった。また,最高血中濃度の平均値±S.D.(最 小 ~ 最 大 ) は 5.81 ± 2.21(2.30 ~ 9.90)ng/mL , 中 央 値 ( 第 1 ~ 第 3 四 分 位 ) は 5.90(3.90 ~ 6.40)ng/mL であった。なお,投与後 16~24 時間の測定値のみを有する症例は2例であり,この2 例の最高血中濃度は 4.00ng/mL 及び 4.30ng/mL であった。

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表 2.7.6-34 平均血中濃度と最高血中濃度 n 平均値±S.D. 中央値 分布 第1-第3四分位 血中濃度 最小~最大 0 0<~<5 5≦~<10 10≦~<15 15≦~<20 25 4.35±1.53 4.00 3.55-5.30 平均血中濃度 1.70~7.30 17 (68.0) 8 (32.0) 25 5.81±2.21 5.90 3.90-6.40 投与後 8~16 時間値 2.30~9.90 9 (36.0) 16 (64.0) 2 4.15±0.21 4.15 4.00-4.30 投与後 16~24 時間値 4.00~4.30 2 (%) (3)副作用と血中濃度 副作用発現例と非発現例における平均血中濃度を表 2.7.6-35 に示した。 副作用発現例,非発現例ともに各症例の全投与期間における平均血中濃度を算出した。副作用を 発現した 23 例の平均血中濃度の中央値は 4.00ng/mL であったのに対し,副作用非発現例2例の平 均血中濃度はそれぞれ 3.60ng/mL,7.30ng/mL であった。 表 2.7.6-35 副作用発現例と非発現例における平均血中濃度 副作用発現の有無 あり なし n 平均値±S.D. 中央値 第1-第3四分位 最小~最大 n 平均値±S.D. 中央値 第1-第3四分位 最小~最大 23 4.26±1.46 4.00 2.80-5.30 1.70~7.21 2 5.45±2.62 5.45 3.60-7.30 3.60~7.30 (ng/mL) 6)死亡及びその他の重篤な有害事象 タクロリムス群では,死亡例はなかった。プラセボ群の1例で突然死がみられ,検死の結果,死 亡原因としては急性心不全が疑われた。 重篤な有害事象発現症例を表 2.7.6-36 に示した。重篤な有害事象は,タクロリムス群で4例 に4件(急性心筋梗塞 2件,感染性腸炎 1件,蜂巣炎 1件),プラセボ群で3例に8件[急性心 不全 <治験責任医師等の記載用語:突然死(急性心不全の疑)>,細菌性腟炎,クラミジア性骨盤内 炎症性疾患,ループス腎炎 <治験責任医師等の記載用語:原疾患(ループス腎炎)の悪化(全身浮 腫)>,胸水,心嚢液貯留,血中アルブミン減少,尿中蛋白陽性が各1件]認められた。タクロリム -57-

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ス群の感染性腸炎以外はいずれも治験薬による副作用と判定された。重篤度は,プラセボ群の急 性心不全は「死亡」,タクロリムスの急性心筋梗塞(2例中1例)は「死亡につながるおそれのあるも の」,その他は「治療のために入院又は入院期間の延長が必要となるもの」と判定された。プラセボ 群の急性心不全以外はいずれも回復した。 タクロリムス群でみられた重篤な有害事象発現例の臨床経過を総括報告書より抜粋し,以下に示 した。 表 2.7.6-36 重篤な有害事象 ①タクロリムス群 処置 症例 番号 有害事象 程度 重篤度 治験薬 その他 発現日 (日目) 転帰日 (日目) 転帰 治験薬との 因果関係 血中濃度1) (ng/mL) 13-01 急性心筋梗塞 高度 死亡につながる おそれ 中止 【167】 あり 168 202 回復 可能性あり 9.9 [168] 17-01 感染性腸炎 中等度 入院・入院期間 の延長が必要 継続 あり 22 36 回復 なし 4.3 [22] 33-01 急性心筋梗塞 高度 入院・入院期間 の延長が必要 中止 【102】 あり 105 135 回復 可能性あり 3.6 [85] 38-01 蜂巣炎 中等度 入院・入院期間 の延長が必要 継続 あり 70 85 回復 可能性あり 2.0 [57] 1) 発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) 【 】:治験薬の最終投与日(日目) [ ] :血中濃度測定日(日目) ②プラセボ群 処置 症例 番号 有害事象 程度 重篤度 治験薬 その他 発現日 (日目) 転帰日 (日目) 転帰 治験薬との 因果関係 血中濃度1) (ng/mL) 06-02 急性心不全 <突然死 (急性心不全の疑)> 高度 死亡 中止 【21】 なし 22 22 死亡 可能性あり - 細菌性膣炎 中等度 入院・入院期間 の延長が必要 継続 あり 91 147 回復 可能性あり - 15-01 クラミジア性骨盤内 炎症性疾患 中等度 入院・入院期間 の延長が必要 継続 あり 101 147 回復 可能性あり - ループス腎炎 <原疾患(ループス腎炎) の悪化(全身浮腫)> 高度 入院・入院期間 の延長が必要 中止 【29】 あり 27 56 回復 可能性あり - 胸水 中等度 入院・入院期間 の延長が必要 中止後 発現 あり 30 50 回復 可能性あり - 心嚢液貯留 中等度 入院・入院期間 の延長が必要 中止後 発現 あり 30 50 回復 可能性あり - 血中アルブミン減少 中等度 入院・入院期間 の延長が必要 中止後 発現 あり 30 65 回復 可能性あり - 16-02 尿中蛋白陽性 高度 入院・入院期間 の延長が必要 中止後 発現 あり 30 56 回復 可能性あり - 1) 発現時又は発現直近(発現前4週以内)の血中濃度 (MedDRA/J 7.1) < > :治験責任/分担医師の記載用語 【 】:治験薬の最終投与日(日目)

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以下に,タクロリムス群でみられた重篤な副作用発現例4例について詳述した。なお,併用療法 としては,重篤な副作用の発現までに併用された薬剤・療法を記載し,重篤な副作用発現直前(発 現前日又は発現日)に併用されていた薬剤・療法には“#”を付記した。 13 組1番 重篤な有害事象:急性心筋梗塞 本症例は男性で,年齢 4 歳,体重 62.3kg,合併症 高血圧症/高脂血症/高尿酸血症/頭痛,既往歴 なし,SLE 罹病期間 7.3 年,LN 罹病期間 7.3 年,腎生検所見(WHO 分類) びまん性増殖型(Ⅳ型)で,本 治験開始前6ヵ月以内に前治療薬として,シクロスポリン,プレドニゾロンが投与されていた。 治験薬は 20 年 10 月1日から 20 年3月 15 日(167 日目)まで投与され,有害事象(急性心筋梗塞) のため中止された。治験薬はタクロリムス(3mg/日)であった。中止時までのいずれの観察時期におい ても服薬率は 90%以上であった。前治療のプレドニゾロン#は継続投与され,さらに,胃炎・胃潰瘍(予 防又は治療)のためファモチジン#,エカベトナトリウム#,高脂血症・骨粗鬆症(予防又は治療)のためア トルバスタチンカルシウム#,合併症(予防又は治療)のためロサルタンカリウム#,アロプリノール#,合 併症(予防又は治療)及び有害事象(叙述対象の有害事象発現前に発現した他の有害事象)の治療ためカ ルベジロール#が投与された。 168 日目の深夜 0:00 より胸痛が発現した。同日は来院予定日であったため午後に来院したところ, 血液検査(AST 増加,血中 LDH 増加),心電図等より急性心筋梗塞が強く疑われたため緊急入院となった。 冠動脈造影にて Seg.6に 100%狭窄が認められたため,PTCA(経皮的冠動脈形成術),STENT 留置が実施 され,ヘパリンナトリウム(静脈内注射) 1mL/hr,ニトログリセリン(静脈内注射) 1mL/hr が翌朝7時 まで持続投与された。Seg.4にも高度の狭窄が認められていた。ニトログリセリン(舌下),シロスタ ゾール,塩酸チクロピジン,アスピリン,カンデサルタンシレキセチル,ワルファリンカリウム,セ ファゾリンナトリウム(静脈内注射),乳酸リンゲル液(静脈内注射)が投与され,症状は 202 日目(中止 35 日後)に回復した。急性心筋梗塞発現時直近の血中濃度は 9.9ng/mL(168 日目 服薬後 17.92 時間)であ った。なお,本症例は高血圧症を合併しており,ロサルタンカリウムが投与されていたが,42 日目に 162/90mmHg と収縮期血圧が 160mmHg を超え,軽度の血圧上昇がみられたためカルベジロールが投与され た。 治験責任医師等は,急性心筋梗塞の程度を「高度」,重篤度を「死亡につながるおそれのあるもの」, 治験薬との因果関係を「可能性あり」と判定した。 【臨床検査値等の推移】 投与前 (-29 日目) 14 日目 28 日目 56 日目 77 日目 112 日目 140 日目 168 日目 WBC(/μL) 9600 11800 11400 11000 11700 11800 9800 11700 AST(IU/L) 42 33 37 38 36 35 33 306 LDH(IU/L) 198 174 162 156 165 175 160 615 タ ク ロ リ ム ス 血 中濃度(ng/mL) - 6.8 (服薬後 16.5 時間) 7.5 (服薬後 17.83 時間) 9.0 (服薬後 17.67 時間) 5.2 (服薬後 15.58 時間) 3.2 (服薬後 15.58 時間) 7.3 (服薬後 15.67 時間) 9.9 (服薬後 17.92 時間) 血圧(mm/Hg) 156/84 - 144/84 - 140/90 - 118/67 152/100 異常 - 異常 - 心電図 判定 所見 異常 Flat T LVH - P-R Prolongation

Suspect Inferior infarction Negative T

LVH

P-R Prolongation

Suspect Inferior infarction Negative T LVH 異常 Abnormal Q Negative T LVH 異常 V1,V2,V3に QS pattern + コメント 心電計の解釈は多様であるが,基本的には高血圧に伴う左室肥大(LVH)が主体を占めていた 急 性 心 筋 梗 塞 ( 前 壁 中 隔 ) に よ る 心 電 図 変 化 を認めた 下線:基準外値 -59-

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【臨床検査値等の推移 つづき】 170 日目 (中止3日後) 178 日目 (中止 11 日後) 187 日目 (中止 20 日後) 191 日目 (中止 24 日後) AST(IU/L) - 39§ LDH(IU/L) - - - 389§ 心エコー 判定 所見 異常 梗塞直後に比較して前壁~ 前壁側壁の運動改善 - 異常 前壁中隔~側壁の mid~apex にかけて hypokinesia+ - §:基準内外の判定なし 【治験責任医師等の因果関係に対するコメント】 高血圧家系,MI§§の家族歴あり,ステロイドの長期投与等ハイリスクな患者ではあるが,治験薬 との関連がないと言い切ることは難しいことから,可能性ありと判断する。 §§:心筋梗塞 【治験依頼者の見解 副作用検討委員会(20 年 月 日, 月 日)記録抜粋】 20 年3月 23 日 因果関係:8年の SLE 歴,心筋梗塞の家族歴を有し,高血圧,高脂血症及び高尿酸血症を合併し, ステロイドを長期投与された心筋梗塞のリスクの高い多い患者であることから,本剤投与中の自 然発症と考えられ,本剤との因果関係は「多分なし」と判断する。 重篤度:深夜に胸痛が発現したものの医療機関へは午後に自ら受診していることから,発現時に は生命を脅かす事象ではなかったと考えられ,また,PTCA 等により翌日に軽快していることか ら,「入院/入院期間の延長」と判断する。 20 年4月1日[医学専門家より企業見解(因果関係,重篤性)について再検討するよう要請があっ たため再検討] 因果関係:本委員会では8年の SLE 歴,心筋梗塞の家族歴,喫煙歴を有し,高血圧,高脂血症及び 高尿酸血症を合併し,ステロイドを長期投与されるなど,リスク因子が多い患者であることが重 要であると考える。本剤投与中の事象であることから関連がないとは言えないものの,ハイリス ク患者であることを勘案し,本剤との因果関係は「多分なし」と判断し,企業意見の変更は行わな い。 重篤度:再考により,発現時には生命を脅かす事象ではなかったと考えられるが,冠動脈造影に て#6の 100%狭窄,#4にも高度の狭窄を認め,その時点で死亡に至る重大な事象につながる可 能性のある状態とも考えられ,報告医の判定を覆す状態でもなく「死亡のおそれ」に変更する。 【安全性検討委員会の見解 第 13 回安全性検討委員会(20 年 月 日)議事録抜粋】 高血圧及び心筋梗塞の家族歴,ステロイド剤の長期投与,喫煙等のリスクファクターのある患者 であった。心電図においても左室肥大が認められており,患者背景から,心疾患発症のリスクの 高い患者であったと思われるため,このような高リスクの患者は血圧のコントロールを含め,慎 重な観察を行うよう注意が必要である。 【心電図検討の見解 心電図検討(20 年 月 日)記録抜粋】 併用薬の種類・量からみても,心筋梗塞を起こすリスクはかなり高く,20 週後心電図では T 波逆 転が見られており,血圧のコントロールが悪いことがわかる。

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17 組1番 重篤な有害事象: 感染性腸炎 本症例は女性で,年齢 2 歳,体重 42.6kg,合併症 高脂血症/近視性乱視,既往歴 なし,SLE 罹病 期間 9.3 年,LN 罹病期間 8.9 年,腎生検所見(WHO 分類) びまん性増殖型(Ⅳ型)で,本治験開始前6ヵ 月以内に前治療薬として,プレドニゾロンが投与されていた。 治験薬は 20 年 12 月 18 日から 20 年6月 30 日(196 日目)まで投与され治験を終了した。治験薬は タクロリムス(3mg/日)であった。治験終了時までのいずれの観察時期においても服薬率は 90%以上で あった。前治療のプレドニゾロン#(17.5mg/日)は継続投与され,さらに,胃炎・胃潰瘍(予防又は治療) のためアズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン#,高脂血症・骨粗鬆症(予防又は治療)のため乳酸 カルシウム#が投与された。 22 日目より嘔気,嘔吐,水様下痢,腹痛,頭痛,咽頭痛,発熱,悪寒,倦怠感が発現し,同日の WBC は 10000/μL と上昇していた。感染性腸炎(病原体:norovirus)と診断され,22 日目より治療のために 入院した。治験薬の投与は継続されたが,メトクロプラミド(点滴),開始液(点滴)が投与され,クー リングが行われた。発熱は 22 日目のみであり,嘔気,嘔吐,下痢は 23 日目に消失し,同日には退院し た。36 日目には症状は完全に回復した。同日の WBC は 7100/μL であった。感染性腸炎発現時直近(発現 前4週以内)の血中濃度は 4.3ng/mL(22 日目 服薬後 14.75 時間)であった。 治験責任医師等は,感染性腸炎の程度を「中等度」,重篤度を「治療のため入院又は入院期間の延長が 必要となるもの」,治験薬との因果関係を「なし」と判定した。 【治験責任医師等の因果関係に対するコメント】 流行性感染症(ノロウィルスによる)の偶発的な発症であり,治験薬との因果関係はないと考えら れる。 33 組1番 重篤な有害事象:急性心筋梗塞 重要な有害事象[叙述対象の事象(治験薬の投与中止に至ったか又は高度の事象)]:AST 増加,ALT 増加, 血中 LDH 増加 本症例は男性で,年齢 3 歳,体重 83.5kg,合併症 抗リン脂質抗体症候群/高脂血症,既往歴 なし, SLE 罹病期間 7 年,LN 罹病期間 7.3 年,腎生検所見(WHO 分類) びまん性増殖型(Ⅳ型)で,本治験開始 前6ヵ月以内に前治療薬として,ミゾリビン,プレドニゾロン,ジピリダモールが投与されていた。 治験薬は 20 年8月9日から 20 年 11 月 18 日(102 日目)まで投与され,有害事象(急性心筋梗塞) のため中止された。治験薬はタクロリムス(3mg/日)であった。中止時までのいずれの観察時期におい ても服薬率は 90%以上であった。前治療のプレドニゾロン#,ジピリダモール#は継続投与され,さらに, 胃炎・胃潰瘍(予防又は治療)のためシメチジン#,テプレノン#,高脂血症・骨粗鬆症(予防又は治療)の ためアトルバスタチンカルシウム#,合併症(予防又は治療)のためアスピリン・ダイアルミネート#が投 与された。 99 日目に感冒症状がみられ,被験者の判断で 102 日目を最後に治験薬の投与が中止された。105 日目 の午前 9:00 に胸部の違和感が発現し,その後も持続した。翌日も胸部症状が改善しないため外来を受 診したところ,心電図・血液所見(白血球数増加,好中球百分率増加,リンパ球百分率減少,AST 増加, ALT 増加,血中 LDH 増加,CRP 増加,CPK 増加)より急性心筋梗塞が疑われ緊急入院となった。38~39℃ 台の発熱があり,感冒症状もみられたことから心筋炎も疑われた。腎機能も悪化しているため同日は CAG(冠動脈造影)を実施することができなかった。108 日目に腎機能が改善してきたため CAG を実施した ところ,急性心筋梗塞の所見がみられ,心筋炎の可能性は低いと判断された。腎機能回復後に PCI(経 皮的冠動脈形成術)を施行する予定で,その間ワーファリゼーションが実施された。122 日目に PCI が実 施されたが,STENT 挿入は不可能であった。132 日目に実施された心エコー所見では正常に至っていな かったものの,自覚症状,シャワー負荷で問題なかったことから,135 日目(中止 33 日後)に回復と判断 され退院した。詳細な経過を下記に示した。急性心筋梗塞発現時直近(発現前4週以内)の血中濃度は 3.6ng/mL(85 日目 服薬後 14.25 時間)であった。 -61-

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治験責任医師等は,急性心筋梗塞の程度を「高度」,重篤度を「治療のため入院又は入院期間の延長が 必要となるもの」,治験薬との因果関係を「可能性あり」と判定した。 日付 経過 99 日目 感冒症状をみたが,特に気にとめる程度。 105 日目 (中止 3 日後) 朝方(AM9:00),胸部の違和感出現。その後も症状持続。(103 日より被験者の自己判断で治験薬 服薬中止) 106 日目 (中止 4 日後) 胸部症状改善しないため,外来受診(AM11:45)。心電図・血液所見より急性心筋梗塞疑われ, 緊急入院。発熱(38~39℃台)もあり,感冒症状もみられたことから心筋炎も疑う。腎機能も悪 化(BUN 31mg/dL,s-Cr 2.31mg/dL)しており,CAG 実施できない。腎機能悪化に対して輸液 150mL/hr,フロセミド 5mg を使用。 107 日目 (中止 5 日後) ECG 上,不整脈(AV-block)出現。右室拡大や血圧変化は特にない。 108 日目 (中止 6 日後) 胸部痛なく,昨日より尿流出良好となり腎機能改善(CCr 167mL/分,s-Cr 1.29 mg/dL)したため CAG 実施。

RCA #1 total 左冠動脈からの collateral(+),心臓下壁の梗塞を確認。LAD,LCX normal。AMI の所見がみられるため,心筋炎の可能性低い。心筋バイオプシーは実施せず。腎機能を考える と造影剤は使用最低限に留めるべきであり,腎機能回復後に PCI 実施予定。ECG 上,不整脈 (AV-block)出現し,経時的変化あるが虚血によるものと考えられる。今後ステント挿入予定。 WBC は改善傾向だが,38 度台の発熱が続いている。(メロペネム三水和物 0.5g/日,人免疫グロ ブリン 5g/日 投与中) 109 日目 (中止 7 日後) 本日より安静度増し,食事開始。胸部痛なし。ECG より,不整脈(AV-block)あり。RCA #1 閉塞 に対し,PCI 行うまでの間ワーファリゼーション実施。腎機能改善してきており,メロペネム 三水和物を通常の 1.0g/日まで増量。人免疫グロブリンは本日で終了。 110 日目 (中止 8 日後) ECG 上,不整脈(AV-block)あり。胸痛(-),ふらつき(-),動悸(-)。アスピリン,塩酸チクロ ピジン投与開始。 ステント挿入後もワーファリゼーションを行うかどうかは頭部 MRI の結果をみて検討する。12 月初めに PCI 予定。 111 日目 (中止 9 日後) CCU 退室。胸痛等の症状なく経過中。血圧落ち着いている。リモデリングに対し,ロサルタン カリウム開始。 114 日目 (中止 12 日後) 尿量 2400ml と流出良好だが,s-Cr 1.28 mg/dL,CCr 69.3 mL/分と腎臓機能低下。 115 日目 (中止 13 日後) ロサルタンカリウム開始したが,BUN ↑,s-Cr ↑のため明日より内服中止。メロペネム三水和 物も中止。ワルファリンカリウムは本日から 2.5mg 処方。 119 日目 (中止 17 日後) VT(+)ということで循内当直 call。モニター上,VT11 連発,単形性。 電解質チェック(K 3.8mEq/L,BUN 14.0 mg/dL,s-Cr 1.03 mg/dL) 120 日目 (中止 18 日後) 右胸水(+),心嚢液(+)であり胸膜炎等を疑う。昨日の VT の原因として電解質,内服薬等考えら れるため,K 補正行い本日より塩化カリウム,内服開始。頭部 MRI,MRA に血栓病変は確認され なかった。 122 日目 (中止 20 日後)

CAG 再施行。RCA #1 total の病変は血栓が器質化しており,ステント挿入は不可能であった。 ワルファリンカリウム継続。歩行負荷,シャワー負荷を実施し,問題なければ膠原病の加療お こなっていく。 124 日目 (中止 22 日後) ホルター心電図施行。PVC single 認めるも不整脈は確認されなかった。 125 日目 (中止 23 日後) 尿量増加であったためか,K 減少傾向のため本日より塩化カリウム内服。 128 日目 (中止 26 日後) 本日よりシクロスポリン投与開始。CCr 83.9 mL/分で腎機能保たれている。 130 日目 (中止 28 日後) 胸部症状なく経過中。19:00- 起きているとき PVCs(single のみ)がみられた。 リスクを軽減させるため,コレステロール等脂質,HT,DM チェック。 高脂血症,インスリン抵抗性(+),境界型 DM,HT(-),smoke(-)であった。運動療法,食事療法 を指導。 135 日目 (中止 33 日後) 胸部症状なく経過。ワルファリンカリウム継続中。 本日で循環器内科での入院終了とし膠原病内科のみの入院となる。退院後は循環器内科外来に てフォロー。

(30)

【臨床検査値等の推移】 投与前 (-14 日目) 15 日目 29 日目 57 日目 85 日目 113 日目 (中止 11 日後) WBC(/μL) 9400 6300 7500 5900 5500 6300 好中球(%) 77 77 74 58 57 71 リンパ球(%) 20 21 21 38 37 20 AST(IU/L) 37 45 28 22 24 71 ALT(IU/L) 39 45 29 25 28 102 LDH(IU/L) 266 284 169 163 159 507 クレアチニン(mg/dL) 0.92 1.37 1.00 1.19 1.07 1.14 NAG(IU/L) 17.2 6.5 23.6 23.8 21.0 - 尿沈渣 (赤血球) 1-5/毎 - 1-5/毎 1-5/毎 1-5/数 - タクロリムス血中濃度 (ng/mL) - 4.3 (服薬後 14.25 時間) 3.6 (服薬後 14.33 時間) 3.3 (服薬後 13.25 時間) 3.6 (服薬後 14.25 時間) 0.5 未満 血圧(mm/Hg) 112/66 - 116/60 - 120/60 - 心電図 判定 所見 正常範囲内 PACs - 正常範囲内 PACs non-specific ST-T change - 正常範囲内 - コメント 投与開始時(-14 日目)の PACs については,循環器内科にコンサルトし治療不要であるとの診断を受 けている。PACs は臨床的に問題となる所見でなく異常とは考えない 胸部 X 線 CTR 値 判 定 46.7% 正常範囲内 - - - - - 下線:基準外値 -63-

表 2.7.6-14  随伴症状(全事象)  投与群  タクロリムス群 プラセボ群  評価例数  28 35  発現件数  61 65  発現例数(発現率)  24(85.7%) 27(77.1%)  検定(Fisher の直接確率法)  p=0.523 投与中止例数(中止率)  4(14.3%) 3(8.6%)  程度 程度  器官分類[SOC]  症状[PT]  発現 例数 軽度 中等度 高度 発現例数 軽度  中等度  高度 血液及びリンパ系障害  鉄欠乏性貧血  1 1  急性心筋梗塞  2 2 急
表 2.7.6-15  随伴症状(副作用)  投与群  タクロリムス群  プラセボ群  評価例数  28  35  発現件数  28  29  発現例数(発現率)  17(60.7%)  16(45.7%)  検定(Fisher の直接確率法)  p=0.312  投与中止例数(中止率)  4(14.3%)  3(8.6%)  程度  程度  器官分類[SOC]  症状[PT]  発現 例数 軽度 中等度 高度 発現例数 軽度  中等度  高度 急性心筋梗塞  2  2  急性心不全  1  1  心嚢液貯
表 2.7.6-16  随伴症状(全事象)の器官分類別発現件数  器官分類[SOC]  投与群  タクロリムス群  プラセボ群 血液及びリンパ系障害  1  心臓障害  3  2  耳及び迷路障害  1  眼障害  3  胃腸障害  18  15  全身障害及び投与局所様態  2  7  感染症及び寄生虫症  2  3  傷害,中毒及び処置合併症  2  5  臨床検査  1  3  代謝及び栄養障害  2  1  筋骨格系及び結合組織障害  7  4  神経系障害  9  10  精神障害  3  腎及び
表 2.7.6-19  感染症(副作用)  投与群  タクロリムス群  プラセボ群  評価例数  28  35  発現件数  14  22  発現例数(発現率)  10(35.7%)  13(37.1%)  検定(Fisher の直接確率法)  p=1.000  投与中止例数(中止率)  0  0  程度  程度  症状[PT]  発現 例数 軽度 中等度 高度 発現例数 軽度 中等度  高度  上気道の炎症  2  2  1  1  上気道感染  1  1  咽頭炎  1  1  鼻咽頭炎  5  1
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参照

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