【練習問題2】デイサービスでの補聴器の紛失
◆次のクレーム対応について、問題点と改善策を討議して下さい。
●利用者の状況
88歳、女性、要介護5、既往症:平成 5 年パーキンソン病、子宮全摘出、このころより寝たきり状態、平成 9
年よりレビー小体型認知症、ADL:拘縮も強まり自力で動くことはなく生活全般に全介助、歩行不可、立位の際
は二人介助、食事ミキサー食にて全介助、発語なし、コミュニケーションはこちらの問いかけにうなずく程度、デ
イでは座位で過ごす、補聴器使用、送迎にはリフターを使用し、自宅前の階段は運転手と助手で抱えて移動、玄関
で自宅用の車椅子へ移乗しヘルパーに引き継ぐ。
デイサービスは週 1 回利用、他に訪問看護週 1 回、訪問介護週 5 日利用している。
●クレームの申立内容
デイサービスからの送迎帰宅後、1 時間後くらいに家族より電話があり事務職が電話を取る。「デイサービスから
帰ってきたら補聴器が無くなっている」とクレームを言われる。すぐに相談員に電話を代わり詳しくお聞きすると、
「朝デイサービスに行く時には装着していたはずだ。難聴がかなり進んでいるので困る」と言われる。
●クレームへの対応状況
「自宅の前などを捜して下さい」とお願いして電話を切るが、10 分後に「自宅付近を捜したが見つからない」と
再び電話が入る。デイルームと送迎車を捜すが発見できず、家族にその旨連絡する。職員に確認すると、送迎の
15 分前にトイレに行った時は確かに補聴器を着けていたと確認が取れるが、お送りした時には確認はしていない
とのこと。帰宅時の様子を確認するため、訪問介護のヘルパーの連絡先をお聞きする。訪問介護のヘルパーに電話
して帰宅時の様子を聞くと、「玄関でデイサービスの職員と交替し、居室まで車椅子でお連れして、ベッドに横に
なって初めて補聴器がないことに気付いた」とのこと。ヘルパーにベッドの周りを捜して欲しいと伝えると、少し
ムッとして「玄関からベッドまでの廊下と車椅子、ベッド周りも良く捜したが見つからなかった。」と答える。ヘ
ルパーに確認を取った後家族に電話を入れ、「こちらも職員で捜してみるのでご自宅や付近を、もう一度捜しても
らえませんか?」と電話で依頼すると家族は了解してくれた。
翌日、ケアマネジャーに報告し相談するが、「もう少し念入りに捜して欲しい」とのことであった。3 日後に所長
が家族に電話を入れて、「職員でデイサービス内を捜したが発見できない。補聴器の価格を教えて欲しい」とお願
いすると、価格は 12 万程度とのこと。保険会社に連絡すると、保険金請求には警察への紛失届けが必要で、すぐ
には支払いにはならず一定期間発見を待つとのこと。その後もデイを利用するが補聴器は発見できなかった。2 ヵ
月後家族から「市に相談したら100%市の補助で補聴器を新調でき自己負担はなかった」と報告があった。翌日
所長が自宅を訪問し補聴器の紛失について謝罪し、家族も納得してもらった。
事例討議解答欄
■クレーム対応の問題点
■改善策
事例で学ぶクレーム対応3
■クレーム事例/認知症利用者の写真を広報誌に掲載した特養
利用者の状況
Uさん 85 歳 女性
要介護度/4 認知症/重度
歩行/車椅子 食事/半介助 排泄/誘導 入浴/全介助
既往症/脳梗塞後遺症・心不全・狭心症
■特養に入所して 10 年目。キーパーソンは長男だが、他に 3 人兄弟がおり時々意見
が異なるため、トラブルになることがある。
クレーム内容
特別養護老人ホームS苑では、「S苑便り」という施設の広報誌を月 1 回発行しています。家
族を中心に配布しており、できるだけ利用者の生活の様子が伝わるように、写真なども掲載
し生の情報が伝わるように努めています。また、「地域に開かれた施設を目指す」という施設
の方針から、地域の自治会や町会、在宅支援センター、地域包括支援センター、在宅ケアマ
ネ、福祉センターなどにも送付しています。もちろん、利用者の写真や氏名の掲載について
は、本人と家族の了解を得ることも忘れないようにしています。
ある月の「S苑便り」で、利用者のお気に入りの物を紹介することを企画し、Uさんが大切
にしている赤ちゃんの人形を紹介するため、人形を抱いて微笑んでいるUさんの写真を掲載
することになりました。家族の許可を得るために相談員の高本さんが、Uさんのキーパーソ
ンである長男に電話で企画の内容を話し、Uさんの写真の掲載許可をいただきました。
ところが、翌月S苑便りが発行されてしばらく経って、Uさんの次男の方からUさんの写真
の掲載についてクレームがありました。
Uさんの次男はこう言いました。「近くの福祉センターに用事があって言ったら、パンフレッ
ト立てにS苑便りが置いてあって、うちの母の写真が大写しで載っていた。しかも、赤ちゃ
んの人形を抱いて薄笑いを浮かべていて、あれでは痴呆だと分かってしまう。一体誰の許可
を得て、掲載しているのか?」
対応状況
施設長は、「掲載の許可はキーパーソンのご長男にいただいているので問題ない」と、説明し
ました。次男は納得して電話を切りました。
1 週間ほどして、キーパーソンの長男から電話がかかってきて、次のようにクレームを言われ
ました。「弟から母の写真について文句を言われた。『母の写真を掲載するから許可が欲しい』
と言われたが、赤ちゃんの人形を抱いている大写りの写真だとは思わなかった。配慮が足り
ない。それにN苑だよりが福祉センターのパンフレット立てに入っているとは思っていなか
った。そんな誰の目にも触れるような場所に置くことは、ちょっと常識に欠けるのではない
か?」
施設長は、「今後Uさんの写真は掲載しない、福祉センターにはパンフレット立てに置かない
ように注意する」と約束して、次男の納得を得ました。
事例討議解答欄
■クレーム対応の問題点
■改善策