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かんがい用貯水池の堆砂に関する研究 IV 奥の堂池における堆砂の層理について-香川大学学術情報リポジトリ

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ウ6 香川大学農学部学術報告

かんがい用貯水池の堆砂に関する研究

Ⅳ 奥の堂他における堆砂の層理について

青 息 八 郎

Studies onthe sedimentationofirrigationalreservoir fY On the stratification of sediments in reservoir Okunoda

HachiIOKIRA(Laboratoryof AgriculturalEngineering) (ReceivedAugust13.1956)

Ⅰ 緒

口 聾者はかんがい用貯水池における堆砂埋没磯隣究明の1端として,現存貯水池における曜砂分布状態を把握する 目的で,主として堆砂の垂直分布調査を進めている.今回は本学前川教授(1〉が研究対象とされている奥の堂池を研 究材料となし,昭和30年10月減水期に主として堆砂の垂直分布につき調査実験をおこない,前報(2)神内上池(山地 )に続き,既設人工湖として2,3の性格を究明しえたので,籠池Hill−Sidereservoir(8)(山麓の小漂流または丘陵 地の窪地を締切るもの)堆砂分布の1例として報告したい.

Ⅱ 奥の堂泡に見出きれた堆砂層理

奥の翌他に関する概要は前川教授の報告(1)に詳述してあるように,香川県木田部三木町田申,新川上流の小漢流 を締切ったと.ころのむしろ山地に近い畿池である小その内容をみると流域面積80ha,貯水池満水面綴8ムaで流域面

樟の姦,現最大畑7l・6m,塊敵1m,埠長145mの土槻である一・その甑能力は直接流域のみでは足らず豊水期

において間接流域からの導水をうけて貯水し,約45baにわたるかんがいをおこなっている.また流域地質は神内上 池とおなじく第4期新層の花崗岩であり,標高最高約270m,最低約60mで高差約210mである. この貯水池の現在唯砂状況を・み・ると,第璽,2因のように試料採取当時水位が満水位から約2.55m洪水すると水面 税は半滅しで上流側に緩勾配の堆砂面が素出しており,これはデルタ堆枝物が前進して 堆妙に・よる埋没が進展しつつあることを示すものである.しかし築造は約300年前である とされ,わが国発電用高堰埠(4)(ほとんど貯水池年令40年蚊下)が,長短ほあるとはいえそ 第1国 典の空地署図 (斜線部堆砂採取時 の水面)

第2因、■奥の堂池(減水執水位−2.55m)昭和30年10月5EI

の平均値に・おいて約50∼60年で埋没すると推定されるのに比し,小規模ながらいまなお約45haに対しかんがい用

水を補給している事実は,先ず流域面掛こ対する満水面積の比率(孟),直接流域面掛こ対する貯水容量の比すなわ

ち承水係数f‰あるいは流入水盈に対する貯水容量の比率すなわち貯水率Rcなどが大であり,したがって平均年 堆砂率Rsmeanあるいはその埋没速度が小であり,埋没危険性の比較的小なる貯水池であることを物語るだろう. また唯砂の大部分は流入小渓流により避穏されたようであるが,その他池岸における波浪や降雨流去水による池 岸浸蝕の結果によるものも認められ,下流側池岸附近の堆妙に粗大砂礫が存在していた.(第3,4図参照)

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

(2)

77 第8巻第1尊(1956) 堆砂の垂直分布調査は昭和30年10月5EI汲水期 (満水■面下2“55m)に上流例の諜出3断面につい て−,堆砂表面から約20∼100cm厚さの範囲につき おこなった,その位置は第1図に示す地底流心に 沿ったA,B,C3点であり,なおD点なるDensity −Currentbedsの表面池泥はE甘MAN−BERGE採 泥器陀より採泥した“ 流心部に.沿った露出3断面につき大観的に垂債 分布をみると,前報(2)神内上他の場合とおなじよ うに露出したデルタ先端附近まで掃洗物質層 第3園 地岸浸蝕(放浪, 鈴4因 堰堤内法浸蝕(湛 降雨流去水によるもの) 水期降雨に・よるもの) Tractional−loadlayerと浮流物質層Suspended−loadlaye‡が互層を・なしたところのいわゆる堆砂層理Stratifi− cationが見出された.

いまその各断面において層理毎採喫した堆砂試料の分析結果を示すと第1襲のように・,各断卸こおけるLs層(浮

第1表 堆砂の理学的性質(1955年10月5日採取) 芽肝 布  ̄ 、l !丁二 粒  ̄】【{】 ̄ ̄ 「診丁蒲田 砂‡l遡」壁

て一二・、「干

(%)】 (%)(ラ坦一_⊥ 0.25−′】0.05′− 額面豪商 層玉里 ) 7..241 1小60 ⊥し ︵b t S・◆レ S LLLLLL 123456 (No.6暦以下は調査できず)

4..29F5..55

2..611 8.05 (No..3層以下ほ調査できず) 8つ山84 0︶8F︶つ︶ 6180 ︵∠ ︵J 4505 3[ノ97 つ︼030 4386 615C︶ 6︵b35 ・、: 十こ ∴−∴ 級 度 仮比重,S石仮比重,Sa 粒径4分偏差 均 土 性 名 粗1密坪野粕密平肯藻(%.)【(苑)i:川て畝 d 貯dβ↑ d 64つ山99 ﹁ノ5フ︵J5 2︵∠︵∠2つん 9﹁ノつ山︵J6 4948︵.︺ 10﹁⊥∩︶1 7▲6﹁ノ︵∠4 50404 11111 07648 48382 トhし∩トロけ 5397488338 ・u . 06527 6︵U504 11111 4587408429

トト旨卜

055︵び5 909︵U O l l101 00000 礫土 壌土 礫に富む砂土 腐植を含む壌土 礫に富む砂土 黄暗茶暗茶 58465 3833一4. O1020 090[ノ6 ︵∠0︵∠︵J︵∠ O1010 11979 0872A. 61▲︻ノ5﹁ノ 46464 ∩︶5555 4︵∠35︵∠ ︵∠3︵∠33 11..0】0.6510.6 冒二二おゐ3冒三 二

礫に富む砂土 樽土

./∴;∴

ニー ̄ −、

l 00︵=0 49︵0 321 508 700 050 0 小 ・2〇 〇 10つ山0 ﹁′■︵㌧︶43 7628 慣魔憤憶 ・ − ・・・−∴ 64“591.40l 0500 15︵し0 7▲17⊥2 W 一 〇〇〇〇 22つム1 3 3 一 − −

∴、.・ ・ − ●・二 ‥、∴‥

4.0002“650.,1601..441。.631..541‖241‖371..312一.4646。.75O岬22

〔註〕#:如caleによる累加頻度曲線から求む(’β=−log2d),醐:TuRl丸民の酸化滴定法により求めた・

), 符乳は浮流物質臥1tは掃流物慣層せ示す.

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(3)

78 香川大学農学部学術報薯 流物質履)とLt層(播流物質層)の理学的性質が白ら異なっていることが明らかに認められる.すなわち当饗池 に・おいても山泡なる神内上池に類似して,そのL白眉は大体粘土分を多盈に含むところの菅色を・呈した腐植を含む 壊土乃至埴土からなる隣泥であり,洪水時浮流や潜行密度流により運ばれた微細粒子が徐々に沈澱堆税した.ものと 考えられ,Lも層は大体褐色を呈したところの礫に富む砂土あるいは礫土からなっており,洪水時の掃流により連 搬堆積した層であると考察される. 両層の性格をみると,・−・肢に粒子の大きさ(たとえば粒子の最大径,中央値およぴ4分偏差など)や仮比重,素 比翼などほ掃洗物蜃層の方が大であり,孔隙率や有機物合盈(炭素盈,腐植盈)などは浮流物質層の方が大であつ た. 以上のように山地に近い梵他においても,その上流デルタ堆積物中に.掃洗物質層と.浮流物腰層が互層をなす明瞭 な楠すなわち堆砂層理がみられたが,湛水のため調査できなかった下流側堆砂断面に.おいても同様な層理が形成さ れているであろうことが推察される. なお堰堤近くのDl−3点における衆面腐掛こついては,前川教授(1)が水位,水温および透明度などについて研究 材料とされた同・一水系内に.おける環境別貯水池,すなわち山地(城池),梵池(当奥の望池および男井間池)およ び野池(平田池)などについて,その堰軽附近に主として密度流により沈澱堆積したと考えられるいわゆるDensity Currentbeds(∂)なる腐泥の特性解析をおこない,密度流問題に.関して興味ある性格を明らかにしたが,次回まと めて報告したい.

班 摘 要 緒 言

かんがい用貯水池相からみた麓他の堆砂の1例として,前報山地(神内上池)に次いで奥の空地における堆砂の 垂直分布を調査して若干知りえた諸点を示すと次の通りであるり (1)人草的驚池に相当する奥の堂池の流心部附近の堆砂断面にほ,上流背水附近から中流開近までに選る聞におい て掃洗物質層と浮流物質層が互層をなす層理が見出された (2)掃流物質層と浮流物質層の性格には,山地(神内上池)の場合と同じように腰著なる差が認められ,掃洗物質 層は洪水時の掃流に.より砂礫が運搬堆積され,浮流物質層は渦濁密度況や浮流による敏和粒子が徐々に汲澱唯横 したものであることが推定される. (3)掃洗物質層は褐色を呈したところの礫に富む砂土か礫土であり,支削こ浮流物腰層ほ腐植や亜酸化鉄の存在によ り青色をおぴたどころの腐植を・含む壌土乃至埴土からなる腐泥である. 仕)一一股に粒子の大き・さ(粒径最大値,中央値およぴ4分偏差など)や仮比重,責比翼などは掃洗物質層が大であ り,孔際率,有機物含量(炭素および腐植盈)などほ浮流物質層が大である. 最後にこの研究調査にあたり常に御指導をうけている本学前川教授ならびに堆砂分析に協力された中西氏に深く 感謝の意を表したい. 参 考 文 献 報),香川大学農学部学術報賃・,8(1),25(1956)・ 極)吉良八郎:貯水池の堆妙に関する研究(工)貯水 池堆砂率の一算定漠,香川農大学術報告,一7(1),15 ∼26(1955). (5)善良八郎:貯水池における密度流の問題,土地改 良,7(1). (1)前川忠夫:かんがい用貯水池相に.関する研究(水 位,水温および透明度について),香川大学戯学部 学踊報告,8(1),44(1956). 但)吉良八郎:かんがい用貯水池の堆妙に関する研究 (Ⅱ),神内上池における堆砂の層理について,香 川大学農学部学補報告,8(1),65(1956). (3)前川忠夫:かんがい用貯水池相に関する研究(序 R e s u m仝

The author showsin thispaperinvestigationsand experimentsonthe verticaldistributionof

sedimentsin reservoir Okunod6in orderto studythe problemsof sedimentationin constructing

(4)

第8巻第1尊(1956) 79

aItificialreserVOir′S.

Tbe工eSults a工e Summaご■ized as follow≦;:

(1)Inthe hilトside reservoir,COnStruCting artificialreservoirs,the stratificationsis acknoⅣ1edged COnCerning the verticaldistribution of sediments duetoi七S七raci:ional・1oad and suspended−load by floodits centerline part of duTing mid−Stream from upper・Stream..

Generally speaking the tractionaトloadlayer(Lも)in these stratifications was the sands or

gravels has a tinge of brown,but suspended−loadlayer(Ls)was theloam orclay has a tinge blue which contains humus.

(2)The values of size of grains(the max.,median and percentile deviation diameter),apparent SpeCific gravity and realspecific gravity of tractional”loadlayer werelager than those of

SuSpended−loadlaye‡andporosityandorganicmattercontents(thepercentageofCaTldhumus二)

Sma11e工.

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