学年進行時の学級数増減 に伴 う学級規模 の変化 と
その影響 に関す る調査研 究
(第
Ⅱ報
)A research on the effects of the radical change of clemcntΥ
y school class sizes,in one prefecture in Japan,during the academic year 1998-1999
WATANABE,Akio キーワー ド:学級編制 (成
),学
級規模,40人
学級,30人
学級,自
治体調査研究 目 自勺 1980年改正標準法 (「公立義務教育諸学校 の学級編制及 び教職員定数の標準 に関す る法律J「公立 高等学校 の設置,適
正配置及 び教職員定数の標準等 に関す る法律」,12年
計画 によ り1991年度か ら 完全実施)に
よ り日本 の公立小 ・中学校 は40人 以下の学級編制 となってお り,1993年
改正標準法(8年
計画により2000年度が完成年)に
も引 き4Lがれている。地方教育委員会 は,多
くが毎年 5月 1日 を基準 日として,在
籍児童 ・生徒数に応 じて学級数や教職員数 を確定 している。 ところが,在
籍児童 ・生徒数は一定 してはお らず,転
居等 を理由 とした転 出入 によ り変動する。従 って,在
籍児 童 ・生徒数が「40の倍数」人前後の学年では,わ
ずか数名の異動 によつて学級数に増減が生 じ,学
級規模 に大 きな変化 を招 いている。学級規模 に上限を設ける方式 において,こ
れは避け られない現 象である。 とはいえ,例
えば狙 人2学
級(1学
級各20人・21人)の
学年が1人
の転 出によつて40人 1学級 となる変化 はあ ま りに も大 きい。何 らかの故済的な方策はあ りえないのであろうか。 このような課題意識の下 に,こ
れまで経験的には語 られて きた ものの実態把握の進 んでいなかっ た「学年進行時の学級数増減 に伴 う学級規模 の変化 とその影響」 を明 らかにす る目的で調査 を行 っ た。1997→ 1998年度の調査研究 に関 しては,既
に公表 してある1)。 本報告 (第Ⅱ報)で
は,さ
らに 1998→ 1999年度 に関 して追試 を行 った。 具体的には,同
一の児童 ・生徒集団が学年進行 (1998→ 1999年度)に
伴 って学級規模 の縮小 (20 人台規模へ)・ 拡大 (約40人規模へ)に
道遇 した際の効果 ・影響 を経年的に (さ らに持 ち上が り担 任 の場合 には同一教師の視点か ら)把
握 した。その上で,第
I報
で行 った調査結果の再検討 を行 う とともに,学
級規模 の適正 なあ り方及 び学級編制標準 (基準)の
弾力的運用 について も改めて考察 する。 刀 日 立 ロ 渡 男* *人間教育講座 (特別なニーズ教育)22渡
部昭男 :学年進行時の学級数増減に伴う学級規模の変化とその影響に関する調査研究(第Ⅱ報)2.方
法 対象県 として,第
I報
と同様 にT県
を選んだ。学校基本調査 を各学校 の学年別 に掲載 したT県
教 育委員会編 『学校便覧』(各5月 1日現在)の 1998及び1999年度版 に基づ き,1998→
1999年度の過程 で在籍児童生徒数 (75条学級在籍者 は除外)に
変化があ り,40人
学級編制 にかかわって学級増減の あった学年 ・学校 を抽出 した。 その結果,表
1に示す ようにT県
下の公立小学校(分校 を除 く)168校 の内で,学
級増が9校
(5.4 %)・ 学級減がH校
(6.5%)あ つた (なお,姑
象数が少 なかった中学校 は,今
回 も除外 した)。 対象 小学校20校について調査用紙 (巻末 に掲載)を
各学校長宛 に郵送 し,該
当学年の担任(できれば持 ち上が り担任)に回答 を依頼 した。調査時期 は,前
回調査 と同様 に,学
級づ くり等が進 んで学年の 様子 をある程度客観的に見 ることので きる3学
期 を選び,2000年
1月 とした。 回収状況は,学
級増が7/9校
(77.7%)・ 学級減が9/H校
(81.8%)であった (表1)。 表1.調
査対象小学校数及び回収状況 回答校数/対 象校数 (単位 :校) 学 年 2学年 3学年 4学年 5学年 6学年 計 学級 増 学級 減1/1
3/3
1/1
4/5
―/2
1/1
1/1
1/2
4//4
7/9
9/11
3.結
果1)学
級増減による学級規模の変化 (設問A「
学級増減状況」) 回答のあった16校における学級増減による学級規模の変化は極めて大 きい(図1)。 まず,学
級増加 となった7校
(学校No l∼ 7)とま,1998年
度の36∼40人(平均値:7校
の在籍児童 数計/学
級数計=38,6人
)から1999年度の20.5∼ 27.7人 (同23.4人 )へと約3/5(平
均値 による縮小 率61%)に
学級規模が縮小 していた。学級増加 となった在籍児童数の変化は, 1人
増が1校
(NQ 6),2人
増が1校
(No 3), 3人 増が2校
(No 5。7), 5人
増が2校
(No l・2), 8人
増が1校
(No 4)であった。また
,1→
2学
級が5校
(No l,3・ 5・ 6・7), 2→ 3学
級が2校
(No 2・4)で
あった。 図1
学級増減 による学級規模 の変化(1998/1999) ︵< ︶懇 概 駅 誨 樽 a 併鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 。人文科学 第
2巻
第1号
(2000) 23
1
次 に,学
級減少 となった9校
(Noll∼ 19)は,1998年
度の20.5∼ 30.5人 (平均値:9校
の在籍児童1
数計/学
級数計=27.3人
)から1999年度 の37.7∼40人(同39.1人)へと約1.4倍(平均値 に よる拡大率1 1430/0)に
学級規模が拡大 していた。学級減少 となった在籍児童数の変化 は
, 1人
減が1校
(No18),2人
減が2校 (No12,16), 3人
減が3校
(No13・15,17), 5人
減が1校
(No19), 6人減が1校
(No14),9人
減が1校 (h■
)であった。また,2→
1学
級が2校
(No12・16),3→ 2学
級が5校
(No14・ 15,17・ 18・19), 4→ 3学
級が2校
(Noll・ 13)であつた。1 2)学
級規模の変化 に伴 う影響 (設問B+設
間A「
学年担任状況」)(i)22項
目に対 する3段
階選択回答1
学級規模 の変化 に伴 う影響 に関する以下の22項目について,1998年
度 と比較 しての1999年度のク│
ラスの様子 を3段
階選択 (そう思 う 。3点 ,
どち らとも言 えない 。2点
,そ
うは思わない 。1点。│
なお,無
記入 は0点
とした)で
回答 して もらった。(1)授
業 中の子 ども一人あた りの発言回数が多 くなった。(2)授
業 に集中 している子 どもが '曽 えた。(3)授
業 中に自分の意見 を積極的に述べ る子 どもが増 えた。(4)授
業中に子 ども同士の議論が成 り立 ちやす くなった。(5)学
習の過程でつ まずいている子 どもを見つけやす くなった。(6)一
人一人の良 さを生か した指導がで きるようになった。(7)テ
ス トの採点やノー トの点検 に時間がかけられるようになった。(8)授
業以外 で子 どもとの会話が十分で きるようになった。(9)子
ども同士の人間関係が分か りやす くなった。│ (10)子
ども一人一人の気持 ちが理解で きるようになった。(11)教
室が広 くなった。 (12)イ ライラしている子 どもが減 った。(13)学
級 に和 やかな雰囲気が出て きた。(14)学
級 にまとま りが出て きた。(15)保
護者 とのコミュニケーシ ョンが増 えた。(16)基
礎学力の定着 を進めることがで きるようになった。│ (17)繰
り返 して教 える等,分
かるまで教 えられるようになった。(18)授
業 中に習熟の時間を確保す ることがで きるようになった。(19)発
展 させた り応用する力 をつける授業がで きるようになった。(20)考
える力や生 きる力 をつける授業がで きるようになった。(21)学
級の中に「い じめ」 は見 られない。(22)学
級の中に「不登校」の子 どもはいない。 結果 は表2に一覧にす るとともに,図
2に分か りやす く図示 した。 また,無
記入の多か った学校 No17を除いて,学
級増加=規
模縮小校(7校
)と学級減少=規
模拡大校(8校
)の別 に得点の平均値 を 求める とともに,マ
ン・ホイッ トニ検定(Manll―Whitllcy's U Tcst)を 用いて危険率5%(*)及
び1%
(**)で有意差 を検定 した。 なお参考のために,設
問A「
学年担任状況」欄への記述,及
びT県
教育調査研 究協会 『T県
教育 関係職員録』1998年度 ,1999年 度版の比較 によ り判明 した人事異動状況か ら,各
校 回答者 の1999年学 校 番 号 1999年度学年 規 5 6 〓 2 3 × 子 繊 似 グ=規模 挑 夢 11 12 13 14 15 16 18 19[1 12 13 14 15 16 18 19 17 22233345 3 ○ ○ ○ △ 〇 △ 〇 〇 平 均 △ 「不 苓校│はない 02)授業に集 中 03)意見を述べる 04)議論が成立 05)つまずきの発見 06)個々の良さ 07)採点や点検 08)子どもとの会話 09)人間関係の把握 10)気持ちの理解 11)教室が広く感じる 12)イライラ児の減少 13)和やかな雰囲気 14)学級にまとまり 15)保護者との関係 16)基礎学力の定着 17)分かるまで指導 18)習熟時間の確保 19)発展・応用の力 20)考え生きる力 21)「いじめ」はない 27 2.7 23 23 3,0 30 3.0 29 26 24 30 26 27 2.7 19 27 27 26 2.1 19 2.4 2,7 1 1.5 0 ** 2 15 0 * 1 16 0 2 1,9 0 1 1 0 ** 13 0 ** 10 0 ** 1.3 0 ** 18 0 * 14 0 ** 10 1 ** 2 19 0 * 2 1,9 0 * 2 20 0 * 1 1.5 0 1 1 1 0 ** 1 10 0 ** 2 1,4 0 ** 1 15 0 2 16 0 2 24 1 2 21 1 * ** * ** ** ** ** ** ** ** * * * * ** ** ** *米
24渡
部昭男 :学年進行時の学級数増減に伴う学級規模の変化とその影響に関する調査研究(第Ⅱ報) 表2.学
級規模 の変化 に伴 う影響 図2.学
級規模 の変化 に伴 う影 響(1998/1999) 11 12 学校番号 度における該当学年及び担任の持ち上が り状況 (持ち上が りの担任一〇,校内での異動 による担任一 △,校
外か らの異動 による担任一 ×)も
表示 した。学級増加=規
模縮小校 は前年度の様子 を知 って いる持 ち上が り担任が2校
,校
内異動担任が4校
,校
外異動担任が1校
であった。学級減少=規
模 拡大校 は持 ち上が り担任が6校
,校
内異動担任が3人
であった。結果の集計か ら除いた学校No17は 校 内異動担任 であったが,「昨年の細かな様子 を知 っているわけで もないので,比
較 しようがあ り ません」 と注記 した上で設問Bに
関 してはほぼ無記入 としていた。 まず,平
均値 に関 して,学
級増加=規
模縮小校 の7校
では1.9∼ 3.0と なってお り,(19)保
護者 と の関係及 び(20)考え生 きる力 [平均値 はともに1.9],を
除 く20項目で2,0以上 となってお り,全
般 的 に肯定 的 な影響 がみ られた。一方,学
級 減少=規
模 拡大校 の8校
で は,(14)学
級 に ま とま り < Z 一 〇 ′‘ 苺 牟 頭 逆 い や ■ メ ↓苺 頂 加 や 襲 0 世 勺 ¨N ′い 漿 い や ¨o鳥取大学教育地域科学部紀要 教育・人文科学 第
2巻
第1号
(2000) [2.0],(21)「 い じめ」はない[2.4],(22)「 不登校」はない[2.1],の3項
目を除 く19項目で2,0未 満の平均値 となってお り,全
般的に否定的な影響がみられた。 次に,学
級増加校 と学級減少校の両群の有意差を検定 してみると,(1)発
言回数の増加,(5)つ
ま ず きの発見,(6)一
人一人の良さ,(7)テ
ス トの採点やノー トの点検,(8)授
業以外で子 どもとの会 話,(10)子
ども一人一人の気持ちの理解,(11)教
室が広 くなった,(16)基
礎学力の定着,(17)分
か るまで教えられる,(18)授
業中に習熟の時間を確保,の
10項目(同順位補正P<0.01,表
2の 「検 定」欄の**E口)並びに,(2)授
業に集中,(9)子
ども同士の人間関係の把握,(12)イ ライラ児の減少, (13)学級に和やかな雰囲気,(14)学
級 にまとまり,の
5項
目(同P<0.05,同
*E「)に有意差が認め られた。なお,(3)自
分 の意見 を述べ る,(4)議
論の成立,(15)保
護者 とのコミュニケーション, (19)発展 させた り応用する力,(20)考
える力や生 きる力,(21)「
い じめ」はない,(22)「
不登校」 はない,の 7項
目に有意差は認められなかった。 (il)自 由記述一子 どもへの影響 学級規模の変化が及ぼす①子 どもへの影響,②
担任教師の学級経営への影響,③
学年担任団の学 年経営への影響について自由記述を求めた (設問B・ 自由記述)。 まず,子
どもへの影響 に関 して,学
級増加=規
模縮小校では,「友達 どうしの意見等 を落ち着い て聞き合える。男子 と女子に分かれてかたまらないで,一
緒に遊ぶ機会が増えている。(学校No l,2年
生,校
内異動)J「[多人数学級では一引用者補足]教
師の 目の届かないところが増え,生
徒指 導や学習規律の面で乱れが必要以上に生 じる。[少人数化により]教
師が子 どもたちの前に立った とき,全
員がぱつと目に入る。これは子 どもたちにとって,安
心感 を与える気がする。(学校No 2,3年
生,校
外異動)」「多人数では,
もまれることによって学ぶことが多い。 しか し,複
雑な人間関 係にどれだけプラスの姑応 をしている子がいるかは疑問。少人数では,波
風はあまりないが,序
列 化のようなものが小 さい内から固定 され,そ
の中で行動 した り考えた りする傾向が見 られる。(学 校hTo 3, 5年生,校
内異動)」「5年
から6年
への学年進行では,本
校の場合,学
級編成替えを行わ ず,児
童は同 じメンバーでの進級 としている(1年
か ら号年, 3年
か ら4年
の場合 も同様)。 従っ て, 5年
時の学級の友達 と,ク
ラスが別になるということを,児
童は最 も不安がっていた。そのた め1ク ラスの人数が多 くても,現
行2ク ラスのままが よいという気持ちをもつ児童が多かった。結 果的に少人数学級化 となつたが,児
童は順応 した。効果・影響 について粥らかなデータはもちあわ せないが,空
間的・時間的なゆとりを児童は感 じていると推察する。(学校XTo 4, 6年生,持
ち上 が り)」「ゆとりが持て,落
ちついた気持ちで物事 に取 り組める (気持ち的にも,時
間的にも)。 (学 校No 5, 6年 生,校
内異動)」「ゆった りとした教室空間が得 られ,落
ち着 きが感 じられる。学習に 際 しても,深
く追求する姿勢が見 られるようになった。子 どもが友達に対 してていねいに接するよ うになった。(学校No 6, 6年
生,持
ち上が り)J「プラス:一人ひとりをじっ くり見つめた り,話
したりできる。それぞれの役害Jがはっきりし,責
任 をもって行動する。教室・教材等にゆとりがあ り,
じっくり取 り組める。マイナス:よ り多 くの人間性 とふれ合 う機会が減る。協力 して行事 を実 施 しても規模が小 さくなる。(学校No 7, 6年
生,校
内異動)」 という記述であった。ゆとりや落ち 着 きが見 られることによる学習面の好 ましい変化や,子
ども同士,担
任 と子 どもたちとの人間関係 等に良い影響のあった記述の一方で,少
人数化に伴 うデメリットヘの言及 も見 られた。 学級減少=規
模拡大校では,「交友関係は広がったが,友
だち関係が複雑になった面 もある。(学 校Noll, 2年 生,持
ち上が り)J「より多 くの友達 とふれ合 うことができ,人
間関係 を広げることが26渡
部昭男:学年進行時の学級数増減に伴う学級規模の変化とその影響に関する調査研究(第Ⅱ報) で き,喜
んでいる。[一方で,]教
室内に多 くの机 ・椅子が並 び,ス
ペース にゆ とりがない。そのた め,作
業や学習 におけるゆった りとした活動が しに くい。何事 をす るにも時間がかか り,時
間のゆ と りが生 まれに くい。(学校N012, 2年
生,持
ち上が り)」「1年
生 の ときの生活習慣が少 しずつ違 い,ゼ
ロか らのスター トとい う面があった。友だちづ くりに戸惑いがあ り, 4月 当初 には思いがけ ない子が学校 に行 きに くい現象 も出た (現在 は解決 した)。 新 しい交友関係がで きてよかった子 も いる。(学校No13, 2年
生,持
ち上が り)」「途中か ら学級減 になることは,ス
トレスがたまると感 じた。多いことで集団の も りあが りや幅広 い人間関係 は持 ちやすい ように思 う。(学校No14, 3年
生,校
内具動)」「教室が狭 く,休
憩時間な どにけがが起 こ りやすい。(学校No15, 3年
生,持
ち上 が り)J「た くさんいて楽 しい と思 う反面,多
人数の中にうもれて しまい 自己アピールで きない子 を 増や している。(学校No16, 3年
生,校
内異動)J「今 の子 ども達 は,人
間関係 をスムーズ に保つの が下手である。集回の中で, 自分 を表 し,認
め合 う間柄 を形成 してい くよう経営 している。現在担 任 している4年
生 は昨年だけ27人の 3ク ラス となった。学習は進めやす く,一
人一人 にかける時間 は今 より多 く, 日が行 き届 いた。40人 いると,忘
れがちな, どうして もお とな しい手のかか らぬ子 にはふれあいが少 な くなっている。(学校陥18, 4年
生,持
ち上が り)」「多人数化 によ り,
日立 ち に くい子 どもが出て きた。(学校No19, 5年
生,持
ち上が り)Jと
い う記述であった。学級規模 の拡 大 に伴 う問題点 とともに,集
団が大 きくなったメ リッ トにも言及がみ られた。 ()自
由記述一学級経営への影響 学級経営への影響 に関 して,学
級増加=規
模縮小校 では,「子 どもたち一人一人 とかかわる時間 が増 え,子どもたちの気持 ちや人間関係が よりよく分かるようになった。一人一人の話 を聞いた り, 声かけをした り,ノ
ー トを見 た り等,ゆ
とりを持 ってで きるため,そ
の気持 ちの余裕が,落
ち着い て学級全体 を見 ることにつ なが っている。(学校No l, 2年
生,校
内異動)」「[多人数学級 では] 『忙 しい』 とい うマイナス面の意識がはたらき,自
主性や創造力が発揮 されない。[少人数化 によ り]テ
ス トの九つけや学級事務 の量が減 り,教
材研究や研修 に取 り組みやす くなった。(学校No 2,3年
生,校
外異動)」「ゆ とりをもって対処で きる。一人一人 を しっか り見つめることがで きる。子 どもが担任 を信頼 してついて きて くれるのが実感で き,観
方が張 り合 いのある 日々 を送れる。(学 校No 3, 5年
生,校
内異動)」「余裕が生 まれたことが何 といって も大 きい。テス ト採点,ノ
ー ト′点 検,作
文添削指導等,あ
るいは学級事務的な事柄 において40人 と27人では大違いである。 これは現 場で こうい う状況 を経験 したことがある者 ならほとんどの人がそ う感 じていると思 う。その ような 余裕が生 まれる と,そ
れまで見 えなかった ものが見 えた り,思
い もしなかった発想 を思いついた り で き,学
級経営 に大 きな良い影響 をもた らした と感 じる。(学校No 4, 6年
生,持
ち上が り)J「学 級事務の減少 に伴い,子
どもたち一人一人 をよく見 ることがで きるようになった。一人一人の子 ど ものコミュニケーシ ョンを持つ時間が増えた。問題 を抱 えている子 に射 し,時間をとれるようになっ た。(学校No 6, 6年
生,持
ち上が り)」「一人 ひとりとの会話 の量 ・質 とも向上す る。学級事務 を する時の労力 ,時 間が少 ない。個人指導 に要す る時間が より確保で きる。一人 ひとりを見つめる時 の精神的ゆとりが生 じる。(学校No 7,6年
生,校
内異動)Jと い う記述であった。時間的・空間的・ 精神 的などの様 々な「ゆとりJが
生 じることによって,学
習指導・生活指導 ・子 ども理解 などにお ける良い影響が記述 されていた。 学級減少=規
模拡大校 では,「学年 も大 き くなって きているので,人
数の変化だけでは とらえら れない面があるので,影
響があったか把握で きない。(学校Noll, 2年
生,持
ち上が り)」「子 ども鳥取大学教育地域科学部紀要 教育,人文科学 第
2巻
第1号
(2000) 27
の力 を活用する方法 を何 とか考 え出す ことによって,子どもが 自主的に動 くようになった(リ ーダー の育成へ もつなが った)。 事務 的な作業や点検活動 など,と
にか く時間がかかる。休憩時間・給食 時間 まで もが ゆっ くりとす ごせ ないのが現状である。(学校No12, 2年
生,持
ち上が り)J「学校生 活 に少 しなれたはずの2年
生である4月, 2年
生が まだ1年生の学級の ような状態 にな り,生
活指 導 ・ふれ合いにかな り時間をとった。学級事務が,10人
増 えるとかな りの量 にな り,採
点 ・九つけ 等,こ
まめにす ることがで きに くくなった。(学校h13, 2年
生,持
ち上が り)」「処理す るテス ト, ノー トの数は少 ない方が きめ細やか に見やすい と思 う。(学校No14, 3年
生,校
内異動)J「学級数 の減 に伴 う多人数学級化 は,学
習面で個別指導の時間が不足 しがちである。 したが って,個
に応 じ た指導がで きに くい。集団行動の際 に多 くの時間を費や し,全
員 に指示や連絡が徹底 しないことが 多い。一人一人の個性 を大切 に した学級経営 に努めているが,40人
近 くの児童がいる と,担
任 とし て全員の児童 の心の状態や身体 の様子 に気づ きに くいことがある。(学校No15, 3年
生,持
ち上が り)」「何 をす るに も今 までの倍 時間がかか り (テス トの採点,ノ
ー トの点検,学
習 の様子 の評価 等),肉
体的 にかな りの負担 になっている。 また,学
年1学
級 なので,一
人孤立 している気がす る (級外 のサポー トはあるけ ど)。 (学校No16, 3年
生,校
内異動)J「一人 ひ と りに 目が届 きに くい (学習面 ・生活面)。 (学校No17, 3年
生,校
内異動)J「今現在,子
どもと遊び時間 を過 ごす ことが ない。いつ もノー トを点検 している。給食時間 もノー トを見ている。子 どもの真 の姿が見抜 けない。 (学校No18, 4年
生,持
ち上が り)」「事務処理 に時間がかかるため,物
事 を効率的 に進め ようとし て しまう。(学校No19, 5年
生,持
ち上が り)」 とい う記述であつた。学級事務の魚担量が増 えたこ と等か ら来 る困難面が うかが えた。 (iv)自由記述一学年経営への影響 学年経営へ の影響 に関 して,学
級増加=規
模縮小校 では,「学級担任 団の増員 :よ り多い人数で 子 どもたちと関わ りを持てるので,児
童 を担任 だけの一方的な見方で一年間通 して しまうことが な い。(学校No l, 1→ 2学
級)」「教 師が学年 に多 くいるとい うことは,援
助 し合 えることが増 える。 『ともに学ぶ』 とい う体制がで きやすいのでは…。(学校No 2, 2→ 3学
級)J「相談 した り協力で きる。子 どももそ うい う担任 団の姿 を見 ているので学級 に関係 な く仲が よい。[1人
の時 は]独
り よが りになる恐 れがあ り,自
己満足 に終 わって しまいが ち。(学校No 3, 1→ 2学
級)」「2人
よ り3人
のほうが仕事の分担がで きて良い と思 う。 また教師のアイデアも2人
で考 えるよ り3人
のほう が良い知恵が うかぶ。反対 に『共通理解 をす る』 とい う意味 においては3人
そろって話 し合 う場 を もたなければならな くなる。2人
な ら短時間でで きることも, 3人
となるとなかなか時 と場がつ く りに くい。(学校No 4, 2→ 3学
級)J「相談 し進行す ることがで きるので,心
強い。仕事 の分担 も で き,学
校行事 な どで一人 にかかる負担が少 ない。(学校No 6, 1→ 2学
級)」「多 くの教 師の 目で 子 ども達の様子 を見つめ,判
断で きる。事務等の仕事 ・役割が分担で き,軽
減する。協力 して学年 運営することで精神的なゆとりが生 じる。(学校No 7, 1→
2学
級)」 とい う記述であ った。学年担 任団の人数が増 えることによって,複
数の 目による子 ども理解,事
務・校務の分担,精
神 的ゆ とり など,学
年経営 にも良い影響が及んでいることが うかがえた。 学級減少=規
模拡大校では,「一人にかかる負担が増大 した と言える。(学校陥11, 4→ 3学
級)」 「学年 ・学級 に関わる事務処理や,い
ろいろな配布物 ・掲示物 など,何
で も一人で進 めな くてはい けない。大変 な苦労だ と感 じる。相談 しなが ら進めるとい うことが しに くいため,方
法や内容 に広 が りや深 ま りが生 まれに くい とも思 われる。(学校No12, 2→
1学級)J「4人
で していた学年 の経28渡
部昭男:学年進行時の学級数増減に伴う学級規模の変化とその影響に関する調査研究(第二報) 営が3人
にな り,分
掌・学校事務等,仕
事の内容が大 きく変わってとまどった。(学校hfo13, 4→3学
級)J「学年団に割 り当てられる仕事が多いので,担
任団の減貝は負担が大 きくなる。(学校NQ14, 3→ 2学
級)」「学年全体で取 り組む学習や校外学習などで,時
間を予定外に多 く費や した り, 安全面の配慮などか ら,学
年以外の先生方の支援 をお願い しな くてはならない。(学校No15, 3→
2学
級)J「学年一人で煮詰 まる。(学校No16, 2→ 1学
級)」「学級で子 どもを育てるのではな く (学級王国でな く),学
年で育てたいという気持 ちはある。 しか し,80人
となると,場
の設定が必 要。やは リオープンスペースが必要。時間・空間が本校 には不適切。 しか し,学
年の子は仲良 し。 (学校No18, 3→
2学
級)」「一人の負担が増えるため,今
まで通 りにしようと思 うと苦 しい面があ る。(学校No19, 3→
2学
級)」 という記述であった。学級減少=規
模拡大校9校
の内, 2学
級から1学
級 (単級学年)に
なったのは2校
であ り,他
は複数学級学年であったが,そ
れで も事務や分掌 等の負担の増加が多 く指摘 されていた。3)適
正な学級規模及び増加教員の活用法 (設問C)
調査では,適
正な学級規模及び増加教員の活用法についても尋ねた。 まず,「現在担任 している学年の学級規模 についてどのように感 じているかJを
,「1.小
さい,2.や
や小 さい, 3.ち
ょうどよい, 4.や
や大 きい, 5,大
きい」の5段
階選択で尋ねた。その 結果,「ちょうどよい」(表3で
は○表示)が6校
(回答のあった16校の37.5%),「
やや大 きい」(や 大)が3校
(18.8%),「 大 きい」(大)が7校
(43,80/0)であった。学級減少=規
模拡大校9校
の内, 7
校が「大 きい」, 2校
が「やや大 きい」 と回答 してお り,現
状が37.7∼ 40人の学級では「ち ょうど よい」の回答は見 られなかった。一方,学
級増加=規
模縮小校では,学
校No 4(現状 は27人)の「や や大 きい」 を除いて, 7校
中6校
が「ちょうどよい」(現状は20.5∼ 27.7人)と答えていた。 次に,「現在担任 している学年について適正な学級規模はどの程度だと思 うか」を,「1.10人
以 下, 2.11∼
15人, 3.16∼
20人, 4.21∼
25人, 5,26∼
30人, 6.31∼
35人, 7.36∼
40人」 の7段
階選択で尋 ねた。その結果,16校
全 てが30人以下学級の要求であ り,「 16∼20人」が1校
(回答のあった16校の6.3%),「
21∼25人」が10校(62.5%),「26∼ 30人Jが 5校
(31.30/0)であった。 最後に,「仮 に貴方の学年に教員が1人
増員 になるとしたら,
どのように活用するか」を,「 1. どちらかと言えば,学
級分害Jを して少人数学級 にしたい。2.ど
ちらかと言えば,こ
のままの学級 数を維持 して,増
員 された教員の入 り込みによってテイーム・ティーチング(TT法
)を進めたい。3.教
科や学習課題 に応 じて,学
級分割 とTT法
の双方を組み合わせて活用 したい。Jの
3選
択肢 から1つ を選んで もらった。その結果,「学級分割 (少人数学級化)Jが
10校 (回容のあった16校の62.5%),「
TT法
」が0校
(―%),「
訊方の併用Jが
6校 (37.5%)で
あった。学級増加=規
模縮 小校は,現
状 を「ちょうどよい」 と感 じている学校が多いこともあって,「学級分割」が2校
に対 1999年度学年 持ち上がり担任 1234567 2356666 △ × △ O△ 〇 △ 1→②2→③l→②2→③l→②l→②l 5 277 21 27 215 20 11 12 13 14 15 16 17 18 19222333345
000△
〇 △ △O O
4→③2→①4→③3→②3→②2→①13→②3→② 1-2521-2521-2521-2521-2521-2521 26-3021-2526-3026-3021-2516-2026-3021-2526-や 大 大 大 や大 大 大 大 大 ) 表3.適
正 な学級規模及 び増加教 員の活用 法鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 。人文科学 第
2巻
第1号 (2000) 29
して「双方の併用」が5校
であつた。一方,学
級減少三規模拡大校の9校
は,「双方の併用」の1 校 を除いて8枝
が「学級分割」の希望であった。 自由記述を見ると,学
級増加=規
模縮小校では,「○ :学年で集会等 しやすい。TTを
しても相 談できやすい。21∼ 25人 :一人一人に対応 しやす く,集
団として も様々な活動に可能な人数だと思 う。併用:教科やその学習内容により,
どちらが必ず しも良い とも言えないか ら。(学校No l, 2 年生,99年
度学級規模20.5人)」「○:子どもがた くましく育つには,多
す ぎても少なす ぎても弊害 がある。今 ぐらいが,あ
る程度いろんなタイプの子がいて,良
さを吸収 して育つように思 う。21∼ 25人 :無記入。併用:あ まり少なくなってしまったら,子
どもたちの中で順序が決まってしまい, 『国語はだれ君が一番』のような固定観念がで きやすい。(学校No 2, 3年
生,27.7人
)」「や大: 明確な理由ではないが,経
験上,直
観的にそう思 う。21∼25人 :同前。分割:TTで
40人を支援す るより, 1人
の教師が20人ずつ支援する方が効果的 と思 う。(学校No 4, 6年
生,27人
)」「○:子 どもの様子や心情が よくわかる。子供たちも気軽 に相談で きてよい。21∼ 25人 :考えを深めた り協 力 して何かをする時には,や
は り20人以上の数が必要 と思われる。併用 :無記入。(学校No 6, 6 年生,20.5人
)」「○:精神的なゆとりを感 じるから。21∼25人 :グループ学習がスムーズにおこな える。分割:学級経営 ・学級事務等の仕事を軽減する方が効果的 と考えるか ら。(学校陥7, 6年
生,21.5人)Jと
いう記述であった。学級減少=規
模拡大校では,「や大:個別指導がなかなかでき ないため。26∼ 30人 :一人一人に目が とどきやす く,ま
た,グ
ループ学習等 をするのにちようどい いと思う。併用:一人一人の子 どもにとってどういう学習が求められているか と考えると併用が一 番効果的な学習を進め られると思 う。(学校配11, 2年
生,37.7人
)」「大 :現在42名。特に低学年 では,一
人一人に充分関わ りなが ら指導を進めることが大切である。大変困難である。21∼25人 : 無記入。分割 :無記入。(学校No12, 2年
生,40人
)J「大 :教 室 にぎっしり入 っている。余裕がな い。一人ひとりに目がゆきとどかない。26∼30人 :集団活動が有意義に展開できる。分割:現在,4学
級の 1年 生だった子 どもたちが3学
級 になることで,生
活指導にもたいへん戸惑いが生 じた。1学
級40人でのスター トだったので,昨
年並みを維持できた らと思 う。(学校No13, 2年
生,39.7
人)」「や大:教室が39人もいるゆとりがない気がする。 日記 ・ノー ト等量が多かった り,添
削する のに待ち時間が長い。26∼ 30人 :少なす ぎるのもさびしい。分割:現在,TTは
比較的配慮 されて いるので。(学校No14, 3年
生,39人
)」「大:40人近 くの児童がいるので,全
員 に配慮が行 き届 き にくい。21∼25人 :落ち着いて個 に応 じた指導ができると思 う。分割:一人一人にゆとりをもって いろいろな配慮が行 き届 きやす くなるから。(学校h15, 3年
生,39人
)J「大 :難聴児学級在籍の 子が一人いて,ほ
とんどを自分の学級で過ごしているため,実
質41人受け持っている。教室中,机
でうまって移動 もままならない。16∼20人 :集回の中で切磋琢磨 しなが らも,自
己主張 しながら学 習 してい くには,こ
の くらいが最適なのでは。分割:同前。(学校No16, 3年
生,39人
)」「大:一 人ひとりに十分対応 (学習面,生活面)し きれないような気がする。学習ノー ト,テ
ス トの九つけ, 成績つけ等の事務処理にも時間がかかる。26∼30人 :いろいろな問題をかかえる児童が多い学年で ある。分割 :26∼ 27人学級 にな り,十
分一人ひとりに目が届 く。(学校No17, 3年
生,39.5人
)」 「大:40人では,把
握 しにくい。学習理解度が1時
間で捉えにくい。21∼25人 :一人一人に姑応で きる。分割:同前。(学校No18, 4年
生,40人
)」「大 :人数が多す ぎる。26∼ 30人 :一人ひとりに しつか り配慮できる。分割:TTは
学級枠 を解いてで きるので学級人数を減 らしたい。(学校No19, 5年 生,38.5人)」 という記述であった。適正な学級規模 を判断するに際 しては,「一人一人に対応」 「一人一人に配慮」「一人一人に目が行 き届 く」等がほぼ共通 した視点となっていた。30渡
部昭男 :学年進行時の学級数増減に伴う学級規模の変化とその影響に関する調査研究(第Ⅱ報)4.考
察1)適
正な学級規模 第I報
では,38∼
40人が20,5∼ 30.3人へ (学級増加=規
模縮小校11校),20.5∼
30.5人が37∼ 40 人へ (学級減少=規
模拡大校6校 )と
大 きく変化 した経験 に立って,記
入のあった16校 (未記入1 校)全
てが30人以下 (「21∼ 25人」11校 ,「 26∼ 30人」5校 )を
適正な学級規模 と回答 していた。第 Ⅱ報で も,36∼
40人が20.5∼27.7人へ (学級増加=規
模縮小校7校 ),20.5∼
30.5人が37,7∼40人 へ (学級減少=規
模拡大校9校 )と
大 きく変化 した経験 に立って,記
入のあった16校全てが30人以 下 (「16∼20人Jl校
,「21∼25人」10校 ,「 26∼ 30人J5校
)を
適正な学級規模 と回答 していた。 「適正」な学級 を何人規模 と考えるかには相違があるものの,教
師にとって「30人超過学級」は過 大であ り,「不適正な規模」であるととらえられていることは,第
I・ Ⅱ報に共通 していた。 「30人超過学級」は過去 には当た り前でどの教師も優れた実践を行っていたという声 もあろうが, 「30人超過学級」 に姑 して持つ「多忙感」「炭労感Jは
今では (少な くともT県
の)教
師にほぼ共 通の意識 と見なすことがで きよう。教師の意識のみで適正な学級規模 を論 じることに対 しては批判 もあろうが,ゆ とりを失わせて教育実践への構えを制約するような「意識の存在」 自体を問題にし, その解消方策 も検討すべ きであろう。「30人超過学級Jを
生み出す現行の「40人学級」制は,な
ん らかの方策で改める必要があろう。 「上限40人という粋がある限 り,40人
という学級は必ず どこかに存在する。1学
級40人という数 は,子
どもの質が以前 と比べて大 きく変わってしまった現在,や
は り無茶な数 としか言いようがな い。地域差もあ り,
トータルで統計をとれば 1学 級の平均人数はおそらくもっと少ない数であろう が,現
実に40人の児童 ・生徒 を前にしている教師も多いはずだ。学級崩壊 という状況 も,40人
学級 制を改善することによって,少
しではあるが,そ
の要因を除去で きるのではないか。(学校h4)J
の自由記述意見は傾聴すべ きであろう。2)学
級規模の縮小に伴 う教育効果 学級編制標準を縮小 した場合に, どのような教育効果が期待 されるのであろうか。第I・ Ⅱ報で 示 した「学級規模の変化に伴 う影響」は,約
40人規模学級 を20人台規模学級 に改善 した際の効果を 推測 させて くれる (第Ⅱ報の表2に
,第
I報
の検定結果を再掲 した)。 現時点で第I・ Ⅱ報 ともに 有意差が認められた項 目,す
なわち(1)発言回数の増加 (第I報
が*,第
H報
が**),(2)授
業に集中(**,*),(5)つ
まず きの発見(**,**),(6)一
人一人の良さ (料,**),(7)テ
ス トの採点やノー トの点検 (料,**),(8)授
業以外で子 どもとの会話(**,**),(9)子
ども同士の人間関係の把握(**,*),(10)子
ども一人一人の気持ちの理解(**,**),(11)教
室が広 くなった(**,**),(12)
イライラ児の減少(*,*),(13)学
級 に和 やかな雰囲気(*,*),(14)学
級 にまとま り (*,*), (16)基礎学力の定着(**,**),(17)分
かるまで教えられる(**,**),(18)授
業中に習熟の時間を 確朱(**,**),の
15項目に関 しては効果が期待できよう。 しか しなが ら,第
I・ Ⅱ報で有意差の 有無が割れた項 目,す なわち(3)自分の意見 を述べる(第I報
のみ*),(15)保
護者 とのコミュニケー ション(第I報
のみ*),(19)発
展 させた り応用する力 (第I報
のみ**),の 3項
目に関 しては効果 の見込みは不確かであろう。また,第
I・ Ⅱ報 ともに有意差の認め られなかった項 目,す
なわち鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 ・人文科学 第
2巻
第1号 (2000) 31
(4)議論の成立,(20)考
える力や生 きる力,(21)「
い じめ」はない,(22)「
不登校」 はない,の
4 項 目に関 しては効果は期待できないと思われる。 今後なお経年的な調査が必要であるが,学
級規模の縮小に伴 う教育効果は少な くないと予測 され る。 しか し,万
能薬でないことも銘記 しなければならない。後二者の諸項 目にかかわつては,学
級 規模の縮小 とは別途の方策が必要 となってこよう。学級規模の縮小はあ くまでも教育条件整備の一 環なのであって,教
育実践そのものの深化 ・発展 をただちに保証するものではない。「単 に人数が 少なければいいということではな く, どのように対応 してい くか教師自身の研修 を深めることも大 切だと思 う。(学校Noll)」 との自由記述は,卓
見である。3)標
準法の弾力的運用 学年に教員が1人
増員 になった際の活用法をみると,第
I報
では「TT法
」が4校
(回答のあっ た17校の23.50/0),「学級分割」が6校
(35.30/0),「学級分割 とTT法
の併用Jが
7校 (41.2%)の
選択であ り(ただ し,現
状が「30人超過学級Jの
7校
に関 しては「TT法
」の選択 は0校
),第
Ⅱ 報では「TT法
」が0校
で,「学級分割 (少人数学級化)」 が10校 (回答のあった16校の62,50/0), 「双方の併用」が6校 (37.5%)で
あつた。 1993年改正標準法から政策方針が「編制改善Jか
らTT法
などの為の「配置改善Jへ
転換 したと されているが,主
に財政上の困難 を理由として「編制改善」 を回避 した側面が強い。「編制改善J と「配置改善」は本来的に姑立 した方策ではなく,相
補的であると考える。既述のように「30人超 過学級」の改善のためにはなお「編制改善」が不可欠であ り,そ
の上で「配置改善Jを
併せて促進 することが求め られていると言えよう。 ところで,「30人学級」制を採ると,例
えば31人の場合 には2学
級分割に伴って15人ない し16人 学級 となる。今回の調査では,ク ラス替えに伴 う肯定的側面・否定的側面 と重なる部分 を含みつつ, 学級の少人数化・多人数化は子 ども達にはメリット・デメリットの双方を併せ持つことが記述 され ていた。少人数化 によって,「もまれることによって学ぶ」「より多 くの人間性 とふれ合 う」等の機 会が損なわれた り,「序列化のようなもの力Mヽさい内か ら固定J「行事を実施 しても規模力Ⅵヽさくな る」等の問題にどのように対処するかが聞われることになる。その際,適
正な学級規模の議論を適 正な学年規模や学校規模 と混同させないことが肝要であろう。 1つ の学年自体が15∼16人であるこ とと,31人
の学年を2学
級分割することには,当
然なが ら相違がある。単級学年でない場合 には, 学級 を固定的にとらえるのではな く,柔
軟に子 ども集団を変化 させた り,必
要に応 じて幾つかを組 み合わせてTT方
式 を採った り,学
年単位の活動 を行 う等の工夫で汁応できる側面 も少な くないか らである。そ して,子
ども集団の適正規模 は一律ではな く,実
際の学習や活動の内容・ね らい等 に 応 じて異なることも見逃せない。 結論的に言えば,学
級「編制」 と集団「編成Jの
区分はこれまでも運用不可能なことではなかっ たが,次
期改正に際 して標準法はあ くまでも財政保障のための「基準」であることをより明確 にし, 校内における子 ども集団の編成や法定学級 に基づいて配置 された教職員の活用は,教
育的な視点か ら柔軟に行いうるようさらに弾力化すべ きであろう。すなわち,地
方自治体や各学校現場の裁量 を 大幅に認めるべ きである。例えば,31人
の学年を学級分割するか複数担任制 とするかは,確
録 しう る教室数に制約 されたり,学
年による教育効果の違いから,判
断の異なる可能性がある。 また,標
準法上は「配置改善」に含 まれる専科教員やTT教
員 を学級担任 としてさらなる「編制改善」 に活 用 したいとの要望 もあろう。これまで以上 に各地方 自治体や学校現場の裁量幅を認め,児
童,生徒32渡
部昭男:学年進行時の学級数増減に伴う学級規模の変化とその影響に関する調査研究(第Ⅱ報) や保護者の参加 ・参画 も録障 した上での教育論議 に委ねては如何 であろうか。 なお,標
準法上 の学級編制 に関連 して,「難聴児学級在籍の子が一人いて,ほ
とん どを自分の学 級 で過 ごしているため,実
質41人受け持 っている。(学校No16)」 との訴 えがあった。通常校 の新学 習指導要領 に も明記 されて通常学級 と75条学級や盲 ・聾 ・養護学校 との交流教育 ・交流学習が更 に 盛 んにな り,イ
ンクルージ ョンが進展 してい くであろう情勢 に鑑みて,従
来の択一選択 的な在籍主 義 を改めて,通
常学級 と75条学級等 との障害児の重複在籍 ・並行利用 を認める必要性 も示唆 された。4)残
された課題 これ までの学級規模調査 は,全
国横 断的 に抽出実施 され,異
なる学校 。学級及 び児童 ・生徒 につ いての学級規模 とその効果 を測定す るとい う手法が取 られて きた。 これに対 して,本
調査 は第I・ Ⅱ報 とも各々,学
年進行 に伴 って学級数増 ・減=学
級規模縮小 ・拡大 に道遇 した際の影響 ・効果 を 調べ た ものである。同 じ子 どもたちについて,さ
らに担任が持 ち上が りの場合 には,同
一教員 の視 点か ら判断することがで きると考 えた。 しか し,現
時点では未だ限定 されたデータとなっている。第一 に,対
象校数 ・回答校数の少 なさ か ら,信
頼性の高い「持ち上が り担任」の回答のみでな く,「校 内異動担任」「校外異動担任」 の回 答 も含 め ざるを得 ない状況である。今後更 に調査 を積 み重 ねて回答数がある程度確保 されれば, 「持 ち上が り担任」 のみで結果分析を行 うことがで きよう。第二 に,学
年 による学級づ くりや学級 経営の相違 を見 るために学年による比較分析,学
年規模 による学年経営の相違 を見 るために学年規 模 による比較分析 も必要である。第三 に,小
学校 に加 えて,や
は り中学校 を対象 とした調査が求め られ よう (その場合,あ
る程度の対象校数 を確保す るために,人
口規模 の大 きい都道府県の調査が 必要 となる)。 第四に,T県
以外 の都道府県 において も同様の調査 を行 うことである。 本調査 は,大
規模 な全国横断的な調査 に対 して,い
ずれの都道府県 において も比較的安価 かつ簡 便 に実施で きる地方縦断的な調査手法である。各 自治体の公表す る学校基本調査報告 に基づいて各 学校 の学年別の在籍児童 ・生徒数 さえ判明すれば,「学年進行時の学級数増減 に伴 う学級規模 の変 化」 を把握 して調査対象学級 を特定す ることがで きる。巻末 に掲載 した調査用紙 を参考 に して,多
くの都道府県 において類似の調査が広が ることを期待 したい。 追記 :本報告 は,平
成9∼11年度文部省科学研 究費補助金(基盤研究(A)(1))・ 課題呑号09301011 「学校 ・学級 の道正編制 に関す る総合 的研究」(研究代表者・桑原敏明筑波大学副学長)に
おける 分担研究に係 る成果の一部である。 謝辞 :調 査 に御協力いただ きました皆様方 に対 して,こ
こに記 して感謝 申し上げます。《
,主》
(1)渡部昭男(1999)「学年進行時の学級数増減に伴 う学級規模の変化 とその影響に関する調査研究」『学校・ 学級の適正編制に関する総合的研究 第2次中間報告書』(平成9∼■年度 文部省科学研究費補助金基盤 研究A(1)課題番号09301011 研究代表者・桑原敏明),pp.1825。 (2000年 5月 1日 受理)鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 人文科学 第
2巻
第1号 (2000) 33
A research on the effects ofthe radical change of elementary school class sizes, in one prefecture in」
apan,during the acaderTlic year 1 998-1999
WATANABE,Akio*
The l140-pupils―per―classtt systena is both an educaional and Political issue in Japan. This rcscarch cxamined he
effects of a radical change of class size fro■l alound 40 pupils to under 30 or vice velsa.Thc main rcsults、 vcre as followЫ
l )Duc to difaculties and inconveniences associated with classes of over 30 puPils, all of the sixteen respondcnts
chosc thc 30-or the under-30-pupils― pcr―class size as reasonable
)USing the Mann― Whitncy's U Tcst,the seven classes with betwee■ 20 and 28 pupils achieved signticantly better rcsults than thc cight classcs with bet、veen 37 and 40 puplls(exCluding one class which did not reply)on ifteen
indcxes These wcre thc chancc for children to speak or ask qucstlons, the concentration of pupils' attention upon lcssons,the asscssmcnt and care of individual needs,the achievcmcnt of basic education,the testing and checking of home、vork,thc communication bet、veen teachtts atld pupils,thc f endship among chttdrell,heir rnental health and so
fol・tll
ili)Class size did not produce much effect on scvcn indcxes These weH3 the opportunity for childゃ n to givc thcir opinion, the level of discussion among puPlls, the interaction bet、 veen teachcrs and parents, the development of
practicability and apphcability,the promOtion ofleaming to improve the quality oflife,the settlement of bullying and thc prcvention of refusal to attcnd school.
iv)AH ofthe sixtecn rcspondcnts chose either the division of pupils into sma■ er classes or the nexible combination of
class―division and team― teaching,rather than team― teaching under thc W40-pup1ls―per―class"system,
If the l130-pupils―per―classii systenl were to be deteHnined by la、v,31 puplls should be divided into two classes with
one homcЮ om teacher Und∝ some circumstaIIces)howcvcr,it would be p■ ferable to ha■rc some jOintlessons in one classЮom with two teachers lt is desirable thatlocal authorities and schools ettoy hC flccdom to aげ ange classes and organizc learning groups according to thc pupils)educational needs
Keywordsi class OrganizatiOn, class size, 山40-puplls―per―classH systc■1, "30-pup1ls―per―classII syste■1, prefectural
survey
*ProfessOr of Human Education Coursc(Special Nccds Education),Faculty of Educttion and Regional Sciences, Tottori University:[Offlce]Minallli牛 101 Koyama―cho,Tottori 680-8551,Japa■ [E mail]akiowtnb@fed tOttori―
34渡
部昭男 :学 年進行時の学級数増減に伴う学級規模の変化とその影響に関する調査研究(第Ⅱ報) F学級敷増減に伴うⅧ
変化とその効果
O影響に関サる詞 で
固答用級
) *別紙 「 記 入 法Jを
御 参 照 い た だ き な が ら,こ の 用 紙 に御 回 答 下 さ い 。 そ して,こ の 回 答 用 紙 の み を返 信 用 封 筒 に入 れ て 御 返 送 下 さ い 。 設 問A:属
性 調 春 対 象 事 例 番 号 :_学
級 増 ・ 減 (少 数 点 以 下 第2位四 捨 五 入) 学 年 担 任 状 況 :平成 11年 度 に お け る対 象 学 年 の 担 任 団 に つ い て 全 員 分 を ご記 入 願 い ます 。 注1)選
択 項 目 に つ い て は該 当 項 目 を○ で 囲 ん で 下 さ い 。2)年
齢 及 び 勤 務 年 数 の 換 算 の 仕 方 は 別 紙 「 記 入 法 」 を ご 覧 下 さ い 。3)担
任 番 号 の 上 に,学
年 主 任 等 の 学 年 代 表 に はO印 ,今
御 回答 い た だ い て い る先 生 に は ◎ 印 を付 して 下 さ い 。 1) 男 ・女,
教 諭 ・講 師,
年 齢 学 年 持 ち 上 が りに よ る担 任 か ( 男 ・女,
教 諭 ・講 師,
年 齢 学 年 持 ち 上 が りに よ る 担 任 か ( 男 ・ 女,
教 諭 ・ 講 師,
年 齢 学 年 持 ち 上 が りに よ る 担 任 か ( 男 ・女,
教 諭 ・ 講 師,
年 齢 学 年 持 ち 上 が りに よ る 担 任 か ( (20歳代,30歳代,40歳代,50歳代,60歳代),
肯 ・否),
現 任 校 の 勤 務 年 数(
年 目) (20歳代,30歳代,40歳代,50歳代,60歳代),
肯 ・否),
現 任 校 の 勤 務 年 数(
年 目) (20歳 代,30歳代,40歳代,50歳代,60歳代),
肯 ・否),
現 任 校 の 勤 務 年 数(
年 目) (20歳 代,30歳代,40歳代,50歳代,60歳代),
肯 ・否),
現 任 校 の 勤 務 年 数(
年 目) 9 3 1鳥取大学教育地域科学部紀要 教育 。人文科学 第
2巻
第1号
(2000) 設 問B :学
級 規 模C)変
化 しこ イ半 う 効 果 学 級 規 模 の変 化 に伴 う効 果 。影 響 *平成 10年 度 と比 較 して, 選 択 で お 聞 か せ 下 さい 。 平 成 11年 度 の ク ラ ス の 様 子 を3段階(1)授
業 中 の 子 ど も一 人 あ た りの 発 言 回 数 が 多 くな っ た 。(2)授
業 に集 中 して い る 子 ど もが 増 え た 。(3)授
業 中 に 自分 の 意 見 を積 極 的 に 述 べ る子 ど もが 増 え た 。(4)授
業 中 に 子 ど も同 士 の 議 論 が 成 り立 ち や す くな っ た 。(5)学
習 の 過 程 で つ まず い て い る 子 ど も を見 つ け や す くな っ た 。(6)一
人 一 人 の 良 さ を生 か した 指 導 が で き る よ う に な っ た 。(7)テ
ス トの 採 点 や ノ ー トの 点 検 に 時 間 が か け られ る よ う に な っ た 。(8)授
業 以 外 で 子 ど も との 会 話 が 十 分 で き る よ う に な っ た 。(9)子
ど も同 士 の 人 間 関 係 が 分 か りや す くな っ た 。 (10)子 ど も一 人 一 人 の 気 持 ち が 理 解 で き る よ う に な っ た 。(H)教
室 が 広 くな っ た 。 (12)イ ラ イ ラ して い る 子 ど もが 減 っ た 。 (13)学級 に和 や か な雰 囲 気 が 出 て きた 。 (14)学級 に ま と ま りが 出 て き た 。 (15)保護 者 との コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンが 増 え た 。 (16)基礎 学 力 の 定 着 を進 め る こ とが で き る よ う に な っ た 。 (17)繰 り返 して教 え る 等,分
か る ま で 教 え られ る よ う に な っ た 。 (18)授業 中 に 習 熟 の 時 間 を確 保 す る こ とが で き る よ う に な っ た 。 (19)発展 させ た り応 用 す る 力 を つ け る授 業 が で き る よ う に な っ た 。 (20)考え る力 や 生 き る 力 を つ け る授 業 が で き る よ う に な っ た 。 (21)学級 の中 に「 い じめJは
見 られ ない。 (22)学級 の中に「不登校」 の子 どもはいない。 影 響 そ ど そ ちう う
と
は も 思 思 言 わ え な う
な い い
│ │ │
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36渡
部昭男 1学年進行時の学級数増減に伴う学級規模の変化とその影響に関する調査研究(第Ⅱ報) 自由記―述 ① 学級数 の1増に伴 う少人数学級 化,ま たは学級数の滅 に伴 う多人数 学級化 は子 ども達 にど の ような効果や影響 を及 ぼ している と思 いますか 。特徴 的な事 を自由にご記入下 さい。 ②学級数の増に伴 う少人数学級化,ま たは学激数の減に伴う多人数学級イとは担任教HVの学 曇経営にどのような効果や諺響 を及ぼしていると思いますか。自由にご記入下さい。 ③学級数 の増 に伴 う学年担任団の増員,ま
たは学縦数の滅に伴 う学年担任団の減員は圭生 全生 の量営にどのような効果や影響 を及ば していると思いますかゃ 自由にご記入下さい。鳥取大学教育地域科学部紀要 教育・人文科学 第