2010年 4 月
ハンディサーチ NJJ-105 の平均波処理について
株式会社計測技術サービス 1.はじめに 平均波処理の処理アルゴリズムの内容と有効性の度合いを現場測定例から示す。 まず、ほぼ同じ鉄筋かぶりの密接鉄筋、壁厚測定時の平均波処理画像について、また、ダブル筋・千鳥 筋の現場測定例へ平均波処理とその他画像処理を施し、処理画像の差について比較検証し、考察を加えた。 (平均波処理画像はその他の各処理画像同様、各処理後の形成画像、反射波形を比較することが重要である) 2.平均波処理とは 平均波処理のアルゴリズムは図-1のとおりである。 (すべての縦ラインから平均波を算出し、探査データ(原画)から平均波を差処理して表示する処理) 距離方向 スタート点A
1=f
1(t)、A
2=f
2(t)、
・・・・・・A
n-1=f
n-1(t)、A
n=f
n(t)
但し、t= 0~511(1023)平均波処理=A
1―P、A
2―P、
・・・、A
n-P
図-1 平均波処理説明図 t= 0 t= 511 (1023) t= 0 t= 511 (1023) t= 0 t= 511 (1023) 平 均 波 原 画 3 原 画 3 原 画 3 A2 A1 Anー1 Anf
n(t)
f
n-1(t)
f
2(t)
f
1(t)
平均波(参照信号)
P
(
t
)
=
(
t
)
}
nf
1Σ
Σ
Σ
Σ
n{
3.平均波処理について ・原画画像(カラー絶対値 比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・平均波処理画像(カラー絶対値 比誘電率:8.0 感度:Auto 深) 原 画 原画波形 平 均 波 平均波波形 原 画 -平 均 波 平均波処理波形 図-2 の断面画像の縦 カーソル位置の原画波形 図-2 の断面画像より求 めた平均波波形 図-3 の断面画像の縦カーソル 位置の平均波処理後の波形 (波形の振幅が全体的に低い)
平均波処理画像
平均波処理画像
平均波処理画像
平均波処理画像 ==== 原画
原画
原画
原画波形
波形
波形
波形 -
-
-
- 平均波
平均波
平均波
平均波波形
波形
波形
波形
-
-
-
-
=
=
=
=
マイナス イコール 図-2 原画画像 図-3 平均波処理画像4.現場測定例 4.1 平均波処理の有効例 ・固定表面波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・平均波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・減算処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) 図-6 の減算処理画像は、↓の位置で 減算処理を施した画像である。表面の横 縞を綺麗に除去しているが、深さ約 20cm のマーカ 14 の山形画像も消している。 (減算処理をする適切な位置が無い) *図-4,5,6 では、平均波処理を施した図-5 が一番解析し易い画像になっている。平均波処理は、図 -4 の赤丸内の横縞帯状(深さ、位相、反射レベルがほぼ同じ場合)に形成された波形を除去すること ができる。また、減算処理を施す適切な位置が無い場合に有効である。 図-6 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-5 の平均波処理画像は、赤丸内の 固定表面波処理では処理できなかった 横縞を綺麗に除去している。 (平均波処理は同じ深さに、連続する横 縞波形を除去する時に有効である) 図-5 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-4 の固定表面波処理画像の赤丸内 へ横縞が形成されている。これは、装置 内部固定の表面波ノイズ除去をする、固 定表面波処理と反射受信波形に大きく 位相のずれがあり、形成された横縞であ る。 図-4 カラー絶対値 モノクロオフセット
4.2 鉄筋ピッチが狭い場合の画像解析例(密接鉄筋) ・固定表面波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 浅) ・平均波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 浅) ・減算処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 浅) *図-7,8,9 は、同じ測定画像に各処理を施した画像であるが、この場合、固定表面波処理画像が有効 的な処理と思われる。しかし、原則として、測定現場環境と解析者の判断により、各処理画像の有効と する基準は変化する 図-7 の固定表面波画像では固定表面 波処理波形により、浅い部分の表面波 (横縞帯状)を除去できている。 図-7 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-8 の平均波処理画像では、赤丸内 の山形画像が平均波処理により、鉄筋の 反射レベルが小さくなり、固定表面波処 理画像と比較した場合、山形画像が見え づらくなっている。 図-8 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-9 の減算処理画像は、↓位置で減 算処理を施した画像である。鉄筋反射の 弧が減算処理により消されているが、固 定表面波画像より鉄筋反射レベルは大 きくなり、鉄筋位置の判別もよくわか る。 (減算処理をする振幅波形により異な る) 図-9 カラー絶対値 モノクロオフセット
4.3 壁厚測定の画像例(RC 構造物の壁圧 175mm の測定) ・固定表面波画像(比誘電率:6.5 感度:+2 浅) ・平均波処理画像(比誘電率:6.5 感度:+2 浅) ・減算処理画像(比誘電率:6.5 感度:+2 浅) 図-10 の固定表面波処理画像では、深さ 175mm(ε=6.5)のコンクリートと空間の境 界位置で波形が左へ振れている。 壁厚:175mm 図-12 は、↓の位置で減算処理を施した 画像である。壁と空間との境界反射波形を 差処理している為、深さ 175mm(ε=6.5)の 左へ振れる反射レベルが小さくなってい る。壁厚測定時の減算処理は、有効では無 い。 図-11 の平均波処理画像では、壁と空間 との境界反射波形が全体的に低くなり、色 合いも薄くなっている。同じ深さの同一方 向の反射レベルを、平均波処理により、小 さくしている。結果的にコンクリートと空 間の反射波形は判りづらくなった。壁厚測 定時の平均波処理は、有効では無い。 *RC 構造物の壁厚測定(測定表面と裏面が水平の場合)では、平均波処理と減算処理の処理により、コンク リート裏面の反射レベルを小さく(振幅値を低く)してしまう為、あまり有効では無い。その他の固定表面 波処理画像、原画画像で確認することが必要。 図-10 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-12 カラー絶対値 モノクロオフセット カラー絶対値 モノクロオフセット 図-11
4.4 ダブル配筋の測定例 (1)ピッチ:200mm、上側鉄筋かぶり厚さ:30mm, 下側鉄筋かぶり厚さ:130mm の例 ・ 固定表面波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・平均波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・減算処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) 図-13 は、かぶり厚さに対し鉄筋 間隔が広い為、上側と下側の鉄筋山 形画像が綺麗に分解できている。 [かぶり厚さ:鉄筋中心間距離] 上側鉄筋 ・・ 1:6.66 下側鉄筋 ・・ 1:1.53 図-14 は、平均波処理により上側 と下側の鉄筋山形画像が薄くなっ ているが綺麗に分解できている。 *平均波処理により、ほぼ同じ深さ へ配置されている鉄筋は、色が薄く なり、固定表面波画像では表示され ていなかった、鉄筋と鉄筋の間へ横 縞が形成される(この横縞は、ほぼ 同じ深さへ鉄筋が配置されている 場合、平均波処理により形成された 波形)。 図-15 は、↓の位置で減算処理を 施した画像である。上側と下側鉄筋 のピッチが広く、減算処理する位置 に鉄筋反射の山形波形が形成され ていない為、減算処理後の画像は綺 麗表示されている。 図-13 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-14 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-15 カラー絶対値 モノクロオフセット
(2)ピッチ:200mm、上側鉄筋かぶり厚さ:40mm, 下側鉄筋かぶり厚さ:90mm の例 ・固定表面波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・ 平均波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・ 減算処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) 図-16 は、かぶり厚さに対し鉄筋 間隔が広い為、上側と下側の鉄筋山 形画像が綺麗に分解できている。上 側と下側の鉄筋は共に D13 であるか ら、垂直方向の鉄筋のあき間隔は、 約 35mm と推定できる。鉄筋間隔が 200mm と広い為、下側鉄筋の山形画 像の幅が広く形成され、上側鉄筋の リンギングとの違いが明確である。 [かぶり厚さ:鉄筋中心間距離] 上側鉄筋 ・・ 1:5 下側鉄筋 ・・ 1:2.22 図-17 は、平均波処理により上側 と下側の鉄筋山形画像が薄くなり、 下側鉄筋の山形画像の弧は上側鉄 筋のリンギングと間違える可能性 がある。その他の処理画像との比較 が必要。 図-18 は、↓の位置で減算処理を 施した画像である。上側と下側の鉄 筋が綺麗に表示されているが、下側 鉄筋の山形の弧の幅が固定表面波 画像より狭くなっている。その他の 処理画像との比較が必要。 図-16 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-17 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-18 カラー絶対値 モノクロオフセット
4.5 千鳥配筋の測定例 (1)ピッチ:250mm、上側鉄筋かぶり厚さ:40mm, 下側鉄筋かぶり厚さ:100mm ・固定表面波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・平均波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・減算処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) 図-19 は、かぶり厚さに対し鉄筋 間隔が広い為、上側と下側の鉄筋山 形画像が綺麗に分解できている。 [かぶり厚さ:鉄筋中心間距離] 上側鉄筋 ・・ 1:6.25 下側鉄筋 ・・ 1:2.5 図-20 は、平均波処理により、上 側と下側の鉄筋山形画像が薄くな っているが綺麗に分解できている。 平均波処理により、ほぼ同じ深さへ 配置されている鉄筋は、色が薄くな る。 図-21 は、減算処理をする適切な 位置が無い。↓の位置で減算処理を 施したが、下側鉄筋の山形形成画像 を消している。 図-19 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-20 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-21 カラー絶対値 モノクロオフセット
(2)ピッチ:130mm、上側鉄筋かぶり厚さ:60mm, 下側鉄筋かぶり厚さ:90mm の例 ・固定表面波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・平均波処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) ・減算処理画像(比誘電率:8.0 感度:Auto 深) 図-22 の固定表面波処理では、上 側と下側の鉄筋山形画像が綺麗に 分解できているが、かぶり厚さと鉄 筋間中心距離の比が小さい為、下側 鉄筋の山形画像が距離方向へ繋が っている。 [かぶり厚さ:鉄筋中心間距離] 上側鉄筋 ・・1:2.16 下側鉄筋 ・・1:1.44 図-23 の平均波処理画像は、平均 波処理により、上側と下側の鉄筋山 形画像は薄く、下側鉄筋の山形画像 も位置判別が難しい。 *平均波処理により、ほぼ同じ深さ へ配置されている鉄筋は、かぶり厚 さと鉄筋間中心距離の比の関係が 小さくなる程、色も薄くなる(A モ ードの反射レベルが低くなる)。 画像解析の際、平均波処理画像と 固定表面波処理の画像比較をする 事が重要。 図-24 は、千鳥配筋であり、鉄筋 ピッチが狭い為、減算処理を施す適 切な位置が無い。 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-22 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-23 カラー絶対値 モノクロオフセット 図-24
5.平均波処理による横縞波形形成の要因 ・各処理画像(カラー絶対値 比誘電率:8.0 感度:Auto 深) (原画波形)-(各処理波形) 図 27 平均波処理画像 図 26 固定表面波処理画像 図 25 原画画像 原 画 波 形 固 定 表 面 波 波 形 原 画 波 形 平 均 波 波 形 原画波形 固定表面波波形 原画波形 平均波波形 原 画 波 形 固 定 表 面 波 処 理 波 形 平 均 波 処 理 波 形 原画波形 固定表面波処理波形 平均波処理波形 平均波処理により、鉄筋と鉄筋の間へ横縞帯状の波形が表示される要因を説明する。 図 29 は、図 26 の縦カーソル位置の原画画像より、固定表面波波形を差処理する時の原画波形と固定表 面波波形をグラフ化したものである。同様に図 30 は、図 27 の縦カーソル位置の原画波形と差処理する平 均波波形をグラフ化したものである。それぞれ原画波形から差処理する波形が異なる為、差処理後の画像 に差が表れる。図 28 は、図 25,26,27 の縦カーソル位置(同じ位置)の波形であるが、同じ深さ(黄色い横 線位置)での固定表面波処理波形と平均波処理波形に差(位相と振幅値の差A)が見て取れる。この振幅値 の差により固定表面波処理画像では表示されないが、平均波処理画像では横縞帯状の波形が形成されてし まう(図 27 の赤丸内)。 *平均波処理は、全測定距離の各深さの±振幅値から平均波波形を算出し、全測定距離の原画波形より 平均波波形を差処理している為、全体的に画像の色合いが薄くなる。 図 28 図 29 図 30