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みずほ情報総研株式会社 環境・資源エネルギー研究部 地球環境研究室主事研究員冨田 哲也
[email protected] 図1に北米のLNG受入基地計画地点 をプロットし整理した。これを見ると 沿岸部のほとんどの地域に計画がある といって良いほど、受入基地の建設計 画は各地に広がっている。中でも、① 米国カリフォルニア州∼メキシコ・バ ハ・カリフォルニア州周辺、②テキサ ス州/ルイジアナ州等のメキシコ湾周 辺地域、③米国東海岸北部∼カナダ東 海岸の3地域に集中している。 ここでは、西海岸(メキシコからカ ナダに至る太平洋沿岸)、メキシコ湾 岸、東海岸(大西洋沿岸)の3地点に 分けてその特徴を概観したい。 ⑴ 西海岸 表1に北米西海岸の受入基地建設計 画を示す。 西海岸では、最大の天然ガス需要地1.
地域別の特徴
北米では天然ガスの需要が高まる一方で、地域内ではそれに見合った天然ガスの生産は難しいと見られ ており、LNGの輸入計画が相次いでいる。米国エネルギー省(DOE)は、毎年発行しているAnnual Energy Outlook の2004年版において初めて 本格的なLNGの輸入見通しを行ったが、これによると米国のLNG輸入量は、2010年時点で約4,500万トン /年に拡大し、天然ガス供給に占めるLNGの割合も2002年の1%弱から10.5%に拡大すると予測されてい る。さらに2020年時点では、LNG輸入量が8,700万トン、天然ガス供給に占める割合が17.3%に達すると見 通している。 DOE以外にもLNGの需要予測が発表されており、それらには数量の違いがあるものの、LNGが一定の 役割を果たすことは共通の認識となっており、LNGビジネスを展開する企業にとっては、大きなビジネ スチャンスとなっている。 現在米国内で稼動しているLNG受入基地は4基地しかないが、石油メジャーや多様な企業群が新たな受 入基地の建設計画を進めており、その数は50を超えている。 一方で、基地建設に対する反対運動から中止に追い込まれる計画も出現してきており、今後は反対運動 に加え、販売先の確保、資金調達の問題等からも凍結・中止される計画が出てくるものと見られる。 本稿は、西海岸でプロジェクトを計画している企業を中心に、その受入基地建設計画やその供給ソース などについて現時点での動向見通しについて解説する。
LNGレースの勝者は?
―北米でLNGプロジェクトを進める企業―
は米国カリフォルニア州であり、カリ フォルニア州と隣接するメキシコのバ ハ・カリフォルニア州に受入基地の計 画が集中している。 これ以外には、米国北部のオレゴン 州とカナダのブリティッシュ・コロン ビア州で小規模の基地の計画があり、 メキシコではバハ・カリフォルニア 州以外でも基地の建設が検討されてい る。 この地域の計画は、アジア・太平洋 地域に液化基地の計画を進めている石 油メジャーやオーストラリアの企業が 中心となって進めているものが多く、 液化基地の開発とセットで推進されて いる事業も存在する。 なお、カリフォルニア周辺は、LNG 受入基地建設に対する市民団体等の反 対も強くなっており、既に複数の計画 が中止に追い込まれている。 ⑵ メキシコ湾岸 表2にメキシコ湾岸の受入基地建設 計画を示す。 メキシコ湾周辺の地域は、天然ガス の主要生産地であり、大消費地でもあ ることから大型の受入基地を建設する 計画が多い。例えばテキサス州は、天 然ガスを原料とした化学産業や火力発 電での消費量が多く、全米で最も天 然ガス消費量の多い州であり、2002年 の消費量は約120Bcm(LNG換算で約 9,000万トン)と全国の18.6%を消費し ている。これは米国、ロシアを除くど の国の消費量よりも多く、隣の全米3 位の天然ガス多消費地域であるルイジ アナ州を合わせると、全米の4分の1の 消費量になる。さらに、この地域から は米国北部へ向かう幹線パイプライン が整備されており、天然ガスに関連す る施設も既に多いことから、受入基地 の建設についても西海岸や東海岸周辺A
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の住民に比較すると相対的に寛容であ ると見られる。 こ の 地 域 で は、 す べ て の 石 油 メ ジャーに計画があり、海底パイプライ ンも整備されていることから沖合の計 画も多い。 ⑶ 東海岸 表3に東海岸の受入基地建設計画を 示す。 東海岸北部にも計画は多く、米国の みならず、国境を接するカナダにも多 くの計画がある。具体的には、ニュー ヨーク州やニュージャージー州などの 米国東海岸からカナダ東海岸にかけて EverettEnergy Costa Azul LNG (メキシコ) Cove Point Elba Island Lake Charles Irving Canaport (カナダ) Altamira (メキシコ) Cameron LNG Freeport Port Pelican Energy Bridge Freeport(バハマ) Puerto Cortes (ホンデュラス) Jamaica (ジャマイカ) San Andres (ドミニカ) Penuelas (プエルトリコ) Lazaro Cardenas (メキシコ) Long Beach Clearwater Port Bear Head (カナダ) Weaver's Cove Somerset Providence Fairwinds LNG Crown Landing Golden Pass LNG
Vista del Sol LNG Cabrillo Port Gulf Landing Ocean Cay (バハマ) Kitimat LNG(カナダ) Ridley LNG(カナダ) Keltic Petrochemicals(カナダ) Rabaska(カナダ) Statia Terminals (カナダ) Cacouna Energy(カナダ) Puerto Libertad (メキシコ) Corpus Christi Sabine Pass LNG Ingleside Port Arthur
Main PassEnergy Hub Compass Port Pearl Crossing Energy Bridge Humbolt Bay LNG Kenai Valdez Manzanillo (メキシコ) Quoddy Bay Broadawater Energy LNG受入基地 稼動中 LNG受入基地 計画(承認済・建設中) LNG受入基地 構想・計画段階 LNG受入基地 計画中止 LNG液化基地 構想・計画段階 LNG液化基地 稼動中 Gulf LNG Energy Mare Island LNG Port Penguin Tijuana (メキシコ) Terminal GNL Mar Adentro
(メキシコ) Tampa Jodan Cove Port Westward Pelican Island High Rock LNG (バハマ) Philadelphia Freedom Energy Center Pascagoula Creole Trail LNG 北米の受入基地建設計画一覧 図1
西海岸周辺のLNG受入基地建設計画 表1 (注)能力は1Bcf/d=760万トン/年として換算した。<>は出資せず使用権のみ持つ企業。 合計値は中止となった基地の能力を除く。 メキシコ湾岸のLNG受入基地建設計画 表2 (注)能力は1Bcf/d=760万トン/年として換算した。<>は出資せず使用権のみ持つ企業。 国 プロジェクト プラントサイト 参加企業 使用開始予定 (百万トン/年)受入能力
カナダ Ridley LNGKitimat LNG British Columbia州Prince Rupert WestPac Terminals Inc.British Columbia州Kitimat Galveston LNG 20092008 2.32.6
米 国
Port Westward Oregon州St. Helens Port Westard LNG − 5.3
Jodan Cove Oregon州Coos Bay Energy ProjectsDevelopment LLC 2008 1.5
Humbolt Bay LNG California州Eureka Calpine 中止 3.8
Mare Island LNG California州Vallejo ShellBechtel 中止 −
Crystal Clearwater Port California州Ventura沖合 Crystal EnergyWoodside Energy 2007 7.6
Cabrillo Port California州Oxnard沖合 BHP Billiton n.a. 6.1
Long Beach California州Long Beach 三菱商事ConocoPhillips 2007 5
Port Penguin カリフォルニア州沖合 ChevronTexaco − −
メキシコ
Tijuana Regional
Energy Center Baja California州
Marathon Oil Pertamina Golar LNG GGS SA de CV
中止 5.7
Terminal GNL Mar Adentro Baja California州沖合 ChevronTexaco 2007 5.7
Energy Costa Azul Baja California州 Sempra Energy<Shell> 2007 7.6
Sonora Pacific LNG Sonora州Puerto Libertad DKRW Energy 2008 9.9
Lazaro Cardenas Michoacán州Lazaro Cardenas Repsol YPF 2008 3.3
Manzanillo Colima州Manzanilo Comision Federal de Electricidad − 3.8
合計 60.7
■は中止、■は承認済
国 プロジェクト プラントサイト 参加企業 使用開始予定 (百万トン/年)受入能力
米 国
Compass Port Alabama州沖合 ConocoPhillips 2009 7.6
Main Pass Energy Hub Louisiana州沖合 McMoRan Exploration 2007 7.6
Gulf LNG Energy Mississippi州Pascagoula Gulf LNG Energy − 7.6
Pascagoula Mississippi州Pascagoula ChevronTexaco − −
Port Pelican Louisiana州沖合 ChevronTexaco 2006 12.2
Pearl Crossing Louisiana州沖合 ExxonMobil 2008/9 7.6
Gulf Landing Louisiana州沖合 Shell 2008/9 7.6
Energy Bridge Louisiana州沖合 Excelerate Energy 2004 3.65
Cameron LNG Louisiana州Hackberry Sempra Energy 2008 11.4
Sabine Pass LNG Louisiana州Cameron Parish
Cheniere Energy ChevronTexaco <Total>
2007 19.8
Creole Trail LNG Louisiana州Cameron Parish Cheniere Energy − 19.8
Port Arthur Texas州Port Arthur Sempra Energy 2009 11.4
Golden Pass LNG Texas州Sabine Pass ExxonMobil 2008/9 7.6
Pelican Island Texas州Galveston BP 2009以降 9.1
Freeport Texas州Quintana
ConocoPhillips Cheniere Energy Michael S.Smith Contaga Oil & Gas <DowChemical>
2007 11.4
Ingleside Energy Center Texas州Ingleside Occidental Petroleum 2007 7.6
Vista del Sol LNG Texas州Corpus Christi ExxonMobil 2008/9 7.6
Corpus Christi Texas州Corpus Christi Cheniere EnergyBPU,Inc. 2007 19.8
メキシコ Altamira Tamaulipas州Altamira Shell(50) Total(25%) 三井物産(25%) 2006 5.7 合計 184.9 ■は中止、■は承認済
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日本でのLNG受入基地の建設主体 は、そのほとんどがLNGの使用者で ある電力会社と都市ガス会社である2.
多様なプレーヤーの
出現
建設主体 使用者 主な事例 ⑴ 石油開発会社 ExxonMobil、Shell、ChevronTexaco、ConocoPhillipsなどの石油メジャー、 オーストラリア等の海外で液化プロジェクトを推進する企業など ⑵ ユーティリティ 傘下にユーティリティ企業を持つSempra Energy等 ⑶ 独立系 第三者 Cheniere Energy+Totalなど ⑷ 組み合わせ、その他 パイプライン会社、ベンチャー企業などや組み合わせ が、北米では石油メジャーを中心とす る石油開発会社をはじめ、ユーティリ ティ企業(電力・ガス会社)、独立系 企業、個人投資家、コンサルティング 会社など様々な投資主体が建設を計画 している。また、米国では規則の改正 によって、基地所有者が設備能力のす べてを使用できることになったことか ら、そのような独占的な利用計画も多 い。 以下に主なパターンについて整理す る。 ⑴ 石油開発会社による建設と使用 ExxonMobil、BP、Royal Dutch/ Shell、ChevronTexaco、ConocoPhillips などの石油メジャーに加え、大手開発 会社のRepsol-YPFやBG Group、BHP Billiton、Woodside Energy、Petro-計画が集中しており、カナダではケ ベック州のセントローレンス川の川岸 にも計画がある。 これらカナダ東海岸に計画が相次い でいるのは、人口密度が低く基地建設 の反対が少ない、水深を確保でき大型 タンカーの利用が可能、米国への既存 輸出ルートが存在する、地形的に東に 張り出している分、主要液化基地か らの輸送距離が短い、期待されていた Nova Scotia沖合のガス田開発が失敗 している、などの理由がある。 この地域の計画については、石油メ ジャー以外に、地元ユーティリティ企 業や石油精製会社等が計画を進めてお り、メキシコ湾岸の基地に比較すると 相対的に小さい規模の計画が多い。 また、フロリダ州への天然ガス供給 を見込んでバハマにも3つの計画が検 討されている。この3つの計画は互い に競合する計画となっており、すべて の計画が実現する可能性は低い。 東海岸周辺のLNG受入基地建設計画 表3 (注)能力は1Bcf/d=760万トン/年として換算した。 合計値は中止となった基地の能力を除く。 北米の基地建設の主なパターン 表4 国 プロジェクト プラントサイト 参加企業 使用開始予定 (百万トン/年)受入能力 カナダCacouna Energy Quebec州Gros Cacouna TransCanada Petro-Canada 2009 3.8
Keltic Petrochemicals Nova Scotia州Goldboro Keltic Petrochemicals 2007 3.8
Statia Terminals Nova Scotia州Strait of Canso Statia Terminals − −
Bear Head Nova Scotia州 Anadarko Petroleum 2007 7.6
Rabaska Quebec州Levis City Beaumont
Gaz Metropolitan Enbridge
Gaz de France 2008 3.8
Irving Canaport New Brunswick州Saint John Irving Oil Repsol-YPF 2007 7.6
米国
Quoddy Bay Maine州Pleasant Point Quoddy Bay LLC − −
Fairwinds LNG Maine州Harpswell ConocoPhillipsTransCanada 2009 3.5
Energy Bridge Boston沖合 Excelerate Energy − −
Weaver's Cove Massachusetts州Fall River HESS LNG 2007 3.0
Providence Rhode Island州 KeySpan BG 2005 2.9
Somerset LNG Massachusetts州 Somerset LNG 2008 3.3
Broadawater Energy New York州沖合 TransCanada Shell 2010 7.6
Philadelphia Freedom
Energy Center Pennsylvania州Philadelphia Philadelphia Gas Works − −
Crown Landing New Jersey州Logan Township BP 2008 10.6
Tampa Florida州Tampa BP 中止 −
バハマ
Freeport(Calypso Pipeline) Grand Bahama Tractebel 2007 3.0
High Rock LNG
(Seafarer Pipeline) Grand Bahama
El Paso
Florida Power and Light 2008 6.2
Ocean Cay
(Ocean Express Pipeline)Ocean Cay AES Ocean LNG 2006/7 6.4
合計 69.6
Canadaなどが受入基地の建設を計画 しており、数多くある計画の中でもこ のパターンによる計画が最も多い。 これらの計画は、1Bcf/d(約760万 トン/年)以上の大型の基地を単独で 建設する予定のものが多く、自社が海 外で参加する液化基地からLNGを供 給することを想定している。 企業が単独で受入基地を建設し独占 的に使用する場合は、ガス価格の変動 に対するリスクが非常に大きい。した がって、建設主体は資金調達に優れた 石油メジャーやそれに準ずる企業に限 定される。 ⑵ ユーティリティ企業による建設と使用 傘下に大手電力・ガス会社を持つ Sempra Energyが複数の基地建設計 画を進めているが、メキシコ・バハ・ カリフォルニア州の基地はShellに提 供するなど、最終的にすべての設備能 力を自社で使用するかどうかは未定で あり、また再ガス化したガスは、自社 の発電所だけで使用することはなく、 他社に販売する予定である。 米国の電力・ガス会社は、使用する ガスを短期の契約で調達していること が多く、自社単独で大量のLNGを扱 うような受入基地を建設するような 会社は少ないと見られる。ただし、一 部のユーティリティ企業が、石油メ ジャーや海外大手企業などと共同で基 地建設計画を進めている例は増えてき ている。 ⑶ 独立系企業による基地建設と第三 者による使用 建設主体が、石油メジャーやLNG大 手企業に設備を提供して利用実績に応 じて料金を徴収するパターンがこれに 相当する。例えば、Cheniere Energy は複数の基地建設を進めているが、設 備の大部分の使用権を石油メジャーや Dow Chemicalなどの大手企業に長期 契約によって提供し、利用実績に応じ た使用料を徴収する予定である。 このように長期契約を確保できた 場合は、リターンは小さくなるものの 建設主体のリスクは(1)や(2)のパター ンに比較すると小さく、プロジェクト ファイナンスによる資金調達も可能で ある。 ⑷ 組み合わせその他 石油メジャーやユーティリティ企 業以外にも、パイプライン会社やベン チャー企業、個人投資家などが建設計 画を進めており、これらの組み合わせ もあって、北米のLNG基地建設主体 は非常に多様な状況となっている。 以下に、西海岸のLNG事業に進出 を予定している企業を中心にその動向 を示す。
3.
個別企業の動向
液化基地(既存) 液化基地(計画・構想) 受入基地(計画・構想) 受入基地(既存) NWS Cove Point Gorgon MLNG Brunei NLNG Oman Persian LNG Mariscal Sucre Sakhalin2 Nigeria 浮体式 Greater Sunrise Elba Island 拡張 Hazira Gulf Landing Altamira Costa Azul Broadwater Energy Zeebruge Libya SPA締結(3,700万トン/ 20年) ⑴ Royal Dutch/Shell Royal Dutch/Shell(以下Shell)は、 全世界でLNG事業を展開しており、石 油メジャーの中で最も多くのプロジェ クトに参加している。既に稼働してい る液化基地は、オーストラリアNorth West Shelf LNG(西豪州にある既存 液化基地)、ブルネイ、マレーシア、 オマーン、ナイジェリアがあり、新規 事業はロシアのサハリン2、オースト ラリアのGorgon、オーストラリア/ 東チモールのGreater Sunrise、イラ ン、ナイジェリアの新規事業(沖合基 地)、ベネズエラ、リビアでの計画を Royal Dutch/Shellの参加するLNG事業 図2A
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進めている。 北米西海岸への展開については、独 自にメキシコのバハ・カリフォルニア 州で受入基地を建設する計画を進めて いたが、各社の計画が相次ぐ中、独 自の基地建設計画を中止し、Sempra Energyが進めていた計画に合流する ことになった。この計画は、メキシコ・ バハ・カリフォルニア州Ensenadaの 北14kmの地点に設備能力1Bcf/d(約 760万トン/年)の基地を建設するも ので、将来的には2Bcf/dに拡張される 予定である。既に基地の建設に必要と なる主な許可は取得しており、2008年 からのフル稼働を目指して準備が進め られている。 2004年10月14日、Shellは こ の 基 地 の50%の能力を20年間にわたって使 用することでSempraと合意し、また Shellが中心となっているサハリン2か ら、20年間で3,700万トンのLNGを購 入する売買契約(SPA)を締結した。 供給は2008年から開始し、最初の3年 間は160万トン/年の供給を予定して いる。また、Shellはこの基地の拡張 分(1Bcf/d)についても50%を使用す ることで合意している。 一 方、 建 設 主 体 で あ るSempra EnergyはBPの主導するインドネシア 液化基地(既存) 液化基地(計画・構想) 受入基地(計画・構想) 受入基地(既存) Port Pelican Angola Brass LNG NWS Gorgon Port Penguin Terminal GNL Mar Adentro Sabine Pass Tangguh LNGからLNGを購入するこ とでSPA(370万トン×20年)を締結 しており、この基地は西海岸の計画を リードするプロジェクトとなった。 Shellは、北米への供給ソースとし て、自社が参加しているオーストラリ アGorgonからも200万トン/年のLNG を購入することで2003年8月に合意し ている。 他には、オーストリアと東チモール 間にあるGreater Sunriseの計画があ るが、これについては、両国の共同開 発区域をはずれ、国境画定が明確では ない地域での開発となることから、両 国間の合意が必要となる。しかし二国 間の交渉に進展が見られないことから プロジェクトの着手は見通しが立って いない。 Shellは、東海岸では既存の受入基 地に使用権を持つばかりでなく、複数 の新規事業も進めている。この内、メ キシコのAltamiraは既に建設に着手 しており、メキシコ湾では、洋上に Gulf Landingと呼ぶ受入基地を、さら にニューヨークに近いロングアイラン ド湾の洋上にもBroadwater Energyと 呼ぶ受入基地の計画を進めている。メ キシコAltamiraの基地は、国営の電力 会社CFEへのガス供給が決まってお り、基地の建設は、Total、三井物産 と共同で行っている。また、ニューヨー クのBroadwater Energy受入基地は、 カナダのTransCanadaと共同で計画を 進めている。 これら受入基地とともに予定してい る液化事業が完成すると、ナイジェリ ア、オマーン、ベネズエラ、リビア、 イランなどから幅広く北米太平洋市場 へLNGが供給できる態勢が整う。 ⑵ ChevronTexaco ChevronTexacoも、メキシコ・バハ・ カリフォルニア州に基地建設の計画を 進めている。これは、メキシコ湾で進 めているPort Pelicanと呼ぶ沖合基地 と同種の基地をTijuanaの沖合に建設 する計画で、規模は0.75Bcf/d(約570 万トン/年)で2007年からの稼働を目 指している。 こ の 基 地 はTerminal GNL Mar Adentroと呼ばれ、既に環境面での承 認は得ているが、地元の反対も大き く、最終的な建設承認は得られてい ない。また、ChevronTexaco、Shell、 Sempraの3社がそれぞれ、メキシコ国 営電力が建設する予定の発電所への供 給を目指しており、入札結果が基地建 設に影響を与えるものと見られる。 ChevronTexacoの参加するLNG事業 図3ChevronTexacoは、米国のカリフォ ルニア沖合にも受入基地の建設を検討 しているが、この計画については具体 的な内容は公表されていない。 同社は、西海岸への供給ソースとし て、Shellと同様2003年8月に、オース トラリアのGorgonプロジェクトから 200万トン/年のLNGを購入すること で覚書を締結している。同プロジェク ト は、ChevronTexacoが 権 益 の57 % を持つオーストラリア北西部の沖合ガ ス田の開発プロジェクトで、LNGプ ラントは、ガス田と大陸の中間にあ るBarrow島に建設することが決定し て い る。ChevronTexacoは、 さ ら に 沖合のJanszガス田のほか、最近WA-17-R鉱区でもガス資源を発見してお り、この地域のガス開発を主導的に推 進する立場にある。 Gorgonか ら は こ れ ら 北 米 西 海 岸 への供給に合わせ、中国、さらには ChevronTexacoが出資している韓国 LGカルテックスへの販売も見込まれ ており、1,000万トン/年規模の大規 模事業として2008 ∼ 9年ごろスタート するものと見られている。 一方、同社は北米大西洋市場では、 メキシコ湾でPort Pelicanという事業 名で受入基地の計画を進めており、既 液化基地(既存) 液化基地(計画・構想) 受入基地(計画・構想) 受入基地(既存) 広東 NWS Abu Dhabi Angola Tangguh Cove Point Atlantic LNG Iran LNG Bilbao Livorno Isle of Grain Crown Landing Segas(ガス供給 とLNG引取) Krishnapatnam Pelican Island Costa Azul (Sempraへの販売) SPA締結(約 380万トン/年) に建設の承認を沿岸警備隊から取得 し、基本設計に着手している。しかし、 建設費が当初の予定よりも高くなる見 通しになったため、この計画とは別に Cheniere Energyがルイジアナ州で進 めていたSabine Pass受入基地への参 加も決定した。この基地は、2.6Bcf/d (約2,000万トン/年)の設備能力で、 こ の う ち1Bcf/dをChevronTexacoが 使用し、Totalも1Bcf/d使用すること を決めている。 大西洋地域への供給が可能な液化 事 業 と し て は、ChevronTexacoが 中 心となっているアンゴラの事業とナイ ジェリアのBrass LNGの計画がある。 Brass LNGは最近基本設計に着手した が、アンゴラの事業については調整が 遅れ、最終投資決定にはまだ時間がか かるものと見られている。 ま た、ChevronTexacoは、 ベ ネ ズ エラの海底ガス田の開発にも参加を予 定しており、現時点では、その規模、 用途は確定していないが、将来的には このガスもLNG化され、米国に供給 される可能性がある。 ⑶ BP BPのLNG液化事業については、ト リニダードのアトランティックLNG、 アブダビ、オーストラリアNWSの3事 業への参加が挙げられる。一方で同社 は新規事業として、アンゴラ、イラン、 インドネシアTangguhの事業を進め ている。 同社は、西海岸の受入基地建設計画 や他社が計画している基地の使用権の 取得は今のところ発表していない。し かし、自社が中心となって計画を進 めているインドネシアTangguhプロ ジ ェ ク ト は、Sempra Energyの 進 め る受入基地へのSPAをいち早く締結し た。 Tangguhプロジェクトは、中国で2 番目となる福建省の基地への供給も決 まっているほか、韓国で製鉄大手のポ スコとSKグループが共同で建設する 受入基地への供給も決定している。 米国では、既存のメリーランド州 Cove Point受入基地の使用権を取得 し、トリニダードからの供給を開始し た。また、ニュージャージー州南部で はCrown Landingと呼ぶ計画があるほ か、テキサス州のPelican Islandでも 計画を進めている。 これらへの供給源としては、トリニ ダードのAtlantic LNG以外に同社は アンゴラでの事業計画に参加してお り、同事業からの供給の可能性がある。 BPの参加するLNG事業 図4
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液化基地(既存) 液化基地(計画・構想) 受入基地(計画・構想) 受入基地(既存) Clearwater Port NWS Browse Greater Sunrise ま た、 エ ジ プ ト のDamiettaにUnion Fenosa Gas(Union Fenosa(50%) + Eni(50%))が進めているSegas液化基 地にガスを供給し、そのLNGを買い 取る予定もある。 ⑷ Woodside Energy Woodside Energyは、オーストラリ アを代表する石油開発会社で、現在 オーストラリアで唯一液化基地とし て稼働しているNWSプロジェクトの オペレーターを務めるほか、新規のプ ロジェクトとしてはGreater Sunrise、 Browseの計画を進めている。 北米西海岸への受入基地について は、2004年10月に米国カリフォルニ ア 沖 でCrystal Energyが 進 め て い た Clearwater Port受 入 基 地 建 設 プ ロ ジェクトを共同で進めることを発表し た。 Gorgon LNGNWS LNG Scarboroughガス田 Gorgonガス田 Browseガス田群 Onslow(Pibara) 280km 25S 20 15 125 120 115 110 E 0 250 km 500 AUSTRALIA 2社 間 の 合 意 で は、Woodsideが 関 連の専門技術を提供する代わりに、 Cleawater Portを優先的に使用できる ようになり、また、基地建設の承認を 受けるまでの資金をWoodsideが拠出 する。 Clearwater Portは、カリフォルニ ア州Ventura郡の沖合21kmの地点に 存在する石油ガス生産用のプラット フォームを受入基地に転用する予定 Woodside Energyの参加するLNG事業 図5 Browseガス田群とScarboroughガス田の位置 図6(注) Gorgon LNGは、Gorgonガス田のガスをガス田と大陸の中間に位置するBarrow島で液化する事業。ChevronTexaco、Royal Dutch/Shell、ExxonMobil の3社で進められており、2008 ∼ 9年に稼働することを予定している。
で、設備能力は600万トン/年と発表 されている。基地には貯蔵設備は設け ず、基地で再ガス化されたガスは新設 するパイプラインで地上のパイプライ ン網に供給される予定である。 こ の 計 画 を 進 め て い たCrystal Energyは、Woodsideの参加とは別に、 アラスカAlaska Gasline Port Authority とアラスカからのLNGの供給につい て詳細な交渉を行うことで合意し、 2004年1月にMOUを締結している。し かし、アラスカの新規液化事業は現時 点で実現の見通しが立っていないこと から、Clearwater Port基地が予定ど おり完成した場合には、Woodsideか らの供給が中心になると見られる。 Woodsideは、NWSよりも北東にあ るBrecknock、Brecknock South、Scott Reefガス田などのBrowse堆積盆地の ガス田群のLNG事業化の検討も進め ている。このガス田は1970年代に発見 されたものであるが、北米や中国での 需要拡大が予想されるようになって、 それらへの輸出を念頭に開発が再検討 されることになった。 ⑸ BHP Billiton BHP Billitonは、石油天然ガスの企 業というよりも、石炭や鉄鉱石、各種 液化基地(既存) 液化基地(計画・構想) 受入基地(計画・構想) 受入基地(既存) Cabrillo Port Scarborough 金属資源を開発する資源メジャーとし て有名なオーストラリアを代表する企 業である。 西海岸への受入基地については、カ リフォルニア州Oxnard沖23マイルの 地点に、LNG船のような外形で気化 設備を備えた浮体式の受入基地を係 留し、陸上にパイプラインで供給する 計画を持っている。基地は、Cabrillo Portと名付けられ、規模は約600万ト ン/年を予定している。 同 社 は、 オ ー ス ト ラ リ ア の Scarboroughガス田を開発して、LNG 液化基地を建設し、この基地に供給す る事業を検討している。Scarborough ガス田は、図6に示したようにGorgon よりさらに西に位置するガス田で、現 在BHP Billitonが 液 化 基 地 の 建 設 を 想定しているPibara(Onslowの南西 4.5km)の海岸からは、280kmの地点 にある。 このガス田も発見されたのは1979年 と古く、経済性の問題から事業化は 行われてこなかったが、Woodside同 様BHP Billitonも北米への輸出を念頭 に、開発を再検討しているプロジェ クトである。同ガス田の権益はBHP Billiton50%、ExxonMobil50%で、規 模は600万トン/年を想定している。 ⑹ Sempra Energy
Sempra Energyは、San Diego Gas & Electric Co. と Southern California Gas Co. の2社 を 経 営 す るSempra UtilitiesとLNG事 業 や 発 電、 パ イ プ ライン事業などを行っているSempra Global、さらに金融部門の3部門から なる企業で、ユーティリティを中心と した企業である。米国で受入基地の建 設を計画している多くの企業が、石油・ 天然ガス開発事業を行っているのに対 し、同社は開発事業は行っておらず、 海外のLNG液化基地事業にも参加し ていない。 西海岸では、前述のようにメキシコ・ バハ・カリフォルニア州のCosta Azul 受入基地の計画を進めており、1Bcf/d の能力の内、半分の使用権をShellに 提供する。Sempraは使用するLNGに ついて、2001年にボリビアの天然ガス を利用するPacific LNGから調達する 覚書を締結していたが、同事業は液化 基地の建設地点を巡って政治問題化 し、当面実現は困難となって契約は失 効した。替わって、Sempraではイン ドネシアのTangguhから370万トン/ 年のLNGを2008年から20年間調達す ることを決定している。 こ の 基 地 で 再 ガ ス 化 さ れ た ガ ス BHP Billitonが参加するLNG事業 図7
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液化基地(既存) 液化基地(計画・構想) 受入基地(計画・構想) 受入基地(既存) Persian LNG Irving Canaport Lazaro Cardenas Libya Bilbao Gassi Touil Atlantic LNG Pacific LNG は、Sempraが バ ハ・ カ リ フ ォ ル ニ ア州内に建設中のTermoelectrica de Mexicali(TDM) 発 電 所(60万kW) で使用するばかりでなく、他社の発電 所への供給や米国カリフォルニア周辺 にガス供給を行う予定である。 Sempraで は、 こ の 西 海 岸 のCosta Azul基 地 以 外 に、 メ キ シ コ 湾 周 辺 で2つ の 基 地 建 設 計 画 を 進 め て い る。 一 つ は、Dynegyが ル イ ジ ア ナ 州Hackberryで進めていた計画を買 収したもので、Cameron LNGと呼ば れている。この基地は、設備能力が 液化基地(既存) 液化基地(計画・構想) 受入基地(計画・構想) 受入基地(既存) Costa Azul Port Arthur Cameron LNG Tangguh (LNG購入のみ) SPA締結(約 380万トン/年) 1.5Bcf/dで、メキシコ湾岸で唯一稼動 しているLake Charles受入基地から南 に35kmの地点に建設を予定しており、 既に建設の承認を得ている。 も う 一 つ は、 テ キ サ ス 州 のPort Arthurの自社の敷地に1.5Bcf/d規模の 基地を計画しており、これは3.0Bcf/d への拡張も可能としている。これらメ キシコ湾岸の基地への供給について、 現時点でSempraは、供給ソースを明 らかにしていない。 同社の計画している3つの基地が予 定どおり建設・拡張されると、同社の 受入能力は、西海岸1.0Bcf/d、メキシ コ湾4.5Bcf/dの計5.5Bcf/d(約4,180万 トン)に達することになる。 ⑺ Repsol-YPF Repsol-YPFは、 ス ペ イ ン のRepsol が1999年にアルゼンチンのYPFを買 収して発足しており、南米に多くの上 流権益を持つ。 北米西海岸では、他の計画が相次 いでいるメキシコ・バハ・カリフォ ルニア州よりも南に位置するLazaro Cardenasに受入基地建設用の土地を Repsol-YPFが参加するLNG事業 図9 Sempra Energyが計画するLNG受入基地 図8取得している。 この用地は、Tractebelがペルーか らのLNG輸入を念頭に取得を目指し ていたが、Repsol-YPFに入札で敗れ てしまった。Repsol-YPFは、ボリビ アのガスをチリかペルーで液化する Pacific LNG事業を推進していたが、 実現には相当の時間が必要と見られ、 Lazaro Cardenas受入基地事業につい ても具体的な計画は発表されていな い。 一方東海岸では、カナダのIrving Oil社がニューブラウンズウィック州 Saint Johnで計画を進めていた受入基 地に参加することになった。この計画 は、既に政府から建設の承認を得てお り、規模1Bcf/dの受入基地が2007年に も稼動する予定になっている。 米国内のLNG受入基地建設計画へ の住民の反対運動は高まる一方で、カ ナダの計画はノバ・スコーシア州で Anadarko Petroleumが基地建設に着 手するなど、一足先に進みつつある。 Repsol-YPFは、現在米国への最大 のLNG供給事業となっているトリニ ダード・トバゴのAtlantic LNGに参加 しているばかりでなく、最近アルジェ リアの新規ガス開発・LNG事業であ るGassi Touil(400万トン/年)に資 液化基地(既存) 液化基地(計画・構想) 受入基地(計画・構想) 受入基地(既存) Mariscal Sucre Tangguh サハリンⅡ NWS MLNG Brunei Oman LNG Long Beach Oman Qalhat LNG SPA締結(約 380万トン /年) SPA締結(3,70 0万トン/ 20年) Costa Azul (LNG販売のみ) 本関係の深いスペインGas Naturalと 共同で参加することが決定したほか、 リビア、イランでもLNG液化事業の 実現を目指している。 ⑻ 三菱商事 三菱商事は日本の商社の中で最も多 くのLNG事業に参加しており、北米 では米国カリフォルニア州のロング ビーチで受入基地の実現を目指してい る。 こ の 受 入 基 地 は、 米 国 子 会 社 の Sound Energy Solutionsを通じて進め られており、現在建設許可を申請中で、 2008年初頭からの運転が予定されてい る。当初は三菱商事単独で進められて いたが、2004年7月にConocoPhillipsと 共同で開発することが合意された。 この受入基地より先に、メキシコ・ バハ・カリフォルニア州のCosta Azul 基地において、Sempra向けにインド ネシアTangguhから、Shell向けには ロシアサハリン2からの供給が決まり、 いずれも三菱商事の事業参加する液化 基地からの供給となった。 ⑼ Cheniere Energy Cheniere Energyは、メキシコ湾で 一部石油天然ガスの生産を行ってはい るものの、同社の証券コード"LNG"が 示すとおり、業務の中心はLNGに関 連した事業展開を目指すベンチャー企 業である。 同社は、表5に示すようにテキサス 州に2つ、ルイジアナ州に2つの受入基 地建設計画を進めており、うち2つの 計画は既に承認を受けている。テキサ ス州Quintanaに建設を予定している Freeport LNGは、設備能力の1.5Bcf/d の う ち1.0Bcf/dをConocoPhillipsが 利 用 し、 残 り0.5Bcf/dをDow Chemical が使用する予定で、ConocoPhillipsが 資金調達を行って建設されることに なった。 また、ルイジアナ州に建設予定の Sabine Pass LNGは、ChevronTexaco とTotalに1Bcf/dずつの使用権を提供 し、残り0.6Bcf/dは自社で使用するこ とが決まっている。この基地の建設資 金については、大手金融機関2社から 7.41億ドルをプロジェクトファイナン スによって調達することが決まって おり、ChevronTexacoとTotalからは、 使用料0.32ドル/百万Btuを徴収する。 さ ら にChevronTexacoと は、 基 地 の 権益20%を2億ドルで売却する交渉が 行われている。 もう一つのCorpus Christiの基地も 三菱商事が参加するLNG事業 図10
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Sabine Pass同様のビジネスモデルで 展開する予定で、基地の半分以上を他 社に提供する予定である。 このようにCheniere Energyは、長 期契約によって石油メジャーなどに基 地の大部分を提供して使用料を徴収す るビジネスを中心とすることで、ガス の価格変動に影響されないリスクの低 い事業を目指している。しかし、こ のような事業は、得られるリターンも 限定的であるため、同社はこれに加え て自社の使用分もある程度は確保し、 LNGのスポット調達を組み合わせる 予定である。この事業を推進するため にスイスのJ & S Groupと共同でJ & S Cheniereを設立しており、既に他社の 既存基地を使用してスポット調達を開 始している。 ⑽ その他主要企業の動向 以下にその他の主要企業の動向につ いて簡単に紹介する。 ①ExxonMobil 同社の将来のLNG事業は、カター ルで大型液化プラントを建設し、その LNGを米国と英国など欧米に供給す ることを中心にしている。米国での受 入基地については、テキサス州Sabine Pass(プロジェクト名はGolden Pass LNG) と テ キ サ ス 州Corpus Christi (Vista del Sol LNG)に建設する計画 を発表し、またルイジアナ州沖合に Pearl Crossing LNG受入基地の建設を 計画している。カタールの米国向けの 新規液化プラントは1,560万トン/年 とこれまでにない大型のもので、輸送 効率を高めるため、タンカーは20万㎥ を超える規模のものを開発する予定に なっている。 ②ConocoPhillips ConocoPhillipsは、独自にはアラバ マ州沖合にCompass Portという基地 の計画を進めるほか、前述のように 三菱商事のカリフォルニア州ロング ビ ー チ の 計 画 とCheniere Energyの Freeport LNGに参加することになっ た。同社はこれらへの供給ソースとし て、カタールの大型事業や、ナイジェ リアのBrass LNGなどに参加してい る。 ③BG Group BG Groupは、米国向けLNG供給で トップの実績があり、既存基地の多く の使用権を取得しているほか、新たに ロードアイランド州でKeySpanが使用 しているLNG貯蔵設備を受入基地に 転用する計画を同社と共同で進めてい る。 供給ソースは、既存のトリニダー ド・トバゴに加え、エジプトでLNG 計画を進めており、モーリタニア等で も液化事業を検討している。さらにナ イジェリアNLNG、赤道ギニアなど他 社の事業からも調達することによって 北米への供給力拡大を目指している。 ④Total フランスのTotalは、Shellが進めて いるメキシコ東海岸のAltamiraに参 加した他、Cheniere EnergyのSabine Pass LNGの使用権を確保した。供給 ソースは、ナイジェリアNLNGの拡張 事業やアンゴラの事業に参加する予定 で、カタール等で参加している中東事 業からも供給する可能性がある。 ⑤Statoil 現 在 ノ ル ウ ェ ー 国 内 で 欧 州 初 の Cheniere Energyが計画している受入基地の概要 表5 Cheniere Energyの受入基地利用予定 表6Freeport LNG Sabine Pass LNG Corpus Christi LNG Creole Trail LNG
建設予定地 Texas州Quintana Louisiana州Cameron Parish Texas州Corpus Christi Louisiana州Cameron Parish
Cheniereの出資比率(%) 30 100 66.7 未定 初期投資(百万ドル) 650 ∼ 750 750 ∼ 850 650 ∼ 750 未定 稼働時点の設備能力(Bcf/d) 1.5 2.6 2.6 2.6 貯蔵規模(Bcf) 6.7 10.1 10.1 10.1 貯蔵タンク数 2 3 3 3 バース 1 2 2 2 敷地面積(エーカー) 233 568 610 未定 FERC 許可 2004年6月 2004年12月 2005年第2四半期予定 未定 着工 2005年第1四半期 2005年第1四半期 2005年第3四半期 未定
Freeport LNG Sabine Pass LNG Corpus Christi LNG
設備能力計 1.5Bcf/d 設備能力計 2.6Bcf/d 設備能力計 2.6Bcf/d
DowChemical 0.5Bcf/d Total 1.0Bcf/d 他社提供可能分 1.5Bcf/d
ConocoPhillips 1.0Bcf/d ChevronTexaco 1.0Bcf/d 自社分 1.1Bcf/d
自社分 0.6Bcf/d
LNG液化基地であるSnohvit LNGを進 めている。同社は、このLNGの北米 への輸出を目的として既存のメリーラ ンド州Cove Point受入基地の使用権を 取得した。Snohvit LNGは、2006年に は稼働する予定であるが、それまで同 社はトリニダード・トバゴとアルジェ リアから調達して供給を行っており、 Cove Pointの拡張分についても使用権 を確保し、北米事業の拡大を目指して いる。 ⑥Marathon Oil Marathon Oilは、メキシコTijuana の受入基地と発電事業からなる事業計 画を進めてきたが、住民等の反対に よって中止に追い込まれ、同社のLNG 事業の展開は大幅な変更を余儀なくさ れた。現時点では、新たに受入基地の 建設計画は発表されていないが、既存 の施設であるジョージア州Elba Island 受入基地に使用権を保有し、BPから 長期契約による供給を受けることが決 まっている。液化基地については、同 社が中心となって進めている赤道ギニ アの事業が最終投資決定を済ませてお り、2007年からBGに340万トン/年の LNGを販売する。 ⑦Petro-Canada Petro-Canadaは、TransCanadaと共 同でケベック州のGros Cacounaに能 力365万トン/年の受入基地の建設を 計画している。同社は既存の液化基地 には参加してこなかったが、ロシアで 新たな液化基地の建設計画を検討して きており、2004年10月にはサンクトペ テルブルグ周辺に液化基地を建設する 事業をロシアGazpromと共同で検討 すると発表した。 ⑧Excelerate Energy
Excelerate Energy は、El Paso が 開発していたEnergy Bridgeの事業を 買収し、独自のLNG事業を展開して いるベンチャー企業である。Energy Bridgeは、気化装置を積載した専用船 を用いて、需要地近郊の洋上において 船舶上で再ガス化し、海底パイプライ ンを通じてガス供給を行うシステム で、メキシコ湾沖合とボストン沖合の 2地点で事業を行う予定である。既に 専用の船舶は完成しており、メキシコ 湾での事業は2005年1月にも開始する 予定になっている。ただ、この技術は 新しい技術で実績が無いことから、大 手企業がExcelerate Energyと長期契 約を締結してそのガスを購入すること は難しいと見られるが、同社は、スポッ ト取引で実績を上げて、長期契約の顧 客を確保していく方針である。 これまで見てきたように、北米には LNG受入基地の計画が乱立している 一方で、建設への反対運動の高まりも あって、既に中止に追い込まれた計画 も出てきている。当然、これまでに紹 介した計画すべてが実現することは不 可能であり、特に近接する競合計画が 先に実現してしまった場合には、たと え建設の承認を得ていても中止や凍結 に追い込まれるものも多く出現すると 思われる。 今回紹介したほとんどの計画は2010 年以前の完成を予定しているが、他 の 計 画 を リ ー ド し て い るCheniere Energyは、「2010年までに米国内で稼 働する新たな受入基地は、メキシコ湾
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まとめ
岸5基地、バハマ1基地、東海岸1基地、 西海岸1基地にとどまる」との厳しい 見方を示している。 特に、西海岸や東海岸の計画には反 対が強く、2010年までに多くの計画が 実現すると見通すことは難しい。一部 では、西海岸の基地出現によって日本 向けと一体となった太平洋市場が形成 され、日本向けLNG供給が価格変動 の大きい米国の影響を受けるようにな るとの指摘もあるが、そのような影響 は当面は限定的になると思われる。む しろ2010年時点では、米国西海岸より 中国のLNG基地建設計画のほうが進 展している可能性もあり、中国やス ポットによる調達量の変動が大きい韓 国の需要変動による影響のほうが大き いと思われる。 とはいえ、2010年以降を見通した中 長期的な視点に立つと、西海岸にも一 定規模の市場が形成されることから、 これと連動するように、供給地に新た な液化基地の建設や、既存基地の拡張、 また、本地域におけるLNGのスポッ トやスワップ取引が序々に拡大してい くものと思われる。 今回紹介した企業のほとんどは海外 企業であるが、日本は現時点で世界一 のLNG消費国であり、上流から下流 まで多くの事業に日本企業が関与して きており、安定的な供給を実現してき た。太平洋市場の成立は、さらなるビ ジネス拡大の機会と捉え、この地域に おけるLNG供給の安定化と日本企業 による新たな事業展開を期待して本稿 の結びとしたい。A
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引用文献⑴ 米国エネルギー省、"Annual Energy Outlook 2004"
⑵ California Energy Commission、"LNG Projects Status Report" ⑶ 米国エネルギー省、" US LNG Markets and Uses: June 2004 Update" ⑷ 米国エネルギー省、"The Natural Gas Industry and Markets in 2002"
⑸ Royal Dutch/Shellホームページ(プレスリリース、アニュアルレポート等以下同じ)、http://www.shell.com/ ⑹ ChevronTexacoホームページ、http://www.chevrontexaco.com/ ⑺ BPホームページ、http://www.bp.com/ ⑻ Woodside Energyホームページ、http://www.woodside.com.au/ ⑼ BHP Billitonホームページ、http://www.bhpbilliton.com/ ⑽ Sempra Energyホームページ、http://www.sempra.com/ ⑾ Repsol-YPFホームページ、http://www.repsolypf.com/ ⑿ 三菱商事ホームページ、http://www.mitsubishicorp.com/jp/ ⒀ 米国エネルギー省、"The Natural Gas Annual 2002"
⒁ Cheniere Energy ホームページ、http://www.cheniere.com/ ⒂ ExxonMobilホームページ、http://www.exxonmobil.com/ ⒃ ConocoPhillipsホームページ、http://www.conocophillips.com/ ⒄ BG Groupホームページ、http://www.bg-group.com/ ⒅ Totalホームページ、http://www.total.com/ ⒆ Statoilホームページ、http://www.statoil.com/ ⒇ Marathon Oilホームページ、http://www.marathon.com/ Petro-Canadaホームページ、http://www.petro-canada.ca/ Excelerate Energyホームページ、http://www.excelerateenergy.com/