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横選管指令第3号 平成29年9月4日 異議申出人 横浜市保土ケ谷区峰沢町88番地の74 長島 一由 横浜市選挙管理委員会 委員長 松 本 敏 決 定 書 上記異議申出人(以下「申出人」という。)が平成29年8月7日付けで提起した同 年7月30日執行の横浜市長選挙(以下「本件選挙」という。)に係る選挙の効力に関 する異議の申出(以下「本件異議申出」という。)について、次のとおり決定する。 主 文 本件異議申出を棄却する。 第1 異議申出の趣旨及び理由の要旨 1 異議申出の趣旨 申出人は、当委員会に対し、本件選挙を無効とする旨の決定を求め、本件異議 申出を行ったものである。 2 異議申出の理由の要旨 次の事実があったことから、本件選挙は無効とされるべきである。 (1) 横浜市職員による公営掲示場のポスターの毀損 (2) 投票所における二重投票の看過 (3) 投票者数が減となった数と同数の有効投票が破棄された疑いがあること。 (4) 全ての家庭に配布されるべき選挙公報の未達(5) 組織的な選挙妨害が行われた疑いがあること。 第2 決定の理由 1 本件異議申出の要件 本件異議申出についてその要件を確認した結果、適法なものと認められた。 2 選挙無効の判断基準について およそ選挙の効力に関する争訟においてその選挙が無効とされるのは、公職選 挙法(昭和25年法律第100号。以下「法」という。)第205条第1項の規定により、 「選挙の規定に違反」して選挙が行われ、かつ、その規定違反によって「選挙の 結果に異動を及ぼす虞がある場合」に限られる。 この「選挙の規定に違反」してとは、「主として、選挙管理の任にある機関が 選挙の管理執行の手続に関する明文の規定に違反することがあるとき又は直接 かような明文の規定は存在しないが選挙法の基本理念たる選挙の自由公正の原 則が著しく阻害されるときを指すものと解するを相当とする。(昭和27年12月4 日最高裁判所第一小法廷判決)」とされている。 また、「選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合」とは、「その違反がなかつた ならば、選挙の結果、すなわち候補者の当落に、現実に生じたところと異つた結 果の生ずる可能性のある場合をいうものと解すべきである。(昭和29年9月24日 最高裁判所第二小法廷判決)」とされている。 これらの規定に基づき、申出人の主張を検討する。 3 当委員会による事実認定及び判断 (1) 横浜市職員による公営掲示場のポスターの毀損について ア 泉区における事実認定 当委員会が確認した事実は以下のとおりである。 7月30日(日)午前6時40分頃 第15投票所(横浜市立中和田小学校) 投票所事務主任(泉区総務部課長補佐(50代男性))が、投票所開所前点 検として、投票所の事務に従事していた職員(土木事務所職員(20代男性)) に対し違法ポスターの確認及び撤去を指示したところ、同職員は、選挙関 連事務についての知識、経験に乏しかったため、当該投票所付近のすべて
のポスターの撤去を指示されたものと誤解し、当該投票所付近にあった1 か所の公営ポスター掲示場に掲示されていた3候補者全てのポスターを 撤去してしまったものである。 イ 緑区における事実認定 当委員会が確認した事実は以下のとおりである。 7月30日(日)午前6時40分頃 第23投票所(横浜市立霧が丘義務教育学校) 投票所事務主任である緑区総務部係長(30代男性)が投票所開所前点検 として、投票所の事務に従事していた職員である地域振興課職員(20代女 性)に対し、違法ポスターの確認及び撤去を指示したところ、同職員は、 選挙関連事務の知識、経験に乏しかったため、選挙運動は投票日前日で終 了したから公営ポスター掲示場のポスターも投票日当日は撤去すべきも のと誤解し、当該投票所付近にあった1か所の公営ポスター掲示場に掲示 されていた3市長選挙候補者及び2市議会議員補欠選挙候補者全てのポ スターを撤去してしまったものである。 ウ 当委員会における判断 投票所の職員が候補者の選挙運動用ポスターを誤って撤去してしまった ことは、その原因が選挙事務経験の少なさ等にあり、選挙運動を妨害しよう という意図に基づくものでないとはいえ、看過できるものではない。 当該行為により、法143条第6項により候補者が選挙の当日において適法 に行うことができる選挙運動の機会を損失しており、当該選挙の管理執行の 手続に関する規定違反がなかったと言うことはできない。 しかしながら、上記の各区におけるポスターの不適切な撤去は、①泉区の 事例では、泉区内にあった公営ポスター掲示場207か所のうち1か所(当該 投票所管内の8か所のうち1か所)であり、緑区の事例では、緑区内にあっ た公営ポスター掲示場193か所のうち1か所(当該投票所管内の7か所のう ち1か所)であること、②撤去された時間は、それぞれ投票日の当日の早朝 から当日のみであること、③撤去されたポスターは、全候補者のものであり、 特定の候補者ではなかったこと、④横浜市長選挙における林候補の得票数が
598,115票であり、長島候補の得票が269,897票であることに照らすと、上記 の各区におけるポスターの不適切な撤去が選挙の結果に異動を及ぼしたと は想定しがたいと言わざるを得ない。 (2) 投票所における二重投票の看過 ア 事実認定 当委員会が確認した事実は以下のとおりである。 当該選挙人は、7月26日(水)午後1時51分に、臨時期日前投票所(長津田 消防出張所)で、「請求書兼宣誓書」を提出し、横浜市長選挙及び横浜市議 会議員補欠選挙の投票用紙の交付を受け1回目の投票を行った。 そして、7月30日(日)午後2時40分頃に、第15投票所(横浜市立田奈中学 校)に、「投票のご案内」を持って再度投票のため来場し、その際、名簿照 合係に従事する民間従事者(70代男性)が「投票のご案内」のバーコードを 読み取ったところ、受付用パソコンの画面に既に全選挙の投票が行われてい るとの警告メッセージが出たが、当該民間従事者は、警告メッセージをパソ コンそのものが発したエラーメッセージと誤解し、投票に関係があるものと 考えなかったために警告を見落としてしまい、本来であれば投票済みか否か を確認するために当該選挙人をその場に留めて区役所職員に引き継ぐべき であったが、そうしなかったため、2回目の投票が行われたものである。 イ 当委員会における判断 今回の緑区当該投票所における事務従事者は、警告メッセージを見逃して しまったという過失により、二重投票をさせてしまったという問題があり、 不適切と言わざるを得ず、当該選挙の管理執行の手続に関する規定違反がな かったと言うことはできない。 しかしながら、これによって影響を受ける票数は1票であり、当選者と次 点者の得票差が328,218票であることに照らすと、上記の不適切な二重投票 が選挙の結果に異動を及ぼしたとは想定しがたいと言わざるを得ない。 (3) 投票者数が減となった数と同数の有効投票が破棄された疑いがあること
ア 旭区における投票者数減についての事実認定 当委員会が確認した事実は以下のとおりである。 旭区では、投票者総数を算出する際に、本部職員(20代女性)が投票録を 読み上げながら集計用の表計算ソフトに入力し、区選管書記(20代女性)が 聞き取ったものを別の集計用の表計算ソフトに入力していたが、第4投票区 の投票者数(376人)を読み上げる際、誤って有権者数(1,656人)を読み上 げてしまったため、本来の数値より1,280人多く積算され、誤った投票者数 (79,014人)を報告してしまった。 その後、開票事務の進行に伴い、実際の票数と前述の投票者総数に1,280 票の差が生じていることに気づき、全投票区の投票者数を見直したところ第 4投票区の数値の誤りが判明したため、正しい投票者数(77,734人)に修正 して23時7分に再確定したものである。 イ 青葉区における投票者数減についての事実認定 当委員会が確認した事実は以下のとおりである。 青葉区では、投票所から開票所への投票箱等の引継ぎについて、投票所の 事務主任が「投票録」、「投票者数調」及び「未使用の投票用紙(以下「残票」 という。)」を開票所の職員へ渡し、開票所の職員は「投票録」及び「投票者 数調」の審査に2名、「残票」の計数に1名の1組3名体制で確認を行うこ ととなっていた。 当該投票所の引継ぎの際に、残票の計数を担当した職員は、残票集計表の 余白に束単位の数をメモしていたが、誤って所定欄に記載する際に100票束 3つ分のメモを見落とし、合計数を300票少なく記載してしまった。 そのため、投票録係は投票者数を誤って300人多くなった数字に修正して しまった。 その後、開票作業が進む中で、投票者数と得票総数が合致しないことが見 込まれたため、再度、各投票所の「投票者数調」を確認したところ、差分と 同数の投票者数及び残票数の修正を行っている投票所を発見した。 そこで、当該投票所の残票を数え直したところ、「残票集計表」の残票枚 数が実際より300枚少なく記載され、それに基づいて「投票者数調」の投票
者数を修正していたことが判明したため、正しい残票の枚数により投票者数 を修正し、24時11分に再確定を行った。 ウ 当委員会における判断 ア、イ、いずれの事案も、上記のとおり単純ミスに基づくものであり、最 終的には修正されたものである。 申出人は、投票者数が減となった数と同数の有効投票が破棄された疑いが あると主張しているが、これを認めるに足りる証拠はなく、これらについて 当該選挙の管理執行の手続に関する規定違反はなかったものと判断する。 (4) 全ての家庭に配布されるべき選挙公報の未達 ア 事実認定 申出人は、選挙公報が一部地域で配られていない旨を主張するが、そのこ とを裏付ける証拠類はなんら提出されておらず、そのような事実は認められ ない。 なお、選挙においては、選挙公報を全戸配布するべく業務委託を発注して おり、本件選挙に関しても配布完了の報告を受けている。配布されていない 等の問題があれば、直ちに配布するようにしているほか、各投票所、区役所、 地区センターなどにも備え置き、またインターネット上にも選挙公報を公開 し、選挙人の便宜を図っているところである。 イ 当委員会における判断 以上により、当該選挙の管理執行の手続に関する規定違反はなかったもの と判断する。 (5) 組織的な選挙妨害が行われた疑いがあること 申出人は、組織的な選挙妨害が行われた疑いがある旨を主張するが、そのこ とを裏付ける証拠類はなんら提出されておらず、そのような事実は認められな い。 既に認定したとおり、本件選挙の執行に当たってはいくつかのミスはあった が、これらは経験不足等から発生したものであり、組織的な妨害といえるもの ではないと判断できる。
以上のとおりであるので、法第216条第1項において準用する行政不服審査法第45 条第2項の規定に基づき、主文のとおり決定する。 教 示 この決定に不服のある者は、この決定書の交付を受けた日又は法第215条の規定に よる告示の日から21日以内に、文書で神奈川県選挙管理委員会に審査を申し立てるこ とができます。