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今 回 のポイント 自 社 で 通 信 インフラを 保 有 せず 複 数 の 他 社 からインフラを 借 受 け Wi-Fi WiMAX などワイヤレス ブロードバ ンドサービスを 提 供 する 利 用 可 能 なエリアは 全 国 で 3 万 か 所 と 日 本 最 大 会 員 数 は 35 万 人

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Bridge Report

ワイヤレスゲート(9419)

- 株式情報 - 株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位 3,890 円 2,440,900 株 9,495 百万円 37.5% 100 株 DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実) 80.00 円 2.1% 189.84 円 20.5 倍 628.47 円 6.2 倍 *株価は 2/ 15 終値。発行済株式数は直近決算短信の発行済株式数から自己株式を控除後。ROE、BPS は前期末実績。 - 連結業績推移 - (単位:百万円、円) 決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期利益 EPS DPS 2010 年 12 月(実) 1,154 115 113 177 9,094.65 0.00 2011 年 12 月(実) 3,440 386 386 279 13,545.90 0.00 2012 年 12 月(実) 5,500 597 575 423 190.48 0.00 2013 年 12 月(予) 7,017 800 800 463 189.84 80.00 *予想は会社予想。2012 年 12 月期より連結。 東証マザーズに株式を上場する(株)ワイヤレスゲートの会社紹介、2012 年 12 月期決算について、ブリッジレポート にてご紹介致します。 ―目次― 1. 会社概要 2. 特徴と強み 3. 2012 年 12 月期決算概要 4. 2013 年 12 月期業績見通し 5. 今後の注目点 池田 武弘 CEO 会社名 株式会社ワイヤレスゲート 証券コード 9419 市場 東証マザーズ 業種 情報・通信 代表取締役 CEO 池田 武弘 所在地 東京都品川区東品川 2-2-20 天王洲郵船ビル 事業内容 他社のインフラ借りる公衆無線LANサービスで業界首位。提携するヨドバシ カメラの販売力が強み 決算月 12 月 HP http://www.wirelessgate.co.jp/

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今回のポイント

1.会社概要

自社で通信インフラを保有せず、複数の他社からインフラを借受け、Wi-Fi、WiMAX などワイヤレス・ブロードバンドサ ービスを提供するアグリゲーター。利用可能なエリアは全国で 3 万か所と日本最大。月額有料会員数は 35 万人を突 破しシェア No.1。ヨドバシカメラの強力な販売チャネル、低い固定費率による安定した収益基盤などが強み。

【沿革】

工学博士号を持つ池田 CEO は、エヌ・ティ・ティ・移動通信網(現 NTT ドコモ)在籍時の 2001 年より 2 年間、スタンフ ォード大学客員研究員としてアメリカへ留学。当時の日本はモバイルネットワークと言えば携帯電話が殆どであった のに対し、米国では無線 LAN 等を使用した高速・大容量のデータ通信が普及し始めており、今後日本でもこうした通 信環境に対する需要が高まることを予測した池田氏は、帰国後の 2004 年 1 月に同社の前身である(株)トリプレットゲ ートを創業し、自前で通信設備を持つことはコスト負担も大きく困難と判断し、当初からアグリゲーターと呼ばれるス タイルによるビジネスをスタートさせた。 <アグリゲーターとは?> 自らはアクセスポイント等の設備を設置せずに、各アクセスポイントを設置している複数の事業者からインフラを借り 受けて無線 LAN サービスを 1 つの認証で提供する事業者または事業形態の名称。 しかし、2005~2006 年の日本においては、「無線 LAN」といってもまだまだサービスエリアも少なく、誰もが容易に使 用するような環境ではなく創業後しばらくは低空飛行が続く。 この状況を脱し、同社が大きく成長することになるきっかけが 2 つあった。

一つは有力な「デバイス」の登場、2007 年 9 月 5 日の Apple「iPod touch」の発売開始だ。従来の iPod でできた音楽 や動画の再生のみならず、無線 LAN を通じて内蔵の iTunes で iPod touch 単独で楽曲の購入が可能となったほか、 ウェブサイトの閲覧をはじめとするインターネット端末の役割を持ち、加えて App Store からダウンロードしたゲーム などアプリケーションの実行機能も搭載されている「iPod touch」は、無線 LAN 無しにはその魅力を十分に享受するこ とができないものだった。 そしてもう一つのきっかけが、ヨドバシカメラにおけるサービス取扱いの開始だ。 自社サービスの普及、認知度向上のために、同社の無線 LAN サービスが使える空港などで様々なイベントを打って みるものの思ったようなレスポンスを得ることができない中で、「デバイスを既に持っている人ではなくこれから買う人 に訴求することが利用者拡大の最短距離」と考えた池田 CEO は、家電量販店の中でも、集客力の高さはもちろんの 事、インターネット・モバイル端末の販売力に定評があり、店員の商品知識の豊富さや商品説明力の高さを評価され ・自社で通信インフラを保有せず、複数の他社からインフラを借受け、Wi-Fi、WiMAX などワイヤレス・ブロードバ ンドサービスを提供する。利用可能なエリアは全国で 3 万か所と日本最大。会員数は 35 万人を突破しシェア No.1。ヨドバシカメラの強力な販売チャネル、低い固定費率による安定した収益基盤などが強み。 ・12/12 期は、サービスエリアが年初の 1 万か所から 3 万か所に急拡大し、月額有料会員数も 35 万人突破と順 調に増加し、売上、利益ともに過去最高を更新した。 13/12 期も、引き続き良好な事業環境の下、販売チャネルの強化、サービス内容の強化に取り組み、増収・増 益、売上高、利益ともにピーク更新を見込む。80 円/株の配当を開始する予定。(配当性向 41.2%) ・当面は良好な事業環境の下、フォローの風が予想される。中長期的には、ヨドバシカメラに次ぐ有力な販売ル ートの開拓、コスト構造の変革による利益率向上の取組みを注視していきたい。

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に合わせて同社のワイヤレス・ブロードバンドサービスも販売する事を提案したところ、ほぼその場で取扱いが決定。 提案した数か月後の、2007 年のクリスマスには秋葉原店で取扱いがスタートするという異例のスピードだった。 ヨドバシカメラという強力な販売窓口を得た同社のサービスは、サービスエリアの着実な拡大の中、低額でワイヤレ ス・ブロードバンドが利用できる利便性が評価され、利用者が急増。2012 年には東証マザーズに上場。 利用者のニーズに対応し、WiMAX サービス、LTE サービスもラインナップに加えると共に、販売窓口の多様化による 利用者拡大の施策も進めている。 2004 年 1 月 ワイヤレス通信サービスの提供を目的として(株)トリプレットゲートを東京都品川区に設立 2004 年 10 月 公衆無線 LAN サービス「ワイヤレスゲート・サービス」の提供を開始 2005 年 10 月 「ワイヤレス・プラットフォームサービス」の提供開始 2007 年 12 月 ヨドバシカメラが「ワイヤレスゲート・サービス」の販売取り扱いを開始 2009 年 3 月 東海道新幹線車内での「ワイヤレスゲート・サービス」の提供開始 2009 年 7 月 次世代・高速モバイル通信「ワイマックス・サービス」の提供開始 2010 年 11 月 「ワイヤレスゲート・サービス」が NTT コミュニケーションズ(株)のホットスポットサービスに対応 2010 年 12 月 Android OS 向け接続ソフトウェア「WG Connect for Android」を提供開始

2011 年 3 月 商号を(株)ワイヤレスゲートへ変更 2012 年 7 月 東京証券取引所マザーズ市場に上場 2012 年 12 月 住友商事(株)系列の携帯電話販売代理店が「ワイヤレスゲート・サービス」の取り扱いを開始 NTT ドコモ Xi(クロッシィ)対応の「LTE サービス」を開始 2013 年 2 月 「ワイヤレスゲート Wi-Fi」のサービスエリアが約 3 万か所に

【経営理念】

理念として、「ワイヤレス・ブロードバンドサービスを通じて、より創造性あふれる社会の実現を目指す。」を掲げ、簡 単で使い易く、なおかつ安価に高速ワイヤレス通信サービス利用環境を提供することを目指している。

【市場環境】

2012 年 10 月発表された ICT 総研による「公衆無線 LAN サービス利用者予測調査」によると概要は以下の通り。 ◎2012 年度末の公衆無線 LAN 利用者は前年比 1.6 倍の 1,274 万人へ 公衆無線 LAN サービスの 2011 年度末(2012 年 3 月末)利用者数は 808 万人、そのうち個人利用者は 675 万人、ビ ジネス利用者は 133 万人であった。2012 年度末には 58%増の 1,274 万人に急拡大する見通しで、個人利用者だけ で 1,000 万人を突破する勢いだ。 今後も利用者数は毎年 400 万人以上のペースで伸び続け、2015 年度には 2011 年度の 3 倍にあたる 2,568 万人拡 大すると予想している。

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◎無線 LAN 対応のモバイル情報端末は 2015 年度に 4,954 万台へ Wi-Fi 通信機能が標準装備されたモバイル情報端末は、年々増加し続けている。2011 年度に出荷台数 3,722 万台だ った無線 LAN 対応モバイル情報端末は、2012 年度に 4,000 万台を突破予定。今後もスマートフォンとタブレット端末 の増加とともに Wi-Fi 対応端末は増え続け、2015 年度には 4,954 万台に達する見通しだ。これらの機器増加に対応 するため当面は Wi-Fi スポットのサービスエリアが拡充され、それとともに公衆無線サービスの利用者が急増するこ とが確実である。 このように、デバイスの普及、アクセスポイントの増大等を背景に、公衆無線 LAN 利用者数は急速に増加すると見込 まれており、同社を取り巻く市場環境は極めて良好だ。

【事業内容】

同社の事業内容の説明の前に、無線ブロードバンドサービスについて、その種類、概要、特徴などについて簡単に 触れておく。 <Wi-Fi とは?> 無線通信規格の一種で、無線 LAN でインターネットに接続すること。 <WiMAX とは?> これも無線通信規格の一種で、Wi-Fi よりも広いエリアで、高速通信が可能。日本では KDDI の子会社である UQ コ ミュニケーションズにより WiMAX サービスが提供されているほか、UQ コミュニケーションズから同社を含めた数社の MVNO(Mobile Virtual Network Operator=仮想移動体通信事業者)がインフラ部分を借受けて提供している。 <LTE ( Long Term Evolution ) とは?>

第 3 世代(3G)携帯電話のデータ通信を高速化した新たな携帯電話の通信規格で、理論上は3G の 10 倍以上の速度 も可能。 同社では、無線ブロードバンドサービスの評価は「速度、エリア、コスト、デバイス」という 4 要素で決まると考えている が、上記 3 種類の通信サービスには以下のようにそれぞれ長所・短所がある。 スピード エリア コスト デバイス Wi-Fi ◎ × ◎ ◎ WiMAX ○ ○ △ × LTE(+3G) ○ ◎ × ×

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そのため、一つの通信技術のみではユーザーのニーズに合ったサービスの提供は難しく、また時代の流れや技術 の進歩と共に登場することが予想される新たな通信技術にスピーディーに対応することも難しい。 そこで、同社はアグリゲーターとして複数の通信キャリアからインフラを借受け、統合して、利便性の高い「一つのサ ービス」としてユーザーに提供するという形態を選択した。 主に 2 つのサービスを展開している。 一つは、同社のプラットフォームで高速ワイヤレス通信サービスを提供する「ワイヤレス・ブロードバンドサービス」。 もう一つは同社のワイヤレス・ブロードバンドサービスの基盤プラットフォームである、ID・パスワードの認証プラットフ ォームと課金プラットフォームを活用した付加価値提供事業である「ワイヤレス・プラットフォームサービス」。 2012 年 12 月期の売上高は「ワイヤレス・ブロードバンドサービス」が 5,489 百万円、「ワイヤレス・プラットフォームサ ービス」が 9 百万円と、「ワイヤレス・ブロードバンドサービス」がほぼ 100%という売上構成となっている。 <同社のビジネスモデルイメージ> (同社資料より) 1.「ワイヤレス・ブロードバンドサービス」 複数の公衆無線 LAN 事業者から仕入れた Wi-Fi スポットを、同社のプラットフォーム上で統合的にユーザーに提供 する「ワイヤレスゲート・サービス」と、UQ コミュニケーションズから借り受けた WiMAX「ワイヤレスゲート・サービス」 に、その他の通信事業者等から仕入れた通信回線と公衆無線 LAN を組み合わせた高速通信サービスである「ワイ マックス・サービス」を提供している。 (1)ワイヤレスゲート・サービス 東海道新幹線車内や主な鉄道・地下鉄の駅ホームやコンコース、空港、大手カフェチェーンや大手ファストフードチェ ーンの各店舗内などで、無線 LAN を利用した高速インターネット接続サービス「ワイヤレスゲート」を提供している。 2013 年 1 月現在でサービスエリアは全国 3 万ヶ所以上と、国内最大級のサービス提供者。 昨今のスマートフォン利用者の急激な増加により、既存のスマートフォン通信回線では、十分な通信スピードの確保 が難しくなっている一方、Wi-Fi による公衆無線 LAN サービスは、最大 54Mbps の高速通信が可能となっており、スマ ートフォンユーザーに、携帯電話の3G 回線よりも高速で快適な通信環境を提供している。 中心サービスの「月額継続会員プラン」は月額 380 円(税込)で全国約 3 万か所の Wi-Fi スポットを利用できる。

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(2)ワイマックス・サービス

「ワイヤレスゲート・サービス」に、UQ コミュニケーションズから借り受けたインフラを使用した「WiMAX」を組み合わせ たもの。北海道から沖縄まで全国主要都市を中心に高速データ通信サービスを提供している。利用者は、ノートパソ コンやその他のインターネット端末にて、自宅、外出先や移動中などワイマックスによる高速なインターネット通信が 可能.。WiMAX は Wi-Fi よりも速度は劣るがサービスエリアが広域で、UQ コミュニケーションズによれば WiMAX のサ ービスエリアは全国主要都市(東京 23 区・政令指定都市・47 都道府県の県庁所在地)の 99%カバーし、全国市区町 村の役場所在地での調査では、約 94%をカバーしているということだ。 中心サービスは「年間パスポート:月額 3,880 円(税込)」となっている。WIMAX サービスは約款により、UQ コミュニケ ーションズは借受けを希望する全ての MVNO に対し同条件での貸し出しをしなければいけないこととなっているため、 料金による差別化は図れないが、同社の場合は Wi-Fi 利用の「ワイヤレスゲート・サービス」が組み合わされている ため、WiMAX の速度に不満な場合でも Wi―Fi が利用できる点がユーザーに評価されているという事だ。 (3)ワイヤレスゲート Wi-Fi + LTE NTT コミュニケーションズ(株)から設備提供を受け、NTT ドコモの「Xi」(クロッシィ)エリアで次世代通信規格 LTE によ る高速データ通信が可能なサービスの提供を 2012 年 12 月から開始した。 これも「ワイマックス・サービス」同様、ワイヤレスゲート Wi-Fi も利用可能。 人口カバー率 90%の NTT ドコモ Xi(クロッシィ)対応エリア以外に移動した場合でも、自動的に人口カバー率 100% の FOMA(3G)に切り替わる。 利用料金は「ワイヤレスゲート LTE2 年フラット:月額 3,980 円」。 2.「ワイヤレス・プラットフォームサービス」 同社のワイヤレス・ブロードバンドサービスの基盤プラットフォーム「公衆無線 LAN サービスの ID・パスワード認証及 び課金システム」を、法人向けに提供している。

2.強みと特徴

①強固なポジショニング 特徴であり且つ大きな強みはアグリゲーターであるという点だ。 前述のように、同社は様々な通信事業者から様々な通信技術の仕入が可能なため、ユーザーのニーズに合ったサ ービスの提供が可能であり、今後も時代の流れや技術の進歩と共に登場することが予想される新たな通信技術にス ピーディーに対応することができる。 また、日本の無線 LAN 黎明期より同マーケットの成長に携わり、ヨドバシカメラという強力なパートナーとの連携の下、 会員数を急速に増大させることができた。2011 年 3 月末における公衆無線 LAN サービスの契約数は日本全国で 244 万件。その内当社は有料サービスではシェア 11.1%でトップとなっている。 認知度の向上による効率的な顧客獲得、マーケットシェア 1 位というスケールメリットの享受(好条件での仕入)、上 場に伴う信用力の向上とそれに伴うビジネス機会の増大などといった先行者利益も大きく、参入障壁を構築すること ができたと会社側は考えている。 ②強固で安定した販売パートナー これも前述のように、家電量販店の中でも優れた販売ノウハウを持つヨドバシカメラと共に、通信端末(ハード)とサ ービスを組み合わせる販売手法を構築することができており、今後も新しいデバイスの登場と共に着実な会員数増 加を見込んでいる。 また、住友商事と提携し新たに強力な販売代理店を獲得することもできた。 ③安定した収益構造

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一方、顧客単価は、「ワイヤレスゲート Wi-Fi 月額 380 円」が他社との競争でこの水準からさらに低下するという状況 は現時点では考えにくい一方、WiMAX や LTE の利用会員の拡大などで上昇することは十分想定できる。 また、コストを見てみると、通信回線使用料(2011 年 12 月期 2,093 百万円、対売上高比 60.8%)およびヨドバシカメラ 向けを主とする支払手数料(同 659 百万円、19.2%)は売上(=会員数増加)に連動した変動費であり、両費用の合 計額は売上原価と販管費合計 3,054 百万円の約 9 割にあたり、コストの大半は変動費となっている。 同時に、通信インフラを持たないこと、役職員数 20 名弱と少数であることなどから固定費率は低く、今後も大幅に固 定を増加させることは計画していない様であり、何らかの事情で短期間に会員数が激減するといったことが無い限り、 安定して継続的に利益を計上することができる収益構造となっている。 無線 LAN がまだ馴染の薄い時期に、誰でも簡単に無線 LAN への接続が設定できる「簡単接続アプリ」を初めて導入 したのも同社という事であり、サービスの提供側でありながら、アグリゲーターとしてユーザーの目線を常に意識して いる点もユーザーの支持拡大に繋がっていると言えるだろう。

3.2012 年 12 月期決算概要

(1)連結業績(累計) (単位:百万円) 2011/12 期 構成比 2012/12 期 構成比 前期比 期初計画比 売上高 3,440 100.0% 5,500 100.0% +59.9% -1.5% 売上総利益 1,269 36.9% 1,802 32.8% +42.0% - 販管費 882 25.7% 1,205 21.9% +36.6% - 営業利益 386 11.2% 597 10.9% +54.5% +7.0% 経常利益 386 11.2% 575 10.5% +49.0% +4.9% 当期純利益 279 8.1% 423 7.7% +51.7% +2.7% *2011 年 12 月期は個別。2012 年 12 月期は連結。 月額有料会員数が順調に増加し、売上、利益ともに過去最高を更新。 売上高は前期比 +59.9%増の 550 億円。WiMAX の無料キャンペーンを実施したため、期初計画には若干届かなか ったものの、月額有料会員数は計画通り順調に増加し、大幅な増収となった。 利益面も、固定費の目立った増加もなかったことで前期比約 5 割の増益となり、売上、利益ともに過去最高を更新し た。 <主なトピックスや取組み> 同社では、「サービス(インフラ)」と「営業」を車の両輪として双方をバランスよく稼働させることが成長に繋がると考 えているが、両輪を共に強化できた 1 年だったと自己評価している。 ・7 月 19 日に東証マザーズに上場した。認知度、信用度が向上したことで会員獲得のためのマーケティング活動がよ り容易になったことに加え、販売代理店候補からのオファーも増加しており、上場によって事業環境はより良好なも のとなっている。 ・KDDI の子会社である(株)ワイヤ・アンド・ワイヤレスとの協業により、「ワイヤレスゲート」で使用できる Wi-Fi スポッ トが全国 1 万か所から 2 万か所へ倍増した。(2012 年 12 月 4 日より) なお、2013 年 2 月 12 日からは株式会社ケイ・オプティコムとの協業により更に約 1 万か所が加わり、Wi-Fi スポット は全国で約 3 万か所となった。

・NTT コミュニケーションズから設備提供を受け、NTT ドコモの次世代通信規格 LTE(Long Term Evolution)による高 速データ通信が可能なサービス「ワイヤレスゲート Wi-Fi + LTE」の提供を 2012 年 12 月 10 日から開始した。 ただ現状は速度制限がある中、今後のサービス向上や市場動向を確認しながら取り組み方を検討しており、早期の 売上寄与は期待していない。

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・今後の中心サービスと位置付けている「WiMAX」に関しては、2013 年後半に新技術規格である「WiMAX2」が開始さ れるとも期待されているため、継続的に会員数拡大に注力していく。 ・ヨドバシカメラとの取り組みにおいては、店頭での積極的なキャンペーンの実施など継続して強化している。年後半 は Google「Nexus」、Apple「iPad」などタブレットの販売増に比例して加入者も増加している。 ・2012 年 12 月に住友商事と販売代理の業務提携契約を締結した。住友商事が筆頭株主の 1 社である携帯電話販売 会社ティーガイア(東証 1 部、3738)の店舗での取り扱いが開始された。まずは一部店舗で実際の取扱い方法確立に 向けたトライアル中で、今期の売上計画には入れていない。 (2)財務状態及びキャッシュ・フロー ◎財政状態 (単位:百万円) 11 年 12 月末 12 年 12 月末 11 年 12 月末 12 年 12 月末 流動資産 1,313 2,182 流動負債 667 952 現預金 750 1,630 買掛金 500 736 売掛金 393 525 未払金 119 146 固定資産 81 309 固定負債 3 5 有形固定資産 70 69 株主資本 722 1,534 無形固定資産 5 11 資本金 616 810 投資その他の資産 5 238 資本剰余金 555 749 資産合計 1,394 2,492 利益剰余金 -449 -25 負債純資産合計 1,394 2,492 *2011 年 12 月期は個別。2012 年 12 月期は連結。 現預金および投資その他の資産の増加により資産は約 11 億円増加。 自己資本比率は前期末の 51.8%から 61.6%へ上昇した。 ◎キャッシュ・フロー (単位:百万円) 2012 年 12 月期 営業 CF 735 投資 CF -238 フリーCF 497 財務 CF 381 現金同等物残高 1,630 *2012 年 12 月期より連結決算となったため、前期との比較はない。

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4.2013 年 12 月期通期業績見通し

(1)通期業績予想 2012/12 期 構成比 2013/12 期 予想 構成比 前年同期比 売上高 5,500 100.0% 7,017 100.0% +27.6% 営業利益 597 10.9% 800 11.4% +34.1% 経常利益 575 10.5% 800 11.4% +39.0% 当期純利益 423 7.7% 463 6.6% +9.4% 売上、利益ともに今期も過去最高を更新へ。 同社の KPI(キー・パフォーマンス・インディケーター)である月額有料会員数は今期も順調な増加を見込んでいる。 従来通り、ヨドバシカメラによる販売と自社サイト経由が中心で、昨年 12 月に提携した住友商事については、現在の ところ、今期の数字には含めていない。ただ、期中に上積みとなることを期待はしている、 ・スタッフの増強などによる固定費の大幅な増加は想定していない。引き続きローコストオペレーションを行っていく。 ・営業利益、経常利益に比べ当期純利益の前期比増加率が低いのは、累損解消で法人税率が通常レベルとなり法 人税等の支払いが増加するため。 <販売チャネル強化の取組み> 現在の主力であるヨドバシカメラを通じた販売の拡大に引き続き取り組むのに加え、販売チャネルの多様化にも積極 的に取り組む。 前述の住友商事に加え、他の携帯電話販売会社などとも交渉を行っている。 また、今年も新しいデバイスの登場が予想されるため、それに対応した効果的な販促キャンペーンを実施するなど、 的確にデバイス動向に対応していく。 <サービス内容への取組み> 年後半に登場が予想されている「WiMAX2」を始め、離陸最中の LTE など次世代通信規格に対し、顧客ニーズの検 証を行いつつ、適宜対応していく。 前期は Wi-Fi スポットを 1 万か所から 3 万か所へと急増させたが、今期も様々な事業者との提携によりエリアの拡充・ 拡大を図る。 また、中期的な取り組みとはなるが、収益源の多様化を図るため、子会社を中心としたオンラインサービス事業の展 開を検討していく。 なお、前期まで無配だった同社だが、2013 年 12 月期に初めて期末配当 80 円/株を実施する予定だ。配当性向は 42.1%となる。 株主に対する早期の還元実施を経営目標としてきたが、利益の蓄積が進み、累損も解消したため、配当を実施する こととした。 東証マザーズ上場でありながらも、安定成長を継続しながらも高配当を実施することができる企業であるという事を メッセージとして投資家に伝えたいと考えている。 ただ、目標配当性向を明示してはいない。内部留保と配当のバランスを勘案しながら、80 円/株を最低水準として安 定的に配当を実施していく計画だ。

5.成長戦略

ワイヤレス・ブロードバンドのアグリゲーターとして成長してきた同社だが、中長期的には「ワイヤレス・ブロードバン ド」に加え「コンテンツ」のアグリゲート機能も併せ持つことを志向している。 また、当然のことながら時代に合わせた新たな通信サービスを取り込んでいく。

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そのために以下の 3 点に力を入れていく考えだ。 1.会員数の増加 スマートフォン利用者の増加に対応し、今回の住友商事の様に携帯電話販売業者との連携などで販路を拡大し、新 規会員の獲得を増加させる。 加えて、市場ニーズに合わせたサービスの投入も、車の両輪として不可欠であると認識している。 2.収益源の拡大 コンテンツのアグリゲーター機能も有するようになるため、SNS アプリケーション・サービスの展開を検討している。 同社の大きな強みの一つとして、「セグメントされた 35 万人の会員を保有している。」という点がある。 この会員層を活用して、マーケティングを支援しようというものだ。 具体的には、現在の接続アプリケーションを活用し、サービスエリア検索時に近辺の飲食店やイベント情報などの広 告を配信したり、接続するデバイスごとにお勧めのアプリやサービスを紹介するなどするもの。 2012 年 11 月に設立した 2 つの子会社、無線通信サービスに関する研究開発を手掛ける「ワイヤレステクノロジー・ ラボ」、オンラインサービスの提供を目的とする「ワイヤレスマーケティング・ラボ」が中心となり、2013 年中より本格稼 働させる予定だ。 3.次世代通信規格(LTE 等)への対応 LTE を始めとして、次々に現れてくることが予想される新しい通信規格にも、適宜投資を行って対応していく考えだ。

6.今後の注目点

大幅な増収・増益だった前期に引き続き、今期も好調な業績を予想している。 市場環境でも触れたように、公衆無線 LAN 市場を取り巻く環境は極めて良好であり、シェアトップの同社にとっては 当面フォローの風が吹くことになりそうだ。 そうした環境下、池田 CEO は主として以下の 2 点に力を入れていく考えだ。 一つは有力な販売ルートの開拓。ヨドバシカメラが強固な販売チャネルであることは確かだが、上場時の目論見書に よると、2012 年 12 月期1Q の新規サービス加入者における、ヨドバシカメラ経由の構成比は 85.5%となっている。 累積会員数が 35 万人を突破したため、新規会員獲得におけるヨドバシカメラへの依存度の高さによる影響は逓減し ていくことにはなるが、今後さらに会員数を拡大させるためにも住友商事に次ぐ第 2、第 3 の有力販売ルートの開拓 が必要と考えている。「新しく主役となるデバイスがどこで売れるのか?」を開拓先選択のカギとし、CEO 自らのトップ 外交で進めていくという事だ。 もう一つはコスト構造改善への取組みだ。低い固定費率により安定した収益基盤を有する同社だが、一方でそれは トップラインが伸び悩むと利益成長の鈍化に直結するということでもある。 暫くはリスクを徹底的に抑えた形で進めていくが、現状のままでは利益率を上げられないという事は認識しており、 ある規模を超えた段階では、バランスを考えながら一定のリスクをとりつつ利益率を向上させるための施策に取り組 んでいく。 短期的には会員数の増加動向を、中長期的に上記2 つの施策に対する取り組みを注視していきたい。 本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び 見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源か ら入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当 性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッ ジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなさ れますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2013 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

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