⾼齢社会の現状と市⺠後⾒⼈の役割
牧野 篤 (東京⼤学⼤学院教育学研究科) ちいさなことからはじめる みんなが主役のまちづくり 【1日目:2限目】市⺠後⾒⼈による新しい社会づくり ↑ 市⺠後⾒⽂化の普及 ↑ 市⺠後⾒⼈ ↑ 地域コミュニティ後⾒実装プロジェクト ↑ コミュニティ意思決定⽀援プロジェクト
成年後⾒「3つの基本理念」
*⾃⼰決定の尊重
*残存能⼒の活⽤
今年⼩学校6年⽣の予測平均寿命=107歳
⽇本⼈の平均寿命=男性︓81歳
⼥性︓87歳
死亡最頻年齢=男性︓87歳
⼥性93歳
少⼦⾼齢⼈⼝減少社会「悲観論」
から
⼈⽣100年社会「希望論」
へ
ライフステージ ライフコース ⇩ マルチステージ・パラレルキャリア ⇩ ステージ・キャリアのあり⽅を変えよう 鍵は「学び直し」 リカレント教育 ⽣涯学習
働き⽅が⼤きく変わる
マルチステージ
パラレルキャリア
雇⽤から委託契約へ
100年学び続ける⼒を
B. 悲観論と希望論の「はざま」
︓いい社会なのに活かせない
14 ⾼齢者⼈⼝の⾼齢化 ―平成18年中位推計― 2005年(実績) 2030年 2055年 75歳~ 1,160( 9%) 65~74歳 1,407(11%) 15~64歳 8,409(66%) ~14歳 1,752(14%) 総人口 1億2,777万人 総人口 1億1,522万人 総人口 8,993万人 75歳~ 2,266(20%) 75歳~ 2,387(27%) 65~74歳 1,401(12%) 65~74歳 1,260(14%) 15~64歳 6,740(59%) 15~64歳 4,595(51%) ~14歳 1,115(10%) ~14歳 752(8%) 万人 万人 万人 歳 歳 歳 注:2005年は国勢調査結果。総人口には年齢不詳人口を含むため、年齢階級別人口の合計と一致しない。 少⼦⾼齢化・⼈⼝減少の急激な進展
http://www.garbagenews.net/archives/1940398.html
⽇本⼈の平均寿命 (1891年〜2016年)
http://www.garbagenews.net/archives/1890642.html 1000⼈あたり 乳児死亡率の変化 (1899年〜2014年) パーセントにすると 最⾼18.9% ⇨最低0.19% 100年前の100分の1 ⽇本は世界で ⼀番乳児死亡率が低い 国の⼀つ
⽣まれたら誰もが⼤きくなれ、
⻑⽣きできる社会
結果としての⼈⼝減少
いい社会なのでは︖
「超高齢社会」 お 課題設定 Task assignment in 'Super aged society’
「超高齢社会」
Super Aged Society 「健康長寿社会」Well Aging Society
後 「余生」 送
Living the "rest of life" after retirement.
自律 生活 送 (尊厳あ 生 方)
Living life autonomously (dignified way of living).
☆ 誰 が健康 長生 望 、社会 必然的 高齢化 。
If everyone hopes to live a long healthy life, society will inevitably age.
「高齢化」 認識
Recognition of "aging"
高齢化 対策 課題 い!
Aging is not the issue to be addressed!
8
与え 時間 如何 楽 、健康 生 か。
How to live happily and healthily throughout our entire lives.
取 組 課題
Issues to be addressed
二周目 人生 お 「幸 形」 見 。
To find "the shape of happiness" in the second half of life.
人生100年時代
18 68 18 78 18 88 18 98 19 08 19 20 19 30 19 40 19 50 19 60 19 70 19 80 19 90 20 00 20 10 20 20 20 30 20 40 20 50 20 60 20 70 20 80 20 90 21 00 21 10 Under 14 Age 15-49 Over 65 Age 50-64 100 100% 80% 60% 40% 20% 20% 40% 60% 0
○There has been a major shift in the population structurefrom the 19thto the 21stcentury.
○It will be impossibleto maintain the social security systemsestablished in 1960-80s.
人口構造 移 Ja an demographic structure & transition
在 Present Meiji Restoration
Source: Sensus, Okazaki estimate, National Institute of Population and Social Security Research 2017 estimate
の 会保 制度はこの に作られた The current social security systems developed 人口 移250年間 推移
Demographic transition <250 years trend>
Age 50 バブル Bubble economy 19thcentury model 21stcentury model UN Estimate2017
⻑寿命化だけではなく、
少⼦⾼齢⼈⼝減少社会
から
⼈⽣100年社会へ
⾼齢者への対応から
⼦どもたちを主役に
持続可能な社会をつくる
C. ⾃⽴と孤⽴の「はざま」
︓何が問題なのか︖
⼯業社会=産業社会 ⼈を⼈⼝として扱う社会 (重商主義時代以降[1690年代以降]のこと) ⼈を道具・⼿段とする社会 ⼈の欲望は所有欲求によって満たされる 神野直彦『「⼈間国家」への改⾰̶参加保障型の福祉社会をつくるー』(NHK出版、2015年)
⼯業社会の学⼒
選抜のための学⼒=⼈を⼿段とする学⼒ ⇨ふるさとを捨てる学⼒
⇨孤⽴と競争と依存の学⼒
脱⼯業社会=知識社会 ⼈をその⼈として扱う社会 (1980年代半ば以降の消費社会) ⼈を⽬的とする社会 ⼈の欲望は存在欲求によって満たされる 神野直彦『「⼈間国家」への改⾰̶参加保障型の福祉社会をつくるー』(NHK出版、2015年)
脱⼯業社会の学⼒ 共⽣・⽣成・変化のための学⼒ =⼈を⽬的とする学⼒ ⇨ふるさとをつくり⽀える学⼒ ⇨⾃⽴と承認と⾃治の学⼒ ⇨ひとを固有性として⾒なす学⼒
反⾯で、⾃⽴が孤⽴につながる社会
孤⽴した⼈々は、依存し、他罰的になる
クレーマー社会へ
D. 先端と格差のはざま
不穏な未来予測
ムーンショット型研究開発制度が⽬指す未来像 JST-NEDO 実現可能性の検証作業 ⼈⽣100年時代と少⼦⾼齢化の克服 1.2050年 ⼈間拡張化技術 2.2040年 移動の完全ユビキタス化 3.2040年 ほぼすべての⼈の ほぼすべての⾏為と体験を アバター経由で実現 4.2035年 ⾼齢者のQOLを劇的改善 5.2040年 予防的措置・ウエルネスを 主流とする⽣活の実現 6.2040年 どこでも医療アクセスの実現 7.2040年 農林⽔産業の完全⾃動化 8.2040年 建設⼯事の完全無⼈化
「東ロボくん」(東⼤合格を⽬指して開発されたAI) 現在、偏差値60前後 MARCHレベルはクリア うち、数学や世界史では、偏差値76であったことも 東⼤の偏差値は⼀般的には、75前後=上位0.4パーセントほど AIは確実に、⽇本のホワイトカラー層の仕事を奪う AIにできないこと ⽂章を読み、⾏間を読んで、対話して、判断すること 価値判断すること 価値創造すること 新井紀⼦『AI vs. 教科書が読めない⼦どもたち』(東洋経済新報社)
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 Jap an Lu xe m b ou rg U n ite d S tate s Latv ia Can ad a Me xi co Ital y Tu rke y Sp ai n Es ton ia P ol an d Sl ov en ia Gr ee ce Au st ri a Is rae l Ne th er la n d s N ew Z eal an d Hu n gar y Fr an ce Be lg iu m Cze ch R ep u b lic Sl ov ak R ep u b lic Sw ed en No rw ay P or tu gal Fi n lan d Au st ra lia Un it ed K in gd o m Ir el an d D en m ar k 27
OECD Family Database
http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf ⼦どもの貧困 ⼦どもの 相対的貧困率︓17% ひとり親家庭︓57% 「⼦ども⾷堂」 2300カ所
⽣きる⼒をつけるためには、
学び続ける⼒が必要
認知 学⼒ 学び続ける⼒ ⽣活習慣・リズム 健康 ⾃⼰肯定感 ⾮認知能⼒
⾔語
関係の貧困E.「はざま」を「間(あいだ)」に
︓相互承認と対話的学び
⽣活習慣(⽣活のリズム)と学⼒ ⽣活習慣と健康
⽣活習慣と⾮認知能⼒
⾮認知能⼒が、健康も左右する
⽇常⽣活を維持しようとする気⼒と⾃⼰肯定感 ⽇常⽣活のリズムを刻むことと学⼒・健康
新しい「学び」(アクティブラーニング)
⾍⻭の数が多い⼦どもほど 以下のような傾向が認められた. 社会問題に関⼼がない. 努⼒しない. くじけやすい. 落ち着きがない. ⼏帳⾯ではない. 相⼿の気持ちを考えない. 冷静な判断が出来ない. いやな夢を⾒ないことが少ない. 誠実でない. 不平不満がつのることが多い. ⾃分勝⼿なところがある. けんかっ早いところがある. 本間 達・若松 秀俊「⼦供の⽣活習慣と⾍⻭の関連 」⽇本健康科学学会 Health Science vol.19 No.2 2003
話せばわかってくれるという信頼感が
⾃⼰肯定感を強める
⇨⼦どもが⾃分から貧困から抜け出そうとする ⾃律・⾃⽴しようとする
認知 学⼒ 学び続ける⼒ ⽣活習慣・リズム 健康 ⾃⼰肯定感 ⾮認知能⼒
⾔語
関係の貧困 ⾃⽴・⾃律【高齢者14,001人の追跡結果】 ○運動・栄養について良い習慣を持つこと、更に社会参加により死亡率が大幅 に低下 静岡県⾼齢者コホート研究 出典:「静岡県高齢者コホート調査に基づく、運動・栄養・社会参加の死亡に対する影響について」 2012年、東海公衆衛生学会、平山朋他 44
ご飯をおいしいと思えない⾼齢者は、誤嚥が多い ご飯がおいしい⾼齢者は、誤嚥が少ない
「⾷品」を摂っているのか 「⾷事」を⾷べているのか
公⺠館など地域の活動に熱⼼に取り組む層には、 共通して15歳までの地域活動の分厚い体験がある (東京⼤学牧野研究室と飯⽥市公⺠館との2014-15年度共同研究) 若者の移動・コミュニティへの定着 利便性より⾃然環境 地域参加意識 受け⼊れられること 競争より充実 → ⽂化的なもの ⾃然相⼿の仕事 地域社会重視 仕事が⽣活 中⼭ちなみ「若者の地域移動と居住志向:⽣活意識に関する計量分析」、『京都社会学年報』第6巻、1998年、p.105, p.106 若者の移動の動向
医療も介護も、⾃分で取り組む時代
誰かがやってくれる時代ではなくなった
誰かに頼っている時代でもなくなった
G.⼈と⼈とのはざまを埋める
曖昧でゆるやかで、 関⼼をもつ⼈々が
「住み開き」︓ ⾃分の空間をちょっと開いて、公共空間にする (財)世⽥⾕トラストまちづくり︓ 「地域共⽣のいえ」 岡さんのいえTOMO 都市部の空き家をネットワークする
社会の価値観の多元化・多様化
⼀律の⾏政的対応が不可能
⼈々が⾃らコミュニティをつくり、担う必要
⇨「⾃治」が新たにとらえ返される
厚労省の「地域共⽣社会づくり」 コミュニティにおける
「断らない相談」「参加⽀援」「地域づくり」
「福祉からのアプローチ」と「まちづくりからのアプローチ」 接点︓出会い・学びのプラットフォーム
ここにどのように当事者を組み込むのか
責任感で社会は動くのか
「楽しさ」=実現することの楽しさ
⇦「出会い」と「学び」
農⼭村の3つの空洞化
⼈・⼟地・むら(⾃治機能)
3つの空洞化の基盤にある「誇りの空洞化」
■農⼭村集落再⽣プロセスの実際(新潟中越地震からの再⽣の教訓) ・2つの連続的プロセス 事業準備段階(⾜し算の段階)=諦観の払拭プロセス(⼈材化過程) →⼈による寄り添いが必要(「カネ」より「時間」) 寄り添いの担い⼿=地域おこし協⼒隊等 事業実施段階(掛け算の段階)=具体的な事業の展開 →ノウハウと資金が必要 ⼩⽥切徳美(明治⼤学教授)
I. 「はざま」を「間(あいだ)」に
︓「はざま」を埋める
⼀般⾏政が専⾨分化すればするほど、 「はざま」に落ち込むと⾒えなくなる たとえば、「⼦ども⾷堂」 ⾷事の提供では終わらない ⽣活習慣・学⼒ 関われば関わるほど、社会の関⼼が薄れる ⼈が⼿を引く 専⾨家任せ 福祉は⿊ずくめの⼈にかなわない(村⽊厚⼦) 学校も同様 ⇨ 学校に任せきりになり、クレームをつける
みんなが、ぼやっと繋がって、
関⼼を持ち合う
「間(あいだ)」が「はざま」を埋める
「はざま」を「間(あいだ)」に
無数のちいさな〈社会〉が
縦横無尽に動き回ることで
社会が価値多元的で価値豊穣な基盤を持つ
つねに新たになり続けることで
⻑い箸の寓話
「恩送り」
Pay it forward 先⼈に思いを馳せ、 まだ⾒ぬ⼦どもに返していく 歴史と社会に⾃分を位置づける 信頼と想像⇨⾃⽴と⾃治さらに、「ことば」がものをいう 「ことば」が社会に信頼をつくる 「ことば」が相互肯定感を⽣み出す 「ことば」が⾃分を社会に位置づける 「ことば」が〈ちいさな社会〉の基盤となる 「ことば」が⽣きる⼒を⽣み出す
〈ちいさな社会〉を無数につくって 底抜けしない社会をつくる
地域住⺠が コミュニティを 想像し、 創造し、 経営する コーディネータとしての 市⺠後⾒⼈へ