医療現場に勤務する看護師を対象としたボディメカニクス学習教材の活用と評価
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(3) 3. 医療 現 場 に 勤務 す る看 護 師 を対 象 と した ボ デ ィメ カ ニ ク ス学 習 教 材 の活 用 と評 価. こ と に し た 。 図1に 高 さ(身. 危 険 角 度 の算 出方 法 を 示 す 。 ベ ッ ド. 長 ×0.45)=,大. 転 子 最 外 側 点 高A一. 距 腿関. 節 点高 C=L2+L3(大 腿 部+下 一 大 転 子 最 外 側 点 高A=L1(体. 腿 部),肩 峰 角 点 高B 幹 部) ,肩 峰 角 点 高B -L4+L5(上 腕 部+前 腕. 一 擁 骨 茎 状 突 起 最 外 側 点D= 部)と. す る と: LI. COS. H+L2十L3=H十L4十L5. (1). と い う 関 係 が あ る 。 日 本 人 の 平 均 的 な 体 格 デ ー タ15)を, 式(1)に. 用 い て 危 険 角 度 φ を 算 出 す る と,男. 41.7°,女. 性 で42.5°. を40°. と 設 定 し,危. で あ っ た 。 し た が っ て,危. 性 で 険角度. 険 角 度 に 近 づ い て い る こ と を 知 らせ. る 注 意 角 度 を30° と 定 め た16)。. を用 い て リアル タ イ ム に表 示 した(写 真1)。 な お,動 作 映 像 はパ ー ソ ナ ル コ ン ピュ ー タのUSB端 子 に接 続 で き るCCDカ 究 で 使 用 したCCDカ Qcam. Pro. メ ラ を使 用 して取 得 した 。 本 研 メ ラ は(株)ロ. ジク ール社製. 4000で あ る。 解 像 度 は 横320× 縦240点,1. 秒 間 に画 像9∼10枚 で 使 用 した。 ・関節 角 度(角 度 メ ー タ ・グ ラ フ) ,角 度 平 均 値 表 示 機 能 看 護 動 作 中 の 前 傾 角 度 と両 膝 の屈 曲角 度 を,メ ー タお よ び グ ラ フ と して 同 時 に表 示 す る。 デ ー タ取 得 が 始 ま る と,リ ア ル タイ ムで メ ー タお よ び グ ラフ に前 傾 角 度 と両. 覚 だ け で な く聴 覚 か ら も リ ア ル タ. 膝 の屈 曲角 度 を 表 示 す る と と もに,各 メ ー タの下 に現 在 の角 度 を数 値 で も表 示 す る。 さ らに,そ の 時点 で の 角 度. イ ム に 自 己の 動 作 姿 勢 を客 観 的 に認 知 させ る こ とが 効 果. 平 均 値 も同 時 に 表 示 され る。 ま た,学 習 者 に対 す る視 覚. 的 と 考 え,前. 傾 角 度 が 危 険 角 度 あ るい は注 意 角 度 に到 達. 的 フ ィー ドバ ッ クの 効 果 を高 め る た め に,前 傾 角 度 を表. した こ と を 学 習 者 に 知 らせ る音 発 生 機 能 を 搭 載 し た 。 す. 示 す る メ ー タ内 の 危 険 角 度 域 を赤 色,注 意 角度 域 を黄 色 で 表 示 して,不 適 切 な 前 傾 角 度 と な って い る こ と を認 識. 本 学 習 教 材 で は,視. な わ ち,動. 作 時 に リア ル タイ ム で 自己 の 前 傾 角 度 の 度 合. い を 認 識 で き る よ う に,前. 傾 角 度 に応 じて パ ー ソ ナ ル コ. ン ピ ュ ー タ の 内 蔵 ス ピ ー カ ー か ら2種. しや す く した。 動 作 映 像 デ ー タ,前 傾 角 度 お よ び 膝 屈 曲. 類 の警 告 音 を 出力. 角 度 は コ ン ピ ュ ー タ に保 存 す る こ と が で き るの で,動 作. す る 機 能 を 搭 載 し た 。 前 傾 角 度 が 注 意 角 度30° を 超 え た. 終 了 後,い つ で も再生 可 能 で あ り,学 習 の進 捗 状 況 の 確 認 に使 用 す る こ とが で き る。. と き に807Hz,前. 傾 角 度 が 危 険 角 度40°. は よ り 高 音 で あ る2250Hzの. を超 え た と き に. 警 告 音 を 発 生 させ る。 本 研. 究 で 開 発 し た シ ス テ ム に お け る新 しい 試 み は,こ な. 図2は,本. 学 習 教 材 の表 示 画 面 で あ る。. の よ う. 「音 」 に よ って リ ア ル タ イ ム に 前 傾 角 度 を 学 習 者 に 知. らせ る機 能 で あ る。 2)本. 学 習 教 材 の表 示 機 能. ・動 作 映 像 表 示 機 能. 図2. 3)姿. 本 学 習 教 材 に お け る表 示 画 面 例. 勢 計 測 セ ンサ装 着 具. 前 傾 姿 勢 計 測 セ ン サ は,(株)緑 サBlue. Pot. Model. UV-1Wを. 日新 企 画 製 の プ ロ テ ク タ ーBEADS. 写 真1. 本 学 習 教 材 を 活 用 して 看 護 動 作 を 行 って いる 様 子. 測器製 の傾斜 角 セ ン 用 い た 。 こ れ は,(株) PAD. し て 製 作 し た ベ ス ト型 の 装 着 具 で あ り,対. VESTを. 使用. 象 とな る学 習. 者 が 装 着 す る。 傾 斜 角 セ ン サ を 内 蔵 した 直 方 体 の ブ ロ ッ ク を マ ジ ッ ク テ ー プ で プ ロ テ ク タ ー 背 部 に 貼 り付 け る こ. 学 習 者 が 自 己 の看 護 動 作 姿勢 を リア ル タ イ ム ま た は繰 り返 し再 生 して見 る こ とが で き る よ う に,動 作 映 像 の録. と で,前. 傾 角 度 を計 測 で き る仕 組 み と した 。 この プ ロ テ. ク タ ー は 弾 力 性 が あ り,装 着 し や す く両 脇 に マ ジ ッ ク テ ー. 画 お よ び再 生 機 能 を搭 載 して い る。 ま た,実 際 の看 護 動. プ に よ っ て 胴 体 周 り の 寸 法 を 容 易 に 調 節 で き る の で,身. 作 と デ ー タ表 示 とを合 わ せ て 見 易 い よ うに,ス ク リー ン. 体 に フ ィ ッ ト さ せ る こ と が で き る と と も に,総. 重 量590.
(4) 4. 伊丹. gと 軽 量 で あ る。. 学 習 教 材 非 活 用). 膝 の屈 曲 角 度 の 測 定 は,下 肢 関 節 角 度 検 出 用 セ ンサ (DKH社 製Flexible Goniometer System)を 用 いて計 測 す る。 装 着 具 は,伸 縮 性 の あ る布 素 材 で製 作 した 。 で き る 限 り看 護 動 作 を妨 げ な い よ う に,膝 (大 腿 部 お よ び 下 腿 部)の. 関 節 の 上 と下. そ れ ぞ れ2箇 所 に 伸 縮 性 の あ. る帯 を 巻 きつ けて 下 肢 関 節 角 度 検 出用 セ ンサ を 装 着 して い る。 装 着 具 に セ ンサ を固 定 す る た め に は マ ジ ック テ ー プ を使 用 した。 写 真2は,姿. 君和. 設 定 ③:本 学 習教 材 を 活 用 して 客 観 的 評 価 した 後 の 動 作(本 学 習 教 材 活 用) な お,設 定 ① で は,デ ー タ取 得 の ため に姿 勢 計 測 セ ン サ は装 着 して い るが 本 学 習 機 能 は活 用 せ ず,普 段 通 り に 実 施 した ベ ッ ドメ ー キ ング動 作 を 行 う。 ボ デ ィメ カニ ク ス活 用 の有 無 に つ い て は特 定 して い な い。 設 定 ② で は,適 切 な ベ ッ ド高 に合 わ せ る こと の 効果 を 認 識 して も ら う こ と も意 図 して い る。 ベ ッ ド高 を 身長 比. 勢 計 測 セ ンサ を装 着 した様 子 で あ る。. 45%に 合 わせ る こ との説 明 を 行 った 後,高. さ調 節 を行 い. 実 施 して も ら った。 本 設定 で 実 施 後,デ ー タ再 生 機 能 で 1回 目 と2回 目 の動 作 を 客観 的 に 評 価 して も ら う。 設 定 ③ で は,「 音 」 発 生 機 能 も含 め,リ. アル タイム に. 本 学 習 教 材 の機 能 を フル 活 用 した 上 で の 動 作 を行 う。 なお,姿 勢 計 測 セ ンサ 装 着 に よ る弊 害 や 実 施 回 数 を重 ね る こ と に よ る学 習 効 果 を 考慮 して,対 象 者 は事 前 に装 着 具 を装 着 して の ベ ッ ドメ ー キ ング動 作 を2∼3回 た後 に実 施 した。 ま た,本 学 習 教 材 の 活用 終 了 後,ボ. 練習 し. デ ィメ カ ニ クス の. 原 理 と活 用 方 法 に つ い て 資料 化 した もの を用 い て説 明 を 行 っ た。 3)ボ. デ ィメ カ ニ ク ス お よび 本 学 習 教 材 活 用 に お ける 意 識調査. ボデ ィ メカ ニ ク ス は,そ の効 果 を充 分 に 理解 した上 で, 写 真2. 製 作 した 姿 勢 計 測 セ ンサ を装 着 した様 子. 実 際 に 自 らが 技 術 を習 熟 し実 践 で きな けれ ば活 か され な い。 したが つ て,看 護 動 作 に お け る ボデ ィメ カ ニ クス活 用 へ の 意 識 向 上 は重 要 で あ る。. 2.ボ デ ィメ 力ニ ク ス学 習 教 材 の活 用 と評 価 1)対. そ こ で,本 学 習 教 材 活 用 前 後 に意 識 調 査 を 実 施 した 。. 象. 内 容 項 目 は,ボ デ ィメ カ ニ クス 活 用 に対 す る実 態 お よ び. 研 究 の趣 旨 に賛 同 が得 られ た32名 の看 護 師(女 性31名, 男 性1名)を. 対 象 と した。. 意 識,腰 痛 自覚 率,本 学 習教 材 活 用 の 評 価 で あ り,自 記 式 質 問 紙 法 と した。. な お,今 回 評 価 した ベ ッ ドメ ー キ ング動 作 は 日常 的 に. な お,ボ デ ィメ カニ クス活 用 に対 す る実 態 につ い て は,. 医療 現 場 で 実 施 して い る もので あ り,臥 床 患 者 な しで 下 シー ツ のみ を 実施 す る基 礎 的 な 看 護動 作 で あ る。方 法 は,. 本 学 習 教 材 活 用 前 に,① ボ デ ィメ カ ニ ク ス の知 識 を ど の. シ ー ッ の両 角 は い ず れ も三 角 に 折 り返 す よ う統 一 した。 ベ ッ ドメ ーキ ング は実 際 の看 護 現 場 で実 施 さ れ て い る2. ③ ボ デ ィメ カ ニ クス の活 用 内 容(自 由 記 述)に つ い て の. 人 法 と し,セ. ンサ 装 着 者 で あ る対 象 者 が ベ ッ ド右側 に 位. よ うに得 た の か,② ボ デ ィメ カ ニ クス の活 用 度(5件. 法),. 回 答 を 得 た。 また,ボ デ ィメ カニ クス活 用 に対 す る意 識 につ い て は,. 置 して シ ー ツ作 成 を行 っ た。 ベ ッ ド左 側 に位 置 す る補 助. 本 学 習 教 材 活 用 の前 後 に,①. 者 の看 護 師 は左 側 の シ ー ッ作 成 を行 つた が,動 作 を 統 一 す る た め に 同 一 の看 護 教 員 が実 施 した。 ま た,服 装 は,. 知 って い る,② ボ デ ィメ カ ニ クス 活 用 は腰 痛 予 防 に と っ. ボデ ィ メ カ ニ ク ス に つ い て. ナ ー ス服 お よ び ナ ー ス シュ ー ズ と した。. て 効 果 が あ る,③ ベ ッ ドの 高 さ調 節 を 行 う こと は看 護 師 の 腰 痛 予 防 の た め に効 果 が あ る,④ ボデ ィメ カ ニ クス を. 2)本. 今 後 活 用 して い きた い,の4項. 学 習 教 材 を活 用 した場 合 の 角度 変 化. 評 価 の方 法 と して は,対 象 者 に ボ デ ィメ カ ニ クス 学 習 教 材 の姿 勢 計 測 セ ンサ を装 着 した後,ベ. ッ ドメ ー キ ング. 動 作 を 以下 の 設 定 ① ∼ ③ の順 に実 施 し,前 傾 姿 勢 角 度 お よ び両 膝 屈 曲 角 度 の比 較 を行 つた。 設定 ①:普. 段 通 りの動 作(本 学 習 教 材 非 活 用). 設 定②:適. 切 な ベ ッ ド高(身 長 比45%)で. の動 作(本. 目 につ いて,5件. 法(5. 点:思 う,4点:少 し思 う,3点:ど ち ら と もい え な い, 2点:あ ま り思 わ な い,1点:思 わ な い)で 評 価 して も らっ た。 腰 痛 自覚 率 に つ い て は,本 学 習 教 材 活 用 前 に,① 看 護 職 に就 いて か ら看 護 援 助 が 原 因 の 腰 痛 を 経 験 した こ とが あ るか につ い て は,は い ・い いえ で の 回 答 を求 め,② 日.
(5) 医療現場に勤務する看護師を対象としたボディメカニクス学習教材の活用と評価. 表 1 匿療現場における本学習教材活用の有無による動 n = 3 2 ) 作時角度変化 ( 自J I傾姿勢角度. 評価内容 設定①.普段通りの動作 (教材非活用) 設定②.適切なベッド高での 動作(教材非活用) 設定客③観:本学習教材を活用 して 的評価した後の動作. 左膝屈曲角度 右膝脂血角度. 7 . 8土 1 3 . 0 5 5 . 6: : t1 4 . 7 J *1. l. 出. 1 J. 2 8 . 0: : t1 1 . 3. 1 2 . 6: : t9 . 0. **. 3 0 . 3土 1 4 . 9. 1 9 . 9: : t1 5 . 8. 1 5 . 7土 1 3 . 7. 3 5 . 9: : t1 9 . 0. 5. 皿.研究結果 対 象 者3 2名の年齢は 2 6 . 1土5 . 9歳 ( 平 均 土 標 準 偏 差 ). 5 8 . 2: t5. 4cm 医療現場における看護師 であり,身長は 1 . 7: t4 . 5 年であった。 としての勤務経験は 4 1.本学習教材を活用した場合の角度変化 本学習教材活用の有無による動作時姿勢角度の結果を 表 lに示す。. * * : pく0.01, * * * : pく0.001. 表 2 本学習教材を活用しての自己評価 ( n = 3 2 ) 常の看護援助の中でシーツ交換(ベッドメーキング動作) 諦査項目. 自に腰痛を自覚しているかについては 5件 法 (5点:白 している, もいえない,. 4点:少し自覚している, 3点:どちらと 2点:あまり自覚していない, 1点:自覚. していない)で居答を得た。 本学習教材活用の評価については,①機能評価として, 本学習教材活用後に,危険角度における音発生機能,危 険角度における色別表示など 8項目について 5件 法 (5 点:患う, 4点:少し層、う, 3点:どちらともいえない,. 2点:あまり思わない,. 自己評価 ( 5件法). 本学習教材活用によって,自己の看護動作を 客観的にチェックで、きるか. 4 . 9土 0 . 3. 本学習教材の活用はボディメカニクス学習に とって効果があるか. 4 . 8: : 1 :0. 4. 本学習教材活用は看護動作時のボディメカニク ス活用への関心を高めると思うか. 4 . 7: : 1 :0 . 5. 本学習教材を活用した今回の計測は楽しかっ. T こか. 1点:思わない)で評価しても. 4 . 6土 0 . 6. 注 )5点が満点. らった。同様に,②自己評価として,本学習教材活用に よって自己の看護動作を客観的にチェックできるか,本 学習教材活用は看護動作時のボディメカニクス活用への 関心を高めると思うか,など 4項目について 5件 法 (5 点:患う,. 4点:少し思う,. 3点:どちらともいえない,. 2点:あまり思わない, 1点:恩わない)で回答を得た。. 4 ) 分析方法 本学習教材活用の有効性を検証するため,本学習教材 を活用した場合の角度変化について SPSS16.0 f o r Win を用いて Wi 1 c oxonの符号付き順位検定を実施七た。 dows また,本学留教材活用における意識調査については各 5 件法での評価を実施した後,本学習教材活用前後の比較 を,ノンパラメトリック検定を用いて分析した。. 5) 倫理的配慮 対象には本研究の目的,方法について説明した後,研 究協力に際しては以下の倫理的配鹿を行うことを説明し, 書面による同意を得た上で実施した。倫理的配慮につい ては,得られたデータは研究目的以外の目的で使用され ることはないこと,値人を特定できないよう処理されプ ライパシーは保護されること,研究途中に拒否されても 何ら不利益は被らないこと,協力の有無と成績は一切関 係ないこと,守秘義務について保証することを約束した。 また,研究の公開のお願いについても併せて同意を得た。 なお,本研究は滋賀県立大学倫理審査委員会および対象 とした医療現場における所属長の承認を得ている O. 普段通りの動作(設定①)時のベッドの高さは 5 9 . 6土 7.9cmで、あった。普段通りの動作では,前傾姿勢角度の 5 . 6: t14.7。と最も高く,腰部負担のかかる危険 平均は 5 角度域となっていた。また,膝の屈曲角度の平均も左膝 0 1 7 . 8士 1 3 . 0 ,右膝1 9 . 9: t15.80 という結果であり,ほ とんど膝を屈曲していないことが示された 次に設定②は,適切なベッド高での動作であり,ベッ 0 . 2: t1 .2cmで、あった。適切なベッド高での ドの高さは 7 3 . 2士 11 .50 であり,普段 動作における前傾姿勢角度は 4 の動作よりは有意に減少が認められたものの,腰部に負 担がかかる危険域の角度であった。 次に,本学習教材を活用して客観的評価した後の動作 (設定③〉では,前傾姿勢角度は有意に改善され , 2 8 . 0 : t11 .30 という結果であった。これは,腰部への負担が 少ない安全域の数値である O また,膝の屈曲角度も本学 0 5 . 9士 1 9 . 0 と増加していた。 菅教材活居時に 3. 2 .ボディメカニクスおよび本学習教材活用における意 識調査. 1)本学習教材活用の学習効果および機能評価 本学習教材活用の学習効果についての調査結果を表 2 に示す。 本学習教材活用によって,告己の 本調査結果から, I 看護動作を客観的にチェックできる J と回答した者が. 4 . 9土0 . 3点と最も高値を示しており, I 本学習教材の活 用はボディメカニクス学習にとって効果がある」と回答.
(6) 6. 伊丹君和. した者も 4 . 8土 0.4点と高値であった。. また,本学習教材活用におけるボディメカニクス活用の. また,本学習教材の機能評価についての調査結果を表. 3に示す。. 理解と意識の変化について,調査結果をもとに表 4に示 す 。. 本調査結果から,本学習教材の機能評価は高得点が得. 調査結果から,本学習教材活用によって「ボディメカ. I 危険角度における音発生」機能が. . 5土 ニクスを今後活用していきたい J と回答した者が 4. られており,特に,. 4 . 8: t0 . 7 点と高い評価を得たことが示された。. 0 . 7点から 4 . 8土 0.4点に有意に増加した (pく 0 . 0 1 )。ま. 表 3 医療現場の看護師における本学習教材の機能評価. のために効果がある Jと回答した者も, 3 . 6: t 1 .4点から. た ,. ( n = 3 2 ). 表示機能評価 ( 5件法). 表示機能. I ベッドの高さ調節を行うことは看護師の藤痛予防. 5 . 0土 0 . 2点と有意に増加した (pく 0 . 0 0 1 )。 一方,対象者の 62.5%の者が調査時に腰痛を自覚して いた。また,. I日常の看護動作のなかで,ベッドメーキ. 6.2%が 腰 ング動作時に腰痛を自覚するか」に対しては 5. 危険角度における音発生. 4 . 8土 0 . 7. 危険角度における色別表示. 4 . 8士 0 . 8. 動作映像. 4 . 7: t0 . 5. 角度グラフ. 4 . 7土 0 . 8. 角度メータ. 4 . 6土 0 . 8. 再生機能. 4 . 6土 0 . 8. しf こO. 角度平均値表示. 4 . 5士 1 . 0. 前傾姿勢角度の平均は 5 5 . 6: t1 4 . 7 と最も高く,腰部負. リアルタイム機能. 4 . 5土 1 . 0. 痛を自覚すると巨答していた。. 百.考察 1.ボディメカニクス学習教材活用における前傾姿勢改 善および腰部負担軽減の可能性 本研究では,医療現場に勤務する看護部を対象として, 開発したボディメカニクス学習教材活用の有効性を検討 まず,普段通りのベッドメーキンクゃ動作を行った結果,. 注 )5点が満点. 0. 担のかかる危険角度域となっていた。また,ほとんど膝 を屈曲していないことが示された。看護師が腰痛を起こ した姿勢として 7 3.6%の者が「前屈時,中腰」であった との報告のにもあるように,看護動作時の前傾姿勢は職. 2) ボディメカニクス活用の意識および実態,腰痛自覚. 業性腰痛の原因といえる。今回の結果から,実擦の藍療. 率. 現場で行われている看護動作は,腰痛を発症しやすい典. 本調査結果から,対象者の 9 6.9%が「ボディメカニク. 型的なボディメカニクス非活用姿勢となっていることが. スについて知っている,少し知っている J と回答した。. 示唆された。. I 講習J 50.0%, I 人から罷いた J2 1 .9%, I 文献J1 8.8%, I 学校 日 の授業J6.2%で得たという結果であった。しかし, I. カニクス非活用な動作姿勢は、看護学生と比較しても顕. また,ボディメカニクスについての知識は,. 常の看護動作のなかで,ボディメカニクスを活用してい るか」に対しては,. I 少し活用している J2 1 .9%, I 活用. している J3.1%という低値であった。. 著といえる。看護学生を対象として同様の設定で実施し 0. 6 . 0土 6 . 7 でありべ看護師 た前傾姿勢角度の平均値は 4 0 の5 5 . 6: t1 4 . 7 と比較すると低い。 また今回実施した看護闘における普段の動作時のベッ ドの高さは 5 9 . 6士 7.9cmと低値であったが, この値は以. 表 4 本学習教材活用におけるボディメカニクス活用の 理解と意識の変化 本学習教材活用前 本学習教材活用後. 項目. このような看護師の普設の看護動作におけるボディメ. 1 .7: t5.9cm 前調査した医療現場でのベッドの高さ平均5 に近い健といえた則。同様に,看護学生における普段の. 5 . 2士4.0cmと看護師よりも高く, 動作時のベッド高は 6 看護学生と震療現場で勤務する看護師とのボディメカニ. ボディメカニクスについて知っている. 4 . 3: t0 . 5. 4. 4 : t0 . 6. クス活用への意識と理解度に差があることが示唆された。. ボ あ デ るィメカニクス活用は腰痛予防に効果が. 4 . 6: t0 . 7一 一 一一 ム 一-4 . 8: t0 . 4. 次に,本学習教材を活用して客観的評価した後の動作で. ベ ッ 防 ド の の た 高 め さ に 調 効 節 果 を が 行 あ うことは看護者の腰痛 予 る. 3 . 6: t1 .4一 一 一一 * * *50土 0 . 2. ボディメカニクスを今後活用していきたい. 4 . 5: t0 . 7 一一 -;;-4.8土 0 . 4. 8 . 0: t11 .3 とい は,前傾姿勢角度は有意に改善され, 2 0. 注 )5件 法. ム: pく0 . 1 .* * : pくO訓 . * * * : pく0 . 0 0 1. う結果であった。これは,腰部への急担が少ない安全域 の数値である O また,前傾姿勢角度同様,膝の屈曲角度 5 . 9土 1 9 . 0。と増加しており, こ も本学習教材活用時に 3.
(7) 塁療現場に勤務する看護師を対象としたボディメカニクス学習教材の活用と評価. の際の動作姿勢は膝を曲げて腰を下げている動作といえ るO 本学習教材を活用した場合,看護動作時に自己の動 作姿勢を「音」と「映像」からリアルタイムに認知およ びフイ(ドパックすることになり,前傾姿勢とならない ように両膝を屈曲して重心を低くするというボディメカ ニクスを活用した姿勢となりやすいと考えられた。この ことは,本学習教材の機能評価において, 1 危険角度に おける音発生J1 危険角度における色別表示J1 動作映像」 機能が高評価を得たことからも伺える O したがって,本 学習教材の活用は、看護動作における前傾姿勢への意識 を高め,姿勢改善を促すことが可能であると考えられた。 なお,設定③は設定②と同様のベッドの高さであったが, 同じベッドの高さでもボディメカニクスを意識しながら 動作を行えば姿勢改善可能であることが確認された。 ボディメカニクスは,物理学と力学の諸原理を利用した 経済効率のよい動作とされベその活用は姿勢改善を促 し,腰痛予防が可能となると考える。今回開発したボディ メカニクス学習教材は,看護動作時の前傾姿勢角度と膝 屈曲角度をボディメカニクス活用の評価指標としたが, 前傾姿勢とならないように両膝を屈曲して重心を低くす るということは,重心が看護師の基底面積の範囲内で動 いていることも意味し, このような動きが連動してはじ めて安定した動作となり,腰部への負担が軽減すると考 えられる。. 2 . ボディメカニクス活用への意識向上と看護師への再 教育の必要性 本調査結果から, 1 日常の看護動作のなかで,ボディ メカニクスを活用しているか Jに対しては「少し活用し ている J2 1 .9%, 1 活用している J3 .1%という結果であ り,実際にボディメカニクス活用を理解し活用している 看護師を依然として少ないことが認められた。 また, ボディメカニクスについての知識は, 1 講習 J5 0 . 0 %,. 1 .9%, 1 文献 J1 8 . 8 %, 1 学校の授業」 「人から聞いた J2 6 . 2 %で得たという結果も得られ,医療現場で学習の場 が設けられていないことが明らかとなった。本研究では, 本学醤教材活用終了後にボディメカニクスの原理と活用 方法についての説明も加えたが,このような教育は必要 であることを再認識した。現在医療現場に勤務する看護 師に対して,知識の面および実際の医療現場におけるボ ディメカニクス活用方法について再教育していくことは, 看護師の職業性腰痛軽減につながると考える。 ボディメカ また,本学習教材の活用前後において, 1 ニクスを今後活用していきたい」と回答した者が有意に ベッドの高さ調節を行うことは看護師の腰痛 増加し, 1 予防のために効果がある」と回答した者も同様に有意に 増加した。 しかし,本調査結果より,対象とした看護師の 6 2 . 5 %. 7. の者が腰痛を自覚しており, 1 日常の看護動作のなかで, 6 . 2 ベッドメーキング動作時に腰痛を自覚するか Jでは 5 %の者が「腰痛を自覚する」と回答していた。このこと から,医療現場に勤務する看護臨の腰痛率は依然として 高いことが示された。 ボディメカニクスは,その効果を充分に理解した上で, 実際に自らが技術を習熟し実践できなければ活かされな い。客観的に自己の動作を評価可能である本学習教材の 活用は,ボディメカニクス活用への理解と意識向上が図 れることが認められ,今後も看護動作時の前傾姿勢改善 ひいては腰痛軽減に向けて,医療現場に勤務する看護師 に対して今回開発したボディメカニクス学習教材を活用 し再教育を継続して行うことは意義があると考えられる O. V .結 語 看護師3 2名を対象として,ベッドメーキング動作にお けるボディメカニクス学習教材活用の有効性を検討し, 以下の結果が示された。 1.普段のベッドメーキング動作における看護師の前傾 姿勢角度の平均は 5 5 . 6士 1 4 . 70 と最も高く,腰部負担 のかかる危険角度域となっていた。 2 . 本学習教材を活用してベッドメーキング動作をした 0 場合,前傾姿勢角度は有意に改善され, 2 8 . 0土 1 1 .3 と腰部への負担が少ない安全域となった ( pく 0 . 0 01 ) 。 3 . 本学習教材の機能評価では, 1 危険角度における 発生」機能の評価が 4 . 8と こ0 . 7 点と最も高得点であった 0 4 . 本学習教材活用によって, 1 ボディメカニクスを今 後活用していきたい J という看護師が 4 . 5士0 . 7点から 4 . 8: t0.4点に脊意に増加した (pく 0 . 0 1 )。 以上の結果から,医療現場に勤務する看護師を対象と してボディメカニクス学習教材の活用と評価を行った結 果,ボディメカニクス活用への意識向上と看護動作時の 姿勢改善が示され,その有効性が認められた。. 謝辞 本研究の実施にあたりご協力いただきました看護師の 皆様に深謝致します。なお,本研究は,平成 2 0 ' " " 2 1年度 滋賀県立大学特別研究費および滋賀県立大学人問看護学 部学部長裁量経費によって実施された。. 文献 1)大原啓志,青山英康:職業性腰痛の疫学と課題, 日 2( 6 ),4 1 3 4 1 9, 1 9 9 4 . 本災害医学会会誌, 4 2)甲田茂樹,久繁哲徳,他:看護婦の腰痛症発症にか かわる職業性要因の疫学的研究,産業医学, 3 3,.
(8) 8. 伊丹君和. 4 1 0-4 2 2,1 9 91 . 3) D e h l i nO ., e ta l Back symptoms i nn u r s i n g a i d e s i n a g e r i a t r i c h o s p i t a , l Scand.J.Rehad.Med.,8,47 . : 5 3 ;1 9 7 6 . 4) Jensen, R . C . 二D i s a b l i n g back i n j u r i e s among '~ nursingp e r s o n n e l,R e s e a r c hn e e d sandj u s t i f i c a t i o n .R e s .N u r s .H e a l t h .,1 0,2 9, 1 9 8 7 . 5)北西正光,名島将浩:看護業務従事者における腰痛 の疫学的検討, 日本腰痛会誌, 1 ( 1 ) , 1 3 1 6, 1 9 9 5 . 6)田部由紀子,他:看護師の腰痛緩和一腰部保護ベル. ,. トと腰痛体操の経時的効果の比較,日本看護学論文 集看護管理, 2 9, 1 8 8 1 9 0, 1 9 9 8 . 7)伊藤俊一,菊本東陽,他:腰椎コルセットの効果に 3,4 6,1 9 9 6 . 関する筋電図学的検討,理学療法学, 2. 立大学看護短期大学部学術雑誌, 7, 9 0 9 6, 2 0 0 3 . 1 2 ) 平田雅子:腰痛を引き起こす姿勢,動作(ボディメ 6 ( 1 5 ), 11 1 5, カニクスの観点から,看護技術, 3 1 9 9 0 . 1 3 ) 大秦静恵,佐々山香,他:ベッド足浴時における看 8 ( 4 ), 護師の腰部の負担度,クリニカルスタディ, 1 3 2 3 7, 1 9 9 7 . 1 4 ) 伊丹君和,藤田きみゑ,他:看護作業姿勢からみた 腰部負担の少ないベッドの高さに関する研究,滋賀 ,2 1 2 7,2 0 0 0 . 県立大学看護短期大学部学術雑誌, 4 1 5 ) 人間生活工学研究センター:日本人の人体計測デー タ , 2 0 0 3 . 1 6 ) 伊丹君和,安田寿彦,他:ボディメカニクス活用動 作に関する教育用自己チェックシステムの試作(第. 8) 安田寿彦,林琢磨,他:自立支援型移乗介助ロボッ トの研究, 日本機械学会福祉工学シンポジウム,. 2報 ) , 日本教育工学会第 2 3回全国大会, 4 6 5 4 6 6, 2 0 0 7 .. 2 1 3 2 1 6,2 0 0 5 . 9)武未希子,水戸袋子,他:看護におけるボディメカ. 1 7 ) 藤田きみゑ,横井和美,古株ひろみ,伊丹君和,他:. ニクスに関する文献の検討,東京都立医療技術短期. 1 0 ). 1号 , 1 7 5 1 8 , 1 1 9 9 8 . 大学紀要,第 1 小J I [鍍一,鈴木玲子,他:看護動作のエビデンス,. 0 0 3 . 東京電気大出版局, 2 1 1 )久留島美紀子,伊丹君和他:看護・介護作業時の ボディメカニクス活用状況に関する一考察,滋費県. 看護作業姿勢と腰部への負担に関する研究,滋賀県 , 1-7 ,1 9 9 9 . 立大学看護短期大学部学術雑誌, 3. 1 8 ) 伊丹君和,安田寿彦,他:ベッドメーキング動作に おける前傾角度に着目したボディメカニクスチェツ. 3 巻 l号 , クシステムの開発,日本教育工学会誌,第 3 1 9, 2 0 0 9 ..
(9) 医療 現 場 に 勤務 す る看護 師 を対 象 と した ボ デ ィメ カ ニ クス学 習教 材 の 活 用 と評 価. 9. (Summary) Application and evaluation of a body mechanics learning material by nurses working in medical settings Kimiwa Itami ' ), Toshihiko Yasuda 2), Yasuharu Nishimura'', Yohei Hashimoto 2), Hiroko Nakafujil), Furukawa Jyunko 2), Murata Yukiko 3), Hiroko Yamada '), Terumi Yoneda1), Ai Matsumiyal) 1) School of Human Nursing , The University of Shiga Prefecture 2) School of Engineering , The University of Shiga Prefecture 3) Hikone Municipal Hospital. Background Occupational lower back pain is a serious problem among nurses, and appropriate ap-. Setting 1: Normally performed action, Setting 2: Action performed at a suitable bed height (45%. plication of body mechanics is important for enabling efficient actions with minimal burden on the lower back. However, at present many nurses routinely perform actions that place a burden on the lower back, such as forward leaning, due to lack of body mechanics techniques as well as knowledge and awareness of body mechanics. Objective The objective of the present study was to apply and evaluate a body mechanics learning material developed for the purpose of increasing the awareness of body mechanics and improving. of body height), Setting 3: Action performed after using and objectively evaluating the present learning material. Data on angles of forward leaning were compared among these settings and analyzed by performing the Wilcoxon signed rank test using SPSS version 16.0 for Windows. The effectiveness of the present learning material was verified based on changes in the angle of forward leaning. In addition, an awareness survey was conducted before and after application of the present learning material. Survey contents were awareness of body mechanics as well as application of the present learning material (five-point scale). Results The mean angle of forward leaning was the largest for Setting 1 at 55.6 14.7 , which was at a dangerous level resulting in burden on the lower back. The mean angle for Setting 2 was 43.2 11.5 , which was significantly smaller than for Setting 1 but still at a dangerous level resulting in burden on the lower back. The mean angle of forward leaning for Setting 3 was 28.0 11.3 , indicating a significant improvement. Furthermore, the mean score for "wish to use body mechanics in the future" increased significantly. posture working. during nursing actions, using in medical settings as subjects.. nurses. Methods 1. Overview of the present learning material: Dangerous angles of forward leaning at which a burden is placed on the lower back are displayed in real-time or on replay. Dangerous angles of forward leaning were defined as 40 based on calculation of the joint moment on the lower back and other data. 2. Methods: Subjects were a total of 32 nurses who consented to participate in the study in August 2009. After attaching the posture measurement sensors of the present learning material to subjects, subjects were instructed to perform bedmaking, an action they routinely perform at work, under three settings (1-3) in the following order.. (p<0.01) from 4.5 0.7 to 4.8 0.4 points following application of the present learning material..
(10) 10. 伊丹. Conclusion of a body increase well. as. actions.. Application mechanics in the. and learning. awareness. improvement We will conduct. evaluation. by. material of body. of posture further. nurses. showed. an. mechanics during. research. as. nursing in the. future. in order. present vention Key. learning of lower. Words. aning,. to verify. lower. effectiveness. of the. material and its effects back pain in nurses.. on pre-. nursing back. the. 君和. action, pain,. angles. body. of forward. mechanics. le.
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