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目 次

● 2016 年度企画展「第五福竜丸と静岡大学」 キャンパスミュージアム館長・理学部 塚越哲‥ ‥‥ 2 ●キャンパスミュージアムの植物標本庫と植物標本 理学部 徳岡徹‥ ‥‥ 4 ●静岡大学考古学研究室における教育活動と地域連携の新たな取り組み 人文社会学部 山岡拓也‥ ‥‥ 5 ● 2016 年度公開講座「静大キャンパス探訪~静岡キャンパスの自然と歴史~」 学術情報部研究協力課 鈴木貴晴‥ ‥‥ 6 ●平成28年度博物館長研修に参加して キャンパスミュージアム館長・理学部 塚越哲‥ ‥‥ 7 ● 2016 年度キャンパスミュージアム活動報告 ワーキンググループ‥ ‥‥ 8

Shizuoka University

静岡大学キャンパスミュージアム

ニュースレター

企画展:第五福竜丸と静岡大学

静岡大学キャンパスミュージアム

Newsletter

No.18

March 2017

静岡大学キャンパスミュージアム

ニュースレター

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March 2015

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March 2017

March 2017

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2016 年度企画展「第五福竜丸と静岡大学」

キャンパスミュージアム館長・理学部 塚越 哲

2016 年度 キ ャ ン パ ス ミ ュ ー ジ ア ム企画展は、 「 第 五 福 竜 丸 と 静 岡 大 学」と題して 行われた(写 真1)。1954 年 3 月 1 日、 ビ キ ニ 環 礁 に お け る ア メ リ カ 合 衆 国 の 水 爆 実 験 に よ っ て マ グ ロ 延 縄 漁船・第五福 竜 丸 と そ の 乗組員が被ばくした、いわゆる「第五福竜丸事件」と本 学のかかわりについて展示し、この事件の社会的・歴史 的意味を原点に立ち戻って見つめなおそうとした企画 である。 来場者からのアンケートからもわかることであるが、 本学が「第五福竜丸事件」に深くかかわっていたことは、 現在ほとんど知られていない。本学の塩川教授(当時)を はじめとする放射線の研究チームが被ばくした第五福 竜丸の船体から回収した試料(写真2下)、現在は本学 から都立第五福竜丸展示館に移管されている死の灰(写 真2右上)、調査に用いられた放射線計測器(写真2左 上)を中心として展示を構成した(写真2)。 当時を語るこれらの貴重な実物を人文社会科学部考 古学研究室より借用した縦長の展示ケースに収めた。主 展示会場となったミュージアム実習室の入り口に立っ た時、視線の先に 45 度傾けて見えるようこの展示ケー スを配置した。展示スペースをポスター展示用ボードで 囲み、ここに都立第五福竜丸展示館より貸与された解説 パネルから、本展示に関連のあるものを選定して吊り下 げ、事件の全体像をつかめるようにした。また、本ミュ ージアムに所蔵されている船体の塗料、サメのひれ、ボ ンデン(シュロ製の漁具)、ドラム缶の錆については、 本学理学部付属放射科学研究施設(本年2月より放射科 学教育研究推進センター、以下放射研)がもつ最新の分 析機器によってこれらから取り出された今なお残る各 種放射線の検出データとともに紹介された。この事件に ついての研究成果が評価されて 1958 年に放射研が設立 された経緯についても、液晶プロジェクターを用いたス ライドショーによって来場者が理解でできるようにし た。事件当時塩川教授が分析に使用し、日本でほとんど 写真1.企画展「第五福竜丸と静岡大学」 のポスターとチラシのデザイン. 写真2.展示された死の灰(右上),測定器(左上),船 上回収物(下). 写真3.第五福竜丸の大漁旗と船体の写真.

◆報告◆

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所有する人がいなかった微量元素の分析方法を解説し た米国の専門書も併せて展示した。また、本学大学文書 資料室に収められていた事件当時の静大生が原水爆反 対の仮装デモを行う様子が写った写真パネルや、学生が 自主刊行していた「静岡大学新聞」が取り上げた事件に 関する記事なども展示した。 ミュージアム入り口には A0判のポスターを配置し、 入り口から主展示会場に入るまでのアプローチとして、 都立第五福竜丸展示館から貸与された第五福竜丸大漁 旗(レプリカ)、大判スクリーン紙に印刷された第五福 竜丸船体の写真などを並べ、第五福竜丸の船体の大きさ を疑似的に体感できるようにしながら主展示会場へと 来場者を誘った(写真3)。また主展示会場を見学した 後出口に向かうと、その正面に静岡新聞社が事件からお よそ半世紀後に、第五福竜丸乗組員の声を拾うべく取材 したシリーズ「心の航跡」の記事の切り抜きが見られる ようにした(写真4)。ちなみにこの連載記事は、第9 回平和・共同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞し、現 在単行本として刊行されている。その横には、都立第五 福竜丸展示館、第五福竜丸の母港である焼津港を擁する 焼津市の歴史民俗資料館内にある第五福竜丸の展示ス ペースの紹介を、大型 TV スクリーン上でスライドショ ーを行った。さらにその脇には、「第五福竜丸事件」に よる社会不安を背景に製作された娯楽映画「ゴジラ」の 当時(1954 年)のポスター(レプリカ)とゴジラの模 型が並べられ、当時の人々の暮らしの中に、この事件が 反映されたことを知ることができるようにした。 主展示会場となった実習室は、その本来の目的から蛍 光灯照明の部屋であるが、蛍光灯のもつ平坦な照明は、 展示室には不向きである。展示の際に照明は、来場者の 視線を誘導し、展示品を際立たせ、また展示室全体を来 場者にとって非日常的な空間に変えるはたらきをもつ。 このため今回の主展示場では、蛍光灯を消し、実習時に 顕微鏡照明の電源用に天井に配置されたダクトレール に LED スポット照明を取り付けることにより、展示物 やパネルを浮き上がらせ、展示会場の雰囲気を作ること ができた(写真 5 上部)。 今回の企画展は、平成 28 年 11 月 14 日(月)から同 25日(金)までの 12 日間開催され、636 名の入場者が あった。また静大祭の開催に合わせて、11 月 20 日(日) には都立第五福竜丸展示館事務局長の安田和也氏を招 いて、「第五福竜丸事件」に関する講演会が行われた(写 真5)*。 企画の内容から、地元 TV、新聞による報道もあり、 地元市民へ一定のアピールもできたと思われる。来場者 が記入したアンケート(79 件回収)も概ね好評で、企 画内容に賛同する声を多数見ることができた。一方で社 会的にアピ-ル力のある展示であったにもかかわらず、 学生の来場者が比較的少ないという印象をもった。若い 世代に対してこのような企画がどうしたら訴求力をも つことができるのか、大学博物館であるキャンパスミュ ージアムがもつ学生への発信力について課題が残った ともいえる。特に大学祭開催期間に合わせて行われた講 演会には、学生らしい参加者の姿を見ることができなか った(ただしキャンパスフェスタに訪れたのであろう高 校生の姿は散見された)。アンケートの中におそらく留 学生が書いたであろう「このような展示がキャンパス内 でなされたことに感銘を受けた。しかしこのような重要 な展示を見に訪れる学生があまりにも少ないのはなぜ か」と言った内容の英語の文章は実に印象的であった。 本企画展は、学外では都立第五福竜丸展示館、焼津市 歴史民俗資料館、学内では放射科学研究施設、大学文書 資料室、技術部スタッフの支援を受けた。この場をお借 りして御礼申し上げたい。今後とも、本ミュージアムは 学内外の組織と連携して活動に取り組んでゆきたいと 考えている。 *本講演会の全内容は、静大 TV(http://sutv.shizuoka. ac.jp/video/?id=YW97S3VVVdI&playlistname= イ ベ ント_静大祭 2016)で常時放映されている。 写真4.静岡新聞に連載された「心の航跡」の記事. 写真5.静大祭開催日の 11 月 20 日に行われた都立第五 福竜丸展示館・安田和也氏による講演会.

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March 2017

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キャンパスミュージアムの植物標本庫と植物標本

理学部 徳岡 徹

キャンパスミュージアムの芸術・音楽ゾーンの奥には 標本庫がある。ここには様々な標本が収蔵されており、 植物の標本も 2009 年から 2011 年にかけて行われた静 岡キャンパス生物調査の際に作製された標本を中心に およそ 2,000 点が収蔵されている。この稿では植物標本 庫と植物標本について紹介したい。 植物の標本には大きく分けて乾燥標本と液浸標本の 2つがある。植物の乾燥標本は一般的には「押し葉標本」 と呼ばれているが、正式には「腊葉(さくよう)標本」 である。この押し葉標本の作り方は至って簡単で、中高 生の夏休みの自由研究に作製した人も多いのではない だろうか。野外で採集してきた植物を見栄え良く広げ、 花や果実を葉で隠さないように気をつけて、新聞紙に挟 み乾燥させる。多くの植物はこのように簡単に作製でき るのだが、どうやって作ろうかと悩む植物もある。ヤブ ツバキのような大きな果実を付けるものや、一枚の葉が 巨大なシュロやカナリーヤシである。このような場合は、 研究者によって扱いは異なるが、当キャンパスミュージ アムでは輪切りにして薄くしてから乾燥し、一枚の葉の 一部分を切り取って標本にしている。植物標本のもう一 つの種類である液浸標本は、採集してきた植物をフォル マリンとアルコールの混合溶液に浸して保存するもの である。乾燥標本の場合はどうしても乾燥する過程で組 織が変形してしまうが、液浸標本では組織が細胞レベル で保存されるので研究には都合が良い。しかし、長期間 保存しようとすると、どうしても液が揮発してしまい、 液を補充するなど の手間がかかって しまうのが欠点で ある。このような理 由から当キャンパ スミュージアムで は液浸標本は収蔵 していない。 十分に乾燥させ た乾燥標本は台紙 に固定されるが、そ の方法は様々であ る。日本ではふつう 細い紙テープで固 定しているが、筆者が訪れたアメリカ・ミズーリ植物園 の標本庫では木工用ボンドで直接標本と台紙を留めて いた。また、オランダ・ライデン植物園の標本庫では、 いくつかの標本がセロテープで固定されていたのには 大変驚いた(写真1)。台紙の右下には標本ラベルが貼 られている。この標本ラベルは標本にとって非常に重要 な情報が記載されており、誰がいつ何処で採集したのか、 採集した時のその植物の状態などが事細かく記載され ている。これらの情報を基に研究者たちはその植物の分 布やその活動状況を調べたり、形態的な変異について研 究したりする。分類に問題のあるような植物の場合、多 くの研究者がそれぞれの標本の観察結果やその考察を 標本の台紙に書き込んであり、標本の上で議論が交わさ れていることがある。このような標本に遭遇すると、仕 事を忘れて見入ってしまう。 完成した標本は標本庫へ収蔵するが、その前に一つ重 要な段階がある。それは、冷凍庫に2、3日入れること で、植物標本に付着している虫の卵を駆除するのである。 こうして標本は標本キャビネットへ収蔵されるが、保管 中にも虫の食害が起こることがある。そのため大規模な 標本庫では、年に数回標本庫全体を燻蒸して防虫する。 キャンパスミュージアムではこのようなことはできな いので、標本を幾つか束にしてビニール袋に防虫剤と一 緒に入れている。防虫剤は揮発するので年に1回以上は 防虫剤の交換をしている(写真2)。 標本はそれ自体が科学的な情報を多く含んだ貴重な 情報源であり、しっかり保管管理していかなければなら ない。一方で、標本の作製や保管には多大な時間と労力 がかかっており、標本をしっかり利用していくことも重 要である。 写真1.オランダ・ライデン植物園 標本庫の植物標本.研究者のスケッ チやコメントが添付されている. 写真2.キャンパスミュージアム標本庫の植物標本.

◆解説◆

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キャンパスミュージアムの植物標本庫と植物標本

理学部 徳岡 徹

キャンパスミュージアムの芸術・音楽ゾーンの奥には 標本庫がある。ここには様々な標本が収蔵されており、 植物の標本も 2009 年から 2011 年にかけて行われた静 岡キャンパス生物調査の際に作製された標本を中心に およそ 2,000 点が収蔵されている。この稿では植物標本 庫と植物標本について紹介したい。 植物の標本には大きく分けて乾燥標本と液浸標本の 2つがある。植物の乾燥標本は一般的には「押し葉標本」 と呼ばれているが、正式には「腊葉(さくよう)標本」 である。この押し葉標本の作り方は至って簡単で、中高 生の夏休みの自由研究に作製した人も多いのではない だろうか。野外で採集してきた植物を見栄え良く広げ、 花や果実を葉で隠さないように気をつけて、新聞紙に挟 み乾燥させる。多くの植物はこのように簡単に作製でき るのだが、どうやって作ろうかと悩む植物もある。ヤブ ツバキのような大きな果実を付けるものや、一枚の葉が 巨大なシュロやカナリーヤシである。このような場合は、 研究者によって扱いは異なるが、当キャンパスミュージ アムでは輪切りにして薄くしてから乾燥し、一枚の葉の 一部分を切り取って標本にしている。植物標本のもう一 つの種類である液浸標本は、採集してきた植物をフォル マリンとアルコールの混合溶液に浸して保存するもの である。乾燥標本の場合はどうしても乾燥する過程で組 織が変形してしまうが、液浸標本では組織が細胞レベル で保存されるので研究には都合が良い。しかし、長期間 保存しようとすると、どうしても液が揮発してしまい、 液を補充するなど の手間がかかって しまうのが欠点で ある。このような理 由から当キャンパ スミュージアムで は液浸標本は収蔵 していない。 十分に乾燥させ た乾燥標本は台紙 に固定されるが、そ の方法は様々であ る。日本ではふつう 細い紙テープで固 定しているが、筆者が訪れたアメリカ・ミズーリ植物園 の標本庫では木工用ボンドで直接標本と台紙を留めて いた。また、オランダ・ライデン植物園の標本庫では、 いくつかの標本がセロテープで固定されていたのには 大変驚いた(写真1)。台紙の右下には標本ラベルが貼 られている。この標本ラベルは標本にとって非常に重要 な情報が記載されており、誰がいつ何処で採集したのか、 採集した時のその植物の状態などが事細かく記載され ている。これらの情報を基に研究者たちはその植物の分 布やその活動状況を調べたり、形態的な変異について研 究したりする。分類に問題のあるような植物の場合、多 くの研究者がそれぞれの標本の観察結果やその考察を 標本の台紙に書き込んであり、標本の上で議論が交わさ れていることがある。このような標本に遭遇すると、仕 事を忘れて見入ってしまう。 完成した標本は標本庫へ収蔵するが、その前に一つ重 要な段階がある。それは、冷凍庫に2、3日入れること で、植物標本に付着している虫の卵を駆除するのである。 こうして標本は標本キャビネットへ収蔵されるが、保管 中にも虫の食害が起こることがある。そのため大規模な 標本庫では、年に数回標本庫全体を燻蒸して防虫する。 キャンパスミュージアムではこのようなことはできな いので、標本を幾つか束にしてビニール袋に防虫剤と一 緒に入れている。防虫剤は揮発するので年に1回以上は 防虫剤の交換をしている(写真2)。 標本はそれ自体が科学的な情報を多く含んだ貴重な 情報源であり、しっかり保管管理していかなければなら ない。一方で、標本の作製や保管には多大な時間と労力 がかかっており、標本をしっかり利用していくことも重 要である。 写真1.オランダ・ライデン植物園 標本庫の植物標本.研究者のスケッ チやコメントが添付されている. 写真2.キャンパスミュージアム標本庫の植物標本.

◆解説◆

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第 44 回考古展の様子 ふじのくに地球環境史ミュージアムでのトッピクス展の様子

静岡大学考古学研究室における教育活動と地域連携の新たな取り組み

人文社会科学部 山岡拓也

静岡大学人文社会科学部社会学科に属する静岡大学 考古学研究室では、これまで主に静岡県内を中心とした 遺跡や考古資料の調査・研究を進め、その成果を社会に 報告することで、地域に貢献してきた。それとともに、 考古学に関わる専門的な知識や技術を身につけるため の講義・演習・実習などの授業に加えて、遺跡の発掘調 査や測量調査、資料の整理作業などの実践の中で学生が 学ぶ機会も設けている。そうした過程を通じて、多くの 学生が知識や技術と経験を身につけ、そこから考古学や 文化財保護・活用を担う専門家をはじめとして、広く社 会で活躍する人材を輩出してきた。 静岡大学考古学研究室の専門教育における特色ある 取り組みのひとつとして考古展を挙げることができる。 例年、学部3 年生が履修する考古学実習Ⅱ(あるいはⅢ) の中で、考古資料の展示の企画・準備を行い、毎年11 月 に開催される静大祭で、その成果を披露している。 今年度は、こうした考古学研究室の教育活動と、地域 の他の教育・研究機関との連携した文化資源の活用に関 わる活動を組み合わせた取り組みである「愛鷹山麓出土 の旧石器資料に関する展示コンテンツの開発」事業を実 施した。この事業は、平成28 年度「静岡大学 地域連携 応援プロジェクト」へ応募し、採用された事業である。 静岡県東部、愛鷹(あしたか)山麓では、日本列島にお けるホモ・サピエンス出現期である4~3 万年前の遺跡 の調査研究で重要な発見がなされ、日本国内だけでなく 世界中の研究者からも注目を集めている。しかし、そう した学術的な成果は、静岡県内の市民にはほとんど知ら れていないのが現状である。こうした状況を踏まえて、 地域の教育・研究機関と協力して、静岡県内の市民にこ れまでの研究成果を紹介することを目的とした事業を 計画した。事業を実施するに当たって、沼津市教育委員 会主事の小崎晋氏とふじのくに地球環境史ミュージア ムの主任研究員の日下宗一郎氏にご協力いただいた。 静大祭期間中の 11 月 19 日と 20 日に、第 6 回キャ ンパスフェスタ in 静岡の一企画として、「第 44 回考 古展 沼津市土手上遺跡から出土した 3 万 5 千年前の 狩猟具」を開催した。2 日間の展示では、考古学研究室 の学部3 年生 4 名が展示解説を行った。展示の内容をま とめたパンフレットも作成し、来場者に配布した。考古 展は、毎年、日本史研究室の古文書展と一緒に開催して いるが、今年度は、2 日間で考古展と古文書展を合わせ て 200 人を越える方々に見学していただいた。 それに続いて、2017 年 2 月 21 日から 3 月 5 日まで、 ふじのくに地球環境史ミュージアムのホットトピック ギャラリーで、トピックス展「3 万 5 千年前の狩猟具― 静岡県沼津市土手上遺跡から出土した台形様石器の研 究―」を開催していただいた。最終日の 3 月 5 日には、 学生とともに展示解説を行った。この展示は、第 44 回 考古展の内容のダイジェスト版として制作した。沼津市 文化財センターでも、3 月 20 日から 4 月 2 日まで、資 料展示室で、展示を開催していただく予定であり、3 月 20 日には学生とともに展示解説を行う予定である。 地域の文化資源の活用に関する取り組みで、他の教 育・研究機関と協力して展示を実施することにより、 より多くの方々に展示を見ていただけたことや、他機 関の研究者と意見交換ができたことなど、これまでに ない機会を得ることができた。また展示を準備し展示 解説を行った学生にとっても貴重な経験となり、教育 面での効果もあったように思われる。今後も、地域の 文化資源の活用や地域連携に関わる活動と教育活動を 組み合わせた取り組みを、継続していきたい。

◆報告◆

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2016 年度公開講座「静大キャンパス探訪~静岡キャンパスの自然と歴史~」

静岡大学学術情報部研究協力課 鈴木貴晴

公開講座「静大キャンパス探訪」は、参加者に対して 静岡大学に関連する様々な資源をテーマに、学内外の教 員等が講師となり、座学や現地観察をしながら、各専門 分野からの解説を行うものである。今年度で 7 回目を数 える本講座は、10 月に全 4 回にて開催し、受講者とし て、下は中学生から上は 60 代以上まで、延人数計 44 名の参加があった。 昨年度から引き続き静岡大学に隣接する「ふじのくに 地球環境史ミュージアム」より講師をお招きし、「土壌 生物」をテーマに講義いただいた他、学内講師において は、従前より人気を博している「静大構内の植物」、「静 大キャンパスの歴史」に加え、「静大キャンパス周辺の 動物」をテーマとした回を設けるなど、大学内外にて 様々な動植物、また古墳の跡地など歴史遺産を観察しな がら、その詳細の解説を行った。 参加した受講者は、講師の解説に真剣に耳を傾け、ま たメモを懸命に取る姿も見受けられた。同時に、その中 で生まれた疑問に対し、1 つ 1 つ丁寧に講師が応答して いくなど、双方が一体となって本講座を盛り上げていく 姿勢がそこにはあり、短い時間の中ではあったが、大変 有意義な講座となった。 普段出来ない経験を通じて、参加者からは「自宅の庭 にもどんな土壌生物がいるのか調べてみたくなった」 「日ごろ見慣れている木の名前や特徴など思いがけな い発見があった」「周りの動物を大切にしたいと思うよ うになった」「遺跡について、たくさんのことを知るこ とができ、とても楽しかった」等の声が聞かれた。 来年度も引き続き本講座を実施する予定であり、特に 受講者からの要望が多数あった「地質学」をテーマとし た回も設けられるよう、準備を進めていく次第である。 ■今年度の各回の内容は以下のとおり。 第 1 回「身近な足もとの虫たち~土壌動物~」 ・ 日時:2016 年 10 月 8 日(土) ・ 講師:ふじのくに地球環境史ミュージアム准教 授・岸本年郎 ・ 参加:10 名 第 2 回「静大構内の植物探訪」 ・ 日時:2016 年 10 月 15 日(土) ・ 講師:理学部准教授・徳岡徹 ・ 参加:13 名 第 3 回「静大キャンパス周辺の動物」 ・ 日時:2016 年 10 月 22 日(土) ・ 講師:教育学部講師・加藤英明 ・ 参加:8 名 第 4 回「静大キャンパスの歴史 –縄文から静大まで-」 ・ 日時:2016 年 10 月 29 日(土) ・ 講師:人文社会科学部教授・篠原和大 ・ 参加:13 名 第 1 回「身近な足もとの虫たち~土壌動 物~」 第 2 回「静大構内の植物探訪」 第 3 回「静大キャンパス周辺の動物」 第 4 回「静大キャンパスの歴史 –縄文か ら静大まで-」

◆報告◆

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2016 年度公開講座「静大キャンパス探訪~静岡キャンパスの自然と歴史~」

静岡大学学術情報部研究協力課 鈴木貴晴

公開講座「静大キャンパス探訪」は、参加者に対して 静岡大学に関連する様々な資源をテーマに、学内外の教 員等が講師となり、座学や現地観察をしながら、各専門 分野からの解説を行うものである。今年度で 7 回目を数 える本講座は、10 月に全 4 回にて開催し、受講者とし て、下は中学生から上は 60 代以上まで、延人数計 44 名の参加があった。 昨年度から引き続き静岡大学に隣接する「ふじのくに 地球環境史ミュージアム」より講師をお招きし、「土壌 生物」をテーマに講義いただいた他、学内講師において は、従前より人気を博している「静大構内の植物」、「静 大キャンパスの歴史」に加え、「静大キャンパス周辺の 動物」をテーマとした回を設けるなど、大学内外にて 様々な動植物、また古墳の跡地など歴史遺産を観察しな がら、その詳細の解説を行った。 参加した受講者は、講師の解説に真剣に耳を傾け、ま たメモを懸命に取る姿も見受けられた。同時に、その中 で生まれた疑問に対し、1 つ 1 つ丁寧に講師が応答して いくなど、双方が一体となって本講座を盛り上げていく 姿勢がそこにはあり、短い時間の中ではあったが、大変 有意義な講座となった。 普段出来ない経験を通じて、参加者からは「自宅の庭 にもどんな土壌生物がいるのか調べてみたくなった」 「日ごろ見慣れている木の名前や特徴など思いがけな い発見があった」「周りの動物を大切にしたいと思うよ うになった」「遺跡について、たくさんのことを知るこ とができ、とても楽しかった」等の声が聞かれた。 来年度も引き続き本講座を実施する予定であり、特に 受講者からの要望が多数あった「地質学」をテーマとし た回も設けられるよう、準備を進めていく次第である。 ■今年度の各回の内容は以下のとおり。 第 1 回「身近な足もとの虫たち~土壌動物~」 ・ 日時:2016 年 10 月 8 日(土) ・ 講師:ふじのくに地球環境史ミュージアム准教 授・岸本年郎 ・ 参加:10 名 第 2 回「静大構内の植物探訪」 ・ 日時:2016 年 10 月 15 日(土) ・ 講師:理学部准教授・徳岡徹 ・ 参加:13 名 第 3 回「静大キャンパス周辺の動物」 ・ 日時:2016 年 10 月 22 日(土) ・ 講師:教育学部講師・加藤英明 ・ 参加:8 名 第 4 回「静大キャンパスの歴史 –縄文から静大まで-」 ・ 日時:2016 年 10 月 29 日(土) ・ 講師:人文社会科学部教授・篠原和大 ・ 参加:13 名 第 1 回「身近な足もとの虫たち~土壌動 物~」 第 2 回「静大構内の植物探訪」 第 3 回「静大キャンパス周辺の動物」 第 4 回「静大キャンパスの歴史 –縄文か ら静大まで-」

◆報告◆

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平成28年度博物館長研修に参加して

キャンパスミュージアム館長・理学部 塚越 哲

文部科学省主催で、就任2年未満の博物館長を対象と した研修が毎年行われている。平成28 年度の博物館長 研修は、7 月 13 日から 15 日までの3日間、国立教育政 策研究所社会教育実践研究センター(台東区)で行われ、 これに参加した。 ひとくちに「博物館」といっても、その規模、運営母 体、設立趣旨等、きわめて多種多様であり、全体から見 ればキャンパスミュージアムのような大学博物館は、特 殊な部類であるといえる。定員50 名に対し、50 名の受 講者があり、運営母体別にみる内訳は、国立1、都道府 県(政令指定都市含む)21、市町村 8、私立 6、大学博 物館3、独立行政法人 1、指定管理者 5、その他(公益 法人等)5、であった。指定管理者とされたものは、地 方自治体によって設立された博物館が主である。大学博 物館は、龍谷大学、東京農工大学、そして静岡大学から の参加であった。 当初の研修日程は、下の表の通りである。演者の都合 により、13 日午後に予定されていた「交流プログラム」 は、最終日に移されるなどの変更はあったが、この内容 で研修が行われた。 第1日目(13 日)の最初は、文部科学省生涯学習局 から、Ⅰ博物館の現状、Ⅱ博物館をめぐる課題、Ⅲ博物 館をめぐる最近の動向について、の説明がなされた。昨 今の国際化、特に海外旅行者の増加に伴う博物館の利用 についての説明は興味深く、多言語化の取り組みが喫緊 であるとのことであった。しかし現状はこの取り組みが 非常に遅れており、筆者の経験では国立科学博物館に外 国人ゲストを案内しても、英語は表題しかなく、展示説 明は日本語だけで困惑したことがあった。このことを質 問時間に演者に告げると、現場では時間、経費、人材と もに不足していて、追いついていないという切実な回答 があった。本ミュージアムも多言語化には程遠い現状で あるが、今後必ず取り組むべき課題である。本年度企画 展「大学博物館と静岡大学」の序文には英語併記を行っ たが、この経験を生かしたものである。 個々の博物館および相当施設に関する講演(経験交流) では、地方自治体が運営する博物館から商業用施設に至 るまで、実に様々な博物館の取り組みが紹介され、博物 館という名のもとに運営されている施設の多様さを今 更ながら再認識した。大学博物館とはその方向性が大き く異なるものもあったが、モノと情報に触れ合う場とし て抱える問題には共通点も多かった。特に美濃加茂市民 ミュージアム館長・可児氏、鶴岡市立加茂水族館館長・ 奥泉氏の講演では、切りつめられる人的、経済的状況か ら驚異的な努力と創意工夫によって施設を活性化させ ていったストーリーが語られ、立場の違いを超えて感銘 を受けた。 最終日に移された交流プログラムでは、参加者が数名 ごとの班に分けられ、それぞれ異なった収蔵物を持つ博 物館が、共同で1つのコンセプトを持つ企画展を行うと いう想定で班ごとの発表会を行った。筆者の班では「ク ロノロジー展」とし、時間をテーマにした企画展の計画 書を作成した。最終日午後には、東京都美術館の見学会 が行われた。いわゆる「上野の森」には、数多くの博物 館・美術館が集中しているが、これらは全く性格の異な る博物館である。しかしその違いを超えてきわめて緩や かではあるが、ネットワークが構築されており、見学者 に他の施設の情報、優待、スタンプラリー等のサービス を提供している。この取り組みは上野の森の博物館・美 術館が全体で活性化してゆく取り組みである。静岡市と その近隣にも大小さまざまな博物館・美術館があるので、 将来ぜひこのようなネットワークを構築する取り組み を行いたいと考えるに至った。

◆報告◆

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2016 年度キャンパスミュージアム活動報告

ワーキンググループ

展示室の公開 通常開館として、通常授業期間中(4 月~7 月及び 10月~1月)の火曜日と木曜日に3時間(12:00~15:00) の一般公開を行った。一般公開日は 56 日間であった。 また、一般公開日とは別に、企画展開催中(11 月 7 日 ~25 日)に特別公開(10:00~16:00)を行った。この ほか、学内職員研修に館長が講師として対応するなど、 臨時公開を行った。通常開館中の来館者数は 190 人(企 画展開催中の来館者を合わせると 823 人)であった。 企画展「第五福竜丸と静岡大学 ~第五福竜丸事件を風化させないために~」 静岡大学とも大きな関わりがあった第五福竜丸事件 を改めて取り上げることを目的として、東京都立第五 福竜丸展示館の協力のもと、同館から借り受けた事件 の詳細を記載したパネルを中心に、死の灰や、これを 分析するためのガイガーカウンターなど、当時の貴重 な資料等の展示を行った。また、同館主任学芸員の安 田和也氏を講師に招き、講演会を実施し、第五福竜丸 事件当時の詳細について広く周知することに努めた。 ・会期: 11 月 7 日(月)~25 日(金)10:00~16:00 (12 日間。11 月 20 日(日)は講演会を実施) ・来場者数:634 名 大学博物館等協議会 6 月 30 日(木)・7 月 1 日(金)、広島大学東広島 キャンパスにおいて大学博物館等協議会 2016 年度大 会(第 11 回博物科学会)が開催された。同大会には、 塚越哲・キャンパスミュージアム館長(理学部教授) および事務職員 1 名が出席した。博物科学会では、2015 年度の静岡大学キャンパスミュージアムの活動を報告 するポスター発表を行った。 公開講座 2015 年度に引き続き、静岡キャンパス生物や歴史遺 産の調査の成果を紹介しながら屋外での自然観察など をおこなう内容の公開講座を 10 月に下記のとおり実 施した。 静岡大学公開講座 2016 「静大キャンパス探訪~静岡キャンパスの自然と歴史~」 第 1 回 10 月 8 日(土) 「身近な足もとの虫たち~土壌動物~」 講師:ふじのくに地球環境史ミュージアム 准教授・岸本年郎 第 2 回 10 月 15 日(土) 「大学構内の植物探訪」 講師:理学部准教授・徳岡 徹(環境応答学) 第 3 回 10 月 22 日(土) 「静大キャンパスの動物」 講師:教育学部講師・加藤英明 第 4 回 10 月 29 日(土) 静大キャンパスの歴史 ~縄文から静大まで~」 講師:人文社会科学部教授・篠原和大(考古学) 4 日間で延べ 44 名の参加があった。 学術資料の登録・貸出など 環境省主催、ふじのくに地球環境史ミュージアム共 催のイベント「自然の音を楽しむ会」に、本学からガ ムラン楽器を貸し出し、また学生サークル「ガムラン 音楽研究会」の協力を得て、イベント内で演奏会及び 楽器体験会を実施した。

静岡大学キャンパスミュージアム ニュースレター No. 18

■発 行 日 2017 年 3 月 31 日 ■発 行 静岡大学キャンパスミュージアム ■編集担当 塚越 哲(理学部) ■連 絡 先 〒422-8529 静岡市駿河区大谷 836 静岡大学学術情報部研究協力課研究支援係 ☎ 054-238-4264 FAX 054-238-4428 ■印 刷 株式会社三創 静岡大学キャンパスミュージアム ニュースレター No.18 ■発 行 日 ‥ 2017年3月31日 ■発  行‥ 静岡大学キャンパスミュージアム ■編集担当‥ 塚越 哲(理学部) ■連 絡 先 ‥ 〒422-8529 静岡市駿河区大谷836 静岡大学学術情報部研究協力課 ‥ ☎054-238-4316 FAX‥054-238-4312 ■印  刷‥ 株式会社三創

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